JP4230257B2 - シリカーアルミナ系水素化処理用触媒を用いた炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents

シリカーアルミナ系水素化処理用触媒を用いた炭化水素油の水素化処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、炭化水素油の水素化処理用触媒を用いる炭化水素油の水素化処理方法に関するものであり、さらに詳しくは、従来用いられている水素化処理用触媒に特定の細孔構造を持つバイモダル触媒を添加することを特徴とする炭化水素油、特に、減圧軽油(VGO)、減圧残渣油(VR)等の重質油の水素化処理方法に関するものである。
なお、本明細書において、本発明に関し「水素化処理」とは、炭化水素油と水素との接触による反応を総称したものであり、炭化水素油の水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱芳香族、水添異性化、水素化精製および水素化分解等を包含するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、石油等炭化水素油の水素化処理に用いられる触媒として、アルミナ、シリカ−アルミナ、ボリア、マグネシア、ジルコニア等およびこれらの混合組成からなる耐火性無機酸化物を担体とし、元素周期表第6A族金属、同表第8族金属等を含有する活性成分を担持させた水素化処理用触媒が種々提案されている。例えば、特許文献1(特開昭61−287446号公報)には、アルミナ水和物とコロイド状シリカとの混合溶液に塩基性化合物を添加し増粘ゲル化後、触媒担体を調製する方法が開示され、また、特許文献2(特開昭61−242639号公報)によれば、燒結セラミックス構造体層と一体化した多孔性酸化物の高表面担体層を有するモノリシックであって、アルミナ50〜93質量%およびシリカ7〜50質量%からなる触媒担体が開示されている。さらに、担体としてのボリア−シリカ−アルミナに元素周期表第6A族金属および/または同表第8族金属を担持させた平均細孔直径が60〜90Åで平均細孔直径±10Åの範囲の細孔容積が全細孔容積の60%以上の水素化精製用触媒(特許文献3(特開平8−89806号公報))のほか、特許文献4(特開平9−276712号公報)ではアルミナ、シリカおよびマグネシアを含有させた担体に元素周期表第6A族金属および/または同表第8族金属を担持させてなる平均細孔直径190〜350Åの水素化精製用触媒が提案されている。
【0003】
かかる水素化処理用触媒は、例えば常圧蒸留および減圧蒸留の留出油または残渣油の水素化脱硫、水素化脱窒素および水素化分解、潤滑油留分の水素化精製、ワックス留分の水添異性化等に用いられるものであるが、各種炭化水素油の水素化処理において水素化処理用触媒の細孔構造および細孔分布、ならびに触媒表面の酸性質およびその量が触媒活性および活性維持能にとって重要なファクターであることが認識されてきた。従って、例えば、本出願人は、主として留出油の水素化脱硫、脱窒素、芳香族水添等において高活性を発揮する触媒として、直径300Å以上の特定領域の細孔容積を低く制御し、均一な細孔分布を有するシリカ−アルミナ担体に水素化活性成分を担持させた水素化処理用触媒(特許文献5(特公平3−31496号公報))および該水素化処理用触媒に係る発明を発展させ、細孔直径300〜150,000Åの領域に0.01〜0.25ml/gの細孔容積を有し、かつ細孔直径300〜600Åの領域の細孔容積が、直径300〜150,000Å領域の細孔容積の40%以上である水素化処理用触媒を提案した(特許文献6(特開平8−89816号公報))。さらに、特許文献7(特開平6−127931号公報)により、細孔直径30〜300Åの範囲および300〜1,500Åの範囲にそれぞれ細孔容積分布のピークを有するバイモダル構造のシリカ−アルミナ系触媒についても提案した。
【0004】
しかしながら、近年、環境保全の観点から硫黄含有量を著しく低減したクリーン燃料(ガソリンおよび軽油についてはS分として50ppm以下。)の製造が義務づけられ、さらに将来、硫黄を殆ど含有しない硫黄フリー燃料の製造のための高度脱硫処理技術が強く求められることが必至である。また、芳香族成分を大巾に低減した燃料性状が自動車エミッションに及ぼす影響についての調査研究が積極的に進められており、将来には芳香族成分を低減することについての議論がなされている。かかる状況に対処するために前記の如き従来提案されてきた水素化処理用触媒では、脱硫性能、脱窒素性能、芳香族水添性能および水素化分解性能、さらにはその活性維持能の観点では必ずしも十分でなく、より高性能な水素化処理用触媒の開発が不可欠の状況となっている。特に、水素化分解処理において、高分解率運転を行なうと水素化分解反応および熱分解反応が生じる一方、脱水素および重縮合反応も激しく起こり、プロダクト中にアスファルテンおよびセディメント固形物が生成・増大するため、これらにより反応塔内および下流の蒸留装置および配管類へのセディメント蓄積によるファウリングが発生し、装置運転上深刻な問題を招く。従って、重質油の水素化分解プロセスにおいては、クリーン燃料への要求から触媒の水素化能を強化することにより分解率、水素化脱硫、脱窒素、脱芳香族の各活性を向上させる必要があるが、一方で水素化能向上によりプロダクトの芳香族性が低下し溶存しているアスファルテン等の巨大縮合芳香族化合物の析出によるセディメントの増加をもたらすという弊害が生ずる。これらは、重質油で特に顕著となるが、ナフサ、ケロシン、軽油の処理に関しても、問題となることがある。
【0005】
このように、従来の水素化分解プロセスにおいては、水素化能の強化とセディメント低減効果との間にはトレードオフの関係があり、前記の如き従来提案された水素化処理用触媒では高度水素化処理と能力セディメント生成の抑制能力の両者を同時に具備させることは難しく、そのいずれかに特徴のある触媒が開発されている。すなわち、水素化脱硫、水素化脱窒素および脱芳香族活性に優れる水素化型触媒、およびプロダクト中のアスファルテン処理能力が高くセディメント抑制能の高いセディメント抑制型触媒に分類されている。水素化型触媒では、プロダクトへの水素化反応強化に注力されているため巨大アスファルテン分子の処理能に乏しく溶質となるアスファルテン含有量が高く、またアスファルテンを溶解しているマルテン留分の水素化度がかなり進んでいることに起因してアスファルテンのマルテン溶媒に対する溶解度が低い。そのため、結果としてセディメント含有量の高いプロダクトとなる。一方、セディメント抑制型触媒では、アスファルテン分子の処理に重点が置かれ、溶質となりうるアスファルテン含有量を低減すると共に、マルテン留分の水素化度を抑制することによりアスファルテンへの溶解度を確保するデザインが施されている。一般的には、アスファルテンは非常に重縮合度の高い巨大芳香族分子であるため、これを溶解するためには、溶媒であるマルテン留分の構造もこれに近いものにする必要がある。よって、水素化能を抑制して芳香属性の高い溶媒とすることにより、アスファルテンの溶解力を大きく高めることができるのである。その結果として水素化能は劣るものとなっている。
