JP7109978B2 - 重合性樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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「共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方」を、「共役ジエン系ポリマーポリオール等」という場合がある。
「アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくともいずれか」を、以下、「(メタ)アクリロイル基」という場合がある。
また、上記反応によって得られた化合物を、「ウレタンアクリレート化合物」という場合がある。
前記水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方に起因して、上記化合物は、一方の末端に(メタ)アクロイル基を有する。
前記ポリイソシアネートに起因して、上記ウレタンアクリレート化合物は、他方の末端にイソシアネート基を有する。
前記ウレタンアクリレート化合物の両末端に存在する前記(メタ)アクリロイル基及び/又はイソシアネート基について、イソシアネート基は、前記ポリイソシアネートに起因する基が持つイソシアネート基であり、(メタ)アクリロイル基は、前記ポリイソシアネートに起因する基に対してウレタン結合を介して結合された水酸基を有するアクリレート等が持つ(メタ)アクリロイル基である。
そして、両末端のイソシアネート基及び(メタ)アクリロイル基の合計量に対するイソシアネート基の量が50~87.5モル%、かつ(メタ)アクリロイル基の量が12.5~50モル%であることを満足する。
上記ウレタンアクリレート化合物は、一方の末端にイソシアネート基を有しかつ他方の末端に(メタ)アクリロイル基を有するものからなるが、これとともに、両末端にイソシアネート基を有するもの、及び/又は、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するものを含んでもよい。
前記水酸基を有するメタクリレートとしては、メタクリル酸の誘導体が挙げられる。メタクリル酸の誘導体としては、例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレートなどのヒドロキシアルキルメタクリレート、および、そのカプロラクトン付加体や、そのアルキレンオキサイド付加体等が挙げられる。
以下、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方を、「(メタ)アクリル酸」という場合がある。また、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を、「(メタ)アクリレート」という場合がある。
メタクリロイル基は、CH2=CCH3CO-で表わされる基である。
共役ジエン系ポリマーポリオールの水素添加物としては、前記末端水酸化ポリブタジエンを水添したものである末端水酸化水添ポリブタジエン、前記末端水酸化ポリイソプレンを水添したものである末端水酸化水添ポリイソプレンなどが挙げられる。
上記一般式(1)において、xは、1~100の整数が好ましい。
上記一般式(2)において、yは、1~100の整数が好ましい。
なお、上記共役ジエン系ポリマーポリオール等は、これら以外の基を有していてもよい。
一方、高粘度の重合性樹脂組成物を得たい場合には、例えば、共役ジエン系ポリマーポリオール等の数平均分子量Mnを800~1800としてもよい。
例えば、上記ウレタンアクリレート化合物の分子内の(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基との合計量(100モル%)に対する(メタ)アクリロイル基の量は、12.5~50モル%であり、25~50モル%であることがより好ましい。上記比率が12.5~50モル%であることによって、金属に対する密着性が一層優れたものとなる。
なお、上記ウレタンアクリレート化合物の分子内の(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基との合計量に対するイソシアネート基の量は、50~87.5モル%であり、50~75モル%であることがより好ましい。
重合性樹脂組成物が重合禁止剤を含有することによって、上記ウレタンアクリレート化合物が不意に重合することを防止することができる。
重合性樹脂組成物中に含まれる重合禁止剤の量は、特に限定されず、例えば、0.0001~5質量%でもよく、好ましくは0.01~1質量%でもよい。
ここで、重合性樹脂組成物が、希釈剤として、かかる(メタ)アクリロイル基を有する成分をさらに含有する場合には、該重合性樹脂組成物が硬化する際、上記ウレタンアクリレート化合物の(メタ)アクリロイル基が互いに重合するのに加えて、上記ウレタンアクリレートの(メタ)アクリロイル基と上記希釈剤の(メタ)アクリロイル基とが重合することになるため、より重合性に優れた重合性樹脂組成物となる。
これらはいずか1種用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。非環式(メタ)アクリルアミドも、希釈剤としての(メタ)アクリロイル基を有する成分と同様、上記ウレタンアクリレート化合物の(メタ)アクリロイル基と重合させることができる。
重合性樹脂組成物中に含まれる希釈剤(好ましくは、非環式(メタ)アクリルアミド)の量は、特に限定されず、例えば、1~90質量%でもよく、好ましくは10~70質量%でもよい。
なお、重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名:イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24-61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製の商品名:ルシリン TPO、UCB社製の商品名:ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製の商品名:エザキュアー KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等が挙げられる。
重合性樹脂組成物が重合開始剤を有することによって、活性エネルギー線、特に紫外線が照射されることによって重合され易くなる。
重合性樹脂組成物中に含まれる重合開始剤の量は、特に限定されず、例えば、0.0001~10質量%でもよく、好ましくは0.1~5質量%でもよい。
紫外線を照射する場合には、重合性樹脂組成物が、前述したような重合開始剤を含有していることが好ましい。これにより、重合性樹脂組成物を重合させ易くなる。
なお、前述したように、熱重合開始剤を使った熱重合、湿気硬化剤を使用した湿気重合、酸素遮断下で金属面と接している場合の嫌気重合によって、(メタ)アクリロイル基同士を重合させてもよい。
