JP3689943B2 - Ii−vi族またはiii−v族化合物単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、II−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法に関するものであり、特に、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード等の光電子分野や、トランジスタ等の電子分野に利用される、II−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
II−VI族およびIII−V族化合物半導体単結晶としては、たとえば、砒化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)およびテルル化カドミウム(CdTe)等が挙げられる。
【0003】
これらの化合物半導体単結晶は、従来、水平ブリッジマン法(HB法)、液体封止引上げ法(LEC法)、垂直ブリッジマン法(VB法)および垂直温度勾配凝固法(VGF法)等さまざまな工業的方法により製造されることが知られている。
【0004】
これらの方法のうち、たとえば、VB法による化合物半導体単結晶の製造は、以下のように行なわれる。
【0005】
一般に、VB法は、1以上の高温域および1以上の低温域を有する垂直炉を使用する。これらの領域は、約5〜20℃/cmの温度勾配を有する遷移域によって分けられた温度の比較的均一な高温域と、温度の比較的均一な低温域からなる炉の温度プロファイルを提供するように設計される。
【0006】
まず、II−VI族またはIII−V族化合物を含有するのに適した、垂直に配置したるつぼ(通常、pBNで構成される)が、密閉されたアンプル中に配置される。単結晶の成長は、るつぼ−アンプル集合体を不動に保持しながら、炉をゆっくりと上昇させることによって進行される。
【0007】
VB法による化合物半導体の製造は、るつぼの底部に単結晶の種結晶を配置するステップと、多結晶の物質をるつぼ中に入れるステップと、るつぼをアンプル中に配置した後アンプルを密封し、このるつぼ−アンプル集合体を上述の垂直に配置された炉の内側の台座に配置するステップと、多結晶の物質および単結晶の種結晶の上部をその融点以上に加熱するステップと、多結晶物質の溶融によって得られた融液の長さだけ炉を上方の動かして、固体の単結晶物質を生成するステップとを備えている。
【0008】
このように製造されたII−VI族またはIII−V族化合物半導体単結晶のインゴットは、次にるつぼから取出され、種々の電子または光電子用途のためのウェハへとスライスされる。
【0009】
このように構成されるVB法は、他の方法に比べて欠陥密度の低い良質の結晶を低コストで製造できる方法として、有望視されている。しかしながら、このVB法によっても、結晶欠陥の発生の問題は完全には解決されたとはいえない。
【0010】
すなわち、るつぼ等の容器と結晶との間の熱膨張率差などにより、接触部に熱応力が発生する結果、転位が生じ、この転位が集中することによって多結晶化が生じるという問題があった。
【0011】
この多結晶化を防止するためには、容器と結晶の相互作用を小さくするために、容器と結晶との接触面での摩擦係数を小さくすることが有効である。具体的には、容器と原料融液とを濡れにくくすること、または、潤滑剤を使用することが考えられる。
【0012】
従来、容器と原料融液との濡れ性を改善する方法としては、たとえば、容器の材質として石英を用いることが検討されている。この方法によれば、ボロン(B)の汚染がなくなるという長所を有しているが、石英からなる容器の大型化が困難なことから、工業的製造に適さないという欠点を有していた。
【0013】
一方、潤滑剤を使用する方法の一例としては、たとえば、酸化ホウ素(B2 O3 )からなる被膜をるつぼの内側の面に形成する方法が検討されている。なお、このB2 O3 の使用は、溶融または結晶化したGaAs等の化合物から砒素(As)等の揮発性成分の分解および揮発を防止する作用も兼ね備えている。この方法によれば、容器と結晶との潤滑性が改善され、多結晶化の防止に効果がある。
【0014】
また、特開平3−122097号公報では、るつぼの内側の面を固体の窒化ボロン(BN)等の粉末固体でコートすることによって、結晶欠陥の発生を防止する方法が開示されている。
【0015】
この先行技術によれば、B2 O3 を使用した場合のように結晶とるつぼとが固着することがないため、るつぼの長寿命化に効果がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、潤滑剤としてB2 O3 を使用する場合には、原料融液の荷重による圧力が大きい部分で、B2 O3 からなる被膜が薄くなり、原料融液がるつぼと直接接触するため、接触部分で結晶欠陥が発生してしまうという問題があった。
【0017】
特に、VB法を用いる場合には、るつぼのテーパ部において、原料融液の圧力の影響を受けやすいため、上述した問題点が発生しやすかった。
【0018】
図12は、潤滑剤としてB2 O3 を使用した従来のGaAs単結晶の製造における、るつぼとGaAs融液との界面の状態を模式的に示す断面図である。
【0019】
図12を参照して、この方法によれば、パイロリティック・ボロン・ナイトライド(pBN)製るつぼ1の内面にB2 O3 からなる被膜3が形成されているが、一部において、原料融液2の圧力が大きいために、被膜が薄くなっている部分Aが存在している。このような部分Aにおいては、るつぼ1とGaAs原料融液2とが直接接触して濡れが生じ、摩擦力が発生することにより、多結晶化による結晶欠陥が発生するという問題があった。
【0020】
また、この方法において、被膜として用いられるB2 O3 は、GaAsの融点である1238℃付近では粘度が低い。そのため、原料融液と接する前に、るつぼ内面への粘着力が低下して、B2 O3 が下方へ流れ落ち、るつぼ内面が剥き出しの状態になってしまうという問題もあった。
