JPH07303448A - ハードバター組成物及びチョコレート様食品 - Google Patents
ハードバター組成物及びチョコレート様食品Info
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- JPH07303448A JPH07303448A JP6121946A JP12194694A JPH07303448A JP H07303448 A JPH07303448 A JP H07303448A JP 6121946 A JP6121946 A JP 6121946A JP 12194694 A JP12194694 A JP 12194694A JP H07303448 A JPH07303448 A JP H07303448A
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Abstract
はスナップ性を有すると共に、体温付近においてはカカ
オ脂以上のシャープな融解性を示すような両方の性質を
兼ね備えたハードバター組成物を提供する。 【構成】 1,3−位に炭素数12〜22の飽和脂肪酸
残基を有し、2−位に炭素数12〜22の不飽和脂肪酸
残基を有する対称型トリグリセリドを少なくとも80重
量%以上含有し、その対称型トリグリセリドの0.5〜
20重量%が、1,3−位の一方の飽和脂肪酸残基が炭
素数12の飽和脂肪酸残基で、2−位の不飽和脂肪酸残
基が炭素数18の不飽和脂肪酸残基であるハードバター
組成物であって、1,2−位ジ飽和、3−位不飽和型ト
リグリセリドを3重量%以上含むことのないハードバタ
ー組成物。上記ハードバター組成物を5〜50重量%、
カカオ粉末5〜30重量%及び糖類10〜60重量%を
含むチョコレート様食品。
Description
分野あるいは医薬品分野にて有利に利用されるハードバ
ター組成物に関する。特に、本発明は、充分な硬度、あ
るいはスナップ性とシャープな融解性とを兼ね備えたハ
ードバター組成物及びこれを用いたチョコレート様食品
に関する。
チョコレート製品を主とした製菓、製パン等の食品分野
で広く利用されている。ハードバターの要求性能は、室
温以下では充分な硬度を維持しながらも、体温付近に達
すると速やかに融解するという塑性領域が極めて狭い特
性を有することである。カカオ脂は約30〜32℃で軟
化しはじめ、約36℃では完全に融解する。この融解特
性に基づき冷涼感、風味の広がり等のハードバター製品
の特長が発揮される。
分であるトリグリセリドの結晶性に応じてテンパー型と
ノンテンパー型に分けられる。テンパー型は、カカオ脂
に代表されるように、1,3−ジパルミトイル−2−オ
レオイルグリセリン(略称POP)、1−パルミトイル
−2−オレオイル−3−ステアロイルグリセリン(略称
POSt )、及び1,3−ジステアロイル−2−オレオ
イルグリセリン(略称St OSt )など、1,3−位ジ
飽和、2−位不飽和トリグリセリド(対称型トリグリセ
リド:略称SUS)を主成分としている。なお、カカオ
脂は、上記のような対称型トリグリセリドを約80重量
%含み、その中には炭素数12のラウリン酸は含まれて
おらず、一方、1,2−位ジ飽和、3−位不飽和トリグ
リセリド(略称SSU)の非対称型トリグリセリドがわ
ずかに含まれてる。
給には、SUS成分を多く含んでいる天然油脂、例え
ば、パーム油、シア脂、サル脂などの分画油、あるいは
酵素による選択的エステル交換反応によって得られるS
US成分に富んだ油脂の分画油をそのままもしくは適宜
配合して用いられている。カカオ脂以外で、SUS成分
が主成分であるハードバターの代表的なものとしては、
パーム中融点部(略称PMF)、St OSt を主成分と
する中融点部、あるいはこれらを適当な割合で配合して
なるハードバター組成物が知られている。
核油を主原料とするラウリン系油脂と、パーム軟質油、
ナタネ油、大豆油などを異性化水添して得られるトラン
ス系油脂とがある。これらの油脂を分画処理して、その
融解性の向上が図られているが、低価格メリットで利用
されているのが現状であり、ハードバター本来の性能は
テンパー型には及ばない。
にファットブルームに関する研究(特開昭63−562
50号、同62−104547号、特開平1−2851
53号、同2−138937号各公報)やソフトさを与
える研究(特開昭63−248343号、特開平2−3
5039号、同2−65744号各公報)が多く進めら
れているが、ハードバターの本来の性能、すなわち、常
温においては、カカオ脂以上の硬度あるいはスナップ性
を有し、体温付近においてはカカオ脂以上のシャープな
融解性を示すような両方の性質を備えたハードバターに
関する研究、提案は殆ど為されていない。一般的にチョ
コレート製品の硬度あるいはスナップ性を向上させるに
は、カカオ脂に硬化油あるいはステアリン酸を主成分と
する高純度SUSなどの高融点油脂を配合することで対
処されているが、当然それらの配合に応じて体温付近で
の融解性は著しく低下する。また融解性を向上させるた
めには、低融点油脂の配合が一般的であるが、それによ
って常温付近での保存により硬度低下をもたらす。従っ
て、これらの妥協できる配合で利用されているのが現状
である。
ては、カカオ脂以上の硬度あるいはスナップ性を有する
と共に、体温付近においてはカカオ脂以上のシャープな
融解性を示すような両方の性質を兼ね備えたハードバタ
ー組成物を提供することを目的とする。
なスナップ性、シャープな融解性を兼ね備えたハードバ
ター組成物を求めて鋭意研究を行った。その結果、高含
有量の対称型トリグリセリド(SUS)において、1,
3−位の構成脂肪酸残基として炭素数12のラウリン酸
残基を有し、かつ2−位の構成脂肪酸残基として炭素数
18の不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリドを0.
