JPH07300021A - パワープラント支持装置 - Google Patents

パワープラント支持装置

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Publication number
JPH07300021A
JPH07300021A JP9421794A JP9421794A JPH07300021A JP H07300021 A JPH07300021 A JP H07300021A JP 9421794 A JP9421794 A JP 9421794A JP 9421794 A JP9421794 A JP 9421794A JP H07300021 A JPH07300021 A JP H07300021A
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JP
Japan
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power plant
engine
positions
engine mounts
vibration
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Application number
JP9421794A
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English (en)
Inventor
Hirofumi Aoki
弘文 青木
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】アイドル振動から加速時騒音領域まで広範囲に
渡って良好な防振特性が得られるパワープラント支持装
置を提供する。 【構成】横置き式のエンジンマウント30Aを含むパワ
ープラント30を、車体に対して前後二位置に配置され
た二つのアクティブエンジンマウント1A,1B及び左
右二位置に配置された受動的な二つのエンジンマウント
1C,1Dを介して車体に支持する。アクティブエンジ
ンマウント1A,1Bはロール慣性主軸TRに対して略
直交する平面内に配置し、これら1A,1Bによってパ
ワープラント30の荷重を主として支持する。また、ア
クティブエンジンマウント1A,1Bは、車体に対して
弾性支持されたセンタメンバ上に固定する。一方、エン
ジンマウント1C及び1Dの支持弾性体のバネ定数は、
アクティブエンジンマウント1A及び1Bの非制御時に
おけるバネ定数よりも小さくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両のエンジンを含
むパワープラントを車体に支持する装置に関し、特に、
車体に対して横向き(クランク軸が車両左右方向を向く
ように)搭載される横置きエンジンを含むパワープラン
トを、複数のエンジンマウントを介して支持する構造に
おいて、アイドル振動,エンジンシェイク,こもり音の
低減及び加速時騒音の音質改善が図られるようにしたも
のである。
【0002】
【従来の技術】フロントエンジン・フロントドライブ
(FF)車に多く用いられる横置きエンジンを車体に支
持するエンジンマウントには、主として、アイドル振
動,エンジンシェイク,こもり音及び加速時騒音に対し
て良好な防振機能を発揮することが要求されるのである
が、これら防振すべき振動のうち、車両停止時に問題と
なるアイドル振動(周波数が約20〜30Hzの範囲に
ある比較的大振幅の振動)や車両走行中に問題となるこ
もり音,加速時騒音(周波数が約80〜800Hzの範
囲にある比較的小〜中振幅の振動)については、低動バ
ネ定数,低減衰という特性が要求されるのに対し、エン
ジンシェイク(周波数が約5〜15Hzの範囲にある比
較的大振幅の振動)については、高動バネ定数,高減衰
という特性が要求される。つまり、エンジンマウントに
は、振動の種類毎に異なった特性が要求されるため、受
動的な支持力だけを発生する通常のエンジンマウントを
用いた場合には、それら多様な振動を全て防振すること
は非常に困難である。現実に、全ての受動的なエンジン
マウントの動バネ定数を低くすることはパワープラント
の静的な荷重を支持する必要性等から困難であるし、そ
の減衰も高い値に設定されているのが一般的である。
【0003】このような問題点を解決し得る従来の技術
として、例えば特開昭61−2939号公報に開示され
た能動的な支持力を発生可能なエンジンマウント(アク
ティブエンジンマウント)が存在する。即ち、かかる公
報に開示された装置にあっては、パワープラント及び車
体間に介在する支持弾性体内に流体室を画成するととも
に、振動子等によってその流体室の容積を適宜変化させ
て支持弾性体に拡張方向の弾性変形を生じさせ、その支
持弾性体の弾性変形によって得られる支持力によってパ
ワープラント側から入力される振動を打ち消して、低動
バネ定数を実現するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上述したアク
ティブエンジンマウントによれば、能動的な支持力を発
生することが可能であるため、単なる受動的なエンジン
マウントだけによってパワープラントを支持した場合に
比べて防振特性を向上することは可能であるが、アイド
ル振動,エンジンシェイク,こもり音及び加速時騒音の
全てを充分満足できる程度に低減できるものではなかっ
た。即ち、上述したようなアクティブエンジンマウント
であっても、動バネ定数を見掛け上“0”にできるの
は、同時刻では限られた周波数帯域のみである。つま
り、こもり音の原因となる振動入力と、加速時騒音の原
因となる振動入力とを同時に遮断することは、単にアク
ティブエンジンマウントを用いただけでは困難なのであ
る。
【0005】例えば、アクティブエンジンマウントの制
御に、適応ディジタルフィルタを用いた適応制御(フィ
