JPH07273596A - 圧電フィルタ - Google Patents

圧電フィルタ

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JPH07273596A
JPH07273596A JP6167694A JP6167694A JPH07273596A JP H07273596 A JPH07273596 A JP H07273596A JP 6167694 A JP6167694 A JP 6167694A JP 6167694 A JP6167694 A JP 6167694A JP H07273596 A JPH07273596 A JP H07273596A
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Hiroaki Kaida
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Murata Manufacturing Co Ltd
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 単一の素子で構成することができ、部品点数
の低減及び製造工程の簡略化を果たし得る二重モード圧
電フィルタを提供する。 【構成】 幅拡がりモードで共振するエネルギー閉じ込
め型の第1,第2の圧電共振部2,3を接続部4を介し
て機械的に連結し、第1,第2の圧電共振部2,3の外
側に支持部9,10及び保持部11,12を連結してな
り、圧電共振部2,3の平面形状が、短辺の長さをa、
長辺の長さをb、ポアソンをσとしたときに、長辺の短
辺の長さの比b/aが、 【数1】 を満たす値を中心として±10%の範囲とされている、
圧電フィルタ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば対称モード及び
非対称モードを利用した二重モードのような多重モード
圧電フィルタに関し、特に、エネルギー閉じ込め型の圧
電フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、圧電共振子の対称モード(Sモー
ド)及び非対称モード(Aモード)を利用した二重モー
ド圧電フィルタが知られている。従来の二重モード圧電
フィルタとしては、長さ振動モードや拡がりモードなど
の振動モードを結合子で接合したものが知られており、
フィルタ素子を、ばね端子等で挟持したり、リード線を
半田付けして支持したりし、かつ絶縁性材料よりなるケ
ース内に封入した構造が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
二重モード圧電フィルタでは、拡がりモードを利用した
圧電共振子のように、機械的に保持された場合にその共
振特性が変化する共振子が用いられていた。従って、ば
ね端子などを用いて電気的接続及び機械的保持を図らな
ければ、所望の共振特性を引き出すことができなかっ
た。よって、上記のようにばね端子等を用いケースに収
納するという煩雑な工程を経なければ製造することがで
きず、かつ多数の部品を用意しなければならなかった。
【0004】本発明の目的は、部品点数の削減及び製造
工程の簡略化を果たし得る新規な多重モード圧電フィル
タを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するためになされたものであり、第1,第2の圧電共
振部を単一の素子において構成し、それによって上記課
題を達成したことを特徴としたものである。
【0006】すなわち、本願の第1発明は、幅拡がりモ
ードを利用した第1,第2の圧電共振部と、第1,第2
の圧電共振部を機械的に連結してなる接続部と、第1,
第2の圧電共振部の少なくとも一方に連結された支持部
と、支持部に連結された保持部と、第1,第2の圧電共
振部を幅拡がりモードで共振させるために、第1,第2
の共振部に設けられた電極とを備える圧電フィルタであ
る。
【0007】また、第1発明の圧電フィルタにおいて、
好ましくは、幅拡がりモードで共振される第1,第2の
圧電共振部が、矩形の短辺の長さをa、長辺の長さを
b、圧電共振部を構成している圧電材料のポアソン比を
σとしたときに、長辺と短辺の長さの比b/aが、
【0008】
【数3】
【0009】を中心として±10%の範囲内とされてい
る断面が矩形の圧電体を用いて構成される。
【0010】また、本願の第2発明は、すべりモードを
利用した第1,第2の圧電共振部と、第1,第2の圧電
共振部を機械的に連結している接続部と、第1及び第2
の圧電共振部の少なくとも一方に連結された支持部と、
支持部に連結された保持部と、第1,第2の圧電共振部
をすべりモードで共振させるために、前記第1,第2の
圧電共振部に設けられた電極とを備え、すべりモードを
利用した第1,第2の圧電共振部が、それぞれ、主面と
平行な方向に分極処理された圧電板を用いて構成されて
おり、該共振部の主面において電界が印加される方向の
長さをb、電界が印加される方向に直交する方向の長さ
をa、圧電セラミック板を構成している材料のポアソン
比をσとしたときに、b/aが、
【0011】
【数4】
【0012】を中心として±10%の範囲内とされてい
る圧電フィルタである。
【0013】さらに、本願の第3発明は、第1,第2の
圧電共振部と、第1,第2の圧電共振部を機械的に連結
している接続部と、第1,第2の圧電共振部の少なくと
も一方に連結された支持部と、支持部に連結された動吸
振部と、動吸振部に連結された連結部と、連結部に連結
された保持部と、第1,第2の圧電共振部を共振させる
ために、該第1,第2の共振部設けられた電極とを備え
る圧電フィルタである。
【0014】上記第1〜第3の発明にかかる圧電フィル
タは、上述した課題を解決することにおいて共通し、か
ついずれもエネルギー閉じ込め型の圧電フィルタである
ことにおいて共通している。
【0015】
【作用】本願の第1〜第3発明では、第1,第2の圧電