5〜20重量%含有させ、そして1,2−位ジ飽和、3
−位不飽和型トリグリセリド(SSU)を3重量%以下
に抑えることにより、目的とするハードバター組成物が
得られることを見出し、本発明を完成させたものであ
る。このような優れたスナップ性とシャープな融解性と
が同時に達成されるのは、一定量のラウリン酸が導入さ
れたトリグリセリドはSUS中の他のトリグリセリドと
の相溶性が良く、また組成物中の非対称型トリグリセリ
ドの含有量を抑えたことにより、得られるハードバター
組成物の結晶性が極めて良好となったためと考えられ
る。
の飽和脂肪酸残基を有し、2−位に炭素数12〜22の
不飽和脂肪酸残基を有する対称型トリグリセリドを少な
くとも80重量%以上含有し、その対称型トリグリセリ
ドの0.5〜20重量%が、1,3−位の一方の飽和脂
肪酸残基が炭素数12の飽和脂肪酸(ラウリン酸)残基
で、2−位の不飽和脂肪酸残基が炭素数18の不飽和脂
肪酸(オレイン酸及び/又はリノール酸)残基であるハ
ードバター組成物であって、1,2−位ジ飽和、3−位
不飽和型トリグリセリドを3重量%以上含むことのない
ハードバター組成物にある。
%、糖類10〜60重量%、そして1,3−位に炭素数
12〜22の飽和脂肪酸残基を有し、2−位に炭素数1
2〜22の不飽和脂肪酸残基を有する対称型トリグリセ
リドを少なくとも80重量%以上含有し、その対称型ト
リグリセリドの0.5〜20重量%が、1,3−位の一
方の飽和脂肪酸残基が炭素数12の飽和脂肪酸(ラウリ
ン酸)残基で、2−位の不飽和脂肪酸残基が炭素数18
の不飽和脂肪酸(オレイン酸及び/又はリノール酸)残
基であるハードバター組成物であって、1,2−位ジ飽
和、3−位不飽和型トリグリセリドを3重量%以上含む
ことのないハードバター組成物を5〜50重量%含有す
るチョコレート様食品にある。
い。 (1)対称型トリグリセリドの1〜15重量%(更に好
ましくは、2〜10重量%)が、1,3−位の一方の飽
和脂肪酸残基が炭素数12の飽和脂肪酸残基で、2−位
の不飽和脂肪酸残基が炭素数18の不飽和脂肪酸残基で
ある。 (2)対称型トリグリセリド中の1,3−位の炭素数1
2〜22の飽和脂肪酸残基が、炭素数16のパルミチン
酸残基または炭素数18のステアリン酸残基である。 (3)対称型トリグリセリド中の2−位の不飽和脂肪酸
残基が、炭素数18のオレイン酸残基である。 (4)ハードバター組成物中の1,2−位ジ飽和、3−
位不飽和型トリグリセリド(略称SSU)の含有量が、
1重量%以下である。
細に説明する。本発明のハードバター組成物は、1,3
−位に炭素数12〜22の飽和脂肪酸残基を有し、2−
位に炭素数12〜22の不飽和脂肪酸残基を有する対称
型トリグリセリド(SUS)を少なくとも80重量%以
上含有する。この対称型トリグリセリド中の0.5〜2
0重量%が、1,3−位の少なくとも一方の飽和脂肪酸
残基が炭素数12の飽和脂肪酸(ラウリン酸)残基で、
2−位の不飽和脂肪酸残基が炭素数18の不飽和脂肪酸
残基を有するトリグリセリドである。このトリグリセリ
ドのSUS中での含有量が0.5重量%未満では目的と
するカカオ脂以上の硬度あるいはスナップ性は得ること
ができない。またその含有量が20重量%を越える場合
はカカオ脂以上のシャープな融解性を得ることができな
い。本発明において、該トリグリセリドのSUS中での
含有量は、1〜15重量%であることが好ましく、更に
好ましくは、2〜10重量%である。ここで、炭素数1
4〜22の飽和脂肪酸残基としては、例えば、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及び
ベヘン酸などの残基を挙げることができる。また炭素数
18の不飽和脂肪酸残基としては、例えば、オレイン酸
残基、及びリノール酸残基を挙げることができる。本発
明において、上記飽和脂肪酸残基は、炭素数16又は1
8の飽和脂肪酸残基、すなわち、パルミチン酸残基又は
ステアリン酸残基であることが好ましい。また上記不飽
和脂肪酸残基は、オレイン酸残基であることが好まし
い。以上のような対称型トリグリセリド(SUS)の成
分のハードバター組成物中での含有量は85重量%以
上、特に90重量%以上であることが好ましい。
和型トリグリセリド(SSU)の非対称型のトリグリセ