ルタ係数の更新には、例えばFiltered−X L
MSアルゴリズムを適用する。)を採用したとしても、
現在実用化が図られているのは、レシプロ4気筒エンジ
ンの場合であればエンジン回転2次成分に起因するこも
り音を制御対象とし、そのエンジン回転2次成分の信号
を適応ディジタルフィルタでフィルタ処理してアクティ
ブエンジンマウントの駆動信号を生成するようになって
いるものがほとんどである。そして、こもり音の最大入
力部位となりやすい横置きエンジンの前端(通常は、車
体の右側)に配置されるエンジンマウントをアクティブ
エンジンマウントとすると、こもり音の原因となる振動
の遮断は可能となるが、加速時騒音の原因となる振動は
そのまま車体に伝達され、車体内に発生する加速時騒音
を低減できず充分な静粛性が得られないのである。
【0006】ここで、横置きタイプのエンジンを含むパ
ワープラントを支持する装置の問題点をさらに詳述す
る。即ち、FF車に多く用いられる横置きエンジンにあ
っては、特にアイドル時には、エンジンのトルク変動入
力によってパワープラントがロール慣性主軸を中心にロ
ール振動をすることが判っている。そして、横置きエン
ジンのクランク軸は、車体に対して左右方向を向いてい
るから、パワープラントを車体に対して前後左右の四位
置にてエンジンマウントを介して車体に支持した場合に
は、左右二位置に配置された二つのエンジンマウント
は、比較的ロール慣性主軸に近く、前後二位置に配置さ
れた二つのエンジンマウントは、比較的ロール慣性主軸
から離れていることになる。
【0007】すると、ロール慣性主軸に近い左右二位置
のエンジンマウントには、上記ロール振動による振動入
力は比較的小さくて済むが、ロール慣性主軸から遠い前
後二位置のエンジンマウントには、かかる振動入力は比
較的大きくなってしまい、振幅が大きくなるとエンジン
マウントの支持弾性体のバネ定数の比較的大きい変形領
域が使用され、車体側への振動入力も大きくなってしま
うのである。さらに、アイドル振動の周波数(レシプロ
4気筒エンジンであれば、アイドル回転数を750rp
mとすると、アイドル振動の周波数は25Hzとな
る。)の近傍に車体の曲げ共振が存在するため、曲げ共
振時の変位の大きい前側エンジンマウントからの振動入
力の感度は特に高くなる傾向がある。
【0008】このような理由から、通常のFF車にあっ
ては、ロール慣性主軸近傍の左右二位置のエンジンマウ
ントのバネ定数を高くして、これら二つのエンジンマウ
ントによって主としてパワープラントの荷重を支持する
一方、ロール慣性主軸から遠い前後二位置のエンジンマ
ウントのバネ定数を低くして、車体への入力振動を低減
するようにしているのである(例えば、社団法人自動車
技術会 1990年12月1日発行『自動車技術ハンド
ブック』<第1分冊>基礎・理論編 295頁左欄37
行目〜右欄1行目及び図7−116参照。)。
【0009】しかし、反力トルクが大きい加速時のパワ
ープラントの姿勢変化を抑制するためには、後側エンジ
ンマウントのバネ定数を極端に低くすることはできず、
ある程度のバネ定数が必要である。このため、アイドル
時でも後側エンジンマウントにトルク反力が掛かりやす
い場合(例えば、オートマチック車両の場合にシフト位
置がドライブ・レンジにある場合や、エアコンディショ
ナのスイッチがオンの場合)には、車体への入力が大き
くなってしまい、車体の振動を増大させてしまうのであ
る。つまり、FF4気筒車のアイドル振動性能向上に
は、従来のエンジンマウントの配置関係では自ずと限界
があるのである。
【0010】さらに、アイドル状態から走行状態に移行
した場合にも、後側エンジンマウントを介しての振動入
力により、不快なこもり音が発生してしまう。これは、
通常の後側エンジンマウントは、防振を目的としてセン
タメンバ,サブフレームを介して車体に弾性支持されて
いるが、操縦安定性,車両乗り心地を確保するためにサ
ブフレーム系の共振周波数が40〜60Hz近傍に存在
することが多く、そのため走行開始時のエンジン回転数
では、サブフレーム系による防振効果が発揮できないか
らである。
【0011】一方、パワープラントからの振動入力が上
述したようなトルク変動入力が支配的であり、且つサブ
フレーム系の防振領域となっているエンジン回転数(通
常は2000〜3500rpmよりも下側)では、比較
的良好なこもり音の低減性能を有している。しかし、そ
のようなエンジン回転数よりも上側のエンジン回転数領
域では、特にレシプロ4気筒エンジンでは、トルク変動
入力に代わって、エンジン回転2次成分からなる不平衡
慣性力(上下方向の力)が支配的となる。
【0012】そして、横置きタイプのエンジンに採用さ
れるエンジンマウントでは、エンジンの上下剛体振動に
より発生するエンジンシェイクを抑制するために、左右
二位置に配置されている主として分担荷重を持つ二つの
エンジンマウントのうちの少なくとも一方に、流体がオ
リフィスを通過する際に発生する減衰力を利用した流体
マウントを採用するのが一般的であるが、そのような流
体マウントは、オリフィスを通じての流体の往来が不可
能になるアイドル振動領域以上においてバネ定数が高く
なってしまい、不平衡慣性力により発生した上下振動が
そのエンジンマウントを介してほとんど減衰されること
なく車体に入力されてしまい、こもり音のレベルを増大
させているのである。
【0013】このような理由から、上記公報に開示され
たようなアクティブエンジンマウントを利用する従来の
パワープラント支持装置にあっては、FF車或いはFR
(フロントエンジン・リアドライブ)車に適用する場
合、振動入力の大きい左右二位置に配置される二つのエ
ンジンマウント又は右側に配置される一つのエンジンマ
ウントをアクティブエンジンマウントとして、こもり音
の低減を図っていたのである(例えば、“Isolation an
