JPH0731848Y2 - 台形絞り成形金型 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） この考案は台形絞り形成金型に関する。

（従来の技術） 台形絞り加工はプレス加工ではもっとも難かしい加工の
一つで、台形部の高さと直径比、フランジ幅、材料の板
厚等を考慮して適切な加工を行なわないと、製品のフラ
ンジ部にしわやそりを生ずる。

一般に広幅のフランジをもつ製品では、材料の板厚が薄
い場合には、加工は張出し加工が主な変形になる。した
がって、変形はフランジ部全域に生ずるから、ダイスと
しわ押え板は充分に摺合せを行ない、当りを均一にし、
また、ダイスと押え板は製品の大きさに対応して、充分
な大きさのものにする必要がある。

第３図は従来の金型による円錐台形製品の加工における
材料の移動（矢印で示す）、フランジ部の外周の変形
（そり）等を示したものである。即ち、材料Ｍを、円錐
台形状のダイス１と、環状のしわ押え板３の間に充分な
圧力で挟み、これを、しわ押え板３の中央部を貫通し
て、上方へ移動する円錐台形状のパンチ５により押上
げ、フランジ部にしわの発生を防止しながら円錐台形状
に加工するものである。

この場合、ダイス及びしわ押え板よりはみ出したフラン
ジ外周部は、図示のような変形（そり）を生じている。
この部分が製品の一部である場合には、このような変形
を押えるため、ダイス及びしわ押え板を更に大きくしな
ければならない。

（考案が解決しようとする課題） 前記のように広幅フランジ付台形製品で、板厚が比較的
薄い場合には、ダイスとしわ押え板は、しわやそりの発
生を防止するため摺合せを充分に行ない、材料との当り
が均一になるようにし、また、フランジに対応して充分
な大きさのものにする必要があった。しかし、このよう
にしても、残留応力のために生ずるフランジ部のそりを
防止することは難かしかった。

この考案はこのような点に鑑がみて、創案されたもの
で、ダイスの肩部の周縁に沿って突起を設けることによ
り、フランジ部から台形部への材料の移動を抑制し、フ
ランジ部のしわやそりの発生を防止すると共に、パンチ
に必要な力の減少により動力を節約することのできる台
形絞り成形金型を提供することを目的とするものであ
る。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 前述のごとき従来の問題に鑑みて、本考案は、円錐台形
状の凹部を備えたダイスと、ダイスのフランジ成形部へ
材料を押圧する環状のしわ押え板と、このしわ押え板を
貫通して材料の一部を前記ダイスの凹部内へ押圧するパ
ンチとからなる台形絞り成形金型にして、前記ダイスに
おける凹部の肩部に、成形加工時に前記材料に僅に食込
んで前記凹部内方向への材料の移動を抑制する突起を設
け、この突起の高さを、前記材料の一側面に対する前記
突起の食込みによって上記材料の他側面が突出されるこ
とのない高さに設けてなるものである。

（作用） このように構成されているので、絞り成形加工中におけ
るフランジ部の材料の移動が、ダイス肩部の突起により
抑制される。したがって、しわの発生や、残留応力によ
るそりの発生が少なくなる。製品の台形部の成形は、主
としてダイス肩内の材料の板厚の減少による絞り変形に
よって行なわれる。

（実施例） 次にこの考案の実施例について図面に基づいて説明す
る。第１図はこの考案の実施例の説明図で、広幅フラン
ジ付円錐台形製品の絞り形成加工に実施したものであ
る。この金型は、図示のように、円錐台形状のダイス１
と、ダイス１のフランジ成形部11へ材料Ｍを押圧する環
状のしわ押え板３と、このしわ押え板３を貫通して材料
をダイス１へ押圧する台形状のパンチ５とからなってい
る。