このような異なるタイプの触媒を混合使用することにより、高度水素化処理とセディメント低減を同時に達成させる方法が考えられる。しかしながら、従来の水素化処理用触媒を混合使用する方法では、セディメント低減型触媒の混合によりアスファルテン処理能を強化できたとしても、共存する水素化型触媒の存在によりマルテン留分の著しい水素化が進むことにより溶解力の大幅な低下を伴い、結果としてセディメント量は増大する。すなわち、この方法では水素化能向上とセディメント低減を同時に向上させることはできない。したがって、かかる両性能を備えた水素化処理用触媒の開発が切望されているとともに、このような問題を解決する水素化処理方法も切望されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−287446号公報
【特許文献2】
特開昭61−242639号公報
【特許文献3】
特開平08−89806号公報
【特許文献4】
特開平09−276712号公報
【特許文献5】
特公平03−31496号公報
【特許文献6】
特開平08−89816号公報
【特許文献7】
特開平06−127931号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、前記の如き水素化処理用触媒の開発状況に鑑み、各種炭化水素油に対し、脱硫活性、脱窒素活性、芳香族水添活性に優れ、特に、減圧軽油(VGO)および減圧残渣油(VR)等の重質油の処理において、脱硫活性、脱窒素活性、芳香族水添活性などの高度水素化処理能およびセディメント抑制能に優れた水素化処理用触媒、ならびにこれを用いた高度水素化活性とセディメント生成抑制能を維持する炭化水素油の水素化処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、前記課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた結果、シリカ−アルミナ系担体に少なくとも一種の水素化活性金属成分を担持させてなる水素化処理用触媒であって、細孔容積分布において、特定のバイモダル細孔構造を有する事を特徴とする水素化処理用触媒を従来の水素化処理用触媒に添加して用いる水素化処理方法により、炭化水素油から高品質のクリーン燃料を提供できるという顕著な作用効果を奏することを見い出し、これらの知見に基づいて本発明の完成に到達した。即ち、本願発明では、アスファルテン分子の処理能に優れ、かつ、水素化処理能力が高くても、マルテンのアスファルテンに対する溶解度の低下を抑制するという特徴があるため、水素化処理能を高めても、アスファルテンの溶解度が低下することなく、セディメントの発生を抑えることができるものである。さらに詳述すれば、マルテン留分は全く芳香族性を持たないサチュレート留分とアロマティクスあるいはレジン留分と呼ばれる芳香族溶媒成分から成る。本願発明では、溶質であるアスファルテン処理の能力も高いが、それに加えて、水素化能を強化した場合でもサチュレート分を増大させず、溶媒分として有効な成分であるアロマティクスやレジン留分を増大させる特徴がある。したがって、単独使用においても著しい効果を発揮するものであるが、従来型の水素化処理用触媒あるいはセディメント抑制型に添加することにより、相乗効果により、予想以上のセディメント抑制効果が得られるというものである。
【0009】
かくして、本発明によれば、
従来の水素化処理用触媒に以下に示す特定の細孔分布を持つ触媒(A)を、従来の触媒に対して添加した混合触媒の存在下で、炭化水素油と水素とを接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法において
触媒(A)が
アルミナ表面上にシリカ層を形成した構造を有し、シリカを担体全重量基準で2〜40質量%含有するシリカ−アルミナ系担体に、少なくとも一種の水素化活性金属成分を担持してなる水素化処理用触媒であって、
水銀圧入法により測定される細孔容積分布において、
(1)細孔直径40〜200Åの範囲に細孔容積分布の第一のピークを有し、
(2)細孔直径200〜2,000Åの範囲に細孔容積分布の第二のピークを有し、
(3)全細孔容積に対する細孔直径40〜200Åの領域の細孔容積が40〜90%であり、
(4)全細孔容積に対する細孔直径200〜1,000Åの領域の細孔容積が10〜60%であり、
(5)全細孔容積に対する細孔直径1,000Å以上の領域の細孔容積が20%以下であり、
(6)前記細孔直径40〜200Åの範囲に存在する前記第一のピークの位置に対応する細孔直径±20Åの範囲の細孔容積が、前記細孔直径40〜200Åの範囲の細孔容積の50%以上であり、
(7)平均細孔直径が60〜150Åであり、
(8)全細孔容積が0.3〜1.2ml/gであり、
(9)比表面積が150〜400m2/g
であることを特徴とする水素化処理方法
が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、水素化処理用触媒に適した触媒担体として
アルミナ表面上にシリカ層を形成した構造を有し、シリカを担体全重量基準で2〜40質量%含有するシリカ−アルミナ系担体であって、
水銀圧入法により測定される細孔容積分布において、
(1)細孔直径40〜200Åの範囲に細孔容積分布の第一のピークを有し、
(2)細孔直径200〜2,000Åの範囲に細孔容積分布の第二のピークを有し、
(3)全細孔容積に対する細孔直径40〜200Å領域の細孔容積が40〜90%であり、
(4)全細孔容積に対する細孔直径200〜1,000Å領域の細孔容積が10〜60%であり、
(5)全細孔容積に対する細孔直径1,000Å以上の領域の細孔容積が20%以下であり、
(6)前記細孔直径40〜200Åの範囲に存在する前記第一のピークの位置に対応する細孔直径±20Åの範囲の細孔容積が、前記細孔直径40〜200Åの範囲の細孔容積の50%以上であり、
(7)平均細孔直径が60〜150Å
であることを特徴とするシリカ−アルミナ系担体
が提供される。
【0011】
さらに、本発明によれば、
アルミナ表面上にシリカ層を形成した構造を有し、シリカを担体全重量基準で2〜40質量%含有するシリカ−アルミナ系担体に、少なくとも一種の水素化活性金属成分を担持してなる水素化処理用触媒であって、水銀圧入法により測定される細孔容積分布において、
(1)細孔直径40〜200Åの範囲に細孔容積分布の第一のピークを有し、
(2)細孔直径200〜2,000Åの範囲に細孔容積分布の第二のピークを有し、
(3)全細孔容積に対する細孔直径40〜200Åの領域の細孔容積が40〜90%であり、
(4)全細孔容積に対する細孔直径200〜1,000Åの領域の細孔容積が10〜60%であり、
(5)全細孔容積に対する細孔直径1,000Å以上の領域の細孔容積が20%以下であり、
(6)前記細孔直径40〜200Åの範囲に存在する前記第一のピークの位置に対応する細孔直径±20Åの範囲の細孔容積が、前記細孔直径40〜200Åの範囲の細孔容積の50%以上であり、
(7)平均細孔直径が60〜150Åであり、
(8)全細孔容積が0.3〜1.2ml/gであり、
(9)比表面積が150〜400m2/g
である水素化処理用触媒
が提供される。
【0012】
本発明によれば、前記水素化処理用触媒を添加して用いる炭化水素油の水素化処理方法を提供するものであるが、さらに好ましい実施の態様として次の1)〜15)に掲げるものを包含する。
【0013】
1)前記特定の細孔分布を持つ触媒(A)の添加量が従来の水素化処理用触媒に対して1〜50質量%であることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
