JPH07316637A - 極低炭素、極低硫鋼の溶製方法 - Google Patents
極低炭素、極低硫鋼の溶製方法Info
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- JPH07316637A JPH07316637A JP6139321A JP13932194A JPH07316637A JP H07316637 A JPH07316637 A JP H07316637A JP 6139321 A JP6139321 A JP 6139321A JP 13932194 A JP13932194 A JP 13932194A JP H07316637 A JPH07316637 A JP H07316637A
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- slag
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 Cのピツクアツプおよび復りん、復硫の原因
となる電極加熱による取鍋精練炉処理を行わず、温度低
下をもたらすスラグの除滓を行わない、効果的な極低炭
素、極低硫鋼の溶製。 【構成】 転炉にS≦30ppm等の強脱硫予備処理溶
銑を使用し、C≦0.05%まで粗精錬した溶鋼を取鍋
に出鋼し、RH真空脱ガス装置により2次精錬するに際
し、上部ランスより送酸してC≦50ppmまで脱炭す
ると共に、所定温度まで溶鋼温度を上昇させ、その後A
l滓とCaOをスラグに添加して取鍋スラグの改質を行
うと共に、スラグ塩基度CaO/SiO2=3〜6、
(T.Fe)+(MnO)≦1.5%に制御した後、フ
ラックスインジェクション装置により溶鋼中に脱硫用粉
体を5〜10kg/tの割合で吹込み、C≦100pp
m、S≦10ppmの極低炭素、極低硫鋼を低コストで
溶製する方法。
となる電極加熱による取鍋精練炉処理を行わず、温度低
下をもたらすスラグの除滓を行わない、効果的な極低炭
素、極低硫鋼の溶製。 【構成】 転炉にS≦30ppm等の強脱硫予備処理溶
銑を使用し、C≦0.05%まで粗精錬した溶鋼を取鍋
に出鋼し、RH真空脱ガス装置により2次精錬するに際
し、上部ランスより送酸してC≦50ppmまで脱炭す
ると共に、所定温度まで溶鋼温度を上昇させ、その後A
l滓とCaOをスラグに添加して取鍋スラグの改質を行
うと共に、スラグ塩基度CaO/SiO2=3〜6、
(T.Fe)+(MnO)≦1.5%に制御した後、フ
ラックスインジェクション装置により溶鋼中に脱硫用粉
体を5〜10kg/tの割合で吹込み、C≦100pp
m、S≦10ppmの極低炭素、極低硫鋼を低コストで
溶製する方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は極低炭素、極低硫鋼の溶
製方法に係り、特に酸素吹込みランスを有するRH真空
脱ガス装置ならびにフラツクス、インジエクシヨン装置
による脱硫剤吹込み方法により、従来の電極設備を有
し、加熱可能の取鍋精錬炉(LadleFurnac
e)を用いずしてC≦100ppm、S≦10ppmの
極低炭素、極低硫鋼を低コストで得る溶製方法に関す
る。
製方法に係り、特に酸素吹込みランスを有するRH真空
脱ガス装置ならびにフラツクス、インジエクシヨン装置
による脱硫剤吹込み方法により、従来の電極設備を有
し、加熱可能の取鍋精錬炉(LadleFurnac
e)を用いずしてC≦100ppm、S≦10ppmの
極低炭素、極低硫鋼を低コストで得る溶製方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】高純度電解鉄製造原料としては極低炭
素、極低硫鋼が必要であるが、最近では自動車の薄板等