d conpensation of vibration by means of active pie
zo-ceramic mounts, Proceedings of the Internationa
l Symposium on Advanced Vehicle Control 1992,p23”
参照。)。
【0014】しかし、左右二位置のエンジンマウント
は、こもり音周波数領域以外の周波数の振動に対しては
高動バネ定数を示すことになるから、それら左右二位置
のエンジンマウントからの入力が支配的である加速時騒
音(エンジン回転数の4次以上の成分からなり、250
〜800Hzが主成分)が、高動バネ定数を示す左右二
位置のエンジンマウントを介して車体に入力される振動
によって発生してしまうから、やはり4気筒エンジン搭
載車両の振動・騒音性能についての課題は未解決のまま
であった。特にFF車においてそのようなエンジンマウ
ントの配置関係を採用すると、中〜高回転数領域ではこ
もり音の低減は可能であるが、アイドル振動から走行開
始にかけての振動・騒音特性は、アクティブエンジンマ
ウントを用いない場合と同程度の特性を確保するのが限
界である。
【0015】なお、全てのエンジンマウントをアクティ
ブエンジンマウントとするシステムも提案されている
(例えば、“International Symposium on Active Cont
rol ofSound and Vibration PROCEEDINGS,APRIL 9-11,1
991,p152,fig.11”参照。)が、荷重配分については何
等開示されていない。即ち、荷重配分に上述した従来の
考え方を踏襲して、左右二位置のエンジンマウントで主
として荷重を支持することとすると、アイドル振動〜高
回転こもり音は低減可能であるが、加速時騒音の低減は
できない。従って、全てのエンジンマウントをアクティ
ブエンジンマウントとすることによるコストの増大を考
えると、メリットは半減してしまう。
【0016】本発明は、このような従来の技術における
未解決の課題に着目してなされたものであって、アイド
ル振動から加速時騒音領域まで広範囲に渡って良好な防
振特性が得られるパワープラント支持装置を提供するこ
とを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、車体に対して横向きに搭載
される横置きエンジンを含むパワープラントを、複数の
エンジンマウントを介して車体に支持するパワープラン
ト支持装置において、前記パワープラントのロール慣性
主軸近傍であって前記車体に対して左右両側の二位置を
含む複数の位置に、前記エンジンマウントを配置すると
ともに、前記二位置以外に配置される他のエンジンマウ
ントのうちの少なくとも一つを、能動的な支持力を発生
可能なアクティブエンジンマウントとした。
【0018】一方、上記目的を達成するために、請求項
2に係る発明は、車体に対して横向きに搭載される横置
きエンジンを含むパワープラントを、複数のエンジンマ
ウントを介して車体に支持するパワープラント支持装置
において、前記パワープラントのロール慣性主軸近傍で
あって前記車体に対して左右両側の二位置と、前記パワ
ープラントの前記車体に対して左右方向略中央の前後両
側の二位置とを含む少なくとも四位置に、前記エンジン
マウントを配置するとともに、前記前後両側の二位置に
配置される二つのエンジンマウントのうちの少なくとも
一方を、能動的な支持力を発生可能なアクティブエンジ
ンマウントとした。
【0019】また、請求項3に係る発明は、上記請求項
2に係る発明において、前記前後両側の二位置に配置さ
れる二つのエンジンマウントを、前記ロール慣性主軸に
直交又は略直交する平面内に配置することとした。そし
て、請求項4に係る発明は、主として前記前後両側の二
位置に配置される二つのエンジンマウントによって前記
パワープラントの荷重を支持することとした。
【0020】さらに、請求項5に係る発明は、上記請求
項4に係る発明において、前記前後両側の二位置に配置
される二つのエンジンマウントを、車体に弾性支持され
たメンバ上に固定することとした。そして、請求項6に
係る発明は、上記請求項1乃至請求項5に係る発明にお
いて、前記左右両側の二位置に配置される二つのエンジ
ンマウントのバネ定数を、前記アクティブエンジンマウ
ントの非制御時のバネ定数よりも小さくした。
【0021】
【作用】能動的な支持力を発生するアクティブエンジン
マウントを、請求項1又は請求項2に係る発明のよう
に、ロール慣性主軸近傍となる車体に対して左右両側の
二位置以外の位置に配置すると、左右両側の二位置に配
置されるエンジンマウントを介して車体に伝達される振
動は、受動的に防振するしかないのに対し、それ以外の
位置(請求項2に係る発明であれば、前後両側の両方又
は一方)に配置されるアクティブエンジンマウントを介
して車体に伝達される振動は、能動的に打ち消すことが
可能になる。従って、そのアクティブエンジンマウント
を介して車体に入力されるこもり音振動は、そのアクテ
ィブエンジンマウントを適宜制御することにより低減さ
れる。
【0022】そして、請求項3に係る発明のように、前
後両側の二位置に配置される二つのエンジンマウントを
含む平面が、ロール慣性主軸に直交又は略直交していれ
ば、トルク反力に対する抑制力が効率よく発揮される。
従って、同じ抑制力を得ることを考えれば、それら二つ
のエンジンマウントのバネ定数は小さくて済むことにな
り、それだけ振動伝達率が低減することになる。
【0023】また、請求項4に係る発明のように、前後
両側の二位置に配置される二つのエンジンマウントが分
担荷重を持つこととすると、パワープラント側の振動
は、主にそれら二つのエンジンマウントを通じて車体側
に伝達されることになるが、それら二つのエンジンマウ
ントの少なくとも一方がアクティブエンジンマウントで
あるから、例えばこもり音振動を低減することができ