2)前記シリカ−アルミナ系担体に配合させてもよい第三担体成分が、マグネシア、酸化カルシウム、ボリア、ジルコニア、チタニア、トリア、セリア、ハフニア、酸化リンからなる群より選択される少なくとも一種の酸化物である前記水素化処理用触媒を従来の水素化処理用触媒に対して添加した混合触媒の存在下において、炭化水素油を水素化処理条件下で水素と接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
3)前記水素化活性金属成分が、元素周期表第6A族金属および同表第8族金属からなる群より選択される少なくとも一種以上の金属成分である前記水素化処理用触媒を、従来の水素化処理用触媒に対して添加した混合触媒の存在下において、炭化水素油を水素化処理条件下で水素と接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
4)前記元素周期表第6A族金属成分がモリブデンおよび/またはタングステンであり、前記元素周期表第8族金属成分が、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金からなる群より選択される少なくとも一種以上の金属成分である前記水素化処理用触媒を、従来の水素化処理用触媒に対して添加した混合触媒の存在下において、炭化水素油を水素化処理条件下で水素と接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
5)前記第二のピークが細孔直径200〜1,500Åの範囲にある前記水素化処理用触媒を、従来の水素化処理用触媒に対して添加した混合触媒の存在下において、炭化水素油を水素化処理条件下で水素とを接触させること特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
6)前記細孔直径40〜200Åの領域の細孔容積が全細孔容積に対して45〜80%である前記水素化処理用触媒を、従来の水素化処理用触媒に対して添加した混合触媒の存在下において、炭化水素油を水素化処理条件下で水素と接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
7)前記細孔直径200〜1,000Åの領域の細孔容積が全細孔容積に対して20〜50%である前記水素化処理用触媒を、従来の水素化処理用触媒に対して添加した混合触媒の存在下において、炭化水素油を水素化処理条件下で水素と接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
8)前記細孔直径1,000Å以上の領域の細孔容積が全細孔容積に対して15%以下である前記水素化処理用触媒を従来の水素化処理用触媒に対して添加した混合触媒の存在下において、炭化水素油を水素化処理条件下で水素と接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
9)前記細孔直径40〜200Åの範囲に存在する前記第一のピークの位置に対応する細孔直径±10Åの範囲の細孔容積が、前記細孔直径40〜200Åの範囲の細孔容積の30%以上である前記水素化処理用触媒を、従来の水素化処理用触媒に対して添加した混合触媒の存在下において、炭化水素油を水素化処理条件下で水素と接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
10)前記比表面積が160〜370m2/gである前記水素化処理用触媒を、従来の水素化処理用触媒に対して添加した混合触媒の存在下において、炭化水素油を水素化処理条件下で水素と接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
11)アルミナ表面上にシリカ層を形成した構造を有し、シリカを担体全重量基準で2〜40質量%含有するシリカ−アルミナ系担体に少なくとも一種以上の水素化活性金属成分を担持してなる水素化処理用触媒であって、該触媒の細孔特性において、
▲1▼前記第一のピークが細孔直径40〜200Åの範囲にあり、
▲2▼前記第二のピークが細孔直径200〜1,500Åの範囲にあり、
▲3▼前記細孔直径40〜200Åの範囲の細孔容積が全細孔容積に対して45〜80%であり、
▲4▼前記細孔直径200〜1,000Åの範囲の細孔容積が全細孔容積に対して20〜50%であり、
▲5▼前記細孔直径1,000Å以上の範囲の細孔容積が全細孔容積に対して15%以下であり、
▲6▼前記細孔直径40〜200Åの範囲に存在する前記第一のピークの位置に対応する細孔直径±10Åの範囲の細孔容積が、前記細孔直径40〜200Åの範囲の細孔容積の30%以上であり、
▲7▼前記平均細孔直径が60〜150Åであり、
▲8▼全細孔容積が0.3〜1.2ml/gであり、
▲9▼前記比表面積が160〜370m2/g
である前記水素化処理用触媒を、従来の水素化処理用触媒触媒に対して添加した混合触媒の存在下で、炭化水素油を水素化処理条件下で水素と接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
12)前記炭化水素油が、ナフサ、ケロシン、軽油、分解軽油および減圧軽油(VGO)からなる群より選択される燃料油留分である前記水素化処理方法。
13)前記炭化水素油が、常圧蒸留残渣油(AR)、減圧蒸留残渣油(VR)および減圧軽油(VGO)からなる群より選択される重質油留分である前記水素化処理方法。
14)前記燃料油留分の水素化処理条件が、
水素圧力(kPa): 680〜20,600
水素トリートガスレート(liter/liter): 50〜900
液空間速度(V/H/V): 0.1〜4
温度(℃): 200〜470
の条件から選択された特定反応条件である前記水素化処理方法。
15)前記重質油の水素化処理条件が、
水素圧力(kPa): 3,900〜20,600
水素トリートガスレート(liter/liter): 80〜900
液空間速度(V/H/V): 0.1〜3
温度(℃): 350〜470
の各条件から選択された特定反応条件である前記水素化処理方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0015】
本発明で添加型として用いる水素化処理用触媒の特異性の一つは、アルミナ表面上に高度に分散したシリカ層を形成させてなり、シリカ含有量が担体全重量基準で2〜40質量%であって、高比表面積を有し、かつブレンステッド酸を含有するシリカ−アルミナ系担体上に少なくとも一種以上の水素化活性金属成分を担持させてなる点にある。
【0016】
また、第二の特異性は、水素化処理用触媒の細孔容積分布において特定のバイモダル細孔構造を有する点にあり、前記シリカーアルミナ系担体組成、高分散化担持された水素化活性金属成分ならびに特定細孔構造を有することにより、後記する如く、各種炭化水素油、特に、重質油の水素化分解プロセスにおいて高水素化性能およびアスファルテン分解・セディメント抑制性能に優れた水素化処理用触媒を実現するものである。
【0017】
本発明で添加型として用いる水素化処理用触媒の構成成分としてのシリカ−アルミナ系担体は核としてのアルミナの表面にシリカ層が形成した構造を有するものであり、シリカ−アルミナ担体中のシリカ成分は触媒の固体酸性度の制御および向上に好適であり、水素化活性金属成分の分散性を著しく向上させると共に触媒に比較的強い酸点を付与し分解活性を増大させることができる。
