JPH07314042A - プレスブレーキ - Google Patents

プレスブレーキ

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JPH07314042A
JPH07314042A JP4764295A JP4764295A JPH07314042A JP H07314042 A JPH07314042 A JP H07314042A JP 4764295 A JP4764295 A JP 4764295A JP 4764295 A JP4764295 A JP 4764295A JP H07314042 A JPH07314042 A JP H07314042A
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Shigeru Tokai
茂 東海
Masaaki Takada
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 板状のワークの曲げ加工を高精度でかつ短時
間に行うことのできるプレスブレーキを提供する。 【構成】 ワークWの曲げ加工に際して、加工条件入力
部21から入力されるワークの加工条件と、スプリング
バックデータ部24に記憶されているワークの目標曲げ
角度に対するスプリングバック角度の関係等の情報から
ラム14の仮の追い込み位置を演算し、この仮の追い込
み位置までラム14を駆動してその位置で角度計測ユニ
ット18によりワークの曲げ角度を検出する。次いで、
この検出した曲げ角度と、曲げ角度〜追い込み量データ
部23に記憶されているワークの曲げ角度に対するラム
14の追い込み量の関係およびスプリングバックデータ
部24に記憶されているワークの目標曲げ角度に対する
スプリングバック角度の関係等からラム14の最終追い
込み位置を求めて、この求められた最終追い込み位置ま
でラム14を駆動して曲げ加工を完了する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、上金型とその上金型に
対向配置される下金型とによりワークを曲げ加工するプ
レスブレーキに関し、より詳しくは曲げ工程中にワーク
の曲げ角度を計測して高精度の曲げ加工が行えるように
したプレスブレーキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上金型(パンチ)と下金型(ダ
イ)とによって板状のワークを挟圧することによりV曲
げ加工を行うプレスブレーキにおいて、ワークの材質,
板厚,金型条件等のデータに基づいてNC装置によって
上金型もしくは下金型の追い込み量を制御するようにし
たものが知られている。このようなプレスブレーキで
は、ワークの板厚もしくは材料特性値のばらつきなどの
要因によって前記追い込み量を精度良く制御することが
困難であることから、曲げ工程中にワークの曲げ角度を
計測し、この計測結果を金型の追い込み量にフィードバ
ックして曲げ精度を高めるようにしたものが提案されて
いる。この場合、ワークの材質,板厚,金型条件等によ
ってワークのスプリングバック(弾性による戻り)角度
も変化するので、このスプリングバック角度をインライ
ンで計測することが必要となる。
【0003】このような観点から、駆動金型の最終追い
込み量を精度良く算出するために従来よりいろいろな提
案がなされている。例えば特開平1−228612号公
報に開示されているものでは、駆動金型の最終追い込み
位置を求めるのに必要なスプリングバック量をワーク毎
に自動計測し、こうして計測されたスプリングバック量
と目標曲げ角度および実際の曲げ角度より最終追い込み
位置を算出するようにされている。また、例えば特開平
3−71922号公報に開示されているものでは、仮の
追い込み位置までワークを曲げた後除荷し、この除荷時
の加圧力の変化から最終追い込み位置を算出するように
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記各
公報に開示されているものではいずれもスプリングバッ
ク角度の計測のために複雑な駆動金型、言い換えればラ
ムの制御が必要となり、このために加工時間がかかって
生産性を損なってしまうという問題点がある。
【0005】本発明は、このような問題点を解消するた
めになされたもので、板状のワークの曲げ加工を高精度
でかつ短時間に行うことのできるプレスブレーキを提供
することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用・効果】本発明
者らは、前述の問題点に鑑み、スプリングバック角度が
ロット間におけるばらつきが少なく、このスプリングバ
ック角度をワークの材質,板厚等に層別すれば精度良く
推定できるということを見い出し、本発明を完成させる
に至ったものである。
【0007】要するに、本発明によるプレスブレーキ
は、第1に、図1の発明原理図に示されているように、
上金型とその上金型に対向配置される下金型とによりワ
ークを曲げ加工するプレスブレーキにおいて、(a)ワ
ークの加工条件,ワークの目標曲げ角度に対するスプリ
ングバック角度の関係,ワークの曲げ角度に対する駆動
金型1の追い込み量の関係を含む各情報を記憶する記憶
手段2、(b)曲げ工程中にワークの曲げ角度を計測す
る曲げ角度計測手段3、(c)前記記憶手段2に記憶さ
れている各情報から前記駆動金型1の仮の追い込み位置
を演算するとともに、この仮の追い込み位置にて前記曲
げ角度計測手段3により計測されるワークの曲げ角度お
よび前記各情報から前記駆動金型1の最終追い込み位置
を演算する追い込み位置演算手段4および(d)前記駆
動金型1を前記仮の追い込み位置まで駆動した後最終追
い込み位置まで駆動する金型駆動手段5を備えることを
特徴とするものである。
【0008】この第1の特徴を有する発明においては、
ワークの曲げ加工に際して、記憶手段2に記憶されてい
るワークの加工条件,ワークの目標曲げ角度に対するス
プリングバック角度の関係,ワークの曲げ角度に対する
駆動金型1の追い込み量の関係を含む各情報から上金型
もしくは下金型のうちの駆動金型1の仮の追い込み位置
が演算され、この仮の追い込み位置まで金型駆動手段5
により駆動金型1が駆動されてその位置で曲げ角度計測
手段3によりワークの曲げ角度が計測される。次いで、
この計測された曲げ角度と予め記憶手段2に記憶されて
いる前記各情報とから駆動金型1の最終追い込み位置が
求められる。そして、この求められた最終追い込み位置
まで駆動金型1が駆動されて曲げ加工が完了する。こう
して、駆動金型1の複雑な制御を行う必要なく曲げ工程
