JPH07310254A - 伸縮性布帛の製造方法 - Google Patents

伸縮性布帛の製造方法

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JPH07310254A
JPH07310254A JP6126816A JP12681694A JPH07310254A JP H07310254 A JPH07310254 A JP H07310254A JP 6126816 A JP6126816 A JP 6126816A JP 12681694 A JP12681694 A JP 12681694A JP H07310254 A JPH07310254 A JP H07310254A
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JP
Japan
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alkali
polyester
soluble component
stretchable
yarn
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JP6126816A
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English (en)
Inventor
Jiyunji Tanzou
淳治 丹蔵
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 衣料用生地として好適に使用しうる伸縮性布
帛の製造方法を提供する。 【構成】 アルカリ易溶解性成分とアルカリ難溶解性成
分とよりなるポリエステル系複合繊維であって、その横
断面において、アルカリ易溶解性成分とアルカリ難溶解
性成分が特定の形態で組み合わされてなるポリエステル
系複合繊維で構成された非伸縮性糸条を準備する。特定
の形態としては、例えば、アルカリ易溶解性成分が母体
となり、アルカリ難溶解性成分が母体中で楔形で且つ島
状に点在してなるものが採用される。一方、ポリエーテ
ルエステル系弾性繊維で構成された伸縮性糸条を準備す
る。そして、両糸条を、任意の形態で混用して編織物を
得る。この編織物にアルカリ処理を施して、アルカリ易
溶解性成分を溶出させめ、ポリエステル系複合繊維の横
断面形状を変形させ、伸縮性布帛を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として高級衣料用生
地,スポーツ衣料用生地或いは産業資材用生地として用
いられる、特有の風合或いは機能を持つ伸縮性布帛の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリエステル系繊維糸条で構
成されたポリエステル系布帛に、アルカリ減量処理を施
して、その風合の改良を図ることが行われている。ポリ
エステル系繊維をアルカリ溶液で処理すると、その表面
が溶解除去され、ポリエステル系繊維が減量されると共
に、繊維自体の風合が改良されるのである。しかしなが
ら、一般的なポリエステル系繊維を使用した場合、その
表面は無作為に溶解除去されるため、必然的にポリエス
テル系繊維表面の形状も無作為な形状となってしまい、
所望の風合改良が図れないということがあった。
【0003】このため、ポリエステル系繊維として、ア
ルカリ溶液に比較的溶解しやすいアルカリ易溶解性ポリ
エステル系成分と、アルカリ溶液に比較的溶解しにくい
アルカリ難溶解性ポリエステル系成分とを組み合わせた
複合繊維を使用することが行われている。即ち、このポ
リエステル系複合繊維中には、一定の形状を保持したア
ルカリ難溶解性ポリエステル系成分が存在するため、こ
れにアルカリ減量処理を施すと、アルカリ易溶解性ポリ
エステル系成分のみが溶解除去され、一定の形状のアル
カリ難溶解性ポリエステル系成分のみが残存するのであ
る。従って、アルカリ減量処理後におけるポリエステル
系繊維は、アルカリ難溶解性ポリエステル系成分のみで
構成され、その結果一定の形状を持つものとなり、所望
の風合改良を図ることができるのである。
【0004】一方、布帛にポリエーテルエステル弾性繊
維を混入させて、布帛に伸縮性を付与することを行われ
ている。従って、上記したポリエステル系複合繊維とこ
のポリエーテルエステル弾性繊維とを混用して、布帛に
所望の風合と伸縮性を付与することが試みられている。
しかしながら、ポリエステル系複合繊維と上記したポリ
エーテルエステル弾性繊維とを混用した場合、ポリエス
テル系複合繊維の種類によっては、所望の風合改善が図
られないということもあった。即ち、ポリエーテルエス
テル弾性繊維に起因する伸縮性の発現によって、所望の
風合改善が減殺されるというようなことがあったのであ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者が、
ポリエステル系複合繊維の種類を種々変更し、実験を重
ねた結果、ポリエステル系複合繊維がある特定の形態を