を中心とする高級薄板用鋼としても要求されている。従
来これを低コストで溶製することは極めて困難であっ
た。従来〔S〕≦0.005%の低硫鋼の溶製は一般に
次の方法で行われていた。すなわち、転炉等の精錬炉で
脱炭、脱りんを完了した溶鋼を取鍋に出鋼し、電極等を
セットして加熱可能の取鍋精錬炉(Ladle Fur
nace)で処理し、更に生石灰等のフラツクスの吹込
み装置を備えた2次精錬工程にて脱硫を行っていた。こ
の場合2次精錬工程での復りん、復硫を防止するため、
通常2次精錬前に除滓を行った後、生石灰、ばん土頁
岩、螢石等の脱硫フラツクスを添加し加熱滓化して脱硫
処理する方法をとっていた。しかしながら上記従来技術
の取鍋の除滓は、溶鋼温度の降下をもたらすのみなら
ず、除滓中に溶鋼の流出等による地金ロスがあり、コス
ト的にはきわめて不利な方法である。また除滓後、新た
に添加する脱硫フラツクスの滓化のために電極加熱が不
可欠であり、かつ滓化促進のための螢石の添加によって
取鍋耐火物の溶損を助長する等の問題があった。また一
方、取鍋スラグの除滓を行わない場合には取鍋スラグが
カ−ボン電極によって還元され、復りん、復硫が発生す
るという新たな問題があった。
素、極低硫鋼が必要であるが、最近では自動車の薄板等
を中心とする高級薄板用鋼としても要求されている。従
来これを低コストで溶製することは極めて困難であっ
た。従来〔S〕≦0.005%の低硫鋼の溶製は一般に
次の方法で行われていた。すなわち、転炉等の精錬炉で
脱炭、脱りんを完了した溶鋼を取鍋に出鋼し、電極等を
セットして加熱可能の取鍋精錬炉(Ladle Fur
nace)で処理し、更に生石灰等のフラツクスの吹込
み装置を備えた2次精錬工程にて脱硫を行っていた。こ
の場合2次精錬工程での復りん、復硫を防止するため、
通常2次精錬前に除滓を行った後、生石灰、ばん土頁
岩、螢石等の脱硫フラツクスを添加し加熱滓化して脱硫
処理する方法をとっていた。しかしながら上記従来技術
の取鍋の除滓は、溶鋼温度の降下をもたらすのみなら
ず、除滓中に溶鋼の流出等による地金ロスがあり、コス
ト的にはきわめて不利な方法である。また除滓後、新た
に添加する脱硫フラツクスの滓化のために電極加熱が不
可欠であり、かつ滓化促進のための螢石の添加によって
取鍋耐火物の溶損を助長する等の問題があった。また一
方、取鍋スラグの除滓を行わない場合には取鍋スラグが
カ−ボン電極によって還元され、復りん、復硫が発生す
るという新たな問題があった。
【0003】かくの如く、一般に極低炭素化にはRHも
しくはDH真空脱ガス法によって達成され、極低硫化に
は溶鋼中への脱硫剤粉体吹込み技術で達成できるので、
極低炭素、極低硫鋼を得るには、これらを組合わせる方
法が行なわれているが、これらの組合わせ方法にも多く
問題がある。例えば特開平3−281721号公報によ
る「極低炭素、低窒素、極低硫鋼の製造方法」がある。
「この方法はDH式真空脱ガス槽と組合わせた溶鋼に不
活性ガス等のガスを溶鋼中に吹込み脱炭処理し、その後
真空状態を維持したまま不活性ガスをキヤリア−ガスと
して脱硫剤を吹込み脱硫する方法であるが、脱炭処理に
おいては溶鋼の揺動およびスプラツシユの発生が激しい
ので、ランスの浸漬深さと吹き込みガス量を限定した発
明である。しかし、この方法はDH式真空脱ガス槽のみ
で可能の方法であるほか、スプラツシユの飛散が激し
く、フラツシング操作においても処理が困難である等の
問題点がある。」またRH真空脱ガス法により取鍋スラ
グの除滓後脱硫剤のフラツクス、インジエクシヨンを組
合せる方法においては、溶鋼温度の低下が著しく、その
ため転炉の吹止温度を非常に高くする必要がある。更に
RH真空脱ガス法−取鍋スラグ除滓−取鍋精錬炉−フラ
