JPH07294760A - 光導波路の製造方法 - Google Patents

光導波路の製造方法

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JPH07294760A
JPH07294760A JP6084630A JP8463094A JPH07294760A JP H07294760 A JPH07294760 A JP H07294760A JP 6084630 A JP6084630 A JP 6084630A JP 8463094 A JP8463094 A JP 8463094A JP H07294760 A JPH07294760 A JP H07294760A
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temperature
optical waveguide
clad layer
layer
sintering furnace
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JP6084630A
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Hiroo Kanamori
弘雄 金森
Tomokane Hirose
智財 広瀬
Yuji Matsuura
祐司 松浦
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光導波路を構成する各層の屈折率が安定した
光導波路を製造する。 【構成】 基板上に下部クラッド層と下部クラッド層の
露出表面の第1の領域上にコア層とを形成する。次に、
焼結炉内において、下部クラッド層の表面の第1の領域
以外の領域上およびコア層の露出表面上に、P2 5
よびB2 3 の少なくとも一方を添加した光導波路用ガ
ラス膜を火炎堆積法を用いて焼結し、上部クラッド層を
堆積する。この上部クラッド層の堆積後、あるいは所定
の温度まで再加熱した後、所定の温度まで徐冷して室温
へ取り出す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火炎堆積法(以後、F
HD法とも呼ぶ)を用いた光導波路の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】シリコンなどからなる基板上に形成可能
な石英系光導波路は、伝送損失が低く、石英系光ファイ
バと整合性の良いことから導波型光部品や光集積回路へ
の優れた応用性により注目されており、従来から様々な
製造方法が提案されている。
【0003】こうした従来の光導波路の製造方法の1つ
にFHD法を使用した光導波路の製造方法があり、例え
ば、特開昭58−105111に開示の方法が代表的な
ものである。図7は、この光導波路の製造方法を説明し
た図である。この方法では、まず、ガラス微粒子合成用
のバーナ4にSiCl4 、BCl3 及びPOCl3 ある
いはPCl3 を供給することによって、シリコンなどの
基板1上に下部クラッド層となるべき多孔質ガラス層2
(SiO2 +B2 3 +P2 5 )が形成される(図7
(a)参照)。次に、SiCl4 、GeCl4 あるいは
TiCl4 、BCl3 、及びPOCl3 あるいはPCl
3 をガラス微粒子合成用のバーナに供給することによっ
て、多孔質ガラス層2上にコア層となるべき多孔質ガラ
ス層3(SiO2 +GeO2 あるいはTiO2 +B2
3 +P2 5 )が形成される(図7(b)参照)。次い
で、各多孔質ガラス層2、3が焼結・透明化され、透明
ガラスからなる下部クラッド層2′及びコア層3′が得
られる(図7(c)参照)。その後、透明ガラスからな
るコア層3′に適当なパターニング加工を施しコア部を
形成し(図7(d)参照)、上部クラッド層となる多孔
質ガラス層5が図7(a)と同様に形成され、焼結・透
明化される(図7(e)参照)。
【0004】他の製造方法としては、下部クラッド層用
に多孔質ガラス層のみを形成しこれを焼結・透明化した
後、コア用の多孔質ガラス層を形成する場合もあり、基
板として石英ガラスなど光透過性を有するものを使用し
