JPH0977596A - Ii−vi族またはiii−v族化合物単結晶の製造方法 - Google Patents

Ii−vi族またはiii−v族化合物単結晶の製造方法

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JPH0977596A
JPH0977596A JP23304395A JP23304395A JPH0977596A JP H0977596 A JPH0977596 A JP H0977596A JP 23304395 A JP23304395 A JP 23304395A JP 23304395 A JP23304395 A JP 23304395A JP H0977596 A JPH0977596 A JP H0977596A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原料融液とるつぼの濡れを防止して多結晶化
を有効に防止することにより、結晶欠陥の少ないII−
VI族またはIII−V族化合物単結晶を工業的に製造
することができる方法を提供する。 【解決手段】 多結晶のII−VI族またはIII−V
族化合物から、単結晶のII−VI族またはIII−V
族化合物を製造する方法であって、るつぼの内側の面
を、多結晶の化合物の融点よりも高い融点を有する粉末
固体が、多結晶の化合物の融点よりも低い軟化点を有す
るガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被
覆した後、単結晶の化合物を成長させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、II−VI族ま
たはIII−V族化合物単結晶の製造方法に関するもの
であり、特に、発光ダイオード(LED)、レーザダイ
オード等の光電子分野や、トランジスタ等の電子分野に
利用される、II−VI族またはIII−V族化合物単
結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】II−VI族およびIII−V族化合物
半導体単結晶としては、たとえば、砒化ガリウム(Ga
As)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム
(InP)およびテルル化カドミウム(CdTe)等が
挙げられる。
【0003】これらの化合物半導体単結晶は、従来、水
平ブリッジマン法(HB法)、液体封止引上げ法(LE
C法)、垂直ブリッジマン法(VB法)および垂直温度
勾配法(VGF法)等さまざまな工業的方法により製造
されることが知られている。
【0004】これらの方法のうち、たとえば、VB法に
よる化合物半導体単結晶の製造は、以下のように行なわ
れる。
【0005】一般に、VB法は、1以上の高温域および
1以上の低温域を有する垂直炉を使用する。これらの領
域は、約5〜20℃/cmの温度勾配を有する遷移域に
よって分けられた温度の比較的均一な高温域と、温度の
比較的均一な低温域からなる炉の温度プロファイルを提
供するように設計される。
【0006】まず、II−VI族またはIII−V族化
合物を含有するのに適した、垂直に配置したるつぼ(通
常、pBNで構成される)が、密閉されたアンプル中に
配置される。単結晶の成長は、るつぼ−アンプル集合体
を不動に保持しながら、炉をゆっくりと上昇させること
によって進行される。
【0007】VB法による化合物半導体の製造は、るつ
ぼの底部に単結晶の種結晶を配置するステップと、多結
晶の物質をるつぼ中に入れるステップと、るつぼをアン
プル中に配置した後アンプルを密封し、このるつぼ−ア
ンプル集合体を上述の垂直に配置された炉の内側の台座
に配置するステップと、多結晶の物質および単結晶の種
結晶の上部をその融点以上に加熱するステップと、多結
晶物質の溶融によって得られた融液の長さだけ炉を上方
の動かして、固体の単結晶物質を生成するステップとを
備えている。
【0008】このように製造されたII−VI族または
III−V族化合物半導体単結晶のインゴットは、次に
るつぼから取出され、種々の電子または光電子用途のた
めのウェハへとスライスされる。
【0009】このように構成されるVB法は、他の方法
に比べて欠陥密度の低い良質の結晶を低コストで製造で
きる方法として、有望視されている。しかしながら、こ
のVB法によっても、結晶欠陥の発生の問題は完全には
解決されたとはいえない。
【0010】すなわち、るつぼ等の容器と結晶との間の
熱膨張率差などにより、接触部に熱応力が発生する結
果、転位が生じ、この転位が集中することによって多結
晶化が生じるという問題があった。
【0011】この多結晶化を防止するためには、容器と
結晶の相互作用を小さくするために、容器と結晶との接
触面での摩擦係数を小さくすることが有効である。具体
的には、容器と原料融液とを濡れぬくくすること、また
は、潤滑剤を使用することが考えられる。
【0012】従来、容器と原料融液との濡れ性を改善す
る方法としては、たとえば、容器の材質として石英を用
いることが検討されている。この方法によれば、ボロン
(B)の汚染がなくなるという長所を有しているが、石
英からなる容器の大型化が困難なことから、工業的製造
に適さないという欠点を有していた。
【0013】一方、潤滑剤を使用する方法の一例として
は、たとえば、酸化ホウ素(B2 3 )からなる被膜を
るつぼの内側の面に形成する方法が検討されている。な
お、このB23 の使用は、溶融または結晶化したGa
As等の化合物から砒素(As)等の揮発性成分の分解
および揮発を防止する作用も兼ね備えている。この方法
によれば、容器と結晶との潤滑性が改善され、多結晶化
の防止に効果がある。
【0014】また、特開平3−122097号公報で
は、るつぼの内側の面を固体の窒化ボロン(BN)等の
粉末固体でコートすることによって、結晶欠陥の発生を
