JP3077523B2 - 圧電共振子 - Google Patents
圧電共振子Info
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Description
たエネルギー閉じ込め型の圧電共振子に関し、特に、共
振部に振動エネルギーが効果的に閉じ込められる構造を
備えた圧電共振子に関する。
エネルギー閉じ込め型の圧電共振子を示す斜視図であ
る。圧電共振子1は、矩形板状の圧電セラミック板2を
有する。圧電セラミック板2は、一方端面2aから他方
端面2b側に向かって分極処理されている(分極方向を
矢印Pで示す。)。圧電セラミック板2の上面2c上に
は共振電極3が、下面2d上には共振電極4が形成され
ている。
って延ばされている。共振電極4は、端面2aから中央
に向かって延ばされている。共振電極3,4は、圧電セ
ラミック板2の中央領域において、圧電セラミック板2
を介して表裏対向するように重なり合わされている。
流電圧を印加することにより、共振電極3,4が重なり
合っている領域、すなわち共振部がすべりモードで励振
される。この場合、振動のエネルギーは、共振電極3,
4が重なり合っている共振部に閉じ込められ、端面2
a,2b側にはあまり漏洩しない。
を利用したエネルギー閉じ込め型の圧電共振子である。
従って、端面2a,2b近傍において機械的に保持する
ことにより、ケース材や回路基板等に固定することがで
きる。
の圧電共振子1では、振動のエネルギーは共振部に良好
に閉じ込められることが必要である。さもないと、端面
2a,2b側の部分において機械的に保持した場合に振
動が阻害され、所望の共振特性を得ることができない。
良好に閉じ込めるには、素子の長さLを長くする必要が
ある。また、圧電共振子1の共振周波数は、共振部の厚
みすなわち素子の厚みtに依存する。例えば、共振周波
数が4MHzの圧電共振子1を得ようとした場合、厚み
tは0.3mm程度となり、2MHzの圧電共振子1を
得ようとした場合には厚みtは0.6mmとなる。
に閉じ込めるには、厚みtが大きくなるにつれ、素子の
長さLを長くしなければならない。例えば、4MHzの
ときには、厚みtは0.3mmであるが、この場合共振
エネルギーを共振部に確実に閉じ込めるには、長さLを
5mm程度としなければならず、また2MHzの場合に
は厚みtは0.6mmとなるが、この場合には長さLを
10mm程度まで長くしなければならなかった。
ギー閉じ込め型の圧電共振子1では、素子の長さ寸法L
が大きくならざるを得なかった。
りモードを利用したエネルギー閉じ込め型の圧電共振子
において、共振部における振動エネルギーの閉じ込め効
率を効果的に高めることができ、従って全体の寸法を小
型とし得る圧電共振子を提供することにある。
成し得るすべりモードを利用したエネルギー閉じ込め型
の圧電共振子が提供される。すなわち、このすべりモー
ドを利用したエネルギー閉じ込め型の圧電共振子は、長
辺と短辺とを有する一対の対向し合っている矩形の面を
有し、かつある方向に分極処理された圧電体と、上記圧
電体の外表面に形成された第1,第2の共振電極とを備
える。第1,第2の共振電極は、圧電体の外表面におい
て所定距離を隔てて配置されており、かつ上記圧電体の
分極方向に直交する方向に電圧を印加するために形成さ
れている。
の矩形面の長辺の長さをb、短辺の長さをa、圧電体を
構成している材料のポアソン比をσとしたときに、比b
/aが、 b/a=n(0.3σ+1.48) … (1) (但し、nは整数)を中心として±10%の範囲内とさ
れていることにある。
振電極から交流電圧が印加されることにより、分極方向
に直交する方向に該交流電圧が印加される。従って、圧
電共振子がすべりモードで励振される。しかも、上記比
b/aが、上述した式(1)を満たす値を中心として±
10%の範囲内とされているため、すべりモードの振動
が圧電共振子に効果的に閉じ込められる。このような比
b/aを上記特定の範囲内とすることにより、すべりモ
ードの振動が効果的に閉じ込められることは、本願発明
者(単数)により実験的に確かめられたものであり、後
述の実施例において詳述する。
記圧電共振子の圧電体において効果的に閉じ込められ
る。従って、本発明の圧電共振子を用いて部品を作製す
る際に、支持構造側において振動を減衰させる必要がな
いため、支持構造を簡略化することができる。従って、
本発明の圧電共振子では、すべりモードを利用した小型
の圧電共振部品を提供することができる。
体に支持部が連結される。この場合、圧電体にすべりモ
ードの振動が効果的に閉じ込められるため、支持部の大
きさを小さくすることができ、かつ支持部の構造を簡略
化することができる。また、好ましくは、上記支持部