ダイス１の肩部７にはその周縁に沿って突起９が設けて
あり、加工時には図示のように材料Ｍへ食い込むように
なる。第２図に突起９の形状を拡大して示してあるよう
に、上記突起９の突出高さは材料Ｍの板厚に比較してか
なり小さく、材料Ｍの一側面に食込んだ場合であって
も、他側面側が突出されることがないものである。突起
の先端には適当なＲがつけてあり、またダイス１とパン
チ５の肩部7,13は適当に離してある。

この金型によって加工を行なうと、製品のフランジ部の
材料は突起９の食込みによって、台形部方向への移動を
抑制され、台形部は矢印のように、主としてダイス１の
肩部より内側の材料の伸びによって台形状に成形され
る。一方フランジ部は移動が少ないのでしわの発生が少
なくなり、残留応力も小さくなる。またダイス１及びし
わ押え板３からはみだした部分のそりも極めて少なくな
る。

前記のように、この金型によると製品のフランジ部の材
料の移動が少なくなるので、しわ押え板の圧力を小さく
してもよい。したがって、パンチに要する力も小さくな
り、パンチ動力が軽減される。また、ダイスの肩部に設
けた突起は前記のような形状をしており、ダイスとパン
チの肩部の距離も狭くならないように考慮してあるの
で、製品強度に与える影響は殆んどない。

〔考案の効果〕

以上のごとき実施例の説明より理解されるように、要す
るに本考案は、円錐台形状の凹部を備えたダイス（１）
と、ダイス（１）のフランジ成形部（11）へ材料（Ｍ）
を押圧する環状のしわ押え板（３）と、このしわ押え板
（３）を貫通して材料（Ｍ）の一部を前記ダイス（１）
の凹部内へ押圧するパンチ（５）とからなる台形絞り成
形金型にして、前記ダイス（１）における凹部の肩部
（７）に、成形加工時に前記材料（Ｍ）に僅に食込んで
前記凹部内方向への材料（Ｍ）の移動を抑制する突起
（９）を設け、この突起（９）の高さを、前記材料
（Ｍ）の一側面に対する前記突起部（９）の食込みによ
って上記材料（Ｍ）の他側面が突出されることのない高
さに設けてなるものである。

上記構成より明らかなように、本考案においては、ダイ
ス１における凹部の肩部７には加工時に材料Ｍに僅かに
食込んで材料Ｍの凹部内方向への移動を抑制する突起９
が設けてあり、この突起９の突出高さは、材料Ｍの一側
面に突起９が食込んだときに材料Ｍの他側面が突出され
ることのない高さに設けてある。

したがって本考案によれば、台形絞り成形加工時におけ
る材料Ｍの移動が抑制され、しわの発生が少なくなると
共に、従来のごとき反りの発生を防止できるものであ
る。さらに、前記突起９の突出高さは僅かであって、材
料Ｍの他側面に突出部を形成するようなことがないの
で、成形加工後の外観が良好な製品を得ることができる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の説明図、第２図は第１図の
ダイス肩部の拡大図、第３図は従来の台形絞り成形金型
の説明図である。 図面の主要な部分の符号の説明 １……ダイス、３……しわ押え板 ５……パンチ、７……ダイスの肩部 ９……突起、11……フランジ成形部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】円錐台形状の凹部を備えたダイス（１）
   と、ダイス（１）のフランジ成形部（11）へ材料（Ｍ）
   を押圧する環状のしわ押え板（３）と、このしわ押え板
   （３）を貫通して材料（Ｍ）の一部を前記ダイス（１）
   の凹部内へ押圧するパンチ（５）とからなる台形絞り成
   形金型にして、前記ダイス（１）における凹部の肩部
   （７）に、成形加工時に前記材料（Ｍ）に僅に食込んで
   前記凹部内方向への材料（Ｍ）の移動を抑制する突起
   （９）を設け、この突起（９）の高さを、前記材料
   （Ｍ）の一側面に対する前記突起（９）の食込みによっ
   て上記材料（Ｍ）の他側面が突出されることのない高さ
   に設けてなることを特徴とする台形絞り成形金型。