JP2773441B2 - GaAs単結晶の製造方法 - Google Patents

GaAs単結晶の製造方法

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JP2773441B2 JP3039616A JP3961691A JP2773441B2 JP 2773441 B2 JP2773441 B2 JP 2773441B2 JP 3039616 A JP3039616 A JP 3039616A JP 3961691 A JP3961691 A JP 3961691A JP 2773441 B2 JP2773441 B2 JP 2773441B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は帯溶融法によるGaAs
単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水平ブリッジマン法の中で帯溶融法(Z
M法)は、結晶の長さ方向に均一なドーパント濃度が得
られるため非常に有用な方法であるが、特に半絶縁性を
得るためにCrをドープする半絶縁性GaAsにおいて
は、量産化が困難とされていた。
【0003】従来、水平ZM法による単結晶成長技術を
開示したものとして特公昭53−27202号公報が存
在するが、これは三温度帯水平ブリッジマン法(3−H
B法)のZM法への応用を示している。即ち、本実施例
の図1を参照して説明すれば、拡散障壁11から指定中
間温度T3の最低温度部T3 aまでの長さを結晶長さ以
上とするという点に主眼が置かれている。これによって
石英ボート6とGaAs融液9との反応(Si汚染)を
抑えるという考え方である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来技術
は、単結晶を成長させる技術としては次のような問題が
ある。それは、帯状の融液を形成するための融液形成用
のピーク温度T1 であり、T1 =1,245〜1,27
0℃としていることである。実際にZM法で単結晶を成
長させてみると明らかになるが、この温度を採用する
と、固液界面付近のGaAs融液の対流が大きくなり過
ぎる。このため図2に示すように、固液界面23が融液
21側に凹むこと(融液側21へ凹面)となり、単結晶
が得られにくい。固液界面の形状は、融液側へ凹面とな
ると単結晶が得られにくく、逆に結晶側へ凹面となると
単結晶が得られやすいということが実験的にわかってい
る。なお同図中、22は結晶、24は石英ボートであ
る。
【0005】本発明の目的は、帯状融液を形成する温度
を適正化することにより、ZM法であっても、GaAs
単結晶を再現性よく成長できるGaAs単結晶の製造方
法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のGaAs単結晶
の製造方法は、融液形成温度領域の温度T1を、1,2
40℃〜1,242℃の範囲に設定することにより、固
液界面を結晶側に凹ませてGaAs単結晶を再現性よく
成長できるようにしたものである。
【0007】T1 を1,245℃以上にすると、固液界
面付近の融液に大きな対流が発生し固液界面を凹面にし
てしまうことは前述の通りである。温度T1 は融点1,
238℃に限りなく近い方が望ましいが、結晶後端側の
多結晶を成長中に溶かす必要があるため、現実には1,
238℃では成長を継続できない。結晶成長するのに最
適なピーク温度はT1 =1,240〜1,242℃であ
る。1,243℃〜1,244℃は若干対流の影響がで
るため条件としてはやや不安定である。
【0008】温度T1 を保持する融液形成温度領域の前
後に形成される固化温度領域の温度T2 及びT3 は1,
100℃〜1,230℃とする。温度T2 は多結晶8を
極力融点Tm近くに保持するための温度であり、1,2
00℃〜1,230℃に保持することが望ましい。温度
T3 は固化後の結晶が成長中に急冷されることを防ぐた
めの温度であり、1,200℃〜1,100℃に保持す
ることが望ましい。結晶全体が固化した時点で、種結晶
付近の温度が1,100℃を保っていれば特に問題はな
い。
【0009】固液界面の長さ方向の温度勾配は通常1.
0℃/cm〜3.0℃/cm程度であるが、これは固化
した結晶部の温度勾配と考えればよい。融液部の温度勾
配はほとんどゼロと考えてよい。なお、固液界面を結晶
側に凹ます補助手段として、炉体上部に放熱手段を設
け、石英ボートの中央から幅方向外側に行くに従って放
熱量が多くなるようにし、両外側が中央よりも速く冷却
されるようにしてもよい。
【0010】
【作用】石英アンプル内の一端側に種結晶,原料として
のGa或はGaAs多結晶を入れた石英ボートを配置
し、石英アンプル内の他端側にAsを配置する。
【0011】石英アンプル全体を加熱しながら真空引き
処理して封管した後、石英アンプル内圧力がほぼGaA
sの解離圧になるようにAsを加熱する。これと共に、
種結晶を除く部分の石英ボート全体をGaAsの融点以
上の温度に加熱して、GaとAsの蒸気を合成反応させ
ることにより、若しくはGaAs多結晶を融解すること
により、石英ボート内全体にGaAs融液を形成する。
【0012】GaAs融液の幅が所定値に狭められるま
で種結晶の反対側から冷却し、GaAs融液を徐々に多
結晶として冷却固化させる。
【0013】種結晶側で所定の融液幅になったときにシ
ード付けを行い、しかる後に融液の幅と温度を保持した
状態、即ち炉内温度分布を保持した状態で融液形成領域
を種結晶の反対方向へ移動させてGaAs単結晶を成長
させる。