持っている場合、ポリエーテルエステル弾性繊維と混用
すれば、それによって得られた布帛の風合改善が、顕著
に図られることが判明したのである。本発明は、このよ
うな知見に基づいてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、アルカ
リ易溶解性成分とアルカリ難溶解性成分とよりなるポリ
エステル系複合繊維であって、その横断面において、該
アルカリ易溶解性成分と該アルカリ難溶解性成分が特定
の形態で組み合わされてなるポリエステル系複合繊維で
構成された非伸縮性糸条と、ポリエーテルエステル系弾
性繊維で構成された伸縮性糸条とを任意の形態で混用し
て編織物を得た後、該編織物にアルカリ処理を施して、
該アルカリ易溶解性成分を溶出せしめ、該ポリエステル
系複合繊維の横断面形状を変形させることを特徴とする
伸縮性布帛の製造方法に関するものである。
【0007】本発明で使用するポリエステル系複合繊維
の一つは、アルカリ易溶解性成分とアルカリ難溶解性成
分とよりなるポリエステル系複合繊維であって、その横
断面において、アルカリ易溶解性成分が母体となり、ア
ルカリ難溶解性成分が母体中で楔形で且つ島状に点在し
てなるものである。例えば、図1に示すような、楔状の
アルカリ難溶解性成分が、アルカリ易溶解性成分よりな
る母体中に、規則正しく島状に点在してなるポリエステ
ル系複合繊維を使用することができる。なお、図1中、
斜線部がアルカリ易溶解性成分であり、白地部がアルカ
リ難溶解性成分である。
【0008】また、本発明で使用するポリエステル系複
合繊維の他の一つは、アルカリ易溶解性成分とアルカリ
難溶解性成分とよりなるポリエステル系複合繊維であっ
て、その横断面はほぼ三角形状であり、アルカリ難溶解
性成分が母体となり、アルカリ易溶解性成分はほぼ三角
形状の頂点から内側に向けて突堤状に侵入してなるもの
である。例えば、図2に示すような、突堤状に侵入して
なるアルカリ易溶解性成分が、アルカリ難溶解性成分で
形成された母体である三角形の各頂点に、複数個(図面
では5個であるが、2〜7個程度が好ましい。)存在して
なるポリエステル系複合繊維を使用することができる。
なお、図2中、斜線部がアルカリ易溶解性成分であり、
白地部がアルカリ難溶解性成分である。
【0009】更に、本発明で使用するポリエステル系複
合繊維の他の一つは、アルカリ易溶解性成分とアルカリ
難溶解性成分とよりなるポリエステル系複合繊維であっ
て、その横断面はほぼ円形状であり、アルカリ難溶解性
成分は欠損部を持つ鞘を形成しており、アルカリ易溶解
性成分が芯及び鞘の欠損部に充填されてなるものであ
る。例えば、図3に示すような、鞘を形成するアルカリ
難溶解性成分がC字状となっており、この芯と右側の欠
損部にアルカリ易溶解性成分が充填されてなるポリエス
テル系複合繊維を使用することができる。なお、図3
中、斜線部がアルカリ易溶解性成分であり、白地部がア
ルカリ難溶解性成分である。
【0010】上記したポリエステル系複合繊維で使用さ
れているアルカリ難溶解性成分としては、90モル%以上
がエチレンテレフタレート単位(エチレングリコールと
テレフタル酸とで形成された構造単位)であるポリエス
テルが使用される。一方、アルカリ易溶解性成分として
は、このアルカリ難溶解性成分よりもアルカリ溶液によ
って溶解しやすいものであれば、任意のものが使用でき
る。例えば、エチレングリコールとテレフタル酸とを重
合する際に、ポリアルキレングリコール,2・2-ビス[4-
(β-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン,このエチ
レンオキサイド付加体,金属スルホイソフタル酸等の構
造単位を共重合したポリエステルを使用することができ
る。特に、ナトリウムスルホイソフタル酸を1〜5モル%
とポリエチレングリコールを10〜30重量%含有する共重
合体ポリエステルを使用するのが好ましい。
【0011】このようなポリエステル系複合繊維を集束
し、撚等を施して非伸縮性糸条を得る。非伸縮性糸条の
形態としては、多数の分割型ポリエチレンテレフタレー
ト繊維よりなるマルチフィラメント糸条、又はこのマル
チフィラメント糸条が仮撚加工された仮撚加工糸条、ニ
ット・デ・ニット加工糸条、エアー処理加工糸条等の形
態が採用される。なお、非伸縮性糸条中には、任意の他
種繊維が混入していてもよい。
【0012】一方、上記のポリエステル系複合繊維より
なる非伸縮性糸条とは別に、ポリエーテルエステル弾性
繊維よりなる伸縮性糸条を準備する。ポリエーテルエス
テル弾性繊維は、ポリエーテルとポリエステルとのブロ
ック共重合体を溶融紡糸して得られるものである。この
ポリエーテルエステル弾性繊維が、伸長率で300〜800%
程度の高伸縮性を持っている理由は、ブロック共重合体
中において、ポリエーテルがソフトセグメントとなって
おり、ポリエステルがハードセグメントとなっているた
め、この両セグメントによって高伸縮性が発揮されるの
である。ここで、ポリエステルとしては、ポリエチレン
テレフタレート若しくはポリブチレンテレフタレートが