これを下部クラッド層とし、これにコア用多孔質ガラス
層を形成する場合もある。また、PCVD法など全く別
の手法でコア、下部クラッドなどを形成する場合もあ
る。
【0005】こうした方法の中で、下部クラッド層およ
びコア層を形成した後、上部クラッド層を上記FHD法
を用いて形成する際には、特開平3−75606号公報
に開示されているように、上部クラッド層の軟化温度が
下部クラッド或いはコアの軟化温度より低くなるよう、
上部クラッド層に添加するP2 5 、B2 3 の量を下
部クラッドやコアより多くし、上部クラッド層の焼結温
度を低下せしめ、上部クラッド層の焼結時のコアの変形
を防止する手法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記に示した、上部ク
ラッド層の焼結温度を低下せしめ、上部クラッド層の焼
結時のコアの変形を防止する手法を用いるのにあたっ
て、上部クラッド層の軟化温度と、下部クラッド層或い
はコア層との軟化温度とに差がある場合、特にP23
およびB2 5 の総添加量が上部クラッドと下部クラッ
ド或いはコアとで異なる場合に、膜厚方向の組成分布に
有意差がないにも拘らず、膜厚方向の屈折率分布に差が
生じる現象が新たに見出された。
【0007】図8および図9は、この膜厚方向の屈折率
分布に差が生じる現象の説明図である。図8は、シリコ
ン基板1上に、下部クラッド層2′には、比較的微少量
のP2 5 およびB2 3 を添加し、コア層3′にはG
eO2 とやはり微少量のP25 およびB2 3 を添加
し、上部クラッド層5′には下部クラッド層2′の約4
倍のP2 5 およびB2 3 を添加した構成で、従来の
FHD法にて作製した導波路aについて膜厚方向の組成
分布と屈折率分布を測定した結果である。図9は図8と
同様の構成で、やはりFHD法にて作製した導波路bに
ついて膜厚方向の組成分布と屈折率分布を測定した結果
である。そして、図8(a)および図9(a)は各々導
波路Aと導波路Bの断面を示し、図8(b)および図9
(b)は各々導波路Aと導波路Bの膜厚方向の(図8
(a)および図9(a)中の一点鎖線に沿った)Geの
濃度分布をEPMA(電子線プローブマイクロアナリシ
ス)法で測定した結果であり、図8(c)および図9
(c)はPの濃度分布をEPMA法で測定した結果であ
り、図8(d)および図9(d)はBの濃度分布をEP
MA法で測定した結果である。また、図8(e)および
図9(e)は、Refractive Near Field (RNF) 法で測定
した屈折率を下部クラッドの平均的な屈折率との比屈折
率差を%で表示したものである。
【0008】以上の図8(b)〜(d)および図9
(b)〜(d)のデータから、導波路aと導波路bの組
成分布はEPMAでの測定精度を考慮すると、有意差は
ない。ところが、図8(e)と図9(e)に示す両者の
屈折率分布には大きな違いがあり、特に下部クラッド層
の平均的屈折率を基準に考えると、導波路aの上部クラ
ッド層の屈折率は低く、逆に導波路bの上部クラッド層
の屈折率は高くなっている。このように上部クラッド層
の屈折率が同一ガラス組成でもバラツキが生じると、例
えば、光導波路型方向性結合器を形成して光の合波分波
を行う際、その分岐特性が変化することにつながり、所
望の特性が得られないことになる。
【0009】本発明は、上記を鑑みてなされたものであ
り、光の導波要素であるコア層およびクラッド層に関し
て設計値とほぼ一致する所望の屈折率を付与可能な光導
波路の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の光導波路の製造
方法は、従来配慮されていなかった光導波路用ガラス膜
の焼結後の冷却過程と、光導波路用ガラス膜の屈折率の
定量的関係について、本発明者等が鋭意検討した結果か
ら、焼結後の冷却条件を規定することにより、各層が所
望の屈折率を有する光導波路用ガラス膜を安定して提供
するものである。
【0011】すなわち、本発明の第1の光導波路の製造
方法は、(a)下部クラッド層と、下部クラッド層の露
出表面の第1の領域上にコア層とを形成する第1の工程
と、(b)焼結炉内において、下部クラッド層の表面の
