JPH0730536B2 - 消波フェンス - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、液体中に生じた波動を減じる消波フェンスに
関する。

〔従来の技術〕

海において海水に生じた波動（波）を減じさせる手段と
して例えば防波堤がある。この防波堤とは、コンクリー
ト等によって壁を作製し、この壁により波動の伝達を防
止するものである。これによれば、ほとんどの波動を遮
断することができる。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところが上述した防波堤は、大規模なものでありその作
製に膨大な費用がかかる上、一旦作製してしまうと容易
に撤去することができない。従って、防波堤はその使用
に制限が多いものとなっている。

本発明はこのような事情を考慮してなされたものであ
り、その目的とするところは、簡易な構造で設置，撤去
等を容易に行なうことができ、かつ効果的に波を減じる
ことのできる消波フェンスを提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、脚状部とこの脚状部の上部から両側に張り出
した翼状部とを有したうきと、下端が移動自由な状態で
前記脚状部から吊り下げられたシート部材と、前記うき
の前記脚状部と前記翼状部との接合位置に、前記脚状部
および前記翼状部のそれぞれに沿って配置され、当該位
置を軸に前記うきを回動自在に支持する支持部材とを具
備して消波フェンスを構成したことを特徴としている。

〔作用〕

このような手段を講じたことにより、例えば、上記うき
の脚状部から吊り下げられたシート部材が波の到来方向
に対してほぼ垂直になる如く上記うきを水上に浮かべる
と以下の如き作用を呈する。すなわち、波が上記うきの
位置まで到来すると、まず波の到来方向側に張出した翼
状部が波によって上方に押上げられる。このときうきは
支持部材によって回動可能に保持されているため、支持
部材を軸にしてうきが傾き、うきの脚状部は波の到来方
向側に揺動する。この脚状部の揺動により上記脚状部か
ら下端が移動自由な状態に吊り下げられているシート部
材が波の到来方向へと引張られて移動する。このときの
上記脚状部の揺動方向およびシート部材の移動方向は波
の到来方向側であり、従って上記脚状部の揺動力とシー
ト部材の移動力は到来する波のエネルギーを打消す力と
して働く。

また、波の到来方向側に位置する翼状部が波によって押
上げられてうきが傾いたとき、波の到来方向とは逆側の
翼状部は水中に押下げられる。このとき、波の到来方向
とは逆側の翼状部は水中に押下げられることによって浮
力が増加し、波の到来方向側の翼状部が波によって押上
げられるのを妨げる力として働く。これにより、波の到
来方向側の翼状部は波の振幅を妨げ、波の振幅が抑制さ
れる。

以上のような２つの作用によって効果的に波動が減じら
れる。

〔実施例〕

以下、図面を参照して本発明の一実施例に係る消波フェ
ンスにつき説明する。

第１図は同消波フェンスの構成を示す斜視図である。図
中、１はうきであり、平板状の脚状部1aの上端部両側に
平板状の第１および第２の翼状部1b,1cが垂直に接合さ
れて断面Ｔ字状に形成されている。なおここでは、脚状
部1aと第１および第２の翼状部1b,1cとは一体的に形成
されている。そして、脚状部1aの先端部からはシート部
材としての帆布２がおもり3a,3bにより引張られて吊り
下げられている。なおおもり3a,3bは、うき１の回動動
作にともなって帆布２が自由に移動することを妨げるこ
とがない程度の重さとする。

また、脚状部1aの上端部中央には貫通孔４が設けられて
いる。

以上の如く構成された消波フェンスは例えば以下の如く
使用される。すなわち、第２図に示す如く、複数のうき
１を支持部材としてのロープ５（貫通孔４に挿通する）
により連結し、例えば海上に、消波すべき波が到来する
方向に対して垂直は状態で浮かべる。そして、複数のう
き１を連結しているロープ５の両端を例えば陸地等に固
定してロープ５を張設する。なおここでは、隣り合う帆
布２どうしを接合していないが、例えばファスナー等に
よって接合して複数の帆布２を一枚の帆布として用いる
こともできる。