中に角度計測を行うだけで高精度の曲げ加工を短時間で
行うことが可能となる。
【0009】本発明によるプレスブレーキは、第2に、
上金型とその上金型に対向配置される下金型とによりワ
ークを曲げ加工するプレスブレーキにおいて、(a)ワ
ークの加工条件,ワークの目標曲げ角度に対するスプリ
ングバック角度の関係,ワークの曲げ角度に対する駆動
金型1の追い込み量の関係,予め設定される駆動金型1
の設定最終追い込み位置および目標追い込み角度の何度
手前でワークの曲げ角度を計測するかの角度計測位置指
示値を記憶する記憶手段2、(b)曲げ工程中にワーク
の曲げ角度を計測する曲げ角度計測手段3、(c)前記
記憶手段2に記憶されているワークの加工条件およびワ
ークの目標曲げ角度に対するスプリングバック角度の関
係から前記目標追い込み角度を演算するとともに、この
目標追い込み角度,前記角度計測位置指示値,前記設定
最終追い込み位置および前記ワークの曲げ角度に対する
駆動金型1の追い込み量の関係から前記駆動金型1の仮
の追い込み位置を演算し、かつ、この仮の追い込み位置
にて前記曲げ角度計測手段3により計測されるワークの
曲げ角度,前記ワークの目標曲げ角度に対するスプリン
グバック角度の関係および前記ワークの曲げ角度に対す
る駆動金型1の追い込み量の関係から前記駆動金型1の
最終追い込み位置を演算する追い込み位置演算手段4お
よび(d)前記駆動金型1を前記仮の追い込み位置まで
駆動した後最終追い込み位置まで駆動する金型駆動手段
5を備えることを特徴とするものである。
【0010】この第2の特徴を有する発明においては、
ワークの曲げ加工に際して、記憶手段2に記憶されてい
るワークの加工条件およびワークの目標曲げ角度に対す
るスプリングバック角度の関係から目標追い込み角度が
演算される。次いで、この目標追い込み角度およびその
目標追い込み角度の何度手前でワークの曲げ角度を計測
するかの角度計測位置指示値から角度計測位置でのねら
いとするワークの曲げ角度が演算され、更にその演算さ
れたねらいとするワークの曲げ角度,予め設定される前
記駆動金型1の設定最終追い込み位置およびワークの曲
げ角度に対する駆動金型の追い込み量の関係から上金型
もしくは下金型のうちの駆動金型1の仮の追い込み位置
が演算される。この後、この仮の追い込み位置まで金型
駆動手段5により駆動金型1が駆動されてその位置で曲
げ角度計測手段3によりワークの曲げ角度が計測され、
次いでその計測された曲げ角度と予め記憶手段2に記憶
されているワークの目標曲げ角度に対するスプリングバ
ック角度の関係およびワークの曲げ角度に対する駆動金
型1の追い込み量の関係から駆動金型1の最終追い込み
位置が求められる。そして、この求められた最終追い込
み位置まで駆動金型1が駆動されて曲げ加工が完了す
る。
【0011】この第2の特徴を有する発明によれば、曲
げ角度の計測位置においてワークが曲がり過ぎとなって
しまうことがなく、より目標追い込み位置に近い角度で
の角度計測が可能となり、ワークの曲げ角度に対する駆
動金型1の追い込み量の関係が材料ロット間でばらつき
がある場合でもその材料のばらつきによる追い込み量の
演算誤差を小さく抑えることができ、曲げ加工精度を良
好に維持することができる。こうして、駆動金型1の複
雑な制御を行うことなく高精度の曲げ加工を短時間で行
うことが可能となる。
【0012】本発明において、更に前記角度計測位置指
示値を入力する入力手段を備えるのが好ましい。
【0013】また、前記設定最終追い込み位置は、同一
形状のワークを複数枚繰り返し曲げ加工する場合であっ
て、この曲げ加工が同一材料ロット内での繰り返しとな
る場合もしくは異なる材料ロット間での材料ばらつきが
小さい中での繰り返しとなる場合に、単工程のワークで
は前回のワークの曲げ加工における最終追い込み位置と
し、複数工程のワークでは前回のワークの同一工程での
曲げ加工における最終追い込み位置とするのが好まし
い。また、この設定最終追い込み位置は、始めて曲げを
行うワークで曲げ加工が行われる場合に、前記ワークの
加工条件から演算するようにし、更に同一形状のワーク
を複数枚繰り返し曲げ加工する場合であって、一の材料
ロットから他の材料ロットへ切り替わった場合に、単工
程のワークでは前記一の材料ロットの最後の曲げ加工に
おける最終追い込み位置とし、複数工程のワークでは前
記一の材料ロットの最後のワークの同一工程での曲げ加
工における最終追い込み位置とするのが好ましい。
【0014】また、始めて曲げを行うワークで曲げ加工
が行われる場合、および同一形状のワークを複数枚繰り
返し曲げ加工する場合であって、一の材料ロットから他
の材料ロットへ切り替わった場合には、一つのワークの
曲げ加工において前記仮の追い込み位置を第1の仮の追
い込み位置と第2の仮の追い込み位置との二位置とし、
前記角度計測位置指示値を第1の角度計測位置指示値と
第2の角度計測位置指示値の二つの値とするのが好まし
い。こうすることで、始めてのワークもしくは材料ロッ
トが変更した場合にも曲がり過ぎを生じることなく、高
精度に曲げ加工を実現することができる。この場合、更
に前記第1の角度計測位置指示値および第2の角度計測
位置指示値を入力する入力手段を備えるのが好ましい。
また、前記第1の仮の追い込み位置を前記設定最終追い
込み位置に基づいて演算し、前記第2の仮の追い込み位
置を前記第1の仮の追い込み位置に基づいて演算するの
が良い。
【0015】本発明においては、さらに、同一形状で別
のワークの曲げ加工を行う都度前記設定最終追い込み位
置を更新する設定最終追い込み位置更新手段を備えるの
が好ましい。
【0016】また、一つのワークの曲げ加工中における
前記曲げ角度計測手段によるワークの曲げ角度の計測回
数を2回,1回もしくは0回のいずれかに設定可能な曲
げ角度計測回数設定手段を備えるのが好ましい。このよ
うな曲げ角度計測回数設定手段を備えることで、必要最
小限の角度計測によって曲げ加工を高精度に行うことが
できて生産性の向上を図ることができる。
【0017】本発明の目的は、後述される詳細な説明か
ら明らかにされる。しかしながら、詳細な説明および具
体的実施例は最も好ましい実施態様について説明する
が、本発明の精神および範囲内の種々の変更および変形
はその詳細な説明から当業者にとって明らかであること
から、具体例として述べるものである。
【0018】
【実施例】次に、本発明によるプレスブレーキの具体的
実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】図2には、本発明の一実施例のシステム構
成図が示されている。本実施例のプレスブレーキ11に
おいては、架台12に支持されている下金型(ダイス)