なお、上記した加熱を行うと共に、重合性樹脂組成物を空気中の水に接触させてもよい。
また、該ウレタンアクリレート化合物は、その分子の他方の末端にイソシアネート基を有する。これによって、重合性樹脂組成物が硬化される際、イソシアネート基同士が空気中の水(活性水素基)を介して反応し、これによって重合し得る。
さらに、該ウレタンアクリレート化合物は、上記両末端の間に、共役ジエン系ポリマーポリオール等に起因する基を有する。これにより、上記のように、両末端の基に起因する重合が生じることに加えて、重合性樹脂組成物が硬化して得られる硬化物が、金属に対する密着性に優れたものとなり、また、耐湿熱性にも優れたものとなる。
加えて、該ウレタンアクリレート化合物に含まれるイソシアネート基及び(メタ)アクリロイル基の合計量に対する(メタ)アクリロイル基の量が、12.5~50モル%であることによって、硬化物の金属に対する密着性、及び、耐湿熱性が、一層優れたものとなる。
従って、重合性樹脂組成物が上記3つの基を有するウレタンアクリレート化合物を含有することによって、その硬化物が金属に対して優れた密着性を有し、しかも、耐湿熱性にも優れることを可能とする重合性樹脂組成物が提供される。
ワイヤーハーネスは、通常、塩化ビニル製のフィルムで被覆された電線の端部と接続端子(コネクタ)とが接続されることによって形成されているため、重合性樹脂組成物が上記接続部分を被覆するように硬化して形成された硬化物は、塩化ビニル製のフィルムと接触することになる。このような場合であっても、硬化物が塩化ビニル製のフィルムを脆化させ難いため、その分、ワイヤーハーネスが耐湿熱性に優れたものとなる。
しかも、本実施形態の重合性樹脂組成物であると、シランカップリング剤を特に介在させなくても、十分な密着性が発揮される。
ここで、密着性を向上させるべく、接続部分の表面を酸系材料で処理したり、その表面にプライマー層を形成したりすることも考えられる。しかし、プライマー層を形成することは、コスト及び生産タクトの増加につながり、酸系材料で処理することは、接続部分の腐食につながるおそれがある。これに対し、本実施形態の重合性樹脂組成物によれば、プライマー層を形成したり、酸系材料で処理したりしなくても、接続部分に対する硬化物の密着性が優れたものとなる。よって、コストや生産タクトの増加を抑制することができ、また、接続部分の腐食も抑制し得る。
以上より、重合性樹脂組成物がワイヤーハーネスの上記接続部分の被覆用であることによって、該重合性樹脂組成物がより有用なものとなる。
本実施形態によれば、上記ウレタンアクリレート化合物が末端に重合性を有した二重結合を持ち、もう一方の末端にイソシアネート残基を有するため、回路基板の配線部に相当する銅に高い密着性を有しつつ、基板の樹脂部であるガラスエポキシ部にも高い密着性を有する。
また、防湿絶縁樹脂に要求される高温高湿条件下においても高い電気絶縁性を有し、耐湿熱性に優れる。
更に、紫外線による硬化でも十分な特性が発揮できることに加えて、湿気硬化を併用することで、回路基板において紫外線が当たりにくい暗部においても高い保護性能を発揮することができる。
このように、高温高湿環境下でも高い基材密着性と高い電気絶縁性を維持しているため、回路基板の保護材料として好適である。
また、紫外線照射量が低照射量でも高い重合率を示し、紫外線硬化に加えて湿気硬化も可能である。しかも、湿気硬化併用時に、密着性などの物性変化を起こさない。
また、重合性樹脂組成物は、上記ウレタンアクリレート化合物にイソシアネート基が残っているにもかかわらず、保存安定性に優れる。
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化ポリブタジエン(日本曹達株式会社製G1000、数平均分子量1,400)4200g(3.0mol)、イソホロンジイソシアネート888.8g(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1287g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で4時間攪拌した(第1段階の反応)。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)58g(0.5mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた(第2段階の反応)。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-1を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを116g(1.0mol)に変更した点以外は、合成例1と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-2を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを29g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例1と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-3を得た。
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化ポリブタジエン(日本曹達株式会社製G1000、数平均分子量1,400)4200g(3.0mol)、ヘキサメチレンジイソシアネート672.8g(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1218g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で4時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)58g(0.5mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-4を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを116g(1.0mol)に変更した点以外は、合成例4と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-5を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを29g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例4と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-6を得た。