【0014】このとき重要な点は、融液形成用のピーク
温度をT1=1,240℃〜1,242℃としているこ
とである。この範囲内にある温度を採用すると、固液界
面付近のGaAs融液の対流が小さく抑えられる。この
ため固液界面の凹面は図2に示すのとは反対側、即ち、
固液界面23が結晶22側に凹み、その結果、単結晶が
再現性得られる。
【0015】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。
【0016】(実施例1) 図1に示すように、種結晶7、原料Ga2,500g、
及び半絶縁性とするためにドーパントCr2.7gを入
れた石英ボート6と、As10を拡散障壁11を隔てて
2,740g配置し、真空封じした石英封管5を帯溶融
結晶成長炉16の中に設置する。成長炉16は、最も高
温となる融液形成温度領域を作る高温加熱炉1、これよ
りも温度の低い固化温度領域を作る第1中間温度加熱炉
2及び第2中間温度加熱炉3の3つの加熱炉をもつ高温
炉15と、石英封管5内のAs10の圧を1atmに保
つための低温領域を作る低温炉4とからなる。なお、1
2は石英封管5を支持するセラミックス支持管である。
【0017】高温炉15を約1,200℃まで、低温炉
4を約600℃までそれぞれ上げて、しばらく安定させ
た後、高温加熱炉1及び第1中間温度加熱炉2を約1,
230℃まで上げてGaAs合成反応を行わせる。
【0018】反応が終了した後、高温加熱炉1の融液形
成用のピーク温度T1および第1中間温度加熱炉2の第
1中間温度T2 をともに1,240℃まで上げ、種結晶
7を残して、石英ボート6内全体をGaAs融液とす
る。5時間保持した後、第1中間温度T2 を徐々に降温
し、15時間かけて石英ボート6の後端側の融液を固化
させる。図1に示すように、種結晶7と隣接した部分に
ピーク温度T1 、その前後に中間温度T2 及びT3 が来
るような温度分布を形成させ、種結晶7と隣接した部分
に約150mm長さの融液ゾーン9を作る。
【0019】ピーク温度T1 は1,240℃のままで、
炉体を水平に移動させて、種結晶7へのシード付けを行
なった後、4mm/hの速度で移動させて結晶成長を行
う。結晶全体が固化したら、100℃/hの速度で室温
まで冷却し、石英封管5を炉体より取り出す。
【0020】以上の方法により長さ600mm,重量約
5,150gのGaAs単結晶が得られた。結晶の転位
密度は、全体として10,000cm-2以下であり、C
r濃度は固化率(g)g=0.1〜0.75まで約1.
0ppmwと一定値をもつ半絶縁性結晶が得られた。
【0021】(実施例2) ピーク温度T1 を1,245℃とした以外は実施例1と
同一条件で結晶成長を行なった。その結果、融液の対流
によると思われる固液界面の凹面化現象が発生し、どう
しても単結晶が得られなかった。しかし、成長シード付
け時点まで戻した後、ピーク温度T1 を1,242℃ま
で下げて再度行なったところ、単結晶成長が可能となっ
た。
【0022】また、ピーク温度T1を1,239℃とし
た以外は実施例1と同一条件で結晶成長を行なったとこ
ろ、後端の多結晶を溶かすのが間に合わなくなり、成長
中、融液全体が固化してしまった。
【0023】以上述べたように、本実施例により得られ
る単結晶は、ZM法により製造されるので、結晶長さ方
向のドーパント濃度が均一なものとなり、特性的に均一
なウェハが高歩留りで得られる。
【0024】なお、上記実施例はCrドープ結晶につい
て述べたものであるが、Siドープ、Znドープ等への
応用も可能である。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、融液形成温度領域を
1,240℃〜1,242℃の温度範囲に設定して、固
液界面に対流が起こらないようにしたので、帯溶融法に
よっても再現性よくGaAs単結晶を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯溶融法の一実施例を示す装置概略図
及び炉内温度分布図。
【図2】従来例の固液界面形状を説明する平面図。
【符号の説明】
1 融液形成用高温加熱炉 2 第1中間温度加熱炉 3 第2中間温度加熱炉 4 低温炉 5 石英封管 6 石英ボート 7 種結晶 8 GaAs多結晶 9 GaAs融液 10 As 11 拡散障壁 12 セラミックス支持管 15 高温炉 T1 高温加熱炉の温度(融液形成温度領域の温度) T2 第1中間温度加熱炉の温度(固化温度領域の温
度) T3 第2中間温度加熱炉の温度(固化温度領域の温
度) T4 低温炉の温度 Tm GaAsの融点

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】GaAsの融点を越える融液形成温度領域
    の両側にGaAsの融点より低い固化温度領域を有する
    炉内温度分布を設定し、石英ボートに入れたGaAs多
    結晶の一部を溶融させて、結晶成長方向における幅が上
    記石英ボートの長さよりも短い帯状の融液領域を形成
    し、その融液領域の幅を保持しつつ上記炉内温度分布を
    種結晶側からその反対方向へ移動させることにより単結
    晶を成長させるGaAs単結晶の製造方法において、上
    記融液形成温度領域を1,240℃〜1,242℃の範
    囲に設定し、成長する単結晶と融液との固液界面におけ
    る融液の対流を抑制しながら単結晶を成長させることを
    特徴とするGaAs単結晶の製造方法。
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