JPH072990B2 - 非晶質薄膜の製造方法 - Google Patents
非晶質薄膜の製造方法Info
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- JPH072990B2 JPH072990B2 JP3136315A JP13631591A JPH072990B2 JP H072990 B2 JPH072990 B2 JP H072990B2 JP 3136315 A JP3136315 A JP 3136315A JP 13631591 A JP13631591 A JP 13631591A JP H072990 B2 JPH072990 B2 JP H072990B2
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- Japan
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- thin film
- amorphous thin
- amorphous
- magnetic field
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスパッタ蒸着法により作
製した高い熱安定性を示すZr,Ti,Hf等の金属元素
を基とした本質的に遷移金属と半金属元素からなる合金
組成で磁歪が小さい非晶質薄膜に関するものである。さ
らに詳しくは回転磁場中でスパッタ蒸着することや、ス
パッタ蒸着膜を該薄膜のキュリー温度以上結晶化温度以
下で回転磁場中で熱処理することにより低保磁力・高初
期透磁率非晶質薄膜を提供するものである。
製した高い熱安定性を示すZr,Ti,Hf等の金属元素
を基とした本質的に遷移金属と半金属元素からなる合金
組成で磁歪が小さい非晶質薄膜に関するものである。さ
らに詳しくは回転磁場中でスパッタ蒸着することや、ス
パッタ蒸着膜を該薄膜のキュリー温度以上結晶化温度以
下で回転磁場中で熱処理することにより低保磁力・高初
期透磁率非晶質薄膜を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】ある種の金属あるいは合金をスパッタ蒸
着することにより、原子構造で長範囲規則度のない非晶
質構造を得ることができる。この方法により得られた従
来の非晶質薄膜は、主にB,C,Si等の半金属元素を
基とする金属−半金属系合金か、バブル磁性材料や光磁
気磁性材料に有用な希土類元素を基とする合金系よりな
っている。しかし、これらの非晶質合金系は機械的、磁
気的、電気的特性の劣化をもたらす熱安定性で未だ実用
上十分とはいえない。さらにB,C,Si等の半金属元
素を基とする金属−半金属系合金はスパッタ蒸着時に導
入される磁気異方性のため高い保磁力と低い透磁率を示
し実用上問題がある。
着することにより、原子構造で長範囲規則度のない非晶
質構造を得ることができる。この方法により得られた従
来の非晶質薄膜は、主にB,C,Si等の半金属元素を
基とする金属−半金属系合金か、バブル磁性材料や光磁
気磁性材料に有用な希土類元素を基とする合金系よりな
っている。しかし、これらの非晶質合金系は機械的、磁
気的、電気的特性の劣化をもたらす熱安定性で未だ実用
上十分とはいえない。さらにB,C,Si等の半金属元
素を基とする金属−半金属系合金はスパッタ蒸着時に導
入される磁気異方性のため高い保磁力と低い透磁率を示
し実用上問題がある。
【0003】
【発明の概要】本発明は、上述の問題点を解消するた
め、ガラス化元素として従来の非晶質合金系の構成元素
である半金属元素および希土類元素の少なくとも一部を
Ti,Zr,Hf,Y,Ge,Sb,Bi,Te等の金属元素
に置き換え、他は主として遷移金属元素を主成分とし、
必要に応じてP,B,C,Si,N等の元素を少量添加
することによって、スパッタ蒸着法による非晶質合金薄
膜の作製を容易にすると共に熱安定性の改善をはかった
ものである。さらに金属−半金属系合金では強磁性元素
Fe,Ni,Coで磁歪、飽和磁化の値を調整し、V,C
r,Mn,Nb,Mo,W,希土類を少量添加して結晶化温
度、硬度を向上させることにより磁歪が小さくて、しか
も熱安定性、耐摩耗性の改善をはかったものである。さ
らに、強磁性を示す非晶質薄膜においては、回転磁場中
でスパッタ蒸着するか、スパッタ蒸着によって非晶質磁
性薄膜を得た後、該膜をそのキュリー温度以上、結晶化
温度以下の温度で回転磁場中で熱処理することにより、
磁気異方性の小さい、低保磁力、高透磁率の磁性薄膜を
得られるようにしたものである。
め、ガラス化元素として従来の非晶質合金系の構成元素
である半金属元素および希土類元素の少なくとも一部を
Ti,Zr,Hf,Y,Ge,Sb,Bi,Te等の金属元素
に置き換え、他は主として遷移金属元素を主成分とし、
必要に応じてP,B,C,Si,N等の元素を少量添加
することによって、スパッタ蒸着法による非晶質合金薄
膜の作製を容易にすると共に熱安定性の改善をはかった
ものである。さらに金属−半金属系合金では強磁性元素
Fe,Ni,Coで磁歪、飽和磁化の値を調整し、V,C
r,Mn,Nb,Mo,W,希土類を少量添加して結晶化温
度、硬度を向上させることにより磁歪が小さくて、しか
も熱安定性、耐摩耗性の改善をはかったものである。さ
らに、強磁性を示す非晶質薄膜においては、回転磁場中
でスパッタ蒸着するか、スパッタ蒸着によって非晶質磁
