JP2004141710A - 複層塗膜形成方法およびその塗膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被塗物に、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするプライマー(A)塗膜層、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmである微小金属箔を配合してなるベースコート(B)塗膜層、およびクリヤーコート(C)塗膜層の3層を順次塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法。
【効果】本発明の複層塗膜形成方法によれば、耐チッピング性が優れ、且つ鏡面状の金属光沢を有する塗膜外観を、安定的に形成することができる。
【選択図】なし
【効果】本発明の複層塗膜形成方法によれば、耐チッピング性が優れ、且つ鏡面状の金属光沢を有する塗膜外観を、安定的に形成することができる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属調光沢を有し、且つ耐チッピング性の優れた複層塗膜の形成方法およびその塗装物に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平11−80620号公報
【特許文献2】特開平9−168765号公報
鋼材、樹脂等の材料に金属調の外観を得る方法としてメッキ、蒸着等による金属被覆が行われ、均一な鏡面状の金属光沢を有する金属調の外観を得ることができるが、高コストである。このため塗装により金属調の外観を得るための塗料組成物が検討されている。従来の金属調塗料組成物としては、アルミニウムフレーク顔料と塗膜形成樹脂を配合したメタリック塗料がある。しかしこのような塗料組成物から得られる金属調の塗膜は粒子感(ツブツブ感)があって、アルミニウムフレークの粒子が観察され、肌荒れした艶消状の金属調外観しか得られず、メッキや蒸着で得られる均一な鏡面状の金属光沢を有する外観を得ることが困難である。
【0003】
このようなメタリック塗料の欠点を解決するために、
【特許文献1】では、従来のアルミニウムフレークに代えて微小金属箔を用いることが試みられている。この微小金属箔は蒸着膜を微小箔片に粉砕したものであり、これを塗料中に分散させて被塗物に塗装して配向させることにより、均一な鏡面状の金属調外観を得ようとしている。
しかしながらこれらの微少金属箔を用いた塗膜は密着性が弱く、従来の塗装系では密着性、特に石跳ね等に起因して塗膜の剥離を起こしやすい、すなわち耐チッピング性に劣るという欠点をもっていた。
【0004】
また、
【特許文献2】では、塗膜に耐チッピング性を付与し、仕上がり性に優れた複合塗膜を得る方法としては、電着塗料を塗装し加熱硬化した後、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするプライマ−(A)、中塗塗料(B)、メタリック塗料(C)及びクリヤ−塗料(D)をウェットオンウェットで順次塗装し、次いで加熱して該塗料(A)、(B)、(C)及び(D)の塗膜を同時に架橋硬化させる方法が試みられている。この方法でも、プライマ−(A)を中塗塗料(B)の下に塗装することで、クッションとなる緩衝効果が十分ではなく、耐チッピング性が不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、耐チッピング性に優れ、かつ、鏡面状の金属光沢を有する金属調の外観を得ることができる塗膜を安定的に形成できる塗膜形成方法およびその塗膜を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究の結果、特定の組成を有するプライマー(A)の上に直接、特定の微小金属箔を配合してなるベースコート(B)を塗装することにより、プライマー(A)のクッションとなる緩衝効果が向上し、耐チッピング性に優れ、かつ、鏡面状の金属光沢を有する金属調の外観を有する塗膜を形成することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、被塗物に、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするプライマー(A)、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmである微小金属箔を配合してなるベースコート(B)、およびクリヤーコート(C)の3層を順次塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法である。この複層塗膜形成方法において、被塗物に、プライマー(A)、ベースコート(B)およびクリヤーコート(C)の全ての塗膜層をウエット・オン・ウエット方式にて順次塗装する3コート1ベークを用いることができる。または、プライマー(A)を塗装後加熱し、ついでベースコート(B)およびクリヤーコート(C)を順次塗装するか、あるいは、プライマー(A)、ベースコート(B)を順次塗装後加熱し、ついでクリヤーコート(C)を塗装する3コート2ベークを用いてもよい。さらには、被塗物に、プライマー(A)を塗装後加熱し、ついでベースコート(B)を塗装後加熱した後、クリヤーコート(C)を塗装する3コート3ベークを用いてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において塗膜形成の対象となる被塗物(基材)としては、鉄、アルミニウム、銅もしくはこれらの合金を含む金属類、ガラス、コンクリート等の無機材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリアクリル、ポリエステル、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等の樹脂成形品および各種FRPなどのプラスチック材料、木材、紙などが挙げられる。
