JPH07292038A - 官能性末端基を有するイソブチレン系ポリマーの製造法 - Google Patents

官能性末端基を有するイソブチレン系ポリマーの製造法

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JPH07292038A
JPH07292038A JP10628794A JP10628794A JPH07292038A JP H07292038 A JPH07292038 A JP H07292038A JP 10628794 A JP10628794 A JP 10628794A JP 10628794 A JP10628794 A JP 10628794A JP H07292038 A JPH07292038 A JP H07292038A
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isobutylene
polymerization
based polymer
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JP10628794A
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English (en)
Inventor
Koji Noda
浩二 野田
Hiroshi Fujisawa
博 藤沢
Yoshikuni Deguchi
義国 出口
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】副反応の少ない、分子量分布の狭いポリマー
を得る、重合速度を低下させ、除熱可能なレベルの発
熱量に抑制する、モノマー濃度を上げること。 【構成】(A)イソブチレンを含有するカチオン重合性
モノマー、(B)式(1)の有機化合物:〔式中、Xは
ハロゲン原子、RO−基またはRCOO−基(Rは1価
の有機基)、R3 は多価芳香環基または多価脂肪族炭化
水素基、R1 、R2 は水素原子または1価の炭化水素
基。nは1〜6。〕、(C)溶媒および(D)ルイス酸
を用いて、0.10≦(A*)/{((A*)+(C
*)}≦0.50〔式中、(A*)および(C*)は、
それぞれ(A)成分、(C)成分の、−20℃、常圧で
の体積。〕かつ2.70≦(C#)≦0.50〔式中、
(C#)は、(C)成分の、23℃での誘電率。〕で表
される範囲に重合を行い、第3級ハロゲン基末端イソブ
チレン系ポリマーを得、ビニル基あるいはイソプロペニ
ル基末端へと末端官能基変換を行う方法。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、官能性末端基を有する
イソブチレン系ポリマーに関し、詳しくは、第3級ハロ
ゲン基末端を有するイソブチレン系ポリマー、さらに、
ビニル基あるいはイソプロペニル基末端を有するイソブ
チレン系ポリマーの製造法に関する。さらに詳しくは、 (A)イソブチレンを含有するカチオン重合性モノマー (B)開始剤兼連鎖移動剤である一般式(1):
【0002】
【化2】 〔式中、Xはハロゲン原子、RO−基またはRCOO−
基(Rは1価の有機基を示す)、R3 は多価芳香環基ま
たは置換もしくは非置換の多価脂肪族炭化水素基、
1 、R2 は水素原子または置換もしくは非置換の1価
の炭化水素基であり、R1 とR2 は同じでもよく異なっ
ていてもよく、R3 が多価脂肪族炭化水素基の場合に
は、R1 およびR2 は水素原子ではない。nは1〜6を
示す。〕で表される有機化合物、 (C)溶媒、および (D)ルイス酸、を必須成分として用いて重合を行うに
あたり、(A)成分および(C)成分の組成比が、組成
式(1): 0.10≦(A*)/{(A*)+(C*)}≦0.5
0 〔式中、(A*)および(C*)は、それぞれ(A)成
分、(C)成分の、−20℃、常圧での体積を表す。〕
で表される範囲にあり、かつ(C)成分の誘電率が、 2.70≦(C#)≦6.00 〔式中、(C#)は、(C)成分の、23℃での誘電率
を表す。〕で表される範囲にあることを特徴とする第3
級ハロゲン基末端を有するイソブチレン系ポリマーの製
造方法、およびこうして得られた第3級ハロゲン基末端
を有するイソブチレン系ポリマーの末端基を、引き続
き、特定の化合物との、置換、付加あるいは脱離反応に
より、ビニル基あるいはイソプロペニル基末端へと末端
官能基変換を行うことを特徴とするイソブチレン系ポリ
マーの製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】末端官能性ポリマー、たとえば分子両末
端に水酸基などが導入されたポリマーは、ポリウレタ
ン、接着剤、改質剤、コーティング材、シーリング剤等
の原料として有用である。このようなポリマーの一種で
ある、例えば末端官能性イソブチレン系ポリマーの製造
法としては、1,4−ビス(α−クロロイソプロピル)
ベンゼン(以下、p−DCCという)を開始剤兼連鎖移
動剤、BCl3 を触媒としてイソブチレンをカチオン重
合させるイニファー法(米国特許第4276394号明
細書)が知られている。
【0004】イニファー法でえられる両末端に塩素原子
を有するイソブチレン系ポリマーは、脱ハイドロクロリ
ネーション反応により、容易に両末端にイソプロペニル
基を持つポリマーに変換されたり、ハイドロボレーショ
ン反応により、容易に両末端に第1級炭素に結合した水
酸基を持つポリマーに変換されたりする。しかしなが
ら、上記イニファー法によるイソブチレンの重合を塩化
メチレン単独溶媒中で行わせても、重合温度は−50〜
−70℃という低温度で、しかもモノマー濃度が1M程
度の希薄状態という厳しい条件下においてさえも数種の
副反応がおこり、目的する塩素原子を含有する末端基
(−C(CH3 2 Cl)以外に、副反応により各種末
端基(−C(CH3 3 、−C(CH3 )=CH2 、−
CH=C(CH3 2 および次構造のインダニル基等)
【0005】
【化3】 を有するポリマーがかなり生成するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、テレキリッ
ク性の高いイニファー法によるイソブチレンのカチオン
重合に際し、前記のごとき低湿、低濃度、低温で重合さ
せてもかなりの副反応がおこり、ハロゲン原子に基づく
官能性末端を有するポリマーの含有率の低いポリマーし
か得られず、かつ、 重合速度が速い為に、重合初期の発熱量が大きく、バ
ッチ重合では除熱が困難であり、その為、モノマー濃度
が上げれない、 −50〜−70℃という低温で重合を行う為に、重合
後のポリマーの溶解度が低くなり、モノマー濃度を上げ
ると、反応系が析出系となり、均一な反応進行が阻害さ
れ、良好なポリマーが得られなくなる、といった大きな
課題があった。
【0007】一方、工業的見地からは、単位容積あたり