使用され、又はこれらを主体とするポリエステルが使用
される。また、ポリエーテルとしては、ポリエチレング
リコール若しくはポリテトラメチレングリコール等の直
鎖状ポリアルキレングリコールが使用される。特に、高
伸縮性及び耐光性を得るためには、ポリテトラメチレン
グリコールを用いるのが最も好ましい。ポリエーテルの
重量平均分子量は、500〜5000であるのが好ましい。ポ
リエーテルの分子量が500より少ないと、ポリエーテル
エステル弾性繊維の伸縮性や耐光性が低下する傾向が生
じる。逆に、ポリエーテルの分子量が5000を超えると、
ハードセグメントであるポリエステルとのブロック共重
合時において相溶性が低下し、得られるポリエーテルエ
ステル弾性繊維の均質性が低下し、ひいては伸縮性が低
下する傾向が生じる。また、ブロック共重合体中におけ
る、ポリエーテルとポリエステルとの重量比は、ポリエ
ーテル/ポリエステル=0.65〜4.0/1が好ましい。ポリ
エーテルのポリエステルに対する重量比が0.65よりも少
なくなると、得られるポリエーテルエステル弾性繊維の
伸縮性が低下する傾向が生じる。逆に、ポリエーテルの
重量比が4.0を超えると、ブロック共重合体の融点降下
が大きくなって、ポリエーテルエステル弾性繊維の熱的
特性が低下し、染色加工時若しくは熱処理時等において
ポリエーテルエステル繊維が劣化若しくは変質する傾向
が生じる。なお、ポリエーテルとポリエステルとのブロ
ック共重合体には、染色性等を改良するために、少量な
らば更に他の成分が共重合されていてもよい。他の成分
が共重合されると、ハードセグメントであるポリエステ
ルによる結晶構造が乱れ、伸縮性を発現するための固定
点が消失し、伸縮性に悪影響を及ぼす恐れがあるため、
他の成分の共重合量は5モル%以下にするのが好まし
い。
【0013】上記で説明したポリエーテルエステル弾性
繊維の具体的な製造方法としては、例えば、以下の如き
方法が挙げられる。まず、エステル化反応器にテレフタ
ル酸ジメチルと1,4-ブタンジオールとを、モル比1/1.6
で仕込み、常圧下で160〜230℃の温度で2〜5時間エステ
ル交換反応を行なって、ポリエステルを得る。得られた
ポリエステルを重合缶に移送し、必要量のポリテトラメ
チレングリコールを添加し、次いで230〜260℃の温度で
1Torr以下の減圧下で所定の極限粘度に達するまで、一
般に1〜5時間重縮合反応を行ない、ポリエステルとポリ
エーテルとのブロック共重合体を得る。重縮合反応は、
一般に重縮合触媒の存在下で行なわれる。重縮合触媒と
しては、チタン化合物,アンチモン化合物,錫化合物,
カルシウム化合物,マンガン化合物,ゲルマニウム化合
物等が用いられる。特に、好ましい重合触媒は、チタン
化合物及びアンチモン化合物である。また、ポリエーテ
ルエステル製造時において、必要に応じて、各種安定剤
や顔料等を添加してもよい。以上のようにして得られた
ブロック共重合体を溶融紡糸し、延伸若しくは延伸及び
熱処理して、ポリエーテルエステル弾性繊維を得る。な
お、延伸及び熱処理を施すに際し、延伸後、連続して弛
緩熱処理を行なえば、更に優れた性能を有するポリエー
テルエステル弾性繊維を製造することができる。
【0014】このポリエーテルエステル弾性繊維で伸縮
性糸条を得る。この際、伸縮性糸条は、一本のポリエー
テルエステル弾性繊維で形成されているモノフィラメン
トであっても良いし、複数本を集束し撚等を施したもの
であってもよく、また多数のポリエーテルエステル弾性
繊維よりなるマルチフィラメント糸条であってもよい。
なお、伸縮性糸条中には、任意の他種繊維が混入してい
てもよい。
【0015】以上説明した非伸縮性糸条と伸縮性糸条と
を、任意の形態で混用して編織物を得る。例えば、以下
の如き方法で両糸条を混繊して混繊糸条を用いて、編織
物を得る。即ち、非伸縮性糸条と伸縮性糸条とをエアー
により混繊及び交絡して混繊糸条を得る方法、中空スピ
ンドルにて伸縮性糸条を芯とし非伸縮性糸条を鞘として
カバリング糸条を得る方法、2フィードタイプの撚糸機
を用いて伸縮性糸条に張力を付与しながら非伸縮性糸条
と合撚して合撚糸条を得る方法等が採用される。そし
て、この混繊糸条を用いて製編織されるのである。ま
た、非伸縮性糸条と伸縮性糸条とを、各々別個に使用
し、交編織して編織物を得ても良い。製編の場合の編組
織としては、シングルニットやダブルニット等の丸編組
織、ラッセルやトリコット等の経編組織等の従来公知の
任意の編組織が採用される。また、製織の場合の織組織
としては、ツイル織組織やサテン織組織等が採用され
る。なお、製織の場合は、経糸及び緯糸のいずれか一方
に伸縮性糸条を用い、他方に非伸縮性糸条を用いても良
いし、伸縮性糸条と非伸縮性糸条との混繊糸条を経糸及
び緯糸の両方に用いても良いし、或いは片方のみ混繊糸
条を用い他方は任意の糸条を用いてもよい。
【0016】非伸縮性糸条と伸縮性糸条との混繊糸条
(例えば、カバリング糸条)を製造する場合、伸縮性糸
条に一定のドラフトを加えながら、製造するのが好まし
い。特に、ドラフト率は、2.0〜3.5倍であるのが最も好
ましい。ここで、ドラフト率とは、伸縮性糸条の送り出