13と、この下金型13に対位してその上方に昇降自在
に設けられるラム14の下部に取り付けられる上金型
(パンチ)15とが備えられ、これら下金型13と上金
型15との間に金属板からなるワークWが挿入され、こ
のワークWを下金型13上に載置した状態でラム14を
下降させてそのワークWを下金型13と上金型15とで
挟圧することによって、ワークWの曲げ加工が行われる
ようにされている。
【0020】前記架台12の前部(マンサイド)には、
ワークWの折り曲げ外面上に線状投光像を投影するスリ
ット状の光源16と、この光源16による線状投光像を
撮像するCCDカメラ17とを備える角度計測ユニット
18が取り付けられ、この角度計測ユニット18により
ワークWの曲げ角度が計測されるようになっている。な
お、この角度計測ユニット18は架台12の前部に設け
る代わりにその架台12の後部(マシンサイド)に設け
ても良く、また架台12の前部および後部の両方に設け
てワークWの二つの折り曲げ外面の曲げ角度を別個に計
測するようにしても良い。
【0021】CCDカメラ17により撮像される画像は
図示されないモニターテレビに映し出されるとともに画
像データとして曲げ角度演算部19にて処理される。そ
して、この曲げ角度演算部19における演算によってワ
ークWの曲げ角度が算出され、この演算結果はNC装置
20に入力される。
【0022】NC装置20においては、ワーク情報(材
質,曲げ線長さ,曲げ角度等),金型情報(型高さ,V
溝幅,V角度,パンチR等),機械情報(剛性,スピー
ド仕様,ストローク仕様等)等の各データを入力する加
工条件入力部21と、この加工条件入力部21から入力
される加工条件に応じて、曲げ加工における角度計測位
置,計測工程番号および許容差等のデータ、データベー
ス更新用のサンプリング条件(回数,角度)および曲げ
角度の合否判定条件等の各種条件を設定する計測・合否
条件設定部22と、曲げ角度に対するラム14の追い込
み量の関係に係るデータが登録されている曲げ角度〜追
い込み量データ部23と、目標曲げ角度に対するスプリ
ングバック角度の関係に係るデータが登録されているス
プリングバックデータ部24と、加工条件入力部21と
からのデータによりラム14の仮の追い込み位置(下限
位置)を演算するとともに、前記曲げ角度〜追い込み量
データ部23およびスプリングバックデータ部24から
のデータ,加工条件入力部21からのデータおよび曲げ
角度演算部19からのデータによりラム14の最終追い
込み位置を演算し、これら演算結果に基づきラム14に
駆動信号を出力する追い込み位置演算部25と、曲げ角
度演算部19からのデータにより曲げ加工の完了したワ
ークの曲げ精度を判定する合否判定部26と、この合否
判定部26からの信号に基づきラム14の追い込み位置
を変更する追い込み位置変更部27とが備えられ、更に
曲げ角度演算部19からのデータを一時保管して前記曲
げ角度〜追い込み量データ部23に新規データもしくは
更新データを登録するとともに、演算フォームの設定と
係数演算とを行う曲げ角度〜追い込み量データ更新処理
部28と、同じく曲げ角度演算部19からのデータを一
時保管してスプリングバックデータ部24に新規データ
もしくは更新データを登録するとともに、演算フォーム
の設定と係数演算とを行うスプリングバックデータ更新
処理部29とが備えられている。
【0023】こうして、ワークWの曲げ加工に際して
は、まず加工条件入力部21から入力されるワーク情
報,金型情報,機械情報等の加工条件,スプリングバッ
クデータ部24に登録されているワークWの目標曲げ角
度に対するスプリングバック角度の関係および曲げ角度
〜追い込み量データ部23に登録されているワークWの
曲げ角度に対するラム14の追い込み量の関係に基づき
追い込み位置演算部25においてラム14の仮の追い込
み位置が求められ、この仮の追い込み位置までラム14
が駆動されて上金型15が下降される。次いで、この仮
の追い込み位置で角度計測ユニット18によりワークW
の曲げ角度が計測され、この曲げ角度が曲げ角度演算部
19において演算される。この後、この演算された曲げ
角度と曲げ角度〜追い込み量データ部23に登録されて
いる曲げ角度に対するラム14の追い込み量の関係とか
ら前記仮の追い込み位置でのラム14の追い込み量が求
められ、更にその曲げ角度に対するラム14の追い込み
量の関係とスプリングバックデータ部24に登録されて
いるワークWの目標曲げ角度に対するスプリングバック
角度の関係とから、ラム14の最終追い込み位置が求め
られる。そして、この求められた最終追い込み位置まで
ラム14が駆動されて曲げ加工が行われる。
【0024】このように曲げ加工が行われた後、本実施
例では、ラム14を微上昇させて再度曲げ角度の計測を
行い精度確認が行われ、最終的なラム14の追い込み量
が自動修正できるようにされている。そして、このよう
な自動修正により得られる満足する精度の最終追い込み
量の値が次回の曲げ加工に利用されることで、2回目以
降からの曲げ角度の計測を省略することができるように
されている。
【0025】また、本実施例の曲げ加工工程では、上金
型15がワークWに接してそのワークWが加圧保持され
た点から手動でラム14を下降させて曲げ加工を行う所
謂ティーチングモードが選択できるようにされている。
このようにティーチングモードを設けることで、オペレ
ータが曲げ加工状態を確認しながら曲げ加工を行うこと
ができ、特殊な材料の曲げ加工も行え、システムのフレ
キシビリティを高めることができる。
【0026】さらに、本実施例においては、曲げ精度向
上のために、曲げ角度〜追い込み量データ部23に登録
されている曲げ角度に対するラム14の追い込み量のデ
ータが、曲げ角度演算部19からの曲げ角度の実測デー
タに応じて曲げ角度〜追い込み量データ更新処理部28
によって更新できるようにされ、またスプリングバック
データ部24に登録されているデータが、やはり曲げ角
度演算部19からの曲げ角度の実測データに応じてスプ
リングバックデータ更新処理部29によって更新できる
ようにされている。これによって、曲げ角度精度の更な
る向上が図られるとともに、各種材料に対してフレキシ
ブルに対応することが可能となる。
【0027】次に、前述されているラム14の仮の追い
込み位置(仮の目標下限位置)の求め方について詳述す
る。
【0028】まず、この仮の目標下限位置を、予め登録
されているワークの曲げ角度に対する駆動金型の追い込
み量の関係のみに基づいて演算する場合の問題点を図3
(a)(b)を参照しつつ説明する。なお、この図3に
おいて、横軸には曲げ角度が縦軸にはラム14の追い込
み位置に相当するデプス量(下金型13の基準面からラ