防止する方法が開示されている。
【0015】この先行技術によれば、B23 を使用し
た場合のように結晶とるつぼとが固着することがないた
め、るつぼの長寿命化に効果がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、潤滑剤
としてB23 を使用する場合には、原料融液の荷重に
よる圧力が大きい部分で、B23 からなる被膜が薄く
なり、原料融液がるつぼと直接接触するため、接触部分
で結晶欠陥が発生してしまうという問題があった。
【0017】特に、VB法を用いる場合には、るつぼの
テーパ部において、原料融液の圧力の影響を受けやすい
ため、上述した問題点が発生しやすかった。
【0018】図12は、潤滑剤としてB23 を使用し
た従来のGaAs単結晶の製造における、るつぼとGa
As融液との界面の状態を模式的に示す断面図である。
【0019】図12を参照して、この方法によれば、パ
イロリティック・ボロン・ナイトライド(pBN)製る
つぼ1の内面にB23 からなる被膜3が形成されてい
るが、一部において、原料融液2の圧力が大きいため
に、被膜が薄くなっている部分Aが存在している。この
ような部分Aにおいては、るつぼ1とGaAs原料融液
2とが直接接触して濡れが生じ、摩擦力が発生すること
により、多結晶化による結晶欠陥が発生するという問題
があった。
【0020】また、この方法において、被膜として用い
られるB23 は、GaAsの融点である1238℃付
近では粘度が低い。そのため、原料融液と接する前に、
るつぼ内面への粘着力が低下して、B23 が下方へ流
れ落ち、るつぼ内面が剥き出しの状態になってしまうと
いう問題もあった。
【0021】さらに、B23 は350℃で固化するた
め、結晶とるつぼが固着し、層状構造のpBN製るつぼ
の場合には、pBNが剥離してるつぼ寿命が低下してし
まうという問題や、結晶にクラックが入ってしまうとい
う問題もあった。
【0022】一方、BN粉末のみを使用する場合にも、
原料融液の荷重による圧力が大きい部分で、原料融液が
BN粉末粒子に濡れて粒子間に侵入し、るつぼと接触す
るため、接触部分で結晶欠陥が発生してしまうという問
題があった。
【0023】特に、VB法を用いる場合に、るつぼのテ
ーパ部において、原料融液の圧力の影響を受けやすいた
め、このような問題点が発生しやすかった。
【0024】図13は、BN粉末のみを使用した従来の
GaAs単結晶の製造における、るつぼとGaAs融液
との界面の状態を模式的に示す断面図である。
【0025】図13を参照して、この方法によれば、p
BN製るつぼ1の内面にBN粉末が付着しているが、原
料融液2の圧力が大きい場合には、原料融液2がBN粉
末粒子4間に侵入している部分Bが存在している。この
ような部分Bにおいては、るつぼ1とGaAs融液2と
が直接接触して濡れが生じ、摩擦力が発生することによ
り、多結晶化による結晶欠陥が発生するという問題があ
った。
【0026】また、この方法において、BN粉末は、る
つぼへの付着力が小さいため、るつぼから容易に脱落し
てしまうという問題もあった。
【0027】この発明の目的は、上述の問題点を解決
し、原料融液とるつぼの濡れを防止して多結晶化を有効
に防止することにより、結晶欠陥の少ないII−VI族
またはIII−V族化合物単結晶を工業的に製造するこ
とができる方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明によるI
I−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法
は、多結晶のII−VI族またはIII−V族化合物か
ら、単結晶のII−VI族またはIII−V族化合物を
製造する方法であって、るつぼの内側の面を、多結晶の
化合物の融点よりも高い融点を有する粉末固体が、多結
晶の化合物の融点よりも低い軟化点を有するガラス状物
質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステッ
プと、被覆されたるつぼ内に多結晶の化合物を配置する
ステップと、多結晶の化合物がその中に配置された被覆
されたるつぼを、加熱手段中に配置するステップと、加
熱手段中に配置されたるつぼを加熱手段により加熱し
て、るつぼ中で多結晶の化合物を溶融するステップと、
るつぼと溶融した化合物とを冷却して、単結晶の化合物
を成長させるステップとを備えている。
【0029】この発明において、多結晶の化合物の融点
よりも高い融点を有する粉末固体としては、たとえば、
窒化ボロン(BN)、グラファイト等の潤滑性を有する
物質が挙げられる。また、多結晶の化合物の融点よりも
低い軟化点を有するガラス状物質としては、たとえば、
酸化ホウ素(B23 )、B23 と酸化ケイ素(Si
2 )との混合物等が挙げられる。
【0030】請求項2の発明によるII−VI族または
III−V族化合物単結晶の製造方法は、垂直に配置し
たるつぼ中で、多結晶のII−VI族またはIII−V
族化合物から単結晶のII−VI族またはIII−V族
化合物を製造する方法であって、るつぼの内側の面を、
多結晶の化合物の融点よりも高い融点を有する粉末固体
が、多結晶の化合物の融点よりも低い軟化点を有するガ
ラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆す
るステップと、単結晶の化合物からなる種結晶を、前記
るつぼの底部に配置するステップと、るつぼの残部に多
結晶の化合物を配置するステップと、種結晶と多結晶の
化合物がその中に配置されたるつぼを、上部の高温域と
下部の低温域とを作ることができる垂直に配置した炉の
中に配置するステップと、炉の位置および上部の高温域
の温度を調節することにより、るつぼ中で種結晶の一部
を固体の状態に保ちながら多結晶の化合物を溶融するス
テップと、下部の低温域の温度を単結晶の化合物の融点
未満に設定し、かつ、上部の高温域の温度を融点よりも