これら被塗物に、直接本発明のプライマー(A)、ベースコート塗料(B)およびクリヤーコート塗料(C)を塗装してもよく、また上記基材に予め化成処理や電着塗料、中塗塗料等を塗装したものを、被塗物としてもよい。
【0008】
本発明に用いられるプライマー(A)は、ポリオレフィン系樹脂を塗膜形成の主成分とするチッピングプライマーである。
プライマー(A)に使用される塗膜形成樹脂としては、オレフィン系単量体および/またはジエン系単量体を必須単量体成分とする重合体である。具体的にはプロピレン−エチレン共重合体、塩素化ポリプロピレン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体など、およびこれらのものとマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの酸基含有重合性不飽和単量体とを重合させてなる酸基含有重合体などが挙げられ、これらを1種単独であるいは2種以上組み合わせて非架橋のラッカータイプとすることも、また例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物等の架橋剤と組み合わせて1液型または2液型の架橋硬化型塗料として使用することもできる。
【0009】
本発明に用いられるプライマー(A)は、必要に応じてアルミ顔料、雲母、板状酸化鉄等の鱗片状粒子顔料、着色顔料、体質顔料およびその他添加剤などを配合することができる。プライマー(A)の塗料組成物は、水または有機溶剤に分散ないし溶解して使用する。有機溶剤としては、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤等が使用できる。
【0010】
本発明に用いられるベースコート(B)は、微小金属箔および塗膜形成樹脂を含んで構成される。微小金属箔は、厚さ0.08μm以下、好ましくは0.02〜0.06μmで、かつ平均粒径が5〜40μm、好ましくは5〜20μmである。微小金属箔は、蒸着(真空蒸着を含む)法、無電解めっき法およびスパッター法等により製造されたものが挙げられる。市販品としては、例えばMetalure(ECKART−WERKE社製、商標、微小アルミニウム箔の厚さ0.01〜0.08μm、平均粒径6〜16μm)、Metasheen(WOLSTENHOLME INTERNATIONAL LTD社製、商標、微小金属箔の厚さ0.01〜0.08μm、平均粒径8〜20μm)等が挙げられる。微小金属箔の素材としては、Al、Mg、Cu、Au、Ag等が例示され、特に制限されない。
本発明に用いられるベースコート(B)の塗膜形成樹脂としては、通常塗料用として使用されている樹脂を制限なく使用できる。例えばアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、繊維素系樹脂等を1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて非架橋のラッカータイプとすることも、また例えば、イソシアネート化合物、メラミン樹脂等の架橋剤と組み合わせて、1液型または2液型の架橋硬化型塗料として使用することもできる。
【0011】
微小金属箔と塗膜形成樹脂の質量比率は、1対0.3〜1対40、好ましくは1対1〜1対20である。微小金属箔に対する塗膜形成樹脂の配合率が1対0.3よりも低い場合、微少金属箔の高い凝集力により塗装塗膜のひび割れを生じやすくなる。また、1対40を越えて配合した場合、微小金属箔の配向性が充分でなく、鏡面状の金属光沢を有する外観を得ることが難しくなる。
【0012】
本発明におけるベースコート(B)には、必要に応じてその他の顔料、各種添加剤などを配合することができる。顔料としては従来から塗料用に常用されているものが用いられ、例えば有機系としてはアゾレーキ系顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料等を挙げることができ、無機系としては黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等が挙げられる。また添加剤としてはベンゾトリアゾール、蓚酸アニリド系等の紫外線吸収剤、ベンゾフェノール系等の酸化防止剤、シリコーン系等のレベリング剤、ワックス、有機ベントナイト等の粘性制御剤、硬化触媒等が挙げられる。
【0013】
本発明で用いられるクリヤーコート(C)は特に限定されず、従来から熱硬化性塗料組成物として使用されている塗膜形成樹脂が制限なく使用できる。代表的な熱硬化性塗膜形成成分としては、塗膜形成樹脂としての主体樹脂、硬化剤としての架橋剤がある。上記主体樹脂は特に制限されず、従来から熱硬化性塗料組成物の塗膜形成樹脂として使用されている樹脂が制限なく使用できる。具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。これらの主体樹脂中に含まれる架橋に関与する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、酸無水基、エポキシ基、シラン基などが挙げられる。前記架橋剤も特に制限されず、従来から熱硬性塗料組成物の架橋剤として使用されているものが制限なく使用できる。架橋剤の具体例としては、メラミン樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0014】