ム14までの距離)がそれぞれとられ、このうち曲げ角
度については正方向(右方向)に行くほど小さな値とな
るようにされている(以下、図4乃至図7についても同
じ)。
【0029】図3(a)において、目標追い込み角度を
WA−SB(WA:目標曲げ角度,SB:スプリングバ
ック角度)とし、この目標追い込み角度WA−SBの何
度手前でワークの曲げ角度を計測するかの角度計測位置
指示値をDAとすると、この角度計測位置でのねらい角
度はWA−SB+DAとなり、このねらい角度WA−S
B+DAに対応するデプス量はDPPで与えられる。とこ
ろが、このワークの曲げ角度に対するデプス量の関係は
材料ロット間でのばらつきが大きく、登録値Rと材料ロ
ットa,材料ロットbとの間にはそれぞれずれがある。
このために、登録値Rにおいてねらい角度WA−SB+
DAに対するデプス量としてDPPを得た場合には、材料
ロットaの曲げ加工では計測角度はFAa ,材料ロット
bの曲げ加工では計測角度はFAb となり、これら計測
角度FAa ,FAb から目標追い込み角度WA−SBま
での追加追い込み量は材料ロットaでDsa,材料ロット
bでDsbとなる。この場合、追加追い込み量Dsa,Dsb
は登録値Rに基づいて演算されるので、実際に曲げ加工
を行っている材料ロットの線図との誤差を考えれば、こ
の追加追い込み量は小さい方が曲げ加工精度は向上する
こととなる。すなわち、角度計測位置指示値DAを小さ
くして目標追い込み角度WA−SBにできるだけ近い位
置で曲げ角度を計測するのが好ましい。
【0030】しかしながら、この角度計測位置指示値D
Aを小さくすると、図3(b)に示されるように、材料
ロットaの場合に計測点において既に計測角度FAa
目標追い込み角度WA−SBより小さな値となってしま
う、言い換えれば曲がり過ぎとなってしまうことがあ
る。また、材料ロットbの場合には角度計測位置指示値
DAを小さくしても計測角度FAb は目標追い込み角度
WA−SBに対して未だ大きく離れた値となっており、
精度的に満足できないという問題点があった。
【0031】本実施例では、前述のような問題点に鑑み
て、(1)同一形状のワークを複数枚繰り返し曲げ加工
する場合であって、この曲げ加工が同一材料ロット内で
の繰り返しとなる場合もしくは異なる材料ロット間での
材料ばらつきが小さい中での繰り返しとなる場合、およ
び(2)始めて曲げを行うワークで曲げ加工が行われる
場合もしくは同一形状のワークを複数枚繰り返し曲げ加
工する場合であって材料ロットが切り替わった場合、の
二つの場合に分けてラム14の仮の目標下限位置(曲げ
角度の計測位置)を次のように求めている。
【0032】(1)同一形状のワークを複数枚繰り返し
曲げ加工する場合であって、この曲げ加工が同一材料ロ
ット内での繰り返しとなる場合もしくは異なる材料ロッ
ト間での材料ばらつきが小さい中での繰り返しとなる場
合(図4参照) この場合には、登録値Rとの差はあっても材料のばらつ
きが小さいので、前回の曲げ加工(単工程のワークでは
前回のワークの曲げ加工を指し、複数工程のワークでは
前回のワークの同一工程での曲げ加工を指す。)におけ
る最終追い込み位置をもとに今回の角度計測位置を求め
ることで、より目標追い込み角度WA−SBに近い位置
で角度計測を行うことが可能である。
【0033】具体的には、まず例えば材料ロットaにお
けるn回目の曲げ加工において、次式によりそのn回目
の角度計測位置のデプス量Dppn を求める。ここで、角
度計測位置指示値DAには入力手段を介して予め所定値
が入力されてその指示値DAが記憶手段に記憶されてい
る。 Dppn =Dpt(n-1) +(Dr −D0 ) ・・・ (a) Dpt(n-1) :(n−1)回目の曲げ加工での最終デプス
量 Dr :(WA−SB+DA)に対応する登録値で
のデプス量 D0 :(WA−SB)に対応する登録値でのデプ
ス量
【0034】次に、この式で求められた角度計測位置ま
でラム14を駆動して角度計測ユニット18により角度
計測を行う。このときの計測角度(n回目の計測角度)
をFAanとし、次式により最終デプス量Dptn を求め、
この最終デプス量Dptn に相当する追い込み位置までラ
ム14を駆動して曲げ加工を終了する。 Dptn =Dppn −(Dpn−D0 ) ・・・ (b) Dpn :計測角度FAanにおける登録値でのデプス
【0035】こうして、計測角度FAanをねらい角度W
A−SB+DAに近づけることが可能となり、角度計測
位置指示値DAに小さい値を入力しておくことで、目標
追い込み角度WA−SBに近い位置で曲げ角度を計測す
ることが可能となって曲げ加工精度を向上させることが
できる。また、プレスブレーキ本体が発熱などによって
経時的に徐々に伸び縮みし、曲げ角度に対するデプス量
の関係が徐々にシフトしていく場合においても、次の角
度計測位置が毎回の曲げ加工における角度計測により更
新された最終デプス量をもとに求められるので、この曲
げ角度に対するデプス量のシフトの影響を受けずに目標
追い込み角度WA−SBに近い位置での曲げ角度の計測
が可能となる。
【0036】図5には、材料ロットbにおける曲げ加工
の例が示されている。このように材料ロットbにおいて
も材料ロットaと同様に計測角度FAbnをねらい角度W
A−SB+DAに近づけることができる。なお、ここで
は同一材料ロット内で曲げ加工が繰り返し行われる場合
について説明したが、異なる材料ロット間での材料のば
らつきが小さい場合にも同様にして角度計測位置のデプ
ス量Dppn および最終デプス量Dptn を求めることがで
きる。
【0037】(2)始めて曲げを行うワークで曲げ加工
が行われる場合もしくは同一形状のワークを複数枚繰り
返し曲げ加工する場合であって材料ロットが切り替わっ
た場合(図6参照) 同一形状のワークを複数枚繰り返し曲げ加工する場合で
あって材料ロットが切り替わった場合には、前回の曲げ
加工と今回の曲げ加工とにおいて曲げ角度に対するデプ
ス量の関係が大きく異なることがある。また、始めて曲
げを行うワークで曲げ加工が行われる場合には、前回の
計測値がないので登録値Rをもとに角度計測位置を演算
しなければならない。これらの場合には図3(b)にお
けるのと同様の曲がり過ぎ状態が発生する可能性がある
ので、1回の曲げ加工において角度計測を2回行うこと
とする。すなわち、目標追い込み角度WA−SBから十
分に離れた所で1回目の角度計測を行い、この計測値を
もとに目標追い込み角度WA−SBに近い位置で2回目
の角度計測を行う。
【0038】具体的には、まず例えば材料ロットaから
材料ロットbへ切り替わる場合に、次式により1回目の
