JP2006160586A - 化合物半導体単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】垂直温度勾配法あるいは垂直ブリッジマン法による結晶育成時に、原料結晶の融液が種結晶とルツボとの隙間に入り込まないようにして多結晶化、結晶性悪化を生じさせずにGaAs、InPなどの良質な単結晶を育成できる化合物半導体単結晶の製造方法を提供。
【解決手段】その表面が予め空気中で高温に加熱処理して形成される酸化ホウ素薄膜で被覆された熱分解窒化ホウ素製のルツボを用いて垂直温度勾配法または垂直ブリッジマン法によって化合物半導体単結晶を製造する方法において、ルツボ種結晶保持部に酸化ホウ素封止剤および種結晶を順次設置するとともに、ルツボ直胴部に原料結晶を設置し、かつ、その際、酸化ホウ素封止剤の使用量は、単結晶育成時に溶融する酸化ホウ素封止剤が種結晶を実質的に覆い、原料結晶の融液が種結晶とルツボ種結晶保持部とで形成される隙間に入り込むのを阻止するに十分な量とすることによって提供。
【選択図】図1

Description

本発明は、化合物半導体単結晶の製造方法に関し、さらに詳しくは、垂直温度勾配法あるいは垂直ブリッジマン法による結晶育成時に、酸化ホウ素封止剤が種結晶を実質的に覆い、原料結晶の融液が種結晶とルツボとの隙間に入り込まないようにして多結晶化、結晶性悪化を生じさせずにGaAs、InPなどの良質な単結晶を育成できる化合物半導体単結晶の製造方法に関する。
発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)などの発光素子用基板の製造方法として、垂直温度勾配法(以下、VGF法ともいう)および垂直ブリッジマン法(以下、VB法ともいう)が知られている。
VGF法およびVB法は、ルツボ内に種結晶、封止剤および原料多結晶を設置した後、多結晶原料を設置したルツボ直胴部が結晶の融点以上になり、種結晶を設置したルツボ種結晶保持部が融点以下になるように加熱して、ルツボ直胴部に原料多結晶の融液を作り、種結晶保持部に設置した種結晶と融液を接触させた後、ルツボ全体の温度を下げるか、またはルツボを低温側へ移動させることによって単結晶を得る方法である。
VGF法およびVB法では、不純物濃度制御の容易さから熱分解窒化ホウ素(以下、PBNともいう)製ルツボが広く用いられている。それは、石英製のルツボを用いた場合には、融液中へケイ素が混入するのを避けられないのに対して、PBNルツボを用いれば、電気的に活性な不純物の混入が少ないので、育成する単結晶の比抵抗やキャリア濃度を制御しやすい利点があるためである。
ところが、PBN製ルツボを用いて単結晶を育成する場合、原料多結晶の融液や種結晶がPBN製ルツボと直接接触すると、育成される結晶が容易に多結晶化してしまうため、予めPBN製の育成容器を高温酸素含有雰囲気で表面酸化させ、酸化ホウ素(以下、Bという)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この方法では、原料多結晶の融液および種結晶とPBNルツボとが直接接触して多結晶化することを防止できる効果はあるが、融液が種結晶とルツボ種結晶保持部との隙間に入り込むことによる多結晶化や結晶性の悪化には効果が無い。
そこで、PBNルツボで単結晶を育成する場合、封止剤としてBを添加することが一般に行われている。封止剤としてBを添加することによる効果には、次の2点が挙げられる。
その第一の効果は、高温で軟化したBが原料結晶の融液および種子結晶の表面を覆うことにより、化合物を構成する元素が融液および種子結晶から解離するのを抑える効果である。また、第二の効果は、高温で軟化したBが融液および種子結晶とPBNルツボとの間に入り込むことにより、融液および種子結晶と、PBNルツボとが直接に接触するのを防止して、多結晶の発生を抑制する効果である。これらの効果をもつことが、VGF法あるいはVB法で、PBNルツボとBの組み合わせを用いた育成が広く行われる理由である。
ただし、添加するB封止剤を、単にPBNルツボ内に設置するだけでは、高温でBが軟化したときに、原料結晶の融液とPBNルツボとの境界にBが十分に行き渡らず、融液の一部分にBで覆われない部分が生じることがある。この被覆不良部分では、融液とPBNルツボとが直接接触するため、その部分で単結晶がPBNルツボの内壁に接着され、そこから多結晶が発生してしまう場合が多い。