し速度に対する巻き取り速度の比である。そして、混繊
糸条を製造してしまうと、非伸縮性糸条が混用されてい
るため、大きな外力が負荷されない限り、通常の方法で
編織すれば良い。従って、このような混繊糸条を使用し
て編織する場合(例えば、丸編機で編成する場合)、混
繊糸条の積極的送り出し装置を使用する必要は少なく、
アイロテープ又はメミンガ社製の送り出し装置(通称メ
ミンガ)から、直接混繊糸条を送り出し、3〜5gの張力
で編成すればよい。
【0017】一方、伸縮性糸条に非伸縮性糸条や他の異
種繊維を混繊せずに、伸縮性糸条を単独で使用して編織
する場合には、ドラフト率が一定になるように注意しな
ければならない。何故なら、伸縮性糸条を積極的送り出
し装置を使用せずに、送り出して編織すると、ドラフト
が一定とならず、外力によって伸長が大きくなったり小
さくなったりして、得られる編織物の伸長性にばらつき
が生じるからである。例えば、伸縮性糸条を単独で使用
してトリコットを編成する場合には、伸縮性糸条の整経
工程において、ドラフト率を1.5〜3.0倍にするのが好ま
しい。このようなドラフト率に設定するには、伸縮性糸
条が巻回されているチーズを積極的に送り出し方向に回
転させ、積極的送り出しを行えばよい。即ち、伸縮性糸
条を単独で使用してトリコット編を編成する場合、伸縮
性糸条をトリコット機にかける前の整経工程で、積極的
送り出し装置を有する整経機(例えば、リバー社製整経
機)を使用し、ドラフト率1.5〜2.5倍、最終糸速100〜4
00m/分、張力3〜10g程度で整経した後、トリコット
機にかける。そして、トリコット編成時の張力が5g前
後になるよう、ランナーを調整する。これとは別に、通
常の整経機で準備された非伸縮性糸条をトリコット機に
かけることにより、伸縮性糸条と非伸縮性糸条とが交編
されたトリコットを編成することができるのである。
【0018】以上のようにして得られた編織物にアルカ
リ処理を施すのであるが、その前に精練リラックス処理
及びプレセット処理を施すのが、一般的である。精練リ
ラックス処理は、その条件によって、編織物の巾及び目
付を決定すると同時に伸縮性の強弱を決定することがで
きる。精練リラックス処理は、連続リラクサー(平野金
属株式会社製)を使用し、温度条件60〜80℃,時間条件
3〜5分程度で行うのが一般的である。また、液流を使用
して精練リラックス処理を行う場合には、温度条件80
℃,時間条件15分程度が一般的である。精練リラックス
処理の後、プレセット処理を行う。プレセット処理は、
後の染色工程等で編織物の巾及び目付が変化しても、フ
ァイナルセットで所望の巾及び目付となるようにするた
め行うものである。プレセット処理の条件は、従来公知
の適宜の温度条件及び時間条件で行えばよい。
【0019】そして、一般的には、プレセット処理を行
った後、アルカリ処理を施す。アルカリ処理は、アルカ
リ溶液に編織物を浸漬することによって行う。アルカリ
溶液としては、苛性ソーダ水溶液を用いるのが一般的で
あり、その濃度は5〜20重量%程度のものが用いられ
る。このようなアルカリ処理によって、ポリエステル系
複合繊維中のアルカリ易溶解性成分が溶解してゆき、こ
れが完全に溶解した後にアルカリ難溶解性成分の溶解が
始まる。従って、アルカリ処理の条件としては、アルカ
リ易溶解性成分はほぼ完全に溶解除去(溶出)されるけ
れども、アルカリ難溶解性成分は殆ど溶解されない条件
を採用するのが好ましい。このような条件は、ポリエス
テル系複合繊維をアルカリ溶液に浸漬し、時間の経過毎
にポリエステル系複合繊維の断面写真を判定することに
よって、容易に行うことができる。また、アルカリ易溶
解性成分がカチオン染料可染性であることを利用して、
染色判定で行うこともできる。例えば、図1に示した横
断面を持つポリエステル系複合繊維について、通常の液
流染色機(株式会社日阪製作所製のサーキュラー)を使
用し、苛性ソーダ(フレーク)水溶液(濃度10g/リッ
トル、温度100℃)に浸漬した場合、時間30分でアルカ
リ易溶解性成分がほぼ完全に溶出され、アルカリ難溶解
性成分は殆ど溶解されなかった。いずれにしても、ポリ
エステル系複合繊維の種類により、また苛性ソーダ水溶
液の温度や濃度により、この条件は種々異なるので、上
記した判定方法で好ましい条件を設定すればよい。
【0020】また、アルカリ処理を行う際、その条件に
よっては、伸縮性糸条を構成しているポリエーテルエス
テル弾性繊維も若干悪影響を受けることがある。従っ
て、アルカリ処理の条件は、ポリエーテルエステル弾性
繊維への悪影響も考慮して行うのが、好ましい。例え
ば、種々の濃度の苛性ソーダ水溶液(温度100℃)を使
用して、アルカリ処理を行うと、その時間によって弾性
が低下する程度は、図4に示すとおりである。しかし、
処理時間が前記した30分程度であると、弾性の低下は少
なく、良好な伸縮性を持つ布帛が得られる。なお、図4
は、40d/1fのモノフィラメントよりなる伸縮性糸条を
使用して実験を行ったものであり、縦軸はこの伸縮性糸
条を200%の伸長率で伸長したときの応力であり、横軸
はアルカリ処理時間である。
