JP2005132717A - 化合物半導体単結晶およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大口径で低転位密度の化合物半導体単結晶を歩留まり良く製造する方法を提供する。
【解決手段】ルツボの下部に設置した種結晶に原料融液を接触させ、ルツボ内で下方から上方に向かって原料融液を徐々に冷却して固化させ、単結晶を成長させる化合物半導体単結晶の製造方法において、単結晶の直胴部の直径に対して0.50〜0.96倍の直径の結晶を種結晶に用い、単結晶成長の途中の増径部で垂直方向に対する外周の傾斜角度を5度以上35度未満として単結晶の直径を拡大させた後、単結晶の直胴部を成長させることからなる。
【選択図】 図1
【解決手段】ルツボの下部に設置した種結晶に原料融液を接触させ、ルツボ内で下方から上方に向かって原料融液を徐々に冷却して固化させ、単結晶を成長させる化合物半導体単結晶の製造方法において、単結晶の直胴部の直径に対して0.50〜0.96倍の直径の結晶を種結晶に用い、単結晶成長の途中の増径部で垂直方向に対する外周の傾斜角度を5度以上35度未満として単結晶の直径を拡大させた後、単結晶の直胴部を成長させることからなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、垂直グラージュエントフリージング法(以下、VGF法とする)や垂直ブリッジマン法(以下、VB法とする)によるGaAsやInPなどの化合物半導体単結晶の製造方法に関するものである。
GaAs単結晶やInP単結晶の製造方法として、液体封止チョクラルスキー法(以下、LEC法とする)が一般に利用されてきた。LEC法は、大口径のウェハーを比較的容易に作製できるという長所があるが、結晶育成中の軸方向の温度勾配が大きいため、素子特性や寿命に影響を及ぼす転位密度が高いと言う欠点がある。これに対して、VGF法やVB法は、軸方向の温度勾配が小さく設定できるため低転位密度化が容易であるという長所がある。しかし、低温度勾配下で成長させるため炉内の温度ゆらぎによって成長の不均一性による双晶発生や成長結晶内における種結晶からの伝播した転位や成長後の熱応力により発生した転位の集積による多結晶化がしやすく、再現性良く低転位密度の単結晶を得ることは難しいという欠点がある。
双晶の発生については、種結晶から直胴部へ至る増径部の角度と双晶発生の確率が密接に関係しており、(100)方位の結晶成長の場合、増径部に(111)ファセット面が現れ、このファセット面から双晶が発生する。(111)ファセット面と(100)面との角度は54.7度であるため、ファセット面が現れるのを防ぐためには、ルツボの増径部の角度を垂直方向に対して(90度−54.7度)、すなわち35.3度以下で成長することが望ましい。しかしながら、増径部角度を小さくすると成長させる結晶の増径部も長くなってしまい、成長時間が長くなり、ウェハーの取得率が低下し生産性が悪化するという問題がある。そのため、増径部角度を40〜50度にして結晶成長を行うことが適切であるとの報告がある。(非特許文献1参照)
しかし、この方法だと増径部角度が双晶が発生する角度である35度よりも大きく、特にInP結晶成長の場合は、単結晶を得ることが困難であるという問題がある。
しかし、この方法だと増径部角度が双晶が発生する角度である35度よりも大きく、特にInP結晶成長の場合は、単結晶を得ることが困難であるという問題がある。
VGF法またはVB法による閃亜鉛鉱型構造の化合物半導体単結晶の成長法にあたって、ルツボとして、垂直方向に対して80度以上90度未満の所定角度をなして傾斜したルツボを用いるとともに、結晶成長時に少なくともその傾斜したルツボ底部分の結晶成長方向の温度勾配を1℃/cm以上5℃/cm未満となるように制御することにより、増径部を形成することなく成長させる。これにより育成結晶の結晶肩部から直胴部への移行部分の結晶成長時間が短くなり、ファセット成長が抑制され双晶の発生が防止されるとしている(特許文献1参照)。該文献によれば、原料および封止剤を封入した気密容器のルツボ底に対応する箇所の外側に接して設けられた熱電対の温度ゆらぎを±0.1℃以下にする必要がある。しかしながら、特にInP結晶成長の場合は、結晶成長時の圧力を30〜50気圧(3〜5MPa)の高圧にする必要があるため、雰囲気ガスの対流による炉内の温度ゆらぎを低減することは非常に困難で、これを制御しようとすると精密な温度制御をする必要があり、多大なコストがかかるという欠点がある。
これに対して、成長させる結晶と断面形状および寸法がほぼ同一であるような種結晶を使用することにより、増径部の成長がないので精密な制御が不要になり、増径部で発生したロスがなくなり、単結晶が歩留まりよく得られることが報告されている(非特許文献2参照)。