本発明のクリヤーコート(C)は、必要に応じて他の成分を配合することができる。このような他の成分としては、従来から塗料に使用されている添加剤が制限なく使用できる。具体的には、アクリル樹脂系、シリコーン樹脂系等の消泡剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、消光剤、酸化防止剤、硬化触媒などが挙げられる。
クリヤーコート(C)の塗料組成物は、水または有機溶剤に分散ないし溶解して使用することができる。有機溶剤としては、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤等が使用できる。
【0015】
本発明に用いられる塗料の塗装は、霧化式塗装機を用い、エアースプレー方式、静電方式等の従来から公知の塗装方法により行うことができる。本発明の複層塗膜形成方法においては、上記プライマー(A)、ベースコート(B)およびクリヤーコート(C)の3層を順次塗装することにより複層塗膜を形成する。
この場合、上記の塗膜形成方法において、被塗物に、プライマー(A)、ベースコート(B)およびクリヤーコート(C)をウエット・オン・ウエット方式にて順次塗装してもよく、被塗物に、プライマー(A)を塗装後加熱し、ついでベースコート(B)およびクリヤーコート(C)を順次塗装してもよく、被塗物に、プライマー(A)、ベースコート(B)を順次塗装後加熱し、ついでクリヤーコート(C)を塗装してもよく、また被塗物に、プライマー(A)を塗装後加熱し、ついでベースコート(B)を塗装後加熱した後、クリヤーコート(C)を塗装してもよい。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。しかし、本発明の範囲はこれらの例になんら限定されるものではない。なお各例中、特に断らない限り、部は質量部、%は質量%を表す。
【0017】
製造例1 ベースコート塗料(B−1)の調製
微小金属箔として、Metalure(ECKART−WERKE社製、加熱残分10%、微小アルミニウム箔の厚さ0.01〜0.08μm、平均粒径6〜16μm)30.0部を酢酸イソブチル24.3部にて分散し、アクリル樹脂ワニス(水酸基価70、酸価7、数平均分子量35000、加熱残分60%)23.2部、メチル・ブチル混合エーテル化メラミン樹脂ワニス(加熱残分60%)12.5部、セルロースエステル系樹脂(CAB381−0.5;イーストマンケミカルズ社製)を酢酸イソブチルに溶解し、加熱残分20%とした溶液10.0部を加えて攪拌、調整した。
【0018】
製造例2 ベースコート塗料(B−2)の調製
ノンリーフィング型アルミニウムフレークSap FM4010(昭和アルミパウダー(株)社製、加熱残分65%、厚さ0.15〜0.25μm、平均粒径9〜14μm)4.6部を酢酸イソブチル10.0部にて分散し、製造例1で用いたアクリル樹脂ワニス23.2部、メチル・ブチル混合エーテル化メラミン樹脂ワニス 12.5部、およびセルロースエステル系樹脂(CAB381−0.5;イーストマン ケミカルズ社製)を酢酸イソブチルに溶解し、加熱残分20%とした溶液10.0部、酢酸エチル39.7部を加えて攪拌した。
【0019】
実施例1
厚さ0.8mm、長さ150mm、幅70mmの自動車用鋼板(JIS−G3141)に、ボンデライトNo.3004(日本パーカーライジング(株)製のリン酸亜鉛皮膜処理の商品名)処理を施し、次いでパワートップU−100(日本ペイント(株)製の自動車用カチオン型電着プライマーの商品名)を15〜20μmの厚さに塗装した試験板に、希釈した中塗塗料ハイエピコNo.560(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、商品名)を、焼き付けた後の膜厚が35〜40μmとなるようにエアースプレー塗装し、10分間室温で放置した後、140℃の温度で30分間焼き付けて硬化させ、基材とした。
次いで、この基材にプライマーとして、プライマックNo.1501プライマー(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、ポリオレフィン系塗料)(A−1)を酢酸イソブチル/キシレンが50:50の混合溶剤にて10秒(フォードカップNo.4、20℃)に粘度を調整し、乾燥膜厚5μとなるように塗装し、室温で5分間放置した。これにベースコートとして製造例1で製造したベースコート(B−1)をトルエン/キシレンが50:50の混合溶剤にて10秒(フォードカップNo.4、20℃)に粘度調整し、乾燥膜厚1〜3μとなるように塗装し、室温で5分間放置した後、ベルコートNo.6200クリヤー(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、アクリル樹脂/メラミン樹脂系塗料)(C)をキシレンにて22秒(フォードカップNo.4、20℃)に粘度調整し、乾燥膜厚35μになるように塗装した。室温にて約10分間放置した後、140℃で30分間焼き付け、プライマー、ベースコート、およびクリヤーからなる3層の塗膜を同時に架橋硬化せしめ、塗装試験板を得た。
【0020】
実施例2
実施例1で用いた基材上に、プライマーをプライマックプライマーUN102−1 E−B(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、ポリオレフィン系塗料)(A−2)に代えた以外は、実施例1と同様の方法にて塗装試験板を得た。
【0021】
実施例3