【0021】アルカリ処理を行った後、分散染料等を使
用して染色加工を行い、その後ファイナルセットを行う
のが一般的である。また、染色加工の前若しくは後、又
はファイナルセットの後に起毛加工を行ってもよい。ポ
リエーテルエステル弾性繊維は、ポリウレタン系弾性繊
維よりも耐熱性に優れているが、ポリエステル系繊維に
比べると、耐熱性に劣るものである。従って、染色加工
やファイナルセットの条件は、ポリエーテルエステル弾
性繊維が熱によって劣化しない程度の温度で行うのが好
ましい。ファイナルセットの具体的条件は、乾熱で160
℃以下の条件であるのが好ましく、ファイナルセットの
時間も短くするのが好ましい。
【0022】以上説明したように、特定の形態を持つポ
リエステル系複合繊維と、ポリエーテルエステル弾性繊
維とを任意の形態で混用して得られた編織物に、アルカ
リ処理を施すことによって、ポリエステル系複合繊維中
のアルカリ易溶解性成分が溶出されて、特定の形態のア
ルカリ難溶解性成分が残り、そしてポリエーテルエステ
ル弾性繊維による伸縮性と共働して、予期できない風合
改善が実現された伸縮性布帛が得られるのである。
【0023】
【実施例】
実施例1 まず、アルカリ易溶解性成分25重量%とアルカリ難溶解
性成分75重量%とで形成され、図1に示した横断面形状
を持つポリエステル系複合繊維よりなる50d/48fのマル
チフィラメント非伸縮性糸条を準備した。一方、40dの
ポリエーテルエステル弾性繊維よりなるモノフィラメン
ト伸縮性糸条を準備した。そして、3枚筬のトリコット
編機(カールマイヤー社製、32Gで働巾180”)の前筬
と中筬にマルチフィラメント非伸縮性糸条を配し、後筬
にモノフィラメント伸縮性糸条を配した。ここで、後筬
にモノフィラメント伸縮性糸条を配する際、積極的に送
り出し装置を有する整経機を用いて、モノフィラメント
伸縮性糸条のドラフト率を1.8倍にして整経しながら行
った。
【0024】トリコット編成組織は、前筬(1-0/4-
5)、中筬(1-2/1-0)、後筬(1-0/1-2)、編立コース6
0コースとして編成し、編物を得た。この編物を、次の
条件で精練リラックス処理した。即ち、液流染色機を使
用し、60℃で30分間の条件で行った。続いて、編物が20
0cm巾で85コース/吋となるように設定し、150℃で30秒
間の条件でプレセット処理を行った。その後、液流染色
機を使用し、濃度10g/リットルで液温125℃の苛性ソ
ーダ水溶液中に30分間、この編物を浸漬して、アルカリ
処理を施した。このアルカリ処理によって、ポリエステ
ル系複合繊維中からアルカリ易溶解性成分のみを溶出し
た。この結果、ポリエステル系複合繊維は、アルカリ難
溶解性成分のみよりなる極細繊維の束となり、各極細繊
維の繊度は、(50/48)×0.75×(1/8)=0.10デニー
ルとなる。その後、分散染料にて染色加工を行った後、
水洗乾燥した。そして、得られた伸縮性布帛のアンダー
ラップ側に針布が当接するようにして、エメリー起毛機
で起毛加工を行い、スエード調ピーチ加工を行った。次
いで、伸縮性布帛が100cm巾(×2枚)で95コース/吋と
なるように設定し、160℃で30秒間の条件でセッターを
使用してファイナルセットを行った。
【0025】以上のようにして得られたスエード調伸縮
性布帛は、繊度0.10デニール程度の極細繊維が布帛表面
に毛羽立った状態で起毛されており、ピーチ調の風合を
有するものであり、且つ伸縮性に優れているものであ
る。そして、ピーチ調の風合と伸縮性との両者の機能を
発揮させることによって、布帛表面の毛羽立ちに起因す
るピリングやスナッギングを防止することができるので
ある。従って、このスエード調伸縮性布帛は、高級外衣
用生地として好適に使用しうるものである。
【0026】比較例1 図1に示した横断面形状を持つポリエステル系複合繊維
よりなる50d/48fのマルチフィラメント非伸縮性糸条に
代えて、通常のポリエステル系繊維よりなる50d/48fの
マルチフィラメント非伸縮性糸条を使用する他は、実施
例1と同様にして伸縮性布帛を得た。この伸縮性布帛
は、伸縮性は良好なもののスエード調やピーチ調の風合
を呈するものではなかった。
【0027】比較例2 40dのポリエーテルエステル弾性繊維よりなるモノフィ
ラメント伸縮性糸条に代えて、ポリウレタン系弾性繊維
よりなる40d/3fのマルチフィラメント伸縮性糸条を使
用する他は、実施例1と同様にして伸縮性布帛を得た。
この伸縮性布帛は、良好なスエード調或いはピーチ調風
合を呈するものであったが、伸縮性に耐久性がなく、日
数が経過すると伸縮性が低下してゆくというものであっ
た。
【0028】なお、以上の実施例1及び比較例1,2で
得られた伸縮性布帛の物性を表1に示した。
【表1】
【0029】表1中の各項目の測定方法などは、以下の
とおりである。 [伸長率]:JIS L-1018(定速伸長形法)に準拠して、
1.5kg応力時における伸長率(%)を測定した。 [伸長回復率]:JIS L-1018(定速伸長形法)に準拠し
て、1.5kg応力を荷重し、前記伸長率に対して80%の伸