【0021】
さらに、B2 O3 は350℃で固化するため、結晶とるつぼが固着し、層状構造のpBN製るつぼの場合には、pBNが剥離してるつぼ寿命が低下してしまうという問題や、結晶にクラックが入ってしまうという問題もあった。
【0022】
一方、BN粉末のみを使用する場合にも、原料融液の荷重による圧力が大きい部分で、原料融液がBN粉末粒子に濡れて粒子間に侵入し、るつぼと接触するため、接触部分で結晶欠陥が発生してしまうという問題があった。
【0023】
特に、VB法を用いる場合に、るつぼのテーパ部において、原料融液の圧力の影響を受けやすいため、このような問題点が発生しやすかった。
【0024】
図13は、BN粉末のみを使用した従来のGaAs単結晶の製造における、るつぼとGaAs融液との界面の状態を模式的に示す断面図である。
【0025】
図13を参照して、この方法によれば、pBN製るつぼ1の内面にBN粉末が付着しているが、原料融液2の圧力が大きい場合には、原料融液2がBN粉末粒子4間に侵入している部分Bが存在している。このような部分Bにおいては、るつぼ1とGaAs融液2とが直接接触して濡れが生じ、摩擦力が発生することにより、多結晶化による結晶欠陥が発生するという問題があった。
【0026】
また、この方法において、BN粉末は、るつぼへの付着力が小さいため、るつぼから容易に脱落してしまうという問題もあった。
【0027】
この発明の目的は、上述の問題点を解決し、原料融液とるつぼの濡れを防止して多結晶化を有効に防止することにより、結晶欠陥の少ないII−VI族またはIII−V族化合物単結晶を工業的に製造することができる方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、多結晶のII−VI族またはIII−V族化合物から、単結晶のII−VI族またはIII−V族化合物を製造する方法であって、るつぼの内側の面を、多結晶の化合物の融点よりも高い融点を有する粉末固体が、多結晶の化合物の融点よりも低い軟化点を有するガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップと、被覆されたるつぼ内に多結晶の化合物を配置するステップと、多結晶の化合物がその中に配置された被覆されたるつぼを、加熱手段中に配置するステップと、加熱手段中に配置されたるつぼを加熱手段により加熱して、るつぼ中で多結晶の化合物を溶融するステップと、るつぼと溶融した化合物とを冷却して、単結晶の化合物を成長させるステップとを備えている。
【0029】
この発明において、多結晶の化合物の融点よりも高い融点を有する粉末固体としては、たとえば、窒化ボロン(BN)、グラファイト等の潤滑性を有する物質が挙げられる。また、多結晶の化合物の融点よりも低い軟化点を有するガラス状物質としては、たとえば、酸化ホウ素(B2 O3 )、B2 O3 と酸化ケイ素(SiO2 )との混合物等が挙げられる。
【0030】
請求項2の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、垂直に配置したるつぼ中で、多結晶のII−VI族またはIII−V族化合物から単結晶のII−VI族またはIII−V族化合物を製造する方法であって、るつぼの内側の面を、多結晶の化合物の融点よりも高い融点を有する粉末固体が、多結晶の化合物の融点よりも低い軟化点を有するガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップと、単結晶の化合物からなる種結晶を、前記るつぼの底部に配置するステップと、るつぼの残部に多結晶の化合物を配置するステップと、種結晶と多結晶の化合物がその中に配置されたるつぼを、上部の高温域と下部の低温域とを作ることができる垂直に配置した炉の中に配置するステップと、炉の位置および上部の高温域の温度を調節することにより、るつぼ中で種結晶の一部を固体の状態に保ちながら多結晶の化合物を溶融するステップと、下部の低温域の温度を単結晶の化合物の融点未満に設定し、かつ、上部の高温域の温度を融点よりも高く設定することにより、固−液界面を作るステップと、下部の低温域および上部の高温域における温度設定を実質的に保持しながら、炉および固−液界面を上方に垂直に移動させることにより、単結晶の化合物を成長させるステップとを備えている。
【0031】
請求項3の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項1または請求項2の発明において、粉末固体はBNであり、ガラス状物質はB2 O3 である。
【0032】
請求項4の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項3の発明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、BN粉末とB2 O3 粉末とを混合した後、さらに溶媒と混合して混合液を作製するステップと、混合液をるつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2 O3 中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備えている。
【0033】
請求項5の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項3の発明において、るつぼの内側の面を粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、BN粉末とH3 BO3 粉末とを混合した後、さらに溶媒と混合して混合液を作製するステップと、混合液をるつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2 O3 中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備えている。