第1の領域以外の領域上およびコア層の露出表面上に、
2 5 またはB2 3 の少なくとも一方を添加した光
導波路用ガラス膜を火炎堆積法を用いて焼結し上部クラ
ッド層を堆積する第2の工程と、(c)上部クラッド層
の焼結後、 Tout≦1100−50×{[P2 5 ]+[B2 3 ]}…(1) ここで、Tout:焼結炉からの取り出し温度(℃) [P2 5 ]:上部クラッド層へのP2 5 の添加濃度
(mol%) [B2 3 ]:上部クラッド層へのB2 3 の添加濃度
(mol%) を満たす焼結炉からの取り出し温度Tout(℃)まで
光導波路用ガラス膜の焼結物を徐冷して室温へ取り出す
第3の工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】また、本発明の第2の光導波路の製造方法
は、(a)下部クラッド層と、下部クラッド層の露出表
面の第1の領域上にコア層とを形成する第1の工程と、
(b)焼結炉内において、下部クラッド層の表面の第1
の領域以外の領域上およびコア層の露出表面上に、P2
5 またはB2 3 の少なくとも一方を添加した光導波
路用ガラス膜を火炎堆積法を用いて焼結し上部クラッド
層を堆積する第2の工程と、(c)上部クラッド層の焼
結後、焼結炉内で光導波路用ガラス膜の焼結物を再加熱
する第3の工程と、(d)再加熱した後、(1)式を満
たす焼結炉からの取り出し温度Tout(℃)まで光導
波路用ガラス膜の焼結物を徐冷して室温へ取り出す第4
の工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】ここで、第3の工程における再加熱温度
は、再加熱温度をTa(℃)、上部クラッド層へのP2
5 添加濃度を[P2 5 ](mol%)、上部クラッ
ド層へのB2 3 添加濃度を[B2 3 ](mol%)
と表わした時、 Ta≧1100−25×{[P2 5 ]+[B2 3 ]}…(2) ここで、Ta:再加熱温度(℃) [P2 5 ]:上部クラッド層へのP2 5 の添加濃度
(mol%) [B2 3 ]:上部クラッド層へのB2 3 の添加濃度
(mol%) を満足する温度に設定される、ことを特徴としてもよ
い。
【0014】また、本発明の第1の光導波路の製造方法
と同様に、第4の工程での再加熱後の焼結炉内の徐冷過
程では、降温速度は1°/minから20°/minま
での範囲内である、ことが好適である。
【0015】
【作用】本発明の光導波路の製造方法の第1の方法で
は、まず、下部クラッド層と下部クラッド層の露出表面
の第1の領域上にコア層とを形成する。次に、焼結炉内
において、下部クラッド層の表面の第1の領域以外の領
域上およびコア層の露出表面上に、P2 5 およびB2
3 の少なくとも一方を添加した光導波路用ガラス膜を
火炎堆積法を用いて焼結し、上部クラッド層を堆積す
る。次いで、(1)式を満たす焼結炉からの取り出し温
度Tout(℃)まで光導波路用ガラス膜の焼結物を徐
冷して室温へ取り出す。
【0016】ここで、焼結後の焼結炉内での徐冷過程で
は、降温速度は1°/minから20°/minまでの
範囲内である、ことが好適である。
【0017】こうして、焼結後の急冷によるガラス層の
屈折率の不定性を低減し、各層が所望の屈折率を有する
光導波路を製造する。
【0018】また、本発明の光導波路の製造方法の第2
の方法では、まず、下部クラッド層と下部クラッド層の
露出表面の第1の領域上にコア層を形成する。次に、焼
結炉内において、下部クラッド層の表面の第1の領域以
外の領域上およびコア層の露出表面上に、P2 5 およ
びB2 3 の少なくとも一方を添加した光導波路用ガラ
ス膜を火炎堆積法を用いて焼結し上部クラッド層を堆積
する。
【0019】次いで、上部クラッド層の焼結後、焼結炉
内で光導波路用ガラス膜の焼結物を再加熱する。この再
加熱工程における再加熱温度は、(2)式を満足する温
度に設定されることが好ましい。引き続き、再加熱した
後、(1)式を満たす焼結炉からの取り出し温度Tou
t(℃)まで光導波路用ガラス膜の焼結物を徐冷して室
温へ取り出す。
【0020】第2の方法においても、再加熱後の徐冷過
程では、降温速度は1°/minから20°/minま