高く設定することにより、固−液界面を作るステップ
と、下部の低温域および上部の高温域における温度設定
を実質的に保持しながら、炉および固−液界面を上方に
垂直に移動させることにより、単結晶の化合物を成長さ
せるステップとを備えている。
【0031】請求項3の発明によるII−VI族または
III−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項1また
は請求項2の発明において、粉末固体はBNであり、ガ
ラス状物質はB23 である。
【0032】請求項4の発明によるII−VI族または
III−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項3の発
明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状
物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステ
ップは、BN粉末とB23粉末とを混合した後、さら
に溶媒と混合して混合液を作製するステップと、混合液
をるつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施
与されたるつぼを熱処理することにより、るつぼの内側
の面上に、BN粉末がB23 中に分散された混合層か
らなる被膜を形成するステップとを備えている。
【0033】請求項5の発明によるII−VI族または
III−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項3の発
明において、るつぼの内側の面を粉末固体がガラス状物
質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステッ
プは、BN粉末とH3 BO3粉末とを混合した後、さら
に溶媒と混合して混合液を作製するステップと、混合液
をるつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施
与されたるつぼを熱処理することにより、るつぼの内側
の面上に、BN粉末がB23 中に分散された混合層か
らなる被膜を形成するステップとを備えている。
【0034】請求項6の発明によるII−VI族または
III−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項3の発
明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状
物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステ
ップは、B23 粉末を溶媒と混合した後、さらにBN
粉末と混合して混合液を作製するステップと、混合液を
るつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施与
されたるつぼを熱処理することにより、るつぼの内側の
面上に、BN粉末がB23 中に分散された混合層から
なる被膜を形成するステップとを備えている。
【0035】請求項7の発明によるII−VI族または
III−V族化合物単結晶の製造方法は請求項1または
請求項2の発明において、粉末固体はBNであり、ガラ
ス状物質はB23 とSiO2 との混合物である。
【0036】請求項8の発明によるII−VI族または
III−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項7の発
明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状
物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステ
ップは、BN粉末とシラノール化合物とを混合して混合
液を作製するステップと、混合液をるつぼの内側の面に
施与するステップと、混合液が施与されたるつぼを酸化
処理することにより、るつぼの内側の面上に、BN粉末
がB23 とSiO2 との混合物中に分散された混合層
からなる被膜を形成するステップとを備えている。
【0037】請求項9の発明によるII−VI族または
III−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項7の発
明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状
物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステ
ップは、BN粉末とB23粉末とシラノール化合物と
を混合して混合液を作製するステップと、混合液をるつ
ぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施与され
たるつぼを熱処理することにより、るつぼの内側の面上
に、BN粉末がB23 とSiO2 との混合物中に分散
された混合層からなる被膜を形成するステップとを備え
ている。
【0038】請求項10の発明によるII−VI族また
はIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項7の
発明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス
状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するス
テップは、BN粉末とH3 BO3 粉末とシラノール化合
物とを混合して混合液を作製するステップと、混合液を
るつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施与
されたるつぼを熱処理することにより、るつぼの内側の
面上に、BN粉末がB23 とSiO2 との混合物中に