角度計測位置でのデプス量Dpp1 を求める。ここで、角
度計測位置指示値DA1,DA2には入力手段を介して
予め所定値が入力されてそれら指示値DA1,DA2が
記憶手段に記憶されている。 Dpp1 =Dpta +(Dr1−D0 ) ・・・ (c) Dpta :材料ロットaの曲げ加工での最終デプス量 Dr1 :(WA−SB+DA1)に対応する登録値での
デプス量 D0 :(WA−SB)に対応する登録値でのデプス量
【0039】次に、この式で求められた1回目の角度計
測位置までラム14を駆動して角度計測ユニット18に
より角度計測を行う。このときの計測角度をFAb1
し、次式により2回目計測位置でのデプス量Dpp2 を求
め、このデプス量Dpp2 に相当する追い込み位置までラ
ム14を駆動する。 Dpp2 =Dpp1 −(Dp1−Dr2) ・・・ (d) Dp1 :計測角度FAb1における登録値でのデプス量 Dr2 :(WA−SB+DA2)に対応する登録値での
デプス量
【0040】この後、この2回目計測位置で再度角度計
測を行う。このときの計測角度をFAb2とし、次式によ
り(材料ロットbでの)最終デプス量Dptb を求め、こ
の最終デプス量Dptb に相当する追い込み位置までラム
14を駆動して曲げ加工を終了する。 Dptb =Dpp2 −(Dp2−D0 ) ・・・ (e) Dp2 :計測角度FAb2における登録値でのデプス量
【0041】ここで、角度計測位置指示値DA1は曲が
り過ぎの起きないように比較的大きな値を設定してお
き、角度計測位置指示値DA2は精度向上のために比較
的小さな値を設定しておく。こうすることで、2回目の
角度計測を目標追い込み角度WA−SBに近い所で行う
ことが可能となって曲げ加工精度を向上させることがで
きる。ただし、角度計測を2回行うために、前述の1回
計測の場合に比較して加工時間が長くなるのは避けられ
ない。
【0042】図7には、材料ロットbにおいて始めて曲
げ加工を行う場合の例が示されている。このように始め
て曲げを行うワークで曲げ加工が行われる場合には、前
回の角度計測による最終デプス量の値が存在しないため
に登録値Rより計算される最終デプス量にもとづいて、
次式により1回目計測位置でのデプス量Dpp1 を求め
る。 Dpp1 =D0 +(Dr1−D0 ) ・・・ (f) このように1回目計測位置でのデプス量Dpp1 が求めら
れると、次式により2回目計測位置でのデプス量Dpp2
および最終デプス量Dptb は前述と同様に求められる。 Dpp2 =Dpp1 −(Dp1−Dr2) ・・・ (g) Dptb =Dpp2 −(Dp2−D0 ) ・・・ (h)
【0043】前述のような角度計測の回数を2回とする
か、1回とするか、あるいは0回(計測なし)とするか
は、ユーザが曲げ角度計測回数設定手段(具体的には設
定ダイヤルもしくは設定スイッチ)により適宜設定でき
るようにされている。これにより、例えば同一材料ロッ
ト内で曲げ加工が繰り返し行われる場合には1回計測を
選択することで生産性を重視した曲げ加工を行うことが
でき、また例えば始めて曲げを行うワークに対する曲げ
加工の場合には2回計測を選択することで曲がり過ぎを
生じることなく高精度の曲げ加工を実現することができ
る。
【0044】また、本実施例のプレスブレーキでは、例
えばインターバルを設けて何枚目かのワークに1回の割
りで角度計測を行うというようなスケジューリングもで
きるようにされている。このようなスケジューリング
は、材料ばらつきが小さい場合に特に有効であって、次
回の角度計測までは同一の最終デプス量を用いることが
できるので生産性の向上が図れる。
【0045】次に、本実施例におけるワークWの曲げ加
工工程を図8〜図10に示されるフローチャートによっ
て説明する。
【0046】S1〜S2:今回の曲げ加工がその加工途
中で曲げ角度を計測する計測モードであるか否かを判定
し、計測モードでない、言い換えれば曲げ角度の計測を
行わないというときには前回の曲げ加工で設定された最
終下限位置までラム14を下降する曲げ加工を実行して
フローを終了する。なお、曲げ加工を曲げ角度計測モー
ドで実行するか否かは外部スイッチにてオペレータによ
り設定される。 S3〜S5:計測モードであるというときには、加工条
件入力部21からワーク情報(材質,曲げ線長さ,曲げ
角度等),金型情報(型高さ,V溝幅,V角度,パンチ
R等),機械情報(剛性,スピード仕様,ストローク仕
様等)等の加工条件を入力し、次いで曲げ角度の計測条
件である角度計測ユニット18の長手方向位置およびセ
ッティング状態を設定し、この後NC装置20を起動す
る。
【0047】S6〜S7:ティーチングモードであるか
否かを判定し、ティーチングモードでないときにはワー
クWをセットする。 S8〜S11:曲げ角度の計測回数が1回であるか2回
であるかを判定し、1回の場合には、ラム14の仮の目
標下限位置(角度計測位置のデプス量)Dppnを前述の
式(a)より演算し、この演算された仮の目標下限位置
まで上金型15を下降させて曲げ加工を行い、この仮の
目標下限位置で角度計測ユニット18により角度計測を
行うとともに、計測結果を表示する。
【0048】S12〜S15:計測角<目標曲げ角度−
スプリングバック角度+定数(ここで、定数は許容差な
どの値)が成立しているか否か、言い換えれば目標追い
込み角度に達しているか否かを判定する。この判定の結
果、目標追い込み角度に達していないときには、ラム1
4の最終下限値(最終デプス量)Dptn を前述の式
(b)より求めるとともにその最終下限値の前回データ
を更新し、この最終下限値まで曲げ加工を行う。他方、
目標追い込み角度に達しているときにはDppn を最終下
限値としその最終下限値の前回データを更新する。
【0049】S16〜S21:曲げ角度の計測回数が2
回の場合には、1回目の角度計測位置でのラム14の仮
の目標下限位置(デプス量)Dpp1 を前述の式(c)に
より演算し、この演算された目標下限位置まで上金型1
5を下降させて曲げ加工を行い、この仮の目標下限位置
で角度計測ユニット18により角度計測を行うととも
に、計測結果を表示する。次いで、同様に2回目の角度
計測位置でのラム14の仮の目標下限位置(デプス量)
pp2 を前述の式(d)により演算し、この演算された
目標下限位置まで上金型15を下降させて曲げ加工を行
い、この仮の目標下限位置で角度計測ユニット18によ
り角度計測を行うとともに、計測結果を表示する。
【0050】S22〜S25:計測角<目標曲げ角度−
スプリングバック角度+定数(ここで、定数は許容差な
どの値)が成立しているか否か、言い換えれば目標追い
込み角度に達しているか否かを判定する。この判定の結
