JPH09194980A - 靱性および耐磨耗性の優れた耐食性サーメット材 - Google Patents

靱性および耐磨耗性の優れた耐食性サーメット材

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JPH09194980A
JPH09194980A JP814496A JP814496A JPH09194980A JP H09194980 A JPH09194980 A JP H09194980A JP 814496 A JP814496 A JP 814496A JP 814496 A JP814496 A JP 814496A JP H09194980 A JPH09194980 A JP H09194980A
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JP
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cermet material
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toughness
wear resistance
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JP814496A
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Kazuo Yamamoto
和男 山本
Naoshi Yamashita
直志 山下
Hiroki Kawase
広樹 河瀬
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高靱性を有し、耐磨耗性にも優れた耐食性サー
メット材を提供する。 【解決手段】硬質相が35〜90容量%を占め、残りが
結合相からなるサーメット材において、前記硬質相を、
硬質相中の割合で、50〜99.5容量%の炭化チタン
および/または炭窒化チタンと、0.5〜50容量%の
TiとWとMoの3元複合硼化物(ただし、W:15〜
35重量%、Mo:1〜10重量%含有)で構成し、か
つ上記結合相を、結合相中の割合で、重量%で、W:2
0〜50%、Mo:5〜30%を含有し、さらに必要に
応じて、Niおよび/またはPd:0.1〜5%を含有
し、0.1〜10%の微細なWCが分散分布しており、
残りがTiと不可避不純物からなる組成を有するTi−
W−Mo系合金で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、優れた耐食性を
有し、かつ靱性および耐磨耗性にも優れたサーメット材
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開平6−73486号公
報に記載されているように、硬質相としてTiCおよび
TiNまたはTiCNを5〜70容量%含有し、残りが
5a、6bの金属、固溶体、炭化物、窒化物、炭窒化物
から選択した第1部分とTiからなる第2部分の結合相
からなるサーメット材が知られており、また、このサー
メット材が、腐食環境下で摩耗を受ける、例えば水や海
水、さらに化学薬品などの腐食性流体中で用いられる各
種軸受等の摺動部材として用いられることも知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年サーメット
材にも、より広い腐食環境下での使用が可能な汎用の耐
食性を有すると共に、かかる腐食環境下においてもより
優れた靱性と耐磨耗性が要求される構造材としての使用
が要求されて来ている。しかし上記従来サーメット材
は、例えば海水中等で相対的に優れた耐食性を有する
が、靱性および耐磨耗性が今一つ不足するため、腐食環
境下での構造材料とて広く使用するには不十分で上記要
求には、必ずしも満足に対応することが出来ないという
問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は、上
述のような観点から、耐食性は勿論のこと、より一段と
靱性および耐磨耗性にも優れたサーメット材を開発すべ
く研究を行った結果、硬質相が35〜90容量%を占
め、残りが結合相からなるサーメット材において、前記
硬質相を、硬質相中の割合で、50〜99.5容量%の
炭化チタンおよび/または炭窒化チタンと、0.5〜5
0容量%のTiとWとMoの3元複合硼化物(ただし、
W:15〜35重量%、Mo:1〜10重量%含有)、
〔以下、(Ti、W、Mo)Bと書く〕で構成し、かつ
上記結合相を、結合相中の割合で、重量%で、W:20
〜50%、 Mo:5〜30%、を含有し、0.1〜1
0%の微細なWCが分散分布しており、残りがTiと不
可避不純物からなる組成を有するTi−W−Mo系合
金、で構成すると、上記(Ti,W,Mo)Bは、きわめ
て硬質で耐食性にも優れ、かつ発生クラックの結晶粒内
伝播を抑制する作用を持つほか、上記の結合相との密着
性にも優れていることから、サーメット材の耐摩耗性が
