JPH07295487A - 光再帰性反射塗膜及びその形成方法 - Google Patents

光再帰性反射塗膜及びその形成方法

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JPH07295487A
JPH07295487A JP8975294A JP8975294A JPH07295487A JP H07295487 A JPH07295487 A JP H07295487A JP 8975294 A JP8975294 A JP 8975294A JP 8975294 A JP8975294 A JP 8975294A JP H07295487 A JPH07295487 A JP H07295487A
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JP8975294A
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English (en)
Inventor
Naoyuki Takagi
尚幸 高木
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Aisin Chemical Co Ltd
Original Assignee
Aisin Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 埃や汚れ等が付着し難いように表面の平滑性
を向上し、また、光再帰反射性を高め、光輝性を向上す
る。 【構成】 基材1上に形成された金属箔状顔料5を含む
光輝性ベース層2と、光輝性ベース層2上に形成され、
粒径40〜100μmの光再帰性反射材6を含み、その
光再帰性反射材6が光輝性ベース層2に一部埋込まれた
光再帰性透明層3と、光再帰性透明層3上に形成された
平滑な表面を有する透明保護層4とを具備する。光再帰
性反射材6が光輝性ベース層2に一部埋込まれているの
で、外光を高効率で再帰反射することができる。この塗
膜構造は、光輝性ベース層2が乾燥硬化する前に光再帰
性反射材6を含む透明塗料を塗布することによって得る
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表示、装飾等として適用
される光再帰性反射塗膜及びその形成方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、透明な球状要素を使用して外
光を再帰反射させる光再帰性反射構造が知られている。
そして、この光再帰性反射構造は、交通表示や車両の反
射表示等として利用されている。
【0003】この光再帰性反射構造は、透明な球状要素
を反射基材に象眼する方法、或いは透明な球状要素の集
合体からなる成形物の片面に蒸着膜を形成する方法等の
手段で一般に形成されるが、塗装による方法によってこ
の光再帰性反射構造を形成することも知られている。
【0004】例えば、特開昭63−293585号公報
には、主に道路上の交通表示に適用される光再帰性反射
構造として、基材上に表示色層を形成した後、ガラスビ
ーズ等の透明微小球体を混合した透明塗料を塗装して、
光再帰性の反射塗膜を形成することが開示されている。
そして、同公報には、この光再帰性反射塗膜は、塗膜に
入射した光が表示色層によって反射されるので反射効率
が高いこと、また、ハケ塗り、ローラー塗装、スプレー
塗装の塗布手段によって、路面に限らずその他の構造物
や物品に適用でき、曲面等にも容易に光再帰性反射構造
を形成できること等も述べられている。
【0005】また、特開平1−273003号公報に
は、上記と同様に、ガラスビーズ等の光再帰性微細球を
透明塗料中に混合した光再帰性塗料が開示されている。
そして、同公報にも、この塗料によれば、塗布或いは印
刷するだけで簡単に光再帰性反射構造が得られること、
また、どのような対象物にも適用できること等が記載さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、外光を