分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを
備えている。
【0039】請求項11の発明によるII−VI族また
はIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項7の
発明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス
状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するス
テップは、BN粉末とSiO 2 とB23 粉末とを混合
した後、さらに溶媒と混合して混合液を作製するステッ
プと、混合液をるつぼの内側の面に施与するステップ
と、混合液が施与されたるつぼを熱処理することによ
り、るつぼの内側の面上に、BN粉末がB23 とSi
2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜を形
成するステップとを備えている。
【0040】請求項12の発明によるII−VI族また
はIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項7の
発明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス
状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するス
テップは、BN粉末とSiO 2 粉末とH3 BO3 粉末と
を混合した後、さらに溶媒と混合して混合液を作製する
ステップと、混合液をるつぼの内側の面に施与するステ
ップと、混合液が施与されたるつぼを熱処理することに
より、るつぼの内側の面上に、BN粉末がB23 とS
iO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜を
形成するステップとを備えている。
【0041】請求項13の発明によるII−VI族また
はIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項7の
発明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス
状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するス
テップは、BN粉末とSiO 2 粉末とを混合した後、さ
らに溶媒と混合して混合液を作製するステップと、混合
液をるつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が
施与されたるつぼを酸化処理することにより、るつぼの
内側の面上に、BN粉末がB23 とSiO2との混合
物中に分散された混合層からなる被膜を形成するステッ
プとを備えている。
【0042】請求項14の発明によるII−VI族また
はIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項3〜
請求項13のいずれかに記載の発明において、BNの粒
径は、平均粒径として、0.05μm以上、50μm以
下である。
【0043】平均粒径が50μm以下であれば本発明の
効果が得られるが、好ましくは10μm以下、さらに好
ましくは3μm、最も好ましくは1μm以下であるとよ
い。
【0044】なお、この明細書において、BN粒子の粒
径は、図9に示すように、たとえばBNの1次粒子10
が集合して2次粒子20のようになっている場合であっ
ても、1次粒子10の粒径として定義する。
【0045】請求項15の発明によるII−VI族また
はIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項1〜
請求項14のいずれかに記載の発明において、II−V
I族またはIII−V族化合物は、GaAsを含んでい
る。
【0046】なお、本発明における化合物としては、G
aAsの他、たとえばInP、GaP等のIII−V族
化合物や、ZnSe、CdTe等のII−VI族化合物
等も挙げられる。
【0047】請求項16の発明によるII−VI族また
はIII−V族化合物単結晶製造用るつぼは、多結晶の
II−VI族またはIII−V族化合物から、融液固化
法により単結晶のII−VI族またはIII−V族化合
物を製造するためのるつぼであって、るつぼの内側の面
に形成された被膜を有し、被膜は、多結晶の化合物の融
点よりも高い融点を有する粉末固体が、多結晶の化合物
の融点よりも低い軟化点を有するガラス状物質中に分散
された混合層からなることを特徴としている。
【0048】この発明によれば、るつぼの内側の面が、
粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる
被膜で被覆されている。
【0049】図10は、粉末固体3がガラス状物質3中
に分散された混合層からなる被膜により内面が被覆され
たるつぼ1と、原料融液2との界面の状態を模式的に示
す断面図である。
【0050】図10を参照して、本発明によれば、従来
のB23 のみ、またはBN粒子のみを用いる場合と比
較して、被膜の見掛けの粘度が上昇し、るつぼへの付着
力が高まる。その結果、原料融液と接することによる温
度の上昇によっても、被膜が流れ落ちることがなく、ま
た、被膜がるつぼから容易に剥離することもない。さら
に原料融液の荷重による圧力が大きい部分においても、
原料融液がるつぼと直接接触することがない。
【0051】なお、このように粉末粒子をガラス状物質
中に分散させることにより、被膜の見掛けの粘度が上昇
する理由としては、明らかではないが、るつぼと粉末粒
子の表面をガラス状物質が被覆することによって、ガラ
ス状物質の表面積が増加し、表面張力が増加するためで
あると考えられる。
【0052】したがって、たとえば、ガラス状物質とし
てのB23 と粉末粒子としてのBNとの比率(BN量
