JPH07300385A - 化合物半導体結晶の製造方法及び製造用るつぼ - Google Patents

化合物半導体結晶の製造方法及び製造用るつぼ

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JPH07300385A
JPH07300385A JP5245395A JP5245395A JPH07300385A JP H07300385 A JPH07300385 A JP H07300385A JP 5245395 A JP5245395 A JP 5245395A JP 5245395 A JP5245395 A JP 5245395A JP H07300385 A JPH07300385 A JP H07300385A
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智博 川瀬
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 るつぼに対する原料融液の濡れを完全に防止
して、多結晶の発生を抑え、化合物半導体結晶を歩留り
良く製造することのできる結晶の製造方法及び長寿命の
るつぼを提供しようとするものである。 【構成】 予めるつぼ表面にホウ素又はホウ素化合物を
含有する層を形成し、該層を熱処理することにより、少
なくとも該層表面に酸化ホウ素を含有する層を形成した
後、該るつぼに原料を充填して融液を形成し、該るつぼ
の一端より該融液を固化して結晶を成長することを特徴
とする化合物半導体結晶の製造方法、及び、その方法に
使用するるつぼである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、GaAs、GaP、G
aSb、InP、InAs、InSb等のIII-V族化合
物半導体結晶、CdTe、CdMnTe、CdZnT
e、HgCdTe、ZnSe、ZnSSe等のII-VI 族
化合物半導体結晶などの化合物半導体結晶の製造方法及
び該化合物半導体結晶製造用るつぼに関する。
【0002】
【従来の技術】化合物半導体バルク単結晶の代表的な製
造方法には、横型ブリッジマン法(Horizontal Bridgma
n 法)、徐冷法(Gradient Freezing 法)、垂直ブリッ
ジマン法(Vertical Bridgman 法)、垂直徐冷法(Vert
ical Gradient Freezing法) などがある。これらの方法
は、ボート又はるつぼの一端に種結晶を配置し、原料融
液を種結晶に接触させ、種結晶側から徐々に温度を降下
させて単結晶を成長する方法である。これらの方法で
は、結晶が容器壁に接触しながら成長するため、原料融
液と容器壁との濡れによる結晶欠陥の発生が問題とな
る。
【0003】原料融液と容器壁が濡れると、その部分で
結晶欠陥が発生し、多結晶化することが知られている。
ボート又はるつぼは、一般に石英やPBN(パイロリテ
ィックボロンナイトライド)などで作られる。石英の場
合は、表面をサンドブラストによって粗くして、濡れ難
くすることが知られている。また、PBNるつぼの場合
には、原料とともに添加するB2 3 でるつぼ表面を被
覆することによって濡れを防止することが知られてい
る。
【0004】図5に、垂直ブリッジマン法によるGaA
s単結晶成長の1例を示す。ステンレス製チャンバー1
の内部には、壁面に沿って断熱材2と、その内側にヒー
ター3〜12が配置されており、その中央には、下軸1
3に支持された石英製アンプル14が取り付けられてお
り、As圧制御部15がアンプル14の下端に設けら
れ、この部分の温度を制御することにより、アンプル1
4内のAs分圧が制御される。16はAs分圧制御用の
固体Asである。るつぼ17は、アンプル14上部に配
置され、るつぼ17の下部は逆円錐形に構成されてお
り、下端に種結晶18が取り付けられ、その上にGaA
s原料19及びB2 3 20が充填される。昇温時に
は、まず、B2 3 20が軟化してるつぼ内面を被覆す
る。さらに、温度を上昇させてGaAs原料を溶融し、
温度分布を適正化した後、下軸13を降下してアンプル
14を低温側へ移動し、種結晶18の側から原料を固化
して単結晶を成長する。
【0005】垂直徐冷法の場合は、図5のアンプルの高
さを変化させずに、ヒーター3〜12の出力を変化させ
て低温部を徐々に上方に移動させ、アンプル14内の原
料を種結晶18の側から固化して単結晶を成長する。垂
直ブリッジマン法及び垂直徐冷法では、ステンレス製チ
ャンバーを使用せずに大気中で行うこともできる。この
場合は、断熱材2やヒーター3〜12などを大気中で使
用できるように選択する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法では、原料
とB2 3 を一緒にるつぼに入れてアンプルを封入し、
2 3 を軟化してるつぼ表面を被覆することになる
が、完全に被覆できるとは限らない。そこで、PBN製