しかし、この方法だと大口径の結晶成長については、大口径の種結晶を入手する必要があり、現状では入手が困難であるという問題がある。
特開平10−87392号公報
半導体研究35巻、西澤潤一編、工業調査会発行、p19
アドバンスト エレクトロニクス シリーズ I−4、バルク結晶成長技術、干川圭吾編著、培風館、p239
これに対して、成長させる結晶と断面形状および寸法がほぼ同一であるような種結晶を使用することにより、増径部の成長がないので精密な制御が不要になり、増径部で発生したロスがなくなり、単結晶が歩留まりよく得られることが報告されている(非特許文献2参照)。
しかし、この方法だと大口径の結晶成長については、大口径の種結晶を入手する必要があり、現状では入手が困難であるという問題がある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、大口径、例えば直径が3インチ以上の化合物半導体を目標とする高品質の平均転位密度単結晶を製造することができる方法及び目標として平均転位密度が好ましくは5000個/cm2未満の単結晶を製造することを目的とする。
本発明は、上記目的達成のためになされたもので以下の各項の発明からなる。
[1] ルツボの下部に設置した種結晶に原料融液を接触させ、ルツボ内で下方から上方に向かって原料融液を徐々に冷却して固化させ、単結晶を成長させる化合物半導体単結晶の製造方法において、単結晶の直胴部の直径に対して0.50〜0.96倍の直径の結晶を種結晶に用い、単結晶成長の途中の増径部で垂直方向に対する外周の傾斜角度を5度以上35度未満として単結晶の直径を拡大させた後、単結晶の直胴部を成長させることを特徴とする化合物半導体単結晶の製造方法。
[2] 前記種結晶には、平均転位密度が10000個/cm2未満の結晶を用いることを特徴とする上記[1]に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
[3] 前記種結晶の直径を50mm以上とすることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
[4] 前記直胴部の直径を75mm以上とすることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
[5] 増径部の垂直方向の長さを20〜100mmとしたことを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
[6] 化合物半導体がGaAsまたはInPであることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
[1] ルツボの下部に設置した種結晶に原料融液を接触させ、ルツボ内で下方から上方に向かって原料融液を徐々に冷却して固化させ、単結晶を成長させる化合物半導体単結晶の製造方法において、単結晶の直胴部の直径に対して0.50〜0.96倍の直径の結晶を種結晶に用い、単結晶成長の途中の増径部で垂直方向に対する外周の傾斜角度を5度以上35度未満として単結晶の直径を拡大させた後、単結晶の直胴部を成長させることを特徴とする化合物半導体単結晶の製造方法。
[2] 前記種結晶には、平均転位密度が10000個/cm2未満の結晶を用いることを特徴とする上記[1]に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
[3] 前記種結晶の直径を50mm以上とすることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
[4] 前記直胴部の直径を75mm以上とすることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
[5] 増径部の垂直方向の長さを20〜100mmとしたことを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
[6] 化合物半導体がGaAsまたはInPであることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
[7] 上記[1]〜[6]に記載の化合物半導体単結晶の製造方法で製造した平均転位密度が5000個/cm2未満である化合物半導体単結晶。
[8] 化合物半導体がGaAsまたはInPであることを特徴とする上記[7]に記載の化合物半導体単結晶。