/B23 量)と、GaAsの融点近傍における被膜の
見掛けの粘度すなわち被膜のるつぼへの付着力との間に
は、定性的に図11のような関係が予想される。
【0053】また、従来のようにB23 のみを潤滑剤
として用いる場合と比較して、本発明によれば、被膜は
たとえばB23 とBN粉末等の混合層からなるため、
350℃でB23 が固化しても、結晶とるつぼを固着
する力は従来よりも小さい。さらに、本発明によれば、
粉末固体が、B23 の固化の際の収縮応力を緩和する
ように作用する。
【0054】これらのことから、本発明によれば、pB
N製るつぼの場合であっても、るつぼ表面が剥離してる
つぼ寿命が低下したり、結晶にクラックが入るといった
問題が生じることがない。
【0055】
【実施例】図1は、II−VI族またはIII−V族化
合物単結晶の製造工程の一例を示す図である。
【0056】本発明は、これらの工程のうち、特に
(2)るつぼ前処理工程に特徴を有するものであり、他
の工程については従来技術をそのまま適用することが可
能である。
【0057】したがって、以下、この(2)るつぼ前処
理工程についてのみ説明する。 (実施例1)図2は、本発明に従い、るつぼの内側の面
を、BN粉末がB23 中に分散された混合層からなる
被膜で被覆する方法の一例を示す断面図である。
【0058】図2(A)を参照して、まず、るつぼ1の
内側の面に、BN粉末4を施与する。
【0059】次に、このようにBN粉末4が施与された
るつぼ1を、酸素(O2 )ガス、またはO2 混合ガス雰
囲気下で、900℃〜1200℃の温度で加熱する。す
ると、BN粉末の表面が、下記に示す式(1)の反応に
従い酸化される。
【0060】 4BN+3O2 →2B23 +2N2 …(1) その結果、図2(B)に示すように、るつぼ1の内側の
面に、BN粉末粒子4がB23 3中に分散された混合
層からなる被膜が形成される。
【0061】(実施例2)図3は、本発明に従い、るつ
ぼの内側の面を、BN粉末がB23 中に分散された混
合層からなる被膜で被覆する方法の他の例を示す断面図
である。
【0062】まず、BN粉末とホウ酸(H3 BO3 )粉
末とを混合した後、さらに、水またはアルコール等の溶
媒と混合して、混合液を作製する。
【0063】次に、このようにして作製した混合液をる
つぼの内側の面に塗付する。図3(A)は、混合液が塗
付されたるつぼの内側の面を示す断面図である。
【0064】図3(A)を参照して、るつぼ1の内側の
面には、BN粉末粒子4とH3 BO 3 粉末5と十分な量
の溶媒とを含む混合液が塗付されているが、H3 BO3
粉末5自身には、るつぼ1への付着力はない。
【0065】次に、このように混合液が塗付されたるつ
ぼ1を、窒素(N2 )ガス、アルゴン(Ar)ガスまた
はO2 ガス雰囲気下で、300℃〜1200℃の温度で
熱処理する。
【0066】その結果、図3(B)に示すように、るつ
ぼ1の内側の面に、BN粉末粒子4がB23 3中に分
散された混合層からなる被膜が形成される。
【0067】(実施例3)図4は、本発明に従い、るつ
ぼの内側の面を、BN粉末がB23 中に分散された混
合層からなる被膜で被覆する方法のさらに他の例を示す
断面図である。
【0068】まず、BN粉末と酸化ホウ素(B23
粉末とを混合した後、さらに、水またはアルコール等の
溶媒と混合して、混合液を作製する。なお、混合液作製
の際には、B23 粉末を予め水またはアルコール等の
溶媒に溶かした後、さらにBN粉末と混合してもよい。
【0069】次に、このようにして作製した混合液を、
るつぼの内側の面に塗付する。図4(A)は、混合液が
塗付されたるつぼの内側の面を示す断面図である。
【0070】図4(A)を参照して、るつぼ1の内側の
面には、BN粉末4とB23 粉末13と溶媒とを含む
混合液が塗付されているが、この図においては、溶媒が
ほとんど含まれていない状態を示している。
【0071】次に、このように混合液が塗り付けされた
るつぼ1を、N2 ガス、ArガスまたはO2 ガス雰囲気
下で、300℃〜1200℃の温度で熱処理する。
【0072】その結果、図4(B)に示すように、るつ
ぼ1の内側の面に、BN粉末粒子4がB23 3中に分
散された混合層からなる被膜が形成される。
【0073】次に、上述の実施例1〜実施例3のように
して作製された、BN粉末がB2 3 中に分散した混合
層からなる被膜が形成されたるつぼの効果について、以
下に図を用いて説明する。
【0074】図5〜図8は、本発明に従い、粉末固体4
がガラス状物質3中に分散された混合層からなる被膜に
より内面が被覆されたるつぼ1と、原料融液2との界面
の状態を模式的に示す断面図である。
【0075】図5は、被膜中にB23 が十分な量含有
されており、原料融液の荷重が小さい場合を示してい
る。この場合には、図5より明らかなように、原料融液
2は、B23 3とのみ接触し、るつぼ1およびBN粉
末4と直接接触することはない。
【0076】図6は、被膜中にB23 が十分な量含有
されており、原料融液の荷重が大きい場合を示してい
る。この場合には、図6より明らかなように、原料融液
2は、B23 3と接触するとともに、BN粉末4とも
接触している。しかしながら、BN粉末4は潤滑性を有
しているため、接触部分で欠陥が生じることはない。ま
た、BN粉末4の隙間のB23 3も、流し出されるこ
とはない。その結果、原料融液2は、るつぼ1とは直接
接触することはない。
【0077】図7は、被膜中のB23 含有量が少な
く、原料融液の荷重が小さい場合を示している。この場
合には、原料融液2は、BN粉末4の粒子間へ侵入しに
くい状態となっている。また、主としてBN粉末4の潤
滑性と濡れ難さの効果によって、欠陥の発生が防止され
る。
【0078】図8は、被膜中のB23 含有量が少な
く、原料融液の荷重が大きい場合を示している。この場
合には、原料融液2は、BN粉末4の粒子間に侵入しや