に製造できるポリマー量を上げたいといった要望は大き
く、さらに、バッチあるいは、連続的に製造するプロセ
スが設計できるように、反応系が均一でポリマーが析出
せず、かつ、重合による発熱が小さく、通常の除熱〔ジ
ャケット冷却等〕操作で対応できること(モノマー濃度
アップ、反応系の均一化、重合速度の低下)、といっ
た、処方上相反することが要求される。
【0008】こういった課題の中で、副反応抑制および
反応系の均一化の観点から、イニファー法の開拓者であ
るJ.P.Kennedyらは、多くの文献の中で、ハ
ロゲン化炭化水素系溶媒と炭化水素系溶媒の混合溶媒系
での重合技術を開示してはいるが、それらは、いずれ
も、学術的見地から実施されたものである為に、モノマ
ー濃度が極端に低いか、あるいは、ハロゲン化炭化水素
の割合が高く、その結果、重合速度が極端に速いもので
あって、上記、課題を解決するに足るものではなかっ
た。
【0009】そこで、本発明者らは、上記、イニファー
法によるイソブチレン系ポリマーの工業的製造法の開発
の立場から、特に、 副反応の少ない、分子量分布の狭いポリマーを得る 重合速度を低下させ、除熱可能なレベルの発熱量に抑
制する モノマー濃度を上げる といったことを目的に鋭意検討を重ね、その中で、特
に、重合溶媒の誘電率に着目し、重合速度、および、ポ
リマーの溶解度のバランスをとることにより、前記の目
的にかなう技術に到達した。
【0010】さらに、こうして確立した重合技術をさら
に深耕し、重合後の反応溶液を単離精製する前〔特に触
媒失活前〕に、引き続き、特定の化合物を用いることに
より、工業的により利用価値の高いビニル基あるいはイ
ソプロペニル基末端への末端官能基交換技術にも目処を
得ることを目的になされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決する為になされたものであり、 (A)イソブチレンを含有するカチオン重合性モノマー (B)開始剤兼連鎖移動剤である一般式(1):
【0012】
【化4】
【0013】〔式中、Xはハロゲン原子、RO−基また
はRCOO−基(Rは1価の有機基を示す)、R3 は多
価芳香環基または置換もしくは非置換の多価脂肪族炭化
水素基、R1 、R2 は水素原子または置換もしくは非置
換の1価の炭化水素基であり、R1 とR2 は同じでもよ
く異なっていてもよく、R3 が多価脂肪族炭化水素基の
場合には、R1 およびR2 は水素原子ではない。nは1
〜6を示す。〕で表される有機化合物、 (C)溶媒、および (D)ルイス酸、を必須成分として用いて重合を行うに
あたり、(A)成分および(C)成分の組成比が、組成
式(1): 0.10≦(A*)/{(A*)+(C*)}≦0.5
0 〔式中、(A*)および(C*)は、それぞれ(A)成
分、(C)成分の、−20℃、常圧での体積を表す。〕
で表される範囲にあり、かつ(C)成分の誘電率が、 2.70≦(C#)≦6.00 〔式中、(C#)は、(C)成分の、23℃での誘電率
を表す。〕で表される範囲にあることを特徴とする第3
級ハロゲン基末端を有するイソブチレン系ポリマーの製
造方法、およびこうして得られた第3級ハロゲン基末端
を有するイソブチレン系ポリマーの末端基を、引き続
き、特定の化合物との、置換、付加あるいは脱離反応に
より、ビニル基あるいはイソプロペニル基末端へと末端
官能基変換を行うことを特徴とするイソブチレン系ポリ
マーの製造方法に関する。
【0014】本発明の好ましい態様は、以下の通りであ
る。 (1)(A)、(B)、(C)および(D)成分に、さ
らに、(B)成分中のX基のモル数に対して、0.5〜
1.5倍モル量のアリルトリメチルシランを、重合前に
添加、あるいは重合後(D)成分失活前に添加すること
を特徴とするビニル基末端を有するイソブチレン系ポリ
マーの製造方法。 (2)(A)、(B)、(C)および(D)成分に、さ
らに、(B)成分中のX基のモル数に対して、1.5〜
10.0倍モル量の1,9−デカジエンを、重合後
(D)成分失活前に添加することを特徴とするビニル基
末端を有するイソブチレン系ポリマーの製造方法。 (3)(A)、(B)、(C)および(D)成分に、さ
らに、(B)成分中のX基のモル数に対して、1.0〜
5.0倍モル量のイソプレンを、重合後(D)成分失活
前に添加することを特徴とするビニル基末端を有するイ
ソブチレン系ポリマーの製造方法。 (4)(A)、(B)、(C)および(D)成分に、さ
らに、(B)成分中のX基のモル数に対して、1.0〜
25.0倍モル量の金属アルコキシドを、重合後(D)
に添加し加熱することを特徴とするイソプロペニル基末
端を有するイソブチレン系ポリマーの製造方法。 (5)(C)成分である溶媒が、ハロゲン化炭化水素系
溶媒と、炭化水素系溶媒の混合溶媒である官能性末端基
を有するイソブチレン系ポリマーの製造方法。 (6)(D)成分の使用量が、使用される(B)成分中
のX基のモル数と、(D)成分のモル数の比で、1.0
/0.5〜1.0/10.0の範囲である官能性末端基
を有するイソブチレン系ポリマーの製造方法。 (7)さらに(E)成分として、電子供与体が添加され
ることを特徴とする官能性末端基を有するイソブチレン
系ポリマーの製造方法。 (8)(E)成分の使用量が、使用される(B)成分中
のX基のモル数と、(E)成分のモル数の比で、1.0
/0.05〜1.0/1.0の範囲である官能性末端基
を有するイソブチレン系ポリマーの製造方法。 (9)(E)成分が、2−メチルピリジンである官能性
末端基を有するイソブチレン系ポリマーの製造方法。 (10)(B)成分が、p−ジクミルクロライド、p−
ジクミルメトキシド、1,3,5−トリクミルクロライ
ド、1,3,5−トリクミルメトキシドの中から選ばれ
る化合物である官能性末端基を有するイソブチレン系ポ
リマーの製造方法。 (11)(D)成分が、四塩化チタンである官能性末端
基を有するイソブチレン系ポリマーの製造方法。
【0015】本発明において、官能性末端基を有するイ
ソブチレン系ポリマーとは、イソブチレン系ポリマーの
末端に第3級ハロゲン基、ビニル基およびイソプロペニ
ル基から選択される1種を有する意味である。本発明に
用いる(A)成分であるイソブチレンを含有するカチオ
ン重合性モノマーとは、イソブチレンのみからなるモノ
マーに限定されるものではなく、要すればイソブチレン
の50%(重量%、以下同様)以下をイソブチレンと共
重合し得るカチオン重合性モノマーで置換したモノマー
のことである。
【0016】イソブチレンと共重合し得るカチオン重合
性モノマーとしては、例えば炭素数3〜12のオレフィ
ン類、共役ジエン類、ビニルエーテル類、芳香族ビニル
化合物類、ビニルシラン類またはアリルシラン類等が挙
げられる。これらの中でも炭素数3〜12のオレフィン
類または共役ジエン類などが好ましい。
【0017】前記イソブチレンと共重合し得るカチオン
