JPH0729531B2 - 車輌の急速暖房装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は燃焼器を備えた車両の急速暖房装置に関するも
のである。

［従来の技術］ 車両の急速暖房とパテユキユレートトラツプの再生を行
うために、排気管の途中に燃焼器および熱交換器を接続
した車両の急速暖房装置が、例えば特開昭59−67115号
公報に開示されている。しかし、上述の車両の急速暖房
装置では、燃焼器および熱交換器が車室から非常に離れ
て配置されるために、熱交換器と車室の暖房ユニツトと
の配管が複雑になる、燃焼器および熱交換器をキヤブに
取り付けると車室の騒音が大きくなる、燃焼器および熱
交換器を車枠に取り付けると路面からの振動により耐久
性が損われるなどの問題がある。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明の目的は上述の問題に鑑み、燃焼器および熱交換
器の振動を抑え、熱交換器のダクトと車室の暖房ユニツ
トのダクトとを、キヤブのチルト操作時自動的に切離し
できる、車両の急速暖房装置を提供することにある。

［問題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本発明の構成は燃焼器の燃
焼ガスを熱交換器を経て機関の吸気管へ供給する加熱ユ
ニツトを、機関の壁部に取り付け、熱交換器から延びる
第１のダクトを上方へ向けて車枠側に支持し、車枠側に
弾性支持したアダプタの穴をベローズにより第１のダク
トに接続し、アダプタの穴にばねにより閉位置へ付勢さ
れる蓋を回動可能に支持し、車室の暖房ユニツトから延
びる第２のダクトを、アダプタに対向するキヤブ底部か
ら下方へ突出し、第２のダクトは前記蓋を押し下げてア
ダプタの穴へ嵌挿されるようにしたものである。

［作用］ 機関の始動と同時に、燃焼器が点火され、燃焼ガスは熱
交換器を経て吸気管へ送られ、機関の始動性が向上さ
れ、暖機が促進される。同時に、暖房ユニツトのブロア
により車室空気がダクトを経て熱交換器へ送られ、熱交
換器で加熱された後にダクトを経て車室へ吹き出され、
急速暖房が達せられる。

［発明の実施例］ 第１図に示すように、キヤブ21の下側で車枠２に支持さ
れる機関４の壁部（図示の実施例では側壁部）に、燃焼
器15および熱交換器16を一体に備える加熱ユニツトＡが
支持され、燃焼器15にブロア31が接続される一方、熱交
換器16の端部は配管32を介して機関４の吸気管30に接続
される。ブロア31は燃焼器15および熱交換器16と一体的
に構成することができる。

熱交換器16は第１のダクト26,27と第２のダクト26a,27a
により車室の暖房ユニツト24へ接続される。ダクト26,2
7はキヤブ21の床部でダクト26a,27aに、それぞれ切り離
し可能に接続される。

第２図に示すように、キヤブオーバ型車両は、車輪３を
支持する車枠２に対して、キヤブ21がチルト軸23を中心
として鎖線で示すように傾けられるようになつている。
サスペンシヨンキヤブの場合は、実際にはチルト軸23が
直接車枠２に支持されるのでなく、リンク機構を介して
車枠２に連結される。一方、キヤブ21の後床部は車枠２
に固定した梁部材22の上にサスペンシヨン５を介して支
持され、車枠２の上下振動がキヤブ21へ伝わるのを緩衝
する。

キヤブ21の車室を暖房する暖房ユニツト24はキヤブ21の
前壁部に配設されるが、これに限定されるものではな
く、天井に配置してもよい。暖房ユニツト24は機関４の
排ガスを熱源とするものであり、急速暖房を行う場合に
のみ、加熱ユニツトＡを熱源とするようになつている。
しかし、機関の冷却水を熱源とする暖房ユニツトの場合
は、車室空気をダクト26aへ送り込む吸引型送風機と、
ダクト27aの空気を車室へ吹出す吹出口とを備えた簡単
なものでよい。

第３図に示すように、熱交換器16から延びる第１のダク
ト26,27の端部は、キヤブ21の床板６に対向する浮動の
アダプタ10に支持され、アダプタ10はフランジ10aを、
車枠側、具体的には機関４または車枠２にばね12を介し
て弾性支持される。このため、第１のダクト26,27の端
部はアダプタ10に設けた１対の穴36に、ベローズ13を介
して接続される。アダプタ10の各穴36はそれぞれ軸35に
より蓋８を回動可能に支持される。蓋８は図示してない
ばねにより穴36を閉鎖するように付勢される。穴36の上
端部はゴムなどのシール部材９を結合される。

