JPH07278720A - 耐摩耗性および靭性のすぐれた耐食性焼結材料 - Google Patents
耐摩耗性および靭性のすぐれた耐食性焼結材料Info
- Publication number
- JPH07278720A JPH07278720A JP9365194A JP9365194A JPH07278720A JP H07278720 A JPH07278720 A JP H07278720A JP 9365194 A JP9365194 A JP 9365194A JP 9365194 A JP9365194 A JP 9365194A JP H07278720 A JPH07278720 A JP H07278720A
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- JP
- Japan
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- toughness
- sintered material
- wear resistance
- binder phase
- resistant sintered
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 耐摩耗性と靭性のすぐれた耐食性焼結材料を
提供する。 【構成】 焼結材料が、硬質相として硼化チタン:30
〜75容量%を含有し、残りが結合相からなり、かつ前
記結合相が、重量%で、W:30〜65%、Mo:5〜
30%を含有し、さらに必要に応じてNiおよび/また
はPd:0.1〜5%を含有し、残りがTiと不可避不
純物からなる組成を有するTi−W−Mo系合金で構成
されたものからなる。
提供する。 【構成】 焼結材料が、硬質相として硼化チタン:30
〜75容量%を含有し、残りが結合相からなり、かつ前
記結合相が、重量%で、W:30〜65%、Mo:5〜
30%を含有し、さらに必要に応じてNiおよび/また
はPd:0.1〜5%を含有し、残りがTiと不可避不
純物からなる組成を有するTi−W−Mo系合金で構成
されたものからなる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、すぐれた耐摩耗性と
靭性を有し、かつ耐食性にもすぐれた焼結材料に関する
ものである。
靭性を有し、かつ耐食性にもすぐれた焼結材料に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開昭50−137313
号公報に記載されるように、硬質相として炭化チタン
(以下、TiCxで示す)または炭窒化チタン(以下、
TiCxNyで示す)を10〜35重量%含有し、残り
がTi−Mo合金の結合相からなる焼結材料が知られて
おり、また、これが腐食環境下で摩耗を受ける、例えば
水や海水、さらに化学薬品などの腐食性流体の送配給に
用いられる各種ポンプのシールリングや軸受、さらにス
リーブなどの構造部材として用いられていることも知ら
れている。
号公報に記載されるように、硬質相として炭化チタン
(以下、TiCxで示す)または炭窒化チタン(以下、
TiCxNyで示す)を10〜35重量%含有し、残り
がTi−Mo合金の結合相からなる焼結材料が知られて
おり、また、これが腐食環境下で摩耗を受ける、例えば
水や海水、さらに化学薬品などの腐食性流体の送配給に
用いられる各種ポンプのシールリングや軸受、さらにス
リーブなどの構造部材として用いられていることも知ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の上記各種
ポンプなどの小型化および軽量化に伴ない、これの構造
部材には薄肉化が強く要求されるほか、その使用寿命の
一層の延命化も求められているが、上記の従来焼結材料
は、相対的にすぐれた耐食性を具備するものの耐摩耗性
と靭性が不十分であるために、これらの要求には必ずし
も満足に対応することができないのが現状である。
ポンプなどの小型化および軽量化に伴ない、これの構造
部材には薄肉化が強く要求されるほか、その使用寿命の
一層の延命化も求められているが、上記の従来焼結材料
は、相対的にすぐれた耐食性を具備するものの耐摩耗性
と靭性が不十分であるために、これらの要求には必ずし
も満足に対応することができないのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、上記従来耐食性焼結材料に着目
し、これの耐摩耗性および靭性の一段の向上をはかるべ
く研究を行なった結果、硬質相として硼化チタン(以
下、TiBxで示す):30〜75容量%、を含有し、
残りが結合相からなり、かつ前記結合相を、重量%で、
W:30〜65%、 Mo:5〜30%、を含有し、
さらに必要に応じて、NiおよびPdのうちの1種また
は2種:0.1〜5%、を含有し、残りがTiと不可避
不純物からなる組成を有するTi−W−Mo系合金で構
成した焼結材料においては、一段とすぐれた耐摩耗性と
靭性をもつようになると共に、上記従来耐食性焼結材料
と同等のすぐれた耐食性を具備するという研究結果を得
たのである。
上述のような観点から、上記従来耐食性焼結材料に着目
し、これの耐摩耗性および靭性の一段の向上をはかるべ