重合性モノマーの具体的としては、例えば、プロピレ
ン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテ
ン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−
1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ブタ
ジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、メチルビニ
ルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニル
エーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルス
チレン、モノクロロメチルスチレン、ジクロロスチレ
ン、β−ピネン、インデン、ビニルトリクロロシラン、
ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシ
ラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチ
ルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキ
シシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル
−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビ
ニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリク
ロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメ
チルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、ア
リルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジア
リルジメトキシシラン、ジアリルジメチウシラン、γ−
メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン等があげられ、これらのうちで好ましいものとして
は、例えば、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、ス
チレン、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン
などがあげられる。これらイソブチレンと共重合し得る
カチオン重合性モノマーは、単独でイソブチレンと併用
してもよく、2種以上で併用してもよい。
【0018】本発明に用いる(B)成分である開始剤兼
連鎖移動剤である一般式(1)で表される有機化合物の
例としては、一般式(2): AYn (2) 〔式中、Aは1〜4個の芳香環を有する基、Yは一般式
(3):
【0019】
【化5】
【0020】{式中、R4 、R5 は、水素原子又は炭素
数1〜20の1価の炭化水素基で、R4 とR5 とは同じ
でもよく、異なっていてもよい。XはF、Cl、Br、
Iの如きハロゲン原子、RO−またはRCOO−基}で
示される芳香環に結合した基、nは1〜6を示す。〕で
表される化合物、一般式(4): BZm (4) 〔式中、Bは炭素数4〜40の炭化水素基、Zは第3級
炭素原子に結合したハロゲン原子、RO−またはRCO
O−基(Rは前記と同じ)、mは1〜4を示す。〕で表
される化合物及びα−ハロスチレン単位を有するオリゴ
マー等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上併
用してもよい。
【0021】一般式(2)で表される化合物における1
〜4個の芳香環を有する基であるAは、縮合反応により
形成されたものでもよく、非縮合系のものでもよい。こ
のような芳香環を有する基の具体例としては、例えば、
フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナン
スレニル基、ピレニル基、およびそれらから誘導される
2〜6価の基、ビフェニル基、Ph−(CH2 L −P
h基(Phはフェニル基、Lは1〜10の整数)等から
誘導される1〜6価の基等が挙げられ、これらの芳香環
を有する基は炭素数1〜20の直鎖及び(又は)分枝の
脂肪族炭化水素基や、水酸基、エーテル基、ビニル基等
の官能基を有する基で置換されていてもよい。
【0022】一方、一般式(4)で表される化合物にお
けるZは、第3級炭素原子に結合したF、Cl、Br、
Iの如きハロゲン原子、RO−またはRCOO−基であ
り、一般式(4)におけるBは炭素数4〜40の炭化水
素基、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、この炭素数
が4未満になるとハロゲン原子、RO−またはRCOO
−基の結合する炭素が第3級炭素原子でなくなり、重合
が進みにくくなって使用するのに適さなくなる。
【0023】開始剤兼連鎖移動剤として用いることので
きるα−ハロスチレン単位を有するオリゴマーとして
は、例えばα−クロロスチレンのオリゴマーや、α−ク
ロロスチレンとこれと共重合し得る単量体とを共重合さ
せたオリゴマー等が挙げられる。
【0024】本発明の方法において、一般式(1)で表
される結合状態のハロゲン原子、RO−またはRCOO
−を2個以上有する化合物、または一般式(1)で表さ
れる結合状態のハロゲン原子、RO−またはRCOO−
基と他の反応性官能基とを有する化合物を開始剤兼連鎖
移動剤として用いると、両末端官能性の重合体、いわゆ
るテレケリック重合体をうることができ、その末端官能
化度を高くできるので、非常に有効である。
【0025】前記開始剤兼連鎖移動剤の具体例として
は、例えば、
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】α−クロロスチレンのオリゴマーのような
ハロゲン原子含有有機化合物またはRCOO−基含有有
機化合物が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。これら化合物の中で好ましいものとしては、
【0029】
【化8】
【0030】のような安定な炭素陽イオンを生成しうる
−C(CH3 2 Clまたは−C(CH3 2 Brを有
するハロゲン原子含有有機化合物や、
【0031】
【化9】
【0032】のようなCH3 COO−基含有有機化合物
などがあげられる。これらの化合物は、開始剤兼連鎖移
動剤として使用される成分であり、その使用量により、
得られるポリマーの分子量をコントロールすることがで
きるが、通常、イソブチレンを含有するカチオン重合性
モノマーに対して0.01〜20%程度、さらには0.
