JP3816690B2 - 末端にカルボン酸基誘導体を有する飽和炭化水素系重合体及びその製造方法 - Google Patents

末端にカルボン酸基誘導体を有する飽和炭化水素系重合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保護されたカルボン酸基を末端に有する重合体主鎖が飽和な炭化水素系重合体であって、加水分解により容易に末端をカルボン酸基に変換し得るもの(以下、保護されたカルボン酸基を末端に有する飽和炭化水素系重合体という)、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高耐候性が期待される飽和炭化水素系高分子重合体として、カチオン重合により得られるポリイソブチレンが知られている。特にリビングカチオン重合により得られるポリイソブチレンの末端に、種々の官能基を導入する方法は公知である。
【0003】
末端官能基としてカルボン酸基を有する化合物はポリオールとの脱水縮合によりポリエステルを与えるなど反応性が高くその開発が期待されている。
【0004】
J.P.Kennedyらはリビングカチオン重合によって合成される塩素基を末端に有するポリイソブチレンをまず合成し、次いで▲1▼tBuOKを用いて末端の脱塩酸反応をおこなうことによりイソプロペニル基末端基に誘導したり、あるいは▲2▼四塩化チタン存在下でアリルトリメチルシランを反応させることでアリル基末端のポリイソブチレンを合成した後に、BH3または9−BBNといったヒドリド−ボラン試薬との反応をおこない、これにさらに過酸化水素を反応させることによって定量的に末端に水酸基を導入する方法を開示している(例えばB. Ivan, J.P. Kennedy, and V. S. C. Chang, J. Polym. Sci., Polym. Chem, Ed., 1980, 18, 3177およびB. Ivan, and J. P. Kennedy, Polym. Mater. Sci. Eng., 1988, 58, 866など)。このようにして得られたイソプロペニル基末端あるいは水酸基末端を原料としてカルボン酸基を末端に有するポリイソブチレンの合成法が報告されている。
【0005】
カルボキシル基をポリイソブチレンの末端に導入する方法として、ポリイソブチレンのイソプロペニル基末端を紫外線照射下、カルボキシル基を有するチオールと反応させる方法が開示されている(例えばO. Nuyken, V. S. C. Chang, and J.P. Kennedy, Polym. Bull., 1981, 4, 61など)。しかしこの手法では、紫外線を用いないといけないために合成が容易ではなく、また得られる重合体末端がチオエーテル構造を有するため、耐候性に問題がある。
【0006】
第二の方法として、上述の方法により得たポリイソブチレンの水酸基末端とカルボン酸無水物とを反応させることによりエステル結合を形成してカルボキシル基を導入する方法が開示されている(例えばT.-P.Liao, and J.P. Kennedy, Polym. Bull., 1981, 5, 11およびV.Percec, S.C.Guhaniyogi, and J.P. Kennedy, Polym. Bull., 1982, 8, 319など)。この手法では、末端に水酸基を導入する際に用いるヒドリド−ボラン試薬が他の一般的な試薬と比べて入手困難なこと、また一度水酸基に変換しなければならず合成が煩雑であるという問題点がある。さらに得られる重合体はエステル結合を有するため末端の加水分解反応が起こり得るという問題点もある。
【0007】
第三の方法として、イソプロペニル基の末端にtBuOKの存在化でBuLiを作用させ、さらに二酸化炭素を導入することで、カルボン酸基を合成する方法が報告されている(S.Nemes, K.L.Peng, L.Wikczek, and J.P. Kennedy, Polym. Bull., 1990, 24, 187)。この方法では末端に対して少なくとも当量の、特殊で高価な有機リチウムを用いており、さらに、多段階の反応であることから工業的に、簡便に低コストでカルボン酸基末端のポリイソブチレンを製造するのに有効な方法とは言いがたい。
【0008】
このほかに、ポリイソブチレンのイソプロペニル基の末端に無水マレイン酸を加熱条件下で反応させ(例えば特開平3-119001)、得られた無水マレイン酸基末端に対して、水酸基を有する種々の化合物を作用させることで、カルボン酸基を末端に有するポリイソブチレンを合成する手法が報告されている(欧州特許EP0130459)。これらの方法においても、多段階の反応を必要としており、工業的にカルボン酸基末端のポリイソブチレンを製造するのに有効な方法とは言いがたい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明はヒドリド−ボラン試薬のような特殊で高価な試薬を用いることなく、カチオン重合によって得られる飽和炭化水素系重合体のハロゲン末端から一段反応で合成可能な、加水分解によって容易にカルボン酸基を与える保護されたカルボン酸基を末端に有する重合体主鎖が飽和な炭化水素系重合体とその製法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カチオン重合性単量体を主成分とする単量体成分を、主に炭素−炭素単結合を形成するようにカチオン重合して得られるハロゲン末端重合体と、保護されたカルボン酸基および炭素−炭素二重結合を有する化合物との反応により得られる、保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体およびその製造方法に関する。
【0011】