純水及びイソプロピルアルコールで脱脂した厚さ3mm、長さ150mm、幅70mmの黒色のポリプロピレンの板を基材とした以外は、実施例1と同様の方法にて塗装試験板を得た。
【0022】
実施例4
プライマー(A−1)を実施例2で用いたプライマー(A−2)とした以外は、実施例3と同様の方法にて塗装試験板を得た。
【0023】
比較例1
実施例1で用いた基材上に、プライマーをハイエピコNo.560(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、ポリエステル/メラミン樹脂系塗料)に代えた以外は実施例1と同様の方法にて、塗装試験板を得た。
【0024】
比較例2
実施例1で用いた基材上に、ベースコートを製造例2で製造したベースコート(B−2)に代えた以外は、実施例1と同様の方法にて、塗装試験板を得た。
【0025】
比較例3
純水及びイソプロピルアルコールで脱脂した厚さ3mm、長さ150mm、幅70mmの黒色のポリプロピレンの板を基材とした以外は、比較例1と同様の方法にて塗装試験板を得た。
【0026】
比較例4
厚さ0.8mm、長さ150mm、幅70mmの自動車用鋼板(JIS−G3141)に、ボンデライトNo.3004(日本パーカーライジング(株)製のリン酸亜鉛皮膜処理の商品名)処理を施し、次いでパワートップU−100(日本ペイント(株)製の自動車用カチオン型電着プライマーの商品名)を15〜20μmの厚さに塗装した試験板を、10分間室温で放置した後、140℃の温度で30分間焼き付けて硬化させ、基材とした。
次いで、この基材にプライマーとして、プライマックNo.1501プライマー(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、ポリオレフィン系塗料)(A−1)を酢酸イソブチル/キシレンが50:50の混合溶剤にて10秒(フォードカップNo.4、20℃)に粘度を調整し、乾燥膜厚5μとなるように塗装し、室温で5分間放置した。
次に、希釈した中塗塗料ハイエピコNo.560(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、商品名)を、焼き付けた後の膜厚が35〜40μmとなるようにエアースプレー塗装し、10分間室温で放置した後に、140℃の温度で30分間焼き付けて硬化させた。
これにベースコートとして製造例1で製造したベースコート(B−1)をトルエン/キシレンが50:50の混合溶剤にて10秒(フォードカップNo.4、20℃)に粘度調整し、乾燥膜厚1〜3μとなるように塗装し、室温で5分間放置した後、ベルコートNo.6200クリヤー(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、アクリル樹脂/メラミン樹脂系塗料)(C)をキシレンにて22秒(フォードカップNo.4、20℃)に粘度調整し、乾燥膜厚35μになるように塗装した。室温にて約10分間放置した後、140℃で30分間焼き付け、プライマー、ベースコート、およびクリヤーからなる3層の塗膜を同時に架橋硬化せしめ、塗装試験板を得た。
【0027】
得られた塗装試験板の評価方法を以下に示す。
塗膜外観:
○:鏡面状の金属光沢を有する
×:通常のシルバーメタリック調
耐チッピング性(ASTM−D−3170に準拠した)
(1)試験機器:Q−G−Rグラベロメーター(Q−Panel会社製品)
(2)チップ材:直径約10〜15mmの大理石粒
(3)チップ材の量:約250個
(4)吹き付けエアー圧:約4.8kg/cm2
(5)試験温度:20℃
(6)評価方法:試験板の中央部40mm×40mmを残して周囲をガムテープで被覆して試験板ホルダーに取りつけ、約4.8kg/cm2の圧力でチップ材を噴射し、衝突によって生じたハガレ傷の数、ハガレ傷の面積を測定して40mm×40mmの面積における剥離個数、平均剥離面積を記録する。
結果を表1(表1、表2)に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
なお、実施例及び比較例に用いられたプライマー(A)に、以下のものが用いられた。
A−1:日本油脂BASFコーティング(株)製ポリオレフィン系塗料「プライマックNo.1501プライマー
A−2:日本油脂BASFコーティング(株)製ポリオレフィン系塗料「プライマックプライマーUN102−1 E−B」
A−3:日本油脂BASFコーティング(株)製ポリエステル/メラミン樹脂系塗料「ハイエピコNo.560」
【0031】
表1の結果より、プライマー(A)にポリオレフィン系樹脂を主成分とする塗料を、更にベースコート(B)として微少金属箔を配合してなる塗料を用いた実施例1〜4は鏡面状の金属光沢を有する塗膜外観が得られ更に優れた耐チッピング性を示した。
プライマーにポリエステル/メラミン樹脂系塗料を用いた比較例1、3は耐チッピング性に劣り、厚さ0.15〜0.25μmのノンリーフィング型アルミニウムフレークを用いた比較例2は鏡面状の金属光沢が得られない。また、プライマー(A)上に中塗塗料を塗布した比較例4は、耐ピッチング性が劣った。
【0032】
【発明の効果】
本発明の複層塗膜形成方法によれば、耐チッピング性が優れ、且つ鏡面状の金属光沢を有する塗膜外観を、安定的に形成することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属調光沢を有し、且つ耐チッピング性の優れた複層塗膜の形成方法およびその塗装物に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平11−80620号公報