1〜10%の割合で使用される。
【0033】本発明に用いられる(D)成分であるルイ
ス酸は、触媒として使用される成分であり、MX′n
(Mは金属原子、X′はハロゲン原子)で表されるも
の、例えば、BCl3 、AlCl3 、SnCl4 、Ti
Cl4 、VCl5 、FeCl3 、BF3 等があげられる
が、これらに限定されるものではない。これらのルイス
酸のうち、SnCl4 、TiCl4 などが好ましく、さ
らに好ましいものとしてTiCl4 があげられる。
【0034】前記ルイス酸の使用量は、開始剤兼連鎖移
動剤のモル数に対し0.1〜10倍が好ましく、さらに
好ましくは1〜5倍である。本発明において、(C)成
分として用いる溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、又
は炭化水素とハロゲン化炭化水素との混合溶媒を通常使
用する。ハロゲン化炭化水素としては、通常、塩化メチ
ル、塩化メチレン、塩化エチル、ジクロロエタン、クロ
ロホルム、トリクロロエタン等を、炭化水素としては、
通常、プロパン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、トルエン等が挙げられる。ま
た、混合溶媒としては、塩化メチル/ヘキサン、塩化メ
チレン/ヘキサン、塩化メチレン/ヘプタン混合溶媒
等、種々の組み合わせにおいて、特に制限はないが、得
れるポリマーの溶解度、およびその重合速度、副反応の
抑制等の観点から用いる(C)成分である溶媒の誘電率
は、2.70以上、6.00以下でなければならない。
2.70より小さいと重合が十分に進行せず、収率が上
がらず、6.00より大きいと重合が速くなりすぎ、除
熱が困難になる、副反応が増える等により、分子量分布
が広くなり、良好なポリマーが得られなくなる。
【0035】また、誘電率コントロールが簡便、ポリマ
ーの溶解度が高いといった観点から塩化メチレン/ヘキ
サンの混合溶媒を用いる事が特に好ましい。実際の重合
方法としては、1つの容器に溶媒、モノマー、開始剤兼
連鎖移動剤、触媒などを順次仕込んでいくバッチ法でも
よいし、触媒、モノマー、開始剤兼連鎖移動剤、触媒な
どをある系内に連続的に仕込みながら反応させ、さらに
反応生成物が取り出される連続法でもよい。
【0036】重合温度としては、−10〜−120℃が
好ましく、さらに好ましくは−20〜−80℃であり、
重合時間としては、好ましくは0.5〜60分、さらに
好ましくは1〜30分である。重合時のモノマー濃度と
しては、(A)成分および(C)成分の組成比が、組成
式(1):0.10≦(A*)/{(A*)+(C
*)}≦0.50〔式中、(A*)および(C*)は、
それぞれ(A)成分、(C)成分の、−20℃、常圧で
の体積を表す。〕で表される範囲にあることであり、
0.10より小さければ重合そのものには問題は無いも
のの、製造効率が低くなる為に好ましくなく、0.50
より大きければ、重合系が析出系になり、良好なポリマ
ーが得られなくなる為に好ましくない。
【0037】好ましい実施範囲を示すと表1のようにな
る。
【0038】
【表1】
【0039】(C#)算出の為の各種溶媒の誘電率〔代
表値〕は、以下の通りである。CH2 Cl2 7.7
7、CH3 CH2 Cl 9.45 n−ヘキサン 1.89、CH3 CHCl2 10.0 n−ヘプタン 1.92、CHCl3 4.80 また、本発明においては、副反応をより効率良く抑制す
る為に、(E)成分として電子供与体を用いることが好
ましい。
【0040】本発明において、電子供与体成分として
は、そのドナー数が15〜50のものであれば、従来公
知のものを広く使用できる。ドナー数とは、種々の化合
物の電子供与体(エレクトロンドナー)としての強さを
表すパラメーターである。種々の化合物のドナー数につ
いては、「ドナーとアクセプター」〔グートマン著(大
瀧、岡田訳)学会出版センター(1983)〕に示され
ている。好ましい電子供与体成分として、例えばピリジ
ン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類またはニト
リル類を挙げることができるが、これらに限定されるも
のではない。
【0041】本発明において、電子供与体成分として、
通常、具体的には、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、
2−t−ブチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリ
ジン、2,6−ジメチルピリジン、2−メチルピリジ
ン、ピリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、ト
リエチルアミン、トリブチルアミン、ジエチルアミン、
N,N−ジメチルアニリン、アニリン、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,
N−ジエチルアセトアミド、プロピオノニトリル、ジメ
チルスルホキシド、ジエチルエーテル、酢酸メチル、酢
酸エチル、リン酸トリメチル、リン酸トリブチル、ヘキ
サメチルリン酸トリアミド等が使用できるが、好ましい
ものとして、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,6
−ジメチルピリジン、2−メチルピリジン、ピリジン、
ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドを
挙げることができる。さらに効果が顕著なため好ましい