は、圧電体の両側に連結され、それによって圧電体をよ
り安定に支持することができる。また、より好ましく
は、圧電体の両側に連結された支持部に対し、保持部が
連結される。この保持部として、ある程度の面積を有す
る部材を用いることにより、保持部を利用して他の部材
に容易にかつ安定に固定することができる。
記圧電体、支持部(複数)及び保持部(複数)が板状の
部材により構成され、従って全体として板状の形状を有
するエネルギー閉じ込め型の圧電共振子が提供される。
この場合、圧電体、支持部(複数)及び保持部(複数)
を、一枚の圧電基板を機械加工することにより構成する
ことができ、従って、容易に板状のエネルギー閉じ込め
型のすべりモードを利用した圧電共振子を提供すること
ができる。
ことにより、圧電体、支持部(複数)及び保持部(複
数)を構成する構造においては、好ましくは、圧電基板
に第1,第2の溝を形成し、第1,第2の溝間の圧電基
板部分により上記圧電体を構成してもよい。この場合に
は、第1,第2の溝を加工することにより、圧電体の寸
法を規定することができる。
ば、上記1枚の圧電基板を用いて形成された圧電共振子
を挟持するように、該共振子の上下にケース基板(複
数)が貼り合わされる。この場合、共振子の振動する部
分の振動を妨げないための空間を確保するために、ケー
ス基板にまたはケース基板と共振子との間の少なくとも
一方に空洞形成手段が設けられる。このように、上下に
ケース基板を貼り合わせた構造を採用することにより、
チップ型の圧電共振部品を容易に提供することができ、
しかも、空洞形成手段により、圧電共振子の振動する部
分の振動を妨げないための空洞が形成されるため、特性
の安定なエネルギー閉じ込め型のチップ型共振部品を提
供し得る。
共振子の振動する部分の振動を妨げないための空間を確
保するために、第1,第2のスペーサー板が連結され
る。第1,第2のスペーサー板をさらに設けた構造で
は、圧電共振子の側方においても、振動を妨げないため
の空間が確保され、かつ圧電共振子の側方が確実に封止
され得る。従って、密封性に優れたチップ型の圧電共振
部品を提供し得る。
サー板は、圧電共振子を構成するための上記圧電基板と
同一の部材により一体的に構成される。この場合には、
圧電基板と第1,第2のスペーサー板との接合部分が存
在しなくなるため、チップ型圧電共振部品の機密性をよ
り効果的に高めることができる。従って、耐湿性などの
環境特性に優れたチップ型圧電共振部品を提供すること
が可能となる。
のものに限らず、種々の形状を有するように構成し得る
が、上記式(1)を満たすために、長辺と短辺とを有す
る一対の対向し合う矩形の面を有することが必要であ
る。好ましくは、上記圧電体は矩形板状の圧電板からな
り、その場合には、矩形の両主面と、該両主面を結ぶ4
つの側面を有する。
を上記矩形板状の圧電板で構成した場合には、圧電板の
両主面に分散されて形成されてもよく、圧電板の一方主
面上において所定距離を隔てて形成されてもよく、ある
いは圧電板の対向し合っている一対の側面に形成されて
いてもよい。すなわち、一対の共振電極は、すべりモー
ドを励振し得る限り、圧電体の外表面に適宜形成される
ものであり、その形成位置は後述の実施例から明らかな
ように、種々変形し得るものであり、特に限定されるも
のではない。
板の両主面に共振電極を形成した構造を採用した場合に
は、両主面の一対の共振電極を弾力挟持するように一対
のばね端子を配置し、圧電共振子及びばね端子をケース
に収納することにより、リード付きの圧電共振部品とし
て構成することも可能である。
値を中心として±10%の範囲内となるように比b/a
が選択されているため、圧電体にすべりモードの振動が
効果的に閉じ込められる。従って、圧電体の外側に設け
られる部材や部分を小さくすることができる。よって、
従来のすべりモードを利用した圧電共振子に比べて、よ
り小型でありかつ共振特性に優れた圧電共振子を提供す
ることが可能となる。
定的な実施例を説明することにより、本発明を明らかに
する。
係るエネルギー閉じ込め型の圧電共振子を示す側面図及
び斜視図である。圧電共振子11は、矩形板状の圧電セ
ラミック板12を用いて構成されている。圧電セラミッ
ク板12は、その主面と平行な方向すなわち図示の矢印
P方向に分極軸が揃うように分極処理されている。
ては、一方端面12cから他方端面12d側に向かっ
て、ただし他方端面12dには至らないように第1の共
振電極13が形成されている。同様に、圧電セラミック
板12の下面12b上では、端面12d側から端面12
c側に向かって、ただし端面12cには至らないように
第2の共振電極14が形成されている。
には、幅方向に延びる第1の溝15が、下面12b上に