【0018】
従って、シリカ含有量は水素化処理の反応の種類および反応条件により適宜選択することができるが、水素化脱硫反応、水素化脱窒素反応に対しては過度の分解反応に伴なう水素消費量の増加およびコークの生成等を抑制するために、また、水素化分解においては適度な分解反応を制御する観点から担体全重量基準で2〜40質量%の範囲で採用することができる。
【0019】
特に、水素化脱硫反応等の水素化精製に対しては4〜20質量%、水素化分解に対しては5〜25質量%をより好ましい範囲として選択することができる。シリカ含有量が40質量%を超えると原料油の分解を過度に進行させ、コークアップが激しくなるという難点が生ずる。シリカ−アルミナ系担体中のアルミナ成分としてはγ−アルミナ、χ−アルミナまたはη−アルミナのいずれかまたはそれらの混合体が好適である。アルミナ成分の形態としては本発明の水素化処理用触媒の構成成分として前記の特定の細孔構造および細孔容積分布ならびに特性値を与えるものであれば、いずれのものでも特に制限されることなく好ましく使用することができる。
【0020】
また、シリカ−アルミナ系担体には、他の耐火性無機酸化物、例えば、マグネシア、酸化カルシウム、ボリア、ジルコニア、チタニア、トリア、セリア、ハフニア、酸化リンおよび結晶性ゼオライト等からなる群より選択される一種または二種以上を第三成分として含有させることができる。
【0021】
従って、具体的には、シリカ−アルミナ−マグネシア、シリカ−アルミナ−酸化カルシウム、シリカ−アルミナ−ボリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−チタニア、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−セリア、シリカ−アルミナ−ハフニア、シリカ−アルミナ−酸化リン、シリカ−アルミナ−結晶性ゼオライト、シリカ−アルミナ−酸化リン−ボリア等のシリカ−アルミナ系担体を例示することができる。かかる第三成分としての耐火性無機酸化物の含有量は、担体全重量基準で0.1〜10質量%の範囲が適当である。これらの耐火性無機酸化物、例えば、マグネシアは、シリカ−アルミナ等が有する比較的強い酸点を減少させ同時に弱酸点を増加させて触媒の選択性を向上させることができる。
【0022】
次に、本発明で添加型として用いる水素化処理用触媒の細孔構造について説明する。当該触媒は、比較的小細孔径領域および大細孔径領域の両領域の細孔容積分布においてそれぞれ一つ以上のピークが現われるバイモダル構造を有するものであり、具体的には水銀圧入法で測定される細孔構造または細孔容積分布において少なくとも下記の構成要素(1)〜(9)を有するものである。以下に各要素の特徴点について説明する。
【0023】
要素(1)細孔直径40〜200Åの範囲に細孔容積分布の第一のピークを有する。この場合において細孔直径200Å以上の領域に該第一のピークを有する触媒は、比表面積が低下し高活性が得られないという難点が生じる。一方、細孔直径40Å以下の領域にピークを有する触媒の製造は困難であり、本発明が要求する効果を奏する触媒を得ることは現実性に乏しいものである。なお、細孔直径40〜200Åの範囲内に存在するピークは、二つ以上に分岐したものであってもよい。
要素(2)細孔直径200〜2,000Åの範囲に細孔容積分布の第二のピークを有する。第二のピークの位置は、細孔直径200〜1,500Åの範囲にあることが特に好ましい。これにより重質油の水素化処理反応において特定サイズの分子種(アスファルテンおよびレジンに代表される巨大芳香族分子)に対する選択性が高く、これらに対する水素化分解、水素化脱硫、脱窒素などの活性を高め、またその活性維持能を向上させることにより、水素化性能とアスファルテン分解・セディメント抑制能をバランス良く発揮させる基本となるものと推定される。なお、第2のピークの位置が細孔直径2,000Å以上にあると触媒強度が著しく低下して使用に耐えられないおそれが生ずる。なお、細孔直径200〜2,000Åにおけるピークは当該範囲内にあれば二つ以上に分岐していてもよい。
要素(3)前記第一のピークが存在する細孔直径40〜200Å領域の細孔容積は、全細孔容積の40〜90%、好ましくは45〜80%である。細孔直径40〜200Åの範囲の細孔容積が40%に達しないと大細孔部位が増えすぎ、必要な触媒強度が得られない。一方、90%を超えると所望の大細孔領域が少なすぎ、期待する活性が得られないおそれがある。
要素(4)細孔直径200〜1,000Åの範囲の細孔容積が、全細孔容積の10〜60%、好ましくは20〜50%を占める。細孔直径200〜1,000Åの領域の細孔容積が、10%に達しないと大孔径細孔が少なくなりすぎ、一方、60%を超えると細孔分布のバランスが悪くなり、本発明の十分な効果が得られない。また、触媒強度が著しく低下して使用に耐えられないおそれが生ずる。
要素(5)細孔直径1,000Å以上の細孔の容積が、全細孔容積の20%以下、好ましくは15%以下に制御されたものである。当該細孔容積が20%を超えると十分な触媒強度が得られないおそれがある。
要素(6)前記細孔直径40〜200Åの範囲に存在する前記第一のピークの位置に対応する細孔直径±20Åの範囲の細孔容積が、前記細孔直径40〜200Åの範囲の細孔容積の50%以上であることが本発明に係る水素化処理用触媒の細孔特性として最も特異的な要素の一つである。特に好ましい細孔構造は、前記第一のピークの位置に対応する細孔直径±10Åの範囲の細孔容積が、前記40〜200Åの範囲の細孔容積の30%以上のものである。
かかる細孔特性は、細孔直径40〜200Åの範囲において第一のピークに係る細孔容積分布がシャープであり、ピーク位置に対応する直径を有する細孔を中心に均一の細孔が多く存在することを示すものである。この結果、第一のピークの半値巾は、70Å以下、好ましくは50Å以下のものとなる。
第一のピークの位置に対応する細孔直径±20Åの範囲の細孔容積が50%に満たないと不適切な直径の細孔が増加しすぎ、著しい強度低下を招き、触媒粉化によるファウリングの発生により実生産上安定な装置運転に支障が生じる。また、全細孔容積が1.2ml/g超える高容量触媒となり、触媒のCompacted Bulk Density(CBD)が著しく低下して反応塔体積活性が低下するという問題が生ずる。
なお、ピークが分岐した場合は、最大のピークを対象とし、そのピーク位置に対応する細孔直径を採用して細孔直径±20Åの細孔容積を算出する。
要素(7)平均細孔直径が60〜150Åの範囲にある。
要素(8)全細孔容積が0.3〜1.2ml/g、好ましくは0.35〜0.95ml/gのものである。
要素(9)比表面積が150〜400m2/gであり、高比表面積を実現したものである。
【0024】
本発明に係る水素化処理用触媒の水素化活性金属成分としては、周期表第6A族金属および同表第8族金属からなる群より選択される少なくとも一種以上の金属を用いることができる。すなわち、第6A族のクロム、モリブデン、およびタングステン、第8族のコバルト、ニッケル、パラジウム、白金、オスミウム、イリジウム、ルテニウムおよびロジウム等からなる群より一種または二種以上の金属を選択することができる。炭化水素油の水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化分解、水素化脱芳香族等のためには周期表第6A族金属の少なくとも一種以上と同表第8族金属の少なくとも一種以上との組合せが好適であり、例えば、モリブデン−コバルト、モリブデン−ニッケル、タングステン−ニッケル、モリブデン−コバルト−ニッケル、タングステン−コバルト−ニッケルまたはモリブデン−タングステン−コバルト−ニッケル等の組合せが好ましい。
