JPH072792Y2 - スチールセグメント - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、トンネル等の掘削穴を構築するにあたり、覆
工用として掘削穴の内部に環状に組まれて使用されるス
チールセグメントに関する。

「従来の技術」 従来、セグメントとしては、コンクリートセグメントお
よびスチールセグメントが提供されている。第５図およ
び第６図は、従来のスチールセグメントの一例を示す図
である。このスチールセグメント１は、一対の円弧状の
主桁2,2を互いに対向配置し、これら主桁2,2の両端部に
継手板3,3を溶接して、これら主桁2,2と継手板3,3によ
り形成された矩形体の外周部にスキンプレート４を溶接
し、さらに上記スキンプレート４の下部の所定の位置に
主桁リブ５を取り付けたものである。主桁２にはリング
継ぎボルト用穴６が形成され、継手板３にはセグメント
継ぎボルト用穴７が形成されている。

以上のように構成されたスチールセグメント１は、複数
個のスチールセグメントを穴７においてボルト締めする
ことにより円弧版を形成し、穴６においてボルト締めす
ることにより軸方向に延長することができる。このよう
にして接続されたスチールセグメントは筒体を形成し、
トンネル工事などでのシールド工法に用いられる。

「考案が解決しようとする課題」 上記従来のスチールセグメントは、圧延鋼材によっての
み構成されるが、鋼材は圧縮力に対する抵抗力が弱く、
スチールセグメント全体として曲げ強度は強いが圧縮強
度が弱くなり、シールド工法におけるジャッキ推力に対
する抵抗力が小さいという欠点があった。さらに、鋼材
が、直に水、空気に触れるのでスチールセグメントとし
ての耐食性が悪く、また、継手面の曲げ圧縮力に対する
抵抗力が小さいため継手強度が弱い等の欠点があった。

「課題を解決するための手段」 本考案は上記課題を解決するための手段として、互いに
対向配置された円弧状の主桁と、これら主桁の各両端部
間にわたってそれぞれ接続された継手板とによって構成
された矩形状の空間に、主桁の延在する方向に沿ってう
ねりながら湾曲する波形のスキンプレートが各主桁およ
び各継手板に固着されることにより取り付けられ、スキ
ンプレートの外周部を覆ってスキンプレート、主桁およ
び継手板とによって構成された空間に、コンクリートが
打設されてなることを特徴としている。

「実施例」 以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明する。

第１図および第２図は、本考案の第１の実施例を示す図
である。第１図および第２図において符号８は、この考
案によるスチールセグメントである。このスチールセグ
メント８は、互いに対向配置された一対の円弧状の主桁
9,9と、これら主桁9,9の両端部に溶接された継手板10,1
0と、これら主桁9,9と継手板10,10により形成された矩
形体の内部に、上記主桁9,9の延在する方向に沿うよう
に溶接されたスキンプレート11と、このスキンプレート
11の外周部に打設されたコンクリート部12とで構成され
ている。主桁９は、鋼製の板体を円弧状に形成し、この
板体に複数のリング継ぎボルト用穴13,13,……を長手方
向に向って等間隔に形成したものである。継手板10は、
鋼製の板体を矩形状に形成し、この板体に複数のセグメ
ント継ぎボルト用穴14,14,……を長手方向に向って等間
隔に形成したものである。スキンプレート11は、帯状の
板体を波形に形成したもので、主桁9,9の延在する方向
に沿ってうねりながら湾曲し、継手板10,10の長さ方向
（スチールセグメント８の軸方向）に沿っては真っ直ぐ
に延びており、四辺の縁が、主桁9,9および継手板10,10
に溶接されて固着されている。コンクリート部12は、ス
キンプレート11の外周部を覆ってスキンプレート11、主
桁9,9および継手板10,10とによって構成された空間にコ
ンクリートが打設されて形成されている。上記リング継
ぎボルト用穴13,13…は、スキンプレート11の内周側に
おける凹面側の空所に対応して形成されている。上記の
構成においては、上記スキンプレート11へのジベル筋の
溶接、有筋コンクリートの利用等によってコンクリート
部12の脱落防止の手段が講じられている。また、上記リ
ング継ぎボルト用穴13は、上記主桁９上でスキンプレー
ト11の下部に形成されている。以上のような構成からな
るスチールセグメントはトンネル工事などのシールド工
法の際に用いられる。