再帰反射する光再帰性反射構造を形成する手段として、
ガラスビーズを混合した塗料を塗装する方法は、簡易で
あり、また、様々な対象物上に適用することができるた
め、非常に有利な方法である。
【0007】しかしながら、このようなガラスビーズを
混合した塗料によって形成された光再帰性反射塗膜は、
ガラスビーズが塗膜表面から突出して形成されるため
に、凹凸のある表面構造を形成する。このため、ガラス
ビーズ間の凹部には埃や油脂等が溜まり易く、しかも、
これらの埃や油脂等は一旦付着すると容易には除去され
ないために、汚れとなって残るものであった。
【0008】この点に関し、前述の特開昭63−293
585号公報には、ガラスビーズを含む塗膜表面に更に
透明保護層を形成することが開示されている。しかし、
ここでは、特に100μmを越える比較的大きなガラス
ビーズが使用されているために、透明保護層はガラスビ
ーズの表面を薄く被覆するだけで、凹凸のある表面構造
はそのまま維持されている。
【0009】また、この特開昭63−293585号公
報に開示の塗膜構造では、ガラスビーズと表示色層とが
離れているために、ガラスビーズを透過した光は分散す
る。このため、表示色層で反射されても分散して反射さ
れるために、必ずしも再帰反射効率がよいものではなか
った。
【0010】そこで、本発明は、表面の平滑性に優れ、
埃や汚れ等が付着し難いと共に、反射性、光輝性に優れ
た光再帰性反射塗膜及びその形成方法の提供を課題とす
るものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる発明の
光再帰性反射塗膜は、基材上に形成された金属箔状顔料
を含む光輝性ベース層と、光輝性ベース層上に形成さ
れ、粒径40〜100μmの光再帰性反射材を含み、そ
の光再帰性反射材が光輝性ベース層に一部埋込まれた光
再帰性透明層と、光再帰性透明層上に形成された平滑な
表面を有する透明保護層とを具備するものである。
【0012】請求項2にかかる発明の光再帰性反射塗膜
の形成方法は、基材上に金属箔状顔料を含む光輝性塗料
を塗布して光輝性ベース層を形成する工程と、光輝性ベ
ース層が乾燥硬化する前に、粒径40〜100μmの光
再帰性反射材を含む透明塗料を塗布して光再帰性透明層
を形成する工程と、光再帰性透明層上に透明塗料を塗布
して、平滑な表面を有する透明保護層を形成する工程と
を具備するものである。
【0013】請求項3にかかる発明の光再帰性反射塗膜
の形成方法は、請求項2における光再帰性反射材を含む
透明塗料に、粘性付与剤を添加したものである。
【0014】
【作用】請求項1においては、光再帰性反射材の粒径が
比較的小さい40〜100μmであると共に、この光再
帰性反射材を含む光再帰性透明層上に表面が平滑な透明
保護層が形成されているため、表面の平滑性が優れ、埃
や汚れ等が付着し難い。また、光再帰性反射材はその一
部が光輝性ベース層に埋込まれているので、光再帰性反
射材を透過した光は、光輝性ベース層の金属箔状顔料に
より直ちに反射されて再び光再帰性反射材に入射する。
このため、外光は高効率で再帰反射されるので、優れた
反射性、光輝性が得られる。
【0015】請求項2においては、粒径が40〜100
μmの比較的小さい光再帰性反射材を用いると共に、こ
の光再帰性反射材を含む光再帰性透明層上に透明塗料を
塗布して表面が平滑な透明保護層を形成したため、表面
の平滑性が優れ、埃や汚れ等が付着し難い。また、光輝
性ベース層が乾燥硬化する前に光再帰性反射材を含む透
明塗料を塗布しているので、光再帰性反射材の一部が光
輝性ベース層に埋込まれた状態で光再帰性透明層を形成
することができる。このため、上述の作用と同様に、優
れた反射性、光輝性が得られる。
【0016】請求項3においては、請求項2における光
再帰性反射材を含む透明塗料に粘性付与剤を添加してい
るので、塗布作業時における光再帰性反射材の沈降を防
止することができ、また、塗布後の塗膜において光再帰
性反射材のタレを防止することができる。このため、上