ツクス、インジエクシヨン方法の組合わせ方法において
は、取鍋精錬炉処理中、上記の如き復りん、復硫の問題
のほか、加熱電極によるCのピツクアツプが発生しC≦
100ppmの極低炭素化が困難であるという問題があっ
た。
しくはDH真空脱ガス法によって達成され、極低硫化に
は溶鋼中への脱硫剤粉体吹込み技術で達成できるので、
極低炭素、極低硫鋼を得るには、これらを組合わせる方
法が行なわれているが、これらの組合わせ方法にも多く
問題がある。例えば特開平3−281721号公報によ
る「極低炭素、低窒素、極低硫鋼の製造方法」がある。
「この方法はDH式真空脱ガス槽と組合わせた溶鋼に不
活性ガス等のガスを溶鋼中に吹込み脱炭処理し、その後
真空状態を維持したまま不活性ガスをキヤリア−ガスと
して脱硫剤を吹込み脱硫する方法であるが、脱炭処理に
おいては溶鋼の揺動およびスプラツシユの発生が激しい
ので、ランスの浸漬深さと吹き込みガス量を限定した発
明である。しかし、この方法はDH式真空脱ガス槽のみ
で可能の方法であるほか、スプラツシユの飛散が激し
く、フラツシング操作においても処理が困難である等の
問題点がある。」またRH真空脱ガス法により取鍋スラ
グの除滓後脱硫剤のフラツクス、インジエクシヨンを組
合せる方法においては、溶鋼温度の低下が著しく、その
ため転炉の吹止温度を非常に高くする必要がある。更に
RH真空脱ガス法−取鍋スラグ除滓−取鍋精錬炉−フラ
ツクス、インジエクシヨン方法の組合わせ方法において
は、取鍋精錬炉処理中、上記の如き復りん、復硫の問題
のほか、加熱電極によるCのピツクアツプが発生しC≦
100ppmの極低炭素化が困難であるという問題があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、極低
炭素、極低硫鋼製造における従来技術に多くの問題点が
あることに鑑み (イ)Cのピツクアツプおよび復りん、復硫の原因とな
る電極加熱による取鍋精錬炉処理を行わない。 (ロ)温度低下をもたらすスラグの除滓を行わない。 を原則として効果的な極低炭素、極低硫鋼を低コストで
製造できる溶製方法を提供するにある。
炭素、極低硫鋼製造における従来技術に多くの問題点が
あることに鑑み (イ)Cのピツクアツプおよび復りん、復硫の原因とな
る電極加熱による取鍋精錬炉処理を行わない。 (ロ)温度低下をもたらすスラグの除滓を行わない。 を原則として効果的な極低炭素、極低硫鋼を低コストで
製造できる溶製方法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは次の如くである。すなわち、 (1)「予備処理にて強脱硫した溶銑を使用し転炉等に
て脱炭してC≦0.05%に粗精錬する段階と、前記粗
精錬した溶鋼を取鍋に出鋼する段階と、前記取鍋にて出
鋼した溶鋼を真空脱ガス処理するに当り槽上部ランスか
らの送酸によりC≦50ppmまで脱炭すると共に所定
温度まで溶鋼温度を上昇させる段階と、前記取鍋内のス
ラグ中にAl滓および造滓剤を添加して改質するに当り
取鍋スラグの塩基度(Cao/Sio2)=3〜6と
し、かつ(T.Fe)+(MnO)≦1.5%に制御す
る段階と、前記改質したスラグを有する取鍋中の溶鋼に
脱硫用粉体を溶鋼t当り5〜10kg吹込む段階と、を
有して成り、取鍋精錬炉処理を行うことなくC≦100
ppm、S≦10ppmまで精錬することを特徴とする
極低炭素、極低硫鋼の溶製方法。」である。 (2)前記転炉に装入する強脱硫処理した溶銑のS濃度
は30ppm以下である前記(1)に記載の極低炭素、
極低硫鋼の溶製方法。」である。特に本発明において
は、RH真空脱ガス装置に設けられた上部ランスから送
酸することにより、C≦50ppmまで脱炭すると共
に、所定温度まで溶鋼温度を上昇させることにより、取
