JP6586110B2 - 塗装フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
前記下地層上に塗装によって着色層を形成する着色層形成工程と、
前記下地層を消失させるとともに、前記着色層を焼き付ける焼付工程と、を有することを特徴とする塗装フィルムの製造方法。
前記下地層が、シクロヘキサノンを含む材料で構成されたものであり、
前記着色層が、メラミン樹脂塗料、エポキシ変性メラミン樹脂塗料またはフッ素樹脂塗料で構成されたものである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の塗装フィルムの製造方法。
図1に示す塗装フィルム1は、剥離シート2、粘着剤層3、基材4、下地層5、焼付塗装層である着色層6およびクリア層7がこの順で積層された構成となっている。すなわち、塗装フィルム1は、基材4の上面側に下地層5、着色層6およびクリア層7が積層され、基材4の下面側に粘着剤層3および剥離シート2が積層されている。このような塗装フィルム1は、特に、自動車のボディー(以下、単に「被着体」とも言う。)に貼り付けて用いられ、図2に示すように、自動車へ意匠性を付与するための装飾用フィルムとして用いたり、図3に示すように、自動車の傷を覆い隠す修復用フィルムとして用いたりすることができる。ただし、塗装フィルム1の用途や機能は、上述したものに限定されない。
剥離シート2は、粘着剤層3からの水分の蒸発や粘着剤層3への埃、塵等の付着を防止し、粘着剤層3の粘着性を維持するために用いられるシートである。そのため、剥離シート2は、塗装フィルム1を被着体に貼り付ける際(直前)に剥離される。
粘着剤層3は、塗装フィルム1を被着体に貼り付けるための層である。粘着剤層3を構成する粘着剤(粘着性組成物)としては、特に限定されず、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等いずれのものでもよいが、そのなかでもアクリル系粘着剤が特に好ましい。アクリル系粘着剤を用いることにより、耐候性に優れた粘着剤層3を得ることができる。
基材4は、下地層5、着色層6およびクリア層7を支持するためのシートである。このような基材4の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂のような樹脂材料が挙げられる。これらの中でも、基材4の構成材料としては、抗張力および曲面追従性が優れている観点から、ポリ塩化ビニル系樹脂が特に好ましい。特に、自動車のボディーは、複雑な曲面で構成されている。そのため、抗張力および曲面追従性に優れるポリ塩化ビニル系樹脂で基材4を構成することにより、被着体により貼着し易くなる。
下地層5は、基材4と着色層6との密着性を向上させる機能を有している。このような下地層5の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、エチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、オルト−ジクロルベンゼン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸ノルマル−ブチル、酢酸ノルマル−プロピル、酢酸ノルマル−ペンチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン(別名アノン)、1,4−ジオキサン、ジクロルメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、スチレン、テトラクロルエチレン、テトラヒドロフラン、1,1,1−トリクロルエタン、トルエン、ノルマルヘキサン、1−ブタノール、2−ブタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン等の各種溶剤が挙げられる。これらの中でも、特に、シクロヘキサノンおよびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)が好ましく、さらに、シクロヘキサノンが好ましい。これにより、基材4および着色層6の密着性がより向上する。
着色層6は、塗装フィルム1に装飾性を付与するための層である。このような着色層6は、後述する製造方法でも説明するように、焼付塗装により形成された焼付塗装層である。このように、着色層6を焼付塗装により形成することで、抗張力および曲面追従性に優れ、さらには、高い美感、質感を有する着色層6となる。
クリア層7は、着色層6を保護するための層である。このようなクリア層7の構成材料としては、特に限定されず、例えば、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系、フッ素系樹脂等を用いることができる。
次に、上述した塗装フィルム1の製造方法について説明する。図4に示すように、塗装フィルム1の製造方法は、フィルム状の基材4の一方の面上に下地層5を形成する下地層形成工程と、下地層5上に塗装によって着色層6を形成する着色層形成工程と、着色層6上にクリア層7を形成するクリア層形成工程と、着色層6およびクリア層7を焼き付ける焼付工程と、を有している。
まず、図5に示すように、所定の大きさにカットされた基材4を準備する。なお、基材4の下面(他方の面)上には、事前に、粘着剤層3および剥離シート2が積層されている。このように、事前に、基材4に粘着剤層3および剥離シート2を形成しておくことで、例えば、本工程よりも後に、基材4に粘着剤層3および剥離シート2を形成する場合と比較して、塗装フィルム1の製造が容易となる。
次に、図7に示すように、下地層5が乾かないうちに、下地層5上に着色層6を形成する。すなわち、未乾燥である下地層5上に着色層6を形成する。着色層6の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、下地層5上に塗料を噴霧する(吹き付ける)ことで形成することが好ましい。これにより、均質で薄い着色層6を容易に形成することができる。また、自動車のボディー塗装も塗料を噴霧することで形成されるため、自動車のボディー塗装と同じ方法で着色層6を形成することで、自動車のボディー塗装と実質的に同じ質感の塗装フィルム1を製造することができる。