も、幅方向に延びる第2の溝16が形成されている。そ
して、第1の溝15と第2の溝16とで挟まれた圧電セ
ラミック板部分において、上下の第1,第2の共振電極
13,14が圧電セラミック板12を介して重なり合っ
ており、それによって共振部すなわち本発明における圧
電体部分が構成されている。すなわち、第1,第2の共
振電極13,14の先端側に、それぞれ、第1,第2の
溝15,16が形成されて、第1,第2の溝間に共振部
が構成されている。
おける圧電セラミック板12の厚み方向の長さ、すなわ
ち圧電セラミック板12の両端面を結ぶ方向(第1の方
向)に直交しかつ第1,第2の溝の深さ方向(第2の方
向)に沿う共振部の長さをa、該共振部の第1の方向の
長さをb(図2A参照)とし、圧電セラミック板12を
構成している圧電材料のポアソン比をσとしたときに、
比b/aが、 b/a=n(0.3σ+1.48) (但し、nは整数)を中心として±10%の範囲内とさ
れている。言い換えれば、本発明の圧電体を構成してい
る上記共振部では、その側面が長辺の長さb及び短辺の
長さaである矩形面を有する。そして、比b/aが、上
記特定の範囲内となるように、上記溝15,16が形成
されており、それによって共振部の寸法が定められてい
る。
子11では、圧電セラミック板12の両面12a及び下
面12bにおいて、それぞれ、第1の溝15と端面12
dとの間及び第2の溝16と端面12cとの間には電極
が形成されていなかった。しかしながら、図3A及び図
3Bに示すように、圧電セラミック板12の上面12a
において、第1の溝15と端面12dとの間の領域に電
極13aを形成し、下面12b上において、第2の溝1
6と端面12cとの間の領域に電極14aを形成しても
よい。この構造では、圧電セラミック板12の両主面に
全面電極を形成した後、上記第1,第2の溝15,16
を形成することにより、第1,第2の共振電極13,1
4及び電極13a,14aを形成することができ、より
少ない工程で圧電共振子を構成することができる。
溝15,16を形成することにより、本実施例では、す
べりモードによる共振部における振動エネルギーが該共
振部内に効果的に閉じ込められる。この理由を、図4〜
図11を参照して説明する。
P方向すなわち上面及び下面と平行な方向に分極処理さ
れており、かつ比b/a=1である圧電体21の両主面
に共振電極22,23を形成した構造を想定する。この
場合、共振電極22,23から交流電圧を印加すること
により、圧電体21は輪かくすべりモードで振動する。
その結果、図示の破線Aで示す振動姿態と、破線Aで示
す振動姿態と左右対称である振動姿態との間で振動する
ことになる。
にx−y座標系で示す。この場合、振動に際してコーナ
ー部分Aはx方向及びy方向の何れにおいてももっとも
大きな変位を示す。また、圧電体21の中心である点O
は振動のノード点となる。他方、圧電体21の側面の中
間高さ位置の点O1 ,O2 においても、変位がみられ
る。
られることになるため、上記圧電体21の両側面の外側
に、さらに圧電板を連ねた形状の輪かくすべりモードの
共振子を構成した場合、振動エネルギーの閉じ込め効率
は十分でないことがわかる。
とがわかった。すなわち、図5に略図的側面図で示す圧
電体31は、破線Bで示す振動姿態と、該振動姿態と左
右対称である振動姿態との間で振動することになる。こ
の場合、短辺側の変位ベクトルは図6に示すようにx方
向の成分のみを有する。また、圧電体31の側面31
a,31bでは、上半分の部分と、下半分の部分とで変
位方向が逆転する。
図7に示すように、上記圧電体31の側面31aにおい
て、1/2の高さ位置の点O1 近辺から下方に支持体3
2を連結し、側面31b側において、1/2の高さ位置
の点O2 近辺から上方に支持体33を連結すれば上記x
方向における変位の支持体32,33への漏洩を防止す
ることができるのではないかと考えた。
々の圧電材料を用いて圧電体31に支持体32,33を
連ねた構造の変位状態を調べた。その結果、使用する圧
電材料のポアソン比σと比b/aとの間に図8に示す関
係があることが確かめられた。図8の結果から、比b/
aを、 b/a=n(0.3σ+1.48) … (1) (但し、nは整数) に設定するように圧電体31の厚みa及び振動部分の長
さbを選択することにより、支持体32,33側への変
位の伝達を減少させることができ、言い換えれば、振動
体31の部分に振動エネルギーを効果的に閉じ込められ
ることがわかった。
1の側面31aにおいて、1/2の高さ位置の点O1 近
辺から下方に支持体32を、側面31b側において、1
/2の高さ位置の点O2 近辺よりも上方に支持体33を
連結したが、この場合の1/2の高さ位置は、特に限定