述の作用を有する光再帰性反射塗膜をより容易に形成す
ることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0018】図1は本発明の一実施例の光再帰性反射塗
膜の断面図である。
【0019】図1において、1は光再帰性反射塗膜が形
成される基材であり、金属、プラスチック、布帛等の任
意の材質からなるものであることができ、また、その形
態としても板状、シートまたはフィルム状、或いは3次
元曲面を有するもの等任意のものであることができる。
また、この基材1は、各種の製品であることができ、更
に、道路、標識等の建造物であることもできる。
【0020】そして、2はこの基材表面に形成された光
輝性ベース層、3はこの光輝性ベース層2上に形成され
た光再帰性透明層、4はこの光再帰性透明層を被覆して
形成された平滑な表面を有する透明保護層であり、光輝
性ベース層2には金属箔状顔料5が含まれる。また、光
再帰性透明層3には光再帰性反射材6が含まれ、この光
再帰性反射材6の一部は光輝性ベース層2に埋込まれて
いる。これらの光輝性ベース層2、光再帰性透明層3、
透明保護層4とその形成方法について、以下、更に詳細
に説明する。
【0021】〈光輝性ベース層〉光輝性ベース層2は金
属箔状顔料5を含む光輝性塗料を塗布することによって
形成される。ここで、金属箔状顔料5としては、アルミ
ニウム箔、ブロンズ箔、錫箔、金箔、銀箔、金属チタン
箔、ステンレススチール箔、ニッケルその他の合金箔等
を使用することができる。しかしこれらの中でも、最も
広く使用されているアルミニウム箔からなるメタリック
顔料が、安価でもあり好適である。そして、このアルミ
粉はリーフィングタイプのものでもよいが、好ましくは
ノンリーフィングタイプのものが使用される。なお、こ
れらの金属箔状顔料5の粒径は、一般に中心粒径で10
〜45μm程度が好ましく、更には25μm以上がより
好ましい。
【0022】この金属箔状顔料を含む光輝性塗料は、任
意の樹脂成分をビヒクルとすることができ、したがっ
て、常温乾燥硬化型の塗料であっても、また加熱乾燥硬
化型の塗料であってもよい。また、この塗料には他の着
色顔料等を添加することもできるが、金属箔状顔料とし
て着色されたものを使用すれば着色顔料の使用は不要と
なる。
【0023】このように金属箔状顔料を含む塗料を塗布
することによって、光輝性を有するベース層2を形成す
ることができる。なお、この光輝性ベース層2は基材1
の表面に直接形成することができるが、適宜のプライマ
ー層または下塗り、中塗り層、或いはシーラ層等を介し
て形成することもできる。また、塗料の塗布は、エアま
たはエアレススプレー塗装、ハケ塗り、ローラ塗り等の
任意の塗布手段によって行うことができ、また印刷等の
方法で行うこともできる。
【0024】〈光再帰性透明層〉光再帰性透明層3は、
光再帰性反射材6を含む透明塗料を光輝性ベース層2上
に塗布することによって形成される。ここで、この光再
帰性反射材6としてはガラスビーズ、マイクロプリズム
等を使用することができるが、その粒径は40〜100
μmであることが必要である。光再帰性反射材の粒径が
40μmよりも小さいと十分な光再帰性を有する塗膜を
形成することが困難であり、また、100μmよりも大
きいと平滑性に優れた光再帰性反射塗膜の形成が困難に
なる。そして、光再帰性反射材の粒径は45〜90μm
程度がより好ましく、更に最も好ましいのは50〜70
μmである。なお、光再帰性反射材としては、ガラスビ
ーズが安価でもあり好適であるが、特に光輝度を重視す
る場合は高屈折率タイプのものが好ましい。
【0025】この光再帰性反射材を含む塗料は透明であ
ることが必要であるが、透明顔料または染料を配合して
着色することができる。また、この塗料も任意の樹脂を
ビヒクル成分とすることができるが、好ましくは、塗膜
相互の密着性のためにも、光輝性ベース層2を形成する
光輝性塗料と同種のものが使用される。そして、この透
明塗料において、光再帰性反射材は、その粒径等に応じ