そこで、Bを溶融し、不活性ガスで加圧することにより、溶融Bを種結晶とPBN製育成容器との隙間に流し込む方法が提案されている(例えば非特許文献1参照)。しかし、この方法では、原料多結晶の融液が種結晶とルツボ種結晶保持部との隙間に入り込むことによる多結晶化や結晶性の悪化に対してはある程度の効果があるが、PBNルツボが表面処理されておらず、融液及び種結晶とPBNルツボの直接接触による多結晶化を防止することに対しては効果が無い。
このような被覆不良部分を生じさせない、もうひとつの方法は、Bを多量に添加することである。しかし、多量のBを添加した場合でも、Bが常に原料結晶の融液とPBNの境界全体に行き渡るとは限らず、被覆不良部分を生じることがある。
さらに、Bを多量に添加すると、Bが結晶融液とPBNルツボとの境界ばかりではなく、結晶融液の上面全体を厚く覆ってしまうため、育成後の単結晶をPBNルツボから取り出すのが困難となるうえ、Bと単結晶との熱膨張率の違いにより、単結晶に歪みが生じ、単結晶が破壊されることもある。
そのために、本出願人は、これらの問題を解決する方法として、予めPBN製育成容器を高温空気雰囲気で表面酸化させると共に、原料結晶に対し重量比で1/1200〜1/120のBを添加する方法を提案した(例えば、特許文献2参照)。ところが、この方法でも、添加するBの量を低減すると、育成後の単結晶の取り出しは容易になるものの被覆不良部分が生じやすく、原料結晶の融液が種結晶とルツボ種結晶保持部との隙間に入り込むことによる多結晶化や結晶性悪化を完全に防止するには至らなかった。
このような状況にあって、化合物半導体単結晶をVGF法、VB法で製造するに際し、多量の封止剤を用いることなく、原料結晶の融液がルツボと接触しないようにして、多結晶の生成を抑制し良質な単結晶を得ることができる簡易な技術の開発が切望されていた。
特開平06−239686号公報 特開2003−146791号公報 Crystal Growth 110 ‘91 P395〜404
本発明の目的は、垂直温度勾配法あるいは垂直ブリッジマン法による結晶育成時に、酸化ホウ素封止剤が種結晶を実質的に覆い、原料結晶の融液が種結晶とルツボとの隙間に入り込まないようにして多結晶化、結晶性悪化を生じさせずにGaAs、InPなどの良質な単結晶を育成できる化合物半導体単結晶の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、表面にB薄膜を形成したPBNルツボを用いて、そのルツボ種結晶保持部にB封止剤、種結晶の順で設置し、さらにルツボ直胴部に原料結晶を設置する際、このB封止剤の量を、単結晶育成時において、種結晶と該ルツボ種結晶保持部とで形成される隙間を封止するに充分な量とすることにより、溶融したB封止剤が種結晶を実質的に覆って、原料結晶の融液が種結晶とルツボ種結晶保持部との隙間に入り込むのを阻止でき、良質な単結晶が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の発明によれば、その表面が予め空気中で高温に加熱処理することによって形成される酸化ホウ素薄膜で被覆された熱分解窒化ホウ素製のルツボを用いて垂直温度勾配法または垂直ブリッジマン法によって化合物半導体単結晶を製造する方法において、ルツボ種結晶保持部に酸化ホウ素封止剤および種結晶を順次設置するとともに、ルツボ直胴部に原料結晶を設置し、かつ、その際、酸化ホウ素封止剤の使用量は、単結晶育成時に溶融する酸化ホウ素封止剤が種結晶を実質的に覆い、それによって原料結晶の融液が種結晶とルツボ種結晶保持部とで形成される隙間に入り込むのを阻止するに十分な量とすることを特徴とする化合物半導体単結晶の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、上記加熱処理が、1000〜1150℃の温度下で5〜15時間行われることを特徴とする化合物半導体単結晶の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、上記ルツボ表面に形成される酸化ホウ素薄膜が、10〜50μmの厚さを有することを特徴とする化合