【0034】
請求項6の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項3の発明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、B2 O3 粉末を溶媒と混合した後、さらにBN粉末と混合して混合液を作製するステップと、混合液をるつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2 O3 中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備えている。
【0035】
請求項7の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は請求項1または請求項2の発明において、粉末固体はBNであり、ガラス状物質はB2 O3 とSiO2 との混合物である。
【0036】
請求項8の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項7の発明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、BN粉末とシラノール化合物とを混合して混合液を作製するステップと、混合液をるつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施与されたるつぼを酸化処理することにより、るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備えている。
【0037】
請求項9の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項7の発明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、BN粉末とB2 O3 粉末とシラノール化合物とを混合して混合液を作製するステップと、混合液をるつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備えている。
【0038】
請求項10の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項7の発明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、BN粉末とH3 BO3 粉末とシラノール化合物とを混合して混合液を作製するステップと、混合液をるつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備えている。
【0039】
請求項11の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項7の発明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、BN粉末とSiO2 とB2 O3 粉末とを混合した後、さらに溶媒と混合して混合液を作製するステップと、混合液をるつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備えている。
【0040】
請求項12の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項7の発明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、BN粉末とSiO2 粉末とH3 BO3 粉末とを混合した後、さらに溶媒と混合して混合液を作製するステップと、混合液をるつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備えている。
【0041】
請求項13の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項7の発明において、るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、BN粉末とSiO2 粉末とを混合した後、さらに溶媒と混合して混合液を作製するステップと、混合液をるつぼの内側の面に施与するステップと、混合液が施与されたるつぼを酸化処理することにより、るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備えている。
【0042】
請求項14の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項3〜請求項13のいずれかに記載の発明において、BNの粒径は、平均粒径として、0.05μm以上、50μm以下である。
【0043】
平均粒径が50μm以下であれば請求項14の発明の効果が得られるが、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは3μm、最も好ましくは1μm以下であるとよい。
【0044】
なお、この明細書において、BN粒子の粒径は、図9に示すように、たとえばBNの1次粒子10が集合して2次粒子20のようになっている場合であっても、1次粒子10の粒径として定義する。
【0045】
請求項15の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法は、請求項1〜請求項14のいずれかに記載の発明において、II−VI族またはIII−V族化合物は、GaAsを含んでいる。
【0046】
なお、本発明における化合物としては、GaAsの他、たとえばInP、GaP等のIII−V族化合物や、ZnSe、CdTe等のII−VI族化合物等も挙げられる。
【0047】