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製GI1000、数平均分子量1,500)4500g(3.0mol)、イソホロンジイソシアネート888.8g(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1362g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で4時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)58g(0.5mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-7を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを116g(1.0mol)に変更した点以外は、合成例7と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-8を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを29g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例7と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-9を得た。
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製GI1000、数平均分子量1,500)4500g(3.0mol)、ヘキサメチレンジイソシアネート672.8(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1300g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で4時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)58g(0.5mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-10を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを116g(1.0mol)に変更した点以外は、合成例10と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-11を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを29g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例10と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-12を得た。
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、ポリテトラメチレングリコール(三菱化学株式会社製PTMG1500、分子量1,500)4500g(3.0mol)、イソホロンジイソシアネート888.8(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1362g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で3時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)116g(1mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間にポリテトラメチレングリコール(PTMG)に由来する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-13を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを29g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例13と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間にPTMGに由来する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-14を得た。
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、ポリエチレングリコール(第一工業製薬株式会社製PEG1500、分子量1,500)4500g(3.0mol)、イソホロンジイソシアネート888.8(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1362g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で3時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)116g(1mol)をさらに加え、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間にポリエチレングリコール(PEG)に由来する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-15を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを29g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例15と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間にPEGに由来する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-16を得た。
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化ポリブタジエン(日本曹達株式会社製G1000、数平均分子量1,400)4200g(3.0mol)、イソホロンジイソシアネート888.8g(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1287g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で4時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)23.2g(0.2mol)をさらに加え、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-17を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)を139g(1.2mol)に変更した点以外は、合成例17と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-18を得た。