TiCおよびTiCNとの共存において向上するように
なり、また上記TiCおよびTiCNは耐摩耗性向上に
寄与するほか、上記(Ti,W,Mo)Bと下記の結合相
との中間的硬さを有し、これが上記(Ti,W,Mo)B
による相手攻撃性の緩和に作用し、かつ結合相中に微細
なWCが分散分布していることにより結合相の靱性と耐
摩耗性が一段と向上し、さらに上記結合相に必要に応じ
て、結合相中の割合で、重量%で、Niおよび/または
Pd:0.1〜5%含有せしめることにより、上記Ti
−W−Mo系合金は、一層靱性および耐食性に優れ、か
つ高強度を持つようになることから、この結果のサーメ
ット材は、上記硬質相によってもたらせられる特性と相
まって、優れた靱性を有し、さらに優れた耐摩耗性と耐
食性を具備する様になるという研究結果得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果に基づいてな
されたものであって、硬質相が、35〜90容量%を占
め、残りが結合相からなるサーメット材において、前記
硬質相を、硬質相中の割合で、50〜99.5容量%の
炭化チタンおよび/または炭窒化チタンと、0.5〜5
0容量%のTiとWとMoの3複合硼化物(ただし、
W:15〜35重量%、Mo:1〜10重量%含有)、
で構成し、かつ上記結合相を、結合相中の割合で、重量
%で、W:20〜50%、 Mo:5〜30%、を含有
し、さらに必要に応じて、Niおよび/またはPd:
0.1〜5%、を含有し、0.1〜10%の微細なWC
が分散分布しており、残りがTiと不可避不純物からな
る組成を有するTi−W−Mo系合金、で構成してなる
靱性および耐磨耗性の優れた耐食性サーメット材に特徴
を有するものである。
【0006】つぎに、この発明のサーメット材におい
て、組成を上記の通りに限定した理由を説明する。 (A)硬質相 (1)硬質相の割合 その割合が35容量%未満では、相対的に結合相の割合
が多くなりすぎて、所望の耐摩耗性を確保することが出
来ず、一方その割合が90容量%を越えると反対に結合
相の割合が少なくなりすぎて、急激に靭性が低下するよ
うになることから、その割合を35〜90容量%、望ま
しくは60〜80容量%と定めた。
【0007】(2)TiCおよびTiCNの割合 これらの成分には、(Ti,W,Mo)Bとの共存におい
て耐摩耗性を向上させるほか、硬質の(Ti,W,Mo)
Bが原因の相手攻撃性を緩和する作用があるが、その割
合が、硬質相中の割合で、50容量%未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方その割合が99.5容量
%を越えると、相対的に(Ti、W、Mo)Bの割合が
少なくなりすぎて耐摩耗性が低下するようになることか
ら、その割合を50〜99.5容量%、望ましくは70
〜90容量%と定めた。
【0008】(3)(Ti,W,Mo)Bの割合 上記の通り(Ti,W,Mo)B成分は、きわめて硬質
で、結合相との密着性に優れ、かつ発生クラックの結晶
粒内伝幡を抑制する作用をもつので、この成分の存在に
よって耐摩耗性が向上するようになるが、その割合が硬
質相中の割合で、0.5容量%未満では所望の耐摩耗性
向上効果を確保することができず、一方その割合が50
容量%を越えると、相手攻撃性が増すようになることか
ら、その割合を0.5〜50容量%、望ましくは10〜
30容量%と定めた。
【0009】(4)(Ti、W、Mo)BにおけるWと
Moの含有量 WおよびMoには、共存した状態で結合相との密着性を
向上させるほか、発生クラックの結晶粒内伝幡を阻止す
る作用があるが、その含有量がWおよびMoのいずれか
でも、重量%でW:15%未満およびMo:1%未満に
なると前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有
量が、WおよびMoのいずれかでも、同じく重量%で
W:35%およびMo:10%を越えると(Ti、W,
Mo)Bの硬さが急激に低下し、サーメット材における
耐摩耗性向上効果を確保することできなくなることか
ら、その含有量をそれぞれW:15〜35%、望ましく
は20〜30%、Mo:1〜10%、望ましくは2〜7
%と定めた。
【0010】(B)結合相 (Ti−W−Mo−系合
金)の組成 (1)W W成分には、主としてTi中に固溶して、結合相の靱性
を向上させる作用があるが、その含有量が上記Ti−W
−Mo系合金の結合相中に占める重量%で(以下同じ)
20%未満では所望の靱性向上効果が得られず、一方そ
の含有量が50%を越えると靱性に低下傾向が現れるよ
うになることから、その含有量を20〜50%、望まし
くは30〜45%と定めた。
【0011】(2)Mo Mo成分には、同じく主としてTi中固溶して、結合相
表面に自然発生する不動態皮膜の安定化に寄与し、もっ
て耐食性を向上させる作用があるが、その含有量が、結
合相中の割合で、5%未満では所望の耐食性向上効果が
得られず、一方その含有量が30%をこえると靱性が低
下するようになることから、その含有量を5〜30%、
望ましくは10〜20%と定めた。