共振部、接続部、支持部及び保持部が相互に連結されて
一体化されている。すなわち、第1,第2の圧電共振部
を有する圧電フィルタが、単一の素子として構成されて
いる。従って、圧電フィルタの製造工程の簡略化及び部
品点数の削減を果たすことができる。
【0016】また、第1発明では、上記第1,第2の圧
電共振部が幅拡がりモードを利用した圧電共振部で構成
されており、従って、後述の実施例から明らかなよう
に、該幅拡がりモードを利用した圧電共振部では共振エ
ネルギーが共振部及びその近傍に閉じ込められる。
【0017】同様に、第2発明では、すべりモードを利
用した第1,第2の圧電共振部が上記式(2)で示す関
係を満たすように構成されているため、共振エネルギー
が各共振部及びその近傍に効果的に閉じ込められる。
【0018】さらに、第3発明では、動吸振部が設けら
れており、動吸振現象により該動吸振部に伝達してきた
漏洩信号が効果的に抑制される。従って、動吸振部まで
の部分に、共振部の振動エネルギーが効果的に閉じ込め
られる。
【0019】よって、本願の第1〜第3発明では、上記
保持部を利用して機械的にケースや他の部材に固定する
ことができるため、所望通りの特性を発揮し得る多重モ
ード圧電フィルタを構成することができる。
【0020】
【実施例の説明】以下、図面を参照しつつ実施例を説明
することにより、本発明を明らかにする。
【0021】第1の実施例 図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施例にかか
る圧電フィルタを示す平面図及び圧電板を透かして下方
の電極形状を示した平面図である。
【0022】圧電フィルタ1は、第1,第2の圧電共振
部2,3を有する。第1,第2の圧電共振部2,3は、
同じように構成されており、後述するように、幅拡がり
モードで共振される。
【0023】第1,第2の圧電共振部2,3はそれぞ
れ、平面形状が長方形の圧電板の両主面の全面に電極
5,6,7,8を形成した構造を有する。共振部2,3
は、短辺側の側面中央同士が接続部4で連結されてい
る。また、矩形の圧電板は、それぞれ、厚み方向に分極
処理されている。共振部2,3は、上記圧電板を用いて
構成されているため、共振部2,3も、図示のように長
方形の平面形状を有する。この長方形は、短辺の長さを
a、長辺の長さをbとし、圧電板を構成している材料の
ポアソン比をσとしたときに、比b/aが、前述した式
(1)を満たす値を中心として±10%の範囲内とされ
ている。従って、電極5,7間に、及び電極6,8間に
交流電圧を印加することにより、共振部2,3は、それ
ぞれ幅拡がりモードにより励振される。
【0024】上記幅拡がりモードの振動とは、正方形板
の拡がりモードと、長方形板の幅モードとの間の振動姿
態をとる振動モードであり、上記式(1)を満たす値を
中心として±10%の範囲内に比b/aを選択すること
により励振される。幅拡がりモード振動では、振動のノ
ードは、長方形板の短辺略中央に位置する。本実施例で
は、圧電板の短辺側の側面中央に支持部9,10が連結
されている。従って、共振部2,3の振動が、該共振部
2,3に効果的に閉じ込められる。このことは、本願発
明者により実験的に確かめられたものである(特願平5
−87473号)。
【0025】なお、本実施例では、断面が矩形の圧電体
として、平面形状が長方形の上記圧電板を示したが、厚
みが上記長辺や短辺よりも大きい直方体状の圧電体を用
いてもよく、その断面形状が比b/aの上記範囲内の矩
形であれば同様に幅拡がりモードを励振し得る。
【0026】上記のように、圧電共振部2,3の外側短
辺中央には、支持部9,10が連結されている。支持部
9,10は、図示のように圧電共振部2,3に比べて細
い幅の部材で構成されており、該支持部9,10の外側
端には、保持部11,12が連結されている。
【0027】保持部11,12は、圧電フィルタ1を他
の部材に固定するために用いられる部分である。また、
後述のように端子電極を形成する部分にもあたるため、
本実施例には、支持部9,10に比べて相対的に大きな
面積を有するように構成されている。
【0028】なお、保持部11,12は、支持部9,1
0と同一幅に構成されていてもよい。すなわち、図示の
支持部9,10をそれぞれの長さを延長し、外側部分を
保持部として用いてもよい。
【0029】本実施例の圧電フィルタ1では、上記第
1,第2の共振部2,3、接続部4、支持部9,10及
び保持部11,12が上記のように相互に連結されて一
体化されている。この場合、各部分は別部材で構成され
ていて、上記のように接合されていてもよいが、本実施
例では、1枚の圧電セラミック板を図1(a)に示した
平面形状を有するように機械加工することにより各部分
が構成されている。
【0030】上記圧電セラミック板としては、チタン酸
ジルコン酸鉛系圧電セラミックスや、LiNbO3 圧電
単結晶またはLiTaO3 圧電単結晶などの圧電材料か
らなるものを用いることができる。
【0031】また、圧電共振部2,3と、他の部分を別
部材で構成し相互に接合して一体化する場合には、少な
くとも上記圧電共振部2,3に用いられる板状部材のみ
を、上記圧電材料により構成すればよい。
【0032】保持部11,12の上面には、それぞれ、
端子電極13,14が保持部11,12の一方端面11
a,12a側に寄せられて形成されている。端子電極1
3,14は、それぞれ、第1,第2の共振部2,3に形
成された電極5,6に電気的に接続されている。
【0033】他方、下面側においては、保持部11,1
2の下面に、端子電極15,16が形成されている。端
子電極15,16は、保持部11,12の端面11b,
12b側に寄せられて形成されている。すなわち、端子
電極15,16は、保持部11,12を挟んで、上面側
の端子電極13,14とは重なり合わないように、反対
側の位置に形成されている。
【0034】なお、17a〜17dは、それぞれ接続導
電部を示し、共振部の電極と端子電極13〜16とを電
気的に接続するものである。図1から明らかなように、