すい状態となっている。しかしながら、るつぼ1の表面
は、B23 層3により覆われているため、原料融液2
がるつぼ1と直接接触することはない。
【0079】(実施例4)以下、本発明に従い、るつぼ
の内側の面を、BN粉末がB23 とSiO2 との混合
物中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法の
一例について、説明する。
【0080】まず、BN粉末とシラノール化合物とを混
合して、混合液を作製する。シラノール化合物として
は、たとえば、東京応化製OCDを用いることができ
る。このOCDは、シラノール化合物と溶剤とからなる
液体である。
【0081】次に、このようにして作製した混合液をる
つぼの内側の面に施与する。続いて、混合液が施与され
たるつぼに、酸化処理を施す。この酸化処理により、混
合液中のBN粉末が酸化されて、一部がB23 に変化
し、また、シラノールは酸化シリコン(SiO2 )に変
化する。
【0082】その結果、るつぼの内側の面に、BN粒子
がB23 とSiO2 との混合物中に分散された混合層
からなる被膜が形成される。
【0083】(実施例5)以下、本発明に従い、るつぼ
の内側の面を、BN粉末がB23 とSiO2 との混合
物中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法の
他の例について、説明する。
【0084】まず、BN粉末とB23 粉末とシラノー
ル化合物とを混合して、混合液を作製する。シラノール
化合物としては、たとえば、前述のOCDを用いること
ができる。また、B23 粉末の代わりに、ホウ酸(H
3 BO3 )粉末を用いてもよい。
【0085】次に、このようにして作製した混合液を、
るつぼの内側の面に施与する。続いて、混合液が施与さ
れたるつぼを、窒素(N2 )ガス、アルゴン(Ar)ガ
スまたは酸素(O2 )ガス雰囲気下で、熱処理する。
【0086】その結果、るつぼの内側の面に、BN粒子
がB23 とSiO2 との混合物中に分散された混合層
からなる被膜が形成される。
【0087】(実施例6)以下、本発明に従い、るつぼ
の内側の面を、BN粉末がB23 とSiO2 との混合
物中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法の
さらに他の例について、説明する。
【0088】まず、BN粉末とSiO2 粉末とB23
粉末とを混合した後、さらに、水、アルコール等の溶媒
と混合して、混合液を作製する。なお、B23 粉末の
代わりに、ホウ酸(H3 BO3 )粉末を用いてもよい。
【0089】次に、このようにして作製した混合液を、
るつぼの内側の面に塗付する。続いて、混合液が塗付さ
れたるつぼを、N2 ガス、ArガスまたはO2 ガス雰囲
気下で、熱処理する。
【0090】その結果、るつぼの内側の面に、BN粒子
がB23 とSiO2 との混合物中に分散された混合層
からなる被膜が形成される。
【0091】(実施例7)以下、本発明に従い、るつぼ
の内側の面を、BN粉末がB23 とSiO2 との混合
物中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法の
さらに他の例について、説明する。
【0092】まず、BN粉末とSiO2 粉末とを混合し
た後、さらに、水、アルコール等の溶媒と混合して、混
合液を作製する。
【0093】次に、このようにして作製した混合液を、
るつぼの内側の面に塗付する。続いて、混合液が塗付さ
れたるつぼに、酸化処理を施す。
【0094】その結果、るつぼの内側の面に、BN粒子
がB23 とSiO2 との混合物中に分散された混合層
からなる被膜が形成される。
【0095】次に、上述の実施例4〜実施例7のように
して作製された、BN粉末がB2 3 とSiO2 との混
合物中に分散した混合層からなる被膜が形成されたるつ
ぼの効果について、以下に説明する。
【0096】本発明においては、被膜中のガラス状物質
として、B23 のみを用いても、十分にその効果が得
られるが、B23 は、以下に示すような吸湿による影
響を受けやすい物質である。
【0097】すなわち、B23 は、吸湿によってホウ
酸(H3 BO3 )に変化し、このH 3 BO3 は、粘着力
がなく、加熱により飛散してしまうという性質を有す
る。
【0098】したがって、B23 がH3 BO3 に変化
してしまった場合には、被膜の付着力が低下し、原料融
解までの加熱により飛散してしまうために、被膜中のガ
ラス状物質が欠乏するとともに、被膜が剥離してしま
う。その結果、ツインまたはマイクロツインの発生、も
しくは多結晶化といった、結晶欠陥が発生するおそれが
ある。
【0099】そこで、ガラス状物質として、B23
SiO2 を添加した混合物を用いることにより、上述し
た懸念がなくなる。
【0100】たとえば、GaAs単結晶の製造において
は、添加するSiO2 濃度は、0.1mol%〜80m
ol%が好ましい。B23 の軟化点は300℃〜35
0℃であり、SiO2 の軟化点は1500℃前後である
ことから、SiO2 濃度が80mol%より大きくなる
と、B23 とSiO2 との混合物の軟化点がGaAs
の軟化点以上となってしまうからである。一方、SiO
2 の濃度が0.1mol%より小さいと、B23 が吸
湿による影響を受けてしまうからである。
【0101】また、添加するSiO2 濃度は、好ましく
は1mol%〜70mol%、さらに好ましくは5mo
l%〜60mol%であるとよい。
【0102】また、GaAsより融点の高いGaP単結
晶の製造においては、添加するSiO2 濃度は、0.1
mol%〜90mol%、好ましくは1mol%〜80
mol%、さらに好ましくは5mol%〜70mol%
であるとよい。
【0103】さらに、GaAsより融点の低いInP単
結晶の製造においては、添加するSiO2 濃度は、0.