る。
【0024】なお、そのこもり音振動以外の振動は、ア
クティブエンジンマウントで低減されずに伝搬すること
になる。しかし、請求項5に係る発明のように、前後両
側の二つのエンジンマウントを、車体に弾性支持された
メンバ(センタメンバ,サブフレーム)上に固定すれ
ば、その二つのエンジンマウントで低減されずに伝搬し
た振動は、メンバ及び車体間において低減される。
【0025】つまり、この請求項5に係る発明であれ
ば、こもり音領域の振動はアクティブエンジンマウント
において低減され、加速時騒音領域の振動等はメンバに
おいて低減されるから、パワープラントから前後両側二
位置に配置されたエンジンマウントに入力される振動
は、広い周波数帯域に渡って低減され、車体に伝達する
振動は充分減衰されている。
【0026】また、パワープラントで発生した振動は、
アクティブエンジンマウントではない左右両側二位置に
配置されたエンジンマウントを通じても車体側に伝達す
ることになるが、その左右両側二位置に配置されたエン
ジンマウントは、特に請求項4に係る発明であれば分担
荷重が小さくて済む。そこで、請求項6に係る発明のよ
うに、バネ定数を低くすることができ、車体への入力は
振動振幅とバネ定数との乗算で決まるから、その左右両
側二位置に配置されたエンジンマウントを通じての車体
への入力は小さくて済む。
【0027】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は本発明の一実施例の全体構成を示す図で
あって、横置き式のエンジン30A及びトランスアクス
ル30Bを含むパワープラント30の支持構造を表す平
面図であり、図1上方を車両前方としている。
【0028】先ず、構成を説明すると、このパワープラ
ント30は、車体に対して前後二位置及び左右二位置の
計四位置に配置されたエンジンマウントを介して車体側
に支持されているが、前後二位置に配置された二つのエ
ンジンマウントは、能動的な支持力を発生可能なアクテ
ィブエンジンマウント1A,1Bであり、左右二位置に
配置された二つのエンジンマウントは、支持弾性体によ
る受動的な支持力のみを発生する通常のエンジンマウン
ト1C,1Dである。
【0029】ここで、横置き式のエンジン30Aを含む
パワープラント30には、その重量配分で決まる位置に
ロール慣性主軸TRが存在し、アイドル時には、そのロ
ール慣性主軸TRを中心としてパワープラント30にロ
ール振動が発生する。ただし、かかるロール振動は、エ
ンジン30Aからのトルク変動入力によって発生するも
のであるから、例えば図1に破線で示すように、ロール
慣性主軸TRは、車体に対して略左右方向に延びること
になる。
【0030】しかし、ロール慣性主軸TRの位置は上述
したようにクランク軸の向きだけではなく、パワープラ
ント30の重量配分からも決まってくる。例えば、本実
施例では、ロール慣性主軸TRは、左側が後方に右側が
前方にそれぞれずれていて、水平面内ではやや右上がり
に傾斜している。そこで、必然的にロール慣性主軸TR
に近い位置に配置される左右のエンジンマウント1C及
び1Dを、パワープラント30の前後方向中心からわざ
とずらして、そのロール慣性主軸TRにより近い位置に
配置されるようにしている。具体的には、左側のエンジ
ンマウント1Cはパワープラント30の前後方向中心よ
りもやや後方に配置し、右側のエンジンマウント1Dは
前後方向中心よりもやや前方に配置して、ロール慣性主
軸TRに近づけている。
【0031】これら受動的なエンジンマウント1C,1
Dの具体的な構造は図示しないが、基本的には、パワー
プラント30及び車体間に介在する支持弾性体によって
構成されている。例えば、外周面がブラケットを介して
車体側に固着される水平に支持された外筒と、その外筒
の内側に同軸に且つ両端部が外部に位置するように入り
込みその外部に位置する両端部がブラケットを介してパ
ワープラント30側に固着される内筒と、それら外筒の
内周面及び内筒の外周面間に例えば加硫接着等によって
固着された支持弾性体と、から構成することができる。
また、その支持弾性体内に主流体室を形成するととも
に、その主流体室と容積可変の副流体室とをオリフィス
を介して連通させ、それら主流体室及び副流体室内に油
等の流体を封入することにより、所謂流体封入式のエン
ジンマウントとしてもよい。
【0032】ただし、これらエンジンマウント1C及び
1Dの支持弾性体のバネ定数は、アクティブエンジンマ
ウント1A及び1Bの非制御時(能動的な支持力を発生
していない状態)におけるバネ定数よりも、小さな値と
している。一方、アクティブエンジンマウント1A及び
1Bは、パワープラント30の車体に対して左右方向略
中央の前後位置に配置されていて、パワープラント30
及びセンタメンバ35間に介在している。センタメンバ
35は、図示しないセンタメンバブッシュを介して、車
体又はサブフレームに弾性支持されている。なお、サブ
フレームは、サブフレームマウントを介して車体に弾性
支持されている。
【0033】これらアクティブエンジンマウント1A及
び1Bは、車両前後方向に対して平行に延びる軸線上に
配置されているため、ロール慣性主軸TRに対して略直
交する平面内に配置されていることになる。本実施例で
は、ロール慣性主軸TRが略左右方向に延びる軸である
ことから、アクティブエンジンマウント1A及び1Bを
結ぶ軸を、車両前後方向に対して平行としているが、例
えばロール慣性主軸TRがさらに傾斜しているような場
合には、それらアクティブエンジンマウント1A及び1
Bの位置を適宜左右方向にずらすことにより、アクティ
ブエンジンマウント1A及び1Bをロール慣性主軸TR
に対して略直交する平面内に配置されるようにすればよ
い。
【0034】そして、本実施例では、これらアクティブ
エンジンマウント1A,1B及びエンジンマウント1
C,1Dのうち、ロール慣性主軸TRから比較的遠い前