ボート表面に予め酸化ホウ素粉末又はホウ酸粉末を散布
したり(特開昭62−176998号公報参照)、PB
N製ボート又はBN製るつぼを予め酸素雰囲気中で加熱
して酸化することによって、ボート又はるつぼ表面にB
2 3 皮膜を形成し、次に原料を入れて結晶を成長する
方法が提案された(特開昭62−176998号公報、
米国特許第4923561号明細書参照)。これらの方
法では、るつぼ表面がB2 3 によって被覆されるた
め、原料とともにB2 3 を充填する従来の方法と比較
して、濡れによる多結晶化を防止する効果が高いと考え
られる。
【0007】しかし、これらの方法には、以下の問題が
ある。 (1)BN製ボート、PBN製ボート、BN製るつぼ又
はPBN製るつぼ表面に予め酸化ホウ素粉末又はホウ酸
粉末を散布する方法の問題点。 酸化ホウ素粉末又はホウ酸粉末を散布するだけでは、
付着力が得られないので、原料を入れるときに、前記粉
末が原料と接触してるつぼ表面から簡単に剥がれ落ちる
ため、B2 3 膜を均一に形成することが困難である。 酸化ホウ素粉末又はホウ酸粉末は多量の水分を含有し
ている。水分を含有するB2 3 は、非常に飛散し易い
ため、原料が融解する前にB2 3 が飛散して膜が破
れ、るつぼ表面を露出する恐れがある。特に、真空下で
はB2 3 の飛散が著しく、均一な膜を得ることは困難
である。
【0008】(2)BN製ボート、PBN製ボート、B
N製るつぼ又はPBN製るつぼを酸素雰囲気中で加熱し
て酸化することによって、ボート又はるつぼ表面に予め
23 皮膜を形成する方法における問題点。 濡れによる多結晶化を効果的に防止するためには、通
常50μm程度の厚いB2 3 膜が必要である。結晶の
製造に先立ってB2 3 膜を形成するたびに、るつぼの
肉厚が大幅に減少するため、るつぼの寿命が著し短くな
る。 組織の緻密なPBN製るつぼの内面を酸化するために
は、長時間、高温に加熱する必要があり、コストが高く
付く。 B2 3 膜厚は、酸素ガスの流れに依存するが、均一
なガスの流れを維持することは困難であり、また、B2
3 の粘度が低下してるつぼの下側に溜まるなどの原因
で均一なB2 3 膜を形成することは難しい。
【0009】そこで、本発明は、上記の問題点を解消
し、ボート又はるつぼに対する原料融液の濡れを完全に
防止して、多結晶の発生を抑え、化合物半導体結晶を歩
留り良く製造することのできる結晶の製造方法及び製造
用るつぼを提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)予めるつぼ表面にホウ素又はホウ素化合物を含有
する層を形成し、該層を熱処理することにより、少なく
とも該層表面に酸化ホウ素層を含有する層を形成した
後、該るつぼに原料を充填し、これを溶融して融液を形
成し、該るつぼの一端より、該融液を固化して結晶を成
長することを特徴とする化合物半導体結晶の製造方法。
【0011】(2)予めるつぼ表面に、ホウ素、又は、
酸素を含有しないホウ素化合物の層を形成し、酸素又は
酸素含有混合ガス雰囲気下で熱処理して酸化ホウ素の層
を形成した後、原料を投入してこれを溶融し、るつぼの
一端から融液を固化して結晶を成長することを特徴とす
る化合物半導体結晶の製造方法。
【0012】(3)予めるつぼ表面に、スパッタリング
又は蒸着で窒化ホウ素を含有する層を形成し、酸素又は
酸素含有混合ガス雰囲気下で熱処理して酸化ホウ素を含
有する層を形成した後、該るつぼに原料を充填してこれ
を溶融して融液を形成し、該るつぼの一端より該融液を
固化させることにより、結晶を成長することを特徴とす
る化合物半導体結晶の製造方法。
【0013】(4)予めるつぼ表面に、窒化ホウ素を含
有する粉末と、水、アルコール、アセトン等の溶剤との
混合物を、ブタンガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス、空
気などのガスとともにスプレー塗布して窒化ホウ素を含
有する層を形成し、酸素又は酸素含有混合ガス雰囲気下
で熱処理して酸化ホウ素を含有する層を形成した後、該
るつぼに原料を充填してこれを溶融して融液を形成し、
該るつぼの一端より該融液を固化して結晶を成長するこ
とを特徴とする化合物半導体結晶の製造方法。
【0014】(5)予めるつぼ表面に、窒化ホウ素を含
有する粉末と、水、アルコール又はアセトンなどの溶剤
との混合物を、手動又は自動噴霧器で吹きつけるか、刷
毛塗りすることにより窒化ホウ素を含有する層を形成
し、酸素又は酸素含有混合ガス雰囲気下で熱処理して酸
化ホウ素を含有する層を形成した後、該るつぼに原料を
充填してこれを溶融して融液を形成し、該るつぼの一端
より該融液を固化して結晶を成長することを特徴とする
化合物半導体結晶の製造方法。
【0015】(6)窒化ホウ素を含有する粉末と、水、
アルコール又はアセトンなどの溶剤との混合液をるつぼ
に充填し、るつぼ表面に窒化ホウ素を含有する層を形成
した後、余った混合液を排出し、酸素又は酸素含有混合
ガス雰囲気下で熱処理して酸化ホウ素を含有する層を形