1mol%〜65mol%、好ましくは1mol%〜5
5mol%、さらに好ましくは5mol%〜45mol
%であるとよい。
【0104】以下、ガラス状物質として、B23 とS
iO2 との混合物を用いるメリットについて、SiO2
濃度が低い場合と高い場合に分けて説明する。
【0105】B23 とSiO2 との混合物において、
SiO2 濃度が低いとき、すなわち、B23 濃度が高
いときには、Siによる汚染が少ないため、半絶縁性結
晶の製造の際に適用するのが好ましい。また、このよう
な混合物は、見掛けの粘度が低いため潤滑効果が高い。
その結果、ツインまたはマイクロツインの発生、もしく
は多結晶化といった結晶欠陥の発生を、特に効果的に防
止することができる。
【0106】一方、B23 とSiO2 との混合物にお
いて、SiO2 濃度が高いとき、すなわち、B23
度が低いときには、ドーパントのSiとB23 中のホ
ウ素(B)との置換反応が起こりにくいため、ドーパン
トのSiの濃度低下や、ホウ素(B)による汚染が少な
い。そのため、Siドープ結晶の製造の際に適用するの
が好ましい。また、SiO2 濃度が高くなると、B2
3 の吸湿によるホウ酸(H3 BO3 )への変化がより効
果的に防止されるため、被膜の付着力が向上するととも
に、加熱時にH3 BO3 が飛散して被膜中のガラス状物
質が欠乏してしまうこともなくなる。
【0107】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、原料融液とるつぼが直接接触して濡れることがな
い。その結果、多結晶化が有効に防止されることによ
り、結晶欠陥の少ないII−VI族またはIII−V族
化合物単結晶を工業的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】II−VI族またはIII−V族化合物単結晶
の製造工程の一例を示す図である。
【図2】本発明に従い、るつぼの内側の面を、BN粉末
がB23 中に分散された混合層からなる被膜で被覆す
る方法の一例を示す断面図である。
【図3】本発明に従い、るつぼの内側の面を、BN粉末
がB23 中に分散された混合層からなる被膜で被覆す
る方法の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明に従い、るつぼの内側の面を、BN粉末
がB23 中に分散された混合層からなる被膜で被覆す
る方法のさらに他の例を示す断面図である。
【図5】本発明に従い、粉末固体がガラス状物質中に分
散された混合層からなる被膜により内面が被覆されたる
つぼと、原料融液との界面の状態を模式的に示す断面図
である。
【図6】本発明に従い、粉末固体がガラス状物質中に分
散された混合層からなる被膜により内面が被覆されたる
つぼと、原料融液との界面の状態を模式的に示す断面図
である。
【図7】本発明に従い、粉末固体がガラス状物質中に分
散された混合層からなる被膜により内面が被覆されたる
つぼと、原料融液との界面の状態を模式的に示す断面図
である。
【図8】本発明に従い、粉末固体がガラス状物質中に分
散された混合層からなる被膜により内面が被覆されたる
つぼと、原料融液との界面の状態を模式的に示す断面図
である。
【図9】BN粒子の粒子径を説明するための図である。
【図10】粉末固体がガラス状物質中に分散された混合
層からなる被膜により内面が被覆されたるつぼと、原料
融液との界面の状態を模式的に示す断面図である。
【図11】BN量/B23 量と、被膜の見掛けの粘度
との関係を示す図である。
【図12】従来のGaAs単結晶の製造における、るつ
ぼとGaAs融液との界面の状態の一例を模式的に示す
図である。
【図13】従来のGaAs単結晶の製造における、るつ
ぼとGaAs融液との界面の状態の他の例を模式的に示
す図である。
【符号の説明】
1 pBNるつぼ 2 原料融液 3 B23 4 BN粉末 5 ホウ酸(H3 BO3 ) 13 B23 粉末 なお、各図中、同一符号は、同一または相当部分を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/368 H01L 21/368 Z

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多結晶のII−VI族またはIII−V
    族化合物から、単結晶のII−VI族またはIII−V
    族化合物を製造する方法であって、 るつぼの内側の面を、前記多結晶の化合物の融点よりも
    高い融点を有する粉末固体が、前記多結晶の化合物の融
    点よりも低い軟化点を有するガラス状物質中に分散され
    た混合層からなる被膜で被覆するステップと、 前記被覆されたるつぼ内に、前記多結晶の化合物を配置
    するステップと、 前記多結晶の化合物がその中に配置された前記被覆され
    たるつぼを、加熱手段中に配置するステップと、 前記加熱手段中に配置されたるつぼを前記加熱手段によ
    り加熱して、前記るつぼ中で前記多結晶の化合物を溶融
    するステップと、 前記るつぼと前記溶融した化合物とを冷却して、単結晶
    の化合物を成長させるステップとを備える、II−VI
    族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 垂直に配置したるつぼ中で、多結晶のI
    I−VI族またはIII−V族化合物から単結晶のII
    −VI族またはIII−V族化合物を製造する方法であ
    って、 前記るつぼの内側の面を、前記多結晶の化合物の融点よ
    りも高い融点を有する粉末固体が、前記多結晶の化合物
    の融点よりも低い軟化点を有するガラス状物質中に分散
    された混合層からなる被膜で被覆するステップと、 単結晶の前記化合物からなる種結晶を、前記るつぼの底
    部に配置するステップと、 前記るつぼの残部に、多結晶の前記化合物を配置するス
    テップと、 前記種結晶と前記多結晶の化合物がその中に配置された
    るつぼを、上部の高温域と下部の低温域とを作ることが
    できる垂直に配置した炉の中に配置するステップと、 前記炉の位置および前記上部の高温域の温度を調節する
    ことにより、前記るつぼ中で前記種結晶の一部を固体の
    状態に保ちながら前記多結晶の化合物を溶融するステッ
    プと、 前記下部の低温域の温度を単結晶の前記化合物の融点未
    満に設定し、かつ、前記上部の高温域の温度を前記融点
    よりも高く設定することにより、固−液界面を作るステ
    ップと、 前記下部の低温域および前記上部の高温域における前記
    温度設定を実質的に保持しながら、前記炉および前記固
    −液界面を上方に垂直に移動させることにより、単結晶
    の前記化合物を成長させるステップとを備える、II−
    VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記粉末固体はBNであり、 前記ガラス状物質はB23 である、請求項1または請
    求項2に記載のII−VI族またはIII−V族化合物
    単結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガ
    ラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆す
    るステップは、 BN粉末とB23 粉末とを混合した後、さらに溶媒と
    混合して混合液を作製するステップと、 前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステッ
    プと、 前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することによ
    り、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB23
    に分散された混合層からなる被膜を形成するステップと
    を備える、請求項3記載のII−VI族またはIII−
    V族化合物単結晶の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガ
    ラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆す
    るステップは、 BN粉末とH3 BO3 粉末とを混合した後、さらに溶媒
    と混合して混合液を作製するステップと、 前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステッ
    プと、 前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することによ
    り、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB23
    に分散された混合層からなる被膜を形成するステップと