での範囲内である、ことが好適である。
【0021】こうして、焼結後の急冷によるガラス層の
屈折率の不安定性を低減し、各層が所望の屈折率を有す
る光導波路を製造する。
【0022】
【実施例】実施例の説明に先立って、本発明の光導波路
の製造方法で利用する現象について説明する。
【0023】光導波路用ガラス膜の屈折率は、原則とし
て添加物の組成によって定まる。FHD法で作製する光
導波路用ガラス膜、特に上部クラッド用ガラス膜には、
石英ガラスの屈折率を上昇させるP2 5 と屈折率を低
下させるB2 3 が添加される。P2 5 もB2 3
石英ガラスの軟化温度を低下させる目的で、特に上部ク
ラッド層には添加されているが、上部クラッド層の屈折
率を所定の値(一般的には、下部クラッド層とほぼ同じ
値)になるように、P2 5 とB2 3 の組成が決定さ
れる。
【0024】ところが本発明者らは、上部クラッド層の
焼結後の冷却条件により上部クラッド層の屈折率が変化
する現象を見出した。つまり、焼結後の光導波路を冷却
する際、急冷すればするほど、同一組成のガラス膜の場
合、屈折率が低下する現象を見出した。すなわち、従来
技術の問題点で述べた現象は、これまで配慮されていな
かった焼結後の冷却条件の違いに帰結することを見出だ
した。
【0025】以下、本発明の光導波路の製造方法の実施
例およびその根拠となった実験測定結果を説明する。
【0026】図1は実施例における光導波路の製造工程
図であり、図2はガラス微粒子堆積時に使用する装置の
構成図である。
【0027】まず、3インチのシリコンウエハ上にFH
D法を用いて、下部クラッド層用ガラス微粒子層2を形
成後焼結し(図1(a)参照)、その上にFHD法を用
いてコア層用ガラス微粒子層3を形成後焼結した(図1
(b)参照)。下部クラッド層およびコア層形成時のバ
ーナー4に供給した原料およびガス流量は次の表1の通
りである。
【0028】
【表1】
【0029】次いで、各多孔質ガラス層2、3が焼結・
透明化され、透明ガラスからなる下部クラッド層2′及
びコア層3′が得られる(図1(c)参照)。その後、
透明ガラスからなるコア層3′に適当なパターニング加
工を施しコア部を形成した(図1(d)参照)。
【0030】ガラス微粒子堆積時には基板1はヒータ1
4により約600℃に加熱されたターンテーブル11上
に置かれた、ターンテーブルは10rpmの速度で回転
した。
【0031】また焼結は、温度800℃のHe:O2
10:1の雰囲気の炉内にガラス微粒子堆積状態の基板
を挿入後、20°/minの昇温速度で1400℃まで
加熱し、3Hour保持後、10°/min降温速度で
800℃まで降温し室温に取り出すことで行った。
【0032】このようにして作成した、下部クラッド層
およびコア層が形成された基板上に、次の表2に示す
〜の条件で上部クラッド層に相当するガラス微粒子を
堆積させた(図1(e)参照)。
【0033】
【表2】
【0034】なお、ターンテーブル回転数は10rp
m、その温度は600℃とした。
【0035】表2に示す条件〜のガラス微粒子層
は、800℃,He:O2 =10:1の雰囲気の炉に挿
入後20°/minの昇温速度で各ガラス微粒子作製条
件に対応した焼結温度(表3)まで加熱後、10°/m
inの降温速度で所定温度まで降温後、室温に取り出さ
れた(図1(f)参照)。
【0036】
【表3】
【0037】この時、焼結炉から取り出す直前の温度を
各サンプルについて400℃〜1000℃まで変え、そ
の上部クラッド相当部の屈折率をRNF法で計測した。
図3は、この時の焼結炉からの取出し温度と上部クラッ
ド層相当部の屈折率の関係を、純石英ガラスの屈折率と
の比屈折率差で表わしたグラフである。
【0038】また、図3には同時に、表2の各条件〜
の上部クラッド相当部のEPMAで測定したP2 5
とB2 3 の濃度を示す。
【0039】図3から判るように、たとえばサンプルN
o.の条件では、焼結炉からの取り出し温度が700
℃以下であれば、その比屈折率差は+0.12〜0.1
3%と安定しているが、700〜1000℃の間で焼結
炉からの取出温度が高くなるほどその屈折率が低下す
る。この現象をより明確にするために、サンプルNo.