性薄膜を得た後、該膜をそのキュリー温度以上、結晶化
温度以下の温度で回転磁場中で熱処理することにより、
磁気異方性の小さい、低保磁力、高透磁率の磁性薄膜を
得られるようにしたものである。
【0004】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。 <実施例1> 組成がCo85.5Mo5Zr9.5,Co82Mo8.5Zr9.5,Co
75.5Mo15Zr9.5になるように、直径50mmのコバルト
円板上にMo,Zrの小塊を均一に配置した複合ターゲッ
トを用いた。薄膜作製は、二極高周波スパッタ装置を用
い、約1〜5mTorrのアルゴン圧力下で、ターゲット
と基板の間隔を5〜10cmとして、厚さ数μm以下の非
晶質薄膜を作製した。得られた非晶質薄膜の結晶化温度
(四端子法電気抵抗測定により決定)は約500℃と高
く、100℃、100時間の熱処理後でも電気抵抗値は
ほとんど変わらず、高い熱安定性を示した。また、飽和
磁化はMo量が減少するとともに約60emu/gから10
0emu/gと変化し、高い値が得られることがわかっ
た。これらの膜の保磁力は約1〜5Oeであった。磁歪
が−8×10〜7(半導体歪ゲージを用いて測定)と低
い値を示すCo82Mo8.5Zr9.5非晶質薄膜を膜面内方向
に2kGの外部磁場を印加し、1200r.p.m.の回
転数で回転させながら、400℃で20分間熱処理する
と、保磁力80mOe、初透磁率(20kHz)約600
0の軟磁特性が得られた。
る。 <実施例1> 組成がCo85.5Mo5Zr9.5,Co82Mo8.5Zr9.5,Co
75.5Mo15Zr9.5になるように、直径50mmのコバルト
円板上にMo,Zrの小塊を均一に配置した複合ターゲッ
トを用いた。薄膜作製は、二極高周波スパッタ装置を用
い、約1〜5mTorrのアルゴン圧力下で、ターゲット
と基板の間隔を5〜10cmとして、厚さ数μm以下の非
晶質薄膜を作製した。得られた非晶質薄膜の結晶化温度
(四端子法電気抵抗測定により決定)は約500℃と高
く、100℃、100時間の熱処理後でも電気抵抗値は
ほとんど変わらず、高い熱安定性を示した。また、飽和
磁化はMo量が減少するとともに約60emu/gから10
0emu/gと変化し、高い値が得られることがわかっ
た。これらの膜の保磁力は約1〜5Oeであった。磁歪
が−8×10〜7(半導体歪ゲージを用いて測定)と低
い値を示すCo82Mo8.5Zr9.5非晶質薄膜を膜面内方向
に2kGの外部磁場を印加し、1200r.p.m.の回
転数で回転させながら、400℃で20分間熱処理する
と、保磁力80mOe、初透磁率(20kHz)約600
0の軟磁特性が得られた。
【0005】<実施例2> 組成がCo80Mo9Zr11の母合金をアーク溶解により作製
し、直径50mm,厚さ約1mmのターゲットを作製した。
このターゲットを用い、約3mTorrのAr圧力下で、基
板面に平行に50Oe以上の磁場を印加し、基板を回転
しながら、スパッタ蒸着することにより非晶質薄膜を作
製した。得られた非晶質薄膜の磁気特性は膜によってバ
ラツキはあるが、その保磁力は0.1Oe以下、初透磁率
(20kHz)は6100以上の実用に適した磁気特性
が得られた。このことは、この作製法により誘導磁気異
方性が小さくなったことを示すものと思われる。
し、直径50mm,厚さ約1mmのターゲットを作製した。
このターゲットを用い、約3mTorrのAr圧力下で、基
板面に平行に50Oe以上の磁場を印加し、基板を回転
しながら、スパッタ蒸着することにより非晶質薄膜を作
製した。得られた非晶質薄膜の磁気特性は膜によってバ
ラツキはあるが、その保磁力は0.1Oe以下、初透磁率
(20kHz)は6100以上の実用に適した磁気特性
が得られた。このことは、この作製法により誘導磁気異
方性が小さくなったことを示すものと思われる。
【0006】<実施例3> 合金組成が(Co0.96Fe0.04)77Mn2Si10B11の母合金
をアーク溶解により作製し、直径50mm,厚さ約1mmの
ターゲットを作製した。薄膜作製は、二極高周波スパッ
タ装置を用い、約1〜5mTorrのアルゴン圧力下で、
ターゲットと基板との間隔を5〜10cmとして厚さ数μ
m以下の非晶質薄膜を作製した。この非晶質薄膜の結晶
化温度は450℃、飽和磁化は100emu/g、保磁力
は約10Oeであった。得られた円板状(直径10mm)
非晶質薄膜を4kGの静磁場中で膜面が磁場の方向と平
行になるようにして720r.p.m.の回転数で回転さ
せながら、昇温、急冷速度が20℃/minになるように
して400℃で20分間の熱処理を行った。熱処理後の
この非晶質薄膜の保磁力は60mOeと低下し、20k
Hzで約8000という高い透磁率を得た。これらの軟
磁気特性の改善は磁気異方性の減少、内部応力の除去に
よるものと思われる。
をアーク溶解により作製し、直径50mm,厚さ約1mmの
ターゲットを作製した。薄膜作製は、二極高周波スパッ
タ装置を用い、約1〜5mTorrのアルゴン圧力下で、
ターゲットと基板との間隔を5〜10cmとして厚さ数μ
m以下の非晶質薄膜を作製した。この非晶質薄膜の結晶
化温度は450℃、飽和磁化は100emu/g、保磁力
は約10Oeであった。得られた円板状(直径10mm)
非晶質薄膜を4kGの静磁場中で膜面が磁場の方向と平
行になるようにして720r.p.m.の回転数で回転さ