成し、次いで、該るつぼに原料を充填してこれを溶融し
て融液を形成し、該るつぼの一端より該融液を固化する
ことにより、結晶を成長することを特徴とする化合物半
導体結晶の製造方法。 (7)ホウ素又はホウ素化合物を含有する層を形成する
領域を除いて遮蔽材で遮蔽して、酸素又は酸素含有混合
ガス雰囲気下で熱処理することを特徴とする上記(1) 〜
(6) のいずれか1項記載の化合物半導体結晶の製造方
法。
【0016】(8)熱処理時の雰囲気ガスとして、ヘリ
ウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガ
ス、キセノンガス等の不活性ガス、窒素ガス又は二酸化
炭素ガスと酸素ガスとの混合ガス、又は、空気を用いる
ことを特徴とする上記(2) 〜(7)のいずれか1つに記載
の化合物半導体結晶の製造方法。 (9)700〜1800℃、好ましくは800〜150
0℃、より好ましくは900〜1300℃の範囲の温度
で熱処理することを特徴とする上記(2) 〜(8) のいずれ
か1つ記載の化合物半導体結晶の製造方法。
【0017】(10)予めるつぼ表面に酸素含有ホウ素
化合物を含有する層を形成し、熱処理することにより、
少なくとも該層表面に酸化ホウ素を含有する層を形成し
た後、該るつぼに原料を充填してこれを溶融して融液を
形成し、該るつぼの一端より該融液を固化して結晶を成
長することを特徴とする化合物半導体結晶の製造方法。 (11)前記酸素含有ホウ素化合物が、酸化ホウ素、オ
ルトホウ酸、メタホウ酸又は四ホウ酸であることを特徴
とする上記(10)記載の化合物半導体結晶の製造方法。
【0018】(12)水、メチルアルコール、エチルア
ルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなど
のアルコール、及び/又は、アセトンなどの溶剤に前記
酸素含有ホウ素化合物を溶解又は混合し、その溶液をる
つぼ表面に塗布又は噴霧した後、熱処理することによ
り、少なくとも該層表面に酸化ホウ素を含有する層を形
成することを特徴とする上記(11)記載の化合物半導体結
晶の製造方法。 (13)前記酸素含有ホウ素化合物の溶液又は混合液を
るつぼに充填して酸素含有ホウ素化合物を含有する層を
形成した後、前記溶液又は混合液を排出し、熱処理して
酸化ホウ素を含有する層を形成することを特徴とする上
記(12)記載の化合物半導体結晶の製造方法。
【0019】(14)前記酸素含有ホウ素化合物の固体
ソースに対し、アルゴンなどをスパッタリングするか、
電子ビームを照射してるつぼの表面に酸素含有ホウ素化
合物を含有する層を形成し、熱処理して酸化ホウ素を含
有する層を形成し、該るつぼの一端より該融液を固化す
ることにより結晶を成長することを特徴とする上記(11)
記載の化合物半導体結晶の製造方法。 (15)前記酸素含有ホウ素化合物の粉末をるつぼに充
填し、加熱してるつぼの表面に酸素含有ホウ素化合物を
含有する層を形成した後、余った粉末を除去し、熱処理
して酸化ホウ素を含有する層を形成し、次いで、該るつ
ぼに原料を充填してこれを溶融して融液を形成し、該る
つぼの一端より該融液を固化することにより結晶を成長
することを特徴とする上記(11)記載の化合物半導体結晶
の製造方法。
【0020】(16)300〜1800℃、好ましくは
350〜1500℃、より好ましくは400〜1300
℃の範囲の温度で熱処理することを特徴とする上記(10)
〜(15)のいずれか1つ記載の化合物半導体結晶の製造方
法。 (17)上記(16)記載の熱処理で酸化ホウ素を含有する
層を形成した後、さらに、1000〜1800℃に昇温
して酸化ホウ素膜中の含有水分の量を0.5wt%以下
に調整することを特徴とする化合物半導体結晶の製造方
法。
【0021】(18)るつぼ表面に形成した層の表面の
酸化ホウ素の濃度が30wt%以上、好ましくは40w
t%以上、より好ましくは50wt%以上で、100w
t%以下であることを特徴とする上記(1) 〜(17)のいず
れか1つに記載の化合物半導体結晶の製造方法。 (19)るつぼ表面に形成した層のるつぼに接触する面
の酸化ホウ素の濃度が、70wt%以下、好ましくは6
0wt%以下、より好ましくは50wt%以下、0wt
%以上であることを特徴とする上記(1) 〜(18)のいずれ
か1つに記載の化合物半導体結晶の製造方法。
【0022】(20)るつぼ表面に形成した層のるつぼ
に接触する面の酸化ホウ素の濃度が、該層の表面より低
いことを特徴とする上記(1) 〜(19)のいずれか1つに記
載の化合物半導体結晶の製造方法。 (21)るつぼ表面に形成した層の内部に、表面よりも
密度の大きな層状部分を含むことを特徴とする上記(1)
〜(20)のいずれか1つに記載の化合物半導体結晶の製造
方法。
【0023】(22)るつぼ表面に形成した層が、III
族元素、IV族元素、V族元素、III 族元素の化合物、IV
族元素の化合物及び/又はV族元素の化合物を含有する
ことを特徴とする上記(1) 〜(21)のいずれか1つに記載