ものとして、2−メチルピリジン(α−ピコリン)等の
ピコリン類を挙げることができる。
【0042】また、本発明において、電子供与体成分
は、通常、(B)成分である前記一般式(1)で表され
る化合物に対して0.01〜10倍モルの範囲で用いる
が、好ましくは、0.2〜2倍モルの範囲である。本発
明の第2の発明である、こうして得られた第3級ハロゲ
ン基末端を有するイソブチレン系ポリマーの末端基を、
引き続き、特定の化合物との、置換、付加あるいは脱離
反応により、ビニル基あるいはイソプロペニル基末端へ
と末端官能基変換を行うことを特徴とするイソブチレン
系ポリマーの製造方法に関して、第1の方法であるアリ
ルトリメチルシランを用いた、置換反応による第3級ハ
ロゲン基末端のビニル基末端への変換については、重合
段階で用いた触媒がそのまま、置換反応の促進触媒とな
り、かつ、重合溶媒がそのまま置換反応の反応溶媒にな
るために、(D)成分の失活前に、アリルトリメチルシ
ランを必要量、重合系に添加するだけで、目的のビニル
基末端が容易に製造できる。また、好適な反応条件とし
ては、反応温度も重合温度のままで良く、置換反応に要
する時間も短い為に、添加後、30分以上保持すれば良
い。また、用いるアリルトリメチルシランの量は、
(B)成分中のX基のモル数に対して、1.0〜1.5
倍以上あれば良く、あえて、ビニル基含量の低いポリマ
ーを得たい場合には、0.5倍程度まで低下させれば良
い。
【0043】さらに、アリルトリメチルシランは、重合
反応には、全く関与しない為に、重合前から重合系内に
添加しておいても良い。 〔例示代表スキーム〕 P−C(CH3 2 Cl→P−C(CH3 2 CH2
H=CH2 (Pは、ポリマー残基)第2の方法である1,9−デカ
ジエンに代表される非共役ジエンを用いた、付加反応に
よる第3級ハロゲン基末端のビニル基末端への変換につ
いては重合段階で用いた触媒がそのまま、付加反応の促
進触媒となり、かつ、重合溶媒がそのまま付加反応の反
応溶媒になる為に、(D)成分の失活前に、非共役ジエ
ンを必要量、重合系に添加するだけで、目的のビニル基
末端が容易に製造できる。また、好適な反応条件として
は、反応温度も重合温度のままで良く、付加反応に要す
る時間も短い為に、添加後、2時間以上保持すれば良
い。また、用いる非共役ジエンの量は、(B)成分中の
X基のモル数に対して、1.5〜10.0倍程度あれば
良く、あえて、ビニル基含量の低いポリマーを得たい場
合には、0.5倍程度まで低下させれば良い。また、こ
の系においては、付加反応速度をさらに促進する目的
で、(D)成分であるルイス酸を追加したり、反応温度
をさらに低下させても良い。 〔例示代表スキーム〕 P−C(CH3 2 Cl→P−C(CH3 2 CH2
HCl(CH2 n CH=CH2 (Pは、ポリマー残基、nは、2以上) 第3の方法であるイソプレンを用いた、付加反応による
第3級ハロゲン基末端のビニル基末端への変換について
は重合段階で用いた触媒がそのまま、付加反応の促進触
媒となり、かつ、重合溶媒がそのまま付加反応の反応溶
媒になる為に、(D)成分の失活前に、イソプレンを必
要量、重合系に添加するだけで、目的のビニル基末端が
容易に製造できる。また、好適な反応条件としては、反
応温度も重合温度のままで良く、付加反応に要する時間
も短い為に、添加後、30分以上保持すれば良い。ま
た、用いるイソプレンの量は、(B)成分中のX基のモ
ル数に対して、1.5〜5.0倍程度あれば良く、あえ
て、ビニル基含量の高いポリマーを得たい場合には、5
倍以上添加すれば良い。 〔例示代表スキーム〕 P−C(CH3 2 Cl→P−C(CH3 2 CH2
(CH3 )−CH=CH2 (Pは、ポリマー残基) 第4の方法である金属アルコキシドを用いた、脱離反応
による第3級ハロゲン基末端のイソプロペニル基末端へ
の変換については重合段階で用いた触媒を失活させる際
に、多量の水等に接触させる前に、金属アルコキシドを
添加することにより触媒を失活させ、さらに、加熱する
ことにより、脱離反応を進行させ、目的のイソプロペニ
ル基末端へ変換することができる。
【0044】また、重合後、通常の精製処理(水洗、濃
縮等)を終えた後、金属アルコキシドを添加し、加熱す
ることによっても、目的のイソプロペニル基末端への変
換は可能であるが、重合後の触媒失活段階で金属アルコ
キシドを添加する方法によれば、その脱離反応速度が上
がるだけでなく、さらには、水を全く使わない精製処理
が可能となり、濾過による分離のみで、無色透明のイソ
ブチレン系ポリマーを得ることができる。このことによ
り、有機溶媒(特にハロゲン溶媒)を含む排水処理等の
問題が発生しなくなるという長所がある。
【0045】好適な反応条件としては、加熱温度は、1
00℃程度が望ましく、溶媒濃縮時に加熱と同時に行っ
ても良い。すなわち、この脱離反応は反応溶媒を必要と
しないという点にも特徴がある。脱離反応に要する時間
も短い為に、添加後、3時間以上保持すれば良い。ま
た、用いる金属アルコキシドの量は、(B)成分中のX
基のモル数に対して、1.0〜25.0倍程度あれば良
く、反応時間を短縮したい場合には、多く添加すれば良
い。
【0046】本発明に用いる金属アルコキシドの具体例
としては、NaOCH3 、KOCH3 、LiOCH3
NaOCH2 CH3 、KOCH2 CH3 、LiOCH2
CH3 、NaOCH2 CH2 CH3 、KOCH2 CH2
CH3 、NaOCH(CH32 、KOCH(CH3
2 、NaOCH2 CH2 CH2 CH3 、KOCH2 CH