重合開始剤を用いるリビングカチオン重合(イニファー法)によって得られるハロゲン基末端のテレケリックなポリイソブチレンに他の基質を反応させることにより、末端を修飾する反応に関しては多くの報告がなされている。ポリイソブチレン末端の塩素−炭素間にオレフィンを挿入する方法として、例えば塩化メチレン/ヘキサンの混合溶剤系で共役および非共役のジエンをポリマー末端に導入する反応系が知られている(例えばUS5212248、特開平4−288309等)。ブタジエンなどの共役ジエンを反応させた系では高い反応性が期待されるハロゲン化アリル末端となり、更なる加水分解およびこの水酸基とジカルボン酸無水物との反応で末端カルボン酸基への変換も期待される。しかしながら、この方法ではハロゲン末端ポリイソブチレンからのステップが多いという問題がある。そこで本発明者らは検討を重ね、本発明をなすに至った。
【0012】
本発明における重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体とは、カチオン重合性単量体を主成分とする単量体成分を、主に炭素−炭素単結合を形成するようにカチオン重合することによって得られた、主鎖中にC−C二重結合を有さない(すなわち飽和な)重合体を意味するが、主鎖にぶら下がったグラフト基にはC−C二重結合を有していてもよい。また、カチオン重合の際に用いる重合開始剤中にはC−C二重結合を有していても構わない。
【0013】
保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体を製造する際には、カチオン重合によって得られるハロゲン末端重合体が式(1):
1(A−X)a (1)
(式中、R1は単環または複数の芳香環を含む1価から4価までの炭化水素基、Xは塩素基または臭素基、aは1から4の整数。Aは一種又は二種以上のカチオン重合性単量体の重合体で、aが2以上の時は同じでも異なっていてもよい。)で表され、保護されたカルボン酸基および炭素−炭素二重結合を有する化合物が式(2):
CH2=C(R2)−B−COOG (2)
(式中、R2は水素または炭素数1から18の飽和炭化水素基を、Bは炭素数1から30の2価の炭化水素基を、Gは1価の置換基を表す。)で表されるものであることが好ましい。
【0014】
また前記式(2)の化合物としては、式(3):
CH2=C(R2)−(CH2n−COOG (3)
(式中、R2は水素または炭素数1から18の飽和炭化水素基を、nは0から30の整数を、Gは1価の置換基を表す。)
で表されるものであることがより好ましい。
【0015】
この方法によって得られる保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体は加水分解によって容易にカルボン酸基末端に変換することが可能である。
【0016】
前記式(1)におけるカチオン重合性のモノマーには特に制限はないが、好ましいモノマーとしては、例えばイソブチレン、インデン、ピネン、スチレン、メトキシスチレン、クロルスチレン等を挙げることができる。
【0017】
また本発明の重合体を硬化性組成物の原料とする場合には、架橋前には液状であり、架橋後にはゴム状の硬化物を与え得るイソブチレン系重合体であることが好ましい。
【0018】
イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、イソブチレンと共重合体しうる単量体単位をイソブチレン系重合体中の好ましくは50%以下(重量%、以下同じ)、さらに好ましくは30%以下、とくに好ましくは10%以下の範囲で含有してもよい。
【0019】
このような単量体成分としては、たとえば、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類などがあげられる。具体的には、たとえば1ーブテン、2ーブテン、2ーメチルー1ーブテン、3ーメチルー1ーブテン、ペンテン、4ーメチルー1ーペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、αーメチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、βーピネン、インデン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニルー1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
【0020】
さらに、ポリオールとの縮合反応等の架橋反応によって架橋性高分子化合物を得る際に充分な強度、耐候性、ゲル分率等を達成するためには、前記式(1)の重合体のaが2または3の塩素基末端ポリイソブチレンであることが好ましい。
【0021】
保護されたカルボン酸基および炭素−炭素二重結合を含む化合物の保護基は加水分解によってカルボン酸基を与えるものであれば特に限定されるものではないが、温和な条件下で加水分解が行えるものとして前記式(2)および(3)のGが炭素数1から18の飽和または不飽和の炭化水素基から選ばれる官能基であることが好ましい。このうち、入手性、加水分解後の重合体と保護基成分の分離のしやすさなどから、Gとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの飽和炭化水素基が有効である。
【0022】