上面側の接続導電部17aと、下面側の接続導電部17
cとは支持部9において表裏対向しないようにずらされ
て形成されている。同様に、接続導電部17bと、接続
導電部17dも、支持部10において表裏対向し合わな
い位置に形成されている。これは、フィルタ特性に影響
を与える所望でない静電容量の発生を防止するためであ
る。
【0035】本実施例の圧電フィルタ1は、端子電極1
3を入力端INとし、端子電極14を出力端OUTと
し、端子電極15,16を基準電位、例えばアース電位
に接続することにより、二重モード圧電フィルタとして
動作する。圧電フィルタ1の減衰量−周波数特性を図2
に示す。
【0036】図2から明らかなように、圧電フィルタ1
は、二重モード圧電フィルタとして動作するため、10
00kHz近傍に通過帯域を有するバンドパスフィルタ
として用い得ることがわかる。
【0037】また、上述したように、第1,第2の圧電
共振部2,3に振動エネルギーが効果的に閉じ込められ
るため、圧電フィルタ1は、保持部11,12を用いて
機械的に保持することができる。従って、電気的接続に
際し、ばね端子のような複雑な形状の部品を必要としな
い。また、後述のチップ型圧電共振部品として構成した
例から明らかなように、保護基板等と積層することによ
り、容易にチップ型電子部品を構成することができる。
【0038】また、第1,第2の圧電共振部2,3が上
記のように一体化されており、かつ単一の素子で二重モ
ード圧電フィルタが構成されているため、部品点数の低
減を図り得る。
【0039】なお、本実施例の圧電フィルタ1では、第
1,第2の圧電共振部2,3の各外側に支持部9,10
及び保持部11,12が設けられていたが、支持部9及
び保持部は、一方の圧電共振部の外側にのみ設けられて
いてもよい。
【0040】第2の実施例 図3(a)及び(b)は、第2の実施例にかかる圧電フ
ィルタを示す平面図及び圧電板を透かして下方の電極形
状を示した模式的平面図である。
【0041】第2の実施例の圧電フィルタ21は、接続
導電部及び端子電極の形成位置が異なり、この圧電共振
部が差動接続されることを除いては、図1に示した第1
の実施例と同様に構成されている。従って、同一部分に
ついては、同一の参照番号を付することにより、第1の
実施例について行った説明を援用することにより省略す
る。
【0042】圧電フィルタ21では、保持部11の上面
において、端面11b側に寄せられて端子電極23が形
成されている。また、保持部12上においては、端面1
2a側に寄せられて端子電極24が形成されている。
【0043】他方、下面側においては、保持部11の端
面11b側に寄せられて端子電極25が形成されてお
り、保持部12の端面12b側に寄せられて端子電極2
6が形成されている。また、接続導電部27a〜27d
により、端子電極23〜26が電極5〜8に電気的に接
続されている。本実施例においても、支持部9において
上面に形成された接続導電部27aと下面に形成された
接続導電部27cとが表裏対向し合わないように形成さ
れており、かつ接続導電部27cと27dも支持部10
において表裏対向し合わないように形成されている。
【0044】圧電フィルタ21では、下面側の端子電極
25が入力端INとして、上面側の端子電極24が出力
端OUTとして、さらに、端子電極23及び端子電極2
6がアース電位に接続される。すなわち、第1,第2の
圧電共振部2,3が上記のような電気的接続により差動
接続されていることになり、二重モード圧電フィルタと
して動作する。
【0045】圧電フィルタ21においても、圧電共振部
2,3が、接続部4により連結されて一体化されてお
り、かつ保持部11,13により機械的に保持すること
が可能とされている。従って、第1の実施例の圧電フィ
ルタ1と同様に、保持構造の簡略化、製造工程の簡略
化、部品点数の削減等を果たすことができる。
【0046】第1の実施例の圧電フィルタを用いたチッ
プ型圧電共振部品 図4〜図6を参照して、第1の実施例にかかる圧電フィ
ルタを用いたチップ型圧電共振部品を説明する。
【0047】図4は、チップ型圧電共振部品の使用部材
を説明するための分解斜視図であり、図5はチップ型圧
電共振部品の外観を示す斜視図であり、図6はその回路
構成を示す図である。
【0048】図4を参照して、チップ型圧電共振部品
は、共振プレート31の上下に保護基板32,33を積
層した構造を有する。共振プレート31は、圧電フィル
タ1の側方に、スペーサー34,35を接合した構造を
有する。
【0049】スペーサー34,35は、それぞれ、圧電
フィルタ1側に切欠34a,35aを有する。切欠34
a,35aは、圧電フィルタ1の振動部分、すなわち第
1,第2の圧電共振部2,3の振動を妨げないための空
間を圧電共振部2,3の側方に確保するために設けられ
ている。従って、スペーサー34,35は、切欠34
a,35aが設けられている部分の両側において、圧電
フィルタ1の保持部11,12に接合されている。この
接合は、絶縁性接着剤等の適宜の材料を用いて行うこと
ができる。
【0050】なお、上記スペーサー34,35は、圧電
フィルタ1と同等の厚みを有する絶縁性材料、例えば合
成樹脂や絶縁性セラミックスにより構成される。チップ
型圧電共振部品の強度を高めるためには、合成樹脂より
もアルミナなどの絶縁性セラミックスにより、スペーサ
ー34,35を構成することが好ましい。
【0051】また、より好ましくは、上記圧電フィルタ
1、スペーサー34,35を一体化してもよい。すなわ
ち、圧電セラミック板を図4に示した共振プレート31
の平面形状を有するように、エッチングや繰り抜き加工
により加工し、次に種々の電極を形成することにより、
共振プレート31を構成してもよい。この場合には、ス
ペーサー34,35も圧電フィルタ1と一体の部材で構
成されることになるため、上記のような接合作業を省略
することができる。
【0052】しかも、接合部分Aが存在しないため、第
1,第2の圧電共振部2,3の密封性を高めることがで
