JPH0730908Y2 - コンバインのエンジン冷却装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ラジエータの前方部位に防塵壁を配設したコ
ンバインのエンジン冷却装置に関する。

〔従来の技術〕

一般にこの種のコンバインのエンジン冷却装置は外気を
吸気口に備えられた防塵壁を通すことで大気中の塵を除
去し、清浄となった外気を防塵ダクトを通してラジエー
タに供給してエンジンを冷却する方法が採られている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、通気口からの外気の吸入作用にともなって防塵
壁には目詰まりが発生し、長時間にわたって連続運転す
ると、外気の吸入効率の低下とともに、エンジンのオー
バーヒートを誘発する。そこで、エンジンのオーバーヒ
ートを防止すべく、防塵壁の目詰まりが激しくなる前に
防塵網の清掃を行っているのであるが、その度に作業を
中断しなければならず、作業能率の低下を招くものであ
った。

また、防塵網をその目詰まり状態を清掃する際等におい
て変形しないように耐久性の高いものにすることが望ま
しい。

本考案は、上記実情に鑑みてなされたものであって、防
塵網の目詰まり進行を抑制するとともに、作業能率を高
めることができ、かつ、防塵網の耐久性を高いものにで
きるコンバインのエンジン冷却装置の提供を目的とす
る。

〔課題を解決するための手段〕

本考案にかかるコンバインのエンジン冷却装置は、上記
目的を達成するために、ラジエータの前方部位に防塵壁
を配設したコンバインのエンジン冷却装置において、前
記防塵壁は、防塵網付きの多数の吸気口を備えた内壁部
材と、その吸気口に対して通風用間隙を隔てて並置され
た外壁部材とから構成され、前記外壁部材は、多数の外
気流入口を形成してあるとともに、前記内壁部材は、前
記外壁部材の外気流入口に対向する位置に、前記外気流
入口から流入した外気と衝突してその外気の進行方向を
転換させる衝突板を備え、かつ、この衝突板で区画形成
される範囲に前記防塵網を取り付けて、前記吸気口を構
成してあることを特徴構成とする。

かかる特徴構成による作用及び効果は次の通りでる。

〔作用〕

すなわち、吸気口に吸入される外気は、防塵壁を構成す
る外壁部材の外気流入口から通風用間隙を介して流入す
る。そして、外気流入口は、内壁部材に設けた衝突板に
対向しているから、防塵網に目詰まりを起こさせるよう
な塵が外気流入口から侵入しても、吸気に伴う空気の流
れは吸気口の防塵網に直接衝突せずに先ず衝突板に衝突
して、通風用間隙において乱流や過流が生じることによ
り、塵は乱運動することになって、防塵網に付着しにく
くなるとともに、最終的には塵埃が通風用間隙における
下方に落下し易くなるのである。

また、内壁部材に設けられる防塵網の吸気口は衝突板で
区画されて小面積となることと、衝突板が補強部材の役
割を果たすことと相まって防塵網の強度が高められる。

〔考案の効果〕

その結果、防塵網の目詰まりの進行が抑制され防塵網の
掃除頻度が減るので、作業の中断回数も減少し、作業能
率を高めることができるとともに、防塵網の強度が高ま
ることで、防塵網に対する掃除等によって防塵網が変形
しないようその耐久性を向上できるに至った。

〔実施例〕

以下に、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第６図に示すように、クローラ式走行装置を備えた機台
上に、植立穀稈を引起こして刈り取る前処理部（１）、
その穀稈を後方に向けて搬送する搬送装置（２）、搬送
されてきた穀稈を脱穀処理しつつ後方へ移送する脱穀装
置（３）、脱穀済穀稈を切断処理、あるいは結束して長
ワラのまま放出する等の排ワラ処理を行う排ワラ処理装
置（４）、及び、前記脱穀装置（３）内で選別処理され
た一番穀物を揚穀装置（５）を介してホッパー（６）内
に収容し、かつ、そのホッパー（６）から穀物を取り出
して袋詰め作業を行えるように構成してある袋詰め部
（７）等の各種作業用機器を搭載設置するとともに、機
体の前方側一側部に操縦部（８）、及びエンジン部（1
4）を設け、もってコンバインを構成してある。

エンジン部（14）は、前記操縦座席（９）の下側空間を
利用して設けられており、前記操縦座席（９）をその上
部外面に設置したボンネット（15）と、そのボンネット
（15）で覆われたエンジン関連機器、並びに、ボンネッ
ト（15）の上部外面で前記操縦座席（９）の後方に位置
させて、ボンネット（15）と一体化した燃料タンク（1
6）とから構成されている。

