JP2612897B2 - 単結晶の育成装置 - Google Patents

単結晶の育成装置

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靖生 並川
真一 澤田
雅美 龍見
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、単結晶の育成装置、特に、ブリッジマン法
によりGaAs,InP,等のIII−V族化合物半導体又はCdTe等
のII−VI族化合物半導体の単結晶を育成する装置に関す
る。
(従来の技術) ブリッジマン法による単結晶育成装置には、横型ボー
トを用いる横型ブリッジマン法(HB法)と縦型アンプル
を用いる縦型ブリッジマン法(VB法)がある。いずれも
気密容器に原料を封入して構成元素の解離を防止し、育
成炉の温度勾配の中を移動させることにより、原料融液
の一端より凝固させて、単結晶を製造するものである。
HB法は特にGaAs単結晶の育成に広く用いられており、VB
法はCdTe単結晶の育成に用いられている。
(発明が解決しようとする課題) 一般に原料融液から単結晶を育成するときには、固液
界面を融液側に凸にすることが望ましい。逆に凹の固液
界面で単結晶を育成すると、外周部分に結晶核を発生し
易く、多結晶化の原因となる。
ブリッジマン法で多結晶化を育成するときには、固液
界面の形状制御が困難である。特に、熱伝導率の低いCd
Teなどの単結晶の育成では、固液界面で発生する凝固熱
を熱伝導により有効に放散することが難しいために、中
央部の温度が上昇して固液界面が凹化し、多結晶化する
という問題があった。
本発明は、この問題を解消し、熱伝導率の低い物質に
ついても、固液界面を融液側に凸に維持して単結晶の育
成を容易にした単結晶育成装置を提供しようとするもの
である。
(課題を解決するための手段) 本発明は、固液界面の周辺部への加熱を強くして、凸
な形状を維持しようとするものであり、詳しくは、育成
炉の中心に、半導体原料を封入する気密容器を配置し
た、ブリッジマン法による単結晶の育成装置において、
上記容器と育成炉との間に2つの円筒状シールドを上下
に設け、該シールドの間隙に単結晶の固液界面を位置す
るように配置したことを特徴とする単結晶の育成装置で
ある。
なお、育成炉の温度勾配は、2つ以上のヒータの組み
合わせで形成するか、2つの円筒状シールドの材質、厚
さなどを適宜選択することによっても形成可能である。
シールドにより温度勾配を形成するときには、シールド
のみを移動して、単結晶を育成することも可能である。
また、シールドの材質は輻射熱を遮ることができ、不透
明で高温まで安定な物質ならばよい。具体的には、カー
ボン、BN、アルミナ、ジルコニア等のセラミックやタン
タル、モリブデン、白金等の高融点金属を用いることが
できる。
(作用) 第1図は、本発明の1具体例である縦型ブリッジマン
装置の概念図である。この装置は、高温部ヒータ4と低
温部ヒータ5を有する育成炉の中心に、原料を収容する
気密容器1を上軸8により昇降可能に配置し、該気密容
器1と育成炉の間に2つの円筒状シールド6を上下に設
けたものである。
化合物半導体の多くは解離圧が高く、原料融液2の組
成がずれ易いので、気密容器1を用いて真空封入する。
該気密容器1を高温部ヒータ4で加熱して原料融液2を
形成する。その後、高温部ヒータ4を原料の融点か、そ
れよりやや高温になるように設定し、低温部ヒータ5を
原料の融点よりやや低温に設定することにより、育成炉
に所定の温度勾配を設ける。次いで、気密容器1をゆっ
くりと一定速度で下降させ、原料融液2の下端より結晶
化させる。その際、固液界面では凝固熱が発生し、結晶
3及び原料融液2から気密容器1を伝わって放散され
る。従来の装置で熱伝導率の低い物質を結晶化するとき
には、発生する凝固熱を十分に拡散することができない
ので、固液界面の中心部の温度が周辺部より高くなり、
固液界面の形状は融液に向かって凹となる。
第1図の装置では、上下の円筒状シールドによりヒー
タからの熱輻射が緩和される一方、シールドの間隙では
結晶の固液界面を中心に熱輻射を直接局所的に受けるた
め、その部分の容器の外周部温度が上昇し、固液界面の
形状を融液に向かって凸を維持することができる。
なお、縦型ブリッジマン装置について説明したが、横
型ブリッジマン装置についても同様にシールドを設けて
多結晶化を防止することができる。
(実施例) 第1図の装置を用いてCdTe単結晶を育成した。アンプ
ルは、石英製で内径20mm、長さ120mmの円筒形、下端を
頂角60゜の円錐形としたものを用いた。シールドは、カ
ーボン製で内径26mm、厚さ3mmの円筒形であり、上下の
シールドの間隙の幅を10mmに保持した。まず、上記のア
ンプルには、CdTe多結晶400gを真空封入した。このアン
プルを育成炉の高温部にセットし、高温部及び低温部の
ヒータをともに約1120℃に加熱して原料を融解した。
(なお、CdTeの融点は1092℃である。)次いで、高温部
ヒータを1100℃に、低温部ヒータを1080℃に設定し、石
英アンプルを下降速度1mm/hrで徐々に移動して結晶成長
を行った。全体を凝固させた後、冷却速度2℃/mmで常
温まで冷却した。アンプルから取り出した結晶は全量単
結晶であった。
上記の結晶成長における固液界面の形状を確認するた
めに、Znを添加して同様の実験を行った。即ち、ZnのCd
Te中への偏析係数が約1.3であるため、結晶成長にとも
ない融液中のZn濃度は低下する。そこで、育成した結晶
の水平断面におけるZn濃度分布を詳細に分析することに
より、結晶成長中の結晶成長面即ち固液界面の形状を知
ることができるからである。原料としてCdTe多結晶400g
にZnTe12gを添加して上記と同一の条件で結晶成長を行
った。得られた結晶の断面におけるZnの濃度分布をICP
(Inductively Coupled Plasma)法により分析した。そ
の結果、固液界面の形状は結晶全長に渡って約1〜3mmm
で融液側に凸になっていることが確認された。
(発明の効果) 本発明は、上記構成を採用することにより、熱伝導率
の低いCdTe等の化合物半導体についても、確実に単結晶
化することができ、結晶性の良好な単結晶を歩留まり良
く育成することを可能にした。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の1具体例である縦型ブリッジマン装置
の概念図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】育成炉の中心に、半導体原料を封入する気
    密容器を配置した、ブリッジマン法による単結晶の育成
    装置において、上記容器と育成炉との間に2つの円筒状
    シールドを上下に設け、該シールドの間隙に単結晶の固
    液界面を位置するように配置したことを特徴とする単結
    晶の育成装置。
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