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化ポリブタジエン(日本曹達株式会社製G1000、数平均分子量1,400)4200g(3.0mol)、ヘキサメチレンジイソシアネート672.8g(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1233g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.8gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で3時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)23.2g(0.2mol)をさらに加え、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-19を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)を139g(1.2mol)に変更した点以外は、合成例19と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-20を得た。
合成例1におけるイソボロニルアクリレートをテトラヒドロフルフリルアクリレートに変更した点以外は、合成例1と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-21を得た。
合成例1における2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)の量を232g(2.0mol)に変更した点以外は、合成例1と同様の操作を行った。これによって、分子内に、両末端にアクリロイル基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-22を得た。
合成例22で得られたUA-22 100部に対して、イソホロンジイソシアネートを2部添加することによって、分子内に、両末端にアクリロイル基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、ポリイソシアネートと、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを含有する重合性樹脂組成物UA-23を得た。すなわち、ウレタンアクリレート化合物には遊離イソシアネート基が存在していないが、該化合物とは別途のポリイソシアネートに、該ウレタンアクリレート化合物の両末端のアクリロイル基の量に対して0.37質量%(50モル%)の遊離イソシアネート基が存在している、重合性樹脂組成物UA-23を得た。
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水素化ポリブタジエン(日本曹達株式会社製G1000、数平均分子量1,400)4200g(3.0mol)、イソホロンジイソシアネート888.8g(4.0mol)、イソボロニルアクリレート1287g、ハイドロキノンモノメチルエーテル2gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で4時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(日本触媒株式会社製HEMA、分子量130)65g(0.5mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にメタクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端の間に末端水素化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-24を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルメタクリレートを130g(1.0mol)に変更した点以外は、合成例24と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にメタクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アクリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-25を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルメタクリレートを32.5g(0.25mol)に変更した点以外は、合成例24と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にメタクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アクリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-26を得た。
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化ポリブタジエン(日本曹達株式会社製G3000、数平均分子量3,000)4500g(1.5mol)、イソホロンジイソシアネート555.5g(2.5mol)、イソボロニルアクリレート1264g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.8gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で3時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)58g(0.50mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-27を得た。
合成例27のイソボロニルアクリレートをジエチルアクリルアミドに変えた以外はUA-27と同様に合成することでUA-28を得た。
攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、末端水酸化水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製GI3000、数平均分子量3,100)4650g(1.5mol)、イソホロンジイソシアネート555.5g(2.5mol)、イソボロニルアクリレート1301g、及び、ハイドロキノンモノメチルエーテル1.8gを仕込み、70℃まで昇温させ、70℃で3時間攪拌した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製BHEA、分子量116)58g(0.50mol)をさらに加え、さらに、70℃で2時間反応させた。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化水添ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-29を得た。