さらに、これらの活性金属成分に周期表第7A族金属、例えば、マンガンおよび同表第4B族金属、例えば、錫、ゲルマニウムまたは鉛等を添加して使用することもできる。
これらの水素化活性金属成分は、酸化物および/または硫化物として担持させたものが好適であり、硫化物は後記の如き触媒の予備硫化処理により触媒上に形成させることができる。
【0025】
前記周期表第8族および第6A族の水素化活性金属成分の含有量は、酸化物として触媒全重量基準で第8族金属については0.5〜30質量%、好ましくは1〜10質量%であり、第6A族金属については5〜30質量%、好ましくは8〜25質量%である。第8族金属が0.5質量%に達しないと十分な脱硫・脱窒素活性が得られず、水素化脱芳香族、水素化能が十分発揮されない。一方、30質量%を超えると担体と結合しない遊離の金属成分が増加することにより活性は得られず、また第6A族金属と組合わせる場合に不活性の複合酸化物を生成し、その結果、第6A族金属の分散性を低下させるという難点が生ずる。また、第6A族金属が5質量%未満では脱硫・脱窒素活性が得られず、一方、30質量%を超えると金属成分の分散性が低下すると共に第8族金属の助触媒効果が発揮されないという弊害が生ずる。
【0026】
本発明で添加型として用いる水素化処理用触媒は、以上説明してきた如く、前記シリカ−アルミナ系担体と該担体に担持された水素化活性金属成分とからなり、比表面積150〜400m2/gおよび全細孔容積0.3〜1.2ml/gを有し、特定の細孔直径40〜200Åの範囲に細孔容積分布の第一のピークを有し、かつ細孔直径200〜2,000Åの範囲に第二のピークを有すると共に、かかる二つの細孔直径の領域においてそれぞれ特異な細孔特性を示し、特に、第一のピークは、本発明者らにより始めて具現化したシャープな形態を有するものである。
【0027】
従来の水素化処理触媒においても細孔径の分布に関しそのピークを二つ持つものがあることは前述のとおりであるが、本件発明では、第一のピークの位置と大きさ、そのピークの形状が非常にシャープなものである点に特徴がある。
【0028】
ナフサ、ケロシン、軽油および減圧軽油(VGO)留分に存在する分子の水素化処理においては、本発明の細孔直径40〜200Åの範囲にピークをもつ細孔が、水素化脱硫、脱窒素活性および脱芳香族反応などを促進させるために必要と考えられるが、反応分子の細孔内拡散と排出が容易である限りにおいて、反応に不適切な細孔を減らしシャープな細孔分布にする方が、比表面積を増大できブレンステッド酸ならびにルイス酸量の増加かつ水素化活性金属成分を高分散担持が可能となることから、これらの活性向上につながる。
重質油の水素化分解プロセスにおいては、水素化分解ならびに熱分解によって前記の軽質油(ナフサ、ケロシン、軽油および減圧軽油(VGO))が生成されるが、これら留分の水素化脱硫、脱窒素など水素化処理を高度に行えるようにするために、本件発明の触媒は、第一ピークの細孔直径の範囲ならびにその細孔分布のシャープさを設定している。
【0029】
細孔直径200〜2,000Åの範囲の第二ピークの細孔は、重質油中のレジンおよびアスファルテン分子に代表されるような巨大芳香族分子の細孔内拡散を極めて容易にし、効率良く予備的水素化および水素化分解を行う機能を持つ。これにより水素化または水素化分解された分子の前記第一ピークの細孔への細孔内拡散を容易にし、引き続き高度水素化反応を効率よく行えるようにする機能を有すると考える。また、この細孔領域の表面にブレンステッド酸を保有することにより、アスファルテンの水素化分解の強化を実現し、セディメントを低減することが可能に成る。
また、第二のピークの細孔の存在により、細孔プラギングによる反応分子の触媒内拡散障害を緩和することにより活性劣化を抑制し、活性維持能を向上させる効果を持つ。
【0030】
かかる水素化活性金属成分および細孔構造から炭化水素油の水素化処理においてこれまでの水素化処理では得られない作用効果を奏するものであり、重質油(VGO、AR、VR)の水素化分解プロセスにおいて、分解率およびアスファルテン処理能の向上を実現し、ガス、軽質油(ナフサ、ケロシン、軽油および減圧軽油(VGO))の収率増大、これらの硫黄、窒素含有量を大幅に低減し、またプロダクト中に含まれるセディメント含有量を大幅に低減させることができるなど著しく顕著な効果を奏するものである。
【0031】
かくして、本発明に係る水素化処理用触媒は、細孔容積分布において前記の如きシャープな第一のピークを示すバイモダル構造を含む特異な細孔特性を有することから、従来の水素化処理用触媒と同程度の高い触媒強度を維持した上で、水素化、水素化脱硫・脱窒素反応、水素化分解およびセディメント抑制等において高度な活性および活性維持能を奏することが可能となった。つまり、本発明で添加型として用いる水素化処理用触媒は、不要な直径の細孔の割合を低減させているため、すでに提案されたバイモダル構造を有する触媒と比較して強度が著しく向上しており、従来の水素化処理用触媒と同等程度の強度を維持することができる。触媒強度として例えば、平均側面強度として直径1.3mmの円柱状ペレットでは4.4〜17.8N/mm、直径1mmの円柱状ペレットでは2.2〜13.3N/mmのものを得ることができる。また、すでに提案されたバイモダル構造を有する触媒と比較してCBDも増大するので触媒体積当たりの活性が著しく向上する、という特性を有するものである。
【0032】
なお、触媒形状は、円柱状、粒状、または錠剤状その他断面が四つ葉状等の異形状を含め如何なるものでもよく、反応形式により任意に選択することができる。また、成形体のサイズは限定されるものではないが、通常直径0.5〜3mmの範囲のものを採用することができる。
【0033】
前記の如き特性値を有する水素化処理用触媒は、次に示す製造方法を採用することにより調製することができる。
すなわち、本発明に係る水素化処理用触媒の構成成分としてのシリカ−アルミナ系担体は、シリカ水和物ゲルおよびアルミナ水和物ゲルを各々調製しておき両者を混合する方法、水溶性アルミニウム化合物と水溶性ケイ素化合物との均一混合溶液に塩基性物質または酸性物質を添加して両者を共沈させる方法等を条件・操作を制御することにより採用することができるが、特に、本発明の水素化処理用触媒として必要な細孔構造および物性値を有し、アルミナ上にシリカが高度に分散したシリカ−アルミナ系担体を得るためには特定条件下において特定のアルミナ水和物ゲルを生成させた後、アルミナ水和物ゲル上にシリカ水和物ゲルを沈着させる方法が好適であり、具体的に例示すれば次の如くである。
【0034】
