JPH07282638A - 紫外線硬化エナメル線 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、優れた導体との密着性、可撓
性、鉛筆硬度、耐熱軟化特性を有する紫外線硬化エナメ
ル線を提供することにある。 【構成】本発明は、スピラン環を有するオリゴマーまた
はモノマーを配合して成る紫外線硬化樹脂を被覆して成
る構成を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は紫外線硬化エナメル線に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】エナメル線は絶縁電線の中で最も絶縁厚
さが薄い電線にも拘らず、その要求される諸特性は厳し
いものがある。

【０００３】このような厳しい要求特性を満足するた
め、汎用エナメル線は特殊な熱硬化性樹脂塗料を導体上
に塗布焼付して製造されている。

【０００４】しかし汎用エナメル線はそのような特殊な
熱硬化性樹脂樹脂塗料を導体上に塗布焼付して製造する
ものであるから、塗布焼付時に塗料中の溶剤の蒸発損
失、それに伴なう職場環境の汚染、焼付電力代金のコス
トアップ等が避けられない。

【０００５】これに対して紫外線硬化エナメル線は無溶
剤塗料を塗布してから紫外線照射で硬化することから、
従来の汎用エナメル線のような溶剤の蒸発揮散に伴なう
職場環境の悪化や高温焼付に伴なう焼付電力代のコスト
アップがない。

【０００６】このため紫外線硬化エナメル線は注目さ
れ、その実用化の研究が行われている。

【０００７】しかしながら紫外線硬化樹脂は導体との密
着性が悪く、機械的強度か劣るのが難点である。

【０００８】ここにおいて導体との密着性を改善するた
め−ＣＯＯＨ基や−ＯＨを有する密着性付与モノマーを
大量に配合すると、得られれる紫外線硬化樹脂の耐溶剤
性、耐ワニス性、耐熱性等が悪化する。

【０００９】逆に、耐溶剤性、耐ワニス性、耐熱性等を
改善するためオリゴマーの骨格に耐熱構造を導入した
り、多官能基モノマーを配合すると、得られる紫外線硬
化樹脂の架橋密度が上がり、それに伴ない脆く且つ導体
との密着性が悪化する。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる点に立
って為されたものであって、その目的とするところは前
記した従来技術の欠点を解消し、優れた導体との密着
性、可撓性、鉛筆硬度、耐熱軟化特性を有する紫外線硬
化エナメル線を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、スピラン環を有するオリゴマーまたはモノマーを
配合して成る紫外線硬化樹脂を導体上に被覆して成るこ
とを特徴とする紫外線硬化エナメル線にある。

【００１２】本発明において紫外線硬化樹脂の中に占め
るスピラン環を有するオリゴマーまたはモノマーの配合
量は３〜３０重量％に限定される。

【００１３】これは３重量％以下では密着性の改善効果
がなく、逆に３０重量％以上では耐熱性が悪化するため
である。

【００１４】

【作用】本発明の紫外線硬化エナメル線はコーテイング
する紫外線硬化樹脂の中にスピラン環を有するオリゴマ
ーまたはモノマーモノマーが配合されているので、紫外
線照射により硬化しても硬化に伴なう収縮作用が分子的
に抑制でき、その結果収縮に伴なう内部応力がなくなっ
て優れた導体との密着性と機械的強度を有する紫外線硬
化エナメル線を得ることができる。

【００１５】

【実施例】次に、本発明の紫外線硬化エナメル線の実施
例を従来の比較例と共に説明する。

【００１６】まず、実施例及び比較例に用いた材料につ
いて説明する。

【００１７】（１）ベースのポリウレタンアクリレート
オリゴマーの合成 ．ＨＥＡ系ポリウレタンアクリレートオリゴマー エチレングリコールフタレート、フェニレンジイソシア
ネート（以下、ＰＤＩと言う）、ヒドロキシエチルアク
リレート（以下、ＨＥＡと言う）を反応してＨＥＡ系ポ
リウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。

【００１８】．ＨＥＭＡ系ポリウレタンアクリレート
オリゴマー エチレングリコールアジペート、テトラメチルキシリレ
ンジイソシアネート、ヘキサエチルメタアクリレート
（以下、ＨＥＭＡと言う）を反応してポリウレタンメタ
アクリレートオリゴマーを合成した。

【００１９】（２）スピロ環を有するオリゴマーの合成 ．ＨＥＡ系スピロ環を有するオリゴマーの合成 スピログリコール、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ＨＥＡを反応してＨＥＡ系スピロ環を有するポリウ
レタンアクリレートオリゴマーを合成した。

