JP3684445B2 - 高純度高Ni鋼の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は,30%以上のNiを含有するような高Ni鋼を,通常のステンレス鋼精錬用の専用設備によるのではなく,普通鋼精錬用の設備によって高純度に精錬する高純度高Ni鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Ni含有量が30重量%以上の高Ni鋼(Fe−Ni合金)としては,例えばNiが30〜50重量%で実質的に鉄からなる高純度高Ni鋼がよく製造されている。この高純度高Ni鋼は使用温度においてマルテンサイト変態を生じない安定なオーステナイト単相組織を有する合金鋼であり,その低熱膨張係数等の特性面から陰極線管のシャドーマスク材や集積回路のリードフレーム等の電子機器用材料などに多く使用されている。
【0003】
かような高純度高Ni鋼は工業的規模で製造されるのでFeとNiの主要成分以外に不可避的な不純物が随伴してくる。すなわち,意図的に添加成分を加えたり,特別な理由のある規格値を有する成分以外の成分は不純物として含有されてくる。例えばC,Si,P,S,Al,さらには酸素や窒素などの元素は一般に不純物とされる。
【0004】
このような不純物の含有量が多いと,熱膨張係数を大きくするように作用したりエッチング性等も低下させるのでシャドーマスク材等では不適格となり,高純度高Ni鋼本来の特性が十分に発揮されなくなる。また鋼製造時においても熱間加工性が低下して歩留り低下を来すので製造コストが高くなる。したがって,不純物の含有を極力少なくするように製造しなければならない。
【0005】
従来,このような高純度高Ni鋼はニッケルクロムステンレス鋼を精錬するのと同様の設備で精錬されていた。すなわち,多量のNiの溶解が容易で且つ2次精錬設備例えばVOD(Vacuum Oxygen Decarburization)などスラグ精錬が比較的容易に行える設備を備えたステンレス鋼精錬設備が用いられてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ステンレス鋼精錬設備で高純度高Ni鋼を精錬する場合には,精錬容器や取鍋等に付着した前ヒートの残留スラグや残留地金が溶鋼中に混入することが避けられず,特にステンレス鋼の基本成分であるCrが0.5重量%程度前ヒートから混入する。このため,脱Cr処理をさらに行う必要があった。
【0007】
この脱Cr処理には精錬炉内でT.F.(トータル鉄) を多く含んだ酸化度の高いスラグを多量に造滓する必要がある。このため精錬炉の耐火物が異常に溶損するという問題があった。したがって,精錬炉の耐火物寿命が著しく低下して製造コストを高めるばかりか,高純度高Ni鋼の精錬に際しての精錬炉使用頻度の制約が必要となり,生産計画上の自由度が大きく損なわれる結果となっていた。
【0008】
加えて,この脱Cr処理は通常のステンレス鋼の精錬よりも長時間を要するうえ,脱Cr処理したスラグから溶鋼へのCr戻りを防止するために,後工程に入る前にそのスラグを全量除去する必要があった。したがって,高純度高Ni鋼のヒートを実施すると,ルーチンなステンレス鋼の精錬操業に多大の影響を与えることになり,ステンレス鋼精錬の生産性を低下させる原因となっていた。
【0009】
したがって,本発明の目的は,かようなステンレス鋼の精錬設備によるのではなく,普通鋼の精錬に用いられている既設の量産設備によって,C,Si,P,S,Al,O,N等の不純物元素を可及的に低減した高純度高Ni鋼を精錬する技術を確立することにある。この既設量産設備を用いる場合には,耐火物の溶損を押さえつつ多量のNiを溶解し,C,P,S,O,N及びCrなどの不純物を効率よく取り除き,しかも極低Si,Al域でいかにして溶鋼を脱酸するかということが課題となる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば,高炉溶銑または電気炉で溶解した溶銑を溶銑予備処理設備で脱珪,脱硫および脱りん処理して,Si≦0.04重量%,P≦0.015重量%で且つS含有量が最終製品の許容上限値以下の溶銑を製造し,この予備処理銑を転炉に装入すると共に固体の金属Niを該転炉に添加し,大気圧下の転炉吹錬によって該Niを溶解させて高Ni溶鋼とし,この高Ni溶鋼を真空脱ガス設備例えばRH脱ガス設備で真空脱炭,成分調整および真空脱ガス処理を行うことからなる高純度高Ni鋼の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の実施にあたり,精錬容器および取鍋に付着している不純物質を除去するための普通鋼の精錬を前ヒートに実施しておくのがよい。