物半導体単結晶の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、上記種結晶とルツボ種結晶保持部とで形成される隙間が、0.5mm以下であることを特徴とする化合物半導体単結晶の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、上記酸化ホウ素封止剤の使用量が、種結晶とルツボ種結晶保持部とで形成される隙間に相当する体積量の1〜10倍であることを特徴とする化合物半導体単結晶の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、化合物半導体単結晶が、GaAs単結晶またはInP単結晶であることを特徴とする化合物半導体単結晶の製造方法が提供される。
本発明の化合物半導体単結晶の製造方法によれば、VGF法、VB法において、簡便な方法で育成される結晶が多結晶化、結晶性悪化するのを防止できるので良質な単結晶が得られ、GaAs化合物半導体に限らず、GaP、GaSb、InP、InAs、InSbなどのIII−V族化合物半導体や、CdTe、HgTe、ZnS、ZnSeなどのII−VI族化合物半導体、さらには、これら二元系だけでなく三元系の化合物半導体にも適用することができるから、その工業的価値は極めて大きい。
本発明の実施の形態を、GaAs化合物半導体の単結晶育成を例にとって、図面を用いて説明する。
本発明は、熱分解窒化ホウ素製のルツボを用いて垂直温度勾配法または垂直ブリッジマン法によって化合物半導体単結晶を製造する方法において、(1)空気中で高温熱処理することにより、ルツボ表面に予め酸化ホウ素薄膜を形成したルツボを用意し、次いで、(2)ルツボ種結晶保持部に酸化ホウ素封止剤、種結晶を設置し、さらにルツボ直胴部に原料結晶を設置する際に、酸化ホウ素封止剤を、種結晶とルツボ種結晶保持部とで形成される隙間を封止するのに充分な量添加し、その後、(3)ルツボを加熱し、単結晶育成の際、溶融した酸化ホウ素封止剤が種結晶を実質的に覆うことで、原料結晶の融液が種結晶とルツボ種結晶保持部との隙間に入り込まないようにする化合物半導体単結晶の製造方法である。
図1は、本発明において、化合物半導体単結晶の製造に用いる、表面にB薄膜が形成されたPBNルツボの概略断面図である。PBNルツボは、ルツボ直胴部2の下部にテーパー部分、種子結晶の保持部分1をもち、ルツボ内面にはB薄膜が形成されている。そして、このルツボ種結晶保持部1内にB封止剤3、種子結晶4、ルツボ直胴部2に多結晶原料5が設置されたところを示している
1.ルツボ表面へのB薄膜の形成
ルツボ表面へB薄膜を形成するには、まず清浄なPBNルツボを石英等の容器中に設置し、次いで、電気炉等の手段により空気中で加熱する。
加熱温度は1000〜1150℃とし、この温度で5〜15時間保持する。1000℃未満、または5時間未満では、ルツボ表面に十分な厚さの膜が得られず、一方、1150℃を超え、または15時間を超えると膜の形成は進むが、ルツボ自体の肉厚が大幅に減少し、ルツボの寿命も短縮してしまう。
ルツボを1000〜1150℃で5〜15時間保持した後、100〜200℃/hrで徐々に冷却する。これにより、ルツボ表面に厚さ10〜50μmのB薄膜を形成でき、単結晶育成時に原料結晶の融液および種結晶とPBNルツボとが直接接触せず多結晶化を防止できるとともに、目的とする化合物半導体単結晶をルツボから取り出しやすくなるという実用上の利便性が得られる。
なお、ルツボ表面へB薄膜を形成するには、上記以外に、酸素ガス雰囲気中で、PBNルツボを1000℃以上の高温に加熱・保持したり、ホウ素を含む薬品によりPBNルツボを化学的にコーティング処理する方法も考えられるが、このような方法では酸素ガスや薬品の取り扱いを要することになるため、危険性を考慮した複雑な装置や作業が必要であるため、好ましくない。
2.B封止剤、種結晶、原料結晶の設置
次いで、表面にB薄膜が形成されたルツボの種結晶保持部にB封止剤、種結晶の順で設置し、さらにルツボ直胴部に原料結晶を設置する。