【００２０】．ＨＥＭＡ系スピロ環を有するオリゴマ
ーの合成 スピログリコール、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ＨＥＭＡを反応してＨＥＭＡ系スピロ環を有するポ
リウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。 （３）ベース紫外線硬化オリゴマー 上記（１）、（２）で得たオリゴマーを単独若しくはブ
レンドしてベース紫外線硬化オリゴマーとした。

【００２１】（４）実施例及び比較例のブレンド紫外線
硬化樹脂塗料の配合 次に表１に示すように上記で得られたベース紫外線硬化
オリゴマーに反応性モノマー、光反応開始剤等を配合し
て実施例１〜３及び比較例１〜３のブレンド紫外線硬化
樹脂塗料を作成した 用いた配合剤はイソポルニルアクリレート、トリス（２
ヒドロキシエチル）イソシアヌレートトリアクリレート
［ＴＨＥＩＣ−ＴＡ］、トリス（２ヒドロキシエチル）
イソシアヌレートトリメタアクリレート［ＴＨＥＩＣ−
ＴＭＡ］、アクリロキシエチルホスフィート、２，２−
ジメトキシ−２−フェニルアセトフェノン等である。

【００２２】（紫外線硬化エナメル線の試作）導体径ψ
０．３mmの軟銅線上に上記で得た各種のブレンド紫外線
硬化樹脂塗料をそれぞれ１５μｍの厚さに塗布してから
紫外線照射炉を通過させることにより硬化させた。

【００２３】（エナメル線特性試験）エナメル線の特性
試験はＪＩＳ−Ｃ３００３に従って行った。密着性及び
可撓性は試験結果良好なものを○、悪いものを×で示し
た。

【００２４】表１はこれらのブレンド紫外線硬化樹脂塗
料の配合と得られた紫外線硬化エナメル線の特性試験結
果を示したものである。

【００２５】

【表１】

【００２６】図１は実施例１の紫外線硬化エナメル線の
横断面図を示したものであって、１は導体、２は紫外線
硬化樹脂層である。

【００２７】表１から分かるように比較例１の紫外線硬
化エナメル線は密着性が劣る。また比較例２の紫外線硬
化エナメル線は可撓性が劣る上に軟化温度も低い。そし
て比較例３の紫外線硬化エナメル線は密着性が劣り且つ
鉛筆硬度も低くしかも軟化温度も低い。

【００２８】これらに対して本発明の実施例１〜３の紫
外線硬化エナメル線は密着性及び可撓性が優れ、鉛筆硬
度が高く、軟化温度が高い。

【００２９】なお、実施例ではスピロ環を有するオリゴ
マーのブレンドについてのみ示したが、スピロ環を有す
るモノマーのブレンドでも同様な効果を発揮できる。

【００３０】

【発明の効果】本発明の紫外線硬化エナメル線は優れた
密着性、可撓性、鉛筆硬度、軟化温度を有するものであ
り、工業上有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１の紫外線硬化エナメル線の横
断面図を示したものである。

【符号の説明】

１ 導体 ２ 紫外線硬化樹脂層

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】スピラン環を有するオリゴマーまたはモノ
   マーを配合して成る紫外線硬化樹脂を導体上に被覆して
   成ることを特徴とする紫外線硬化エナメル線。
2. 【請求項２】紫外線硬化樹脂の中に占めるスピラン環を
   有するオリゴマーまたはモノマーが３〜３０重量％であ
   ることを特徴とする請求項１記載の紫外線硬化エナメル
   線。
3. 【請求項３】スピラン環を有するオリゴマーがスピログ
   リコール、ポリイソシアネート、アクリル系モノマーを
   反応して得られるポリウレタンアクリレートオリゴマー
   であることを特徴とする請求項１記載の紫外線硬化エナ
   メル線。
4. 【請求項４】スピラン環を有するオリゴマーがスピログ
   リコール、ポリイソシアネート、メタクリル系モノマー
   を反応して得られるポリウレタンメタアクリレートオリ
   ゴマーであることを特徴とする請求項１記載の紫外線硬
   化エナメル線。
5. 【請求項５】スピラン環を有するオリゴマーをブレンド
   するベースオリゴマーがポリウレタンアクリレートオリ
   ゴマーであることを特徴とする請求項１記載の紫外線硬
   化エナメル線。
6. 【請求項６】スピラン環を有するオリゴマーをブレンド
   するベースオリゴマーがエポキシアクリレートオリゴマ
   ーであることを特徴とする請求項１記載の紫外線硬化エ
   ナメル線。