の化合物半導体結晶の製造方法。 (23)上記(22)記載のIII 族元素が、Al又はGaで
あることを特徴とする上記(22)記載の化合物半導体結晶
の製造方法。 (24)前記III 元素の化合物が酸化物又は窒化物であ
ることを特徴とする上記(23)記載の化合物半導体結晶の
製造方法。
【0024】(25)上記(22)記載のIV族元素が、Si
であることを特徴とする上記(22)記載の化合物半導体結
晶の製造方法。 (26)上記(22)記載のIV族元素の化合物が、Siの酸
化物、窒化物又は炭化物であることを特徴とする上記(2
2)記載の化合物半導体結晶の製造方法。
【0025】(27)上記(22)記載のV族元素が、砒素
(As)又は燐(P)であることを特徴とする上記(22)
記載の化合物半導体結晶の製造方法。 (28)前記V族元素の化合物が酸化物、具体的には亜
砒酸(As2 3 )、五酸化燐(P2 5 )であること
を特徴とする上記(25)記載の化合物半導体結晶の製造方
法。
【0026】(29)るつぼ表面に形成した層の表面の
III 族元素、III 族元素の化合物、IV族元素、IV族元素
の化合物、V族元素、V族元素の化合物の合計濃度が、
該層の内部よりも低いことを特徴とする上記(22)〜(28)
のいずれか1つに記載の化合物半導体結晶の製造方法。
【0027】(30)原料融液と接触するるつぼ表面部
分だけに酸化ホウ素を含有する層を形成することを特徴
とする上記(1) 〜(29)のいずれか1つに記載の化合物半
導体結晶の製造方法。 (31)るつぼ内面に酸化ホウ素を含有する層を形成し
た後、減圧又は乾燥ガス雰囲気で室温まで冷却すること
を特徴とする上記(1) 〜(30)のいずれか1つに記載の化
合物半導体結晶の製造方法。
【0028】(32)酸化ホウ素を含有する層の水分濃
度が0.5wt%以下、好ましくは0〜0.1wt%、
より好ましくは0〜0.02wt%の範囲になるよう
に、減圧又は乾燥ガス雰囲気で室温まで冷却することを
特徴とする上記(1) 〜(31)のいずれか1つに記載の化合
物半導体結晶の製造方法。
【0029】(33)融液固化法で化合物半導体結晶を
製造するためのるつぼにおいて、水分濃度が0.5wt
%以下、好ましくは0〜0.1wt%、より好ましくは
0〜0.02wt%の範囲の酸化ホウ素を含有する層を
るつぼ内面に有することを特徴とする化合物半導体結晶
製造用るつぼ。
【0030】(34)るつぼの材質が、ボロンナイトラ
イド、グラファイト、パイロリティックボロンナイトラ
イド、パイロリティックグラファイト、ガラス化カーボ
ン(又はグラッシーカーボン)、アルミナ、ジルコニ
ア、窒化ケイ素、炭化ケイ素又は石英であることを特徴
とする上記(33)記載の化合物半導体結晶製造用るつぼ。
【0031】上記(8) において、酸素と混合するガス
は、酸素と反応し難く、B2 3 に対する溶解度が小さ
く、かつ、成長結晶に対して不活性なガスが好ましい。
また、上記(11)において、るつぼ表面に層を形成するホ
ウ素化合物としてオルトホウ酸(H3 BO3 )、メタホ
ウ酸(HBO2 )、四ホウ酸(H2 4 7 )、酸化ホ
ウ素(B2 3 )などの酸素を含むホウ素化合物を用い
るときには、熱処理の際に雰囲気ガスに酸素を添加する
必要はない。
【0032】なお、成長後の結晶は、B2 3 によって
るつぼに固着して外れなくなるので、使用するB2 3
の量はできるだけ少ない方がよい。また、るつぼ表面に
形成するB2 3 層の面積もできるだけ狭くする方が好
ましく、結晶を成長する部分に限定してB2 3 層を形
成することが最も好ましい。
【0033】上記(33)及び(34)において、B2 3 層の
水分濃度が0.5重量%を越えると、高温時に水ととも
にB2 3 が飛散し、膜の均一性が失われる。B2 3
の薄膜は、比表面積が大きいため水分を吸収し易いの
で、B2 3 層を形成した後は、減圧又は乾燥ガス雰囲
気で室温まで冷却することにより、B2 3 層の水分の
吸収を防止することが好ましい。
【0034】低水分濃度のB2 3 膜を得るには、高温
で加熱処理する必要があるが、高温になるほどB2 3
の粘度が低下してるつぼの下方に流れるため、B2 3
膜厚が不均一になり易い。そこで、ホウ素又はホウ素化
合物を熱処理してB2 3 膜を形成する過程は、比較的
低温(1000℃以下)で時間をかけて行い、膜の水分
濃度の調整は高温(1000℃以上)で短時間で行うこ
とが均一な膜形成に適している。
【0035】ホウ素又はホウ素化合物を含有する層を熱
処理することにより形成した膜表面の酸化ホウ素の濃度
は、30wt%以上であればよく、好ましくは40wt
%以上、より好ましくは50wt%以上であれば、結晶
とるつぼの濡れを防止することができる。
【0036】ホウ素又はホウ素化合物を含有する層を熱
処理することにより形成した層の、るつぼに接触する面
の酸化ホウ素の濃度は低い方が好ましい。B2 3 は結
晶育成後固化してるつぼに固着するため、るつぼ表面に
