JPH0227089Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、遠浅でない海、湖、川や水底が危険
な個所等に設置して、安全に水泳を行なえる浮上
プールに係るもので、詳しくは、底部や囲部に設
けた足場を兼ねる浮きにより、常に、プール本体
を適性水位に保持させて安全を図ると共に、陸地
や桟橋等の構築物、または、水上の浮揚体をプー
ルサイドに利用して簡便、安価に設置できる浮上
プールに関する。

（従来の技術） 従来、海や湖等に設置してこれにより水泳を楽
しむことができる簡易プールは、実開昭49−
114727号公報や特公昭38−25239号公報等により
知られている。

これらのうち、前者のものは、網目の底ネツト
と、この底ネツトの周囲に下縁が接続された囲ネ
ツトと、この囲ネツト上部に結び付けられたフロ
ートと、前記囲ネツト、あるいは、底ネツトにロ
ープを介して連結されたアンカーとからなり、前
記フロートでもつて底ネツトと囲ネツトとを水面
に浮かせ、海底、あるいは、川底に設置されたア
ンカーでもつて所定場所に固定される水泳用ネツ
トプールの構成のものであり、 また、後者のものは、浮揚物体を適当にプール
形に並列して、これを連接杆で連接し、各浮揚物
体はそれぞれ滑車を取り付け、これに鎖条を懸回
し、該鎖条の先端に錨を他端に重錘を吊垂し、連
接杆から適宜間隔ごとにプールの深さに応じて垂
設柱杆を垂設し、下端に底枠を取り付け、これに
底壁金網と側面に側壁金網とを取り付けた深海プ
ールの構成のものである。

（考案が解決しようとする課題） 前記した従来の前者のプールは、底ネツトが人
間が容易に歩くことができる程度の大きさの網目
に形成されたもので、補強ロープにより中央部が
垂下しないような配慮がなされているから、一人
あるいは数人の人間が底部に立つたときは、その
荷重が、前記補強ロープにより支持されて、底の
たるみ変化はないものであるが、この底ネツトは
可撓性を有するものであるから、底部を歩くとき
は、前後左右に揺れて移動し難く、また、多数の
人間が同一個所へ一度に立つたときは、その重量
により底ネツトが撓んで下がり、人の背が立たな
くなるために溺れる事故を引き起こすおそれがあ
る。

また後者のプールは、金網の下部に底枠を設け
水面に位置する浮揚体により該プールを支承して
いるものであるから、底網が人間の重量で撓んだ
りすることがないので、これに起因した溺れの事
故はなくなるが、底部の撓みを防止するために前
記浮揚体の浮揚力を大きくしなければならないの
で、その構造が大掛かりとなつて、プールサイド
が該浮揚体により閉塞され、このプールサイドか
ら人が自由に行き来ができない。

そして、大型化する前記浮揚体はこれが大きく
なるほど流れや風波の受ける影響が大きくなるた
め、水底に埋設する錨や鎖条を強固のものを選定
しなければならず、装置の構造が複雑となつてコ
ストアツプとなる。

また、プール本体の周りにプールサイドを設置
すると、その設備費非常に高く付く問題点があつ
た。

本考案は前記した従来の問題点を解決するため
になされたもので、底部や囲部に設けた足場を兼
ねる浮きにより、常に、プール本体の適性水位に
保持させて安全を図ると共に、陸地や桟橋等の建
築物、または、水上の浮揚体をプールサイドに利
用して簡便、安価に設置できる浮上プールを提供
することを目的としている。

（課題を解決するための手段） 前記した目的を達成するための本考案の手段
は、 通水可能に形成した底部および囲部とによる
プール本体と、 該プール本体の囲部に設けて水面に位置する
浮きと、 該プール本体における底部に設けて、定員数
の載置荷重に耐える浮揚力を有する足場兼浮き
と、 このプール本体の囲部の上側に設けた標識
と、 前記プール本体の一側に設けてこのプール本
体と陸地や桟橋等の構造物、または、水上の浮
揚体とを該プール本体を揺動自在に接続する係
止手段と を備えさせた浮上プールの構成にある。