すなわち、図1のように、B薄膜が形成されたルツボの底部(種結晶保持部1)にB封止剤3を置き、その上にGaAs種子結晶4を載せ、最後にルツボ直胴部2に原料結晶5とドーパント(Siなど)を、その周囲がルツボに接触しないよう注意して設置する。B封止剤、種結晶、原料結晶はどのような形状でもよいが、種結晶、原料結晶は円柱状あるいは多角柱であることが好ましい。それは、種結晶とルツボ種結晶保持部との間隔、その体積などを求めやすいからである。
なお、種結晶の設置にあたっては、事前に種結晶保持部の直径を測定し、種結晶との隙間が0.5mm以下となる種結晶を選択的に用いることが好ましい。この方法により結晶育成時に、ルツボ種結晶保持部は、種結晶との隙間が液体のBにより満たされることになるが、種結晶とルツボ種結晶保持部との間隔が0.5mmを超える場合、液体のBによって隙間を封止しきれなくなり、結晶性が悪化する場合が生ずる。
そのため、種結晶とルツボ種結晶保持部との間隔(隙間)が0.5mm以下となるように、予め種結晶の大きさを選択することが望ましい。ただし、間隔が狭くなりすぎると、種結晶がルツボ表面と接触してしまう恐れがあるため、間隔は0.1mm以上であることが望ましい。このようなことから、間隔は0.2〜0.5mmとすることが好ましい。
なお、ルツボの種結晶保持部に設置するB封止剤の量は、使用するルツボ形状、種結晶長さなどにより異なるが、種結晶とルツボ種結晶保持部によって形成される隙間(体積)を充分に封止できるようにする。特に、種結晶とルツボ種結晶保持部によって形成される隙間を封止できる体積量の1〜10倍であることが望ましい。この体積量をB封止剤の重量で示すと、装置の大きさにもよるが、1〜10g、特に1.5〜3gに相当する。
酸化ホウ素封止剤の添加量が、この隙間に相当する体積量の1倍未満であると、原料結晶の融液が隙間に流入してしまい結晶の品質が悪化する。一方、この隙間を封止できる体積量の10倍を超えると、融液が種結晶の上面全体を覆ってしまい、単結晶の取り出しが困難になるため好ましくない。
3.単結晶の育成
その後は、VGF法、VB法により従来と同様な条件で結晶育成すればよい。B封止剤、種子結晶、および原料結晶を順次設置し、ドーパントを添加したルツボは、石英容器(アンプル管)に封入する。
次に、ルツボを真空中で、1238〜1260℃に加熱して、B封止剤、および原料結晶を溶融する。加熱処理によって、最初にB封止剤が軟化して種結晶の周囲を覆い、次いで原料結晶が溶融してくる。加熱温度が1238℃未満では、原料結晶が溶融せず、1260℃を超えるとV族元素(As)が逸散するなどの問題を生じるので好ましくない。
こうして、添加した封止剤が薄い膜となって種結晶の表面全体を覆うようにして、ルツボ内面のB薄膜と相俟って、原料結晶の融液が種結晶とルツボ種結晶保持部によって形成される隙間に流入させないようにすることが重要である。
すなわち、本発明では、予めルツボの表面にB薄膜を形成してあるので、たとえB封止剤が不足する箇所があっても、原料結晶の融液がルツボのPBNと直接的に接触することは回避される。また、結晶育成時、ルツボを加熱することにより、種結晶保持部に設置したB封止剤が融解し、種結晶は完全にB封止剤に覆われ、その後の原料融液形成時に融液が種結晶とルツボ種結晶保持部との隙間に入り込むことを防止できる。
ルツボを1238〜1260℃に加熱後、50〜130時間かけて徐冷することで、多結晶の生成が抑制され、良質なGaAs化合物半導体の単結晶を育成させることができる。特に良質な単結晶を得るには、90〜110時間かけて徐冷することが望ましい。室温まで冷却したら結晶を取り出す。
以上、単結晶として、特に好ましいGaAs化合物半導体を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されず、GaP、GaSb、InP、InAs、InSbなどのIII−V族化合物半導体や、CdTe、HgTe、ZnS、ZnSeなどのII−VI族化合物半導体、さらには、これら二元系だけでなく三元系の化合物半導体にも適用することができる。
(実施例1)
ルツボ直胴部の直径が約80mm、高さが約400mmで、種結晶保持部があるPBNルツボを電気炉に入れ、空気中で1100℃に加熱し、10時間保持した後、室温に徐冷してPBNルツボの内面に厚さ約30μmのB薄膜を形成した。B薄膜形成後のルツボ種結晶保持部の内径は7mmであった。