2 CH2 CH3 、NaOC(CH3 3 、KOC(CH
3 3 、NaOC(CH3 2 2 5 、KOC(CH
3 2 2 5 、Ca(OCH3 2 、Mg(OC
3 2 、Al(OCH3 2 、Ti(OCH3 4
Ca(OCH2 CH3 2 、Mg(OCH2 OCH3
2 、Al(OCH2 CH3 3 、Ti(OCH2
3 4 、Al〔OCH(CH3 2 3 より選ばれる
1種の化合物であり、安価であり、かつ、その反応性が
高いという点でNaOCH3 が特に好ましい。 〔例示代表スキーム〕 P−C(CH3 2 Cl→P−C(CH3 )=CH
2 (Pは、ポリマー残基)
【0047】
【実施例】次に本発明を実施例にもとづき説明する。 実施例1〔第3級ハロゲン基末端イソブチレン系ポリマ
ーの合成〕 4つ口フラスコに、攪拌装置、窒素ラインを装備する。
この中に、乾燥した塩化メチレン560ml、n−ヘキ
サン1160ml、2−メチルピリジン940mg、p
−ジクミルクロリド22gを秤量し、均一混合溶液とし
た後に、−70℃まで冷却し、減圧下、イソブチレンモ
ノマー570mlをモレキュラーシーブス管を通して仕
込んだ。
【0048】−70℃まで冷却した上記反応溶液中に、
攪拌下、あらかじめ冷却した重合触媒溶液(四塩化チタ
ン14ml/塩化メチレン80ml)を一気に加えて、
重合を開始した。一旦、−54℃まで昇温した後、約1
7分で−70℃まで降温した。重合開始後、約20分
後、黄濁色の反応溶液を、3Lの温水(約45℃)中に
入れ、約3時間攪拌し、有機層を分離し、純水による水
洗を3回繰り返した。
【0049】こうして得られた無色透明の有機層を減圧
濃縮し、両末端に第3級クロル基を有するイソブチレン
系ポリマー約400gを得た(各種分析値は表2に併せ
て示す)。 実施例2〜3 実施例1の内、p−ジクミルクロリドの使用量を、2分
の1(実施例2)、3分の1(実施例3)、にする以外
は、すべて同様に行い、分子量の異なるイソブチレン系
ポリマーを得た(各種分析値は表2に併せて示す)。
【0050】実施例4 実施例1の内、重合温度を−50℃にし、使用する重合
溶媒の量を、塩化メチレン688ml、n−ヘキサン1
032mlに変更する以外は、すべて同様に行い、目的
とするイソブチレン系ポリマーを得た(各種分析値は表
2に併せて示す)。
【0051】構造式 Cl{C(CH3 2 CH2 n C(CH3 2 (C6
4 )C(CH3 2{CH2 −C(CH3 2 m
l 実施例5 実施例1の内、p−ジクミルクロリドを、モル数一定
で、1,3,5−トリクミルクロリドに代える以外は、
すべて同様に行い、分岐数の異なるイソブチレン系ポリ
マーを得た。
【0052】構造式 (C6 3 )〔C(CH3 2 {CH2 −C(CH3
2 n Cl〕3 実施例6〔ビニル基末端イソブチレン系ポリマーの合
成〕4つ口フラスコに、攪拌装置、窒素ラインを装備す
る。この中に、乾燥した塩化メチレン560ml、n−
ヘキサン1160ml、2−メチルピリジン940m
g、p−ジクミルクロリド22gを秤量し、均一混合溶
液とした後に、−70℃まで冷却し、減圧下、イソブチ
レンモノマー570mlをモレキュラーシーブス管を通
して仕込んだ。
【0053】−70℃まで冷却した上記反応溶液中に、
攪拌下、あらかじめ冷却した重合触媒溶液(四塩化チタ
ン14ml/塩化メチレン80ml)を一気に加えて、
重合を開始した。一旦、−54℃まで昇温した後、約1
7分で−70℃まで降温した。重合開始後、約20分
後、1,9−デカジエン132gを添加し、さらに−7
0℃で4時間、攪拌を継続した。
【0054】黄濁色の反応溶液を、3Lの温水(約45
℃)中に入れ、約2時間攪拌し、有機層を分離し、純水
による水洗を3回繰り返した。こうして得られた無色透
明の有機層を減圧濃縮し、両末端にビニル基を有するイ
ソブチレン系ポリマー約400gを得た(各種分析値は
表2に併せて示す)。 実施例7〜8 実施例6の内、p−ジクミルクロリドと、1,9−デカ
ジエンの使用量を、2分の1(実施例7)、3分の1
(実施例8)、にする以外は、すべて同様に行い、分子
量の異なるイソブチレン系ポリマーを得た(各種分析値
は表2に併せて示す)。
【0055】構造式 CH2 =CH(CH2 6 CClHCH2 {C(C
3 2 CH2 n C(CH3 2 (C6 4 )C(C
3 2 {CH2 −C(CH3 2 m CH2 CClH
(CH2 6 CH=CH2 実施例9 実施例6の内、1,9−デカジエンの代わりに、アリル
トリメチルシラン24gを使用する以外は、すべて同様
に行い、末端ビニル基の構造が一部異なるイソブチレン
系ポリマーを得た(各種分析値は表2に併せて示す)。
【0056】実施例10〜11 実施例9の内、p−ジクミルクロリドと、アリルトリメ
チルシランの使用量を、2分の1(実施例10)、3分
の1(実施例11)、にする以外は、すべて同様に行
い、分子量の異なるイソブチレン系ポリマーを得た(各
種分析値は表2に併せて示す)。
【0057】構造式 CH2 =CHCH2 {C(CH3 2 CH2 n C(C
3 2 (C6 4 )C(CH3 2 {CH2 −C(C
3 2 m CH2 CH=CH2 実施例12 4つ口フラスコに、攪拌装置、窒素ラインを装備する。
この中に、乾燥した塩化メチレン560ml、n−ヘキ
サン1160ml、2−メチルピリジン940mg、p
−ジクミルクロリド22gを秤量し、均一混合溶液とし
た後に、−70℃まで冷却し、減圧下、イソブチレンモ
ノマー570mlをモレキュラーシーブス管を通して仕
込んだ。