一方、キヤブ21の床板６の下面に補強板７が重ね合せ結
合され、暖房ユニツト24から延びる第２のダクト26a,27
aの端部が補強板７に貫通支持される。ダクト26a,27aの
端部は外径を、アダプタ10の穴36よりも小さく絞られ
る。したがつて、キヤブ21をチルト状態から通常の状態
へ戻すと、床板６の補強板７がアダプタ10のシール部材
９へ押し付けられ、同時にダクト26a,27aの端部が蓋８
を押し下げて穴36の内部へ嵌挿され、ダクト26がダクト
26aと、ダクト27がダクト27aとそれぞれ密封状態に連結
される。

次に、本発明による車両の急速暖房装置の作動について
説明する。機関４の始動時、ブロア31は電源バツテリに
より駆動され、ブロア31により吸引された空気が燃焼器
15へ送られ、燃焼器15で燃料タンクから燃料ポンプによ
り噴霧された燃料と混合され、電気式点火器により着火
される。燃料ガスは熱交換器16を経て管32から吸気管30
へ送られる。したがつて、吸気温度が高められ、機関の
始動性が向上され、暖機運転が促進される。

同時に、暖房ユニツト24に内臓されたブロアにより車室
空気がダクト26a,26を経て熱交換器16へ送られ、熱交換
器16で加熱された後にダクト27,27aを経て車室へ吹き出
され、急速暖房が達せられる。

通常の機関の運転では、ブロア31と燃焼器15は運転を停
止される。アダプタ10は機関４または車枠２に弾性支持
されているので、走行中にキヤブ21が振動しても、ベロ
ーズ31が伸縮または湾曲し、アダプタ10は床板６の補強
板７に密接された状態を維持する。

機関４を整備するためにキヤブ21を傾けると、暖房ユニ
ツト24に接続するダクト26a,27aの端部がアダプタ10か
ら離れる。この時、蓋８が第４図に示すようにアダプタ
10の穴36を閉鎖し、外部から埃などがダクト26,27へ浸
入するのを防止する。

［発明の効果］ 本発明は上述のように、燃焼器の燃焼ガスを熱交換器を
経て機関の吸気管へ供給する加熱ユニツトを、機関の壁
部に取り付け、熱交換器から延びる第１のダクトを上方
へ向けて車枠側に支持し、車枠側に弾性支持したアダプ
タの穴をベローズにより第１のダクトに接続し、アダプ
タの穴にばねにより閉位置へ付勢される蓋を回動可能に
支持し、車室の暖房ユニツトから延びる第２のダクト
を、アダプタに対向するキヤブ底部から下方へ突出し、
第２のダクトは前記蓋を押し下げてアダプタの穴へ嵌挿
されるようにしたものであるから、次の効果が得られ
る。

車枠にラバーマウントにより弾性支持された機関に、加
熱ユニツトが取り付けられているので、加熱ユニツトが
車枠の苛酷な振動を直接受けることがなく、加熱ユニツ
トの耐久性が向上される。

加熱ユニツトをキヤブに取り付けるものに比べて、加熱
ユニツトの運転による車室騒音が低減される。

加熱ユニツトのダクトを暖房ユニツトのダクトから切り
離した状態で、加熱ユニツトを機関に組付けできるの
で、ラインでの作業が容易になり、組立コストを低減で
きる。

加熱ユニツトのダクトと暖房ユニツトのダクトとの切離
し可能の接続部を、キヤブのチルト操作や機関室の補
機、配管の長さなどの状況を勘案して自由に配置でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る車両の急速暖房装置の平面的構成
図、第２図はチルト式キヤブと機関との関係を示す側面
図、第３図は機関に対する急速暖房装置の取付状態を示
す側面図、第４図は急速暖房装置から延びるダクトとキ
ヤブの暖房ユニツトから延びるダクトとの接続部の構造
を示す側面断面図である。 4:機関、10:アダプタ、15:燃焼器、16:熱交換器、24:暖
房ユニツト、26,27:第１のダクト、26a,27a:第２のダク
ト、30:吸気管、31:ブロア

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】燃焼器の燃焼ガスを熱交換器を経て機関の
   吸気管へ供給する加熱ユニツトを、機関の壁部に取り付
   け、熱交換器から延びる第１のダクトを上方へ向けて車
   枠側に支持し、車枠側に弾性支持したアダプタの穴をベ
   ローズにより第１のダクトに接続し、アダプタの穴にば
   ねにより閉位置へ付勢される蓋を回動可能に支持し、車
   室の暖房ユニツトから延びる第２のダクトを、アダプタ
   に対向するキヤブ底部から下方へ突出し、第２のダクト
   は前記蓋を押し下げてアダプタの穴へ嵌挿されることを
   特徴とする、車両の急速暖房装置。