果、目標追い込み角度に達していないときには、ラム1
4の最終下限値(最終デプス量)Dptb を前述の式
(e)より求めるとともにその最終下限値の前回データ
を更新し、この最終下限値まで曲げ加工を行う。他方、
目標追い込み角度に達しているときにはDpp2 を最終下
限値としその最終下限値の前回データを更新する。
【0051】S26〜S31:ティーチングモードが選
択された場合には、前記加工条件から目標下限位置、言
い換えれば上金型15の先端がワークWにタッチする位
置を設定し、次いで後述の手動による曲げ加工時の限界
値を表示するために、加工条件およびスプリングバック
データ部24に登録されているワークWの目標曲げ角度
に対するスプリングバック角度の関係からラム14の最
終下限位置とスプリングバック角度の目安値を表示す
る。この後、上金型15と下金型13との間にワークW
をセットし、目標下限位置まで上金型15を下降させて
ワークWを上金型15と下金型13との間に加圧保持す
る。次いで、この状態(加圧スイッチをオンにした状
態)で手動でパルスジェネレータを回し、ラム14を下
降させてワークWの曲げ加工を行うとともに、角度計測
を行ってその計測値を表示する。
【0052】S32〜S33:計測角<目標曲げ角度−
スプリングバック角度+定数が成立しているか否かを判
定し、成立していない(目標追い込み角度に達していな
い)ときにはラム14の最終追い込み位置(最終下限
値)の目安値を求めて表示し、この後ステップS30へ
戻って曲げ加工を続行し、また目標追い込み角度に達し
たときにはステップS34へ進む。
【0053】S34〜S36:ラム14を上昇させ、次
いで曲げ加工精度の確認を行うか否かを判定する。この
判定の結果、精度確認を行わない場合にはフローを終了
し、精度確認を行う場合には曲げ角度の計測値を表示す
る。この場合、ラム14の上昇によりワークWが倒れて
角度計測が出来なくなるのを防止するために、角度計測
はワークWを軽くクランプした状態で行うのが望まし
い。
【0054】S37〜S39:計測角度が許容範囲内に
あるか否かを見て、許容範囲内にあるというときには最
終下限値を自動修正してフローを終了する。他方、許容
範囲内にないというときには曲げ加工が失敗したという
ことなので、強制下限修正を行うか否かを判定し、修正
を行う場合にはステップS38へ進んで最終下限値を自
動修正し、修正を行わない場合にはそのままフローを終
了する。
【0055】次に、曲げ角度〜追い込み量データ更新処
理部28において曲げ角度検出データにより曲げ角度〜
追い込み量の関係を求めるための手法と、この求められ
た関係からラム14の最終追い込み量を推定するための
手法とについて説明する。曲げ角度〜追い込み量の関係
を求めるための手法は、新たに直接求める手法と、既に
登録されている式に対して補正する手法との二つに分け
られる。
【0056】(1)角度計測データにより曲げ角度〜追
い込み量の関係を直接求める手法 この手法では、まず所定の材質のワークの曲げ加工途中
に角度計測が数回行われ、この計測角度に対して図11
に示されるような曲げ角度〜追い込み量(ここではデプ
ス量)のデータが求められる。次いで、こうして得られ
る計測データに基づき、予め用意されている何種類かの
演算式フォーマットの中から適切な一つの演算式フォー
マットが選択され、この選択された演算式フォーマット
により曲げ角度〜追い込み量の関係演算式(近似演算
式)が求められる。この近似演算式の登録用テーブルの
一例が表1に示されている。この表1の例では、計測デ
ータから演算式フォーマット:Dp =XA2 +YA+Z
の係数X,Y,Zが求められ、これにより曲げ角度〜追
い込み量の関係が定量化される。
【0057】
【表1】
【0058】また、ラム14の最終追い込み位置(最終
デプス量)は、こうして求められる曲げ角度〜追い込み
量の関係と予め登録されている目標曲げ角度に対するス
プリングバック角度の関係(スプリングバックテーブ
ル)とにもとづいて前述のようにして求められる(式
(a)〜(h)参照)。
【0059】(2)既に登録されている曲げ角度〜追い
込み量の関係を補正する手法 この手法では、(1)と同様にして曲げ加工途中に角度
計測が数回行われて曲げ角度〜追い込み量のデータが求
められた後、適切な一つの演算式フォーマットが選択さ
れ、この選択された演算式フォーマットにより曲げ角度
に対する追い込み量の補正値の関係演算式(近似演算
式)が求められる。この近似演算式はNC装置に既に登
録されている演算式に対する補正式を示すものである。
表2には、この補正式登録用テーブルの一例が示されて
いる。この表2の例では、計測データから演算式フォー
マット:C=lA2 +mA+nの係数l,m,nが求め
られ、これにより曲げ角度〜追い込み量の補正値の関係
が定量化される。なお、図12には、NC装置が有して
いる従来の演算値(実線で示す)と角度計測に基づく演
算値との関係が示され、また図13には、曲げ角度に対
する補正値の関係が示されている。
【0060】
【表2】
【0061】この手法による場合、ラム14の最終下限
値は、次のようにして求められる(図14に示されるグ
ラフ参照)。
【0062】まず、仮の追い込み位置Dppまで曲げ加工
を実行して、この仮の追い込み位置Dppにて角度計測を
行って計測角度FAを求め、次式によりその求められた
計測角度FAに対応する真のデプス量D0 を求める。 D0 =d0 +c00 :計測角度点での現NCの演算デプス量 c0 :計測角度点の補正量
【0063】次に、スプリングバックテーブルを参照し
て、次式により曲げ角度〜追い込み量曲線中のWA−S
B(目標曲げ角度−スプリングバック角度)点の真のデ
プス量D1 を求める。 D1 =d1 +c11 :WA−SB点での現NCの演算デプス量 c1 :WA−SB点の補正量
【0064】最後に、次式により最終デプス量(最終下
限値)Dplを求める。 Dpl=Dpp−(D0 −D1 ) =Dpp−(d0 +c0 −d1 −c1
【0065】次に、曲げ角度〜追い込み量データの更新
処理フローについて図15のフローチャートによって説
明する。なお、この更新処理に際してはサンプルワーク
が用いられる。
【0066】U1〜U4:ワーク情報,金型情報,機械
情報および製品情報等の加工条件を設定し、曲げ角度の
計測を行う計測角度および計測回数等の計測条件を設定
して1回目曲げの下限値を設定する。この後、上金型1
5と下金型13との間にワークWをセットする。 U5〜U8:上金型15と下金型13とにより曲げ加工
を実行し、角度計測を行ってその計測結果のデータを記
憶手段に記憶する。この後、角度計測の回数が設定回数