ダメージを与える。そして、PBNるつぼでは、表面層
が剥離してるつぼの寿命を低下させる。そこで、るつぼ
に接触する面の酸化ホウ素の濃度を低くすることによ
り、るつぼへのダメージを減少させることができ、るつ
ぼの寿命を長くすることができる。るつぼへのダメージ
を減少するためには、るつぼに接触する面の酸化ホウ素
の濃度を70wt%以下、好ましくは60wt%以下、
より好ましくは50wt%以下にするのがよい。本発明
の方法によれば、酸化の度合いや、膜中のホウ素又はホ
ウ素化合物の含有量を調節することによって、膜のB2
3 の配合率を自由に調整することができる。
【0037】予めるつぼ表面に形成したホウ素又はホウ
素化合物を含有する層を熱処理するときに、その層のる
つぼに接触する面の酸化ホウ素の濃度を膜の表面より低
くすれば、結晶とるつぼの濡れを防止でき、酸化ホウ素
の固着によるるつぼのダメージを低減できるので極めて
有効である。
【0038】このように、膜内のB2 3 濃度の変化
は、酸化する温度や時間を調整することによっても実現
できるが、層の内部に表面よりも密度の高い層を含むよ
うにすると、酸化が密度の高い層より内部には進行し難
いため、るつぼに接触する面の酸化ホウ素の濃度を膜の
表面より小さくすることができる。
【0039】また、III 族元素、IV族元素、V族元素、
III 族元素の化合物、IV族元素の化合物及びV族元素の
化合物のうちのいずれか1種類以上を前記ホウ素又はホ
ウ素化合物に混合して、るつぼ表面に層を形成するとき
に、層内のホウ素又はホウ素化合物の含有率を調整すれ
ば、膜中の酸化ホウ素の含有率を容易に調整することが
できる。III 族元素及びIII 族元素の化合物としては、
Al及びAl化合物、Ga及びGa化合物が好ましい。
Al化合物としては、Al酸化物、Al窒化物が好まし
い。Ga化合物としては、Ga酸化物、Ga窒化物が好
ましい。IV族元素及びIV族元素化合物としてはSi及び
Si化合物が好ましく、Si化合物としてはSi酸化
物、Si窒化物、Si炭化物が好ましい。V族元素及び
V族元素の化合物としては、As、P、As2 3 、P
2 5 が好ましい。
【0040】るつぼ表面の層の酸化ホウ素(B2 3
濃度を変化させるには、下記の方法が特に優れている。 (1)B2 3 又はBNに対しSiO2 、Al2 3
Ga2 3 等を添加し、B2 3 又はBN濃度〔例え
ば、B2 3 /(B2 3 +SiO2 )〕の低いものか
ら多層に分けて塗布又はスプレーにより被膜を形成する
方法である。この方法では、SiO2 及びAl2 3
最も効果的である。 (2)B2 3 に窒化ホウ素(BN)粉末を混合し、膜
中のB2 3 濃度〔例えば、B2 3 /(B2 3 +B
N)〕の低いものから多層に分けて塗布又はスプレーに
より被膜を形成する方法である。 なお、BNを含有する層を形成するにあたって、BN粉
末の膜方向への充填率を変化させる、例えば、異なる大
きさのBN粒子を使用して粒子間にできる隙間を変化さ
せ、酸化過程における酸素の透過し易さを調節し、酸化
の程度を膜方向に変化させ、B2 3 濃度を変化させる
ことができる。
【0041】
【作用】本発明は、原料と固体B2 3 をるつぼに充填
して結晶成長する従来法とは異なり、B2 3 膜の不完
全な被覆や不均一な被覆が防止され、るつぼ表面に予め
均一なB2 3 膜を形成することができるため、原料融
液の容器への濡れを防止し、多結晶の発生を防止できる
ようになった。
【0042】以下、図面により本発明を説明する。図1
は本発明の方法を実施するための結晶製造装置の概念図
であり、図2は図1で使用するるつぼ表面にホウ素又は
ホウ素化合物を含有する膜を形成した状態を示す拡大図
であり、図3はるつぼ表面のホウ素又はホウ素化合物を
含有する層を熱処理する状況を説明するための図であ
り、図4は図3の変形図である。図1は、本発明の方法
によりB2 3 を含有する層を形成したるつぼを使用し
た点を除くと、図5の従来装置と同じため、説明を省略
する。
【0043】図2に示すように、本発明で使用するるつ
ぼ17の一例は、底部に種結晶保持部23を有し、それ
に続いてテーパ部22と側壁からなり、少なくとも原料
融液と接触する壁面には、ホウ素又はホウ素化合物を含
有する膜24が形成されている。図2のるつぼ17は、
図3に示す環状炉25中に移され、酸素又は酸素を含有
するガスを流しながら熱処理され、るつぼ内面にB2
3 を含有する膜が形成される。図4は、図3の環状炉2
5中で熱処理を行うときに、B2 3 を含有する膜を形
成しない、るつぼ17の表面を遮蔽材26で覆うことに
より、B2 3を含有する膜形成領域を制限しようとす
るものである。
【0044】なお、本発明の方法は、横型ブリッジマン
法、垂直ブリッジマン法、横型徐冷法及び垂直徐冷法な
ど、るつぼの一端から融液を固化させる化合物半導体結
晶の製造方法であればいずれの方法にも適用することが
でき、図1のような装置に限定されるものではない。ま
た、使用するるつぼの形状も図2のものに限定されるも