後二位置に配置される二つのアクティブエンジンマウン
ト1A,1Bによって、パワープラント30の荷重を主
として支持するようにしている。ここで、これらアクテ
ィブエンジンマウント1A及び1Bの具体的な構造は、
例えば図2に示すようになっている。なお、アクティブ
エンジンマウント1A及び1Bの構造は同一であるた
め、以下の説明は一方のアクティブエンジンマウント1
Aのみについて行い、他方のアクティブエンジンマウン
ト1Bについては省略する。
【0035】即ち、図2に示すように、このアクティブ
エンジンマウント1Aは、パワープラント30への取付
け用の取付けボルト2aを上部に一体に備え且つ内側が
空洞で下部が開口した取付部材2を有し、この取付部材
2の下部外面には内筒3の上端部がかしめ止めされてい
る。この内筒3の内側には、取付部材2及び内筒3の内
側の空間を上下に二分するように、それら取付部材2及
び内筒3のかしめ止め部分に挟み込まれてダイアフラム
4が配設されていて、このダイアフラム4によって二分
された空間のうち、ダイアフラム4の上側の空間は大気
圧に通じ、ダイアフラム4の下側の空間にはオリフィス
構成体5が配設されている。
【0036】一方、内筒3の外周面には、内周面及び外
周面の軸方向位置が内周側が高くなるように成形されて
いる円筒状の支持弾性体6の内周面が加硫接着されてい
て、その支持弾性体6の外周面は外筒7の内周面に加硫
接着されている。そして、外筒7の下端部は円筒形のア
クチュエータ保持部材8の上部にかしめ止めされてい
て、そのアクチュエータ保持部材8の下端面には、セン
タメンバ35側への取付け用の取付けボルト9aを下部
に一体に備えた円板状の取付部材9が固定されている。
【0037】また、アクチュエータ保持部材8の上端面
には、これと一体に外筒7の下端部にかしめ止めされた
円筒部材10が固定されていて、さらに、この円筒部材
10の内周面には、アクチュエータ保持部材8の上端面
との間に所定のクリアランスをもち且つ円筒形の弾性体
11により上下方向に変位可能に可動部材12が保持さ
れている。かかる可動部材12は、磁化可能な材料から
なり且つ上面が凹陥した円板状に成形されている。
【0038】そして、アクチュエータ保持部材8の内側
には、電磁コイル等を含んで構成され、外部から供給さ
れる制御信号に応じて可動部材12を上下方向に変位さ
せる電磁アクチュエータ13が配設されている。さら
に、本実施例では、支持弾性体6の下面及び可動部材1
2の上面によって画成された部分に主流体室15が形成
され、ダイアフラム4及びオリフィス構成体5によって
画成された部分に副流体室16が形成されていて、これ
ら主流体室15及び副流体室16間が、オリフィス構成
体5に形成されたオリフィス5aを介して連通してい
る。なお、これら主流体室15,副流体室16及びオリ
フィス5a内には油等の流体が封入されている。
【0039】オリフィス5aの流路形状等で決まる流体
マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェイク発
生時、つまり5〜15Hzでアクティブエンジンマウン
ト1Aが加振された際に高動バネ定数,高減衰力を示す
ように調整されている。そして、電磁アクチュエータ1
3はコントローラ20に接続されていて、かかるコント
ローラ20から供給される駆動信号yに応じて所定の電
磁力を発生するようになっている。
【0040】コントローラ20は、図示しないマイクロ
コンピュータ,必要なインタフェース回路,A/D変換
器,D/A変換器,アンプ等を含んで構成されていて、
オリフィス5aを通じて主流体室15及び副流体室16
間で流体が移動不可能な周波数帯域の振動であるアイド
ル振動・こもり音振動が入力されている場合には、その
振動と同じ周期の制御振動がアクティブエンジンマウン
ト1Aに発生して、取付部材9への振動の伝達力が
“0”となるように(より具体的には、パワープラント
30側の振動によってアクティブエンジンマウント1A
に入力される加振力が、電磁アクチュエータ13の電磁
力によって得られる制御力で相殺され、このアクティブ
エンジンマウント1Aが低動バネ定数,低減衰の特性と
なるように)、駆動信号yを生成し電磁アクチュエータ
13に供給するようになっている。
【0041】ここで、アイドル振動やこもり音振動は、
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分のエンジン振動がアクティブエンジンマウント1
Aを介してセンタメンバ35に伝達されることが主な原
因であるから、そのエンジン回転2次成分に同期して駆
動信号yを生成し出力すれば、振動伝達率の低減が可能
となる。そこで、本実施例では、エンジン30Aのクラ
ンク軸の回転に同期した(例えば、レシプロ4気筒エン
ジンの場合には、クランク軸が180度回転する度に一
つの)インパルス信号を生成し基準信号xとして出力す
るパルス信号生成器21を設けていて、その基準信号x
が、パワープラント30における振動の発生状態を表す
信号としてコントローラ20に供給されている。
【0042】一方、センタメンバ35には、アクティブ
エンジンマウント1Aの取り付け位置に近接して、セン
タメンバ35の振動状況を加速度の形で検出し残留振動
信号eとして出力する加速度センサ22が固定されてい
て、その残留振動信号eが、干渉後における振動を表す
信号としてコントローラ20に供給されている。そし
て、コントローラ20は、それら基準信号x及び残留振
動信号eに基づき、逐次更新形の適応アルゴリズムの一
つであるFiltered−X LMSアルゴリズム、
より具体的には、同期式Filtered−X LMS
アルゴリズムに従って駆動信号yを生成し出力するよう
になっている。
【0043】即ち、コントローラ20は、フィルタ係数
i (i=0,1,2,…,I−1:Iは適応ディジタ