で焼結炉からの取り出し温度が500℃であったもの
を1000℃にまで加熱し、室温まで急冷したところそ
の屈折率は+0.05%と焼結炉から1000℃で取り
出したものと同等になった。逆に焼結炉から1000℃
で取り出したものを再度1000℃にまで加熱し、10
°/minの降温速度で500℃まで徐冷したものの屈
折率は焼結炉から500℃で取り出したものと同等の+
0.12%になった。このことより、焼結炉からの取り
出し温度の違いによる急冷の程度が光導波路用のガラス
膜の屈折率の値を決定する重要な要因であることが判明
した。
【0040】したがって、所望の屈折率値を安定に得る
ためには焼結炉からの取り出し温度を厳重に管理する必
要がある。特に、例えばサンプルでは焼結炉からの取
り出し温度が700℃〜1000℃の間にある際には、
取り出し温度のわずかな変動が屈折率の変動の原因にな
る。ところが、取り出し温度が700℃以上或いは10
00℃以上であれば比較的得られる屈折率の変化は少な
い。しかし、取り出し温度が高すぎると急冷による導波
路本体や治具の破壊等の問題が生じることがある。ま
た、安全性の観点から好ましくない。
【0041】従って、サンプルNo.ではその取り出
し温度は700℃以下とすることが望ましい。このよう
に屈折率が安定に得られる取り出し温度の上限を最高安
定取出温度と定義する。サンプル,,はいずれも
安定取出温度が約700℃である。サンプル,,
はP2 5 とB2 3 の組成比は異なるもののその総量
は一定(8mol%)である。従って、最高安定取出し
温度は光導波路中のP2 5 とB2 3 の総量で概略決
まると考えられる。図4は、P2 5 とB2 3 の総量
に対する最高安定取出し温度の実験的に得られた関係を
示すグラフである。P2 5 とB2 3 の各々の添加量
をmol%で表わしたものを[P2 5],[B
2 3 ]とすると、最高安定取出し温度Tout(℃)
は図4より、 Tout=1100−50×([P2 5 ]+[B2 3 ])…(1) と表わせる。
【0042】なお、ここまでの実験で焼結温度からワー
ク取出しまでの降温速度を10°/minとしていた
が、降温速度が20°/min以上では十分な徐冷効果
は得られなかった。一方、降温速度が1°/min未満
では徐冷に時間がかかりすぎ、非能率的であり、現実的
な応用には適さないが、特性面への悪影響はない。
【0043】上記の結果は、(1)式の範囲外で焼結炉
から取り出された光導波路の屈折率を再加熱によって所
定の値に変更できることも示唆する。図5は、上記での
最高安定取出し温度より200℃高い温度を再加熱後5
00t℃まで10°/minで徐冷した時の光導波膜の
屈折率測定結果を再加熱温度に対してプロットしたグラ
フである。図5から判るように、例えば、条件のサン
プルを焼結炉から700℃以下で取り出したサンプルは
900℃以上に再加熱すればほぼ焼結炉から700℃以
下で取り出したサンプルの屈折率となるが、再加熱温度
が900℃以下の時は得られる屈折率は依然として低い
状態に留まる。このような、必要再加熱温度Ta(℃)
は、P2 5 とB2 3 の総量に対して図6に示すよう
にほぼ一意的に Ta=1100−25×([P2 5 ]+[B2 3 ])…(2) と表わすことができる。
【0044】この関係は再加熱後の徐冷温度が1°/m
in〜20°/minの範囲で成立することが実験的に
確認された。
【0045】なお、上記の説明中のサンプルの温度(T
out,Taなど)の制御は以下の手順で実施した。ま
ず事前に炉内サンプル位置に熱電対を挿入し、放射温度
計で測定したヒーター表面温度とサンプル位置温度の関
係を把握する。サンプル加熱時には、ヒーターの温度を
放射温度計で測定制御することで、炉内サンプル温度を
所望の値に制御する。
【0046】
【発明の効果】以上、詳細に説明した通り、本発明の光
導波路の製造方法の第1の方法によれば、基板上に下部
クラッド層とコア層とを形成後に、FHD法により上部
クラッド層を形成し、(1)式を満たす温度まで徐冷し
てから室温雰囲気に取り出すことにしたので、光導波路
を構成する各層の屈折率を安定して製造することがで
き、得られる各種光部品(方向性結合器等)の特性の再
現性も大きく改善することができる。
【0047】また、本発明の光導波路の製造方法の第2
の方法によれば、基板上に下部クラッド層とコア層とを
形成後に、FHD法により上部クラッド層を形成し、
(2)式を満たす温度まで再加熱し、(1)式を満たす
温度まで徐冷してから室温雰囲気に取り出すことにした
ので、上記の第1の方法と同様に、光導波路を構成する
各層の屈折率を安定して製造することができ、得られる
各種光部品(方向性結合器等)の特性の再現性も大きく