のではなく、上記の化合物半導体結晶の製造に適したも
のであれば、どのような形状のものも使用することがで
きる。熱処理装置は、図3の環状炉に限定されず、るつ
ぼを目的の温度まで加熱できれば、どのようなものでも
使用することができる。
【0045】本発明では、ホウ素又は酸素を含まないホ
ウ素化合物の膜を形成するときには、酸素を含むガス中
で加熱してるつぼ表面にB2 3 を含有する膜を形成す
ることができる。窒化ホウ素を酸化してB2 3 を形成
するときの化学反応は下記式(1)のとおりである。 4BN+3O2 →2B2 3 +2N2 (1)
【0046】本発明において、酸素を含むホウ素化合物
の膜を形成するときには、酸素は必ずしも必要でなく、
加熱分解によっても、るつぼ表面にB2 3 を含有する
膜を形成することはできる。オルトホウ酸を熱分解して
2 3 を形成するときの化学反応は下記式(2)のと
おりである。 2H3 BO3 →B2 3 +3H2 O (2)
【0047】溶剤と混合したホウ素又はホウ素化合物を
含有する粉末をるつぼに塗布しただけでは、るつぼへの
十分な付着力が得られず、塗布した粉末の膜が剥離する
恐れがある。本発明では、上記(1)式又は(2)式の
反応によってB2 3 を含有する膜が生成するが、30
0℃以上で熱処理するため、B2 3 は軟化して高い付
着力が生ずるので、剥離の恐れはない。
【0048】
【実施例】
(実施例1)直径約80mm、高さ300mmで下方に
テーパ部と種結晶保持部を設けたPBN製るつぼを用
い、窒化ホウ素粉末、アルコール及び二酸化炭素ガスを
使用し、スプレーでるつぼ内面に窒化ホウ素膜を形成し
た後、環状炉に移して酸素ガスを1リットル/分で流し
ながら、1000℃で5時間熱処理を施し、約50μm
厚を有するB2 3 膜を形成した。その後、酸素ガスを
流しながら10℃/分で室温まで冷却した。得られたB
2 3 膜の水分濃度は0.02wt%であり、膜厚の均
一製は極めて良好で、膜厚のバラツキは±5μm以下で
あった。
【0049】このるつぼに、GaAs多結晶原料3kg
とドーパントの固体Siを収容し、図1のAs圧制御部
を有する縦長の石英アンプル内に真空封入した。そし
て、るつぼ内の原料を溶融した後、アンプル内のAs圧
を制御しながら、種結晶側から徐々に温度を低下させ、
Siドープn型GaAs単結晶を成長した。20本の単
結晶成長において、濡れによる多結晶の発生は全く認め
られなかった。
【0050】(実施例2)メチルアルコールにオルトホ
ウ酸をほぼ飽和濃度になるように溶解した溶液を、実施
例1と同じ形状のPBN製るつぼ内面に噴霧器を用いて
塗布し、次いで、メチルアルコールを乾燥窒素ガスで素
早く乾燥させ、この操作を繰り返して、厚さ約100μ
mのオルトホウ酸膜を形成した。このるつぼを環状炉中
に移して窒素ガスを1リットル/分で流しながら、80
0℃で2時間熱処理を施し、約50μmの膜厚を有する
2 3 膜を形成し、次に,1100℃まで昇温して1
時間保持し、B2 3 膜の水分濃度を0.01wt%に
調整した後、10℃/分で室温まで冷却した。得られた
2 3 膜の膜厚のばらつきは、±5μm以下と極めて
均一な膜が得られた。このるつぼを用いて実施例1と同
様にSiドープn型GaAs単結晶を成長した。20本
の単結晶成長において、濡れによる多結晶の発生は全く
認められなかった。
【0051】(実施例3)実施例1と同じ形状のPBN
製るつぼに、成長結晶より15mm高くB2 3粉末を
充填して縦型加熱炉に入れて約400℃に加熱し、B2
3 を約100μmの厚さでるつぼ表面に付着させた。
このるつぼを高温加熱炉に入れて乾燥アルゴンガスを流
しながら、1100℃で30分加熱し、厚さ50±5μ
mで水分濃度0.01wt%に調整したB2 3 膜を作
製し、このるつぼを5℃/分の冷却速度で室温まで冷却
した。このるつぼを用いて実施例1と同様にSiドープ
n型GaAs単結晶を成長した。20本の単結晶成長に
おいて、濡れによる多結晶の発生は全く認められなかっ
た。
【0052】(実施例4)実施例1と同じ形状のPBN
製るつぼの開口を下方に向けて蒸着装置内に固定し、直
径20mm、厚さ15mmのタブレット状の窒化ホウ素
を水冷ホルダーにセットした。そして、蒸着装置を真空
にして密閉した後、電子ビームを上記の窒化ホウ素に照
射して厚さ約60μmの窒化ホウ素膜をるつぼ表面に付
着させた。その後、酸素ガスを流しながら1000℃で
10時間熱処理し、厚さ50±5μmのB2 3 膜を作
製した。次に、乾燥窒素ガスを流しながら10℃/分の
冷却速度で室温まで冷却した。このるつぼを用いて実施
例1と同様にSiドープn型GaAs単結晶を成長し
た。20本の単結晶成長において、濡れによる多結晶の
発生は全く認められなかった。
【0053】(実施例5)アセトンと窒化ホウ素粉末の
混合液を、実施例1と同じ形状のPBN製るつぼ内面に
流し込み、厚さ約25μmの密度の高い窒化ホウ素膜を
形成した後、余った混合液を流し出した。さらに、その