きる。従って、最終的に得られるチップ型圧電共振部品
の耐湿性を効果的に高め得る。
【0053】保護基板32,33は、それぞれ、絶縁性
セラミックスまたは合成樹脂などの適宜の絶縁性材料で
構成される。保護基板33の上面には、凹部33aが形
成されている。凹部33aは、共振部2,3の振動を妨
げないのための空間を下方に形成するために設けられて
いる。従って、凹部33aの面積は、上記共振部2,3
を少なくとも囲撓し得るような大きさに選ばれる。
【0054】同様に、他方の保護基板32の下面にも、
凹部33aと同様の凹部が形成されている。なお、凹部
33aの形成に代えて、凹部33aと同様の大きさの開
口を有する矩形枠状のスペーサーを保護基板と共振プレ
ート31との間に介在させてもよく、あるいは矩形枠状
に接着剤を付与することにより上記空間を確保してもよ
い。
【0055】本実施例の圧電共振部品では、共振プレー
ト31の上下に、上記保護基板32,33が絶縁性接着
剤などの適宜の接合手段を用いて積層され、一体化され
る。しかる後、図5に示すように、外部電極36a〜3
6dを、得られた積層体の端面から上面及び下面に至る
ように形成することにより、チップ型フィルタ37を得
ることができる。なお、外部電極36a〜36dは、そ
れぞれ、前述した端子電極13〜16に電気的に接続さ
れている。外部電極36a〜36dは、導電ペーストの
塗布・硬化、あるいは蒸着、スパッタリングもしくはめ
っき等の薄膜形成法により形成することができる。
【0056】チップ型フィルタ37は、チップ型部品と
して構成されているため、プリント回路基板上に容易に
面実装することができる。また、第1の実施例で説明し
たように、端子電極13が入力端INとして、端子電極
14が出力端OUTとして、端子電極15,16がアー
ス電位に接続されるため、上記外部電極36aが入力端
INとして、外部電極36bが出力端OUTとして用い
られ、外部電極36c及び36dは、アース電位に接続
されることになる。
【0057】本実施例のチップ型フィルタ37では、上
記のように共振プレート31の上下に保護基板32,3
3を積層して一体化し外部電極を形成するだけで、チッ
プ型部品として構成される。従って、従来の絶縁ケース
内に複数の圧電共振子を収納してなる圧電フィルタに比
べて、構造を大幅に簡略化することができ、かつチップ
型フィルタの小型化も果たすことができる。さらに、ば
ね端子等を内蔵していないため、耐機械的衝撃性も高め
られる。
【0058】チップ型フィルタの他の例 図5に示したチップ型フィルタ37では、第1の実施例
の圧電フィルタ1が用いられていたが、上記実施例の圧
電フィルタ1を複数用いてチップ型フィルタを構成して
もよい。このような例を、図7〜図11を参照して説明
する。
【0059】図7は、チップ型フィルタの他の例を説明
するための分解斜視図である。本構造例のチップ型フィ
ルタでは、第1の共振プレート41と、第2の共振プレ
ート42とが、矩形枠状のスペーサー43を介して積層
されており、その上下に保護基板32,33が積層され
る。共振プレート41,42は、それぞれ、端子電極の
形成位置が異なることを除いては、図4に示した共振プ
レート31とほぼ同様に構成されている。従って、同一
部分については、同一の参照番号を付することにより、
その説明を省略する。
【0060】図8は、第1の共振プレート41の下面側
の電極形状を示す模式的平面図である。下面側の端子電
極44,45は、支持部11,12の略中央部に形成さ
れている。
【0061】同様に、図9は、第2の共振プレート42
の下面の電極形状を示す模式的平面図である。第2の共
振プレート42では、下面の端子電極46,47が保持
部11,12の略中央領域に形成されている。
【0062】また、第2の共振プレート42では、上面
側の端子電極48,49は、保持部11,12の端面1
1b,12b側に寄せられて形成されている。従って、
共振プレート41,42を図7に示す向きに積層した場
合、端子電極44,46が保持部11,12の略中央部
分に形成されているため、端子電極44と端子電極46
とが上下に重なり合わされており、これらと、端子電極
13と端子電極48とは上下方向に重なり合わない位置
に配置されることになる。他方側の端子電極45,47
についても、上下に重ね合わされ、これらと、端子電極
14と端子電極49とは上下に重なり合わない位置に配
置されることになる。
【0063】図7に戻り、矩形枠状のスペーサー43
は、矩形の開口43aを有する。スペーサー43は、共
振プレート41,42の各共振部2,3の振動を妨げな
いための空間を形成するために設けられている。
【0064】スペーサー43は、例えば矩形枠状の接着
剤フィルムにより構成することができるが、通常の合成
樹脂フィルタや絶縁性セラミックスによりスペーサー4
3を構成してもよく、その場合には、接着剤等を用いて
共振プレート41,42に接着される。また、スペーサ
ー43に代えて、接着剤を共振プレート41の下面及び
共振プレート42の上面の少なくとも一方に塗布し硬化
させることにより、スペーサー43を構成してもよい。
【0065】本実施例では、上記共振プレート41,4
2、スペーサー43及び保護基板32,33を積層し、
図10に示す外部電極51〜56を積層体の端面から上
面及び下面を覆うように形成することにより、チップ型
フィルタ57が得られる。外部電極51〜56の形成
は、図5に示した外部電極36a〜36dと同様に行わ
れる。
【0066】チップ型フィルタ57の回路構成を図11
に示す。ここでは、外部電極54と56が相互に接続さ
れている。図10に示したチップ型フィルタ57から明
らかなように、本発明のチップ型圧電フィルタを複数用
い、より多段の二重モード圧電フィルタをチップ型部品
として構成することができる。
【0067】第3の実施例 図12(a)及び(b)は、第3の実施例にかかる圧電
フィルタを説明するための平面図及び圧電板を透かして
下方の電極形状を示した模式的平面図である。圧電フィ
ルタ61は、第1,第2の圧電共振部62,63を有す