[9] ルツボの下部に設置した種結晶に原料融液を接触させ、ルツボ内で下方から上方に向かって原料融液を徐々に冷却して固化させ、単結晶を成長させる化合物半導体単結晶の成長方法に用いる単結晶成長用ルツボにおいて、内径がルツボ直胴部の内径の0.50〜0.96倍である種結晶設置部と、その上部に設けられた成長方向に対するルツボ外周の傾斜角度が5度以上35度未満である増径部と、増径部の上部に設けられたルツボ直胴部とを具備することを特徴とする単結晶成長用ルツボ。
[10] 前記種結晶設置部の内径を50mm以上とすることを特徴とする上記[9]に記載の単結晶成長用ルツボ。
[11] 前記直胴部の直径を75mm以上とすることを特徴とする上記[9]または[10]に記載の単結晶成長用ルツボ。
[12] 増径部の長さを20〜100mmとしたことを特徴とする上記[9]〜[11]のいずれかに記載の単結晶成長用ルツボ。
[8] 化合物半導体がGaAsまたはInPであることを特徴とする上記[7]に記載の化合物半導体単結晶。
[9] ルツボの下部に設置した種結晶に原料融液を接触させ、ルツボ内で下方から上方に向かって原料融液を徐々に冷却して固化させ、単結晶を成長させる化合物半導体単結晶の成長方法に用いる単結晶成長用ルツボにおいて、内径がルツボ直胴部の内径の0.50〜0.96倍である種結晶設置部と、その上部に設けられた成長方向に対するルツボ外周の傾斜角度が5度以上35度未満である増径部と、増径部の上部に設けられたルツボ直胴部とを具備することを特徴とする単結晶成長用ルツボ。
[10] 前記種結晶設置部の内径を50mm以上とすることを特徴とする上記[9]に記載の単結晶成長用ルツボ。
[11] 前記直胴部の直径を75mm以上とすることを特徴とする上記[9]または[10]に記載の単結晶成長用ルツボ。
[12] 増径部の長さを20〜100mmとしたことを特徴とする上記[9]〜[11]のいずれかに記載の単結晶成長用ルツボ。
本発明は、VGF法やVB法を用い、従来製造が困難とされていた大口径で低転位密度の化合物半導体単結晶を、確実且つ容易に製造することができる方法を開発することに成功した。
直径が3インチ以上の大口径InP基板は、光通信デバイスや電子デバイスとして、さらにそれらを基板上に集積した光・電子集積回路(OEIC)の基板として、今後ますます利用が期待される。素子の歩留まり向上のためには、基板の転位密度を低減する必要があり平均転位密度5000個/cm2未満の低転位基板を使用することが望ましい。平均転位密度5000個/cm2未満の低転位結晶を得るためには、種結晶からの転位が数分の一に低減することを考慮し平均転位密度10000個/cm2未満の低転位密度の種結晶を使用した方が良い。VGF法やVB法による3インチの結晶成長をおこなうに当たり、最初に成長させる結晶と同じ断面形状および寸法である直径3インチの種結晶を使用することを検討した。しかしながら、現在の技術では2インチ結晶は、10000個/cm2未満の低転位密度の単結晶を容易に入手できるものの、3インチ以上の大口径の単結晶では、結晶成長時や冷却時の熱応力により十分に低転位化することは困難で、平均転位密度10000個/cm2未満の低転位結晶は高いコストを必要とし、入手が困難である。
本発明では、現在比較的容易に入手できる平均転位密度10000個/cm2の例えば2インチ結晶を種結晶として使用して、目的とする直胴部が3インチ結晶や4インチ結晶を得る。このものは平均転位密度が10000個/cm2以下であるので、これを種結晶として用い、さらに大きな単結晶を得ることができる。
本発明では、現在比較的容易に入手できる平均転位密度10000個/cm2の例えば2インチ結晶を種結晶として使用して、目的とする直胴部が3インチ結晶や4インチ結晶を得る。このものは平均転位密度が10000個/cm2以下であるので、これを種結晶として用い、さらに大きな単結晶を得ることができる。
本発明は、VB法やVGF法において、ルツボとして、底部に種結晶を設置(収容)する部分と、その上部に垂直方向に対して5度以上35度未満の傾斜角度を有する増径部があり、増径部の上部には直胴部を有するルツボを使用し、単結晶の直胴部の直径に対して0.50〜0.96倍の直径の種結晶を用いることを特徴とする。上記の傾斜角度が5度未満では増径部が長くなりすぎ、目的とする直胴部の結晶を取得できなくて装置も大型となり多大なコストを要してしまう。
また、傾斜角度が35度以上では、双晶が発生してしまうのでよくない。傾斜角度はさらに好ましくは20〜30度である。
種結晶の直径が直胴部の直径の0.5倍未満や0.96倍を越えると、現状で入手できる2インチや3インチの種結晶にさらに無駄な加工を必要としてしまう。前記直径比の好ましい範囲は0.6〜0.8倍である。
ルツボは種結晶収容部の直径(内径)が50mm以上、直胴部の長さが75mm以上が好ましい。また増径部の垂直方向の長さは20〜100mmが好ましい。種結晶は好ましくは平均転位密度10000個/cm2未満、直径が50mm以上のものを使用する。