ルフィルタのタップ数)可変の適応ディジタルフィルタ
Wを有していて、最新の基準信号xが入力された時点か
ら所定サンプリング・クロックの間隔で、その適応ディ
ジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を順番に駆動信号
yとして出力する一方、パワープラント30からアクテ
ィブエンジンマウント1Aを介してセンタメンバ35に
伝達される振動が低減するように、基準信号x及び残留
振動信号eに基づいて適応ディジタルフィルタWのフィ
ルタ係数Wi を適宜更新する処理を実行する。
【0044】適応ディジタルフィルタWの更新式は、F
iltered−X LMSアルゴリズムに従った下記
の(1)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)−αRT e(n) ……(1) ここで、(n)が付く項はサンプリング時刻nにおける
値であることを表し、また、αは収束係数と呼ばれる係
数であってフィルタ係数Wi の収束の速度やその安定性
に関与する係数である。RT は、理論的には、基準信号
xを、アクティブエンジンマウント1A及び加速度セン
サ22間の伝達関数Cをモデル化した伝達関数フィルタ
C^でフィルタ処理した値(リファレンス信号若しくは
Filtered-X信号)であるが、この実施例では同期式Fi
ltered−X LMSアルゴリズムを適用した結果
基準信号xがインパルス列であるため、伝達関数フィル
タC^のインパルス応答を基準信号xに同期して次々に
生成した場合のそれらインパルス応答波形のサンプリン
グ時刻nにおける和に一致する。
【0045】また、理論的には、適応ディジタルフィル
タWで基準信号xをフィルタ処理して駆動信号yを生成
することになり、フィルタ処理はディジタル演算では畳
み込み演算に該当するが、基準信号xがインパルス列で
あるので、上述したように最新の基準信号xが入力され
た時点から、所定サンプリング・クロックの間隔で適応
ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi を順番に駆
動信号yとして出力しても、フィルタ処理の結果を駆動
信号yとしたのと同じ結果になる。
【0046】次に、本実施例の作用を説明する。即ち、
パワープラント30の荷重は、主としてアクティブエン
ジンマウント1A及び1Bによって車体に支持されてい
るため、パワープラント30のロール慣性主軸TRを中
心としたロール振動は、主にそれらアクティブエンジン
マウント1A及び1Bを介して車体側に伝達することに
なる。
【0047】しかし、アクティブエンジンマウント1A
及び1Bは、特にエンジン回転2次成分に起因する振動
は能動的に打ち消すことができるため、アイドル振動・
こもり音振動は、それらアクティブエンジンマウント1
A及び1Bにおいて遮断されて、車体側には伝達しない
ことになる。ここで、アクティブエンジンマウント1A
及び1Bにおける振動の低減作用について、アクティブ
エンジンマウント1Aを例に具体的に説明する。なお、
アクティブエンジンマウント1Bについても同様の作用
であるため、これについての詳細な説明は省略する。
【0048】先ず、エンジンシェイク発生時には、オリ
フィス5aの流路形状等を適宜選定している結果、この
アクティブエンジンマウント1Aは高動バネ定数,高減
衰力の支持装置として機能するため、パワープラント3
0で発生したエンジンシェイクがアクティブエンジンマ
ウント1Aによって減衰され、センタメンバ35側の振
動レベルが低減される。なお、かかる場合には、特に可
動部材12を変位させる必要はない。
【0049】一方、オリフィス5a内の流体がスティッ
ク状態となり主流体室15及び副流体室16間での流体
の移動が不可能になるアイドル振動・こもり音振動が入
力された場合には、コントローラ20は、所定の演算処
理を実行し、電磁アクチュエータ13に駆動信号yを出
力し、アクティブエンジンマウント1Aに振動を低減し
得る能動的な制御力を発生させる。
【0050】これを、アイドル振動,こもり音振動入力
時にコントローラ20内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである図2に従って具体的に説明する。
先ず、そのステップ101において所定の初期設定が行
われた後に、ステップ102に移行し、伝達関数フィル
タC^に基づいてリファレンス信号RT が演算される。
なお、このステップ102では、一周期分のリファレン
ス信号RT がまとめて演算される。
【0051】そして、ステップ103に移行し、カウン
タiが零クリアされた後に、ステップ104に移行し
て、適応ディジタルフィルタWのi番目のフィルタ係数
i が駆動信号yとして出力される。ステップ104で
駆動信号yを出力したら、ステップ105に移行し、残
留振動信号eが読み込まれ、ステップ106でカウンタ
jが零クリアされ、次いでステップ107に移行し、適
応ディジタルフィルタWのj番目のフィルタ係数Wj
上記(1)式に従って更新される。
【0052】ステップ107における更新処理が完了し
たら、ステップ108に移行し、次の基準信号xが入力
されているか否かを判定し、ここで基準信号xが入力さ
れていないと判定された場合は、適応ディジタルフィル
タWの次のフィルタ係数の更新又は駆動信号yの出力処
理を実行すべく、ステップ109に移行する。ステップ
109では、カウンタjが、出力回数Ty (正確には、
カウンタjは0からスタートするため、出力回数Ty
ら1を減じた値)に達しているか否かを判定する。この
判定は、ステップ104で適応ディジタルフィルタWの
フィルタ係数Wi を駆動信号yとして出力した後に、適
応ディジタルフィルタWのフィルタ係数を、駆動信号y
として必要な数だけ更新したか否かを判断するためのも
のである。そこで、このステップ109の判定が「N