長を行い、そのままの状態で1分間放置し、その後除重
し、3分間放置後の長さを測定し、伸長回復率(%)を
測定した。 [風合]:ハンドリングによって、ピーチ感の程度を官
能で評価した。 [ピリング・スナッギング]:目視によって、ピリング
及びスナッギングの状態を評価した。 [伸長回復性の耐久性]:ハンドリングによって、日数
の経過後における伸長回復性の程度を評価した。
【0030】実施例2 まず、アルカリ易溶解性成分20重量%とアルカリ難溶解
性成分80重量%とで形成され、図2に示した横断面形状
を持つポリエステル系複合繊維よりなる75d/24fのマル
チフィラメント非伸縮性糸条を準備した。一方、40dの
ポリエーテルエステル弾性繊維よりなるモノフィラメン
ト糸と、通常のポリエステル繊維よりなる75d/36fのマ
ルチフィラメント糸とをSD加工して、マルチフィラメ
ント糸がモノフィラメント糸をカバリングしてなる500
t/mの撚数を有するカバリング伸縮性糸条を準備し
た。そして、両面丸編機(28G,釜径38”,福原精機株
式会社製)を使用し、モックミラノリブ組織で編物を編
成した。なお、四つの給糸口のうち、第一給糸口,第二
給糸口,第三給糸口には、マルチフィラメント非伸縮性
糸条を給糸し、第四給糸口にはカバリング伸縮性糸条を
給糸した。
【0031】以上のようにして得られた編物は、巾180c
mで目付が280g/m巾であった。そして、この編物を、
次の条件で精練リラックス処理した。即ち、連続リラク
サー(平野金属株式会社製)を使用し、80℃で15分間の
条件で行った。続いて、編物が150cm巾で目付が350g/
m巾となるように設定し、セッター(市金工業社製、テ
ンター)を使用して、160℃で30秒間の条件でプレセッ
ト処理を行った。その後、液流減量機(株式会社日阪製
作所製、サーキュラー)を使用し、濃度10g/リットル
で液温125℃の苛性ソーダ水溶液中に30分間、この編物
を浸漬して、アルカリ処理を施した。このアルカリ処理
によって、ポリエステル系複合繊維中からアルカリ易溶
解性成分のみを溶出した。この結果、ポリエステル系複
合繊維は、横断面において、各頂点にスリット状の切れ
目を持つ三角形状のアルカリ難溶解性成分のみよりなる
ポリエステル系繊維となり、このポリエステル系繊維の
繊度は、(75/24)×0.8=2.5デニールとなる。その
後、分散染料にて染色加工を行った後、水洗乾燥した。
そして、得られた伸縮性布帛を、160℃で30秒間の条件
でセッターを使用してファイナルセットを行った。
【0032】以上のようにして得られた伸縮性布帛は、
横断面が三角形状であって、各頂点にスリット状の切れ
目を持つポリエステル系繊維が含有されているので、ド
ライでシルキー調の風合を有するものであり、且つ伸縮
性に優れているものである。そして、ドライでシルキー
調の風合と伸縮性との両者の機能を発揮させることによ
って、この風合をよりシャープに表現させることができ
るのである。従って、この伸縮性布帛は、高級衣料用生
地として好適に使用しうるものである。
【0033】比較例3 図2に示した横断面形状を持つポリエステル系複合繊維
よりなる75d/24fのマルチフィラメント非伸縮性糸条に
代えて、通常のポリエステル系繊維(アルカリ易溶解性
成分を含まないもの)であって、図2に示した横断面形
状(ほぼ三角形状)を持つものよりなる75d/24fのマル
チフィラメント非伸縮性糸条を使用する他は、実施例2
と同様にして伸縮性布帛を得た。この伸縮性布帛は、伸
縮性は良好なもののドライでシルキー調の風合を呈する
ものではなかった。
【0034】比較例4 カバリング伸縮性糸条に代えて、通常のポリエステル繊
維よりなる100d/24fのマルチフィラメント非伸縮性糸
条を使用する他は、実施例2と同様にして布帛を得た。
この布帛は、ドライでシルキー調の風合を呈するもので
あったが、実施例2で得られた伸縮性布帛のドライでシ
ルキー調の風合に比較して、シャープさに欠けるもので
あった。
【0035】なお、以上の実施例2及び比較例3,4で
得られた伸縮性布帛等の物性を表2に示した。
【表2】
【0036】表2中の各項目の測定方法などは、表1と
同様である。なお、表1に存在しない項目については、
以下のとおりである。 [ドライ感及びシルキー感]:ハンドリングによって、
官能で評価した。 [シャープ感]:ハンドリングによって、ドライ感及び
シルキー感の感触の鋭さを官能で評価した。
【0037】実施例3 まず、アルカリ易溶解性成分40重量%とアルカリ難溶解
性成分60重量%とで形成され、図3に示した横断面形状
を持つポリエステル系複合繊維よりなる100d/24fのマ
ルチフィラメント非伸縮性糸条を準備した。一方、40d
のポリエーテルエステル弾性繊維よりなるモノフィラメ
ント糸と、通常のポリエステル繊維よりなる50d/24fの
マルチフィラメント糸とを使用して、マルチフィラメン
ト糸がモノフィラメント糸をカバリングしてなる600t
/mの撚数を有するカバリング伸縮性糸条を準備した。
そして、シンカーパイル丸編機(28G,釜径30”,シン
カー高さ2.2mm、福原精機株式会社製)を使用し、パイ