上記のような方法により平均転位密度が5000個/cm2未満のInPやGaAs等の単結晶を得ることができる。
また、傾斜角度が35度以上では、双晶が発生してしまうのでよくない。傾斜角度はさらに好ましくは20〜30度である。
種結晶の直径が直胴部の直径の0.5倍未満や0.96倍を越えると、現状で入手できる2インチや3インチの種結晶にさらに無駄な加工を必要としてしまう。前記直径比の好ましい範囲は0.6〜0.8倍である。
ルツボは種結晶収容部の直径(内径)が50mm以上、直胴部の長さが75mm以上が好ましい。また増径部の垂直方向の長さは20〜100mmが好ましい。種結晶は好ましくは平均転位密度10000個/cm2未満、直径が50mm以上のものを使用する。
上記のような方法により平均転位密度が5000個/cm2未満のInPやGaAs等の単結晶を得ることができる。
以下に、本発明によるInP結晶成長の実施の形態をについて説明する。
図1には、本発明をVGF法に適用した際に使用される結晶成長炉の概略断面図を示す。図1において、1はBN製ルツボであり、底部には直径50mm以上の種結晶収容部があり、その上部には、垂直方向に対して5度以上35度未満の傾斜角度(θ)の増径部と成長させる直径となる直胴部がある。
ルツボ底部には、平均転位密度が10000個/cm2未満の低転位密度の種結晶2が収納されている。種結晶2の上部には、InP結晶の原料融液3が配置されている。4は、原料融液3が種結晶2から上方に向かって固化して成長した結晶である。原料融液の上部には、融液からリンの蒸発を防止するため液体封止剤5(B2O3)で覆われている。6は加熱用ヒーターであり、原料3及び封止剤5を融解し、炉内の種結晶2側で温度を結晶が成長できるように低く保持し、上方に向かって温度が高い温度分布を形成する。7はルツボを支持するサセプタである。
これらの成長治具は、高圧容器内に配置され、炉内は不活性ガス雰囲気となっている。結晶成長は、加熱ヒーターの制御温度を低下させることによって、原料融液を種結晶側から上方に固化させて行う。またVB法においては、加熱ヒーターとルツボを相対的に移動させて固化させて行う。
図1には、本発明をVGF法に適用した際に使用される結晶成長炉の概略断面図を示す。図1において、1はBN製ルツボであり、底部には直径50mm以上の種結晶収容部があり、その上部には、垂直方向に対して5度以上35度未満の傾斜角度(θ)の増径部と成長させる直径となる直胴部がある。
ルツボ底部には、平均転位密度が10000個/cm2未満の低転位密度の種結晶2が収納されている。種結晶2の上部には、InP結晶の原料融液3が配置されている。4は、原料融液3が種結晶2から上方に向かって固化して成長した結晶である。原料融液の上部には、融液からリンの蒸発を防止するため液体封止剤5(B2O3)で覆われている。6は加熱用ヒーターであり、原料3及び封止剤5を融解し、炉内の種結晶2側で温度を結晶が成長できるように低く保持し、上方に向かって温度が高い温度分布を形成する。7はルツボを支持するサセプタである。
これらの成長治具は、高圧容器内に配置され、炉内は不活性ガス雰囲気となっている。結晶成長は、加熱ヒーターの制御温度を低下させることによって、原料融液を種結晶側から上方に固化させて行う。またVB法においては、加熱ヒーターとルツボを相対的に移動させて固化させて行う。
これらの低転位密度の種結晶の作製にあたっては、通常のLEC法で作製した結晶は、成長させる結晶の転位密度が十分に低減しないので種結晶として使用することはむずかしい。本発明においては、LEC法にかわって、低・温度勾配下で成長できるV族元素雰囲気で制御された改良型のLEC法や横型ボート法などによって成長された低転位密度の結晶を種結晶として使用する。また、本発明方法によるVGF法やVB法で成長された低転位密度結晶を種結晶原料として使用できることは言うまでもない。
結晶内の平均転位密度の測定方法は、ウェハー面内で半径方向に5mm間隔に測定した数値の平均値である。
種結晶としては、通常、ドーパントとして何も添加されていないノンドープ結晶が使用できるが、成長結晶と同じ元素をドープした結晶でも使用することもできる。また種結晶は繰り返して利用することも可能である。
また、本発明による結晶成長において、図2のように使用するルツボの種結晶収容部高さを調整することによって、また、増径部角度を5度以上35度未満の範囲内で調整することにより、1回の結晶成長で、2インチ結晶および3インチ結晶などの2つ以上の直径の結晶が得られるような結晶成長が可能であるとB2O3いう利点もある。
以下に、本発明の具体的な実施例を説明する。