膜の上に、同じ溶液を噴霧器を用いて塗布し、厚さ約5
0μmの密度の低い窒化ホウ素膜を形成した。このるつ
ぼを環状炉中で酸素50%及びアルゴン50%の混合ガ
スを1リットル/分で流しながら、1000℃で約2時
間熱処理し、約50μmの膜厚を有するB2 3 膜を作
製した。膜厚のバラツキは±5μm以下と良好であっ
た。このように作製した膜中のB2 3 含有率は、膜表
面で80wt%、膜がるつぼと接触する面では40wt
%であった。
【0054】このるつぼを用いて実施例1と同様にSi
ドープn型GaAs単結晶を成長した。20本の単結晶
成長において、濡れによる多結晶の発生は全く認められ
なかった。また、B2 3 を含有する膜の除去が容易で
あるため、膜除去の際のるつぼダメージが少なく、PB
Nるつぼの寿命が約2倍になった。
【0055】(実施例6)窒化ホウ素粉末とSiO2
末を重量比で1:3になるように混合し、アセトンと混
合した溶液を、実施例1と同じ形状のPBN製るつぼ内
面に噴霧器を用いて塗布し、厚さ約40μmの窒化ホウ
素とSiO2 を含有する膜を作製した。さらに、その上
から窒化ホウ素粉末とSiO2 粉末を重量比で6:4に
なるように混合し、アセトンと混合した溶液を噴霧器を
用いて塗布し、環状炉中で酸素ガスを1リットル/分で
流しながら、1000℃で5時間熱処理し、約50μm
の膜厚を有するB2 3 を含有する膜を作製した。膜厚
のバラツキは±5μm以下と良好であった。このように
作製した膜中のB2 3 含有率は、膜表面で70wt
%、膜がるつぼと接触する面では30wt%であった。
このるつぼを用いて実施例1と同様にSiドープn型G
aAs単結晶を成長した。20本の単結晶成長におい
て、濡れによる多結晶の発生は全く認められなかった。
また、B2 3 を含有する膜の除去も容易であり、膜除
去の際のダメージが少なくなり、PBNるつぼの寿命が
約2倍になった。
【0056】(実施例7)酸化ホウ素粉末にAl2 3
粉末を重量比で2:8になるように混合し、アセトンと
混合した溶液を、実施例1と同じ形状のPBN製るつぼ
内面に噴霧器を用いて塗布し、厚さ約40μmの酸化ホ
ウ素とAl2 3 を含有する膜を作製した。また、その
上から酸化ホウ素粉末とAl2 3 粉末を重量比で9:
1なるように混合し、さらに、アセトンと混合した溶液
を噴霧器を用いて塗布し、このるつぼを環状炉中で酸素
ガスを1リットル/分で流しながら、1000℃で5時
間熱処理し、約50μmの膜厚を有するB2 3 膜を作
製した。膜厚のバラツキは±5μm以下と良好であっ
た。
【0057】このように作製したB2 3 を含有する膜
中のB2 3 含有率は、膜表面で90wt%、膜がるつ
ぼと接触する面では20wt%であった。このるつぼを
用いて実施例1と同様にSiドープ型GaAs単結晶を
成長した。20本の単結晶成長において、濡れによる多
結晶の発生は全く認められなかった。また、B2 3
含有する膜の除去も容易であり、膜除去におけるダメー
ジが少なくなり、PBNるつぼの寿命が約2倍になっ
た。
【0058】(比較例1)実施例1と同じ形状のPBN
製るつぼを、環状炉中で酸素ガスを1リットル/分で流
しながら、1100℃で50時間熱処理を施すことによ
りるつぼ表面を酸化してB2 3 膜を形成した。平均膜
厚は50μmであったが、るつぼの下部は相当に厚く、
最も厚い部分の膜厚は200μmとなり、上部は極端に
薄く、膜厚はほとんど0μmであった。B2 3 膜形成
後、特に乾燥雰囲気に保持せずに、冷却速度2℃/分で
室温まで冷却したので、B2 3 膜の水分濃度は1wt
%と高い値を示した。このるつぼを用いて実施例1と同
様にSiドープn型GaAs単結晶を成長したところ、
2 3 膜の薄いるつぼの上部で濡れによる多結晶が発
生し、20本の単結晶成長において、16本に多結晶が
発生した。
【0059】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を採用することに
より、次の効果を得た。 (1) るつぼ自身を酸化しないので、るつぼの寿命を長く
することができた。 (2) るつぼ表面に付着させたホウ素又はホウ素化合物の
層は、組織が粗であるため、短時間で比較的低い温度で
2 3 膜を形成することが可能になった。
【0060】(3) るつぼ表面に付着させたホウ素又はホ
ウ素化合物の層は、組織が粗であるため、酸化が内部ま
で容易に進行し、厚膜のB2 3 膜の形成が容易になっ
た。 (4) B2 3 膜の形成が、酸素ガスの流れの状態に左右
されることがなく、また、厚膜化のために高温にする必
要がないので、均一なB2 3 膜を容易に形成できるよ
うになった。 (5) 酸素を含むホウ素化合物を用いてB2 3 を含有す
る膜を形成する方法は、極めて短時間でかつ低温で膜形
成ができる利点がある。
【0061】(6) B2 3 を含有する膜の、るつぼに接
触する面のB2 3 濃度を低下させることにより、B2
3 の固着によるるつぼのダメージを低減でき、るつぼ