次に、図8に示すように、着色層6上にクリア層7を形成する。着色層6の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、下地層5上に塗料を噴霧する(吹き付ける)ことで形成することが好ましい。これにより、均質で薄いクリア層7を容易に形成することができる。
次に、前述までの工程で得られたものを、加熱し、着色層6を焼き付ける。これにより、塗膜に重合反応が生じ、緻密で強度の高い着色層6が得られる。なお、加熱条件としては、特に限定されず、着色層6の種類や膜厚によっても異なるが、例えば、100℃〜130℃で、20分〜50分程度とすることができる。なお、下地層5は、本工程において、揮発等によって消失するが、その一部が残存していてもよい。
まず、粘着剤層および剥離層が積層された基材を準備し、この基材を10cm×30cmの大きさにカットした。基材の厚さは50μmであり、粘着剤層の厚さは、25μmであった。次に、基材の上面(粘着剤層3と反対側の面)にシクロヘキサノン(商品名「アノン」:山一化学工業株式会社製)を塗布し下地層を形成した。下地層の厚さは、60μmであった。次に、下地層が乾かないうちに、下地層上に塗料を噴霧して着色層6を形成した。着色層6の厚さは、80μmであった。次に、着色層上にクリア剤を噴霧してクリア層を形成した。クリア層の厚さは、50μmであった。次に、基材を110°で40分加熱し、着色層6を焼き付けた。以上により、塗装フィルムを製造した。
下地層の材料をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)とした以外は、前述した実施例1と同様の方法で塗装フィルムを製造した。
1.密着性
各実施例1、2の塗装フィルムについて、塗装面に対する密着性を試験した。なお、この試験は、塗装面に各実施例の塗装フィルムを貼着し、さらに、塗装フィルムにカッターで2mm×2mmの碁盤目を100マス形成し、そこにJIS Z1522に準拠したセロハンテープを貼着し、セロハンテープを勢いよく引き剥がすことで行った。判断基準は、100マス全てに剥離がない場合を「〇」とし、1マスでも剥離がある場合を「×」とした。
各実施例1、2の塗装フィルムについて、耐食性を試験した。なお、この試験は、塗装面に各実施例の塗装フィルムを貼着し、さらに、塗装フィルムに塗装面まで達するスクラッチマーク(切り込み)を入れ、JIS Z2371に準拠した塩水噴霧中に500時間放置する。その後、水洗いし、標準状態で1時間放置した後、スクラッチマーク部分にJIS Z1522に準拠したセロハンテープを貼着し、30秒後にセロハンテープを勢いよく引き剥がすことで行った。判断基準は、塗装フィルムに膨れ、割れ、剥がれ等の異常がない場合を「〇」とし、異常がある場合を「×」とした。
各実施例1、2の塗装フィルムについて、耐熱性を試験した。なお、この試験は、塗装面に各実施例の塗装フィルムを貼着し、80±2℃中に168時間放置する。その後、標準状態で24時間放置することで行った。判断基準は、塗装フィルムに外観上の劣化(目視)、剥がれ等の異常がない場合を「〇」とし、異常がある場合を「×」とした。
各実施例1、2の塗装フィルムについて、耐水性を試験した。なお、この試験は、塗装面に各実施例の塗装フィルムを貼着し、23±2℃の水に168時間浸漬する。そして水中から取り出した後、標準状態で24時間放置することで行った。判断基準は、塗装フィルムに膨潤、収縮、溶解、変退色、剥がれ等の異常がない場合を「〇」とし、異常がある場合を「×」とした。
各実施例1、2の塗装フィルムについて、耐溶剤性を試験した。なお、この試験は、塗装面に各実施例の塗装フィルムを貼着し、MEK(メチルエチルケトン)を含ませたガーゼで表面を強く擦る(10往復)ことで行った。判断基準は、塗装フィルムに膨潤、収縮、溶解、変退色、剥がれ等の異常がない場合を「〇」とし、異常がある場合を「×」とした。
各実施例1、2の塗装フィルムについて、耐溶剤性を試験した。なお、この試験は、塗装面に各実施例の塗装フィルムを貼着し、これをJIS L0849に準拠する摩擦試験機II形にセットする。そして、摩擦子の摩擦面に摩擦用白綿布(JIS L0803染色堅ろう度試験用添付白布の綿(3号))を2枚重ねて取り付ける。そして、下記表1の条件にて摩擦を繰り返す。判断基準は、汚染用グレースケール4等級以上であれば「〇」とし、3等級以下であれば「×」とした。
上記各試験の試験結果を下記の表2に示す。表2から分かるように、実施例1、2のいずれも各試験において優れた特性を発揮している。なお、この他にも、実施例1、2について、自動車のボディーに貼着することを特に考慮して、耐ワックス性、耐燃料油性(耐ガソリン性)、耐ウィンドウォッシャー液性、耐高圧洗車機性等の試験を行ったが、いずれの試験においても、高い特性が得られることを確認している。
2 剥離シート
3 粘着剤層
4 基材
5 下地層
6 着色層
7 クリア層
Claims (6)
- フィルム状の基材の一方の面上に、溶剤からなる下地層を形成する下地層形成工程と、
前記下地層上に塗装によって着色層を形成する着色層形成工程と、
前記下地層を消失させるとともに、前記着色層を焼き付ける焼付工程と、を有することを特徴とする塗装フィルムの製造方法。 - 前記着色層形成工程の後に、前記着色層上にクリア層を形成するクリア層形成工程を有する請求項1に記載の塗装フィルムの製造方法。
- 前記着色層形成工程では、前記下地層上に塗料を噴霧して前記着色層を形成する請求項1または2に記載の塗装フィルムの製造方法。
- 前記下地層は、シクロヘキサノンを含んでいる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の塗装フィルムの製造方法。
- 前記基材の他方の面上には粘着剤層が形成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の塗装フィルムの製造方法。
- 前記基材が、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む材料で構成されたものであり、
前記下地層が、シクロヘキサノンを含む材料で構成されたものであり、
前記着色層が、メラミン樹脂塗料、エポキシ変性メラミン樹脂塗料またはフッ素樹脂塗料で構成されたものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の塗装フィルムの製造方法。
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