る。圧電共振部62,63は接続部64を介して連結さ
れている。圧電共振部62,63は、矩形板状の厚み方
向に分極処理された圧電板の両主面の全面に電極65〜
68を形成した構造を有する。圧電板を構成する材料と
しては、チタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミックス、L
iNbO3 圧電単結晶またはLiTaO3 圧電単結晶な
どの適宜の圧電材料を用いることができる。
【0068】上記共振部62,63を構成している圧電
板は平面形状が長方形であり、従って上記電極65,6
7間及び電極66,68間に交流電圧を印加することに
より、第1,第2の圧電共振部62,63は幅モードあ
るいは幅拡がりモードで励振される。この場合、圧電共
振部62,63の平面形状を、第1の実施例の圧電フィ
ルタ1と同様に、式(1)を中心とした値から±10%
を満たすように比b/aを選択した場合には、幅拡がり
モードで励振される。従って、比b/aを上記のように
選択した場合には、第1,第2の圧電共振部62,63
おいて振動エネルギーを効果的に閉じ込め得る。
【0069】また、圧電共振部62,63の外側の側面
中央に、支持部69,70が連結されている。圧電共振
部62,63は、幅モードまたは幅拡がりモードで励振
されるため、その振動のノード点が、上記側面中央部に
位置する。従って、支持部69,70には、さほど振動
は漏洩してこない。さらに、支持部69,70の外側端
に、屈曲モードで振動する動吸振部71,72が設けら
れている。
【0070】動吸振部71,72は、支持部69,70
から漏洩してきた振動を受けて屈曲モードで共振し、動
吸振現象により、漏洩してきた振動を抑制する。動吸振
現象の詳細は、谷口修著「振動工学」第113頁〜第1
16頁(コロナ社発行)に記載されている。
【0071】動吸振部71,72は、上記のように支持
部69,70を介して伝達してきた振動により屈曲モー
ドで共振し、動吸振現象により振動を抑制するように作
用するものであるため、動吸振部71,72の寸法は、
漏洩してきた振動に合わせて選択される。すなわち、動
吸振部71,72の共振周波数が、漏洩してきた振動の
周波数と一致するように、動吸振部71,72の形状及
び寸法が定められる。
【0072】動吸振部71,72の外側端には、連結部
73,74が連結されており、連結部73,74の外側
端に保持部75,76が連結されている。本実施例で
は、動吸振部71,72までの部分において圧電フィル
タ61を動作させた場合の振動が閉じ込められることに
なる。従って、連結部73,74の外側端において機械
的に保持し得るが、他の部材への機械的固定を容易とす
るため、並びに後述の端子電極を形成する面積を確保す
るために、上記保持部75,76が設けられている。も
っとも、保持部75,76は、連結部73,74をその
まま延長した形状に構成されていてもよい。
【0073】保持部75の上面には、端面75a側によ
せて端子電極78が形成されており、保持部76の上面
には、端子電極79が端面76a側によせて形成されて
いる。また、保持部76の下面には、端面75b側によ
せて端子電極80が、保持部76の下面には、端面76
b側によせて端子電極81が形成されている。また、8
2a〜82dは、それぞれ、接続導電部を示し、端子電
極78〜81と、電極65〜68とを電気的に接続して
いる。
【0074】本実施例においても、第1の実施例と同様
に、圧電セラミック板を機械加工により図12(a)に
示す平面形状を有するように加工し、上述した各電極、
接続導電部及び端子電極を形成することにより得ること
ができる。もっとも、第1,第2の圧電共振部62,6
3、接続部64、支持部69,70、動吸振部71,7
2、連結部73,74及び保持部75,76を、それぞ
れ別部材で構成し、接着剤等を用いて接合し、一体化し
てもよい。
【0075】本実施例の圧電フィルタ61では、上記端
子電極78を入力端とし、端子電極79を出力端とし、
下面側の端子電極80,81をアース電位に接続するこ
とにより、第1の実施例の圧電フィルタ1と同様に二重
モード圧電フィルタとして動作させることができる。
【0076】第3の実施例の圧電フィルタ61において
は、上記のように、動吸振部71,72までの部分に、
フィルタとして動作された場合の振動が効果的に閉じ込
められる。従って、単一の素子で二重モード圧電フィル
タを構成することができ、しかも保持部75,76によ
り容易に機械的に保持することができるため、第1の実
施例と同様に、部品点数の削減、製造工程の簡略化を果
たし得る。また、チップ型フィルタとして構成すること
も容易である。すなわち、前述した第1の実施例の圧電
フィルタ1と同様に、図5や図10に示したチップ型フ
ィルタを構成することができる。
【0077】第4の実施例 図13(a)及び(b)は、第4の実施例にかかる圧電
フィルタを説明するための平面図及び圧電板を透かして
他方の電極形状を示す模式的平面図である。
【0078】第4の実施例の圧電フィルタ91は、第
1,第2の圧電共振部92,93が正方形板の拡がり振
動モードを利用したことを除いては、第3の実施例の圧
電フィルタ61と同様に構成されている。
【0079】すなわち、圧電共振部92,93は、平面
形状が正方形の圧電板を用いて構成されており、該圧電
板は厚み方向に分極処理されている。その他の点につい
ては、第3の実施例の圧電フィルタ61と同様であるた
め、同一部分については同一の参照番号を付することに
よりその説明を省略する。
【0080】本実施例の圧電フィルタ91においても、
第3の実施例の圧電フィルタ61と同様に、動吸振部7
1,72までの部分にフィルタとして動作させた場合の
振動エネルギーが閉じ込められる。従って、第3の実施
例の圧電フィルタ61と同様に、保持部75,76を用
いて機械的に保持することができる。また、単一の素子
において、二重モード圧電フィルタが構成されているた
め、部品点数の低減及び製造工程の簡略化を果たし得