次に、以上の如き状態で本発明に係る消波フェンスを設
置したときの動作を説明する。まず、波のない状態にお
いては第３図に示す如き状態となっている。

この状態において、第４図に示す如く、矢印Ａで示す向
きの波が到来すると、第１の翼状部1bが波によって上方
に押上げられる。しかし、うき１には張設されたロープ
５が挿通されているため、うき１はロープ５を軸として
の回動運動を行なう。すなわち、第１の翼状部1bは図中
の矢印Ｂで示す如く移動する。これに伴って、脚状部1a
は図中の矢印Ｃで示す如く揺動し、更にこの脚状部1aの
揺動に伴って帆布２が図中の矢印Ｄで示す如く移動す
る。このとき、脚状部1aの揺動方向および帆布２の移動
方向は波の移動方向とは逆向きの方向であり、上記脚状
部1aおよび帆布２の移動力は波の力を打消す力として作
用し、この消波フェンスより先へと伝わる波の力は減じ
られる。

また、同図の状態において、第１の翼状部1bが波によっ
て押上げられて矢印Ｂで示す如く移動したとき、上述し
たようにロープ５が軸となっているため、第２の翼状部
1cが下方に押下げられ、図中の矢印Ｅで示す如く移動す
る。このとき、第２の翼状部1cは海中に沈み、これによ
り浮力が増加する。第２の翼状部1cに加わる浮力は、図
中の矢印Ｅで示す移動を妨げる力として働くため、うき
１の回転を妨げることになる。従って、第１の翼状部1b
には波が振幅しようとするのを妨げる力が加わり、波の
振幅を抑制するべく作用する。

このように本実施例によれば、うき１およびこのうき１
から吊り下げられた帆布２が到来する波によって揺り動
かされることによって波に対する抵抗力が生じ、波を効
果的に減じることができる。また本消波フェンスは、ロ
ープ５によって支持するとともにうき１から帆布２を吊
り下げるという簡易な構成であるため、その設置および
撤去は容易に行なうことができるし、更に設備の規模を
小さくすることが可能で、例えばプールのコースロープ
として使用したり、いけすや水槽で使用する等、その使
用範囲は非常に広いものとなる。

なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。
たとえば、うきの翼状部は脚状部に対して垂直に接合さ
れていなくても良いし、脚状部と翼状部との接合は他の
部材を介挿して行なっても良い。また、翼状部は脚状部
に対して左右対象でなくともよい。また更に、一つうき
に対して一枚の帆布を吊り下げる必要は無く、一つのう
きに複数の帆布を吊り下げても良いし、複数のうきに一
つの帆布を吊り下げても良い。また、本消波フェンスの
使用形態は上記実施例に示したものには限定されない。
また、シート部材は帆布に限定されない。このほか、本
発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能で
ある。

〔発明の効果〕

本発明によれば、脚状部とこの脚状部の上部から両側に
張り出した翼状部とを有したうきと、下端が移動自由な
状態で前記脚状部から吊り下げられたシート部材と、前
記うきの前記脚状部と前記翼状部との接合位置に、前記
脚状部および前記翼状部のそれぞれに沿って配置され、
当該位置を軸に前記うきを回動自在に支持する支持部材
とを具備して消波フェンスを構成したので、簡便な構成
で効果的に波を減じることができ、その使用に制限が少
なく使い易い消波フェンスとなる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施例に係る消波フェンスを説明する図
であり、第１図は同消波フェンスの構成を示す斜視図、
第２図は一使用形態を示す図、第３図および第４図は同
消波フェンスの動作を説明する図である。 １…うき、1a…脚状部、1b…第１の翼状部、1c…第２の
翼状部、２…帆布。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】脚状部と、この脚状部の上部から両側に張
   り出した翼状部とを有したうきと、 下端が移動自由な状態で前記脚状部から吊り下げられた
   シート部材と、 前記うきの前記脚状部と前記翼状部との接合位置に、前
   記脚状部および前記翼状部のそれぞれに沿って配置さ
   れ、当該位置を軸に前記うきを回動自在に支持する支持
   部材とを具備したことを特徴とする消波フェンス。