【特許文献2】特開平9−168765号公報
鋼材、樹脂等の材料に金属調の外観を得る方法としてメッキ、蒸着等による金属被覆が行われ、均一な鏡面状の金属光沢を有する金属調の外観を得ることができるが、高コストである。このため塗装により金属調の外観を得るための塗料組成物が検討されている。従来の金属調塗料組成物としては、アルミニウムフレーク顔料と塗膜形成樹脂を配合したメタリック塗料がある。しかしこのような塗料組成物から得られる金属調の塗膜は粒子感(ツブツブ感)があって、アルミニウムフレークの粒子が観察され、肌荒れした艶消状の金属調外観しか得られず、メッキや蒸着で得られる均一な鏡面状の金属光沢を有する外観を得ることが困難である。
【0003】
このようなメタリック塗料の欠点を解決するために、
【特許文献1】では、従来のアルミニウムフレークに代えて微小金属箔を用いることが試みられている。この微小金属箔は蒸着膜を微小箔片に粉砕したものであり、これを塗料中に分散させて被塗物に塗装して配向させることにより、均一な鏡面状の金属調外観を得ようとしている。
しかしながらこれらの微少金属箔を用いた塗膜は密着性が弱く、従来の塗装系では密着性、特に石跳ね等に起因して塗膜の剥離を起こしやすい、すなわち耐チッピング性に劣るという欠点をもっていた。
【0004】
また、
【特許文献2】では、塗膜に耐チッピング性を付与し、仕上がり性に優れた複合塗膜を得る方法としては、電着塗料を塗装し加熱硬化した後、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするプライマ−(A)、中塗塗料(B)、メタリック塗料(C)及びクリヤ−塗料(D)をウェットオンウェットで順次塗装し、次いで加熱して該塗料(A)、(B)、(C)及び(D)の塗膜を同時に架橋硬化させる方法が試みられている。この方法でも、プライマ−(A)を中塗塗料(B)の下に塗装することで、クッションとなる緩衝効果が十分ではなく、耐チッピング性が不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、耐チッピング性に優れ、かつ、鏡面状の金属光沢を有する金属調の外観を得ることができる塗膜を安定的に形成できる塗膜形成方法およびその塗膜を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究の結果、特定の組成を有するプライマー(A)の上に直接、特定の微小金属箔を配合してなるベースコート(B)を塗装することにより、プライマー(A)のクッションとなる緩衝効果が向上し、耐チッピング性に優れ、かつ、鏡面状の金属光沢を有する金属調の外観を有する塗膜を形成することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、被塗物に、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするプライマー(A)、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmである微小金属箔を配合してなるベースコート(B)、およびクリヤーコート(C)の3層を順次塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法である。この複層塗膜形成方法において、被塗物に、プライマー(A)、ベースコート(B)およびクリヤーコート(C)の全ての塗膜層をウエット・オン・ウエット方式にて順次塗装する3コート1ベークを用いることができる。または、プライマー(A)を塗装後加熱し、ついでベースコート(B)およびクリヤーコート(C)を順次塗装するか、あるいは、プライマー(A)、ベースコート(B)を順次塗装後加熱し、ついでクリヤーコート(C)を塗装する3コート2ベークを用いてもよい。さらには、被塗物に、プライマー(A)を塗装後加熱し、ついでベースコート(B)を塗装後加熱した後、クリヤーコート(C)を塗装する3コート3ベークを用いてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において塗膜形成の対象となる被塗物(基材)としては、鉄、アルミニウム、銅もしくはこれらの合金を含む金属類、ガラス、コンクリート等の無機材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリアクリル、ポリエステル、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等の樹脂成形品および各種FRPなどのプラスチック材料、木材、紙などが挙げられる。
これら被塗物に、直接本発明のプライマー(A)、ベースコート塗料(B)およびクリヤーコート塗料(C)を塗装してもよく、また上記基材に予め化成処理や電着塗料、中塗塗料等を塗装したものを、被塗物としてもよい。
【0008】
本発明に用いられるプライマー(A)は、ポリオレフィン系樹脂を塗膜形成の主成分とするチッピングプライマーである。
プライマー(A)に使用される塗膜形成樹脂としては、オレフィン系単量体および/またはジエン系単量体を必須単量体成分とする重合体である。具体的にはプロピレン−エチレン共重合体、塩素化ポリプロピレン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体など、およびこれらのものとマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの酸基含有重合性不飽和単量体とを重合させてなる酸基含有重合体などが挙げられ、これらを1種単独であるいは2種以上組み合わせて非架橋のラッカータイプとすることも、また例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物等の架橋剤と組み合わせて1液型または2液型の架橋硬化型塗料として使用することもできる。