る。
【0081】このように、動吸振部71,72を設けた
場合には、上記式(1)を満たす値を中心として±10
%の範囲内に入るように比b/aを選択せずともよい。
また、圧電共振部は、拡がりモード以外のモード、例え
ば細長い振動体の長さ振動モードを利用したものであっ
てもよい。
【0082】第5の実施例 図14は、第5の実施例にかかる圧電フィルタを示す斜
視図であり、図15は、その平面図である。
【0083】図14及び図15を参照して、圧電フィル
タ101は、図示の平面形状を有する圧電セラミック
板、すなわち細長い矩形の圧電板に、一方側面に溝10
2,103を、他方側面に溝104を形成した形状を有
する圧電板105を用いて構成されている。
【0084】圧電板105は、チタン酸ジルコン酸鉛系
圧電セラミックスや、LiNbO3圧電単結晶またはL
iTaO3 圧電単結晶などの圧電材料により構成され
る。また、圧電板105は、図示の矢印P方向、すなわ
ちその主面と平行な方向に分極処理されている。
【0085】圧電フィルタ101では、図15に示すよ
うに、溝104の両側に、破線で囲まれた平面形状が矩
形の第1,第2の圧電共振部111,112が構成され
ている。第1,第2の圧電共振部111,112は、溝
104が構成されている部分の側方の圧電板部分により
構成されている接続部113により連結されている。ま
た、第1,第2の圧電共振部111,112の外側に
は、溝102,103の側方の細い幅の圧電基板部分に
より構成されている支持部114,115が設けられて
いる。支持部114,115の外側には、支持部11
4,115に比べて幅の広い圧電板部分が、保持部11
6,117を構成している。
【0086】なお、本実施例の圧電フィルタ101で
は、上記圧電板105に溝102〜104を形成するこ
とにより、上記各部分が構成されているが、上記各部分
を構成した後、絶縁性接着剤等により接合し、一体化す
ることによって圧電フィルタ101を得てもよい。
【0087】もっとも、本実施例のように、細長い矩形
の圧電板105に、上記溝102〜104を形成するこ
とにより、より容易に上記各部分を構成することができ
る。圧電フィルタ101では、圧電板105の一方側面
において、溝102,103間に電極118が形成され
ている。また、圧電板105の他方側面においては、溝
104の一方側に電極119が、他方側に電極120が
形成されている。電極119,120は、それぞれ、第
1,第2の圧電共振部111,112から圧電板105
の端部に至るように延ばされている。
【0088】また、上記圧電共振部111,112の平
面形状、すなわち溝102,104間に挟まれた第1の
圧電共振部111、及び溝103,104間に挟まれた
第2の圧電共振部112は、電極118〜120により
電圧が印加される方向に沿う長さをb、電圧が印加され
る方向と直交する方向の長さをaとし、圧電板101を
構成している材料のポアソン比をσとしたときに、比b
/aは、前述した式(2)を中心とした値から±10%
の範囲内とされるように、その平面形状が選択されてい
る。
【0089】従って、電極118と電極119との間に
交流電圧を印加した場合、第1の圧電共振部111は、
すべりモードで共振し、しかも、上記平面形状を有する
ため、すべりモードの振動エネルギーが、第1の圧電共
振部111に効果的に閉じ込められる。同様に、第2の
圧電共振部112においても、その平面形状が上記のよ
うに定められているため、すべりモードによる共振エネ
ルギーが第2の共振部112に効果的に閉じ込められ
る。
【0090】上記のように、式(2)に示す値を中心と
して±10%の範囲内となるように比b/aを選択する
ことにより、すべりモードを利用したエネルギー閉じ込
め型圧電共振部を構成し得ることは、本願発明者により
実験的に確かめられており、本願発明者が先に提出した
特願平5−241748号に開示されている。
【0091】圧電フィルタ101では、図15に示すよ
うに、電極118を基準電位、例えばアース電位に接続
し、電極119を入力端とし、電極120を出力端とす
ることにより、第1,第2の圧電共振部111,112
が共振し、二重モード圧電フィルタとして動作する。
【0092】しかも、本実施例の圧電フィルタ101に
おいても、第1,第2の圧電共振部111,112に振
動エネルギーが効果的に閉じ込められるため、支持部1
14,115にはほとんど振動が伝達されない。よっ
て、保持部116,117を用いて圧電フィルタ101
を機械的に保持することができる。
【0093】従って、第1の実施例の圧電フィルタ1と
同様に、単一の素子で二重モード圧電フィルタを構成す
ることができるため、部品点数の低減及び製造工程の簡
略化を果たし得る。また、ばね端子等複雑な構造の部材
を必要とすることなく、第1の実施例の圧電フィルタ1
と同様に、チップ型の圧電フィルタを容易に構成するこ
とができる。
【0094】なお、圧電フィルタ101においては、第
1,第2の圧電共振部111,112の各外側に、支持
部114,115及び保持部116,117が設けられ
ていたが、一方の圧電共振部111または112の外側
にのみ支持部及び保持部が設けられた構造であってもよ
い。
【0095】また、図15に示した実施例では、各圧電
共振部111,112を共振させるための電極が、圧電
板101の側面に形成されていたが、電極118〜12
0は、圧電板105の主面に形成されていてもよい。す
なわち、図16に斜視図で示す変形例のように、圧電板
105の一方面上において、一方側縁に沿うように電極
118を、他方側縁に沿うように電極119,120を
形成してもよい。この場合においても、電極118〜1
20を、第5の実施例の圧電フィルタ101と同様に接
続することにより、第1,第2の圧電共振部111,1
12をすべりモードで共振させることができ、二重モー
ド圧電フィルタとして用いることができる。
【0096】また、図16では、圧電板105の一方主
面側において、電極118〜120が形成されていた