鍋精錬炉の使用をしないことにより、Cのピツクアツプ
する機会を与えず、更に専用のフラツクス、インジエク
シヨン装置によって脱硫用粉体を5〜10kg/tの大
量を吹込むことにより、極低硫化すると共に、Al滓と
造滓剤を添加することにより、スラグの改質を行ない、
併せて脱硫を促進することにより従来の除滓を省略する
ことにより、所期の低コストによる極低炭素化および極
低硫化を可能としたものである。
ろは次の如くである。すなわち、 (1)「予備処理にて強脱硫した溶銑を使用し転炉等に
て脱炭してC≦0.05%に粗精錬する段階と、前記粗
精錬した溶鋼を取鍋に出鋼する段階と、前記取鍋にて出
鋼した溶鋼を真空脱ガス処理するに当り槽上部ランスか
らの送酸によりC≦50ppmまで脱炭すると共に所定
温度まで溶鋼温度を上昇させる段階と、前記取鍋内のス
ラグ中にAl滓および造滓剤を添加して改質するに当り
取鍋スラグの塩基度(Cao/Sio2)=3〜6と
し、かつ(T.Fe)+(MnO)≦1.5%に制御す
る段階と、前記改質したスラグを有する取鍋中の溶鋼に
脱硫用粉体を溶鋼t当り5〜10kg吹込む段階と、を
有して成り、取鍋精錬炉処理を行うことなくC≦100
ppm、S≦10ppmまで精錬することを特徴とする
極低炭素、極低硫鋼の溶製方法。」である。 (2)前記転炉に装入する強脱硫処理した溶銑のS濃度
は30ppm以下である前記(1)に記載の極低炭素、
極低硫鋼の溶製方法。」である。特に本発明において
は、RH真空脱ガス装置に設けられた上部ランスから送
酸することにより、C≦50ppmまで脱炭すると共
に、所定温度まで溶鋼温度を上昇させることにより、取
鍋精錬炉の使用をしないことにより、Cのピツクアツプ
する機会を与えず、更に専用のフラツクス、インジエク
シヨン装置によって脱硫用粉体を5〜10kg/tの大
量を吹込むことにより、極低硫化すると共に、Al滓と
造滓剤を添加することにより、スラグの改質を行ない、
併せて脱硫を促進することにより従来の除滓を省略する
ことにより、所期の低コストによる極低炭素化および極
低硫化を可能としたものである。
【0006】本発明の詳細を以下に説明する。本発明の
目的とする極低硫鋼はS≦10ppmであるので、第一
段の転炉等の精錬炉に装入する溶銑も極力低硫銑が望ま
しく、少くとも重量比にて30ppm以下に予備処理し
た溶銑を使用することとした。しかして転炉等の精錬炉
にて脱炭する限度は、大気圧下で酸素を吹込んで鉄の酸
化損失の少いC:0.03〜0.05%の範囲が望まし
いのでC≦0.05%まで粗脱炭することに限定した。
転炉等で脱炭したC≦0.05%の溶鋼を取鍋に出鋼さ
せ、RH真空脱ガス装置にて該溶鋼を減圧下に露出させ
てCO分圧を低減することにより、転炉出鋼時500〜
700ppmに調整した溶存酸素と鋼中の〔C〕との反
応を促進せしめてCOガス化することにより脱炭する。
更に、本発明において使用するRH真空脱ガス装置は、
槽上部に設けられたガス吹込装置から酸素を上吹きし上
記脱炭反応を強化してC≦50ppmまで脱炭する。こ
の場合、脱炭限度をC≦50ppmとした理由は、本発
明による最終鋼中の〔C〕をC≦100ppmとしたの
で、この工程以後において改質剤等からのCのピツクア
ツプを考慮してC≦50ppmとしたものである。
目的とする極低硫鋼はS≦10ppmであるので、第一
段の転炉等の精錬炉に装入する溶銑も極力低硫銑が望ま
しく、少くとも重量比にて30ppm以下に予備処理し
た溶銑を使用することとした。しかして転炉等の精錬炉
にて脱炭する限度は、大気圧下で酸素を吹込んで鉄の酸
化損失の少いC:0.03〜0.05%の範囲が望まし
いのでC≦0.05%まで粗脱炭することに限定した。
転炉等で脱炭したC≦0.05%の溶鋼を取鍋に出鋼さ