改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の光導波路の製造方法の工程図
である。
【図2】FHD法による光導波路の製造装置の構成図で
ある。
【図3】焼結炉からの取出し温度と光導波路用ガラス膜
の屈折率との関係を示すグラフである。
【図4】P2 5 およびB2 3 の添加濃度と最高安定
取出温度との関係を示すグラフである。
【図5】再加熱温度と光導波路用ガラス膜の屈折率との
関係を示すグラフである。
【図6】P2 5 およびB2 3 の添加濃度と必要再加
熱温度との関係を示すグラフである。
【図7】従来の光導波路の製造方法の工程図である。
【図8】従来の製造方法による光導波路のGe,P,B
および屈折率の第1分布例の説明図である。
【図9】従来の製造方法による光導波路のGe,P,B
および屈折率の第2分布例の説明図である。
【符号の説明】
1…基板、2,3,5…多孔質ガラス層、2′…下部ク
ラッド層、3′…コア層、4…バーナ、5′…上部クラ
ッド層、11…ターンテーブル、12…反応容器、13
…パイプ、14…ヒータ。 代理人弁理士 長谷川 芳樹

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部クラッド層と、前記下部クラッド層
    の露出表面の第1の領域上にコア層とを形成する第1の
    工程と、 焼結炉内において、前記下部クラッド層の表面の前記第
    1の領域以外の領域上および前記コア層の露出表面上
    に、P2 5 またはB2 3 の少なくとも一方を添加し
    た光導波路用ガラス膜を火炎堆積法を用いて焼結し、上
    部クラッド層を堆積する第2の工程と、 前記上部クラッド層の焼結後、焼結炉からの取り出し温
    度をTout(℃)、P2 5 の添加濃度を[P
    2 5 ](mol%)、B2 3 の添加濃度を[B2
    3 ](mol%)と表わしたとき、 Tout≦1100(℃)−50(℃/mol%)×
    {[P2 5 ]+[B2 3 ]} を満足する焼結炉からの取り出し温度まで前記光導波路
    用ガラス膜の焼結物の温度を除冷し、前記焼結炉内から
    室温へ取り出す第3の工程と、 を備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第3の工程での焼結後の前記焼結炉
    内の徐冷過程では、降温速度は1(°/min)から2
    0(°/min)までの範囲内である、ことを特徴とす
    る、請求項1記載の光導波路の製造方法。
  3. 【請求項3】 下部クラッド層と、前記下部クラッド層
    の露出表面の第1の領域上にコア層とを形成する第1の
    工程と、 焼結炉内において、前記下部クラッド層の表面の前記第
    1の領域以外の領域上および前記コア層の露出表面上
    に、P2 5 またはB2 3 の少なくとも一方を添加し
    た光導波路用ガラス膜を火炎堆積法を用いて焼結し、上
    部クラッド層を堆積する第2の工程と、 前記上部クラッド層の焼結後、前記焼結炉内で前記光導
    波路用ガラス膜の焼結物を再加熱する第3の工程と、 再加熱後、前記焼結炉からの取り出し温度をTout
    (℃)、前記上部クラッド層へのP2 5 の添加濃度を
    [P2 5 ](mol%)、前記上部クラッド層へのB
    2 3 の添加濃度を[B2 3 ](mol%)と表わし
    たとき、 Tout≦1100(℃)−50(℃/mol%)×
    {[P2 5 ]+[B2 3 ]} を満足する焼結炉からの取り出し温度まで前記光導波路
    用ガラス膜の焼結物の温度を徐冷し、前記焼結炉内から
    室温へ取り出す第4の工程と、 を備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第3の工程における再加熱温度は、
    前記再加熱温度をTa(℃)、前記上部クラッド層への
    2 5 添加濃度を[P2 5 ](mol%)、前記上
    部クラッド層へのB2 3 添加濃度を[B2 3 ](m
    ol%)と表わした時、 Ta≧1100(℃)−25(℃/mol%)×{[P
    2 5 ]+[B2 3 ]} を満足する温度に設定される、ことを特徴とする請求項
    3記載の光導波路の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第4の工程での再加熱後の前記焼結
    炉内の徐冷過程では、降温速度は1(°/min)から
    20(°/min)までの範囲内である、ことを特徴と
    する、請求項3記載の光導波路の製造方法。
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