ハロゲン末端重合体と反応する化合物である、前記式(2)または(3)で表される化合物(以下、この化合物をオレフィン化合物ということがある)としては1置換あるいは1,1'−2置換のオレフィンであって保護されたカルボン酸基を有するものであれば特に制限されないが、反応性の高さから、前記式(2)および(3)においてGを水素としたときに、3−ブテン酸、3−メチル−3−ブテン酸、4−ペンテン酸、4−メチル−4−ペンテン酸、3、3−ジメチル−4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、5−メチル−5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、6−メチル−6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、7−メチル−7−オクテン酸、8−ノネン酸、8−メチル−8−ノネン酸、9−デセン酸、9−メチル−9−デセン酸、10−ウンデセン酸、および10−メチル−10−ウンデセン酸から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0023】
前記式(1)のカチオン重合によって得られるハロゲン末端重合体に前記式(2)または(3)で表される保護されたカルボン酸基および炭素−炭素二重結合を含む化合物を反応させる際に、触媒としてルイス酸を用いることが可能である。
【0024】
この場合のルイス酸種には特に限定はないが、TiCl4、AlCl3、BCl3、SnCl4が反応活性が高く、選択性が良好である点から好ましい。
【0025】
本発明において、反応溶剤としてハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、及び脂肪族炭化水素から任意に選ばれる単独又は混合溶剤を用いることが可能であるが、ポリマーの重合条件下での溶解性や反応性からハロゲン化炭化水素としては、塩化メチレン、クロロホルム、1,1−ジクロルエタン、1,2−ジクロルエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライドからなる群より選ばれる1種以上の成分であることが好ましい。同様の理由で、芳香族炭化水素としては、トルエンが好ましく、脂肪族炭化水素としては、ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンからなる群より選ばれる1種以上の成分が好ましい。
【0026】
環境への悪影響が心配されるハロゲン化炭化水素を用いない反応溶剤として、例えばトルエン、エチルシクロヘキサン、あるいはこれらの混合物を用いた場合でも、保護されたカルボン酸基を末端に有する飽和炭化水素系重合体を容易に製造することができる。
【0027】
【発明の実施形態】本発明にかかるカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体は、例えば以下のようにして製造される。
【0028】
まず、式(1)で示されるハロゲン基を末端に有する重合体およびハロゲン基に対して1〜4当量の式(2)または(3)で表される保護されたカルボン酸基を末端に有するオレフィン化合物を、クロロホルム、塩化メチレン、1,1−ジクロルエタン、1,2−ジクロルエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、トルエン、ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンからなる群より選ばれる1種以上の成分からなる溶剤に溶解する。
【0029】
次にこれに、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジンからなる群より選ばれるエレクトロンドナー共存下、−100℃〜−30℃の温度範囲でTiCl4、AlCl3、BCl3、SnCl4等のルイス酸触媒を添加し、30分〜5時間反応させることで、目的とするカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体が得られる。
【0030】
一般に、ルイス酸とカルボン酸基を有する化合物とを混合するとハロゲン化水素を与えることが知られている。本発明者らの検討の過程で、カルボン酸基を有するオレフィン化合物をルイス酸と接触させるとハロゲン化水素が生成し、さらにオレフィンへのハロゲン化水素の付加反応が進行することが明らかになった。このため、カルボン酸基を有するオレフィン化合物とカチオン重合によって得られる重合体主鎖が飽和しているハロゲン末端重合体との反応を、ルイス酸触媒を用いておこなう系では、ハロゲン化水素のオレフィン化合物への付加反応が競争反応として進行する。このため、末端に定量的にカルボン酸基を導入するためには過剰量のオレフィン化合物を必要とする。
【0031】
そこで本発明者らは、カルボン酸基を、加水分解反応によって容易にカルボン酸基に誘導することができる基で保護することでこの副反応を抑えた。すなわちカルボン酸基を持つオレフィン化合物のカルボン酸基の活性水素を前記式(2)または(3)のGである炭素数1から18の飽和または不飽和の炭化水素基に変換することで、オレフィン化合物のハロゲン末端重合体への付加反応における副反応の発生を抑制したものである。
【0032】
また一方、カルボン酸基を保護した基によってはルイス酸への配位を行うものもある。ルイス酸への配位は、ルイス酸の反応活性を低下させることから、付加反応の際にはオレフィン化合物に対して当量以上のルイス酸を用いることが好ましい。逆に過剰のルイス酸を添加した場合は導入量のわずかな低下を招くことも、検討の結果明らかになっている。以上のことから、ルイス酸量はカルボン酸基を末端に有するオレフィン化合物に対して1〜20当量が好ましい。
【0033】
本発明において用いるルイス酸はイニファー法によるリビングカチオン重合に用いることが可能であり、まず、イニファー法によってハロゲン基末端の重合体を得てから、重合体を単離することなく、保護されたカルボン酸基を末端に有するオレフィン化合物および必要に応じてルイス酸、エレクトロンドナー等の追加を行うことで、1ポットで保護されたカルボン酸基を末端に導入することが可能である。