せ、RH真空脱ガス装置にて該溶鋼を減圧下に露出させ
てCO分圧を低減することにより、転炉出鋼時500〜
700ppmに調整した溶存酸素と鋼中の〔C〕との反
応を促進せしめてCOガス化することにより脱炭する。
更に、本発明において使用するRH真空脱ガス装置は、
槽上部に設けられたガス吹込装置から酸素を上吹きし上
記脱炭反応を強化してC≦50ppmまで脱炭する。こ
の場合、脱炭限度をC≦50ppmとした理由は、本発
明による最終鋼中の〔C〕をC≦100ppmとしたの
で、この工程以後において改質剤等からのCのピツクア
ツプを考慮してC≦50ppmとしたものである。
【0007】また本発明によれば、槽上部ランスから送
酸し、脱炭することによりCの燃焼熱により溶鋼温度が
上昇する。昇熱量は送酸量によって規定されるので、フ
ラツクス インジエクシヨン等の後続処理工程による降
熱を考慮してその分だけ余分に昇熱することとなるが、
本発明の場合C≦50ppmまで脱炭する送酸量による
昇熱量で十分である。C濃度が50ppm以下に達し、
溶鋼温度が所定温度に達した時点で、取鍋スラグの改質
工程に入る。スラグの脱炭は、Al滓添加後生石灰粉を
添加して スラグの塩基度CaO/SiO2=3〜6………………(1) (T.Fe)+(MnO)≦1.5%…………………(2) に調整する。上記(1)式、(2)式の如く限定した理
由は、本発明の目的とするS≦10ppmまで脱硫する
ために必要な条件であって、実験的に決定したものであ
り、特に本発明では酸化性スラグの除滓を行うことな
く、Al滓とCaOの添加によって還元するので、後続
の脱硫フラツクスを溶鋼中に吹込む時の脱硫反応を促進
するための条件であって、この条件を外れるとS≦10
ppmを達成することができない。
酸し、脱炭することによりCの燃焼熱により溶鋼温度が
上昇する。昇熱量は送酸量によって規定されるので、フ
ラツクス インジエクシヨン等の後続処理工程による降
熱を考慮してその分だけ余分に昇熱することとなるが、
本発明の場合C≦50ppmまで脱炭する送酸量による
昇熱量で十分である。C濃度が50ppm以下に達し、
溶鋼温度が所定温度に達した時点で、取鍋スラグの改質
工程に入る。スラグの脱炭は、Al滓添加後生石灰粉を
添加して スラグの塩基度CaO/SiO2=3〜6………………(1) (T.Fe)+(MnO)≦1.5%…………………(2) に調整する。上記(1)式、(2)式の如く限定した理
由は、本発明の目的とするS≦10ppmまで脱硫する
ために必要な条件であって、実験的に決定したものであ
り、特に本発明では酸化性スラグの除滓を行うことな
く、Al滓とCaOの添加によって還元するので、後続
の脱硫フラツクスを溶鋼中に吹込む時の脱硫反応を促進
するための条件であって、この条件を外れるとS≦10
ppmを達成することができない。
【0008】上記(1)、(2)式のスラグ調整が完了
すると、フラツクス、インジエクシヨン装置によって、
CaO等の脱硫剤フラツクスを5〜10Kg/t溶鋼中
に吹込むことによりS≦10ppmまで脱硫する。本発
明によって電極を有する取鍋精錬炉による加熱を避けた
ので、Cのピツクアツプは20ppm以下に抑制され、
RH真空脱ガス装置でC≦50ppmまで脱炭した溶鋼
は、70ppm程度までC濃度を増加するものの、目標
とするC≦100ppm、S≦10ppmなる極低炭
素、極低硫鋼の安定した溶製が可能となった。なお、本
発明におけるスラグの改質剤として使用したAl滓は、
経済的に有利な還元剤であって、その主要組成は表1に
示すとおりである。 Al滓の添加量は取鍋スラグ中の(T.Fe)+(Mn
O)量によって決定されるが、通常転炉の吹止め時の酸
素含有量100ppmに対してAl滓は0.3Kg/t