【0009】
本発明に用いられるプライマー(A)は、必要に応じてアルミ顔料、雲母、板状酸化鉄等の鱗片状粒子顔料、着色顔料、体質顔料およびその他添加剤などを配合することができる。プライマー(A)の塗料組成物は、水または有機溶剤に分散ないし溶解して使用する。有機溶剤としては、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤等が使用できる。
【0010】
本発明に用いられるベースコート(B)は、微小金属箔および塗膜形成樹脂を含んで構成される。微小金属箔は、厚さ0.08μm以下、好ましくは0.02〜0.06μmで、かつ平均粒径が5〜40μm、好ましくは5〜20μmである。微小金属箔は、蒸着(真空蒸着を含む)法、無電解めっき法およびスパッター法等により製造されたものが挙げられる。市販品としては、例えばMetalure(ECKART−WERKE社製、商標、微小アルミニウム箔の厚さ0.01〜0.08μm、平均粒径6〜16μm)、Metasheen(WOLSTENHOLME INTERNATIONAL LTD社製、商標、微小金属箔の厚さ0.01〜0.08μm、平均粒径8〜20μm)等が挙げられる。微小金属箔の素材としては、Al、Mg、Cu、Au、Ag等が例示され、特に制限されない。
本発明に用いられるベースコート(B)の塗膜形成樹脂としては、通常塗料用として使用されている樹脂を制限なく使用できる。例えばアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、繊維素系樹脂等を1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて非架橋のラッカータイプとすることも、また例えば、イソシアネート化合物、メラミン樹脂等の架橋剤と組み合わせて、1液型または2液型の架橋硬化型塗料として使用することもできる。
【0011】
微小金属箔と塗膜形成樹脂の質量比率は、1対0.3〜1対40、好ましくは1対1〜1対20である。微小金属箔に対する塗膜形成樹脂の配合率が1対0.3よりも低い場合、微少金属箔の高い凝集力により塗装塗膜のひび割れを生じやすくなる。また、1対40を越えて配合した場合、微小金属箔の配向性が充分でなく、鏡面状の金属光沢を有する外観を得ることが難しくなる。
【0012】
本発明におけるベースコート(B)には、必要に応じてその他の顔料、各種添加剤などを配合することができる。顔料としては従来から塗料用に常用されているものが用いられ、例えば有機系としてはアゾレーキ系顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料等を挙げることができ、無機系としては黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等が挙げられる。また添加剤としてはベンゾトリアゾール、蓚酸アニリド系等の紫外線吸収剤、ベンゾフェノール系等の酸化防止剤、シリコーン系等のレベリング剤、ワックス、有機ベントナイト等の粘性制御剤、硬化触媒等が挙げられる。
【0013】
本発明で用いられるクリヤーコート(C)は特に限定されず、従来から熱硬化性塗料組成物として使用されている塗膜形成樹脂が制限なく使用できる。代表的な熱硬化性塗膜形成成分としては、塗膜形成樹脂としての主体樹脂、硬化剤としての架橋剤がある。上記主体樹脂は特に制限されず、従来から熱硬化性塗料組成物の塗膜形成樹脂として使用されている樹脂が制限なく使用できる。具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。これらの主体樹脂中に含まれる架橋に関与する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、酸無水基、エポキシ基、シラン基などが挙げられる。前記架橋剤も特に制限されず、従来から熱硬性塗料組成物の架橋剤として使用されているものが制限なく使用できる。架橋剤の具体例としては、メラミン樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0014】
本発明のクリヤーコート(C)は、必要に応じて他の成分を配合することができる。このような他の成分としては、従来から塗料に使用されている添加剤が制限なく使用できる。具体的には、アクリル樹脂系、シリコーン樹脂系等の消泡剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、消光剤、酸化防止剤、硬化触媒などが挙げられる。
クリヤーコート(C)の塗料組成物は、水または有機溶剤に分散ないし溶解して使用することができる。有機溶剤としては、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤等が使用できる。
【0015】
本発明に用いられる塗料の塗装は、霧化式塗装機を用い、エアースプレー方式、静電方式等の従来から公知の塗装方法により行うことができる。本発明の複層塗膜形成方法においては、上記プライマー(A)、ベースコート(B)およびクリヤーコート(C)の3層を順次塗装することにより複層塗膜を形成する。