リドについては、この含有量がハードバター組成物中3
重量%を越えると、上記のように80重量%以上を占め
るSUS成分中に、ラウリン酸残基含有トリグリセリド
を0.5〜20重量%含有させても、融解性は改良され
るが、低融点油脂を配合したものと同様な結果となり、
目的とする硬度あるいはスナップ性は得ることはできな
い。本発明において、SSU成分の含有量は、1重量%
以下であることが好ましい。
S成分が上記のように80重量%以上を占めるような構
成とすると、1,2−位ジ飽和、3−位不飽和型トリグ
リセリド(SSU)以外に組成物中に含まれるトリグリ
セリドの成分は、本発明のバードバター組成物の製造過
程でほぼ決定されてしまうが、以下のように構成されて
いることが好ましい。すなわち、 i )1,2−位ジ不飽和、3−位飽和型トリグリセリド
(SUU)の含有量が10重量%以下(好ましくは、8
重量%以下、更に好ましくは7重量%以下) ii)トリ飽和型グリセリド(SSS)の含有量が、5重
量%以下(好ましくは、3重量%以下、更に好ましくは
2重量%以下) iii)トリ不飽和型グリセリド(UUU)の含有量が、5
重量%以下(好ましくは、4重量%以下、更に好ましく
は3.5重量%以下) iv) ジグリセリドの含有量が、5重量%以下(好ましく
は、3重量%以下、更に好ましくは2.5重量%以下)
飽和型トリグリセリド(SUU)の含有量が10重量%
を越えると、低融点油脂を配合したものと同様な結果と
なり、目的とする硬度あるいはスナップ性は得にくくな
る。また上記 ii)の高融点成分であるトリ飽和型グリ
セリド(SSS)の含有量が5重量%を越えると融解性
が低下し易くなる。一方上記 iii)の低融点成分である
トリ不飽和グリセリド(UUU)の含有量が5重量%を
越えると、硬度あるいはスナップ性が低下し易くなる。
更にジグリセリドの含有量が、5重量%を越えると、硬
度あるいはスナップ性が低下し易くなる。
あるいは酵素による選択的エステル交換反応油脂、選択
的エステル化反応生成物からの分画もしくは他の単離精
製技術又は化学合成技術により得られる。特に酵素によ
る選択的反応を利用すると、目的とするトリグリセリド
を容易に調製することができる。すなわち、トリグリセ
リド中の2位にオレイン酸、リノール酸が結合している
油脂と、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸又はそれらのエステ
ルとをグリセリドの1,3−位に位置特異性を有するリ
パーゼ等の存在下で1,3−位選択的エステル交換反応
をすることにより得ることができる。
上記の成分以外に、他のグリセリド成分も不純物として
混入してくることがあるが、このような不純物はできる
かぎり少ないことが好ましい。また本発明のハードバタ
ー組成物は、従来のハードバター組成物と併用すること
により、硬度あるいはスナップ性の向上と融解性の向上
との両立に有効である。本発明のハードバター組成物
は、チョコレート製品に特に有利に利用できる。
更に具体的に説明する。なお、以下の「%」は重量%を
意味する。
位ジ飽和、2−位不飽和型トリグリセリドを主成分とす
る油脂を調製した。 (調製品1)パーム油中融点部50重量部とパルミチン
酸(パルミチン酸純度96重量%)50重量部を混合
し、トリグリセリドの1、3−位に選択的なリパーゼを
用いてエステル交換し、反応生成物を脱酸してエステル
交換油を得た。このエステル交換油の低融点部をアセト
ン分別にて除去し、更に高融点部をヘキサン分別にて除
去し、POP(1,3−ジパルミトイル−2−オレオイ
ルグリセリン)を主成分とする中融点部を31重量部を
得た。
5重量部とステアリン酸(ステアリン酸純度92重量
%)75重量部を混合し、トリグリセリドの1、3−位
に選択的なリパーゼを用いてエステル交換し、反応生成
物を脱酸してエステル交換油を得た。このエステル交換
油の低融点部をアセトン分別にて除去し、更に高融点部
をヘキサン分別にて除去し、St OSt (1,3−ジス
テアロイル−2−オレオイルグリセリン)を主成分とす
る中融点部を12重量部を得た。
5.4)100重量部の低融点部をアセトン分別にて除
去し、POP(1,3−ジパルミトイル−2−オレオイ
ルグリセリン)を濃縮したハードパーム中融点部(沃素