【0058】−70℃まで冷却した上記反応溶液中に、
攪拌下、あらかじめ冷却した重合触媒溶液(四塩化チタ
ン14ml/塩化メチレン80ml)を一気に加えて、
重合を開始した。一旦、−54℃まで昇温した後、約1
7分で−70℃まで降温した。重合開始後、約60分
間、攪拌を継続した。
【0059】黄濁色の反応溶液に、ナトリウムアルコキ
シド100gを添加した後、反応溶液を攪拌中、40℃
まで昇温し、さらに攪拌を1時間継続した。次に反応溶
液を減圧下、100℃まで昇温しながら2時間かけて揮
発分を留去した。反応器内に残った残留物に、n−ヘキ
サン2000mlを加え、残留物を溶解させた後、減圧
濾過を行った。
【0060】こうして得られた無色透明の有機層を減圧
濃縮し、両末端にイソプロペニル基を有するイソブチレ
ン系ポリマー約400gを得た(各種分析値は表2に併
せて示す)。 実施例13〜14 実施例12の内、p−ジクミルクロリドの使用量を、2
分の1(実施例13)、3分の1(実施例14)、にす
る以外は、すべて同様に行い、分子量の異なるイソブチ
レン系ポリマーを得た(各種分析値は表2に併せて示
す)。
【0061】構造式 CH2 =C(CH3 )CH2 {C(CH3 2 CH2
n C(CH3 2 (C6 4 )C(CH3 2 {CH2
−C(CH3 2 m CH2 C(CH3 )=CH2 実施例15 実施例6の内、1,9−デカジエンの代わりに、イソプ
レンを50g使用する以外は、すべて同様に行い、末端
ビニル基の構造が一部異なるイソブチレン系ポリマーを
得た(各種分析値は表2に併せて示す)。
【0062】比較例1〔第3級クロル基末端イソブチレ
ン系ポリマーの合成〕 実施例1の内、使用する重合溶媒の量を、塩化メチレン
180ml、n−ヘキサン1540mlに変更する以外
は、すべて同様に行い、分子量分布の広いイソブチレン
系ポリマーを得た(各種分析値は表2に併せて示す)。 比較例2 実施例1の内、使用する重合溶媒の量を、塩化メチレン
1320ml、n−ヘキサン400mlに変更する以外
は、すべて同様に行い、分子量分布の広いイソブチレン
系ポリマーを得た(各種分析値は表2に併せて示す)。
【0063】
【表2】
【0064】実施例16 実施例1の内、p−ジクミルクロライドの使用量を4分
の1にする以外はすべて同様に重合をおこなった。ただ
し、今回は、重合反応の経時変化を追跡する為に、途中
サンプリングを繰り返し、それぞれ、重合時の発熱挙
動、重合収率の経時変化、および、経時サンプルのGP
C分析結果をあわせて評価した。結果を表3および図1
および2に示す。
【0065】
【表3】
【0066】以上、実施例を総括すると、本発明の第1
の発明である第3級ハロゲン基末端イソブチレン系ポリ
マーの製造法に関しては、実施例1〜5、および比較例
1〜2より明らかなように、使用する重合溶媒の誘電率
を考慮して処方を決定すれば、高濃度のモノマー条件で
の良好なポリマー合成が可能になることがわかり、か
つ、広範囲な分子量設計もできることがわかる。
【0067】また、実施例16から、明らかなように、
本発明の方法によれば、高濃度のモノマー条件で重合を
行っているにもかかわらず、重合速度を小さくでき、バ
ッチ式でも十分に除熱可能な範囲の発熱に抑制できるよ
うになっており、さらに、得られるポリマーの分子量分
布も狭く、インダニル骨格の副反応をも抑制できてい
る。
【0068】本発明の第2の発明である、こうして得ら
れた第3級ハロゲン基末端を有するイソブチレン系ポリ
マーの末端基を、引き続き、特定の化合物との、置換、
付加あるいは脱離反応により、ビニル基あるいはイソプ
ロペニル基末端へと末端官能基変換を行うことを特徴と
するイソブチレン系ポリマーの製造方法に関しては、実
施例6〜15までを見れば明かなように、それぞれの実
施例において目的とする末端官能基を有するイソブチレ
ン系ポリマーが、簡便な方法で高効率(高変換率)で得
られていることがわかる。
【0069】
【発明の効果】本発明は、使用する重合溶媒とイソブチ
レンを含有するカチオン重合性モノマーとの特定の容積
比、および重合溶媒の誘電率が特定範囲のものを選択す
ることにより、高濃度のモノマー条件での良好なポリマ
ー合成が可能になることがわかり、かつ、広範囲な分子
量設計もできる。
【0070】本発明の方法によれば、高濃度のモノマー
条件で重合を行っているにもかかわらず、重合速度を小
さくでき、バッチ式でも十分に除熱可能な範囲の発熱に
抑制できるようになっており、さらに、得られるポリマ
ーの分子量分布も狭く、インダニル骨格の副反応をも抑
制できる。本発明は、得られた第3級ハロゲン基末端を
有するイソブチレン系ポリマーの末端基を、引き続き、
特定の化合物との、置換、付加あるいは脱離反応によ
り、ビニル基あるいはイソプロペニル基末端へと末端官
能基変換を特定構造の開始剤兼連鎖移動剤の特定の官能
基に対する該化合物量を規定することにより行い、目的
とする末端官能基を有するイソブチレン系ポリマーが、
容易に高効率(高変換率)で得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例16の結果を示すもので、イソブチレン
系ポリマーの収率およびMn(GPC分析)の経時変化
を示すグラフである。
【図2】実施例16の経時(5分、10分、30分)に
おけるGPCのクロマトグラムの変化を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/3432 C08L 23/22 KFB