この洗浄用ヒートのさいも,鋼中のC,Si,S,P,Alなども可及的に低域まで除去した高純度の普通鋼を製造する。とくに溶銑予備処理工程においてSを0.005重量%以下,Pを0.015重量%以下まで除去した溶銑を用いて普通鋼を製造し,上記諸設備である各炉や取鍋の内壁耐火物に付着しているPやSを含んだ金属類及びスラグをこの内壁から溶かし去って除去し,この洗浄用精錬で洗浄された精錬容器や取鍋を高純度高Ni鋼の精錬に供するために待機させておく。
【0012】
〔発明の詳述〕
普通鋼の精錬操業として,高炉溶銑から溶銑予備処理設備,転炉および真空脱ガス設備(LD−RHまたはDH法)を経て連続鋳造(場合によっては造塊)する技術が確立している。本発明はこの普通鋼精錬設備を用いてNi30重量%以上の高純度高Ni鋼を製造しようとするものである。以下に,各工程別にその詳細を述べる。これらの工程を実施する前ヒートとして洗浄用ヒートを実施しておくことは前述のとおりである。なお洗浄用ヒートにおいて溶銑以外の主副原料を用いる場合にはFe,Mn,Ni以外の余計な金属成分を含有する原料は極力添加しないことが必要である。
【0013】
出発溶銑としては高炉溶銑を使用するが,場合によっては電気炉で溶解した溶銑でもよい。この溶銑を溶銑予備処理設備で脱珪,脱硫および脱りんを行う。例えばJISG2201に規定される製鋼用溶銑を溶銑予備処理設備に移し,ソーダ灰,CaO,焼結鉱等の造滓材をその溶銑中にインジェクションすると共に,必要に応じて溶銑に酸素を送り込むことによって,脱珪,脱燐及び脱硫精錬を行う。但し脱珪については溶銑予備処理工程に先立って高炉出銑工程である溶銑樋や溶銑鍋に溶銑を受ける途中で実施しても差支えない。
【0014】
この溶銑予備処理の際,Si,PおよびSのいずれも可能な限り除去することが望ましい。とくにSは転炉−RH(DH)工程では除去しにくいので高純度高Ni鋼の許容される規格の上限値0.003重量%以下に除去しておくのがよい。より具体的にはこの予備処理によって,Si≦0.04重量%,P≦0.015
重量%で且つS含有量が最終製品の許容上限値以下の溶銑を製造する。
【0015】
次いで,この予備処理銑をLD転炉に装入して酸素吹錬を行うが,そのさいに固体の金属Niを添加して溶解させる。転炉でのNi添加量は目標とする鋼中含有量の90%以上とする。したがって,転炉吹錬では多量のNiを溶解し且つ目標合金が高純度を要することから,温度制御やスラグ制御に特別の工夫が必要である。
【0016】
先ず,前記の予備処理した溶銑中に浮遊するスラグを掻出して除去した後,該溶銑を転炉に装入すると共に,固体の純金属Ni,昇熱材(例えばカーボンブリケット),CaO,FeSi,MgO,CaF2等の主副原料を装入し,酸素吹錬を行う。この吹錬操業を以下に述べるように適切な条件下で行うことにより,脱炭,Ni溶解,脱珪,脱燐,脱窒が進行する。SiとPとは酸素と親和力が比較的強い元素であるため炭素と同様に酸化反応により溶銑から除去することができる。またこれらの酸化反応で生ずる熱でNiの溶解ができるほか炭素の酸化反応により発生するCOガス気泡で溶銑中の窒素も除去できる。
【0017】
実際の操業にあたっては,Niの添加は複数回に分けて分割装入し,装入毎に吹錬を行うことができる。本発明法では,Ni源の大量溶解と吹止時の高Ni含有量により通常の鋼の精錬時に比較して転炉の内張耐火物が著しく溶損される危険が存在する。従って吹錬の際の終点温度,使用するスラグの塩基度,組成,原単位は,耐火物の溶損防止,脱燐能の確保,復燐の防止等の観点から導かれる適性な範囲に制御しなければならない。これらの条件を満たすために吹錬の際の終点温度,使用するスラグ塩基度,組成,原単位の各制約条件を表1に示した。
【0018】
【表1】
【0019】
表1に示すように,スラグの塩基度CaO/SiO2は耐火物溶損防止のためには3.0以上,脱燐と復燐の防止を効果を図るには3.5以上が必要である。