価31.6)68重量部を得た。
ラウリン酸(ラウリン酸純度98重量%)20重量部を
混合し、トリグリセリドの1,3−位に選択的なリパー
ゼを用いてエステル交換し、反応生成物を脱酸してエス
テル交換油を得た。このエステル交換油の低融点部をア
セトン分別にて除去し、更に高融点部をヘキサン分別に
て除去し、POL(1−パルミトイル−2−オレオイル
−3−ラウリルグリセリン)を主成分とする中融点部を
45重量部を得た。
5重量部とステアリン酸(ステアリン酸純度92重量
%)45重量部とラウリン酸(ラウリン酸純度98重量
%)35重量部を混合し、トリグリセリドの1、3−位
に選択的なリパーゼを用いてエステル交換し、反応生成
物を脱酸してエステル交換油を得た。このエステル交換
油の低融点部をアセトン分別にて除去し、更に高融点部
をヘキサン分別にて除去し、St OL(1−ステアロイ
ル−2−オレオイル−3−ラウリルグリセリン)を主成
分とする中融点部を11重量部を得た。
な配合(重量部)にて、ハードバター組成物1を調製し
た。
2]上記実施例1において、下記の表1のような配合に
変えた以外は、実施例1と同様にして対応するハードバ
ター組成物2(実施例2)、1−a(比較例1)及び2
−a(比較例2)をそれぞれ調製した。
組成を以下の表2に示す。なお、グリセリド組成の分析
は、ハードバター組成物を高速液体クロマトグラフィー
(Lichrospher 100 RP-18 ;Merck 社製)で分取分析
後、各フラクションを(Chromspher Lipids :Chrompak
社製)で構成脂肪酸残基の結合位置を確認した。更にガ
スクロマトグラフィー(デラボンドDB−1;J&W社
製)で構成脂肪酸残基の炭素数を確認した。表2には、
カカオ脂のデータも併記する。
る。 SUS:対称型トリグリセリド LOL:1,3ジラウリル−2−オレオイルグリセリン POL:1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ラウ
リルグリセリン St OL:1−ステアロイル−2−オレオイル−3−ラ
ウリングリセリン POP:1,3−ジパルミトイル−2−オレオイルグリ
セリン POSt :1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ス
テアロイルグリセリン St OSt :1,3−ジステアロイル−2−オレオイル
グリセリン St OO:1,2−ジオレオイル−3−ステアロイルグ
リセリン St St St :1,2,3−トリステアロイルグリセリ
ン OOO:1,2,3−トリオレオイルグリセリン
たハードバター組成物を用いて以下のような配合のチョ
コレート様食品(ハードストックな菓子)を製造し、ハ
ードバター組成物としての性能(硬度、融解性)を評価
した。 (ハードストックな菓子の配合) カカオ粉(油分11%) 15 重量部 ハードバター組成物 35 重量部 グラニュー糖 40 重量部 脱脂粉乳 10 重量部 レシチン 0.3重量部
か月間保存し、硬度を測定した。硬度は、クリープメー
ター(RE−33005、山電(株)製)による破断応
力(dyn/cm2 )を測定し、評価した。また融解性
については、専門パネラー20名によりカカオ脂のみを
用いたハードストックな菓子(チョコレート)をコント
ロールとして官能評価を行った。評価は、以下の5段階
評価の平均値で表した。 2.0:極めて良い。 1.0:良い。 0.0:カカ
オ脂と同様 −0.1:悪い。 −2.0:極めて悪い。
て、比較例2及び3で得られたハードバター組成物を用
いた以外は、同様にしてチョコレート様食品を製造し、
評価した。結果を以下の表3に示す。表3には、カカオ
脂のみを用いた場合のデータも併記する。
うハードバター組成物(実施例1及び2)を用いて製造
したチョコレート様食品は、カカオ脂のみで製造したチ
ョコレート以上の硬度を有し、また優れた融解性をも示
しており、この両者の特性が付与されていることがわか
る。一方、1,3−位の構成脂肪酸残基としてラウリン
酸残基を導入しないハードバター組成物(比較例1)を
用いても、充分な融解性は得られない。また従来のハー
ドバター組成物にラウリン酸残基を導入しても(比較例