（作 用） 前記のように構成される浮上プールは以下に述
べる作用を奏する。

陸地や桟橋等の構造物、または水上の浮揚体が
水から上がつて休息や日光浴をするプールサイド
に利用できて、係止手段はプール本体を、潮流や
風波等により移動しないように陸地や桟橋等の構
造物、または、水上の浮揚体に止め付けて安定さ
せる。

そして、浮きはプール本体を泳ぎ易くて安全な
水深に保持すると共に、設置場所の水位に上がり
下がりがあれば、これに応じてプール本体を昇降
させて常に水深を一定に保持させる。

また、囲部とその上部に設けた標識はプール本
体の周囲と所在を明確にして、気付かずにプール
内の者が外に出たり、外のボート等がプール内に
入り込んだりすることを防止するものである。

使用に当たつては、人間が底部に立つて移動す
るときは、足場兼浮きにより底が撓むことなく安
定的に移動でき、しかも、プール本体は浮きによ
り確実な浮揚力が与えられているので、一か所に
多数の人間が立つても底が沈むことがない。

（実施例） 次に本考案に関する浮上プールの一実施例を図
面に基づいて説明する。

第１〜３図においてＡは底部１と囲部２とによ
り構成されるプール本体で、長方形、正方形、多
角形、円形、楕円形等の任意の形状を選定する。

そして、底部１は第１図に示すように枠体ｂに
網ｃを張るか、第２図に示すように枠体ｂに簣の
子ｄを張るか、図面に示していないが枠体に穿孔
板、有孔成形板、その他の通水素材を張つた構
造、あるいは、第３図に示すように比重の小さい
素材か、中空体により形成して後記する浮きを兼
ねさせたパネル体ｅをロープ、ワイヤ、その他の
可撓材ｆにより接続した構造のもの等を用いる。

また、囲部２は第１図に示すように網ｃを張る
か、第２図に示すように簀の子ｄを張るか、第３
図に示すようにロープか柱材ｇを組むか、図面に
示してないが、穿孔板、有孔成形板等の通水素材
を張つた構造のもの等を用いる。

そして、前記した底部１と囲部２の組み合わせ
は、前記以外にも自由に変更し得る。

形成されたプール本体Ａは、第２図に示すよう
に、囲部２の上側に浮き３を取り付け、この浮き
３が水面に位置するように浮上させる。

更に、底部１の下側において、その全面に亘る
ように足場兼浮きＨを取り付けて、人が乗つて円
滑かつ自由に移動できる平面性を有し、底部１の
一部に偏荷重が掛かつても、該底部１がその重み
で沈むことのない安定性を有することが必要とな
るものであり、しかも常に、囲部２の上縁が水面
に位置するように浮上させるもので、第１図に示
すように、網ｃの下側の枠体ｂへ所定間隔で多数
取り付けるか、第３図に示すように、パネル体ｅ
を多数並べて連結してある。

４は前記したプール本体Ａにおける囲部２上側
の周部に設けた標識で、第１図に示すように、公
知のブイ状に形成した浮き３を兼用させて所定間
隔で配設するか、第２図に示すように、浮き３の
間に専用のものを列挙するか、第３図に示すよう
に、棒状浮き３を一連的に配設するかしてある。

そして、これらの標識４が水面に位置してプー
ルの範囲と所在を明示し、知らずにプール内の者
が外に出たり、外からボートや浮遊物等がプール
内へ入つたりすることを防止させる。

５は前記したプール本体Ａを陸地６または桟橋
等の構造物７あるいは水上の浮揚体７′に係合す
る手段で、揺動自在に設けて潮流や風波の影響を
受けても容易に離脱や流失しないようにしてお
く。

