JP2900545B2 - 切刃部が立方晶窒化硼素基焼結体で構成された切削工具 - Google Patents

切刃部が立方晶窒化硼素基焼結体で構成された切削工具

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、浸炭焼入れ鋼や高周波焼入れ鋼などの高
硬度鋼の連続切削は勿論のこと、特にこれらの被削材の
断続切削に用いた場合に優れた耐欠損性を示す、切刃部
が立方晶窒化硼素基焼結体で構成された切削工具に関す
るものである。
〔従来の技術〕
一般に、上記浸炭焼入れ鋼や高周波焼入れ鋼などの連
続切削および断続切削には、 結合相形成成分として、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化
物および硼化物のうち、1種または2種以上(以下、Ti
化合物と記す)並びに酸化アルミニウム(以下、Al2O3
と記す)を合計で20〜60容量%含有し、残りが分散相形
成成分としての立方晶窒化硼素(以下、cBNと記す)と
不可避不純物からなる組成(以下容量%、以下%は容量
%を示す)からなる焼結体を切刃部とし、この切刃部を
炭化タングステン(以下、WCと記す)基超硬合金台金部
に接合してなる切削工具は良く知られているところであ
る。
上記切刃部に含まれるcBNの平均粒径は、通常、2μ
m以上であり、切刃部に2μm未満のcBNが含まれると
台金部と切刃部の界面に亀裂が発生する。そのため、結
合相形成成分としてTi化合物およびAl2O3を含み、残り
が分散相形成成分としてのcBNからなる切刃部におい
て、上記cBNの平均粒径が2μm未満のcBN基焼結体から
なる切刃部は得られていない。
その理由としては、cBNの平均粒径が2μm未満であ
ってもTi化合物とAl2O3を結合相形成成分とする切刃部
は、通常のTi化合物のみを結合相形成成分とする切刃部
よりも高温で焼結する必要があり、高温で焼結すると台
金部の超硬合金のCoの一部が切刃部へ容浸し、切刃部の
cBNがCoと反応して脆いCo化合物が形成されるが、上記c
BNの平均粒径が極めて小さいと、切刃部と台金部の界面
に脆いCo化合物が大量に生成し、この脆いCo化合物層に
沿って切削工具使用中に切刃部と台金部の界面に亀裂が
発生し、切刃部の欠けやチッピングの発生原因となって
使用寿命が短くなるものと考えられている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、切刃部と台金部の界面に亀裂が発生すること
がなければ、切刃部に含まれるcBNは微細なほど切刃部
の靱性は向上し、一層苛酷な重切削に耐えることのでき
る切削工具を作製することができるところから、切刃部
のcBNの平均粒径を従来よりも一層微細な2μm未満で
しかも超硬合金製台金部との界面に亀裂の発生すること
がない切削工具が求められていた。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明者等は、切刃部に含まれるcBNの平均
粒径を2μm未満の微細な粒子として靱性を付与すると
同時に切刃部と台金部の界面に亀裂が生ずることのない
切削工具を開発すべく研究を行った結果、 平均粒径:2μm未満、好ましくは1μm以下のcBNを
分散相形成成分としTi化合物およびAl2O3を結合相形成
成分とする切刃部と、超硬合金からなる台金部との間
に、Coが容浸してもあまり影響のない平均粒径:2μm以
上のcBNを分散相形成成分としてTi化合物およびAl2O3
結合相形成成分とする中間層を介して接合させると、微
細なcBNを含む切刃部のCoによる影響を軽減することが
でき、切刃部の靱性を確保することができると同時に切
刃部と台金部との界面に亀裂が発生するのを防止するこ
とができるという知見を得たのである。
この発明は、かかる知見にもとづいてなされたもので
あって、 結合相形成成分として、Ti化合物:15〜40%およびAl2
O3:5〜30%を含有し、残りが分散相形成成分としてのcB
Nと不可避不純物からなる組成を有し、かつ上記立方晶
窒化硼素の平均粒径が2μm未満であるcBN基焼結体か
らなる切刃部、 結合相形成成分として、Ti化合物:10〜50%およびAl2
O3:5〜20%を含有し、残りが分散相形成成分としてのcB
Nと不可避不純物からなる組成を有し、かつ上記立方晶
窒化硼素の平均粒径が2〜10μmであるcBN焼結体から
なる中間部、並びに超硬合金製台金部からなり、上記切
刃部を上記中間部を介して超硬合金製台金部に接合して
なる切削工具、 に特徴を有するものである。
上記切刃部の分散相形成成分として含まれるcBNは、
切刃部の硬度を向上させ、この粒度を微細化するほど靱
性が向上するところから、この粒均粒径は2μm未満に
する必要があり、さらに十分な靱性を得るためには1μ
m以下にする必要があるところから、切刃部の分散相形
成成分として含まれるcBNの平均粒径は2μm未満、好
ましくは1μm以下に定めた。
また、上記中間部に含まれるcBNの平均粒径は2μm
以上ないと、中間部と台金部との界面に亀裂が発生する
ので中間部に含まれるcBNの平均粒径を2μm以上とし
たが、その平均粒径が10μmを越えると中間部の靱性が
著しく低下するところから、中間部に含まれるcBNの平