2)、該ハードバター組成物中の1,2−位ジ飽和、3
−位不飽和型トリグリセリド(SSU)成分が3重量%
以上含まれると充分な硬度を得ることができないことが
わかる。
脂以上の硬度(スナップ性)と融解性とを兼ね備えてい
る。従って、製菓、製パン分野を始め、ハードバター組
成物を利用する製品に応用した場合、従来にない性能の
ものを作ることができる。特に、チョコレート製品の製
造に有用である。
細に説明する。本発明のハードバター組成物は、1,3
−位に炭素数12〜22の飽和脂肪酸残基を有し、2−
位に炭素数12〜22の不飽和脂肪酸残基を有する対称
型トリグリセリド(SUS)を少なくとも80重量%以
上含有する。この対称型トリグリセリド中の0.5〜2
0重量%が、1,3−位の少なくとも一方の飽和脂肪酸
残基が炭素数12の飽和脂肪酸(ラウリン酸)残基で、
2−位の不飽和脂肪酸残基が炭素数18の不飽和脂肪酸
残基を有するトリグリセリドである。このトリグリセリ
ドのSUS中での含有量が20重量%を越える場合は目
的とするカカオ脂以上の硬度あるいはスナップ性は得る
ことができない。またその含有量が0.5重量%未満で
はカカオ脂以上のシャープな融解性を得ることができな
い。本発明において、該トリグリセリドのSUS中での
含有量は、1〜15重量%であることが好ましく、更に
好ましくは、2〜10重量%である。ここで、炭素数1
4〜22の飽和脂肪酸残基としては、例えば、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及び
ベヘン酸などの残基を挙げることができる。また炭素数
18の不飽和脂肪酸残基としては、例えば、オレイン酸
残基、及びリノール酸残基を挙げることができる。本発
明において、上記飽和脂肪酸残基は、炭素数16又は1
8の飽和脂肪酸残基、すなわち、パルミチン酸残基又は
ステアリン酸残基であることが好ましい。また上記不飽
和脂肪酸残基は、オレイン酸残基であることが好まし
い。以上のような対称型トリグリセリド(SUS)の成
分のハードバター組成物中での含有量は85重量%以
上、特に90重量%以上であることが好ましい。
Claims (2)
- 【請求項1】 1,3−位に炭素数12〜22の飽和脂
肪酸残基を有し、2−位に炭素数12〜22の不飽和脂
肪酸残基を有する対称型トリグリセリドを少なくとも8
0重量%以上含有し、その対称型トリグリセリドの0.
5〜20重量%が、1,3−位の一方の飽和脂肪酸残基
が炭素数12の飽和脂肪酸残基で、2−位の不飽和脂肪
酸残基が炭素数18の不飽和脂肪酸残基であるハードバ
ター組成物であって、1,2−位ジ飽和、3−位不飽和
型トリグリセリドを3重量%以上含むことのないハード
バター組成物。 - 【請求項2】 カカオ粉末5〜30重量%、糖類10〜
60重量%、そして1,3−位に炭素数12〜22の飽
和脂肪酸残基を有し、2−位に炭素数12〜22の不飽
和脂肪酸残基を有する対称型トリグリセリドを少なくと
も80重量%以上含有し、その対称型トリグリセリドの
0.5〜20重量%が、1,3−位の一方の飽和脂肪酸
残基が炭素数12の飽和脂肪酸残基で、2−位の不飽和
脂肪酸残基が炭素数18の不飽和脂肪酸残基であるハー
ドバター組成物であって、1,2−位ジ飽和、3−位不
飽和型トリグリセリドを3重量%以上含むことのないハ
ードバター組成物を5〜50重量%含有するチョコレー
ト様食品。
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---|---|---|---|
JP6121946A JP3016688B2 (ja) | 1994-05-11 | 1994-05-11 | ハードバター組成物及びチョコレート様食品 |
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JP6121946A JP3016688B2 (ja) | 1994-05-11 | 1994-05-11 | ハードバター組成物及びチョコレート様食品 |
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1994
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