に達していないときには次の下限値に変更してステップ
U5へ戻る。
【0067】U9:角度計測回数が設定回数に達したと
きに、曲げ角度〜追い込み量の関係に係る演算式フォー
マットのうちから適切な一つの演算式フォーマットを選
択する。 U10〜U13:曲げ角度〜追い込み量の関係を直接法
により求める場合には、曲げ角度〜追い込み量の関係演
算式の係数を求めて定量化し、直接法でない場合、言い
換えれば従来の演算値の補正により求める場合には、曲
げ角度〜追い込み量の補正値の関係演算式の係数を求め
て定量化し、いずれの方法による場合にも、求められた
データをテーブルへ登録してデータベース化する。
【0068】続いて、スプリングバックデータの更新処
理フローについて図16のフローチャートによって説明
する。なお、この更新処理に際してもサンプルワークが
用いられる。
【0069】V1:ワークWに対する除荷状態を検出す
る荷重モニタの有無を判定し、荷重モニタ無しの場合に
はステップV2以下の処理を行い、荷重モニタ有りの場
合にはステップV14以下の処理を行う。 V2〜V4:加工条件入力部21からワーク情報,金型
情報,機械情報等の加工条件を入力し、次いで曲げ角度
の計測条件である角度計測ユニット18の長手方向位置
やセッティング状態を設定する。そして、前記加工条件
等からワークWの最初の曲げ角度に係るラム14の下限
位置を求める。
【0070】V5〜V10:上金型15と下金型13と
の間にワークWをセットし、下限位置まで上金型15を
下降させて曲げ加工を行い、この下限位置で角度計測ユ
ニット18により角度計測を行うとともに、計測結果を
表示する。次いで、ラム14を所定位置まで上昇させて
その上昇位置で再度角度計測を行うとともに、計測結果
を表示する。この後、これら曲げ角度の計測結果から得
られる当該目標曲げ角度に対するスプリングバック角度
を一時記憶する。 V11:計測回数が設定回数に達していなければステッ
プV5へ戻る。
【0071】V12〜V13:計測回数が設定回数に達
したときには、全ての目標曲げ角度に対する計測が完了
していなければ次の目標曲げ角度に対するラム14の下
限目安値を演算してステップV5へ戻る。他方、全角度
の計測が完了していればステップV26へ進む。
【0072】V14〜V19:荷重モニタ有りの場合
に、前述の荷重モニタ無しの場合のステップV2〜ステ
ップV7と同様の処理を行う。 V20〜V22:荷重モニタにより検出される荷重が所
定値になるまでラム14を上昇させ、この上昇位置で再
度角度計測を行うとともにその計測結果を表示する。こ
の後、これら曲げ角度の計測結果から得られる当該目標
曲げ角度に対するスプリングバック角度を一時記憶す
る。
【0073】V23〜V24:全ての目標曲げ角度に対
する計測が完了していなければ、次の目標曲げ角度に対
するラム14の下限値を演算してステップV18へ戻
る。 V25:全角度の計測が完了したときには、計測回数が
設定回数に達したか否かを判定する。この判定により設
定回数に達していなければステップV16へ戻り、達し
ていればステップV26へ進む。
【0074】V26〜V27:スプリングバック角度を
算出するための近似演算式の係数を求め、求められたデ
ータをテーブルへ登録してデータベース化する。
【0075】前述の荷重モニタ無しの場合には、ステッ
プV5からステップV11までの処理においてサンプル
ワーク一枚で一つの目標曲げ角度に係るデータが得ら
れ、荷重モニタ有りの場合には、ステップV17からス
テップV25までの処理においてサンプルワーク一枚で
複数の目標曲げ角度に係るデータが得られる。なお、荷
重モニタ有りの場合のステップV17からステップV2
5までの処理は自動的に実行させることも可能である。
【0076】こうして求められるスプリングバック角度
の登録用テーブルの一例が表3に示されている。この表
3に示されるように、スプリングバック角度は材質,板
厚,ダイのV幅,パンチR毎に、かつ目標曲げ角度毎に
所定の値が登録,更新される。
【0077】
【表3】
【0078】本実施例では、曲げ角度計測装置として、
スリット状の光源とその光源による線状投光像を撮像す
るCCDカメラとを備えて画像処理により曲げ角度を計
測するものとしたが、この曲げ角度計測装置は、このよ
うなものに限らず、複数の距離センサ(渦電流センサや
静電容量センサ等)によりワークまでの距離の差を計測
して曲げ角度を検出するものや、接触式の計測装置など
いろいろなタイプのものを用いることができる。
【0079】本実施例では、下金型を固定式とし上金型
を駆動式として(所謂オーバードライブ式)その上金型
駆動用のラムの下限値を補正するものについて説明した
が、本発明は、上金型を固定式とし下金型を駆動式とす
る所謂アンダードライブ式のプレスブレーキにも適用す
ることができる。
【0080】前述のように、本発明は、種々に変更可能
なことは明らかである。このような変更は本発明の精神
および範囲に反することなく、また当業者にとって明瞭
な全てのそのような変形、変更は、請求の範囲に含まれ
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明によるプレスブレーキの発明原
理図である。
【図2】図2は、本発明の一実施例のシステム構成図で
ある。
【図3】図3は、仮の追い込み位置を演算する際の問題
点を説明するグラフである。
【図4】図4は、仮の追い込み位置の求め方を説明する
グラフである。
【図5】図5は、仮の追い込み位置の求め方を説明する
グラフである。
【図6】図6は、仮の追い込み位置の求め方を説明する
グラフである。
【図7】図7は、仮の追い込み位置の求め方を説明する
グラフである。
【図8】図8は、本実施例の曲げ加工工程を示すフロー
チャートである。
【図9】図9は、本実施例の曲げ加工工程を示すフロー
チャートである。
【図10】図10は、本実施例の曲げ加工工程を示すフ
ローチャートである。
【図11】図11は、ワークの曲げ角度に対するデプス
量の関係を示すグラフである。
【図12】図12は、曲げ角度〜デプス量の関係を補正
演算で求める手法における計測値と従来の演算値との関
係を示すグラフである。
【図13】図13は、曲げ角度〜デプス量の関係を補正
演算で求める手法における曲げ角度に対する補正値の関
係を示すグラフである。
【図14】図14は、曲げ角度〜デプス量の関係を補正
演算で求める手法におけるラムの最終下限値の算出式を
説明するグラフである。
【図15】図15は、曲げ角度〜追い込み量データの更
新処理フローを示すフローチャートである。
【図16】図16は、スプリングバックデータの更新処
理フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 駆動金型 2 記憶手段 3 曲げ角度検出手段 4 追い込み量演算手段 5 金型駆動手段 11 プレスブレーキ 13 下金型 14 ラム 15 上金型 16 光源 17 CCDカメラ 18 角度計測ユニット 19 曲げ角度演算部 20 NC装置 21 加工条件入力部 22 計測・合否条件設定部 23 曲げ角度〜追い込み量データ部 24 スプリングバックデータ部 25 追い込み位置演算部 26 合否判定部 27 追い込み位置変更部 28 曲げ角度〜追い込み量データ更新処理部 29 スプリングバックデータ更新処理部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上金型とその上金型に対向配置される下
    金型とによりワークを曲げ加工するプレスブレーキにお
    いて、(a)ワークの加工条件,ワークの目標曲げ角度
    に対するスプリングバック角度の関係,ワークの曲げ角
    度に対する駆動金型の追い込み量の関係を含む各情報を
    記憶する記憶手段、(b)曲げ工程中にワークの曲げ角
    度を計測する曲げ角度計測手段、(c)前記記憶手段に
    記憶されている各情報から前記駆動金型の仮の追い込み
    位置を演算するとともに、この仮の追い込み位置にて前
    記曲げ角度計測手段により計測されるワークの曲げ角度
    および前記各情報から前記駆動金型の最終追い込み位置
    を演算する追い込み位置演算手段および(d)前記駆動
    金型を前記仮の追い込み位置まで駆動した後最終追い込
    み位置まで駆動する金型駆動手段を備えることを特徴と
    するプレスブレーキ。
  2. 【請求項2】 上金型とその上金型に対向配置される下
    金型とによりワークを曲げ加工するプレスブレーキにお
    いて、(a)ワークの加工条件,ワークの目標曲げ角度
    に対するスプリングバック角度の関係,ワークの曲げ角
    度に対する駆動金型の追い込み量の関係,予め設定され
    る前記駆動金型の設定最終追い込み位置および目標追い
    込み角度の何度手前でワークの曲げ角度を計測するかの
    角度計測位置指示値を記憶する記憶手段、(b)曲げ工
    程中にワークの曲げ角度を計測する曲げ角度計測手段、
    (c)前記記憶手段に記憶されているワークの加工条件
    およびワークの目標曲げ角度に対するスプリングバック
    角度の関係から前記目標追い込み角度を演算するととも
    に、この目標追い込み角度,前記角度計測位置指示値,
    前記設定最終追い込み位置および前記ワークの曲げ角度
    に対する駆動金型の追い込み量の関係から前記駆動金型
    の仮の追い込み位置を演算し、かつ、この仮の追い込み
    位置にて前記曲げ角度計測手段により計測されるワーク
    の曲げ角度,前記ワークの目標曲げ角度に対するスプリ
    ングバック角度の関係および前記ワークの曲げ角度に対
    する駆動金型の追い込み量の関係から前記駆動金型の最
    終追い込み位置を演算する追い込み位置演算手段および
    (d)前記駆動金型を前記仮の追い込み位置まで駆動し
    た後最終追い込み位置まで駆動する金型駆動手段を備え
    ることを特徴とするプレスブレーキ。
  3. 【請求項3】 さらに、前記角度計測位置指示値を入力
    する入力手段を備えることを特徴とする請求項2に記載
    のプレスブレーキ。
  4. 【請求項4】 同一形状のワークを複数枚繰り返し曲げ
    加工する場合であって、この曲げ加工が同一材料ロット
    内での繰り返しとなる場合もしくは異なる材料ロット間
    での材料ばらつきが小さい中での繰り返しとなる場合
    に、前記設定最終追い込み位置を、単工程のワークでは
    前回のワークの曲げ加工における最終追い込み位置と
    し、複数工程のワークでは前回のワークの同一工程での
    曲げ加工における最終追い込み位置とすることを特徴と
    する請求項2に記載のプレスブレーキ。
  5. 【請求項5】 始めて曲げを行うワークで曲げ加工が行
    われる場合に、前記設定最終追い込み位置を前記ワーク
    の加工条件から演算することを特徴とする請求項2に記
    載のプレスブレーキ。
  6. 【請求項6】 同一形状のワークを複数枚繰り返し曲げ
    加工する場合であって、一の材料ロットから他の材料ロ
    ットへ切り替わった場合に、前記設定最終追い込み位置
    を、単工程のワークでは前記一の材料ロットの最後の曲
    げ加工における最終追い込み位置とし、複数工程のワー
    クでは前記一の材料ロットの最後のワークの同一工程で
    の曲げ加工における最終追い込み位置とすることを特徴
    とする請求項2に記載のプレスブレーキ。
  7. 【請求項7】 一つのワークの曲げ加工において前記仮
    の追い込み位置を第1の仮の追い込み位置と第2の仮の
    追い込み位置との二位置とし、前記角度計測位置指示値
    を第1の角度計測位置指示値と第2の角度計測位置指示
    値の二つの値とすることを特徴とする請求項5または6
    に記載のプレスブレーキ。
  8. 【請求項8】 さらに、前記第1の角度計測位置指示値
    および第2の角度計測位置指示値を入力する入力手段を
    備えることを特徴とする請求項7に記載のプレスブレー
    キ。
  9. 【請求項9】 前記第1の仮の追い込み位置を前記設定
    最終追い込み位置に基づいて演算し、前記第2の仮の追
    い込み位置を前記第1の仮の追い込み位置に基づいて演
    算することを特徴とする請求項7に記載のプレスブレー
    キ。
  10. 【請求項10】 さらに、同一形状で別のワークの曲げ
    加工を行う都度前記設定最終追い込み位置を更新する設
    定最終追い込み位置更新手段を備えることを特徴とする
    請求項2に記載のプレスブレーキ。
  11. 【請求項11】 さらに、一つのワークの曲げ加工中に
    おける前記曲げ角度計測手段によるワークの曲げ角度の
    計測回数を2回,1回もしくは0回のいずれかに設定可
    能な曲げ角度計測回数設定手段を備えることを特徴とす
    る請求項2に記載のプレスブレーキ。
JP04764295A 1994-03-29 1995-03-07 プレスブレーキ Expired - Lifetime JP3666926B2 (ja)

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