    を備える、請求項3記載のII−VI族またはIII−
    V族化合物単結晶の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガ
    ラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆す
    るステップは、 B23 粉末を溶媒と混合した後、さらにBN粉末と混
    合して混合液を作製するステップと、 前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステッ
    プと、 前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することによ
    り、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB23
    に分散された混合層からなる被膜を形成するステップと
    を備える、請求項3記載のII−VI族またはIII−
    V族化合物単結晶の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記粉末固体はBNであり、 前記ガラス状物質はB23 とSiO2 との混合物であ
    る、請求項1または請求項2に記載のII−VI族また
    はIII−V族化合物単結晶の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガ
    ラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆す
    るステップは、 BN粉末とシラノール化合物とを混合して混合液を作製
    するステップと、 前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステッ
    プと、 前記混合液が施与されたるつぼを酸化処理することによ
    り、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB23
    SiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜
    を形成するステップとを備える、請求項7記載のII−
    VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガ
    ラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆す
    るステップは、 BN粉末とB23 粉末とシラノール化合物とを混合し
    て混合液を作製するステップと、 前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステッ
    プと、 前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することによ
    り、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB23
    SiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜
    を形成するステップとを備える、請求項7記載のII−
    VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記るつぼの内側の面を、粉末固体
    がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被
    覆するステップは、 BN粉末とH3 BO3 粉末とシラノール化合物とを混合
    して混合液を作製するステップと、 前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステッ
    プと、 前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することによ
    り、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB23
    SiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜
    を形成するステップとを備える、請求項7記載のII−
    VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記るつぼの内側の面を、粉末固体
    がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被
    覆するステップは、 BN粉末とSiO2 とB23 粉末とを混合した後、さ
    らに溶媒と混合して混合液を作製するステップと、 前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステッ
    プと、 前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することによ
    り、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB23
    SiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜
    を形成するステップとを備える、請求項7記載のII−
    VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記るつぼの内側の面を、粉末固体
    がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被
    覆するステップは、 BN粉末とSiO2 粉末とH3 BO3 粉末と混合した
    後、さらに溶媒と混合して混合液を作製するステップ
    と、 前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステッ
    プと、 前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することによ
    り、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB23
    SiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜
    を形成するステップとを備える、請求項7記載のII−
    VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記るつぼの内側の面を、粉末固体
    がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被
    覆するステップは、 BN粉末とSiO2 粉末とを混合した後、さらに溶媒と
    混合して混合液を作製するステップと、 前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステッ
    プと、 前記混合液が施与されたるつぼを酸化処理することによ
    り、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB23
    SiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜
    を形成するステップとを備える、請求項7記載のII−
    VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記BNの粒径は、平均粒径とし
    て、0.05μm以上、50μm以下である、請求項3
    〜請求項13のいずれかに記載のII−VI族またはI
    II−V族化合物単結晶の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記II−VI族またはIII−V族
    化合物は、GaAsを含む、請求項1〜請求項14のい
    ずれかに記載のII−VI族またはIII−V族化合物
    単結晶の製造方法。
  16. 【請求項16】 多結晶のII−VI族またはIII−
    V族化合物から、融液固化法により単結晶のII−VI
    族またはIII−V族化合物を製造するためのるつぼで
    あって、 前記るつぼの内側の面に形成された被膜を有し、 前記被膜は、 前記多結晶の化合物の融点よりも高い融点を有する粉末
    固体が、前記多結晶の化合物の融点よりも低い軟化点を
    有するガラス状物質中に分散された混合層からなること
    を特徴とする、II−VI族またはIII−V族化合物
    単結晶製造用るつぼ。
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