【0034】
式(1)におけるR1は重合開始剤の残基であり、aは1から4の整数であるが、aは2又は3であることが好ましい。このうち、以下に示すベンジル位に置換基を有する化合物が、重合時の開始剤効率が高いので好ましい。
【0035】
【化1】
Figure 0003816690
【0036】
(式中、Xは塩素基、臭素基、メトキシ基、アセチル基を表す。)
重合反応の溶剤は、前記の溶剤であれば特に制限されるものではないが、重合反応の後1ポットで、保護されたカルボン酸基を有する重合体を製造することも可能となることから、重合反応溶剤と同じであることが好ましい。重合反応と末端へのカルボン酸基の導入反応に共通する反応溶剤としてハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、及び脂肪族炭化水素から任意に選ばれる単独又は混合溶剤を用いることが可能であるが、ポリマーの重合条件下での溶解性や反応性からハロゲン化炭化水素として塩化メチレン、クロロホルム、1,1−ジクロルエタン、1,2−ジクロルエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライドのなかから選ばれる1種以上の成分であることが好ましい。同様の理由で、芳香族炭化水素としてはトルエンが好ましく、脂肪族炭化水素としてはペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンからなる群より選ばれる1種以上の成分が好ましい。
【0037】
近年、環境問題上、溶剤の非ハロゲン化が重要な技術となっているが、本系に於いてもトルエンとエチルシクロヘキサンの混合溶剤系では狭い分子量分布を有するポリマーを得ることが可能であり、この条件下で保護されたカルボン酸基を有するオレフィン化合物の付加反応も速やかに進行する。重合性、重合体の低温での溶解度の観点から、溶剤の混合比率としてはトルエン:エチルシクロヘキサン=6:4〜9:1(重量比)が好ましい。
【0038】
【実施例】
次に実施例を挙げて、本発明をより一層明らかにするが、実施例により本発明は何ら限定されるものではない。
(実施例1)500mlのセパラブルフラスコに三方コック、熱電対、および真空用シール付き撹拌機をつけて窒素置換を行った。これにモレキュラーシーブス3Aによって脱水したトルエン175ml、エチルシクロヘキサン21.7mlを加え、さらに1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン(1.63g,7.04mmol)、2−メチルピリジン(77.4mg,0.83mmol)を加えて−70℃に冷却した。冷却後、イソブチレンモノマー(35.5ml,598mmol)を導入し、さらに、この温度で四塩化チタン(0.98ml,8.93mmol)を添加し重合を開始した。この際に約15℃昇温した。約40分で重合は終了した(これに伴い反応系の発熱は観察されなくなった)。重合終了後に9-デセン酸メチル(2.80g,14.1mmol)および四塩化チタン(5.7 ml,51.7mmol)を添加した。5時間反応の後に、80℃に加熱したイオン交換水300mlに反応混合物を導入し、さらに、1Lの分液ロートに移液して振盪した。水層を除去した後、300mlのイオン交換水で3回水洗した後に、有機層を単離し、これに1 Lのアセトンを加えてポリマーを再沈殿させ、低分子化合物を除去した。沈殿物をさらにアセトン100mlで2回洗浄し、さらにヘキサン50mlに溶解した。溶液を300mlのなす型フラスコに移液し、オイルバスによる加熱条件下(180℃)、減圧(最終1Torr以下)によって溶媒留去を行い、目的とする保護されたカルボン酸基を末端に有するポリイソブチレンを得た。
【0039】
得られたポリイソブチレンの官能化率の分析はNMRを用いて行った。
(NMR)
Valian社製 Gemini−300、測定溶剤;四塩化炭素/重アセトン=4/1混合溶剤、定量方法;開始剤残基のシグナル(7.2ppm)を基準に末端のメチルエステル基のメチルシグナル(3.60ppm)を比較して定量化した。Fn(CH2COOMe)は重合体末端への官能基導入量であり、定量的に導入した時には今回用いた開始剤では2.0となる。
【0040】
実施例1で得られたポリマーのカルボン酸基導入量は以下の通り;Fn(CH2COOMe)=1.48。
(実施例2)9-デセン酸メチル添加時の四塩化チタン添加量を0mlとした以外は実施例1と同様に行った。得られたポリマーの官能基導入量は以下の通り;
Fn(CH2COOMe)=0.00。
(実施例3)9-デセン酸メチルの量を4.19g(21.2mmol)とした以外は実施例1と同様に行った。得られたポリマーの官能基導入量は以下の通り;Fn(CH2COOMe)=1.62。
【0041】
【発明の効果】
本発明によって得られる重合体は末端に加水分解によって容易にカルボン酸基に変換することが可能な官能基を有する新規な重合体であり、重合終了後、溶媒の交換、触媒の除去等の特別な処理することなく、1ポットでカルボン酸基を効率的に導入することが可能である。さらに、本法によって得られた重合体の加水分解物であるカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体は高耐候性の樹脂原料、あるいはエポキシ樹脂などの樹脂改質剤として有用である。

Claims (14)