て任意の割合で配合できるが、一般には体積割合で30
〜50%程度が好ましい。
【0026】また、この光再帰性透明層3を形成する塗
料には、光再帰性反射材が比重が高く沈降性があるため
に、粘性付与剤を添加することが好ましい。これによっ
て、塗料にチクソ性を持たせ静置粘度を高くすることが
でき、スプレー塗装時に塗料中の光再帰性反射材がカッ
プ内で沈降することを防止できると共にスプレー塗装に
適した動的粘度を得ることができる。また、垂直面等に
塗布した場合に、光再帰性反射材がタレてその配列が不
均一になることを防止することもできる。
【0027】この粘性付与剤としては、編み目構造型の
ものを単独で、または顔料吸着型、水素結合型のものと
併用して使用することが好ましい。編み目構造型のもの
としては、脂肪酸アマイドワックス系、有機ジイソシア
ネートと1級モノアミンの反応生成物より得られる揺変
性付与剤、有機ひまし油系等の増粘、沈降防止、タレ止
め剤を使用することができる。また、顔料吸着型のもの
としては、酸化ポリエチレンワックス系等の沈降防止、
タレ止め剤を使用することができる。更に、水素結合型
としては有機ベントナイト粘土、有機モンモリロナイト
粘土系等の増粘、沈降防止、タレ止め剤を使用すること
ができる。そして、これらの粘性付与剤は一般に1〜1
0PHRの割合で、光再帰性反射材を除く塗料中に添加
することができる。
【0028】この塗料を塗布して光再帰性反射材6を含
む光再帰性透明層3を形成するに際して、その塗料の塗
布は、光輝性ベース層2が乾燥硬化する前になされるこ
とが必要である。これにより、光再帰性反射材6が光輝
性ベース層2に沈み込み、または光輝性ベース層2の金
属箔状顔料5が光再帰性透明層3にもどることによっ
て、光再帰性反射材6の下部が光輝性ベース層2に一部
埋込まれ、金属箔状顔料5によって包み込まれた状態
で、光再帰性透明層3が形成される。そして、この光再
帰性反射材6が光輝性ベース層2に埋込まれる割合は、
光再帰性反射材6の径の半分以下が好ましく、最も好ま
しいのは3分の1程度である。このために、光再帰性透
明層3を形成する透明塗料の塗布は、光輝性ベース層2
が指触乾燥した程度の時点、或いはその前に行うことが
望ましい。なおこの場合、光輝性ベース層2を形成する
光輝性塗料を塗布した後直ちにこの透明塗料を塗布する
と、両方の塗料が不均一に混ざり合ってしまうので好ま
しくない。
【0029】また、この光再帰性反射材6を含む透明塗
料の塗布は、最も効率的で、またあらゆる形状の基材に
塗布可能な、エアまたはエアレススプレー塗装によって
行うことが好ましい。そしてこの場合、光再帰性反射材
6が均一に配列された光再帰性透明層3が得られるよう
に、光再帰性反射材6の径に応じた塗布量或いは塗布膜
厚とされる。
【0030】〈透明保護層〉以上の光輝性ベース層2及
び光再帰性透明層3を形成した後に、透明塗料を塗布し
て透明保護層4を形成する。この透明塗料の塗布は、光
再帰性反射材6によって凹凸のある光再帰性透明層3を
完全に被覆して、平滑な表面が得られるに十分な膜厚で
なされる。ただし、余り厚い膜厚とすることは、光の透
過性を低下させるので好ましくない。そして、この透明
塗料も任意の樹脂をバインダとするものであることがで
きるが、光再帰性透明層3を形成する塗料と同種である
ことが好ましい。また、この透明塗料も、透明顔料また
は染料を用いて着色することができる。
【0031】そして、光再帰性透明層3を形成する透明
塗料と共に、この透明保護層4を形成する透明塗料は光
透過性が高く、また屈折率も1.0に近い樹脂をバイン
ダとすることが好ましい。このため、樹脂バインダとし
ては、アクリル系またはポリエステル系が耐候性にも優
れ好適である。また、これらの塗料には、その耐候性を
高めるために、紫外線吸収剤(UVA)を添加すること
が好ましい。紫外線吸収剤としては、2−(2´−ヒド
ロキシ−5´−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール
等のベンゾトリアゾール系化合物、2.4−ジヒドロキ
シベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、ジフェ
ニルアクリレート等のアクリレート系化合物、p−オク
チル−フェニルサリシレート等のサリシレート系化合
物、2−ヒドロキシ−ナフトフェノン、ニッケル−ビス
オクチルフェニルスルフィド等のその他の化合物が挙げ
られ、これらは1種または2種以上組合わせて使用する
ことができる。この紫外線吸収剤は単独で使用すること
もできるが、好ましくは、紫外線安定剤または酸化防止
剤(HALS)と合わせて使用することができる。そし
て、酸化防止剤としては、ビス(1.2.2.6.6−
ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダ
ードアミン系、フェノール系、スルフィド系の化合物を
挙げることができる。
【0032】なお、透明保護層4を形成する透明塗料の
塗布は、光輝性ベース層2と光再帰性透明層3とを予め
乾燥硬化した後においても行うことができるが、光再帰
性透明層3がある程度乾燥した後に行うこともできる。
したがって、これらの各層の形成用いる塗料が加熱硬化
型のものである場合、焼付乾燥はこの透明塗料を塗布し
た後に1回にまとめて行うことができる。
【0033】[実施例]次に、具体的な実施例を説明す
る。
【0034】〈塗料の配合〉図2に、前述の光輝性ベー
ス層2、光再帰性透明層3、及び透明保護層4をそれぞ
れ形成するのに使用した塗料の配合例(重量部)を示
す。なお、光再帰性透明層3を形成するガラスビーズ入
りの塗料は、粘性付与剤とガラスビーズの配合を変え
て、4種類作成した。
【0035】図2のように、これらの塗料は同じ樹脂を
バインダとしており、固形分50%のアクリル系樹脂
(アクリディック44−127 大日本インキ化学工業
(株)製)が使用されている。
【0036】粘性付与剤は、編み目構造型のDis69
00(ディスパロン6900−20X 楠本化成(株)
製)、顔料吸着型のDis4200(ディスパロン42
00−10 楠本化成(株)製)、水素結合型のベント
ン27(ベントン27 楠本化成(株)製)を使用し
た。そして、これらの粘性付与剤は光再帰性透明層を形
成する塗料において、配合量が変えられている。
【0037】UVA(紫外線吸収剤)としては、チヌビ
ン328(チバガイギー社製)、HALS(紫外線安定
剤)としては、チヌビン292(チバガイギー社製)を
使用した。また、硬化剤としてはブロックイソシアネー
ト(スミジュールN−75住友バイエルウレタン(株)
製)を、硬化触媒は有機スズ系触媒を使用した。
【0038】アルミニウム箔顔料であるアルミA(固形
分65%)には、ミラグロー1000(MG−1000
東洋アルミ(株)製)を使用した。
【0039】そして、ガラスビーズとしては粒径53〜
63μmのものを使用し、光再帰性透明層を形成する透
明塗料の配合例1,4では100重量部(PWC71,
4)、配合例2では150重量部(PWC78.9)、
配合例3では50重量部(PWC55.5)、それぞれ
配合した。
【0040】なお溶剤は、酢酸ブチル、メチルイソブチ
ルケトン(MIBK)、ブチルジグリコールアセテート
の混合溶剤を使用した。
【0041】〈光再帰性反射塗膜の形成〉図2の配合の
塗料を用いて、光再帰性反射塗膜を次のように形成し
た。
【0042】試験用パネルとして500×500mmの
鋼板を使用し、表面を脱脂した後、図2のアルミAを含
む光輝性ベース層用の塗料をスプレー塗装し(イワタC
UP11″)、乾燥膜厚25μmの光輝性ベース層を形
成した。塗布後5分間のフラシュオフを行い、ガラスビ
ーズを含む光再帰性透明層形成用の塗料をスプレー塗装
により3回塗りした(イワタCUP18″)。なお、こ
の時のスプレー塗装条件は後に示す。次いで、5分間の
フラッシュオフ後、透明保護層用の透明塗料を、乾燥膜
厚で25μmとなるようにスプレー塗装した(イワタC
UP13″)。そして、塗布後、7分のセッティングを