次に、このルツボの種結晶保持部にB封止剤1.5g(種結晶とルツボ種結晶保持部によって形成される隙間の体積量の1.6倍)、続いて直径6mm、長さ50mmの種結晶を設置し(隙間は0.5mmとなる)、次いでルツボ直胴部にGaAs原料結晶4kgとSiドーパントを設置した。
その後、通常のVGF法によってn型GaAs結晶を育成した。この結果、5回の結晶育成において多結晶が発生することはなかった。
(比較例1)
実施例1と同様にPBNルツボにB薄膜を形成した。B薄膜形成後のルツボ種結晶保持部の内径は7mmであった。
このルツボの種結晶保持部にB封止剤1.5g(種結晶とルツボ種結晶保持部によって形成される隙間の体積量の1.1倍)、続いて直径5.5mm、長さ50mmの種結晶を設置し(隙間は0.75mmとなる)、次いでルツボ直胴部にGaAs原料結晶4kgとSiドーパントを設置した。
その後、通常のVGF法によってn型GaAs結晶を育成した。この結果、5回の結晶育成において2回は多結晶であり、種結晶部分に融液の入り込みが見られ、種結晶直下からすでに多結晶化していた。
(比較例2)
実施例1と同様にPBNルツボにB薄膜を形成した。B薄膜形成後のルツボ種結晶保持部の内径は7mmであった。
このルツボの種結晶保持部にB封止剤を設置せずに、ルツボ種結晶保持部に直径6mm、長さ50mmの種結晶を設置し、次いでルツボ直胴部にB封止剤20g、GaAs原料結晶4kgとSiドーパントを設置した。
その後、通常のVGF法によってn型GaAs結晶を育成した。この結果、5回の結晶育成において2回は多結晶であり、種結晶部分に融液の入り込みが見られ、種結晶直下からすでに多結晶化していた。
このように、実施例1では、PBNルツボに適切な厚さのB薄膜が形成されており、しかもルツボと種結晶との隙間を封止するに充分な量の封止剤を種結晶保持部に添加したことにより、効率的に単結晶を成長できたことが分かる。
これに対して、比較例1、2では、実施例1と同様にPBNルツボにB薄膜が形成されているが、封止剤の添加量が少なすぎてルツボと種結晶との隙間を封止できなかったか、封止剤を種結晶保持部ではなくルツボ直胴部に添加したために、いずれも種結晶直下から多結晶化してしまい、効率的に単結晶を成長できなかったことが分かる。
本発明の化合物半導体単結晶の育成装置(ルツボ)と、内部の状態を示す側面断面図である。
符号の説明
1 PBN製ルツボ種結晶保持部
2 PBN製ルツボ直胴部
3 B封止剤
4 種結晶
5 原料結晶

Claims (6)

  1. その表面が予め空気中で高温に加熱処理することによって形成される酸化ホウ素薄膜で被覆された熱分解窒化ホウ素製のルツボを用いて垂直温度勾配法または垂直ブリッジマン法によって化合物半導体単結晶を製造する方法において、
    ルツボ種結晶保持部に酸化ホウ素封止剤および種結晶を順次設置するとともに、ルツボ直胴部に原料結晶を設置し、かつ、その際、酸化ホウ素封止剤の使用量は、単結晶育成時に溶融する酸化ホウ素封止剤が種結晶を実質的に覆い、それによって原料結晶の融液が種結晶とルツボ種結晶保持部とで形成される隙間に入り込むのを阻止するに十分な量とすることを特徴とする化合物半導体単結晶の製造方法。
  2. 上記加熱処理が、1000〜1150℃の温度下で5〜15時間行われることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  3. 上記ルツボ表面に形成される酸化ホウ素薄膜が、10〜50μmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  4. 上記種結晶とルツボ種結晶保持部とで形成される隙間が、0.5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  5. 上記酸化ホウ素封止剤の使用量が、種結晶とルツボ種結晶保持部とで形成される隙間に相当する体積量の1〜10倍であることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
  6. 化合物半導体単結晶が、GaAs単結晶またはInP単結晶であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法
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