請求項16の発明によるII−VI族またはIII−V族化合物単結晶製造用るつぼは、多結晶のII−VI族またはIII−V族化合物から、融液固化法により単結晶のII−VI族またはIII−V族化合物を製造するためのるつぼであって、るつぼの内側の面に形成された被膜を有し、被膜は、多結晶の化合物の融点よりも高い融点を有する粉末固体が、多結晶の化合物の融点よりも低い軟化点を有するガラス状物質中に分散された混合層からなることを特徴としている。
【0048】
この発明によれば、るつぼの内側の面が、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆されている。
【0049】
図10は、粉末固体3がガラス状物質3中に分散された混合層からなる被膜により内面が被覆されたるつぼ1と、原料融液2との界面の状態を模式的に示す断面図である。
【0050】
図10を参照して、本発明によれば、従来のB2 O3 のみ、またはBN粒子のみを用いる場合と比較して、被膜の見掛けの粘度が上昇し、るつぼへの付着力が高まる。その結果、原料融液と接することによる温度の上昇によっても、被膜が流れ落ちることがなく、また、被膜がるつぼから容易に剥離することもない。さらに原料融液の荷重による圧力が大きい部分においても、原料融液がるつぼと直接接触することがない。
【0051】
なお、このように粉末粒子をガラス状物質中に分散させることにより、被膜の見掛けの粘度が上昇する理由としては、明らかではないが、るつぼと粉末粒子の表面をガラス状物質が被覆することによって、ガラス状物質の表面積が増加し、表面張力が増加するためであると考えられる。
【0052】
したがって、たとえば、ガラス状物質としてのB2 O3 と粉末粒子としてのBNとの比率(BN量/B2 O3 量)と、GaAsの融点近傍における被膜の見掛けの粘度すなわち被膜のるつぼへの付着力との間には、定性的に図11のような関係が予想される。
【0053】
また、従来のようにB2 O3 のみを潤滑剤として用いる場合と比較して、本発明によれば、被膜はたとえばB2 O3 とBN粉末等の混合層からなるため、350℃でB2 O3 が固化しても、結晶とるつぼを固着する力は従来よりも小さい。さらに、本発明によれば、粉末固体が、B2 O3 の固化の際の収縮応力を緩和するように作用する。
【0054】
これらのことから、本発明によれば、pBN製るつぼの場合であっても、るつぼ表面が剥離してるつぼ寿命が低下したり、結晶にクラックが入るといった問題が生じることがない。
【0055】
【実施例】
図1は、II−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造工程の一例を示す図である。
【0056】
本発明は、これらの工程のうち、特に(2)るつぼ前処理工程に特徴を有するものであり、他の工程については従来技術をそのまま適用することが可能である。
【0057】
したがって、以下、この(2)るつぼ前処理工程についてのみ説明する。
(実施例1)
図2は、本発明に従い、るつぼの内側の面を、BN粉末がB2 O3 中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法の一例を示す断面図である。
【0058】
図2(A)を参照して、まず、るつぼ1の内側の面に、BN粉末4を施与する。
【0059】
次に、このようにBN粉末4が施与されたるつぼ1を、酸素(O2 )ガス、またはO2 混合ガス雰囲気下で、900℃〜1200℃の温度で加熱する。すると、BN粉末の表面が、下記に示す式(1)の反応に従い酸化される。
【0060】
4BN+3O2 →2B2 O3 +2N2 …(1)
その結果、図2(B)に示すように、るつぼ1の内側の面に、BN粉末粒子4がB2 O3 3中に分散された混合層からなる被膜が形成される。
【0061】
(実施例2)
図3は、本発明に従い、るつぼの内側の面を、BN粉末がB2 O3 中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法の他の例を示す断面図である。
【0062】
まず、BN粉末とホウ酸(H3 BO3 )粉末とを混合した後、さらに、水またはアルコール等の溶媒と混合して、混合液を作製する。
【0063】
次に、このようにして作製した混合液をるつぼの内側の面に塗付する。
図3(A)は、混合液が塗付されたるつぼの内側の面を示す断面図である。
【0064】
図3(A)を参照して、るつぼ1の内側の面には、BN粉末粒子4とH3 BO3 粉末5と十分な量の溶媒とを含む混合液が塗付されているが、H3 BO3 粉末5自身には、るつぼ1への付着力はない。
【0065】
次に、このように混合液が塗付されたるつぼ1を、窒素(N2 )ガス、アルゴン(Ar)ガスまたはO2 ガス雰囲気下で、300℃〜1200℃の温度で熱処理する。
【0066】
その結果、図3(B)に示すように、るつぼ1の内側の面に、BN粉末粒子4がB2 O3 3中に分散された混合層からなる被膜が形成される。
【0067】
(実施例3)
図4は、本発明に従い、るつぼの内側の面を、BN粉末がB2 O3 中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法のさらに他の例を示す断面図である。
【0068】
まず、BN粉末と酸化ホウ素(B2 O3 )粉末とを混合した後、さらに、水またはアルコール等の溶媒と混合して、混合液を作製する。なお、混合液作製の際には、B2 O3 粉末を予め水またはアルコール等の溶媒に溶かした後、さらにBN粉末と混合してもよい。
【0069】
次に、このようにして作製した混合液を、るつぼの内側の面に塗付する。
図4(A)は、混合液が塗付されたるつぼの内側の面を示す断面図である。
【0070】
図4(A)を参照して、るつぼ1の内側の面には、BN粉末4とB2 O3 粉末13と溶媒とを含む混合液が塗付されているが、この図においては、溶媒がほとんど含まれていない状態を示している。
【0071】