結晶内の平均転位密度の測定方法は、ウェハー面内で半径方向に5mm間隔に測定した数値の平均値である。
種結晶としては、通常、ドーパントとして何も添加されていないノンドープ結晶が使用できるが、成長結晶と同じ元素をドープした結晶でも使用することもできる。また種結晶は繰り返して利用することも可能である。
また、本発明による結晶成長において、図2のように使用するルツボの種結晶収容部高さを調整することによって、また、増径部角度を5度以上35度未満の範囲内で調整することにより、1回の結晶成長で、2インチ結晶および3インチ結晶などの2つ以上の直径の結晶が得られるような結晶成長が可能であるとB2O3いう利点もある。
以下に、本発明の具体的な実施例を説明する。
結晶成長装置は、図1に示すVGF炉を用いた。
ルツボは、BN製ルツボであり、種結晶収容部の内径52mm、種結晶収容部高さ20mm、増径部角度を30度、増径部の垂直方向の長さ24mm、直胴部内径を80mmとし、ルツボ全長を250mmのものを使用した。まず、BN製ルツボに、直径51.5mm、厚さ20mmの種結晶、InP多結晶原料2500g、ドーパントとして多結晶原料の0.03wt%のFe、B2O3を400g装填し、サセプタに収容した。種結晶は通常のLEC法から成長したものではなく、リン雰囲気下の改良型LEC法により成長した結晶であり、平均転位密度8000個/cm2の種結晶を使用した。種結晶、多結晶原料、B2O3を充填したサセプタ容器を、炉内に配置し、不活性ガスであるアルゴンガスを導入して、炉内を40気圧(4MPa)とした。加熱ヒーターにより、B2O3、多結晶原料が融解するように炉内を1070℃程度に昇温した。原料多結晶が全て融解したことを確認した後、種結晶部分でInPの融点(1062℃)となるように、温度を設定し、結晶成長速度が2mm/hrとなるようにヒーター温度を低下させた。約50時間結晶成長させた後、10時間かけて室温まで冷却した。
室温まで冷却後、炉体を開放しルツボを取り出した。BNルツボ内のB2O3をアルコール中で溶解してFeドープInP結晶を取り出した。得られた結晶は、直径3インチで全長90mmのInP単結晶であり、双晶は全く発生していなかった。この単結晶インゴットを切断して転位密度を調べた結果、平均転位密度は2500個/cm2の低転位密度単結晶となっていることがわかった。
同様に、平均転位密度が10000個/cm2未満の種結晶を使用してFeドープInP単結晶成長の実験を5回行ったところ、1回は増径部で双晶の発生が見られたが、他の4回は双晶のまったくない転位密度が5000個/cm2より低い転位密度の単結晶が得られ、高い歩留まりで低転位密度のInP単結晶が得られることがわかった。
ルツボは、BN製ルツボであり、種結晶収容部の内径52mm、種結晶収容部高さ20mm、増径部角度を30度、増径部の垂直方向の長さ24mm、直胴部内径を80mmとし、ルツボ全長を250mmのものを使用した。まず、BN製ルツボに、直径51.5mm、厚さ20mmの種結晶、InP多結晶原料2500g、ドーパントとして多結晶原料の0.03wt%のFe、B2O3を400g装填し、サセプタに収容した。種結晶は通常のLEC法から成長したものではなく、リン雰囲気下の改良型LEC法により成長した結晶であり、平均転位密度8000個/cm2の種結晶を使用した。種結晶、多結晶原料、B2O3を充填したサセプタ容器を、炉内に配置し、不活性ガスであるアルゴンガスを導入して、炉内を40気圧(4MPa)とした。加熱ヒーターにより、B2O3、多結晶原料が融解するように炉内を1070℃程度に昇温した。原料多結晶が全て融解したことを確認した後、種結晶部分でInPの融点(1062℃)となるように、温度を設定し、結晶成長速度が2mm/hrとなるようにヒーター温度を低下させた。約50時間結晶成長させた後、10時間かけて室温まで冷却した。
室温まで冷却後、炉体を開放しルツボを取り出した。BNルツボ内のB2O3をアルコール中で溶解してFeドープInP結晶を取り出した。得られた結晶は、直径3インチで全長90mmのInP単結晶であり、双晶は全く発生していなかった。この単結晶インゴットを切断して転位密度を調べた結果、平均転位密度は2500個/cm2の低転位密度単結晶となっていることがわかった。
同様に、平均転位密度が10000個/cm2未満の種結晶を使用してFeドープInP単結晶成長の実験を5回行ったところ、1回は増径部で双晶の発生が見られたが、他の4回は双晶のまったくない転位密度が5000個/cm2より低い転位密度の単結晶が得られ、高い歩留まりで低転位密度のInP単結晶が得られることがわかった。
[比較例]
