JPH0728608U - ベニヤレース用チャック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来に較べて、原木の芯廻りを防ぎ、原木に
対する単板の歩留りの向上と、生産性の向上に寄与する
ことのできるベニヤレース用チャックを提供する。 【構成】 原木を、スピンドルと外周から駆動回転する
際、小スピンドル１からの回転に対し、小スピンドル１
の先端に備えた空転機構５０を用いて、原木の外周から
の回転を空転させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、原木を回転しながら単板を切削するベニヤレースにおいて、原木の 左右木口端面に直接当接して保持回転する、スピンドル用チャックに関する。

【０００２】

【従来の技術】

原木を切削して単板を製造する装置として、スピンドルによって原木を回転さ せると共に、このスピンドルの回転に同期させて進退機構により、ナイフが配設 された鉋台を歩送りし、切削を行うベニヤレースが広く使用されている。しかし 、このような従来のベニヤレースは、原木の切削抵抗に対する動力供給が、スピ ンドル先端部に係着したチャックの爪を介して伝えることから、いわゆる空廻り が発生し、ついには木質部を破壊し、回転力の伝達不能に陥ることは公知の通り である。

【０００３】 そこで、原木を外周から駆動する為に、駆動ロールを、該原木の外周へ当接追 従させるように備え、スピンドルからの動力供給を、低減させる外周駆動ベニヤ レースとして、例えば、（特公昭６１−２１８０５号公報）に開示されている「 ロータリーレース」、（特開平３−２０７６０１号公報）に開示されている「原 木駆動ロールおよびベニヤレース」等が知られている。

【０００４】 また、この技術では、原木を外周から単独による駆動が可能な場合には、スピ ンドルを回転する駆動装置の駆動系統中に、スリップ又は遊転可能な機構も取ら れている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、既知のベニヤレースにおいて、原木の外周から駆動ロールによ って、動力を供給することが可能となったことで、チャックによる原木の損壊を 抑制することができた。しかし原木が柔らかい場合、切削抵抗がほとんどない、 そこで原木はオーバー回転する傾向がある。これに対し、一方のスピンドルから の回転は、その進行に追従せず止める働きにかわる。このことは相対的に原木を 逆転方向に回転しようとすることから、該原木の軸芯部においては、喧嘩現象が が発生し、チャックにおける芯廻りとなっている。したがって、その原因を追求 したところ、前述の遊転が原木の木口端面より遊離した位置、すなわち大小スピ ンドルを介在した駆動側に配設されていることである。このことは敏感に遊転し ようとすることに対し、その大小スピンドルの介在が大きく阻害しているという 問題があった。

【０００６】 本考案は、かかる従来の事情に対処してなされたもので、従来に較べて原木に 対する単板の歩留り向上を図ることのできる、ベニヤレース用チャックを提供し ようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

すなわち、本考案のベニヤレース用チャックは、原木を保持して回転するスピ ンドルと、原木の外周に駆動ローラ等を当接させて、その原木を回転するベニヤ レースにおいて、前記小スピンドルの原木側先端に、オーバランする装置を備え た空転機構を係着し、その空転機構の原木側には爪部を備えたチャックを設け、 被削原木の左右木口端面の軸芯において、前記爪部が楔着状態を持続する手段と を具備したことを特徴とする。

【０００８】

【作用】

上記構成の本考案におけるベニヤレース用チャックは、スピンドル系統からの 回転と、原木の外周系統からの回転の差を、前記左右小スピンドルと、原木の軸 芯を楔着するチャックとの間に、オーバランできる装置を備えた空転機構を配設 し、前記スピンドル系統からの回転に対し、原木の外周からの回転を空転させる 。したがって、爪部での揉れがなくなり、さらに該原木での芯廻りも減少した。 よって従来に較べて単板の取得と生産性の向上を図ることができる。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面を参照にして説明する。