を長寿命化できる。 (7) B2 3 を含有する膜の水分濃度を低下させること
によって、温度上昇時の飛散を抑制し、安定した膜を形
成できる。 (8) るつぼの長寿命化と、低温で短時間でB2 3 膜形
成ができるので、低コスト化が可能になった。 (9) 上記の均一なB2 3 膜を備えたるつぼで化合物半
導体単結晶を製造できるので、高い単結晶歩留りが得ら
れるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するための結晶製造装置の
概念図である。
【図2】図1で使用するるつぼ表面にホウ素又はホウ素
化合物を含有する膜を形成した状態を示す拡大図であ
る。
【図3】図2のるつぼ表面のホウ素又はホウ素化合物を
含有する膜の酸化の状況を説明するための図である。
【図4】るつぼ表面のうち、B2 3 を含有する膜を形
成させない領域を遮蔽材で覆い、その他の表面のホウ素
又はホウ素化合物を含有する層を酸化する状況を説明す
るための図である。
【図5】従来の結晶製造装置の概念図である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予めるつぼ表面にホウ素又はホウ素化合
    物を含有する層を形成し、該層を熱処理することによ
    り、少なくとも該層表面に酸化ホウ素を含有する層を形
    成した後、該るつぼに原料を充填して融液を形成し、該
    るつぼの一端より該融液を固化して結晶を成長すること
    を特徴とする化合物半導体結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 予めるつぼ表面に、ホウ素又は酸素を含
    有しないホウ素化合物を含有する層を形成し、酸素ガス
    又は酸素含有混合ガス雰囲気下で熱処理することによ
    り、少なくとも該層表面に酸化ホウ素を含有する層を形
    成した後、該るつぼに原料を充填して融液を形成し、該
    るつぼの一端より該融液を固化して結晶を成長すること
    を特徴とする化合物半導体結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 予めるつぼ表面に酸素含有ホウ素化合物
    を含有する層を形成し、熱処理することにより、少なく
    とも該層表面に酸化ホウ素を含有する層を形成した後、
    該るつぼに原料を充填して融液を形成し、該るつぼの一
    端より該融液を固化して結晶を成長することを特徴とす
    る化合物半導体結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】 るつぼ表面に形成した層の表面の酸化ホ
    ウ素の濃度が30wt%以上であることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1項記載の化合物半導体結晶の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 るつぼ表面に形成した層のるつぼに接触
    する面の酸化ホウ素の濃度が70wt%以下であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物
    半導体結晶の製造方法。
  6. 【請求項6】 るつぼ表面に形成した層のるつぼに接触
    する面の酸化ホウ素の濃度が該層の表面より低いことを
    特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物半
    導体結晶の製造方法。
  7. 【請求項7】 るつぼ表面に形成した層の内部に、表面
    よりも密度の大きな層状部分を含むことを特徴とする請
    求項1〜6のいずれか1項記載の化合物半導体結晶の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 るつぼ表面に形成した層が、III 族元
    素、IV族元素、V族元素、III 族元素の化合物、IV族元
    素の化合物及び/又はV族元素の化合物を含有すること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物
    半導体結晶の製造方法。
  9. 【請求項9】 るつぼ内面に前記酸化ホウ素を含有する
    層を形成した後、減圧又は乾燥ガス雰囲気で室温まで冷
    却することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記
    載の化合物半導体結晶の製造方法。
  10. 【請求項10】 融液固化法で化合物半導体結晶を製造
    するためのるつぼにおいて、水分濃度が0.5wt%以
    下の酸化ホウ素含有層をるつぼ内面に有することを特徴
    とする化合物半導体結晶製造用るつぼ。
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