O」の場合には、ステップ110でカウンタjをインク
リメントした後に、ステップ107に戻って上述した処
理を繰り返し実行する。
【0053】しかし、ステップ109の判定が「YE
S」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数のうち、駆動信号yとして必要な数のフィルタ係数
の更新処理が完了したと判断できるから、ステップ11
1に移行し、ここでカウンタiをインクリメントした後
に、上記ステップ104の処理を実行してから所定のサ
ンプリング・クロックの間隔に対応する時間が経過する
まで待機し、サンプリング・クロックに対応する時間が
経過したら、上記ステップ104に戻って上述した処理
を繰り返し実行する。
【0054】しかし、ステップ108で基準信号xが入
力されたと判断された場合には、ステップ113に移行
し、カウンタi(正確には、カウンタiが0からスター
トするため、カウンタiに1を加えた値)を最新の出力
回数Ty として保存した後に、ステップ102に戻っ
て、上述した処理を繰り返し実行する。このような処理
を繰り返し実行する結果、基準信号x,駆動信号y及び
伝達関数フィルタC^の関係を表す図4に示すように、
コントローラ20からアクティブエンジンマウント1A
に対しては、基準信号xが入力された時点からサンプリ
ング・クロックの間隔で、適応ディジタルフィルタWの
フィルタ係数Wi が順番に駆動信号yとして供給される
が、適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数W
i は、同期式Filtered−X LMSアルゴリズ
ムに従った上記(1)によって逐次更新されるため、あ
る程度の時間が経過して適応ディジタルフィルタWの各
フィルタ係数Wi が最適値に収束した後は、駆動信号y
がアクティブエンジンマウント1Aに供給されることに
よって、パワープラント30からアクティブエンジンマ
ウント1Aを介してセンタメンバ35側に伝達されるア
イドル振動やこもり音振動が低減されるようになる。な
お、アクティブエンジンマウント1Aにおける制御力
は、電磁アクチュエータ13から発せられる電磁力によ
って可動部材12が振動し、その振動が主流体室15内
の流体及び支持弾性体6の拡張バネを介して内筒3及び
外筒7間の力として作用することにより得られるもので
ある。
【0055】次に、エンジン回転2次成分以外の振動
(主として、エンジン回転2次成分より高い周波数の加
速時騒音の原因となる振動)が入力された場合について
説明する。即ち、かかる振動入力も、分担荷重を持つア
クティブエンジンマウント1A及び1Bに伝達される
が、アクティブエンジンマウント1A及び1Bはエンジ
ン回転2次成分の振動は上述したような作用により能動
的に打ち消すことができても、それ以外の成分について
は能動的に打ち消すことができないため、その振動入力
は特に低減されることなく、センタメンバ35側に伝達
されてしまう。
【0056】しかし、センタメンバ35は、車体又はサ
ブフレームに弾性支持されており、そのサブフレームも
車体に弾性支持されているため、それら弾性支持部の特
性を適宜選定しておくことにより、センタメンバ35に
伝達された加速時騒音振動等を低減することができる。
また、中〜高回転領域のこもり音振動は、不平衡慣性力
によりエンジン回転2次成分の上下振動入力が支配的と
なり、かかる振動入力は、アクティブエンジンマウント
1A,1B,エンジンマウント1C,1Dの全てを通じ
て車体側に伝達しようとする。しかし、アクティブエン
ジンマウント1A及び1Bについては、上述したように
エンジン回転2次成分の振動は能動的に打ち消すことが
可能であるため、その上下振動入力は、それらアクティ
ブエンジンマウント1A,1Bにおいて充分低減可能で
ある。
【0057】つまり、パワープラント30のエンジンシ
ェイク及びエンジン回転2次成分の振動は、アクティブ
エンジンマウント1A,1Bによって低減され、加速時
騒音振動はセンタメンバ35及び車体間で低減されるか
ら、分担荷重を持つ前後二つのエンジンマウント1A,
1Bに入力されるほとんど全ての周波数帯域の振動を低
減することができるのである。
【0058】また、前後二つのアクティブエンジンマウ
ント1A及び1Bを、ロール慣性主軸TRに対して略直
交する平面内に配置しているため、トルク反力に対する
抑制力が効率よく発揮される。従って、同じ抑制力を得
ることを考えれば、それだけアクティブエンジンマウン
ト1A,1Bのバネ定数は小さくて済むことになり、そ
れだけ振動伝達率が低減することになる。
【0059】一方、エンジンマウント1C及び1Dにつ
いては、これらにロール慣性主軸TRを中心としたパワ
ープラント30のロール振動が入力されても、ロール慣
性主軸TRに近い位置に配置されているから振動入力の
振幅は小さくて済むし、バネ定数も低い値に設定されて
いるため、パワープラント30のロール振動に起因し
て、それらエンジンマウント1C及び1Dを介して車体
側に大振動が入力されることもない。また、上述したよ
うな中〜高回転領域のこもり音振動発生時に上下振動が
入力されても、それらエンジンマウント1C,1Dのバ
ネ定数を低い値としているため、そこで低減されて車体
への入力はほとんど問題とならない。なお、これらエン
ジンマウント1C及び1Dを上述したような流体封入式
のエンジンマウントとすれば、エンジンシェイク入力時
にこれらは高動バネ定数,高減衰力の支持装置として機
能するため、エンジンシェイクをそれらエンジンマウン
ト1C及び1Dによっても減衰することができるように
なる。
【0060】このように、本実施例の構成であれば、ア
イドル振動から加速時騒音領域まで広範囲に渡って良好
な防振特性を得ることができ、車室内において充分な静
粛性が得られるのである。なお、上記実施例では、前後