次に、このように混合液が塗り付けされたるつぼ1を、N2 ガス、ArガスまたはO2 ガス雰囲気下で、300℃〜1200℃の温度で熱処理する。
【0072】
その結果、図4(B)に示すように、るつぼ1の内側の面に、BN粉末粒子4がB2 O3 3中に分散された混合層からなる被膜が形成される。
【0073】
次に、上述の実施例1〜実施例3のようにして作製された、BN粉末がB2 O3 中に分散した混合層からなる被膜が形成されたるつぼの効果について、以下に図を用いて説明する。
【0074】
図5〜図8は、本発明に従い、粉末固体4がガラス状物質3中に分散された混合層からなる被膜により内面が被覆されたるつぼ1と、原料融液2との界面の状態を模式的に示す断面図である。
【0075】
図5は、被膜中にB2 O3 が十分な量含有されており、原料融液の荷重が小さい場合を示している。この場合には、図5より明らかなように、原料融液2は、B2 O3 3とのみ接触し、るつぼ1およびBN粉末4と直接接触することはない。
【0076】
図6は、被膜中にB2 O3 が十分な量含有されており、原料融液の荷重が大きい場合を示している。この場合には、図6より明らかなように、原料融液2は、B2 O3 3と接触するとともに、BN粉末4とも接触している。しかしながら、BN粉末4は潤滑性を有しているため、接触部分で欠陥が生じることはない。また、BN粉末4の隙間のB2 O3 3も、流し出されることはない。その結果、原料融液2は、るつぼ1とは直接接触することはない。
【0077】
図7は、被膜中のB2 O3 含有量が少なく、原料融液の荷重が小さい場合を示している。この場合には、原料融液2は、BN粉末4の粒子間へ侵入しにくい状態となっている。また、主としてBN粉末4の潤滑性と濡れ難さの効果によって、欠陥の発生が防止される。
【0078】
図8は、被膜中のB2 O3 含有量が少なく、原料融液の荷重が大きい場合を示している。この場合には、原料融液2は、BN粉末4の粒子間に侵入しやすい状態となっている。しかしながら、るつぼ1の表面は、B2 O3 層3により覆われているため、原料融液2がるつぼ1と直接接触することはない。
【0079】
(実施例4)
以下、本発明に従い、るつぼの内側の面を、BN粉末がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法の一例について、説明する。
【0080】
まず、BN粉末とシラノール化合物とを混合して、混合液を作製する。シラノール化合物としては、たとえば、東京応化製OCDを用いることができる。このOCDは、シラノール化合物と溶剤とからなる液体である。
【0081】
次に、このようにして作製した混合液をるつぼの内側の面に施与する。続いて、混合液が施与されたるつぼに、酸化処理を施す。この酸化処理により、混合液中のBN粉末が酸化されて、一部がB2 O3 に変化し、また、シラノールは酸化シリコン(SiO2 )に変化する。
【0082】
その結果、るつぼの内側の面に、BN粒子がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜が形成される。
【0083】
(実施例5)
以下、本発明に従い、るつぼの内側の面を、BN粉末がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法の他の例について、説明する。
【0084】
まず、BN粉末とB2 O3 粉末とシラノール化合物とを混合して、混合液を作製する。シラノール化合物としては、たとえば、前述のOCDを用いることができる。また、B2 O3 粉末の代わりに、ホウ酸(H3 BO3 )粉末を用いてもよい。
【0085】
次に、このようにして作製した混合液を、るつぼの内側の面に施与する。続いて、混合液が施与されたるつぼを、窒素(N2 )ガス、アルゴン(Ar)ガスまたは酸素(O2 )ガス雰囲気下で、熱処理する。
【0086】
その結果、るつぼの内側の面に、BN粒子がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜が形成される。
【0087】
(実施例6)
以下、本発明に従い、るつぼの内側の面を、BN粉末がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法のさらに他の例について、説明する。
【0088】
まず、BN粉末とSiO2 粉末とB2 O3 粉末とを混合した後、さらに、水、アルコール等の溶媒と混合して、混合液を作製する。なお、B2 O3 粉末の代わりに、ホウ酸(H3 BO3 )粉末を用いてもよい。
【0089】
次に、このようにして作製した混合液を、るつぼの内側の面に塗付する。続いて、混合液が塗付されたるつぼを、N2 ガス、ArガスまたはO2 ガス雰囲気下で、熱処理する。
【0090】
その結果、るつぼの内側の面に、BN粒子がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜が形成される。
【0091】
(実施例7)
以下、本発明に従い、るつぼの内側の面を、BN粉末がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法のさらに他の例について、説明する。
【0092】
まず、BN粉末とSiO2 粉末とを混合した後、さらに、水、アルコール等の溶媒と混合して、混合液を作製する。
【0093】
次に、このようにして作製した混合液を、るつぼの内側の面に塗付する。続いて、混合液が塗付されたるつぼに、酸化処理を施す。
【0094】
その結果、るつぼの内側の面に、BN粒子がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散された混合層からなる被膜が形成される。
【0095】
次に、上述の実施例4〜実施例7のようにして作製された、BN粉末がB2 O3 とSiO2 との混合物中に分散した混合層からなる被膜が形成されたるつぼの効果について、以下に説明する。