く研究を行なった結果、硬質相として硼化チタン(以
下、TiBxで示す):30〜75容量%、を含有し、
残りが結合相からなり、かつ前記結合相を、重量%で、
W:30〜65%、 Mo:5〜30%、を含有し、
さらに必要に応じて、NiおよびPdのうちの1種また
は2種:0.1〜5%、を含有し、残りがTiと不可避
不純物からなる組成を有するTi−W−Mo系合金で構
成した焼結材料においては、一段とすぐれた耐摩耗性と
靭性をもつようになると共に、上記従来耐食性焼結材料
と同等のすぐれた耐食性を具備するという研究結果を得
たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、焼結材料の組成を上記の通りに
限定した理由を以下に説明する。 (a) 硬質相 焼結材料における硬質相は、結合相を構成する成分の一
部が固溶した状態で存在し、耐摩耗性を向上させる作用
をもつが、その割合が30容量%未満では所望の耐摩耗
性を確保することができず、一方その割合が75容量%
を越えると靭性が低下するようになることから、その割
合を30〜75容量%と定めた。望ましくは50〜70
容量%の含有がよい。なお、この場合結合相には硬質相
を構成する成分の一部が固溶することは勿論である。
なされたものであって、焼結材料の組成を上記の通りに
限定した理由を以下に説明する。 (a) 硬質相 焼結材料における硬質相は、結合相を構成する成分の一
部が固溶した状態で存在し、耐摩耗性を向上させる作用
をもつが、その割合が30容量%未満では所望の耐摩耗
性を確保することができず、一方その割合が75容量%
を越えると靭性が低下するようになることから、その割
合を30〜75容量%と定めた。望ましくは50〜70
容量%の含有がよい。なお、この場合結合相には硬質相
を構成する成分の一部が固溶することは勿論である。
【0006】(b) TiBx TiBx成分は、きわめて硬質で、硬質相として分散分
布して耐摩耗性を一段と向上させるほか、発生クラック
が粒内伝幡しにくい性質をもつので、耐欠損性向上にも
寄与する作用をもつが、その割合が30容量%未満では
前記作用に所望の効果が得られず、一方その割合が75
容量%を越えると相対的に結合相の割合が少なくなりす
ぎて焼結性が低下し、これが原因で強度低下が避けられ
ないことから、その割合を30〜75容量%と定めた。
望ましくは40〜70容量%の含有がよい。
布して耐摩耗性を一段と向上させるほか、発生クラック
が粒内伝幡しにくい性質をもつので、耐欠損性向上にも
寄与する作用をもつが、その割合が30容量%未満では
前記作用に所望の効果が得られず、一方その割合が75
容量%を越えると相対的に結合相の割合が少なくなりす
ぎて焼結性が低下し、これが原因で強度低下が避けられ
ないことから、その割合を30〜75容量%と定めた。
望ましくは40〜70容量%の含有がよい。
【0007】(c) 結合相 (ア) W W成分には、主として結合相中に固溶して、これの靭性
を向上させる作用があるが、その割合が、結合相に占め
る重量割合で(以下同じ)、30%未満では所望のすぐ
れた靭性を確保することができず、一方その割合が65
%を越えると靭性に低下傾向が現われるようになること
から、その割合を30〜65%と定めた。望ましくは4
0〜60%の含有がよい。
を向上させる作用があるが、その割合が、結合相に占め
る重量割合で(以下同じ)、30%未満では所望のすぐ
れた靭性を確保することができず、一方その割合が65
%を越えると靭性に低下傾向が現われるようになること
から、その割合を30〜65%と定めた。望ましくは4
0〜60%の含有がよい。
【0008】(イ) Mo Mo成分は、主として結合相中に固溶して、表面に自然
発生する不動態皮膜の安定化に寄与し、もって耐食性を
向上させる作用をもつが、その割合が5%未満では所望
の耐食性向上効果が得られず、一方その割合が30%を
越えると靭性が低下するようになることから、その割合
を5〜30%と定めた。望ましくは10〜20%の含有
がよい。
発生する不動態皮膜の安定化に寄与し、もって耐食性を
向上させる作用をもつが、その割合が5%未満では所望
の耐食性向上効果が得られず、一方その割合が30%を
越えると靭性が低下するようになることから、その割合
を5〜30%と定めた。望ましくは10〜20%の含有
がよい。
【0009】(ウ) NiおよびPd これらの成分には、同じく主として結合相中に固溶し
て、耐食性をさらに向上させる作用があるので、必要に
応じて含有されるが、その割合が0.1%未満では所望
の耐食性向上効果が得られず、一方その割合が5%を越
えても耐食性に一層の向上効果は得られないことから、
経済性を考慮して、その割合を0.1〜5%と定めた。
望ましくは0.1〜2%の含有がよい。
て、耐食性をさらに向上させる作用があるので、必要に
応じて含有されるが、その割合が0.1%未満では所望
の耐食性向上効果が得られず、一方その割合が5%を越
えても耐食性に一層の向上効果は得られないことから、
経済性を考慮して、その割合を0.1〜5%と定めた。
望ましくは0.1〜2%の含有がよい。
【0010】
【実施例】つぎに、この発明の焼結材料を実施例により
具体的に説明する。原料粉末として、いずれも2〜2.