両側の二位置に配置されるエンジンマウントの両方をア
クティブエンジンマウント1A,1Bとしているが、一
方のみをアクティブエンジンマウントとしても、上記実
施例程ではないが、従来よりも良好な防振特性を得るこ
とができる。その場合、加速時にトルク反力の大きい車
体に対して後側をアクティブエンジンマウント1Bとす
ることが望ましい。
【0061】また、上記各実施例では、アクティブエン
ジンマウント1A,1Bを適応アルゴリズムとして同期
式Filtered−X LMSアルゴリズムに従って
制御することとしているが、適用可能な適応アルゴリズ
ムはこれに限定されるものではなく、例えば、通常のF
iltered−X LMSアルゴリズム等であっても
よい。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1又は請求
項2に係る発明によれば、ロール慣性主軸から比較的遠
い位置に配置されるエンジンマウントをアクティブエン
ジンマウントとしたため、アイドル振動から加速時騒音
領域まで広範囲に渡って良好な防振特性を得ることがで
き、車室内において充分な静粛性が得られるという効果
がある。
【0063】特に、請求項3に係る発明によれば、トル
ク反力に対する抑制力が効率よく発揮されるから、前後
二位置に配置されるエンジンマウントのバネ定数は小さ
くて済むことになり、それだけ振動伝達率が低減すると
いう効果が得られる。また、請求項4に係る発明であれ
ば、荷重分担を持つ二つのエンジンマウントの少なくと
も一方がアクティブエンジンマウントであるから、こも
り音振動を確実に低減することができる。
【0064】そして、請求項5に係る発明によれば、前
後二つのエンジンマウントで低減されずに伝搬した振動
を、メンバ及び車体間において低減することができるか
ら、特に良好な防振特性を得ることができる。さらに、
請求項6に係る発明によれば、ロール慣性主軸の比較的
近傍である左右両側二位置に配置されたエンジンマウン
トを通じての車体への入力は小さくて済むから、さらに
良好な防振特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の全体構成を示す平面図であ
る。
【図2】アクティブエンジンマウントの一例を示す断面
図である。
【図3】コントローラ内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである。
【図4】基準信号,駆動信号及び伝達関数フィルタの関
係を表す波形図である。
【符号の説明】
1A,1B アクティブエンジンマウント 1C,1D エンジンマウント 5a オリフィス 6 支持弾性体 15 主流体室 16 副流体室 20 コントローラ 21 パルス生成器 22 加速度センサ 30 パワープラント 30A エンジン 35 センタメンバ TR ロール慣性主軸

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に対して横向きに搭載される横置き
    エンジンを含むパワープラントを、複数のエンジンマウ
    ントを介して車体に支持するパワープラント支持装置に
    おいて、前記パワープラントのロール慣性主軸近傍であ
    って前記車体に対して左右両側の二位置を含む複数の位
    置に、前記エンジンマウントを配置するとともに、前記
    二位置以外に配置される他のエンジンマウントのうちの
    少なくとも一つを、能動的な支持力を発生可能なアクテ
    ィブエンジンマウントとしたことを特徴とするパワープ
    ラント支持装置。
  2. 【請求項2】 車体に対して横向きに搭載される横置き
    エンジンを含むパワープラントを、複数のエンジンマウ
    ントを介して車体に支持するパワープラント支持装置に
    おいて、前記パワープラントのロール慣性主軸近傍であ
    って前記車体に対して左右両側の二位置と、前記パワー
    プラントの前記車体に対して左右方向略中央の前後両側
    の二位置とを含む少なくとも四位置に、前記エンジンマ
    ウントを配置するとともに、前記前後両側の二位置に配
    置される二つのエンジンマウントのうちの少なくとも一
    方を、能動的な支持力を発生可能なアクティブエンジン
    マウントとしたことを特徴とするパワープラント支持装
    置。
  3. 【請求項3】 前記前後両側の二位置に配置される二つ
    のエンジンマウントを、前記ロール慣性主軸に直交又は
    略直交する平面内に配置する請求項2記載のパワープラ
    ント支持装置。
  4. 【請求項4】 主として前記前後両側の二位置に配置さ
    れる二つのエンジンマウントによって前記パワープラン
    トの荷重を支持する請求項2又は請求項3記載のパワー
    プラント支持装置。
  5. 【請求項5】 前記前後両側の二位置に配置される二つ
    のエンジンマウントを、車体に弾性支持されたメンバ上
    に固定する請求項4記載のパワープラント支持装置。
  6. 【請求項6】 前記左右両側の二位置に配置される二つ
    のエンジンマウントのバネ定数を、前記アクティブエン
    ジンマウントの非制御時のバネ定数よりも小さくした請
    求項1乃至請求項5のいずれかに記載のパワープラント
    支持装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008136325A1 (ja) * 2007-04-26 2008-11-13 Bridgestone Corporation 防振装置
JP2009255748A (ja) * 2008-04-16 2009-11-05 Bridgestone Corp エンジン制振システム

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