酸性アルミニウム化合物または塩基性アルミニウム化合物の各水溶液からアルミナ水和物ゲルを酸性から中性またはアルカリ性へpHスウィングを行ないながらゲル化速度と再溶解速度を制御しながら所望の細孔構造が得られるようにアルミナ水和物ゲルを調製する第一工程と、前記工程にて生成したアルミナ水和物ゲル上に水溶性ケイ素化合物の水溶液を添加してシリカゲルを沈着させる第二工程とから構成される。第二工程においてアルミナ水和物ゲル上へのシリカ水和物ゲルを沈着させる際のpHをコントロールすることにより、シリカ水和物ゲルのゲル化速度を制御し、アルミナとシリカの結合を良好にしたシリカ層を形成させることが好ましい。
【0035】
前記酸性アルミニウム化合物としてはアルミニウムの硫酸塩、塩化物、硝酸塩等が用いられる。また、塩基性アルミニウム化合物としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等が用いられる。
【0036】
さらに具体的には、第一工程においてpH10以上の水酸化アルカリ化合物水溶液に酸性アルミニウム水溶液を1分以上で溶解導入することが好ましく、アルミナヒドロゲルの溶解・沈積速度を制御しながら最適なゲル粒径分布をつくることが必要であり、混合後、加温条件下で、適切な熟成処理を施しながら水酸化アルカリ化合物を添加し、pHを調整し、アルミナ水和物ゲルを沈殿させる。水酸化アルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等を挙げることができる。
【0037】
また、第二工程においては、第一工程にて得られたアルミニウム水和物ゲルのスラリーに水溶性ケイ素化合物の水溶液を添加混合し、pH7〜10の条件下で温度50〜80℃に保持しアルミナ水和物ゲル上にシリカ水和物ゲルを沈着させる。水溶性ケイ素化合物としてはアルカリ金属ケイ酸塩、テトラアルコキシシラン、オルソケイ酸エステル等を用いることができる。アルカリ金属ケイ酸塩としてはNa2O:SiO2のモル比が1:2〜1:4の範囲のケイ酸ナトリウムの使用が好ましい。
【0038】
また、アルミナ水和物ゲルへのシリカ水和物ゲルの沈着中または沈着後にアルミナゲルに対するシリカゲルの分散状態を著しく向上させるため、さらには所望のバイモダル細孔構造を形成させるためにpH、温度および時間の制御下で熟成処理を行なう工程が設けられる。この熟成処理によりシリカ−アルミナ中のSi原子の分散状態が著しく向上し、ブレンステッド酸量の増大および高比表面積化を実現することができる。
【0039】
前記熟成工程にて得られたシリカ−アルミナヒドロゲルスラリーは、適量の水と酸を混合した状態でニーダーにより所定の直径および形態を有する触媒へと押出成形される。押出成形物ゲルの乾燥処理は、酸素の存在下または非存在下において常温〜約200℃に加熱することにより行ない、また、その後の焼成処理は、酸素の存在下において約400〜約800℃、好ましくは、約600〜約700℃の範囲に加熱することにより行なう。乾燥および焼成処理によりSiが高分散した高ブレンステッド酸量、高比面積を有し、前記の特定の細孔構造を有するシリカ−アルミナ系担体を得ることができる。
【0040】
次に、該シリカ−アルミナ系担体に水素化活性金属成分を担持させる。該金属成分の担持方法としては、担体を前記金属成分の可溶性塩の溶液に浸漬し、該金属成分を担体中に導入する含浸法または担体の製造の際、金属成分を同時に沈殿させる共沈法等を採用することができ、その他如何なる方法を使用しても差し支えがないが、操作上容易であり触媒物性の安定化維持に好都合な含浸法によることが好ましい。含浸操作としては担体を常温または常温以上で含浸溶液に浸漬して所望成分が十分担体中に含浸する条件下で保持する。含浸溶液の量および温度は、所望量の活性金属成分が担持されるように適宜調整することができる。また、活性金属成分の所望担持量により含浸溶液に浸漬する担体の量を決定することができる。
【0041】
水素化活性金属成分の担体上への含浸担持は、一液含浸法または二液含浸法等のいずれの方法により行なってもよい。すなわち、二種以上の金属成分を担持するには、二種以上の金属成分をあらかじめ混合し、その混合溶液から同時に含浸(一液含浸法)するかまたは二種以上の金属成分の溶液を別々に調製し、逐次含浸していく(二液含浸法)こともできるわけであり、本発明の水素化処理用触媒の製造においては、これらの含浸方法を何ら限定するものではなく、いずれの方法も任意に採用することができるが、前記のシリカ−アルミナ担体上に先ず元素周期表第8族金属からなる群より選択される一種または二種以上の金属を担持させ(第一ステップ)、次いで、同表第6A族金属からなる群より選択される一種または二種以上の金属を担持させる(第二ステップ)ことが好ましい。
【0042】
具体的には、第一ステップにおいて元素周期表第8族のコバルト、ニッケル、パラジウム、白金、オスミウム、イリジウム、ルテニウムおよびロジウム等からなる群より一種または二種以上が選択して使用される。好ましくは、コバルトおよびニッケルを単独または両者を組合せて使用することができる。また、第二ステップにおいては元素周期表第6A族のクロム、モリブデンおよびタングステンからなる群より一種または二種以上が選択して使用される。好ましくはモリブデンおよびタングステンが単独でまたは両者を組合せて使用することができる。また所望に応じ、前記のような元素周期表第4B族、同表第7A族の第三の金属を添加することもできる。
【0043】
先に述べた金属成分を担体と同時に沈殿させる共沈法を採用する場合には水素化活性金属成分を含浸担持した担体は、押出成形、打状成形、転動造粒等の成形方法により成形した後、乾燥処理、さらに焼成処理を行なう。乾燥処理は、酸素の存在下または非存在下において、常温〜約200℃に加熱することにより行ない、焼成処理は、酸素の存在下において約400〜約800℃、好ましくは約450〜約700℃に3〜5時間加熱することにより行なうことができる。
【0044】
次に、本発明に係る炭化水素油の水素化処理方法について説明する。
本発明に係る炭化水素油の水素化処理方法は、前記水素化処理油触媒を従来の触媒に添加した混合触媒の存在下で、炭化水素油を水素化処理条件下で水素と接触させる工程を包含するものである。
【0045】
水素化処理に供される原料油としては、特に限定されるものではなく、常圧蒸留留出油、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留留出油、減圧蒸留残渣油、分解軽油留分またはこれらの混合油等いずれも用いることができるが、特に、常圧蒸留残渣油(AR)、減圧蒸留残渣油(VR)および減圧軽油(VGO)の水素化分解処理に供することができる。
【0046】
重質油の水素化分解プロセスにおいては、前記のごとく、従来の水素化処理触媒では高度水素化処理とセディメント生成の低減の両面を同時に達成できていなかった。
【0047】
本件発明の触媒は、特定の細孔分布をもつバイモダル構造をもち、重質油中のレジンおよびアスファルテン分子に代表されるような巨大芳香族分子の触媒内への拡散を極めて容易にすると共に、その細孔領域におけるVR分子およびアスファルテン分子の予備的水素化および水素化分解を促進できる。さらに、ここで水素化または水素化分解された分子はさらに小細孔・高比表面積領域へと拡散し、高度に分散された水素化活性金属およびブレンステッド酸、さらにはルイス酸点において水素化、水素化分解、水素化脱硫、水素化脱窒素反応が積極的に行なうことができる。
【0048】
本件発明の水素化処理用触媒は、前記の如き細孔構造特性を持つため水素化処理能とアスファルテン分解・セディメント抑制能を併せ持つ点で特徴があるが、従来の水素化処理触媒に少量添加して使用することにより、水素化能の強化および/またはセディメント抑制能を大幅に向上することができるものである。添加の態様は目的に応じ以下のような態様が可能である。