【0012】(3)NiおよびPd これらの成分には、同じくTi中に固溶して、耐食性を
さらに向上させる作用があるので、必要に応じて含有さ
れるが、その含有量が、結合相中の割合で、0.1%未
満では所望の耐食性向上効果が得られず、一方その含有
量が5%を越えると硬さが急激に低下するようになるこ
とから、その含有量を0.1〜5%、望ましくは0.1
〜2%と定めた。
【0013】(4)WC WC成分には、結合相中に微細に分散分布し、結合相の
靭性と耐摩耗性を向上させる作用があるが、その含有量
が、結合相中の割合で、0.1重量%未満では、前記作
用に所望の効果が得られず、一方その含有量が10重量
%を越えると、かえつて靱性に低下傾向が現れるように
なることから、その含有量を0.1〜10重量%、望ま
しくは1〜3重量%と定めた。
【0014】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明のサ−メット材
の実施の形態について、具体的に説明する。原料粉末と
して、いずれも1.5〜2.5μmの範囲内の所定の平
均粒径を有するWC粉末、TiC0.95粉末、TiC0.7
0.3粉末、TiC0.50.5粉末、TiC0.30.7
末、TiB2粉末、TiB粉末、W粉末、Mo粉末およ
びNi粉末、さらに同6μmのPd粉末、同20μmの
Ti粉末を用意し、これら原料粉末を表1に示される配
合組成に配合し、ボ−ルミルで72時間湿式混合し、乾
燥した後、1ton/cm2の圧力で圧粉体にプレス成
形し、この圧粉体を、1×10-3torrの真空中、1
400〜1600℃の範囲内の所定温度に1.5時間保
持の条件で焼結することより表2に示される組成をもつ
た本発明サ−メッ材1〜10および従来サ−メット材
1,2をそれぞれ製造した。 なお、表2におけるサ−
メット材の硬質相および結合相の組成はEPMA(電子
線マイクロアナライザ−)を用いての分析結果を示し、
また硬質相の割合は研磨面での面積割合を測定した結果
を示す。 ついで、この結果得られたサ−メット材につ
いて、耐摩耗性と靭性を評価する目的で、ロックウエル
硬さ(Aスケ−ル)と破壊靭性を測定し、さらに耐食性
を評価する目的で、10%HCl水溶液中に30日間保
持の腐食試験を行な、腐食減量を測定した。これらの測
定結果を表3に示した。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【発明の効果】表3に示される結果から、本発明サーメ
ット材1〜10は、いずれも従来サーメット材1,2と
同等の優れた耐食性を保持した状態で、これより一段と
優れた靱性と相対的に高い硬さをもつことが明らかであ
る。 上述のように、この発明のサーメット材は、優れ
た耐食性に加えて、一段と優れた靱性を有し、かつ耐摩
耗性にも優れたいるので、これらの特性が要求される腐
食環境下での各種の構造部材に適用した場合、長期に亘
って優れた性能を発揮するのである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬質相が35〜90容量%を占め、残り
    が結合相からなるサーメット材において、前記硬質相
    を、硬質相中の割合で、 50〜99.5容量%の炭化チタンおよび/または炭窒
    化チタンと、 0.5〜50容量%のTiとWとMoの3元複合硼化物
    (ただし、W:15〜35重量%、Mo:1〜10重量
    %、Ti:残含有)、で構成し、かつ上記結合相を、結
    合相中の割合で、重量%で、 W:20〜50%、 Mo:5〜30%、を含有し、
    0.1〜10%の微細なWCが分散分布しており、残り
    がTiと不可避不純物からなる組成を有するTi−W−
    Mo系合金、で構成したことを特徴とする靱性および耐
    磨耗性の優れた耐食性サーメット材。
  2. 【請求項2】 硬質相が35〜90容量%を占め、残り
    が結合相からなるサーメット材において、前記硬質相
    を、硬質相中の割合で、 50〜99.5容量%の炭化チタンおよび/または炭窒
    化チタンと、 0.5〜50容量%のTiとWとMoの3元複合硼化物
    (ただし、W:15〜35重量%Mo:1〜10重量
    %、Ti:残含有)、で構成し、かつ上記結合相を、結
    合相中の割合で、重量%で、 W:20〜50%、 Mo:5〜30%、を含有し、さ
    らに、 Niおよび/またはPd:0.1〜5%、を含有し、
    0.1〜10%の微細なWCが分散分布しており、残り
    がTiと不可避不純物からなる組成を有するTi−W−
    Mo系合金、で構成したことを特徴とする靱性および耐
    磨耗性の優れた耐食性サーメット材。
JP814496A 1996-01-22 1996-01-22 靱性および耐磨耗性の優れた耐食性サーメット材 Withdrawn JPH09194980A (ja)

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Effective date: 20030401