が、他方主面にも、電極118〜120とそれぞれ表裏
対向するように電極を形成してもよい。さらに、一方の
電極118を一方主面上に、他方の電極119,120
を他方主面上に形成してもよい。さらに、図15に示し
た実施例では、電極118,119,120は圧電板1
01の側面に形成されていたが、側面だけでなく、両主
面の少なくとも一方に至るように形成してもよい。
【0097】さらに、図15に示した圧電フィルタ10
1では、圧電板101の一方側面側から溝102,10
3を形成していたが、溝102,103が形成されてい
る位置において、他方側面側から同じ幅の溝を形成し、
それによって支持部114,115の幅を狭めてもよ
い。同様に、溝104が形成されている部分において、
他方側面側からも同じ幅の溝を形成することにより、接
続部113の幅を狭めてもよい。
【0098】さらに、前述した第1の実施例と同様に、
第1,第2の圧電共振部111,112のうち一方側に
おいてのみ、支持部及び保持部が連結されていてもよ
い。
【0099】第6の実施例 図17は、本発明の第6の実施例にかかる圧電フィルタ
を示す平面図であり、図5の実施例について示した図1
5に相当の図である。
【0100】圧電フィルタ130は、細長い矩形の圧電
板131を図17に示す形状となるように加工し、後述
の電極を形成することにより構成されている。圧電板1
31では、一方側面側から、溝132,133,13
4,135が形成され、他方側面側から溝136,13
7が形成されている。溝132,133間、溝134,
135間及び溝136,137間には、それぞれ、動吸
振部138,139,140が構成されている。動吸振
部138〜140は、動吸振現象により共振部から伝達
してきた振動を抑制するために設けられている。従っ
て、動吸振部138〜140は、動吸振現象により振動
を抑制し得るように、その寸法及び形状が選択される。
【0101】本実施例の圧電フィルタ130は、上記動
吸振部138〜140を設けたことを除いては、第5の
実施例の圧電フィルタ101と同様に構成されている。
従って、相当の部分については、相当の参照番号を付す
ることにより、その詳細な説明は省略する。
【0102】圧電フィルタ130では、第1,第2の圧
電共振部111,112がすべりモードを利用した共振
部として構成されており、かつその主面の平面形状が、
前述した式(2)を満たす値を中心として±10%以内
となるように比b/aが定められている。よって、元
来、圧電共振部111,112に、効果的に振動エネル
ギーが閉じ込められるが、僅かに漏洩した振動は、上記
動吸振部138〜140により動吸振現象により抑制さ
れる。従って、圧電フィルタ101に比べて、より一層
効果的に振動エネルギーを閉じ込めることができ、保持
部116及び117を用いてより一層強固に機械的に保
持することが可能である。
【0103】なお、本実施例では、動吸振部138,1
39が設けられているため、第1,第2の圧電共振部1
11,112と保持部116,117との間には、支持
部114,115が設けられているだけでなく、連結部
141,142が設けられている。すなわち、連結部1
41,142は、溝132,135の側方の幅の細い圧
電基板部分により構成されている。
【0104】また、本実施例においても、上述した各部
分を別々の材料で構成し、接着剤等を用いて一体化する
ことにより構成してもよい。さらに、圧電フィルタ13
0では、上記のように、圧電共振部111,112を、
第5の実施例の圧電フィルタ101と同様の平面形状を
有するように構成することにより、振動エネルギーをよ
り効果的に閉じ込めることができるが、圧電フィルタ1
30では動吸振部138〜140が設けられているた
め、第1,第2の圧電共振部111,112は、上記式
(2)を満たす値を中心として±10%の範囲となるよ
うに比b/aを定めずともよい。すなわち、圧電共振部
111,112がすべりモードで共振した際に、振動エ
ネルギーが支持部114,115側にある程度の大きさ
で漏洩してきたとしても、上記動吸振部138,139
により、動吸振現象によって抑制される。従って、第6
の実施例の圧電フィルタ130では、圧電共振部11
1,112が上述した特定範囲の比b/aを満たさない
場合であっても、保持部116,117を用いて特性に
影響を与えることなく機械的保持が可能な二重モード圧
電フィルタを提供することができる。
【0105】なお、第6の実施例の圧電フィルタ130
においても、電極118〜120の形成位置やその他の
構造の変更は、第5の実施例の圧電フィルタ101と同
様に行い得ることを指摘しておく。
【0106】なお、上述してきた実施例では、圧電板に
より圧電共振部及び/または支持部等の他の部分が構成
されていたが、シリコン基板や金属板を上記実施例の形
状に加工し、所定の部分に圧電セラミック板や圧電膜を
貼りつけて、圧電共振部を構成したものであってもよ
い。
【0107】
【発明の効果】請求項1に記載の発明では、第1,第2
の圧電共振部が幅拡がりモードで共振されて、多重モー
ド圧電フィルタが構成され、さらに、この多重モード圧
電フィルタが、単一の素子として構成される。しかも、
幅拡がりモードで共振する第1,第2の圧電共振部に振
動エネルギーが効果的に閉じ込められる。よって、保持
部を利用して特性に影響を与えることなく機械的に保持
することができるため、多重モード圧電フィルタの製造
工程の簡略化及び部品点数の低減を果たすことが可能と
なる。また、チップ型部品として構成することも容易で
ある。
【0108】また、本願の第2発明では、すべりモード
を利用した第1,第2の圧電共振部が、上記比b/aを
満たすようにその形状が選択されているため、第1発明
と同様に、第1,第2の圧電共振部に振動エネルギーを
効果的に閉じ込めることができる。よって、保持部を利
用して特性に影響を与えることなく圧電フィルタを機械
的に保持することができる。よって、単一の素子で多重
モード圧電フィルタを構成することができ、しかも特性