の原単位で添加する。
すると、フラツクス、インジエクシヨン装置によって、
CaO等の脱硫剤フラツクスを5〜10Kg/t溶鋼中
に吹込むことによりS≦10ppmまで脱硫する。本発
明によって電極を有する取鍋精錬炉による加熱を避けた
ので、Cのピツクアツプは20ppm以下に抑制され、
RH真空脱ガス装置でC≦50ppmまで脱炭した溶鋼
は、70ppm程度までC濃度を増加するものの、目標
とするC≦100ppm、S≦10ppmなる極低炭
素、極低硫鋼の安定した溶製が可能となった。なお、本
発明におけるスラグの改質剤として使用したAl滓は、
経済的に有利な還元剤であって、その主要組成は表1に
示すとおりである。 Al滓の添加量は取鍋スラグ中の(T.Fe)+(Mn
O)量によって決定されるが、通常転炉の吹止め時の酸
素含有量100ppmに対してAl滓は0.3Kg/t
の原単位で添加する。
【0009】
【実施例】S=28ppmに予め脱硫処理したC≒4%
の溶銑を転炉に装入し、本発明による極低炭素、極低硫
鋼を溶製した時の工程別の溶鋼中の〔C〕、〔S〕、お
よび溶鋼温度(℃)の経時変化を図1に示す。転炉にて
粗精錬して取鍋に出鋼したが、出鋼時の〔C〕、〔S〕
および溶鋼温度tはそれぞれ次の如くであった。 〔C〕=410ppm,〔S〕=30ppm、t=17
00℃ であった。この取鍋に受けた溶鋼をRH真空脱ガス装置
に移動し、RH真空脱ガス処理直前の前記3要素の測定
値は、それぞれ次の如くであった。 〔C〕=380ppm、〔S〕=30ppm、t=16
48℃ RH真空脱ガス処理に際しては、同時に槽上部ランスよ
り酸素を吹込み脱炭処理した。RH処理後の上記3要素
は、それぞれ次の如くであった。 〔C〕=30ppm、〔S〕=27ppm、t=167
1℃ すなわち、Cは30ppmまで脱炭し、それに伴ない溶
鋼温度は23℃上昇した。 かくして、RH処理が完了
し、温度の上昇した溶鋼上に浮遊するスラグを改質する
ため、Al滓とCaOを添加しArガスを吹込んで撹拌
し、 スラグの塩基度=3〜6、 (T.Fe)+(MnO)≦1.5% に制御した。このスラグの改質処理後の上記3要素はそ
れぞれ次の如くであった。 〔C〕=38ppm、〔S〕=26ppm、t=166
2℃ このスラグの改質処理終了後、フラツクス、インジエク
シヨン装置により溶鋼中にCaO、螢石粉を含む脱硫剤
を溶鋼t当り8Kgの大量を吹込んで強脱硫した。この
脱硫剤吹込処理後の上記3要素は次の如くである。 〔C〕=49ppm、〔S〕=5ppm、t=1601
℃ この脱硫剤の大量吹込みにより、溶鋼温度は約60℃低
下したが、〔S〕濃度は実に5ppmという極低硫鋼を
得ることができ、Cのピツクアツプも最小限に抑制され
て常に安定してC≦50〜100ppm、S≦5〜10
ppmの極低炭素、極低硫鋼を得ることができた。この
溶鋼を連続鋳造により鋳片としたが、タンデイツシユ内
の上記3要素の実施例では次の如くであった。 〔C〕=49ppm、〔S〕=5ppm、t=1570
℃
の溶銑を転炉に装入し、本発明による極低炭素、極低硫
鋼を溶製した時の工程別の溶鋼中の〔C〕、〔S〕、お
よび溶鋼温度(℃)の経時変化を図1に示す。転炉にて
粗精錬して取鍋に出鋼したが、出鋼時の〔C〕、〔S〕
および溶鋼温度tはそれぞれ次の如くであった。 〔C〕=410ppm,〔S〕=30ppm、t=17
00℃ であった。この取鍋に受けた溶鋼をRH真空脱ガス装置
に移動し、RH真空脱ガス処理直前の前記3要素の測定
値は、それぞれ次の如くであった。 〔C〕=380ppm、〔S〕=30ppm、t=16
48℃ RH真空脱ガス処理に際しては、同時に槽上部ランスよ
り酸素を吹込み脱炭処理した。RH処理後の上記3要素