【0049】
セディメント抑制能の向上を目的とする場合には、従来の水素化処理触媒に、周期律表第8族の活性金属成分を一種以上担持した本件発明の触媒を添加することにより目的が達成される。この場合、添加型触媒の特性のある細孔分布と前記金属成分の活性点により、アスファルテンの分解が選択的に進むため、水素化能を維持した状態でのセディメントの生成が抑制される。
【0050】
水素化能の向上を目的とする場合には、周期表第6A族及び第8族の金属を活性金属成分として組み合わせて担持した触媒を従来の水素化処理触媒に添加することが好ましい。第6A族の金属は脱硫活性点を持つ金属であり、特にモリブデンおよび/またはタングステンが好ましいものとして挙げられる。また第8属の金属は、第6属の脱硫活性に対し助触媒作用を有するものであり、特にニッケルおよび/またはコバルトが好ましいものとして挙げられる。水素化能を高めるためにこれら金属成分の担持量を多くしたものを用いることが好ましい。この触媒の添加により、水素化能を強化しつつ、アスファルテン処理能も同時に強化できるため、結果として、未添加時に比べて水素化能とセディメント処理能が同時に向上される。
【0051】
反応塔が複数存在する場合は、すべての反応塔に本件発明の触媒を添加しても良く、また、一部の反応塔に添加しても良い。触媒の添加量は、好ましくは従来の水素化処理用触媒量の1〜50質量%が、特に好ましくは、3〜30質量%である。 この場合、添加型触媒を、一つの反応塔のみに添加・混合して使用する方法でもよいし、全ての反応塔に添加・混合して使用してもよい。一つの反応塔のみに添加・混合して使用する場合は、前段側の反応塔で使用してもよいし、後段側で使用してもよい。
【0052】
本件発明で用いる従来の水素化処理用触媒としては、市販されている水素化処理用のものであればどのようなものでも用いられる。特に、市販の重質油水素化分解用触媒について言えば、前記の如く水素化型あるいはセディメント抑制型の2種の触媒タイプにわけられるが、どちらのタイプに対しても本件発明の水素化処理用触媒を使用することが可能である。
【0053】
重質油の水素化分解処理については、次の条件が好ましい。
Figure 0004230257
【0054】
重質油の水素化分解を行なうにあたり、本件発明の水素化処理用触媒ならびに水素化処理方法は、固定床、流動床、移動床または沸騰床のいずれの形式でも使用することができ、任意に選択することができる。また二基以上の複数基の反応塔を結合して水素化処理を行ない、高度の脱硫率、脱窒素率、芳香族水添率を達成し、またセディメント生成を制御することができる。
【0055】
本発明に係る水素化処理方法においては、原料炭化水素油の水素化処理に前置の予備硫化処理を行なうことが好ましい。予備硫化は、焼成した触媒を反応塔内に充填した後、含硫留出油を反応塔に供給し、温度;150〜400℃、圧力(全圧);1,960〜19,600kPa 、液空間速度;0.3〜2.0V/H/Vおよび水素含有ガスレイト;50〜1500リットル/リットルの反応条件下で接触させ、水素化活性金属成分の硫化処理を行ない、終了後含硫留出油を原料炭化水素油に切替え、水素化処理の運転を開始する。硫化処理の方法としては、前記の如き方法の他に、硫化水素その他の硫黄化合物を直接触媒と接触させるかまたは適当な含硫炭化水素油に添加してこれを触媒と接触させる方法を採用することもできる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。もっとも、本発明は、実施例等により何ら限定されるものではない。
なお、実施例等にて得られた触媒の細孔分布の測定に用いた水銀圧入法は、P.H.エメット他著「キヤタリシス」第1巻、第123頁(ラインホールド・バブリシング・カンパニー発行)(1959年)P.H.Emmett,et.al.“Catalysis",Vol. 1, p123 (1959) (Reinhold PublishingCo.)、および触媒工学講座、第4巻、第69頁〜第78頁(地人書館発行)(昭和39年)に記載の方法を採用した。
細孔容積は、触媒に対する水銀の接触角を130゜、表面張力を485ダイン/cmとし、すべての細孔は円筒形であると仮定して算出した。
また、比表面積は窒素吸着法により測定した。
【0057】
実施例1
純水3リットルを50℃へ加温し、これに2N水酸化ナトリウム水溶液を50ml加えることによりpH=13へ調整した。硫酸アルミニウム(Al2(SO4) 3・14H2O)525gを純水710gに溶解し、そしてこの水溶液を予め準備しておいた前記の加温された水酸化ナトリウム水溶液(pH=13)全量に3分間かけて混合した。得られた混合水溶液に2N水酸化ナトリウム水溶液1100mlを2分間かけて加えることによりpH=9.5へと変化させ、アルミナヒドロゲルを沈殿させた。このアルミニウムヒドロゲルを含む水溶液をpH=9.5に維持しながら50℃で30分間熟成処理した。
次に、純水200gにケイ酸ナトリウム(JIS3号水ガラス)35gを溶解させてケイ酸ナトリウム水溶液を調製し、これを前記アルミナヒドロゲルを含む水溶液ヘ必要に応じ硝酸および/または水酸化ナトリウム水溶液を使用し、pH=9.0を維持しながら添加した。この混合溶液を、シリカ高分散化を実現するため50℃で30分間熟成処理した。
ここで得られたスラリーを濾過し、その後、濾過後の濾液の残存Na量が5ppm以下になるように炭酸アンモニウム水溶液で洗浄した。
洗浄後のシリカ−アルミナヒドロゲルを、水分および酸の添加により粘度および細孔構造を調整し、ニーダーにより1.0mm直径の押出成形体(Extrudate)に成形した。
得られた押出成形体を120℃で一昼夜乾燥し、その後700℃で3時間空気中で焼成処理し、シリカ10質量%のシリカ−アルミナ担体147gを得た。
次に、酢酸ニッケル60.0g、クエン酸22.0gを純水に溶解し、これにアンモニア水を加えることによりpH=8.8に調整し、金属塩含有水溶液191gを調製した。
この金属塩含有水溶液191gを、前記シリカ−アルミナ担体147gへ含浸担持させ、120℃で一昼夜乾燥した後、400℃で2時間空気中にて焼成処理することにより、Ni担持シリカ−アルミナ触媒[A]165gを得た。
触媒[A]の細孔容積分布および触媒特性を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004230257
【0059】
最終的に得られた触媒[A]16g及びセディメント抑制型の市販触媒[X]160gを使用し、等容量の反応塔が直列に二基繋がった連続攪拌流通式装置を用いて、下記の反応条件で減圧残渣油(VR)を原料油として水素化分解を行い、各種フプロダクト性状を評価した。
反応塔及び使用触媒
第1反応塔には市販のセディメント低減型の水素化分解用触媒[X] 80g、第2反応塔には触媒 [X] 80g及び触媒[X]に対して20質量%の触媒[A] 16gを添加・混合した。
サルファイディング条件
触媒を触媒床に充填後、15,700kPaの圧力で減圧軽油(VGO)硫化処理用原料油( S=2.0質量%、密度=0.9149g/cc )を、185cc/hの割合で、また、100%H2ガスを100SL/hの割合で200℃において12時間流通させ、次いで280℃に昇温し12時間流通させ、さらに、340℃に昇温し12時間流通させ硫化処理を行なった。