ル部をマルチフィラメント非伸縮性糸条で編成し、グラ
ンド部をカバリング伸縮性糸条で編成して、パイル編地
を得た。
【0038】以上のようにして得られたパイル編地は、
巾220cmで目付が480g/m巾であった。そして、針布起
毛機(南海鉄工株式会社製)を使用し、このパイル編地
のパイル面及びループ面を、各々2回予備起毛を行っ
た。続いて、パイル編地が150cm巾で目付が450g/m巾
となるように設定して、プレセット処理を行った。その
後、液流減量機(株式会社日阪製作所製、サーキュラ
ー)を使用し、濃度10g/リットルで液温125℃の苛性
ソーダ水溶液中に30分間、このパイル編地を浸漬して、
アルカリ処理を施した。このアルカリ処理によって、ポ
リエステル系複合繊維中からアルカリ易溶解性成分のみ
を溶解除去した。この結果、ポリエステル系複合繊維
は、横断面において、C字状の中空形状となったアルカ
リ難溶解性成分のみよりなるポリエステル系繊維とな
り、このポリエステル系繊維の繊度は、(100/24)×
0.6=2.5デニールとなる。その後、分散染料にて染色加
工を行った後、水洗乾燥した。そして、得られた伸縮性
布帛が、160cm巾で目付が350g/m巾となるように設定
して、第二回目のプレセットを行った。次いで、両面を
フリース調にすべく起毛加工を行い、続いて、伸縮性布
帛が140cm巾で目付320g/m巾となるように設定し、フ
ァイナルセットを行った。
【0039】以上のようにして得られた伸縮性布帛は、
横断面がC字状のポリエステル系中空繊維が含有されて
いるので、軽量であり、且つ伸縮性に優れているもので
ある。そして、伸縮性の機能を発揮させることによっ
て、現実の重量よりも重い風合を表現させることができ
る。従って、スポーツ・カジュアル衣料用生地として好
適に使用しうるものである。
【0040】比較例5 図3に示した横断面形状を持つポリエステル系複合繊維
よりなる100d/24fのマルチフィラメント非伸縮性糸条
に代えて、通常のポリエステル系繊維よりなる100d/24
fのマルチフィラメント非伸縮性糸条を使用する他は、
実施例3と同様にして伸縮性布帛を得た。この伸縮性布
帛は、現実に重量が重く、スポーツ・カジュアル衣料用
生地としては不適当であった。
【0041】比較例6 カバリング伸縮性糸条に代えて、通常のポリエステル繊
維よりなる75d/36fのマルチフィラメント非伸縮性糸条
を使用する他は、実施例3と同様にして布帛を得た。こ
の布帛は、比較的軽量感に富むものであったが、風合的
に重量感に乏しいものであった。
【0042】なお、以上の実施例3及び比較例5,6で
得られた伸縮性布帛等の物性を表3に示した。
【表3】
【0043】表3中の各項目の測定方法などは、表1と
同様である。なお、表1に存在しない項目については、
以下のとおりである。 [目付]:仕上巾(140cm)で長さ1mの試料の重量であ
る。 [厚み]:無荷重の状態で、試料の厚みを測定した。 [密度]:(目付)/(仕上巾×厚み)なる式で算出さ
れるものである。なお、目付の単位はgであり、仕上巾
及び厚みの単位はcmである。 [風合(重量感)]:現実の重量に比べて、ハンドリン
グした際の重量感を官能により評価したものである。ハ
ンドリングした際に現実の重量よりも軽く感じるものを
「軽い」と評価し、重く感じるものを「重い」と評価し
た。また、現実の重量のとおり感じるものを「普通」と
評価した。
【0044】
【作用及び発明の効果】本発明で使用するポリエステル
系複合繊維の一つは、アルカリ易溶解性成分とアルカリ
難溶解性成分とよりなるポリエステル系複合繊維であっ
て、その横断面において、アルカリ易溶解性成分が母体
となり、アルカリ難溶解性成分が母体中で楔形で且つ島
状に点在してなるものである。そして、このポリエステ
ル系複合繊維とポリエーテルエステル弾性繊維とを混用
して編織物を得た後、アルカリ処理してアルカリ易溶解
性成分を溶出せしめて、伸縮性布帛を製造すれば、この
伸縮性布帛中には、アルカリ難溶解性成分のみで構成さ
れた極細繊維が存在している。従って、この伸縮性布帛
は、ピーチ調の風合と伸縮性とを持つものである。そし
て、ピーチ調の風合と伸縮性との両者の機能を発揮させ
ることによって、ピーチ調を具現するため布帛表面に毛
羽立っている極細繊維に、ピリングやスナッギングが生
じるのを防止しうるという効果を奏するのである。依っ
て、高級外衣用生地として好適に使用しうるものであ
る。
【0045】また、本発明で使用するポリエステル系複
合繊維の他の一つは、アルカリ易溶解性成分とアルカリ
難溶解性成分とよりなるポリエステル系複合繊維であっ
て、その横断面はほぼ三角形状であり、アルカリ難溶解
性成分が母体となり、アルカリ易溶解性成分はほぼ三角
形状の頂点から内側に向けて突堤状に侵入してなるもの
である。そして、このポリエステル系複合繊維とポリエ
ーテルエステル弾性繊維とを混用して編織物を得た後、
アルカリ処理してアルカリ易溶解性成分を溶出せしめ
て、伸縮性布帛を製造すれば、この伸縮性布帛中には、
アルカリ難溶解性成分で構成された、横断面がほぼ三角
