JPH073091Y2 - ハウジングの密封構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は自動車等のエンジンにおけるシャフトと本体と
の密封を主な目的とする密封構造に関し、さらに具体的
にはクランクシャフト等の特殊密封用途に適合するオイ
ルシール付リテーナの形状改良に関するものである。

［従来の構造］ 従来、自動車等に搭載されたエンジンの、シリンダブロ
ックとクランクシャフトとを密封するカバー形状をした
リテーナ（２′）は、図面によって説明すると第３図の
ように、アルミニウムダイキャスト等で形成されその各
部分に高精度な研削加工を施しており、これに補強環と
弾性体からなるオイルシール（８）を後に嵌装取付し
て、これを接合部の形状に造形したパッキング部材
（９）を介してシリンダブロックあるいはオイルパン等
の取付部材（４）に取り付け密封作用をなさしめてい
た。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、このような複数の部品点数を持つ複合タ
イプのリテーナ（２′）は、各々の精度を高めても複数
の誤差が加算されるので全体的には高精度を確保するに
至らず、また、オイルシール（８）の脱落・偏心・傾等
の解決されなければならない取付上の問題が残ってい
た。

また、前記のように該リテーナ（２′）は弾力性に富む
パッキング部材（９）によって取付固定されているので
締付力のバラツキによっても容易にオイルシール（８）
のリップ摺動バランスを崩しその密接力と耐久力を低下
させるなど高い密封性能を確保することができない致命
的な欠点を有している。

また、前記パッキング部材（９）の代わりに、シリコン
ラバーのごとき液状ガスケットを塗布し締付時のバラツ
キやボルトのトルクダウンを防止する方法も存在する
が、これらはリテーナ（２′）の高い面精度を要するた
め該リテーナ（２′）のフランジ面を機械加工する必要
があり部品コストが上昇する欠点となっていた。

本考案はこのような多くの不具合を解消し、部品点数を
省略して嵌合作業を廃止せしめ取付精度を高めて高い密
封力を発揮する密封構造を提供することを目的としてい
る。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、第１図に示すようにエンジンのクランクシャ
フト（１）に貫通されたカバー形状を持つリテーナ
（２）のオイル密封装置であって、一枚の金属板を位置
決め部も含めてプレス形成してなる前記リテーナ（２）
の、その内周部へクランクシャフト（１）に摺接する弾
性体製のダイナミックシール（３）を設けると共に、取
付部材（４）との接合面に条形状のパッキング（５）を
突設形成せしめ、この接合面のパッキング（５）横に該
パッキング（５）の高さより薄い厚み寸法を有した締付
規制プレート（６）を配設して、前記接合面を外方から
覆う補強板（７）によって前記ハウジング（２）を挟着
固定したことを特徴としている。

また、前記締付規制プレート（６）は前記ハウジング
（２）から続く接合面の周縁を適当寸法内側に折り曲げ
て形成したことを特徴としている。

［作用］ 本考案は上記のような構造をもって下記に示す優れた作
用をなす。

すなわち、本考案の密封構造は、第１図に示すように弾
性体からなるダイナミックシール（３）が位置決め部
（図示していない）を持つハウジング（２）に直接取付
られ、また、該ハウジング（２）には他部材との接触面
に締付規制されたパッキング（５）も形成されており、
従って該ハウジング（２）の装着では、このハウジング
（２）をシリンダブロックあるいはオイルパン等の取付
部材（４）に取付けその外方から補強板（７）をボルト
（10）によって締着するだけで正確な取付が完了すると
いう極めて軽便な作業性を見せる。

前記したパッキング（５）の締付規制は、該パッキング
（５）の形成されたハウジング（２）の接合面に、第１
図及び第２図に示すような寸法規制プレート（６）を配
設することによって可能となり、締付寸法を一定とし均
一で最適な締め圧を得さしめている。

［実施例］ 本考案を実施するに、ハウジング（２）の形成は、従来
のように過大な圧入力を用いるオイルシール（８）の後
嵌合をなす必要がないので大きい剛性が不要であり、例
えば安価で造形性に優れる鉄材の如き薄材であっても差
し支えなく、その成形も、第２図に示すようなハウジン
グ（２）の周縁を内側に折り曲げて締付規制プレート
（６）を形成することも可能であるから極めて安価なプ
レート造形を受け入れることができる。

なお、第１図で示した締付規制プレート（６）は、一般
的にはスポット溶接され固着される。また、折り曲げ形
成したものも含めその厚み寸法は、第２図に示すように
ガスケット（５）の厚みT0に対して、寸法規制プレート
（６）の厚みT1を20％〜40％薄い厚み寸法に設定するの
が好ましい圧縮寸法範囲となるが、弾性体の圧縮特性で
決定されればよいので特にこだわるものでない。

［考案の効果］ 本考案はこのような一体構造によって、ハウジング
（２）が取付部材（４）にぴったりと精度良く取り付ら
れ、シールリップ摺動部とクランクシャフト（１）との
位置関係が正確となり歪みのない高い精度の摺動が得ら
れる。このときパッキング（５）は寸法規制プレート
（６）によって圧縮永久歪みの発生し難い最適締付圧で
締め付けられており耐久性能と密封性能を大幅に向上せ
しめた。また、パッキング（５）及び寸法規制プレート
（６）をも一体化したハウジング（２）は取付作業性を
飛躍的に向上させる。

さらに、ハウジング（２）を薄材で形成し、軽量な補強
板（７）をもって取り付けることにより大幅な軽量化を
図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の密封装置の一実施例を表した断面図で
ある。第２図は本考案の他の実施例を示した部分断面図
である。第３図は従来のハウジングを示した断面図であ
る。 １…クランクシャフト、２…ハウジング、３…ダイナミ
ックシール、４…取付部材、５…パッキング、６…寸法
規制プレート、７…補強板、８…オイルシール、９…パ
ッキング部材、10…ボルト。 T0…パッキング厚み、T1…寸法規制プレート厚み。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンのクランクシャフト（１）に貫通
   されたカバー形状を持つハウジング（２）の密封構造で
   あって；薄板材からなり位置決め部を具備した前記ハウ
   ジング（２）にクランクシャフト（１）を密封するダイ
   ナミックシール（３）を成型すると共に取付部材（４）
   との接合面に条形状のパッキング（５）を突設形成せし
   め、この接合面のパッキング（５）横に締付規制プレー
   ト（６）を配設して、前記接合面を外方から覆う補強板
   （７）によって前記ハウジング（２）を挟着固定したこ
   とを特徴とするハウジングの密封構造。
2. 【請求項２】前記締付規制プレート（６）は前記接合面
   の周縁を折り曲げて形成されたことを特徴とする請求項
   （１）記載のハウジングの密封構造。