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)イソブチレンを含有するカチオン重
    合性モノマー (B)開始剤兼連鎖移動剤である一般式(1): 【化1】 〔式中、Xはハロゲン原子、RO−基またはRCOO−
    基(Rは1価の有機基を示す)、R3 は多価芳香環基ま
    たは置換もしくは非置換の多価脂肪族炭化水素基、
    1 、R2 は水素原子または置換もしくは非置換の1価
    の炭化水素基であり、R1 とR2 は同じでもよく異なっ
    ていてもよく、R3 が多価脂肪族炭化水素基の場合に
    は、R1 およびR2 は水素原子ではない。nは1〜6を
    示す。〕で表される有機化合物、(C)溶媒、および
    (D)ルイス酸、 を必須成分として用いて重合を行うにあたり、(A)成
    分および(C)成分の組成比が、組成式(1): 0.10≦(A*)/{(A*)+(C*)}≦0.5
    0 〔式中、(A*)および(C*)は、それぞれ(A)成
    分、(C)成分の、−20℃、常圧での体積を表す。〕
    で表される範囲にあり、かつ(C)成分の誘電率が、 2.70≦(C#)≦6.00 〔式中、(C#)は、(C)成分の、23℃での誘電率
    を表す。〕で表される範囲にあることを特徴とする第3
    級ハロゲン基末端を有するイソブチレン系ポリマーの製
    造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の(A)、(B)、(C)お
    よび(D)成分に、さらに、(B)成分中のX基のモル
    数に対して、0.5〜1.5倍モル量のアリルトリメチ
    ルシランを、重合前に添加、あるいは重合後(D)成分
    失活前に添加することを特徴とするビニル基末端を有す
    るイソブチレン系ポリマーの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の(A)、(B)、(C)お
    よび(D)成分に、さらに、(B)成分中のX基のモル
    数に対して、1.5〜10.0倍モル量の1,9−デカ
    ジエンを、重合後(D)成分失活前に添加することを特
    徴とするビニル基末端を有するイソブチレン系ポリマー
    の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の(A)、(B)、(C)お
    よび(D)成分に、さらに、(B)成分中のX基のモル
    数に対して、1.0〜5.0倍モル量のイソプレンを、
    重合後(D)成分失活前に添加することを特徴とするビ
    ニル基末端を有するイソブチレン系ポリマーの製造方
    法。
  5. 【請求項5】請求項1記載の(A)、(B)、(C)お
    よび(D)成分に、さらに、(B)成分中のX基のモル
    数に対して、1.0〜25.0倍モル量の金属アルコキ
    シドを、重合後(D)に添加し加熱することを特徴とす
    るイソプロペニル基末端を有するイソブチレン系ポリマ
    ーの製造方法。
  6. 【請求項6】(C)成分である溶媒が、ハロゲン化炭化
    水素系溶媒と、炭化水素系溶媒の混合溶媒であることを
    特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の官能性
    末端基を有するイソブチレン系ポリマーの製造方法。
  7. 【請求項7】(D)成分の使用量が、使用される(B)
    成分中のX基のモル数と、(D)成分のモル数の比で、
    1.0/0.5〜1.0/10.0の範囲であることを
    特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の官能性
    末端基を有するイソブチレン系ポリマーの製造方法。
  8. 【請求項8】さらに(E)成分として、電子供与体が添
    加されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項
    に記載の官能性末端基を有するイソブチレン系ポリマー
    の製造方法。
  9. 【請求項9】(E)成分の使用量が、使用される(B)
    成分中のX基のモル数と、(E)成分のモル数の比で、
    1.0/0.05〜1.0/1.0の範囲であることを
    特徴とする請求項8に記載の官能性末端基を有するイソ
    ブチレン系ポリマーの製造方法。
  10. 【請求項10】(E)成分が、2−メチルピリジンであ
    ることを特徴とする請求項8または9記載の官能性末端
    基を有するイソブチレン系ポリマーの製造方法。
  11. 【請求項11】(B)成分が、p−ジクミルクロライ
    ド、p−ジクミルメトキシド、1,3,5−トリクミル
    クロライド、1,3,5−トリクミルメトキシドの中か
    ら選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1〜1
    0のいずれか1項に記載の官能性末端基を有するイソブ
    チレン系ポリマーの製造方法。
  12. 【請求項12】(D)成分が、四塩化チタンであること
    を特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の官
    能性末端基を有するイソブチレン系ポリマーの製造方
    法。
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