均粒径は2〜10μmと定めた。さらに、上記中間部の厚
さは30〜500μmの範囲内にあれば、焼結時のCoが切刃
部へ容浸するのを防止するには十分である。
なお、切刃部の作製に用いるTi化合物粉末およびAl2O
3粉末は、それぞれ平均粒径:2μm以下の微粉末を用い
る方がよく、一方、中間部の作製に用いるTi化合物粉末
およびAl2O3粉末は、それぞれ平均粒径:2μmを越える
粗粉末を用いる方がよい。
〔実施例〕
つぎに、この発明を実施例にもとづいて具体的に説明
する。
原料粉末として種々の平均粒径を有するcBN粉末、Ti
化合物粉末およびAl2O3粉末を用意し、これら原料粉末
を第1表に示される割合に配合し、この配合粉末をアセ
トン溶媒液と共にボールミルにて48時間混合したのち乾
燥し、ついでプレス圧:2Ton/cm2でプレス成形して直径:
15mm、厚さ:2.5mmの切刃部用プレス成形体を作製した。
さらに、原料粉末を第1表に示される割合に配合し、
混合したのち乾燥し、この乾燥した混合粉末をアセトン
50ccに対して混合粉末10gの割合で混合し、超音波攪拌
することにより分散溶液を作製した。
この分散溶液中に、通常のWC基超硬合金(WC−10重量
%Co)からなる直径:15mm、厚さ:2.5mmの寸法を有する
台金部を浸け、1時間静置したのち乾燥して台金部の上
に中間部となる層を被覆した。
上記台金部表面に被覆された中間部となる層の上に、
先に作製したおいた切刃部プレス成形体を載置し、これ
を超高圧高温発生装置に装入し、圧力:5万気圧、温度:1
400℃の条件で30分間保持し、 切刃部の厚さ:2mm 中間部の厚さ:0.2mm 台金部の厚さ:2mm を有する焼結体を作製した。
上記焼結体を切断し、ろう付けしたのち研摩し、本眼
発明切削工具1〜10、比較切削工具1〜3を作製した。
なお、比較切削工具1〜3は、これを構成するcBN基焼
結体のcBNの平均粒径がこの発明の条件範囲から外れた
ものである (この発明の条件範囲から外れた値に※印を付して第1
表に示した)。
また、従来切削工具1〜2は台金部に中間部となる層
を形成することなく、切刃部プレス成形体を直接台金部
に同一条件で接合して得られたものである。
このようにして得られた切削工具について、 被削材:JIS規格SCr420の浸炭焼入れ鋼(外周に8本の溝
を付けたもの)、 切削速度:200m/min、 切 込 み:0.05mm、 送 り:0.1mm/rev. の条件で断続切削試験を行ない、欠け発生までの時間を
測定し、その結果を第1表に示した。
〔発明の効果〕
第1表の結果から、本発明切削工具は切断切削におり
切削工具に欠けが発生するまでの時間が従来切削工具よ
りも大幅に長く、したがって、従来切削工具よりも寿命
が大幅に改善されていることがわかる。しかし、この発
明の条件から外れた平均粒径のcBNを含む比較切削工具
は、中間部を有する切削工具てあっても十分な効果が得
られないことがわかる。
上述のように、この発明の切刃部がcBN基焼結体で構
成された切削工具は、従来のcBN基焼結体からなる切削
工具に比べて苛酷な断続切削に対する寿命が長く、切削
工具の交換回数も減少させることができ、切削作業効率
を大幅に改善することができ、産業の発達に大いに貢献
しうるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 和男 岐阜県安八郡神戸町大字横井字中新田 1528 三菱金属株式会社岐阜製作所内 (56)参考文献 特開 昭63−274676(JP,A) 特開 昭59−131581(JP,A) 特公 昭62−46510(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23B 27/14 C22C 29/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結合相形成成分として、チタン炭化物、チ
    タン窒化物、チタン炭窒化物およびチタン硼化物のうち
    1種または2種以上(以下、チタン化合物という):25
    〜40容量%、並びに酸化アルミニウム:5〜30容量%を含
    有し、残りが分散相形成成分としての立方晶窒化硼素お
    よび不可避不純物からなる組成を有し、かつ前記立方晶
    窒化硼素の平均粒径は2μm未満である立方晶窒化硼素
    焼結体からなる切刃部、 結合相形成成分として、チタン化合物:10〜50容量%お
    よび酸化アルミニウム:5〜20容量%を含有し、残りが分
    散相形成成分としての立方晶窒化硼素および不可避不純
    物からなる組成を有し、かつ前記立方晶窒化硼素の平均
    粒径は2〜10μmである立方晶窒化硼素焼結体からなる
    中間部、 並びに、炭化タングステン基超硬合金製台金部、 からなり、上記切刃部は、上記中間部を介して上記台金
    部に接合されている切削工具。
  2. 【請求項2】上記切刃部の立方晶窒化硼素の平均粒径は
    1μm以下であることを特徴とする請求項1記載の切刃
    部が立方晶窒化硼素基焼結体で構成された切削工具。
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