【0060】
原料油
減圧残渣油 VR-D(密度=1.027g/cc、S=3.86質量%、N=0.32質量%)
評価運転条件
圧力15,700kPa、温度415℃で原料油を 370cc/hの割合、水素ガスを270SL/hの割合でそれぞれ4日間流通させエージング処理をした後、温度 410℃で原料油を185cc/hの割合、水素ガス135SL/hの割合でそれぞれ2日間流通させ評価し、その後温度を415℃へ昇温し2日間評価した。評価結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
Figure 0004230257
【0062】
実施例2
実施例1において、2N水酸化ナトリウム水溶液1100mlを3分間かけて加えることによりpH=9.5へと変化させこと以外は実施例1の操作および条件と同一の操作および条件によりシリカ−アルミナ担体を調製し、活性金属成分の担持についても実施例1の操作および条件と同一の操作および条件により、シリカ−アルミナ触媒[B]を調製した。触媒[B]の細孔分布および触媒特性を表1に示す。第1反応塔に市販触媒[X]80g 及び触媒[X]に対して20質量%の触媒[B]16gを添加・混合し、第2反応塔には市販触媒[X]80gのみを使用した以外は、実施例1と同様にして評価を行なった。評価結果を表2に示す。触媒[B]は触媒[A]とは第2ピークの位置がより小細孔径側領域に存在し、また全細孔容積に対する200−1,000Åの領域の細孔容積の比率がより小さくなっているなど細孔構造が異なるが、実施例1と同様水素化活性を犠牲にすることなくセディメント発生を抑制できていることが分かる。
【0063】
実施例3
実施例2において、第1反応塔には市販触媒[X]80gのみを使用し、第2反応塔には市販触媒[X]80g及び触媒[X]に対して20質量%の触媒[B]16gを添加・混合したこと以外は実施例2と同様にして評価を行なった。評価結果を表2に示す。
【0064】
比較例1
第1反応塔には市販触媒[X]80gのみを使用し、第2反応塔にも市販触媒[X]80gのみを使用した以外は実施例1と同様にして評価を行なった。評価結果を表2に示す。
【0065】
比較例2
比較例1において、第2反応塔には市販触媒[X]を比較例1で示した通常充填量の120質量%にあたる96gを使用した以外は実施例1と同様にして評価を行なった。評価結果を表2に示す。
【0066】
参考例1
実施例1と同じ手法により、シリカ量10質量%の1.0mm直径の押出成形体であるシリカ−アルミナ担体を得た。
次に、酢酸ニッケル7.6g、アンモニウムヘプタモリブデート13.3g、クエン酸10.2gを純水に溶解し、これにアンモニア水を加えることによりpH=8.8に調整し、金属塩含有水溶液111gを調製した。
この金属塩含有水溶液111gを、前記シリカ−アルミナ担体90gへ含浸担持させ、120℃で一昼夜乾燥した後、400℃で3時間空気中にて焼成処理することにより、NiMo担持シリカ−アルミナ触媒[C]103gを得た。
触媒[C]の細孔容積分布および触媒特性を表1に示す。 比較例1において、市販触媒[X]の代わりに触媒[C]を使用した以外は比較例1と同様にして評価を行なった。評価結果を表2に示す。
【0067】
以上の実施例および比較例から本発明に係る添加型水素化処理用触媒が、前記構成要素(1)〜(9)を満たし、細孔容積分布において特定のバイモダル構造を有し、従来提案されている触媒に対し添加して使用した場合、脱硫活性、水素化分解活性、アスファルテン分解ならびにセディメント抑制能等のコントロールに顕著な効果を奏することが明らかとなった。即ち、本実施例1では添加型触媒はニッケルのみを担持したものであり、アスファルテン分解ならびにセディメント抑制能に優れたものであるが、従来のセディメント抑制型の水素化処理用触媒に添加することにより、水素化活性を損なうことなくセディメントの発生を大幅に抑制できていることが比較例1との関係で理解できる。また、実施例2及び3とから、ふたつの反応塔を有する場合にいずれの反応塔に添加型触媒を添加しても、本件発明の効果が得られることが分かる。実施例1と比較例2との比較では、実施例1は単に触媒増量の効果ではなく、本件発明の得意な効果であることが理解できる。参考例1は本件発明の添加型触媒のみを用いたものであり、従来の触媒を単独で使用した場合よりもセディメント発生防止の点で優れるものであるが、従来の触媒に小量添加した実施例1と比較することにより、添加型として使用した場合のほうがセディメントの抑制により大きな効果があることが分かる。
【0068】
【発明の効果】
本発明に係る水素化処理用触媒が特定のバイモダルな細孔構造を有することにより、炭化水素油の触媒内への拡散をより容易にし、触媒活性劣化を大幅に低減することにより、ナフサやケロシン、軽油、減圧軽油(VGO)と水素とを接触させてなる水素化処理において従来の水素化処理用触媒に添加して用いることにより脱硫活性、脱窒素活性、芳香族水添活性を必要に応じて制御することができる。また、特に、当該触媒と減圧軽油(VGO)、減圧残渣油(VR)等の重質油および水素とを接触させてなる水素化分解プロセスにおいて、アスファルテン処理能と水素化能の向上を実現し、所望とするガス、軽質油(ナフサ、ケロシン、軽油および減圧軽油(VGO))の収率向上、脱硫・脱窒素率の向上、セディメント含有量の大幅な低減を実現することができる。

Claims (2)

  1. 常圧蒸留残渣油(AR)、減圧蒸留残渣油(VR)および減圧軽油(VGO)からなる群から選択される重質油留分を水素と接触させることからなる水素化処理方法において使用するための添加型触媒として用いられる水素化処理用触媒(A)であって
    アルミナ表面上にシリカ層を形成した構造を有し、シリカを担体全重量基準で2〜40質量%含有するシリカ−アルミナ系担体に、少なくとも一種の水素化活性金属成分を担持してなる水素化処理用触媒であって、水銀圧入法により測定される細孔容積分布において、
    (1)細孔直径40〜200Åの範囲に細孔容積分布の第一のピークを有し、
    (2)細孔直径200〜2,000Åの範囲に細孔容積分布の第二のピークを有し、
    (3)全細孔容積に対する細孔直径40〜200Åの領域の細孔容積が40〜90%であり、
    (4)全細孔容積に対する細孔直径200〜1,000Åの領域の細孔容積が10〜60%であり、
    (5)全細孔容積に対する細孔直径1,000Å以上の領域の細孔容積が20%以下であり、
    (6)前記細孔直径40〜200Åの範囲に存在する前記第一のピークの位置に対応する細孔直径±20Åの範囲の細孔容積が、前記細孔直径40〜200Åの範囲である細孔容積の50%以上であり、
    (7)平均細孔直径が60〜150Åであり、
    (8)全細孔容積が0.3〜1.2ml/gであり、
    (9)比表面積が150〜400m/g
    であることを特徴とする水素化処理用触媒。
  2. 前記細孔直径40〜200Åの範囲に存在する前記第一のピークの位置に対応する細孔直径±10Åの範囲の細孔容積が30%以上である請求項1に記載の水素化処理用触媒
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