上記スチールセグメント８は、複数個のスチールセグメ
ント８を穴14においてボルト締めすることにより円弧板
を形成し、穴13においてボルト締めすることにより軸方
向に延長することができる。このようにして接続された
スチールセグメント８は、筒体を形成する。

上記スチールセグメント８によれば、スキンプレート11
の外周部を覆って打設されたコンクリート部12が圧縮材
となるのに加え、スキンプレート11そのものも軸方向に
かかる荷重に対する抵抗力が強い波形に形成されている
ので、両者が合成されて特に軸方向の圧縮強度が強化さ
れたものとなる。このため、シールド工法の際のジャッ
キ推力に対する抵抗力が大幅に増大する。このことはす
なわち継手面の曲げ圧縮力に対する抵抗力が増大したと
いうことになり、したがって継手強度も向上する。

このセグメント８を水分を含む地中でのトンネル工事に
用いた場合、セグメント８の外周部がコンクリートで覆
われているので内部の鋼材部への水の侵入を防ぐことが
できる。

第３図および第４図は、本考案による第２の実施例を示
すものである。この実施例のスチールセグメント15は、
主桁9,9の下部に主桁補強板部17,17が形成され、スキン
プレート11の下部にスキンプレート補強板18,18が形成
されたものである。その他の構成は上記実施例と同様に
なっており、同様な部分には同一符号を符してその説明
を省略する。

この実施例においても、上記の実施例と同様の効果を得
ることができる。

この実施例では、主桁９に主桁補強板部17を取付け、ス
キンプレート11にスキンプレート補強板18を取り付ける
ことにより、上記実施例よりもさらに曲げ圧縮力に対す
る抵抗力が増す。

「考案の効果」 本考案によるスチールセグメントによると次のような効
果が得られる。

スキンプレートと、スキンプレートの外周部を覆って打
設されたコンクリート部とが合成して特に軸方向の圧縮
強度が向上し、このためシールド工法によるトンネル構
築の際のジャッキ推力に対する抵抗力が大幅に増大す
る。また、コンクリート部が曲げ圧縮力に抵抗すること
により外部圧力に対する耐力が増大し、ひいては継手面
の曲げ圧縮力に対する抵抗力が増大して継手強度が向上
する。また、コンクリート部によりセグメント内部へ水
が侵入しにくくなり、錆びの発生が抑えられる。

以上のような利点により、従来小口径用でかつ軽荷重用
と考えられていたスチールセグメントの適用範囲を大幅
に拡大することが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるスチールセグメントの第１の実施
例の横断面図、第２図は第１図におけるＢ、Ｂ線視側面
図、第３図は本考案による第２の実施例の横断面図、第
４図は第２図におけるＣ、Ｃ線視側面図、第５図は従来
のスチールセグメントの一例の横断面図、第６図は第５
図におけるＡ、Ａ線視側面図を示すものである。 1,8,15……スチールセグメント、2,9……主桁、3,10,16
……継手板、4,11……スキンプレート、５……主桁リ
ブ、12……コンクリート部、17……主桁補強板、18……
スキンプレート補強板。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−151697（ＪＰ，Ａ) 実公 昭45−16765（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭42−3077（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】互いに対向配置された円弧状の主桁と、こ
   れら主桁の各両端部間にわたってそれぞれ接続された継
   手板とによって構成された矩形状の空間に、主桁の延在
   する方向に沿ってうねりながら湾曲する波形のスキンプ
   レートが各主桁および各継手板に固着されることにより
   取り付けられ、スキンプレートの外周部を覆ってスキン
   プレート、主桁および継手板とによって構成された空間
   に、コンクリートが打設されてなることを特徴としたス
   チールセグメント。