そして、その構成は、第１図に示すように、上
下一対のリンクか、第２図に示すように蝶番か、
第３図に示すように、ガイド８に係合するリング
等を用い、これらの手段によりプール本体Ａを陸
地６や桟橋等の構造物７または水上の浮揚体７′
に止め付けて、潮流や風雨等でプール本体Ａが移
動しないようにすると共に、この係止手段５はプ
ール本体Ａが移動しないようにし、この係止部材
５はプール本体Ａが水位の上がり下がりに応じて
自由に昇降できるようにしてある。

９は前記プール本体Ａを水底に止め付ける係留
索で、第２〜３図に示すように、プール本体Ａの
外回りに幾本か結着して、その他端を水底の杭か
錨１０にそれぞれ止めるか、第２図に鎖線で示す
ように、プール本体Ａの外側における幾か所かを
結着したものを、中央部に集めて一か所で水底の
杭か、錨１０に止めるか、第１図に示すように、
プール本体Ａの底部１の中央に幾本かを結着して
ある。

そして、これらを放射状に広げて水底の複数の
杭か錨１０に止めて、プール本体Ａの移動を抑止
させると共に、この係留索９がプール本体Ａの水
位変化に伴う昇降を妨げないように、所要の弛み
を持たせ、中間に、第１図に示すような、調整重
り１１を取り付けることもある。

（考案の効果） 前述したように本考案に関する浮上プールは、
遠浅でない海、湖、川、または、水底が危険な箇
所に安全な水泳場を簡単な構成により簡便に形成
し得るものであり、しかも、不要となつたとき
は、前記簡単な構成により簡便に撤収することが
できる。

プール本体が深みや危険な水域に安全域を確保
するため、一般のプール同様安心して快適な水泳
が楽しめる。

プール本体を通水構造としてあるから、自然換
水により中の水が常に清潔に保たれて衛生的であ
る。

プール本体は浮きにより泳ぎ易くて安全な水深
に保持され、設置場所の水位が増減すれば、これ
に応じて上下し、内部の水深を変化させないか
ら、これに起因する溺れの事故が防止される。

更に、前記した浮き効果と相俟つて、底部に設
けた足場兼浮きにより、底部に立つた人が前後、
左右の揺れを生ずることなく安定的に歩行、移動
できて、一か所に多数の人が立つてもその重量に
より底部が沈下することがないものであり、敷き
詰めた底板が底全体を支承し、その浮揚力が該全
面へ均一に与えられるので、安全に水泳を楽しむ
ことができる。

プール本体を陸地や桟橋等の構造物または水上
の浮揚体に揺動自在に係止したから、プールの流
れや風波による移動が防止され、暴風雨等のとき
は陸地や桟橋等の構造物または水上の浮遊物上へ
プールを引き揚げて損傷や流失を防止できると共
に、係止手段が揺動式のものは、水面（波）の上
下動にも追従できて、接続個所に無理な力が加わ
らないので、水中の長期設置しておいても、離脱
や流失することがない。

プール本体に標識を付し、プールの範囲、所在
を明確にしたから、プール内のものが外に出た
り、ボート等がプール内に侵入してきて事故を起
すことがない。

陸地や桟橋等の構造物にプール本体を係止する
から、これらの物体をプールサイドに利用して休
憩、日光浴を行ない、プールサイドを不要として
安価な設置を可能とする。

等の格別な効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案に関する浮上プールの
実施の各例を示す縦断正面図である。 図において１は底部、２は囲部、Ａはプール本
体、３は浮き、Ｈは足場兼浮き、４は標識、７は
桟橋、７′は水上の浮揚体、５は係止手段である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 通水可能に形成した底部および囲部とによるプ
   ール本体と、該プール本体の囲部に設けて水面に
   位置する浮きと、該プール本体における底部に設
   けて、定員数の載置荷重に耐える浮揚力を有する
   足場兼浮きと、このプール本体の囲部上側の水面
   に設けた標識と、前記プール本体の一側に設けて
   このプール本体と陸地や桟橋等の構造物、また
   は、水上の浮揚体とを該プール本体を揺動自在に
   接続する係止手段とを備えさせたことを特徴とす
   る浮上プール。