希釈モノマーをイソボロニルアクリレートから、ジエチルアクリルアミドに変えた以外は合成例29と同様に合成する事でUA-30を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを58g(0.50mol)に変更した点以外は、合成例13と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間にPTMGに由来する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-31を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを58g(0.50mol)に変更した点以外は、合成例15と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間にPEGに由来する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-32を得た。
仕込んだ2-ヒドロキシエチルアクリレートを11.6g(0.1mol)に変更した点以外は、合成例1と同様の操作を行った。これによって、分子内に、一方の末端にアクリロイル基と、他方の末端にイソシアネート基と、両末端間に末端水酸化ポリブタジエンに起因する基とを有するウレタンアクリレート化合物と、アルリロイル基を有する希釈剤と、重合禁止剤とを有する重合性樹脂組成物UA-33を得た。
合成例1~26の重合性樹脂組成物に、さらに下記の成分を添加して、各実施例及び比較例の重合性樹脂組成物を作製した。
合成例1で得られたUA-1 100部に、光重合開始剤として、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製イルガキュア184)3部、及び、ジモルホリノジエチルエーテル三井化学ファイン社製DMDEE)0.1部を加え、均一に溶解させて、重合性樹脂組成物を得た。
UA-1を、下記表1に示すUA-2~26に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2~16および比較例1~10の重合性樹脂組成物を得た。
アルミニウム製の基材として、JIS規格に規定されたA1050P(TP技研社製)を使用した。
銅製の基材として、JIS規格に規定されたC1020P(TP技研社製)を使用した。
樹脂製の基材として、PETフィルム(ルミラー、T-60、100μm、東レ社製)を用いた。
樹脂製の基材として、厚み1mmの軟質塩化ビニルフィルムを使用した。
重合性樹脂組成物を硬化させる硬化装置として、紫外線(UV)照射装置を使用した。該UV照射装置として、メタルハライドランプを装着したベルトコンベアー式UV硬化装置(商品名CSN2-40A、GSユアサ社製)を使用した。照射条件は、積算照度を200mJ/cm2とした。
特に条件の明示がない場合、重合性樹脂組成物に積算照度200mJ/cm2で紫外線を照射して該重合性樹脂組成物を硬化させた後、得られた硬化物を85℃で5分間加熱した。
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物(試料)をガラス製密閉容器に入れ、50℃の恒温庫内にて3ヶ月保管し、加熱で劣化を促進させた後の粘度の変化を確認した。粘度の測定は、コーンプレート型粘度計によって行った(測定温度25℃)。
加熱開始前(初期値)に対する加熱後の粘度の変化が、10%以内の場合、貯蔵安定性が優れていると評価して「◎」で表わし、10%を超えて20%以内の場合、貯蔵安定性が良好であると評価して「○」で示し、20%を超える場合、やや貯蔵安定性が良好であると評価して「△」で示し、重合が生じてゲル化した場合、貯蔵安定性が不良であると評価して「×」で示した。
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、上記した各基材上に、アプリケーターを用いて100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して各重合性樹脂組成物を硬化させた(試料)。
各試料における基材上の硬化物(硬化物層)に対して、JIS-K5600-5-6に規定された碁盤目試験を行い、残存したマス数を密着性とした。
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、PETフィルム上に、アプリケーターを用いて100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して硬化させた(試料)。試料を、塩化メチレンに18時間浸漬した後、取り出して回収し、乾燥させた。
浸漬後の硬化物の質量減少分を、浸漬前の硬化物の質量から差し引くことによって、重合性樹脂組成物のうち硬化(架橋)した分の質量を算出し、この質量の、浸漬前の質量に対する百分率を、ゲル分率として算出した。すなわち、浸漬前の質量をA、浸漬・乾燥後の質量をBとし、100-(A-B)×100/Aで示される計算式によって、ゲル分率を算出した。
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、PETフィルム上に100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して硬化させた(試料)。その後、温度85℃、湿度85%RHの恒温恒湿オーブン内に、試料を0時間~500時間設置した後、所定時間毎に該オーブンから取り出し、室温20℃、湿度60%RHの環境下にて1時間放置・調湿した後の試料の表面固有抵抗値を測定した。測定は、オーブンへの設置前の試料(初期値)、設置後100時間経過した試料、及び、設置後500時間経過した試料について実施した。表面固有抵抗は、川口電機製作所製のR-503によって測定した。
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、軟質塩化ビニルフィルム上に100μmの膜厚で、アプリケーターを用いて塗布した後、紫外線を照射して硬化させた(試料)。その後、150℃の空気雰囲気下に設定されたオーブン内に、24~300時間放置し、表1に示す所定時間毎に取り出し、取り出した試料の屈曲性を評価した。
屈曲性の評価は、各時間経過後に試料を取り出し、取り出した試料を90度、180度の角度となるように繰り返し折り曲げを行った際の、基材の脆化による割れ・破断、塗膜の剥離の有無を確認した。