エンジン関連機器は、ディーゼルエンジン（17）の他、
その一側部に一体的に組付けられたインジェクションポ
ンプ（18）、及び、ラジエータ（19）、ファン（20）等
から構成されており、前記ラジエータ（19）が機体外側
端側に位置して、機体内方側へ向けて外気を導入するよ
うに配設されている。

第３図に示すように、エンジン部（14）から出力された
駆動力は、駆動プーリ（10）から２つのベルト（11
a），（11b）を介してミッションケース（Ｍ）側の従動
プーリ（12）と脱穀装置（３）側の従動プーリ（13）と
に伝達される。駆動プーリ（10）と脱殻装置（３）側の
従動プーリ（13）との間には、両プーリ（10），（13）
に巻回されたベルト（11a）に作用するテンションプー
リ（27）が設けられている。前記テンションプーリ（2
7）は、テンションアーム（28）の端部に軸支され、テ
ンションアーム（28）の他端部は、テンションスプリン
グ（29）によって弾性的に引っ張られていると同時に、
操縦座席（９）の手前のステップ（30）に設けられた走
行クラッチペダル（31）にレリーズワイヤー（32）を介
して連結されている。

前記レリーズワイヤー（32）は、インナーワイヤー（3
3）とそれを覆うアウターワイヤー（34）とからなり、
インナーワイヤー（33）の両先端部はテンションアーム
（28）及び走行クラッチペダル（31）とにそれぞれ連結
され、アクターワイヤー（34）の端部金具（37）は、第
４図に示すように、機体側の固定枠（38）にボルト止め
したワイヤー受（39）に差し込み支持されている。

前記ワイヤー受（39）は、第４（ロ）に示すように突出
ボス部（39a）を固定枠（38）に挿通させる場合と、図
４（イ）に示すように突出ボス部（39a）を固定枠（3
8）に挿通させない場合との２通りに装着でき、その選
択によってアウターワイヤー（34）の端部金具（37）の
位置を変更することで、テンションアーム（28）の揺動
範囲を変更できるように構成されている。

前記ボンネット（15）は、機体外側端側の一面に防塵網
（21）等を張設して備えている防塵壁（Ａ）と、エンジ
ン部空間を覆うエンジン部収容室（23）とを有した筐状
に構成されている。

前記防塵壁（Ａ）は、第１図及び第２図に示すように、
多数の四角形状の吸気口（24）を有し、その吸気口（2
4）に、防塵網（21）を張設して構成した内壁部材（2
2）と、それら吸気口（24）を設けた全面にわたってそ
の外側に通風用間隙（26）を間におく状態で配設した外
壁部材としての外カバー（25）とで構成している。

前記外カバー（25）は、吸気口（24）群の全体を覆える
程度の大きさであって、外カバー（25）において、各吸
気口（24）の間に位置するように防塵網（21）を取り付
けた衝突板（22a）に対向する箇所には、外気流入口（2
5a）を形成してある。

〔別実施例〕

前記外気流入口（25a）を第７図に示すように斜め下方
に向けることによって塵の落下を促進させるようにして
も良い。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案にかかるコンバインのエンジン冷却装置
の実施例を示し、第１図は冷却風取り入れ部分の側面
図、第２図はエンジン部の縦断背面図、第３図はコンバ
インの駆動系を示す概略説明図、第４図（イ）（ロ）は
レリーズワイヤーの取付図、第５図はワイヤー受の斜視
図、第６図はコンバインの全体平面図、第７図は別実施
例の要部縦断背面図である。 （19）……ラジエータ、（21）……防塵網、（22）……
内燃部材、（22a）……壁面、（24）……吸気口、（2
5）……外壁部材、（25a）……外気流入口、（Ａ）……
防塵壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ラジエータ（19）の前方部位に防塵壁
   （Ａ）を配設したコンバインのエンジン冷却装置であっ
   て、 前記防塵壁（Ａ）は、防塵網（21）付きの多数の吸気口
   （24）を備えた内壁部材（22）と、その吸気口（24）に
   対して通風用間隙（26）を隔てて並置された外壁部材
   （25）とから構成され、 前記外壁部材（25）は、多数の外気流入口（25a）を形
   成してあるとともに、 前記内壁部材（22）は、前記外壁部材（25）の外気流入
   口（25a）に対向する位置に、前記外気流入口（25a）か
   ら流入した外気と衝突してその外気の進行方向を転換さ
   せる衝突板（22a）を備え、かつ、この衝突板（22a）で
   区画形成される範囲に前記防塵網（21）を取り付けて、
   前記吸気口（24）を構成してあるコンバインのエンジン
   冷却装置。