は、それぞれ次の如くであった。 〔C〕=30ppm、〔S〕=27ppm、t=167
1℃ すなわち、Cは30ppmまで脱炭し、それに伴ない溶
鋼温度は23℃上昇した。 かくして、RH処理が完了
し、温度の上昇した溶鋼上に浮遊するスラグを改質する
ため、Al滓とCaOを添加しArガスを吹込んで撹拌
し、 スラグの塩基度=3〜6、 (T.Fe)+(MnO)≦1.5% に制御した。このスラグの改質処理後の上記3要素はそ
れぞれ次の如くであった。 〔C〕=38ppm、〔S〕=26ppm、t=166
2℃ このスラグの改質処理終了後、フラツクス、インジエク
シヨン装置により溶鋼中にCaO、螢石粉を含む脱硫剤
を溶鋼t当り8Kgの大量を吹込んで強脱硫した。この
脱硫剤吹込処理後の上記3要素は次の如くである。 〔C〕=49ppm、〔S〕=5ppm、t=1601
℃ この脱硫剤の大量吹込みにより、溶鋼温度は約60℃低
下したが、〔S〕濃度は実に5ppmという極低硫鋼を
得ることができ、Cのピツクアツプも最小限に抑制され
て常に安定してC≦50〜100ppm、S≦5〜10
ppmの極低炭素、極低硫鋼を得ることができた。この
溶鋼を連続鋳造により鋳片としたが、タンデイツシユ内
の上記3要素の実施例では次の如くであった。 〔C〕=49ppm、〔S〕=5ppm、t=1570
℃
【0010】
【発明の効果】本発明は極低炭素、極低硫鋼の従来の製
造技術の種々の欠点を克服し、予め強脱硫溶銑を転炉等
にて粗精錬し、C≦0.05%とし、この溶銑をRH真
空脱ガス装置で処理するに当り、槽上部ランスから送酸
してC≦50ppmまで脱炭し、その後Al滓にCaO
等を添加して取鍋スラグの改質を行い、その後 塩基度CaO/SiO2=3〜6 (T.Fe)+(MnO)≦1.5% に制御し、この改質スラグを有する溶鋼にCaO等の脱
硫剤粉体を溶鋼t当り5〜10Kg吹込むフラツクス
インジエクシヨン処理をすることにより、常に安定して
C≦100ppm、S≦10ppmの極低炭素、極低硫
鋼を溶製することができた。特に本発明は従来技術でC
ピツクアツプの大きな原因となっていた電極加熱装置を
有する取鍋精錬炉を使用せず、また酸化性スラグのに除
滓を行わずして、 C:50〜100ppm、S:5〜10ppm なる極低炭素、極低硫鋼を安定して製造できる道を拓い
た点は高く評価されるものと信ずる。
造技術の種々の欠点を克服し、予め強脱硫溶銑を転炉等
にて粗精錬し、C≦0.05%とし、この溶銑をRH真
空脱ガス装置で処理するに当り、槽上部ランスから送酸
してC≦50ppmまで脱炭し、その後Al滓にCaO
等を添加して取鍋スラグの改質を行い、その後 塩基度CaO/SiO2=3〜6 (T.Fe)+(MnO)≦1.5% に制御し、この改質スラグを有する溶鋼にCaO等の脱
硫剤粉体を溶鋼t当り5〜10Kg吹込むフラツクス
インジエクシヨン処理をすることにより、常に安定して
C≦100ppm、S≦10ppmの極低炭素、極低硫
鋼を溶製することができた。特に本発明は従来技術でC
ピツクアツプの大きな原因となっていた電極加熱装置を
有する取鍋精錬炉を使用せず、また酸化性スラグのに除
滓を行わずして、 C:50〜100ppm、S:5〜10ppm なる極低炭素、極低硫鋼を安定して製造できる道を拓い
た点は高く評価されるものと信ずる。
【図1】本発明の実施例における処理プロセスによる溶
鋼中の〔C〕、〔S〕および溶鋼温度の経時変化を示す
線図である。
鋼中の〔C〕、〔S〕および溶鋼温度の経時変化を示す
線図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 予備処理にて強脱硫した溶銑を使用し転
炉等にて脱炭してC≦0.05%に粗精錬する段階と、
前記粗精錬した溶鋼を取鍋に出鋼する段階と、前記取鍋