【００１０】 図１は、本考案の一実施例のチャックを装備したダブルスピンドル型ベニヤレ ースを示す、図において符号１は小スピンドルを示し、符号２は大スピンドルで 、原木Ｌを保持して回転させる両スピンドルを示している。この小スピンドル１ および大スピンドル２は、図示しない主電動機によって回転される。さらに、図 示しない油圧機構の流体圧力で伸縮するシリンダ１８によって図示Ｂ矢印の如く 回転しながら原木Ｌの方向に前進および反対方向に後退可能に構成されている。 また、大スピンドル２の原木側先端には大径原木を回転保持する大チャック３が 螺着され、その内径部には小スピンドル１が進退可能に嵌着され、さらに、その 原木側にはアダプター１１を介して、小径原木を保持回転する小チャック４がア ダプター１１の原木側に係着されている。一方、符号Ｆは上記大小スピンドル装 置を回転させるベアリングを介して軸支しているフレームである。

【００１１】 次に、図２は、本考案の一実施例の要部構成を示すものである。図において、 符号１は、小スピンドルであり、その先端部に空転機構５０を介して、小チャッ ク４が係合され、そのチャック４の先端には鋭利な爪部６が複数個配置されてい る。２は大スピンドルで、図１図示のフレームＦにベアリングを介して回転可能 軸支されている。３は大チャックであり、大スピンドル２の先端部のネジ部１５ に螺合して設置されている。５は大チャック３の原木の端面と相対峙する原木側 端面に立設された鋭利な爪部であり、通常複数個植設され、該爪部５により大径 時の原木を確実に挟持するのである。

【００１２】 １０は大スピンドル２の先端部内径に嵌装されたブッシュであり、この部分で 小スピンドル１を保持する。小スピンドル１は、該ブッシュ１０を介して前後の 矢符Ａ方向に摺動可能となっている。１７は前記ブッシュの先端に装填されたダ ストシールであり、小スピンドル１外周面に付着した塵埃を払拭するのである。

【００１３】 さらに、上記空転機構５０について説明すると、この空転機構５０は、小スピ ンドル１先端内径部のネジ部１４に、空転できる機構を備えたアダプター１１が 螺合して設置されている。一方、そのアダプター１１の原木Ｌ側には、鋭利な爪 部６が配設された小チャック４の軸部１９を保持するためのベアリング軸受７が 先端部内径に嵌装され、さらに、その次ぎにはオーバランクラッチ８とカラー９ とライナー２０とを介してベアリング軸受１２と共に嵌装されている。そこで、 前記軸受７、オーバランクラッチ８、さらにライナー２０とカラー９を介して軸 受１２とで構成された内径に、前記小チャックの軸部１９を挿入し、チャック４ の爪部と反対方向に設けられたネジ部に締付用ナット１３をもって、空転可能に しかも抜けることのないように締付け、保持する。

【００１４】 上記のように構成された、本考案のベニヤレース用チャックは、スピンドルか らの回転と原木の外周からの回転の差と、原木を逆転方向に回転しようとする働 きにおいて起こる回転の喧嘩現象を、上述の空転機構５０が吸収する働きをする ことから、従来に較べて原木の芯廻りを減少させることができたのである。

【００１５】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案のベニヤレース用チャックによれば、従来に較べ て、原木の芯廻りが減少したことで、原木に対する単板の歩留りの向上と、生産 性の向上に寄与することができ、さらに既存のベニヤレースにおいて簡単な改造 で取付けることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例のチャックを装備したダブル
スピンドル型ベニヤレースの正面図。

【図２】本考案の一実施例の要部構成を説明するための
図。

【符号の説明】

１ 小スピンドル ２ 大スピンドル ３ 大チャック ４ 小チャック ５ 爪部 ７ 軸受 ８ オーバランクラッチ Ｌ 原木 ５０ 空転機構

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 原木を保持して回転するスピンドルと、
   原木の外周に駆動ローラ等を当接して、前記原木の切削
   を行うベニヤレースにおいて、前記スピンドルの回転に
   対し、前記原木の外周から回転される原木の回転が空転
   する空転機構を、小スピンドルの原木側先端に備えたこ
   とを特徴とするベニヤレース用チャック。