【0096】
本発明においては、被膜中のガラス状物質として、B2 O3 のみを用いても、十分にその効果が得られるが、B2 O3 は、以下に示すような吸湿による影響を受けやすい物質である。
【0097】
すなわち、B2 O3 は、吸湿によってホウ酸(H3 BO3 )に変化し、このH3 BO3 は、粘着力がなく、加熱により飛散してしまうという性質を有する。
【0098】
したがって、B2 O3 がH3 BO3 に変化してしまった場合には、被膜の付着力が低下し、原料融解までの加熱により飛散してしまうために、被膜中のガラス状物質が欠乏するとともに、被膜が剥離してしまう。その結果、ツインまたはマイクロツインの発生、もしくは多結晶化といった、結晶欠陥が発生するおそれがある。
【0099】
そこで、ガラス状物質として、B2 O3 にSiO2 を添加した混合物を用いることにより、上述した懸念がなくなる。
【0100】
たとえば、GaAs単結晶の製造においては、添加するSiO2 濃度は、0.1mol%〜80mol%が好ましい。B2 O3 の軟化点は300℃〜350℃であり、SiO2 の軟化点は1500℃前後であることから、SiO2 濃度が80mol%より大きくなると、B2 O3 とSiO2 との混合物の軟化点がGaAsの軟化点以上となってしまうからである。一方、SiO2 の濃度が0.1mol%より小さいと、B2 O3 が吸湿による影響を受けてしまうからである。
【0101】
また、添加するSiO2 濃度は、好ましくは1mol%〜70mol%、さらに好ましくは5mol%〜60mol%であるとよい。
【0102】
また、GaAsより融点の高いGaP単結晶の製造においては、添加するSiO2 濃度は、0.1mol%〜90mol%、好ましくは1mol%〜80mol%、さらに好ましくは5mol%〜70mol%であるとよい。
【0103】
さらに、GaAsより融点の低いInP単結晶の製造においては、添加するSiO2 濃度は、0.1mol%〜65mol%、好ましくは1mol%〜55mol%、さらに好ましくは5mol%〜45mol%であるとよい。
【0104】
以下、ガラス状物質として、B2 O3 とSiO2 との混合物を用いるメリットについて、SiO2 濃度が低い場合と高い場合に分けて説明する。
【0105】
B2 O3 とSiO2 との混合物において、SiO2 濃度が低いとき、すなわち、B2 O3 濃度が高いときには、Siによる汚染が少ないため、半絶縁性結晶の製造の際に適用するのが好ましい。また、このような混合物は、見掛けの粘度が低いため潤滑効果が高い。その結果、ツインまたはマイクロツインの発生、もしくは多結晶化といった結晶欠陥の発生を、特に効果的に防止することができる。
【0106】
一方、B2 O3 とSiO2 との混合物において、SiO2 濃度が高いとき、すなわち、B2 O3 濃度が低いときには、ドーパントのSiとB2 O3 中のホウ素(B)との置換反応が起こりにくいため、ドーパントのSiの濃度低下や、ホウ素(B)による汚染が少ない。そのため、Siドープ結晶の製造の際に適用するのが好ましい。また、SiO2 濃度が高くなると、B2 O3 の吸湿によるホウ酸(H3 BO3 )への変化がより効果的に防止されるため、被膜の付着力が向上するとともに、加熱時にH3 BO3 が飛散して被膜中のガラス状物質が欠乏してしまうこともなくなる。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、原料融液とるつぼが直接接触して濡れることがない。その結果、多結晶化が有効に防止されることにより、結晶欠陥の少ないII−VI族またはIII−V族化合物単結晶を工業的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】II−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造工程の一例を示す図である。
【図2】本発明に従い、るつぼの内側の面を、BN粉末がB2 O3 中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法の一例を示す断面図である。
【図3】本発明に従い、るつぼの内側の面を、BN粉末がB2 O3 中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明に従い、るつぼの内側の面を、BN粉末がB2 O3 中に分散された混合層からなる被膜で被覆する方法のさらに他の例を示す断面図である。
【図5】本発明に従い、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜により内面が被覆されたるつぼと、原料融液との界面の状態を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明に従い、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜により内面が被覆されたるつぼと、原料融液との界面の状態を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明に従い、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜により内面が被覆されたるつぼと、原料融液との界面の状態を模式的に示す断面図である。
【図8】本発明に従い、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜により内面が被覆されたるつぼと、原料融液との界面の状態を模式的に示す断面図である。
【図9】BN粒子の粒子径を説明するための図である。
【図10】粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜により内面が被覆されたるつぼと、原料融液との界面の状態を模式的に示す断面図である。