に出鋼した溶鋼を真空脱ガス処理するに当り槽上部ラン
スからの送酸によりC≦50ppmまで脱炭すると共に
所定温度まで溶鋼温度を上昇させる段階と、前記取鍋内
のスラグ中にAl滓および造滓剤を添加して改質するに
当り取鍋スラグの塩基度(Cao/Sio2)=3〜6
とし、かつ(T.Fe)+(MnO)≦1.5%に制御
する段階と、前記改質したスラグを有する取鍋中の溶鋼
に脱硫用粉体を溶鋼t当り5〜10kg吹込む段階と、
を有して成り、取鍋精錬炉処理を行うことなくC≦10
0ppm、S≦10ppmまで精錬することを特徴とす
る極低炭素、極低硫鋼の溶製方法。 - 【請求項2】 前記転炉に装入する強脱硫予備処理した
溶銑のS濃度は30ppm以下である請求項1に記載の
極低炭素、極低硫鋼の溶製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6139321A JPH07316637A (ja) | 1994-05-30 | 1994-05-30 | 極低炭素、極低硫鋼の溶製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6139321A JPH07316637A (ja) | 1994-05-30 | 1994-05-30 | 極低炭素、極低硫鋼の溶製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07316637A true JPH07316637A (ja) | 1995-12-05 |
Family
ID=15242591
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6139321A Pending JPH07316637A (ja) | 1994-05-30 | 1994-05-30 | 極低炭素、極低硫鋼の溶製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07316637A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002079522A1 (en) * | 2001-04-02 | 2002-10-10 | Nucor Corporation | Ladle refining of steel |
WO2008070360A3 (en) * | 2006-11-01 | 2008-09-18 | Nucor Corp | Refinement of steel |
-
1994
- 1994-05-30 JP JP6139321A patent/JPH07316637A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002079522A1 (en) * | 2001-04-02 | 2002-10-10 | Nucor Corporation | Ladle refining of steel |
US6547849B2 (en) | 2001-04-02 | 2003-04-15 | Nucor Corporation | Ladle refining of steel |
WO2008070360A3 (en) * | 2006-11-01 | 2008-09-18 | Nucor Corp | Refinement of steel |
US7785393B2 (en) | 2006-11-01 | 2010-08-31 | Nucor Corporation | Refinement of steel |
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