行い、80℃×30分の焼付乾燥を行った。この光再帰
性反射塗膜の形成は、図2の配合例1〜4の光再帰性透
明層形成用の塗料について、同じ方法、条件でそれぞれ
行った。
【0043】なお、ガラスビーズを含む光再帰性透明層
形成用塗料のスプレー塗装は、次の設定で行った。ブー
ス温湿度:23℃,70RH%。ガン種類:イワタ塗装
機ワイダー71−31G。ノズル口径:1.5mm。供
給方式:重力式(カップタイプ)。エア圧力:3.5k
g/cm2 。エアバルブ:全開。パターンバルブ:全開
より1回転戻し。吐出量バルブ:3回転開き。重ね巾:
1/3。ガンスピード:40cm/秒。ガン距離:20
0mm。
【0044】〈結果〉以上のようにして、テストパネル
に光再帰性反射塗膜を形成した。得られた光再帰性反射
塗膜は、いずれも高い光輝性を有し、また表面の平滑性
に優れたものであった。
【0045】特に、光輝度において、配合例1,2の光
再帰性透明層形成用塗料を用いたものでは100mの距
離でも優れた反射性を示した。これに対して、比較のた
めに、アルミ箔に配合例1の塗料による光再帰性透明層
と透明保護層とを上記と同一条件で直接形成したものを
作成したが、この場合は、50mでの距離での反射性は
十分であったが、100mの距離では反射性が不十分で
あった。また、同じく比較のために、配合例1の塗料を
用いて、光輝性ベース層を80℃×10分の焼付乾燥し
た他は上記と同じ条件で光再帰性反射塗膜を形成した
が、この場合も同様に、100mの距離での反射性が不
十分であった。したがってこの比較から、金属箔状顔料
を含む光輝性ベース層を形成し、また、この光輝性ベー
ス層が乾燥硬化しない前に光再帰性反射材を含む光再帰
性透明層を形成して、その光再帰性反射材が光輝性ベー
ス層に一部埋込まれるようにすることによって、光輝性
を向上できることが分かる。
【0046】ただし、光再帰性透明層形成用の塗料とし
てガラスビーズの配合の少ない配合例3の塗料を用いた
ものでは、50mの距離においても反射性が不十分な傾
向にあった。このため、この配合例3は、長い距離での
光輝性を得るためには、先の塗膜形成条件にあってはガ
ラスビーズの配合が不足することを示唆するものであっ
た。
【0047】また、粘性付与剤を添加していない配合例
4の場合には、ガラスビーズが約5分程度で沈降するた
めに、上記のカップタイプのスプレー塗装条件では塗装
中にガラスビーズの混入割合が変化すると共に、テスト
パネルを吊り下げた状態で塗装を行ったためにガラスビ
ーズのタレが一部見られるものであった。そして、この
配合例4の塗料を用いて形成された光再帰性反射塗膜
は、100mの距離においての反射性がやや不十分な傾
向を示した。したがって、この配合例4は、スプレー塗
装による塗布手段で光再帰性反射塗膜を形成する場合、
また、垂直または傾斜した表面に光再帰性反射塗膜を形
成する場合には、光再帰性反射材を含む塗料には粘性付
与剤を添加することが適切であることを教示するもので
あった。しかしこのことから、光再帰性反射塗膜を形成
する基材が3次元形状等の複雑な形状のものであって
も、粘性付与剤を用いることによって、光再帰性反射塗
膜をスプレー塗装によって容易に形成できることが分か
る。
【0048】なお、配合例1,2は上述のように優れた
光輝性を有するものであるが、本発明を実施する場合に
は、これらの例の塗料配合、塗装条件等に限定されるこ
となく、種々の態様が可能である。
【0049】
【発明の効果】以上のように、請求項1にかかる発明の
光再帰性反射塗膜は、基材上に形成された金属箔状顔料
を含む光輝性ベース層と、光輝性ベース層上に形成さ
れ、粒径40〜100μmの光再帰性反射材を含み、そ
の光再帰性反射材が光輝性ベース層に一部埋込まれた光
再帰性透明層と、光再帰性透明層上に形成された平滑な
表面を有する透明保護層とを具備するものである。
【0050】したがって、この光再帰性反射塗膜によれ
ば、光輝性ベース層の金属箔状顔料の反射性と、光再帰
性透明層の光再帰性反射材の再帰反射性とによって、高
い反射性、光輝性が得られる。しかも、光再帰性反射材