形状で、各頂点にスリット状の切れ目が設けられている
ポリエステル系繊維が存在している。従って、この伸縮
性布帛は、ドライでシルキー感に優れた風合と伸縮性と
を持つものである。そして、ドライでシルキー感に優れ
た風合と伸縮性との両者の機能を発揮させることによっ
て、布帛の持つドライでシルキー感が非常にシャープな
ものになり、風合の向上を図ることができるという効果
を奏する。依って、高級衣料用生地として好適に使用し
うるものである。
【0046】更に、本発明で使用するポリエステル系複
合繊維の他の一つは、アルカリ易溶解性成分とアルカリ
難溶解性成分とよりなるポリエステル系複合繊維であっ
て、その横断面はほぼ円形状であり、アルカリ難溶解性
成分は欠損部を持つ鞘を形成しており、アルカリ易溶解
性成分が芯及び鞘の欠損部に充填されてなるものであ
る。そして、このポリエステル系複合繊維とポリエーテ
ルエステル弾性繊維とを混用して編織物を得た後、アル
カリ処理してアルカリ易溶解性成分を溶出せしめて、伸
縮性布帛を製造すれば、この伸縮性布帛中には、アルカ
リ難溶解性成分で構成された、横断面がほぼC字状等の
ポリエステル系中空繊維が存在している。従って、この
伸縮性布帛は、現実の重量が軽量で且つ伸縮性を持つも
のである。そして、この伸縮性の機能が発揮されること
によって、現実の重量よりも風合的に重い感触が付与さ
れるという効果を奏する。依って、スポーツ・カジュア
ル衣料用の生地しとて好適に使用しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用するポリエステル系複合繊
維の一例に関する横断面図である。
【図2】本発明において使用するポリエステル系複合繊
維の一例に関する横断面図である。
【図3】本発明において使用するポリエステル系複合繊
維の一例に関する横断面図である。
【図4】アルカリ処理時において、40d/1fのポリエー
テルエステルモノフィラメントよりなる伸縮性糸条の伸
長性と、アルカリ処理時間との関係を示したグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 11/38

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ易溶解性成分とアルカリ難溶解
    性成分とよりなるポリエステル系複合繊維であって、そ
    の横断面において、該アルカリ易溶解性成分が母体とな
    り、該アルカリ難溶解性成分が該母体中で楔形で且つ島
    状に点在してなるポリエステル系複合繊維で構成された
    非伸縮性糸条と、ポリエーテルエステル系弾性繊維で構
    成された伸縮性糸条とを任意の形態で混用して編織物を
    得た後、該編織物にアルカリ処理を施して、該アルカリ
    易溶解性成分を溶出せしめ、該ポリエステル系複合繊維
    の横断面形状を変形させることを特徴とする伸縮性布帛
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ易溶解性成分とアルカリ難溶解
    性成分とよりなるポリエステル系複合繊維であって、そ
    の横断面はほぼ三角形状であり、該アルカリ難溶解性成
    分が母体となり、該アルカリ易溶解性成分は該ほぼ三角
    形状の頂点から内側に向けて突堤状に侵入してなるポリ
    エステル系複合繊維で構成された非伸縮性糸条と、ポリ
    エーテルエステル系弾性繊維で構成された伸縮性糸条と
    を任意の形態で混用して編織物を得た後、該編織物にア
    ルカリ処理を施して、該アルカリ易溶解性成分を溶出せ
    しめ、該ポリエステル系複合繊維の横断面形状を変形さ
    せることを特徴とする伸縮性布帛の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルカリ易溶解性成分とアルカリ難溶解
    性成分とよりなるポリエステル系複合繊維であって、そ
    の横断面はほぼ円形状であり、該アルカリ難溶解性成分
    は欠損部を持つ鞘を形成しており、該アルカリ易溶解性
    成分が芯及び鞘の欠損部に充填されてなるポリエステル
    系複合繊維で構成された非伸縮性糸条と、ポリエーテル
    エステル系弾性繊維で構成された伸縮性糸条とを任意の
    形態で混用して編織物を得た後、該編織物にアルカリ処
    理を施して、該アルカリ易溶解性成分を溶出せしめ、該
    ポリエステル系複合繊維の横断面形状を変形させること
    を特徴とする伸縮性布帛の製造方法。
JP6126816A 1994-05-16 1994-05-16 伸縮性布帛の製造方法 Pending JPH07310254A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016098439A (ja) * 2014-11-18 2016-05-30 東レ株式会社 複合糸及びこれを用いた布帛

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