【図11】BN量/B2 O3 量と、被膜の見掛けの粘度との関係を示す図である。
【図12】従来のGaAs単結晶の製造における、るつぼとGaAs融液との界面の状態の一例を模式的に示す図である。
【図13】従来のGaAs単結晶の製造における、るつぼとGaAs融液との界面の状態の他の例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 pBNるつぼ
2 原料融液
3 B2 O3
4 BN粉末
5 ホウ酸(H3 BO3 )
13 B2 O3 粉末
なお、各図中、同一符号は、同一または相当部分を示す。
Claims (16)
- 多結晶のII−VI族またはIII−V族化合物から、単結晶のII−VI族またはIII−V族化合物を製造する方法であって、
るつぼの内側の面を、前記多結晶の化合物の融点よりも高い融点を有する粉末固体が、前記多結晶の化合物の融点よりも低い軟化点を有するガラス状物質中に分散された混合層からなり、前記ガラス状物質が前記粉末固体および前記るつぼと接触してなる被膜で被覆するステップと、
前記被覆されたるつぼ内に、前記多結晶の化合物を配置するステップと、
前記多結晶の化合物がその中に配置された前記被覆されたるつぼを、加熱手段中に配置するステップと、
前記加熱手段中に配置されたるつぼを前記加熱手段により加熱して、前記るつぼ中で前記多結晶の化合物を溶融するステップと、
前記るつぼと前記溶融した化合物とを冷却して、単結晶の化合物を成長させるステップとを備える、II−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。 - 垂直に配置したるつぼ中で、多結晶のII−VI族またはIII−V族化合物から単結晶のII−VI族またはIII−V族化合物を製造する方法であって、
前記るつぼの内側の面を、前記多結晶の化合物の融点よりも高い融点を有する粉末固体が、前記多結晶の化合物の融点よりも低い軟化点を有するガラス状物質中に分散された混合層からなり、前記ガラス状物質が前記粉末固体および前記るつぼと接触してなる被膜で被覆するステップと、
単結晶の前記化合物からなる種結晶を、前記るつぼの底部に配置するステップと、
前記るつぼの残部に、多結晶の前記化合物を配置するステップと、
前記種結晶と前記多結晶の化合物がその中に配置されたるつぼを、上部の高温域と下部の低温域とを作ることができる垂直に配置した炉の中に配置するステップと、
前記炉の位置および前記上部の高温域の温度を調節することにより、前記るつぼ中で前記種結晶の一部を固体の状態に保ちながら前記多結晶の化合物を溶融するステップと、
前記下部の低温域の温度を単結晶の前記化合物の融点未満に設定し、かつ、前記上部の高温域の温度を前記融点よりも高く設定することにより、固−液界面を作るステップと、
前記下部の低温域および前記上部の高温域における前記温度設定を実質的に保持しながら、前記炉および前記固−液界面を上方に垂直に移動させることにより、単結晶の前記化合物を成長させるステップとを備える、II−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。 - 前記粉末固体はBNであり、
前記ガラス状物質はB2O3である、請求項1または請求項2に記載のII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。 - 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、
BN粉末とB2O3粉末とを混合した後、さらに溶媒と混合して混合液を作製するステップと、
前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステップと、
前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2O3中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備える、請求項3記載のII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。 - 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、
BN粉末とH3BO3粉末とを混合した後、さらに溶媒と混合して混合液を作製するステップと、
前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステップと、
前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2O3中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備える、請求項3記載のII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。 - 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、
B2O3粉末を溶媒と混合した後、さらにBN粉末と混合して混合液を作製するステップと、
前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステップと、
前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2O3中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備える、請求項3記載のII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。 - 前記粉末固体はBNであり、