スラグ中の鉄分(T.Fe)は耐火物溶損防止と復硫防止のためには16重量%以下,脱燐のためには16重量%以上必要とする。スラグ中のMgOは5重量%以上必要である。スラグ原単位は,耐火物溶損防止には80kg/t以上,復硫防止25kg/t以上必要とする。
【0020】
従って,耐火物溶損防止,脱燐および復硫防止のいずれの要求も同時に満たすには,吹錬終了時のスラグ組成として,塩基度を3.5以上,T.Feを20重量%〜12重量%としてMgO≧5重量%,スラグ原単位を50〜80kg/tで,終点温度を1600〜1770℃の範囲で制御するのがよい。終点[C]については,鋼中の窒素のピックアップを抑制するために0.005〜0.08重量%の範囲が望ましい。
【0021】
なお,吹錬を分割しながらNi源を溶解する場合の途中吹止時は,吹止温度を1700℃以下とし,途中吹止終点[C]を0.50重量%以上にすることが好ましい。その理由は,高温で複数回の吹錬を連続して実施すると,内張耐火物の溶損が著しく進行し易いほか,絶対的な脱炭量が小さくなる低炭素領域で吹錬を繰り返すと窒素の吸収が多くなり,当該高純度高Ni鋼で許容される窒素の規格値を満足できなくなり,脱窒のために次工程でRH等の脱ガスに長時間を要するからである。途中吹錬吹止め時の[C]が0.5重量%未満に吹き下がったときには,昇熱材であるカーボンブリケット等を少なくとも5.0kg/t以上添加し,最終吹錬時の脱炭量を確保して脱窒反応を促進させるようにする。
【0022】
このような吹錬を実施して得られた高Ni溶鋼は,転炉内のスラグを極力,流出させないように細心の注意を払いながら(スラグカットしながら),未脱酸の状態で取鍋に出鋼し,CaOを主成分とする造滓材を添加する。溶鋼を脱酸せずに出鋼し造滓するのは,出鋼から二次精錬である脱ガス処理までに窒素の吸収を極力押さえるためである。
【0023】
これら一連の転炉吹錬工程を経た高Ni素溶鋼を二次精錬工程へ送る。この二次精錬について,以下にRH真空脱ガス設備を用いた事例で説明するが,DH真空脱ガス設備であっても構わない。
【0024】
RH真空脱ガス設備では,該高Ni素鋼を更に脱炭し,溶鋼の成分調整と脱ガス脱酸処理を実施する。脱酸以外の脱炭と成分調整及び脱ガス処理については,通常製造している鋼の処理と同様に処理することができる。脱酸処理については強脱酸元素であるAlやSiといったが元素の含有が厳しく制限される高純度高Ni鋼においては特別の配慮が必要であり,本発明法ではAl脱酸は行わない。
【0025】
すなわち本発明法による高Ni素溶鋼の脱酸は,鋼中のSi含有量が0.05重量%以下,望ましくは0.02〜0.03重量%の極狭い成分範囲となるようなSi添加と特別な脱酸性スラグを少量(例えば30kg/t程度)添加によるスラグ脱酸による方法を採用する。
【0026】
より具体的には,RH真空脱ガス装置で該高Ni素溶鋼の脱炭,成分調整,脱ガス処理を終えた後に,当該溶鋼の溶存酸素量を溶存酸素迅速分析装置を用いて測定を行い,この測定値の基づいてFeSiを添加して脱酸を行う。ただし,高純度高Ni鋼の規格値であるSi含有量0.05重量%以下となるようFeSiを添加する。そして,この脱酸後にRH真空脱ガス槽内に該溶鋼を還流させて溶鋼の均一化を図った後,成分分析に供するために溶鋼を採取し,Si含有量を確認する。FeSiを添加した後,当該溶鋼のSi含有量が前記した規格値を超えている場合には,RH真空脱ガス設備の槽内送酸設備を用いて鋼中に酸素を吹かしSiを酸化させて脱Si処理する。
【0027】
Si含有量が確認された後にRH真空槽内に脱酸用のフラックスを添加する。このフラックスの添加に際しては,RHスラグ成分を適正に制御することが肝要である。図1は,1600℃におけるCaO−SiO2−MgO系のSiO2の等活量線図であるが,この図1に示されるように,SiO2の活量が0.3以下となる範囲であって,MgOの含有量が5〜30重量%で且つ当該溶鋼のRH出鍋温度より10℃以上低い温度でも該スラグが溶融状態となるようにスラグ成分を調整する。溶融状態に調整する溶剤としてはCaF2を用いる。このスラグ調整を行ったうえRH真空脱ガス槽内に溶鋼を還流させる。還流時間は5分以上望ましくは10分程度としてスラグ脱酸を行う。これによって,Alを添加せず且つ極僅かのSi添加で高純度高Ni鋼に要求される鋼中酸素レベル例えば100ppm以下の可及的低いレベルまで脱酸することができ,且つSi含有量も規定値以下とすることができる。