はその一部が光輝性ベース層に埋込まれているので、光
再帰性反射材を透過した光は、光輝性ベース層の金属箔
状顔料により直ちに反射されて再び光再帰性反射材に入
射する。このため、外光は高効率で再帰反射されるの
で、特に優れた反射性、光輝性が得られる。また、比較
的粒径の小さい光再帰性反射材を使用すると共に、平滑
な表面を有する透明保護層を備えているので、表面の平
滑性に優れ、埃や汚れ等が付着しにくく、また、埃や汚
れ等が付着しても容易に取り除くことができる。
【0051】また、請求項2にかかる発明の光再帰性反
射塗膜の形成方法は、基材上に金属箔状顔料を含む光輝
性塗料を塗布して光輝性ベース層を形成する工程と、光
輝性ベース層が乾燥硬化する前に、粒径40〜100μ
mの光再帰性反射材を含む透明塗料を塗布して光再帰性
透明層を形成する工程と、光再帰性透明層上に透明塗料
を塗布して、平滑な表面を有する透明保護層を形成する
工程とを具備するものである。
【0052】したがって、光輝性ベース層が乾燥硬化す
る前に光再帰性反射材を含む透明塗料を塗布しているの
で、光再帰性反射材の一部が光輝性ベース層に埋込まれ
た状態で光再帰性透明層を形成することができる。この
ため、上述の効果を有する光再帰性反射塗膜を容易に得
ることができる。そして、塗料の塗布によって光再帰性
反射塗膜を形成するものであるため、どのような基材に
対しても適用することができ、しかも簡易に行うことが
できる。
【0053】更に、請求項3にかかる発明の光再帰性反
射塗膜の形成方法は、請求項2における光再帰性反射材
を含む透明塗料に、粘性付与剤を添加したものである。
【0054】したがって、光再帰性反射材を含む透明塗
料に粘性付与剤を添加しているので、塗装作業中におけ
る光再帰性反射材の沈降を防止することができ、また、
塗布後の塗膜において光再帰性反射材のタレを防止する
ことができる。このため、上記の光再帰性反射塗膜の形
成をスプレー塗装等によってより良好に行うことがで
き、また、垂直または傾斜した表面に対しても良好に塗
布することができる。そのため、複雑な形状、或いは3
次元曲面を有する物品に対しても、光再帰性反射塗膜を
容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例の光再帰性反射塗膜を
示す断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例において使用した塗料の
配合を示す表図である。
【符号の説明】
1 基体 2 光輝性ベース層 3 光再帰性透明層 4 透明保護層 5 金属箔状顔料 6 光再帰性反射材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に形成された金属箔状顔料を含む
    光輝性ベース層と、 前記光輝性ベース層上に形成され、粒径40〜100μ
    mの光再帰性反射材を含み、前記光再帰性反射材が前記
    光輝性ベース層に一部埋込まれた光再帰性透明層と、前
    記光再帰性透明層上に形成された平滑な表面を有する透
    明保護層とを具備することを特徴とする光再帰性反射塗
    膜。
  2. 【請求項2】 基材上に金属箔状顔料を含む光輝性塗料
    を塗布して光輝性ベース層を形成する工程と、 前記光輝性ベース層が乾燥硬化する前に、粒径40〜1
    00μmの光再帰性反射材を含む透明塗料を塗布して光
    再帰性透明層を形成する工程と、 前記光再帰性透明層上に透明塗料を塗布して、平滑な表
    面を有する透明保護層を形成する工程とを具備すること
    を特徴とする光再帰性反射塗膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記光再帰性反射材を含む透明塗料に、
    粘性付与剤を添加したことを特徴とする請求項2記載の
    光再帰性反射塗膜の形成方法。
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