基材の脆化による割れ・破断も、塗膜の剥離も発生しなかった場合、耐熱性が優れていると評価して「◎」で示し、塗膜の剥離は無いものの基材に亀裂が入った場合、耐熱性が良好であると評価して「○」で示し、基材の割れ・破断、及び、塗膜の剥離が発生した場合、耐熱性が不良であると評価して「×」と示した。
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、PETフィルム上に、100μmの膜厚で、アプリケーターを用いて塗布した後、窒素雰囲気下で、紫外線を照射して硬化させた(試料)。その後、試料について、JIS K5600-5-1-2013に従って耐屈曲性(円筒形マンドレル法)を評価し、塗膜の割れが発生した際のマンドレルの直径(mm)を記録した。
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、紫外線を照射することなく、ガラス製ビーカーに厚さ100μmになる様に仕込み(試料)、温度85℃、湿度85%RHの恒温恒湿オーブン内に、試料を0.5時間~24時間放置し、表1に示す所定時間毎に試料を取り出し、取り出した試料の流動の有無、及び、指で触わること(指触)によるタックの有無を確認した。
流動の有無については、室温20℃まで冷却後、ビーカー底面の試料面が垂直方向になる様にビーカーを保持し、1時間後に試料が流動している場合を、流動性有り、そうでない場合を流動無しとした。
流動もタックも無い場合、流動性が良好であると評価して「◎」と示し、タックが有るが流動が無い場合、流動性が良好であると評価して「○」と示し、タックも流動も有る場合、流動性が不良であると評価して「×」と示した。
恒温恒湿オーブンを温度25℃、湿度60%に設定したこと以外は[流動性1]と同様にして、流動性を評価した。
流動もタックも無い場合、流動性が良好であると評価して「◎」と示し、タックが有るが流動が無い場合、流動性が良好であると評価して「○」と示し、タックも流動も有る場合、流動性が不良であると評価して「×」と示した。
実施例1~12、14~16のウレタンアクリレート化合物では、硬化物の主骨格を構成する成分となるジオールとして、末端水酸化ポリブタジエンまたは末端水酸化水添ポリブタジエンを用い、これらをそれぞれイソホロンジイソシアネート(IPDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)で、両末端にイソシアネート基を有するようにウレタン化する第1段階の反応を行った後、アクリロイル基またはメタクリロイル基によって一方の末端を封鎖する第2段階の反応において、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)または2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の量を変更することによって、末端のイソシアネート基の量を調整した。
また、実施例13では、第1段階の反応において、イソボロニルアクリレートに代えてテトラヒドロフルフリルアクリレートを希釈剤として用いて、ウレタンアクリレート化合物を生成した。
これに対し、上記両末端間に共役ジエン系ポリマーポリオール等に起因する基を有しない比較例1~4の重合性樹脂組成物、及び、両末端にアクリロイル基を有する(末端にイソシアネート基を有さない)比較例9、10の重合性樹脂組成物は、実施例1~16、比較例5~8よりも、その硬化物が上記各特性において劣る傾向にあった。
貯蔵安定性については、経時的な粘度の上昇が少ない程、安定であるといえる。
表1に示すように、実施例1~16においては、経時的な粘度の上昇が少なく、安定である傾向にあった。また、ウレタンアクリレート化合物中の遊離イソシアネート基の量が少ない程、安定である傾向にあった。
一方、グリコール系の構造を主骨格内に有する比較例1~4においては、実施例1~16よりも経時的に粘度が上昇する傾向にあった。この理由としては、グリコールに由来する構造を有する骨格自体が、ブタジエンや水添ブタジエン等のアルキル系の骨格に比べて、耐熱性が低く、このため、比較例1~4の方が、分解による低分子量化、架橋点の増加による影響を受け易いことによるものと考えられる。
また、実施例1~3と実施例4~6との比較から、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネートを出発物質として用いた場合には、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いた場合よりも、塩化ビニルの脆化を、より十分に抑制し得る傾向にあることがわかった。
また、湿度環境下での硬化のし易さについては、遊離イソシアネート基の量との相関が見られた。
また、かかる重合性樹脂組成物は、紫外線が十分に照射されない暗部においても優れた硬化性を有するため、自動車の配線や、その他の電気配線等の絶縁材料として好適であることがわかった。
合成例1~4,7~10,18,27~33の重合性樹脂組成物に、さらに下記の成分を添加して、各実施例及び比較例の重合性樹脂組成物を作製した。
合成例1で得られたUA-1 100部に、光重合開始剤として、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製イルガキュア184)3部、及び、ジモルホリノジエチルエーテル(三井化学ファイン社製DMDEE)0.1部を加え、均一に溶解させて、重合性樹脂組成物を得た。
UA-1を、下記表2に示すUA-2~4,7~10,18,27~33に変更した以外は実施例21と同様にして、実施例22~32および比較例21~24の重合性樹脂組成物を得た。
銅製の基材として、JIS規格に規定されたC1020P(TP技研社製)を使用した。
ガラスエポキシ基板としては、グリーンエポキシ材E568(日立化成製)を使用した。その他の基材については、第1実施例と同じ。
重合性樹脂組成物を硬化させる硬化装置として、紫外線(UV)照射装置を使用した。該UV照射装置として、メタルハライドランプを装着したベルトコンベアー式UV硬化装置(商品名CSN2-40A、GSユアサ社製)を使用した。照射条件は、積算照度を400mJ/cm2とした。
特に条件の明示がない場合、紫外線硬化条件としては、重合性樹脂組成物に積算照度400mJ/cm2で紫外線を照射して該重合性樹脂組成物を硬化させた。
湿気硬化併用による硬化条件としては、上記条件で紫外線硬化させた後に、室温25℃、湿度60%RHの調湿環境に24時間静置した。
第1実施例と同じ方法で評価した。
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物の粘度を、コーンプレート型粘度計によって測定した。測定温度は、25℃と40℃とした。