ルツボは、BN製ルツボとし、種結晶収容部の内径10mm、種結晶収容部高さ40mm、増径部角度を45度、直胴部内径を80mm、ルツボ全長を250mmのものを使用した。種結晶には、直径9.5mm、長さ40mmのものを使用した。その他条件は、上記実施例1と同様の条件でInP結晶成長を行った。得られたFeドープ結晶は、増径部初期において双晶の発生が見られた。同一条件でInP結晶成長を5回行ったところ、いずれも増径部で双晶の発生が見られ単結晶は1本も得られなかった。
ルツボは、BN製ルツボとし、種結晶収容部の内径10mm、種結晶収容部高さ40mm、増径部角度を45度、直胴部内径を80mm、ルツボ全長を250mmのものを使用した。種結晶には、直径9.5mm、長さ40mmのものを使用した。その他条件は、上記実施例1と同様の条件でInP結晶成長を行った。得られたFeドープ結晶は、増径部初期において双晶の発生が見られた。同一条件でInP結晶成長を5回行ったところ、いずれも増径部で双晶の発生が見られ単結晶は1本も得られなかった。
本発明によれば、光通信や無線通信などの分野で、高速、高周波の電子デバイスに使用されるGaAsやInPなどの化合物半導体単結晶について、高品質で低転位密度の大口径単結晶を歩留まり良く製造できる。大口径の化合物半導体結晶は光通信デバイスや電子デバイスとして、さらには光・電子集積回路の基板として利用可能である。
1 ルツボ
2 種結晶
3 原料融液
4 結晶
5 液体封止剤
6 加熱ヒーター
7 サセプタ
8 2インチ成長部
9 3インチ成長部
θ 傾斜角度
2 種結晶
3 原料融液
4 結晶
5 液体封止剤
6 加熱ヒーター
7 サセプタ
8 2インチ成長部
9 3インチ成長部
θ 傾斜角度
Claims (12)
- ルツボの下部に設置した種結晶に原料融液を接触させ、ルツボ内で下方から上方に向かって原料融液を徐々に冷却して固化させ、単結晶を成長させる化合物半導体単結晶の製造方法において、単結晶の直胴部の直径に対して0.50〜0.96倍の直径の結晶を種結晶に用い、単結晶成長の途中の増径部で垂直方向に対する外周の傾斜角度を5度以上35度未満として単結晶の直径を拡大させた後、単結晶の直胴部を成長させることを特徴とする化合物半導体単結晶の製造方法。
- 前記種結晶には、平均転位密度が10000個/cm2未満の結晶を用いることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
- 前記種結晶の直径を50mm以上とすることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
- 前記直胴部の直径を75mm以上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
- 増径部の垂直方向の長さを20〜100mmとしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
- 化合物半導体がGaAsまたはInPであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化合物半導体単結晶の製造方法。
- 請求項1〜6に記載の化合物半導体単結晶の製造方法で製造した平均転位密度が5000個/cm2未満である化合物半導体単結晶。
- 化合物半導体がGaAsまたはInPであることを特徴とする請求項7に記載の化合物半導体単結晶。
- ルツボの下部に設置した種結晶に原料融液を接触させ、ルツボ内で下方から上方に向かって原料融液を徐々に冷却して固化させ、単結晶を成長させる化合物半導体単結晶の成長方法に用いる単結晶成長用ルツボにおいて、内径がルツボ直胴部の内径の0.50〜0.96倍であるルツボ下部の種結晶設置部と、その上部に設けられた成長方向に対するルツボ外周の傾斜角度が5度以上35度未満である増径部と、増径部の上部に設けられたルツボ直胴部とを具備することを特徴とする単結晶成長用ルツボ。
- 前記種結晶設置部の内径を50mm以上とすることを特徴とする請求項9に記載の単結晶成長用ルツボ。
- 前記直胴部の直径を75mm以上とすることを特徴とする請求項9または10に記載の単結晶成長用ルツボ。
- 増径部の垂直方向の長さを20〜100mmとしたことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の単結晶成長用ルツボ。
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2004
- 2004-10-04 JP JP2004290952A patent/JP2005132717A/ja active Pending
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