【0028】
以上のごとく操業することにより,普通鋼の精錬に用いられている設備を用いても,耐火物の溶損を最小限度まで抑えつつ品質の良好な高純度高Ni鋼を効率よく溶製できる。得られた溶鋼は通常の連続鋳造設備または造塊法によって鋳片とすればよい。
【0029】
【実施例】
本発明者らは普通鋼や特殊鋼の製造に用いられている溶銑の予備処理設備およびLD−RH法による転炉とRH真空脱ガス装置を使用し,Ni含有量が30〜50重量%の範囲の種々の高純度高Ni鋼を製造した。そのうちの代表的な操業例を以下に述べる。
【0030】
本例の高純度高Ni鋼の成分目標値は,
C:0.01重量%以下,
Si:0.05重量%以下,
Ni:35.5〜36.5重量%,
P:0.005重量%以下,
S:0.003重量%以下,
Al:0.01重量%以下,
O:50ppm以下,
N:30ppm以下,
その他の成分も極力低い36%Ni含有量の高純度高Ni鋼である。
【0031】
この高純度高Ni鋼を溶製するに先立って,使用する処理設備から当該鋼への不純物の混入を防止するために,当該鋼の製造に用いる諸設備や取鍋等を洗浄する目的で,先ずこれら設備で普通鋼を製造した。すなわち,高炉から出銑した溶銑を溶銑予備処理設備において酸素およびソーダ灰,CaO系脱燐剤をインジェクションし,溶銑中のSを0.003重量%,Pを0.009重量%までに脱硫脱りんした。この精錬を施した溶銑を転炉に装入して,酸素吹錬を行って脱炭精錬した後に,さらに当該溶鋼を取鍋に受けてRH真空脱ガス設備にて真空脱ガス処理を行い,極低域まで脱炭,脱硫,脱りん,脱珪された高純度の普通鋼を製造した。そして,これらの設備を次ヒートの高純度高Ni鋼の製造に使用すべく待機させた。
【0032】
次に高純度高Ni鋼製造用の樋脱珪済みの高炉溶銑68トンを前記の溶銑予備処理設備に移し,ソーダ灰を19kg/t,CaO系脱燐剤56kg/t,酸素6.5Nm3/tをそれぞれインジェクションして脱燐と脱硫を施した。
【0033】
そして,この予備処理銑を前記の待機している転炉に装入し,さらに純Niを31トン,FeSiを400Kg,CaOを2800Kg(造滓材,塩基度調整用,脱燐用),軽焼ドロマイト980Kg(転炉の炉壁保護用),CaF2を460Kg(スラグ粘度調整用)およびカーボンブリケットを11500Kg(昇熱材)を装入した。その後,酸素吹錬を行って脱炭,Niの溶解,脱珪,脱燐,脱窒を行った。
【0034】
酸素吹錬後の溶鋼中のNiの含有量を調べると33.8重量%であり,目標とするNi含有成分に満たなかったので,新たに純Niを2トン,FeSiを100Kg,CaOを500Kg,軽焼ドロマイトを240Kg,CaF2を100Kg,カーボンブリケットを1500Kgを追加装入して,再び酸素吹錬を行った。この2回目の酸素吹錬をした後に溶鋼を採取して各成分の分析に供した。
【0035】
分析の結果,P,S,NiおよびNの含有量はいずれの目標成分値の範囲に入っており,またC含有量が0.009重量%で目標とする0.01重量%以下まで最終脱炭がなされており,しかも酸素吹錬終了時には溶鋼温度が1766℃で十分昇熱していたので,前記の待機させた取鍋に出鋼した。出鋼の際には予め造滓材としてCaOを取鍋内に300Kg装入して置き,また取鍋内にスラグが流出しないようにスラグカットを実施した。
【0036】
このようにして得られた高Ni溶鋼を待機中のRH真空脱ガス設備に移し,真空脱炭と成分調整および真空脱ガスを行った。処理後の溶存酸素濃度を溶存酸素迅速分析装置を用いて測定したところ890ppmであったので脱酸材としてFeSiを200Kg添加して溶鋼を2分間還流させた。還流後に溶鋼を採取して成分分析をした結果,Si含有量が0.07重量%と目標値以上であったので酸素を14Nm3送酸し酸素吹錬にて脱珪処理した。次いでRH真空槽内にCaOを900Kg,CaF2を600Kg装入添加して脱酸用スラグを造滓した後に,再び溶鋼を10分間還流させてスラグ脱酸を施した。
【0037】
以上の各工程における溶鋼成分値,溶鋼温度,溶鋼重量並びにスラグ組成を表2に示した。