せながら、昇温、急冷速度が20℃/minになるように
して400℃で20分間の熱処理を行った。熱処理後の
この非晶質薄膜の保磁力は60mOeと低下し、20k
Hzで約8000という高い透磁率を得た。これらの軟
磁気特性の改善は磁気異方性の減少、内部応力の除去に
よるものと思われる。
【0007】<実施例4> 合金組成が(Co0.96Fe0.04)77Mn2Si10B11の直径5
0mm,厚さ約1mmのターゲットを用い、約3mTorrの
アルゴン圧力下で基板面に平行に約100Oeの磁場を
印加し、基板を回転しながらスパッタ蒸着することによ
り上記組成の非晶質薄膜を作製した。得られた非晶質磁
性薄膜の保磁力は90mOeと低く、透磁率も1kHzで
7000という高い値が得られ、通常の作製法と比べて
顕著な差が認められた。
0mm,厚さ約1mmのターゲットを用い、約3mTorrの
アルゴン圧力下で基板面に平行に約100Oeの磁場を
印加し、基板を回転しながらスパッタ蒸着することによ
り上記組成の非晶質薄膜を作製した。得られた非晶質磁
性薄膜の保磁力は90mOeと低く、透磁率も1kHzで
7000という高い値が得られ、通常の作製法と比べて
顕著な差が認められた。
【0008】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の製造方法による非晶質薄膜は、高い熱安定性をもつと
ともに磁性薄膜においてはすぐれた磁気特性、すなわ
ち、低い保磁力と高い透磁率を示し、磁気コア材等の電
気音響変換素子材料、磁歪素子材料、インバー、エリン
バー材料等に有効に用いることができる。
の製造方法による非晶質薄膜は、高い熱安定性をもつと
ともに磁性薄膜においてはすぐれた磁気特性、すなわ
ち、低い保磁力と高い透磁率を示し、磁気コア材等の電
気音響変換素子材料、磁歪素子材料、インバー、エリン
バー材料等に有効に用いることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】基板上に、強磁性の非晶質薄膜を形成する
方法において、上記基板上に形成する非晶質薄膜に対し
て、相対的に回転する磁場を印加しながらスパッタ蒸着
法により成膜するか、もしくは上記基板上にスパッタ蒸
着法により非晶質薄膜を形成した後、相対的に回転する
磁場を印加しながら、上記薄膜のキュリー温度以上結晶
化温度以下の温度で熱処理することを特徴とする非晶質
薄膜の製造方法。 - 【請求項2】請求項1記載の非晶質薄膜の製造方法にお
いて、相対的に回転する磁場の印加方向が、非晶質薄膜
面に対してほぼ平行であることを特徴とする非晶質薄膜
の製造方法。 - 【請求項3】請求項1または請求項2記載の非晶質薄膜
の製造方法において、非晶質薄膜に印加する磁場の大き
さが10Oe以上であることを特徴とする非晶質薄膜の
製造方法。 - 【請求項4】請求項1、請求項2または請求項3のいず
れか1項に記載の非晶質薄膜の製造方法において、強磁
性の非晶質薄膜は、Fe,Ni,Co元素よりなる群から
選択された少なくとも1種の元素を主成分とする非晶質
合金からなることを特徴とする非晶質薄膜の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3136315A JPH072990B2 (ja) | 1991-06-07 | 1991-06-07 | 非晶質薄膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3136315A JPH072990B2 (ja) | 1991-06-07 | 1991-06-07 | 非晶質薄膜の製造方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP56125800A Division JPH06104870B2 (ja) | 1981-08-11 | 1981-08-11 | 非晶質薄膜の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04228568A JPH04228568A (ja) | 1992-08-18 |
JPH072990B2 true JPH072990B2 (ja) | 1995-01-18 |
Family
ID=15172339
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3136315A Expired - Lifetime JPH072990B2 (ja) | 1991-06-07 | 1991-06-07 | 非晶質薄膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH072990B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4907259B2 (ja) * | 2006-08-16 | 2012-03-28 | 山陽特殊製鋼株式会社 | Crを添加したFeCoB系ターゲット材 |
-
1991
- 1991-06-07 JP JP3136315A patent/JPH072990B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04228568A (ja) | 1992-08-18 |
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