に影響を与えることなく機械的に保持することができる
ため、多重モード圧電フィルタの製造工程の簡略化及び
部品点数の低減を図ることができる。また、第1発明と
同様に、チップ型部品として構成することも容易であ
る。
【0109】本願の第3発明では、第1,第2の圧電共
振部を有する多重モード圧電フィルタを単一の素子で構
成することができ、しかも動吸振部により、動吸振現象
によって第1,第2の圧電共振部の振動の漏洩が抑制さ
れる。よって、第1,第2の発明と同様に、保持部を利
用して特性に影響を与えることなく圧電フィルタを機械
的に保持することができる。従って、第3発明において
も、多重モード圧電フィルタの部品点数の削減及び製造
工程の簡略化を果たすことができ、さらにチップ型圧電
フィルタを容易に構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、第1の実施例の圧電フィ
ルタの平面図及び圧電板を透かして下方の電極形状を示
す模式的平面図。
【図2】第1の実施例の圧電フィルタの減衰量−周波数
特性を示す図。
【図3】(a)及び(b)は、第2の実施例の圧電フィ
ルタの平面図及び下面の電極形状を示す模式的平面図。
【図4】チップ型圧電フィルタの使用部材を説明するた
めの分解斜視図。
【図5】チップ型圧電フィルタの外観を示す斜視図。
【図6】図5に示したチップ型圧電フィルタの回路構成
を示す回路図。
【図7】2つの素子を用いたチップ型圧電フィルタの使
用部材を示す分解斜視図。
【図8】第1の共振プレートの下面の電極形状を説明す
るための模式的平面図。
【図9】第2の共振プレートの下面の電極形状を説明す
るための模式的平面図。
【図10】二素子を用いたチップ型圧電フィルタの外観
を示す斜視図。
【図11】図10に示した圧電フィルタの回路構成を示
す回路図。
【図12】(a)及び(b)は、第3の実施例の圧電フ
ィルタを示す平面図及び下方の電極形状を示す模式的平
面図。
【図13】(a)及び(b)は、それぞれ、第4の実施
例の圧電フィルタの平面図及び下方の電極形状を示す模
式的平面図。
【図14】第5の実施例にかかる圧電フィルタの斜視
図。
【図15】第5の実施例の圧電フィルタの平面図。
【図16】第5の実施例の圧電フィルタの変形例を示す
斜視図。
【図17】第6の実施例の圧電フィルタを示す平面図。
【符号の説明】
1…圧電フィルタ 2,3…第1,第2の圧電共振部 4…接続部 5,6,7,8…電極 9,10…支持部 11,12…保持部 13〜16…端子電極 23〜26…端子電極 44〜47…端子電極 61…圧電フィルタ 62,63…第1,第2の圧電共振部 64…接続部 65〜68…電極 69,70…支持部 71,72…動吸振部 73,74…連結部 75,76…保持部 101…圧電フィルタ 102〜104…溝 105…圧電板 111,112…第1,第2の圧電共振部 113…接続部 114,115…支持部 116,117…保持部 118〜120…電極 130…圧電フィルタ 131…圧電板 132〜137…溝 138,139,140…動吸振部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 幅拡がりモードを利用した第1,第2の
    圧電共振部と、 前記第1,第2の圧電共振部を機械的に連結している接
    続部と、 前記第1,第2の圧電共振部の少なくとも一方に連結さ
    れた支持部と、 前記支持部に連結された保持部と、 前記第1,第2の圧電共振部を幅拡がりモードで共振さ
    せるために、前記第1,第2の共振部に設けられた電極
    とを備える、圧電フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記幅拡がりモードで共振される第1,
    第2の圧電共振部が、 短辺の長さをa、長辺の長さをb、圧電共振部を構成し
    ている圧電材料のポアソン比をσとしたときに、長辺と
    短辺の長さの比b/aが、 【数1】 を中心として±10%の範囲内とされている断面が矩形
    の圧電体を用いて構成されている、請求項1に記載の圧
    電フィルタ。
  3. 【請求項3】 すべりモードを利用した第1,第2の圧
    電共振部と、 前記第1,第2の圧電共振部を機械的に連結している接
    続部と、 前記第1及び第2の圧電共振部の少なくとも一方に連結
    された支持部と、 前記支持部に連結された保持部と、 前記第1,第2の圧電共振部をすべりモードで共振させ
    るために、前記第1,第2の圧電共振部に設けられた電
    極とを備え、 前記すべりモードを利用した第1,第2の圧電共振部
    が、それぞれ、主面と平行な方向に分極処理された圧電
    板を用いて構成されており、該共振部の主面において電
    界が印加される方向の長さをb、電界が印加される方向
    に直交する方向の長さをa、圧電板を構成している材料
    のポアソン比をσとしたときに、b/aが、 【数2】 を中心として±10%の範囲内とされている、圧電フィ
    ルタ。
  4. 【請求項4】第1,第2の圧電共振部と、 前記第1,第2の圧電共振部を機械的に連結している接
    続部と、 前記第1,第2の圧電共振部の少なくとも一方に連結さ
    れた支持部と、 支持部に連結された動吸振部と、 前記動吸振部に連結された連結部と、 前記連結部に連結された保持部と、 前記第1,第2の圧電共振部を共振させるために、該第
    1,第2の共振部に設けられた電極とを備える、圧電フ
    ィルタ。
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JP2010166373A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Seiko Instruments Inc Atカット水晶振動子

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