この場合、上記の塗膜形成方法において、被塗物に、プライマー(A)、ベースコート(B)およびクリヤーコート(C)をウエット・オン・ウエット方式にて順次塗装してもよく、被塗物に、プライマー(A)を塗装後加熱し、ついでベースコート(B)およびクリヤーコート(C)を順次塗装してもよく、被塗物に、プライマー(A)、ベースコート(B)を順次塗装後加熱し、ついでクリヤーコート(C)を塗装してもよく、また被塗物に、プライマー(A)を塗装後加熱し、ついでベースコート(B)を塗装後加熱した後、クリヤーコート(C)を塗装してもよい。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。しかし、本発明の範囲はこれらの例になんら限定されるものではない。なお各例中、特に断らない限り、部は質量部、%は質量%を表す。
【0017】
製造例1 ベースコート塗料(B−1)の調製
微小金属箔として、Metalure(ECKART−WERKE社製、加熱残分10%、微小アルミニウム箔の厚さ0.01〜0.08μm、平均粒径6〜16μm)30.0部を酢酸イソブチル24.3部にて分散し、アクリル樹脂ワニス(水酸基価70、酸価7、数平均分子量35000、加熱残分60%)23.2部、メチル・ブチル混合エーテル化メラミン樹脂ワニス(加熱残分60%)12.5部、セルロースエステル系樹脂(CAB381−0.5;イーストマンケミカルズ社製)を酢酸イソブチルに溶解し、加熱残分20%とした溶液10.0部を加えて攪拌、調整した。
【0018】
製造例2 ベースコート塗料(B−2)の調製
ノンリーフィング型アルミニウムフレークSap FM4010(昭和アルミパウダー(株)社製、加熱残分65%、厚さ0.15〜0.25μm、平均粒径9〜14μm)4.6部を酢酸イソブチル10.0部にて分散し、製造例1で用いたアクリル樹脂ワニス23.2部、メチル・ブチル混合エーテル化メラミン樹脂ワニス 12.5部、およびセルロースエステル系樹脂(CAB381−0.5;イーストマン ケミカルズ社製)を酢酸イソブチルに溶解し、加熱残分20%とした溶液10.0部、酢酸エチル39.7部を加えて攪拌した。
【0019】
実施例1
厚さ0.8mm、長さ150mm、幅70mmの自動車用鋼板(JIS−G3141)に、ボンデライトNo.3004(日本パーカーライジング(株)製のリン酸亜鉛皮膜処理の商品名)処理を施し、次いでパワートップU−100(日本ペイント(株)製の自動車用カチオン型電着プライマーの商品名)を15〜20μmの厚さに塗装した試験板に、希釈した中塗塗料ハイエピコNo.560(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、商品名)を、焼き付けた後の膜厚が35〜40μmとなるようにエアースプレー塗装し、10分間室温で放置した後、140℃の温度で30分間焼き付けて硬化させ、基材とした。
次いで、この基材にプライマーとして、プライマックNo.1501プライマー(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、ポリオレフィン系塗料)(A−1)を酢酸イソブチル/キシレンが50:50の混合溶剤にて10秒(フォードカップNo.4、20℃)に粘度を調整し、乾燥膜厚5μとなるように塗装し、室温で5分間放置した。これにベースコートとして製造例1で製造したベースコート(B−1)をトルエン/キシレンが50:50の混合溶剤にて10秒(フォードカップNo.4、20℃)に粘度調整し、乾燥膜厚1〜3μとなるように塗装し、室温で5分間放置した後、ベルコートNo.6200クリヤー(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、アクリル樹脂/メラミン樹脂系塗料)(C)をキシレンにて22秒(フォードカップNo.4、20℃)に粘度調整し、乾燥膜厚35μになるように塗装した。室温にて約10分間放置した後、140℃で30分間焼き付け、プライマー、ベースコート、およびクリヤーからなる3層の塗膜を同時に架橋硬化せしめ、塗装試験板を得た。
【0020】
実施例2
実施例1で用いた基材上に、プライマーをプライマックプライマーUN102−1 E−B(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、ポリオレフィン系塗料)(A−2)に代えた以外は、実施例1と同様の方法にて塗装試験板を得た。
【0021】
実施例3
純水及びイソプロピルアルコールで脱脂した厚さ3mm、長さ150mm、幅70mmの黒色のポリプロピレンの板を基材とした以外は、実施例1と同様の方法にて塗装試験板を得た。
【0022】
実施例4
プライマー(A−1)を実施例2で用いたプライマー(A−2)とした以外は、実施例3と同様の方法にて塗装試験板を得た。
【0023】
比較例1
実施例1で用いた基材上に、プライマーをハイエピコNo.560(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、ポリエステル/メラミン樹脂系塗料)に代えた以外は実施例1と同様の方法にて、塗装試験板を得た。
【0024】
比較例2
実施例1で用いた基材上に、ベースコートを製造例2で製造したベースコート(B−2)に代えた以外は、実施例1と同様の方法にて、塗装試験板を得た。
【0025】
比較例3
純水及びイソプロピルアルコールで脱脂した厚さ3mm、長さ150mm、幅70mmの黒色のポリプロピレンの板を基材とした以外は、比較例1と同様の方法にて塗装試験板を得た。
【0026】
比較例4
厚さ0.8mm、長さ150mm、幅70mmの自動車用鋼板(JIS−G3141)に、ボンデライトNo.3004(日本パーカーライジング(株)製のリン酸亜鉛皮膜処理の商品名)処理を施し、次いでパワートップU−100(日本ペイント(株)製の自動車用カチオン型電着プライマーの商品名)を15〜20μmの厚さに塗装した試験板を、10分間室温で放置した後、140℃の温度で30分間焼き付けて硬化させ、基材とした。