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、銅基材及びガラスエポキシ基材上に、アプリケーターを用いて100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して各重合性組成物を硬化させた(試料)。また、湿気硬化併用による硬化条件で硬化させた試料も作製した。
各試料における基材上の硬化物(硬化物層)に対して、JIS-K5600-5-6に規定された碁盤目試験を行い、残存したマス数を密着性とした。
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、PETフィルム上に、アプリケーターを用いて100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して硬化させた(試料)。また、湿気硬化併用による硬化条件で硬化させた試料も作製した。各試料について、第1実施例に記載の評価方法と同様の方法でゲル分率を算出した。
離型紙上に、アプリケーターを用いて100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して硬化させる事で、硬化フィルムを作成した。作成したフィルムを長さ5cm、幅0.5mmの短冊状に切断した。切断した試験片を、島津社製のオートグラフ(精密万能試験機)にて引っ張り試験(引張速度:50mm/分)を行い、試験片が破断した際の伸度と強度を記録した。
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、PETフィルム上に100μmの膜厚で塗布した後、紫外線を照射して硬化させた(試料)。その後、温度85℃、湿度85%RHの恒温恒湿オーブン内に、試料を500時間設置した後、オーブンから取り出し、室温20℃、湿度60%RHの環境下にて1時間放置・調湿した後の試料の表面固有抵抗値を測定した。測定は、オーブンへの設置前の試料(初期値)についても実施した。表面固有抵抗は、川口電機製作所製のR-503によって測定した。
各実施例及び比較例で得られた重合性樹脂組成物を、それぞれ、JIS Z3284-3に従い、II型くし型電極上にコーティングした後、紫外線を照射し硬化させることにより、膜厚30μmで硬化膜(試料)を作成した。また、湿気硬化併用による硬化条件で硬化させた試料も作製した。各試料について、温度80℃、湿度95%RHの環境下、電圧100Vにて1000時間の印加を行い、抵抗値の変化を確認した。絶縁抵抗値の変化と外観の腐食有無を評価した。
抵抗値が109Ωを維持するものは「〇」、109Ωは維持できないが108Ωを維持するものは「△」、107Ω以下になるものは「×」とした。
マイグレーション試験後の外観は目視で評価した。被覆樹脂に、異常が無いものを「〇」とした。肉やせ、ひび割れが発生しているものや、くしの間を短絡する錆が発生しているものを「×」とした。
JIS Z0208に従って、硬化膜の透湿度を測定した。離型紙を基材とし、膜厚50μmに塗布した後、400mJ/cm2の紫外線照射にて硬化させて、試験片を作成した。
より詳細には、実施例21~32であると、銅基材とガラスエポキシ基材の双方に対して高い密着性を有するとともに、透湿度が低く、高温高湿条件に放置した後の表面固有抵抗値が高く、マイグレーション試験での抵抗値の変化も小さいことから、高温高湿条件下においても高い電気絶縁性を有しており、耐湿熱性に優れることがわかった。
また、紫外線による硬化でも十分な特性が発揮できるだけでなく、湿気硬化併用時にも密着性などの物性変化が小さかった。また、重合性樹脂組成物の保存安定性にも優れていた。
そのため、実施例21~32の重合性樹脂組成物は、回路基板の被覆保護に好適に用いられることがわかる。
Claims (7)
- 水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方と、共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方と、脂環族ポリイソシアネートとの反応によって得られた化合物、及び、
希釈剤としてのアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方、
を含み、
前記化合物に含まれるイソシアネート基、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計量に対するアクリロイル基及びメタクリロイル基の量が、12.5~50モル%である、重合性樹脂組成物。 - 水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方と、共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方と、ポリイソシアネートとの反応によって得られた化合物、及び、
非環式アクリルアミド及び非環式メタクリルアミドの少なくとも一方、
を含み、
前記化合物に含まれるイソシアネート基、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計量に対するアクリロイル基及びメタクリロイル基の量が、12.5~50モル%である、重合性樹脂組成物。 - 水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方と、共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方と、ポリイソシアネートとの反応によって得られた化合物を含み、
前記化合物に含まれるイソシアネート基、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計量に対するアクリロイル基及びメタクリロイル基の量が、12.5~50モル%であり、
金属の被覆に用いられる、重合性樹脂組成物。 - 電線と該電線の端部に接続された接続端子とを備えたワイヤーハーネスにおける前記電線と前記接続端子との接続部分の被覆に用いられる、請求項3に記載の重合性樹脂組成物。
- 水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方と、共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方と、ポリイソシアネートとの反応によって得られた化合物を含み、
前記化合物に含まれるイソシアネート基、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計量に対するアクリロイル基及びメタクリロイル基の量が、12.5~50モル%であり、
回路基板の被覆保護に用いられる、重合性樹脂組成物。 - 活性エネルギー線、加熱、及び、空気中の水の少なくとも1つによって重合して硬化させることが可能な、請求項1~5のいずれかに記載の重合性樹脂組成物。
- 請求項1~6のいずれかに記載の重合性樹脂組成物が重合して硬化した、硬化物。
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