  1. カチオン重合性単量体を主成分とする単量体成分を、主に炭素−炭素単結合を形成するようにカチオン重合して得られるハロゲン末端重合体と、保護されたカルボン酸基および炭素−炭素二重結合を有する化合物との反応により得られる、保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体
  2. カチオン重合によって得られるハロゲン末端重合体が式(1):
    1(A−X)a (1)
    (式中、R1は単環または複数の芳香環を含む1価から4価までの炭化水素基、Xは塩素基または臭素基、aは1から4の整数。Aは一種又は二種以上のカチオン重合性単量体の重合体で、aが2以上の時は同じでも異なっていてもよい。)で表され、保護されたカルボン酸基および炭素−炭素二重結合を有する化合物が式(2):
    CH2=C(R2)−B−COOG (2)
    (式中、R2は水素または炭素数1から18の飽和炭化水素基を、Bは炭素数1から30の2価の炭化水素基を、Gは1価の置換基を表す。)で表される請求項1記載の保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体
  3. 保護されたカルボン酸基および炭素−炭素二重結合を有する化合物が式(3):
    CH2=C(R2)−(CH2n−COOG (3)
    (式中、R2は水素または炭素数1から18の飽和炭化水素基を、nは0から30の整数を、Gは1価の置換基を表す。)で表される請求項1又は2記載の保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体
  4. 前記式(1)のカチオン重合によって得られるハロゲン末端重合体がイソブチレン系重合体である請求項2または3記載の保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体
  5. 前記式(1)のaが2または3で、Aがポリイソブチレンで、Xが塩素である請求項2から4のいずれかに記載の保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体
  6. 前記式(2)または(3)のGが炭素数1から18の飽和または不飽和の炭化水素基で表される請求項2から5のいずれかに記載の保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体
  7. 前記式(2)または(3)で表される化合物が、3−ブテン酸、3−メチル−3−ブテン酸、4−ペンテン酸、4−メチル−4−ペンテン酸、3、3−ジメチル−4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、5−メチル−5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、6−メチル−6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、7−メチル−7−オクテン酸、8−ノネン酸、8−メチル−8−ノネン酸、9−デセン酸、9−メチル−9−デセン酸、10−ウンデセン酸、および10−メチル−10−ウンデセン酸のなかから選ばれる化合物のカルボン酸基(COOH基)をCOOG基とした化合物群から選ばれる請求項2から6のいずれかに記載の保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体
  8. カチオン重合性単量体を主成分とする単量体成分を、主に炭素−炭素単結合を形成するようにカチオン重合して得られるハロゲン末端重合体と保護されたカルボン酸基および炭素−炭素二重結合を含む化合物との反応の際に、触媒としてルイス酸を用いることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体の製造法。
  9. 触媒がTiCl4、AlCl3、BCl3、SnCl4からなる群より選ばれる1種以上のルイス酸である請求項8記載の保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体の製造法。
  10. 反応溶剤がハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、及び脂肪族炭化水素から選ばれる単独又は混合溶剤であることを特徴とする、請求項8または9記載の保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体の製造法。
  11. ハロゲン化炭化水素がクロロホルム、塩化メチレン、1,1−ジクロルエタン、1,2−ジクロルエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライドからなる群より選ばれる1種以上の成分からなる請求項10記載の保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体の製造法。
  12. 芳香族炭化水素がトルエンである請求項10記載の保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体の製造法。
  13. 脂肪族炭化水素がペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンからなる群より選ばれる1種以上の成分からなる請求項10記載の保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体の製造法。
  14. 反応溶剤としてトルエンおよびエチルシクロヘキサンの混合溶剤を用いる請求項10記載の保護されたカルボン酸基を末端に有し、重合体主鎖中に炭素−炭素二重結合を有さない重合体の製造法。
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