5μmの範囲内の所定の平均粒径を有するTiB2 粉
末、TiB粉末、Ni粉末、Mo粉末、TiC0.95粉
末、およびTiC0.5 N0.5 粉末、同1.6μmのW粉
末、さらに同6μmのPd粉末、同20μmのTi粉末
を用意し、これら原料粉末を表1に示される配合組成に
配合し、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した
後、1ton /cm2 の圧力で圧粉体にプレス成型し、この
圧粉体を1×10-3torrの真空中、1500〜1600
℃の範囲内の所定温度に1.5時間保持の条件で焼結す
ることにより表2に示される成分組成をもった本発明焼
結材料1〜10および従来焼結材料、1,2をそれぞれ
製造した。ついで、これらの焼結材料について、研磨面
で硬質相の面積割合を測定し、かつ結合相はEPMA
(電子線マイクロアナライザー)を用いて分析し、さら
に耐摩耗性と靭性を評価する目的でロックウェル硬さ
(Aスケール)と破壊靭性を測定し、加えて耐食性を評
価する目的で10%HCl水溶液中に30日間保持の腐
食試験を行ない、腐食減量を測定した。これらの測定結
果をそれぞれ表2に示した。
具体的に説明する。原料粉末として、いずれも2〜2.
5μmの範囲内の所定の平均粒径を有するTiB2 粉
末、TiB粉末、Ni粉末、Mo粉末、TiC0.95粉
末、およびTiC0.5 N0.5 粉末、同1.6μmのW粉
末、さらに同6μmのPd粉末、同20μmのTi粉末
を用意し、これら原料粉末を表1に示される配合組成に
配合し、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した
後、1ton /cm2 の圧力で圧粉体にプレス成型し、この
圧粉体を1×10-3torrの真空中、1500〜1600
℃の範囲内の所定温度に1.5時間保持の条件で焼結す
ることにより表2に示される成分組成をもった本発明焼
結材料1〜10および従来焼結材料、1,2をそれぞれ
製造した。ついで、これらの焼結材料について、研磨面
で硬質相の面積割合を測定し、かつ結合相はEPMA
(電子線マイクロアナライザー)を用いて分析し、さら
に耐摩耗性と靭性を評価する目的でロックウェル硬さ
(Aスケール)と破壊靭性を測定し、加えて耐食性を評
価する目的で10%HCl水溶液中に30日間保持の腐
食試験を行ない、腐食減量を測定した。これらの測定結
果をそれぞれ表2に示した。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【発明の効果】表2,3に示される結果から、本発明焼
結材料1〜10は、いずれも従来焼結材料1,2と同等
の耐食性を有し、かつこれより一段と高硬度および高靭
性をもつことが明らかである。上述のように、この発明
の焼結材料は、すぐれた耐食性に加えて、一段とすぐれ
た耐摩耗性と靭性を有するので、耐食性と耐摩耗性が要
求される各種の設備設置の構造部材として用いた場合
に、薄肉化が可能となると共に、長期に亘ってすぐれた
性能を発揮し、これの小型化および軽量化に大いに寄与
するものである。
結材料1〜10は、いずれも従来焼結材料1,2と同等
の耐食性を有し、かつこれより一段と高硬度および高靭
性をもつことが明らかである。上述のように、この発明
の焼結材料は、すぐれた耐食性に加えて、一段とすぐれ
た耐摩耗性と靭性を有するので、耐食性と耐摩耗性が要
求される各種の設備設置の構造部材として用いた場合
に、薄肉化が可能となると共に、長期に亘ってすぐれた
性能を発揮し、これの小型化および軽量化に大いに寄与
するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河瀬 広樹 岐阜県安八郡神戸町大字横井字中新田1528 三菱マテリアル株式会社会社岐阜製作所 内
Claims (2)
- 【請求項1】 硬質相として硼化チタン:30〜75容
量%、を含有し、残りが結合相からなり、かつ前記結合
相を、重量%で、 W:30〜65%、 Mo:5〜30%、を含有し、
残りがTiと不可避不純物からなる組成を有するTi−
W−Mo系合金で構成することを特徴とする耐摩耗性お
よび靭性のすぐれた耐食性焼結材料。 - 【請求項2】 硬質相として硼化チタン:30〜75容
量%、を含有し、残りが結合相からなり、かつ前記結合
相を、重量%で、 W:30〜65%、 Mo:5〜30%、を含有し、
さらに、 NiおよびPdのうちの1種または2種:0.1〜5
%、を含有し、残りがTiと不可避不純物からなる組成
を有するTi−W−Mo系合金で構成することを特徴と
する耐摩耗性および靭性のすぐれた耐食性焼結材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9365194A JPH07278720A (ja) | 1994-04-07 | 1994-04-07 | 耐摩耗性および靭性のすぐれた耐食性焼結材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9365194A JPH07278720A (ja) | 1994-04-07 | 1994-04-07 | 耐摩耗性および靭性のすぐれた耐食性焼結材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07278720A true JPH07278720A (ja) | 1995-10-24 |
Family
ID=14088288
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9365194A Withdrawn JPH07278720A (ja) | 1994-04-07 | 1994-04-07 | 耐摩耗性および靭性のすぐれた耐食性焼結材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07278720A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016191116A (ja) * | 2015-03-31 | 2016-11-10 | 日本タングステン株式会社 | 硬質複合材料およびそれを用いた切削工具、耐摩部材 |
-
1994
- 1994-04-07 JP JP9365194A patent/JPH07278720A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016191116A (ja) * | 2015-03-31 | 2016-11-10 | 日本タングステン株式会社 | 硬質複合材料およびそれを用いた切削工具、耐摩部材 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20010703 |