次いで、この基材にプライマーとして、プライマックNo.1501プライマー(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、ポリオレフィン系塗料)(A−1)を酢酸イソブチル/キシレンが50:50の混合溶剤にて10秒(フォードカップNo.4、20℃)に粘度を調整し、乾燥膜厚5μとなるように塗装し、室温で5分間放置した。
次に、希釈した中塗塗料ハイエピコNo.560(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、商品名)を、焼き付けた後の膜厚が35〜40μmとなるようにエアースプレー塗装し、10分間室温で放置した後に、140℃の温度で30分間焼き付けて硬化させた。
これにベースコートとして製造例1で製造したベースコート(B−1)をトルエン/キシレンが50:50の混合溶剤にて10秒(フォードカップNo.4、20℃)に粘度調整し、乾燥膜厚1〜3μとなるように塗装し、室温で5分間放置した後、ベルコートNo.6200クリヤー(日本油脂BASFコーティングス(株)社製、アクリル樹脂/メラミン樹脂系塗料)(C)をキシレンにて22秒(フォードカップNo.4、20℃)に粘度調整し、乾燥膜厚35μになるように塗装した。室温にて約10分間放置した後、140℃で30分間焼き付け、プライマー、ベースコート、およびクリヤーからなる3層の塗膜を同時に架橋硬化せしめ、塗装試験板を得た。
【0027】
得られた塗装試験板の評価方法を以下に示す。
塗膜外観:
○:鏡面状の金属光沢を有する
×:通常のシルバーメタリック調
耐チッピング性(ASTM−D−3170に準拠した)
(1)試験機器:Q−G−Rグラベロメーター(Q−Panel会社製品)
(2)チップ材:直径約10〜15mmの大理石粒
(3)チップ材の量:約250個
(4)吹き付けエアー圧:約4.8kg/cm2
(5)試験温度:20℃
(6)評価方法:試験板の中央部40mm×40mmを残して周囲をガムテープで被覆して試験板ホルダーに取りつけ、約4.8kg/cm2の圧力でチップ材を噴射し、衝突によって生じたハガレ傷の数、ハガレ傷の面積を測定して40mm×40mmの面積における剥離個数、平均剥離面積を記録する。
結果を表1(表1、表2)に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
なお、実施例及び比較例に用いられたプライマー(A)に、以下のものが用いられた。
A−1:日本油脂BASFコーティング(株)製ポリオレフィン系塗料「プライマックNo.1501プライマー
A−2:日本油脂BASFコーティング(株)製ポリオレフィン系塗料「プライマックプライマーUN102−1 E−B」
A−3:日本油脂BASFコーティング(株)製ポリエステル/メラミン樹脂系塗料「ハイエピコNo.560」
【0031】
表1の結果より、プライマー(A)にポリオレフィン系樹脂を主成分とする塗料を、更にベースコート(B)として微少金属箔を配合してなる塗料を用いた実施例1〜4は鏡面状の金属光沢を有する塗膜外観が得られ更に優れた耐チッピング性を示した。
プライマーにポリエステル/メラミン樹脂系塗料を用いた比較例1、3は耐チッピング性に劣り、厚さ0.15〜0.25μmのノンリーフィング型アルミニウムフレークを用いた比較例2は鏡面状の金属光沢が得られない。また、プライマー(A)上に中塗塗料を塗布した比較例4は、耐ピッチング性が劣った。
【0032】
【発明の効果】
本発明の複層塗膜形成方法によれば、耐チッピング性が優れ、且つ鏡面状の金属光沢を有する塗膜外観を、安定的に形成することができる。
Claims (6)
- 被塗物に、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするプライマー(A)、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmである微小金属箔を配合してなるベースコート(B)、およびクリヤーコート(C)の3層を順次塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法。
- ポリオレフィン系樹脂を主成分とするプライマー(A)塗膜層、厚さが0.08μm以下で、かつ平均粒径が5〜40μmである微小金属箔を配合してなるベースコート(B)塗膜層、およびクリヤーコート(C)塗膜層の3層からなる塗膜。
- 塗装方法が、被塗物に、プライマー(A)、ベースコート(B)およびクリヤーコート(C)をウエット・オン・ウエット方式にて順次塗装することを特徴とする請求項1記載の複層塗膜形成方法。
- 塗装方法が、被塗物に、プライマー(A)を塗装後加熱し、ついでベースコート(B)およびクリヤーコート(C)を順次塗装することを特徴とする請求項1記載の複層塗膜形成方法。
- 塗装方法が、被塗物に、プライマー(A)、ベースコート(B)を順次塗装後加熱し、ついでクリヤーコート(C)を塗装することを特徴とする請求項1記載の複層塗膜形成方法。
- 塗装方法が、被塗物に、プライマー(A)を塗装後加熱し、ついでベースコート(B)を塗装後加熱した後、クリヤーコート(C)を塗装することを特徴とする請求項1記載の複層塗膜形成方法。
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2002
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