前記ガラス状物質はB2O3とSiO2との混合物である、請求項1または請求項2に記載のII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。 - 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、
BN粉末とシラノール化合物とを混合して混合液を作製するステップと、
前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステップと、
前記混合液が施与されたるつぼを酸化処理することにより、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2O3とSiO2との混合物中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備える、請求項7記載のII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。 - 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、
BN粉末とB2O3粉末とシラノール化合物とを混合して混合液を作製するステップと、
前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステップと、
前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2O3とSiO2との混合物中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備える、請求項7記載のII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。 - 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、
BN粉末とH3BO3粉末とシラノール化合物とを混合して混合液を作製するステップと、
前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステップと、
前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2O3とSiO2との混合物中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備える、請求項7記載のII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。 - 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、
BN粉末とSiO2とB2O3粉末とを混合した後、さらに溶媒と混合して混合液を作製するステップと、
前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステップと、
前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2O3とSiO2との混合物中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備える、請求項7記載のII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。 - 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、
BN粉末とSiO2粉末とH3BO3粉末と混合した後、さらに溶媒と混合して混合液を作製するステップと、
前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステップと、
前記混合液が施与されたるつぼを熱処理することにより、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2O3とSiO2との混合物中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備える、請求項7記載のII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。 - 前記るつぼの内側の面を、粉末固体がガラス状物質中に分散された混合層からなる被膜で被覆するステップは、
BN粉末とSiO2粉末とを混合した後、さらに溶媒と混合して混合液を作製するステップと、
前記混合液を、前記るつぼの内側の面に施与するステップと、
前記混合液が施与されたるつぼを酸化処理することにより、前記るつぼの内側の面上に、BN粉末がB2O3とSiO2との混合物中に分散された混合層からなる被膜を形成するステップとを備える、請求項7記載のII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。 - 前記BNの粒径は、平均粒径として、0.05μm以上、50μm以下である、請求項3〜請求項13のいずれかに記載のII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。
- 前記II−VI族またはIII−V族化合物は、GaAsを含む、請求項1〜請求項14のいずれかに記載のII−VI族またはIII−V族化合物単結晶の製造方法。
- 多結晶のII−VI族またはIII−V族化合物から、融液固化法により単結晶のII−VI族またはIII−V族化合物を製造するためのるつぼであって、
前記るつぼの内側の面に形成された被膜を有し、
前記被膜は、
前記多結晶の化合物の融点よりも高い融点を有する粉末固体が、前記多結晶の化合物の融点よりも低い軟化点を有するガラス状物質中に分散された混合層からなり、前記ガラス状物質が前記粉末固体および前記るつぼと接触してなることを特徴とする、II−VI族またはIII−V族化合物単結晶製造用るつぼ。
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