【0038】
【表2】
【0039】
表2に見られるように,RH真空脱ガス処理後の各成分は目標値に達し,また温度も十分であったので,これを連鋳工程へ送り,通常の方法で鋳造し所定寸法の形状の高純度高Ni鋼素材を得た。目標値と鋳造時の各成分値(重量%)を対比して示すと,次のとおりである。
【0040】
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,高純度高Ni鋼が,ステンレス鋼の専用精錬設備によらずとも普通鋼の精錬に用いられている量産設備によって,多量の鋼の製鋼中に生産性良く且つ安定した品質のものが製造できるようになった。したがって,高品質の高純度高Ni鋼を低コストで供給することが出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 RH脱酸スラグの目標組成範囲を説明するためのCaO−SiO2−MgO系のSiO2の等活量線図(1600℃)である。
Claims (8)
- 高炉溶銑または電気炉で溶解した溶銑を溶銑予備処理設備で脱珪,脱硫および脱りん処理して,Si≦0.04重量%,P≦0.015重量%で且つS含有量が最終製品の許容上限値以下の溶銑を製造し,この予備処理銑を転炉に装入すると共に固体の金属Niを該転炉に添加し,大気圧下の転炉吹錬によって該Niを溶解させて高Ni溶鋼とし,ただし転炉吹錬に際しては吹止時のスラグ塩基度が3 . 5以上,スラグ中のT.Feが12〜20重量%,スラグ中のMgOが5重量%以上,そしてスラグ原単位が50〜80kg/tの範囲となるようにスラグ調整し,この転炉吹錬により得られた高Ni溶鋼を真空脱ガス設備で真空脱炭,成分調整および真空脱ガス処理することからなる高純度高Ni鋼の製造方法。
- 高炉溶銑または電気炉で溶解した溶銑を溶銑予備処理設備で脱珪,脱硫および脱りん処理して,Si≦0.04重量%,P≦0.015重量%で且つS含有量が最終製品の許容上限値以下の溶銑を製造し,この予備処理銑を転炉に装入すると共に固体の金属Niを該転炉に添加し,大気圧下の転炉吹錬によって該Niを溶解させて高Ni溶鋼とし,ただし転炉吹錬に際しては終点溶鋼温度が1600〜1770℃,終点炭素濃度が0 . 005〜0 . 08重量%になるように制御し,この転炉吹錬により得られた高Ni溶鋼を真空脱ガス設備で真空脱炭,成分調整および真空脱ガス処理することからなる高純度高Ni鋼の製造方法。
- 高炉溶銑または電気炉で溶解した溶銑を溶銑予備処理設備で脱珪,脱硫および脱りん処理して,Si≦0.04重量%,P≦0.015重量%で且つS含有量が最終製品の許容上限値以下の溶銑を製造し,この予備処理銑を転炉に装入すると共に固体の金属Niを該転炉に添加し,大気圧下の転炉吹錬によって該Niを溶解させて高Ni溶鋼とし,ただし転炉で該高Ni溶鋼を得るに際し,固体の金属Niは複数回に分割して装入し,その装入毎に吹錬を行うと共に,最終吹錬以外の途中吹錬時の吹止温度を1700℃以下で且つ吹止炭素濃度を0 . 50重量%以上とし,この転炉吹錬により得られた高Ni溶鋼を真空脱ガス設備で真空脱炭,成分調整および真空脱ガス処理することからなる高純度高Ni鋼の製造方法。
- 精錬容器および取鍋の内壁に付着している不純物質を溶解除去するための高純度普通鋼の精錬を前ヒートに実施し,この前ヒートに使用した精錬容器および取鍋を用いて溶銑予備処理,転炉吹錬および真空脱ガス処理を行う請求項1,2または3に記載の高純度高Ni鋼の製造方法。
- Ni含有量が30重量%以上である請求項1,2または3に記載の高純度高Ni鋼の製造方法。
- 転炉吹錬において目標Ni含有量の90%以上の固体の金属Niを溶解させ,この溶解に要する熱源が不足する場合には昇熱材を転炉に投入する請求項1,2または3に記載の高純度高Ni鋼の製造方法。
- 真空脱ガス設備はRH脱ガス設備であり,この設備においてAl脱酸は行わずにSi脱酸および/またはスラグ脱酸を行う請求項1,2または3に記載の高純度高Ni鋼の製造方法。
- Si脱酸は鋼中Si含有量が0.05重量%を越えないように行い,スラグ脱酸はSiO2の活量が0.3以下のスラグのもとで行う請求項7に記載の高純度高Ni鋼の製造方法。
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