されるものではない。言い換えれば、前述した実施例に
おける圧電セラミック板11に形成されている溝15,
16の深さは、必ずしも圧電セラミック板12の厚みの
1/2以上であることは必要ではない。
に圧電体の共振部分の寸法を選択することにより圧電振
動体31から支持体32,33への振動の伝達を効果的
に防止し得ることが確かめられた。この結果に基づき、
有限要素法によりポアソン比σ=0.31の圧電材料を
用い、b/a=1.57とした場合の圧電振動体31の
変位分布を調べたところ、図9に示す結果が得られた。
部32A,33Bを介して圧電振動体31と等しい幅の
厚みを有する支持部34,35を一体的に構成した共振
子の変位分布を同じく有限要素法で調べたところ、図1
0に示す結果が得られた。
6では、圧電振動体31部分におけるすべりモードの振
動エネルギーが支持部32A,33B側にはほとんど漏
洩していないことがわかる。すなわち、上記比b/aを
式(1)を満たすように選択することにより、エネルギ
ー閉じ込め効率の高いすべりモードを利用した共振子を
構成し得ることがわかる。
(1)のnを0.85〜1.1まで変化させ、図10に
示す変位量の最も大きな点Pの変位量に対する変位量の
最も小さな点Qにおける変位量の比、すなわち相対変位
(%)を測定した。結果を図11に示す。
9〜1.1の範囲であれば、相対変位は10%以下であ
ることがわかる。他方、相対変位が10%以下の場合に
は、共振子を構成する場合に実質的に問題のないことが
わかっている。従って、式(1)を満たす値から±10
%の範囲内であれば、共振部に振動エネルギーを効果的
に閉じ込めることができる。
た圧電共振子においては、共振部における第1,第2の
共振電極間の距離と分極方向に沿う共振部の長さbとの
関係を式(1)で示す値から±10%の範囲内とするこ
とにより、エネルギー閉じ込め効率を効果的に高め得る
ことがわかった。
電共振子11では、共振部の圧電セラミック板の厚みa
と共振部の分極方向Pに沿う長さ寸法bが上記式(1)
で示す値から±10%の範囲内とするように、上記第
1,第2の溝15,16が形成されており、それによっ
てエネルギー閉じ込め効率が高められている。
電共振子を示す側面図であり、第1の実施例について示
した図2に相当する図である。第2の実施例の圧電共振
子41では、矢印P方向に分極処理された圧電セラミッ
ク板42の上面42aにおいて、第1の溝45の外側
に、さらに第3の溝47が形成されており、他方圧電セ
ラミック板42の下面42b側においても、第2の溝4
6の外側に第4の溝48が形成されており、それによっ
て動吸振部49,50が構成されている。この動吸振部
49,50は、公知の動吸振現象により、漏洩してきた
振動によって共振し、漏洩してきた振動を打ち消すよう
に作用する。従って、動吸振部49,50の寸法は、こ
のような動吸振現象による振動の相殺を果たすような大
きさに選ばれている。
第3,第4の溝47,48が形成されて動吸振部49,
50が構成されていることを除いては、第1の実施例と
同様であるため、その他の部分については相当の参照番
号を付することにより、その説明は省略する。
部における寸法比b/aが式(1)で示す値から±10
%の範囲内とされているため、共振部に振動エネルギー
が効果的に閉じ込められる。しかも、わずかに漏洩した
振動は、上記動吸振部49,50によって動吸振現象に
より相殺される。従って、第3,第4の溝47,48よ
りも外側の保持部51,52において圧電共振子41を
機械的に保持した場合、共振特性の劣化がほとんど生じ
ない。よって、第1の実施例に比べて、より一層エネル
ギー閉じ込め効率を高めることかでき、より小型の圧電
共振子を提供することができる。
みすべりモードを利用した圧電共振子につき説明した
が、本発明の圧電共振子は、すべり振動モードであれば
幅すべりモードなどの他のすべりモードの圧電共振子に
も適用することができる。
振子61は、幅すべりモードを利用した圧電共振子であ
る。図13を参照して、圧電共振子61は、矩形板状の
圧電セラミック板62を用いて構成されている。圧電セ
ラミック板62は、矢印P方向に分極処理されている。
すなわち、圧電セラミック板62の上面62aと平行な
方向に分極処理されている。
に、一対の共振電極63,64が形成されている。共振
電極63,64の延びる方向は、分極方向Pと平行であ
り、共振電極63,64は、圧電セラミック板62の上
面62a上において、中央領域において所定距離を隔て
て対向されている。
溝65が、第2の共振電極64の先端側には第2の溝6
6が形成されており、それによって第1,第2の溝6
5,66で挟まれた共振部が構成されている。この共振
部、すなわち本発明の圧電体を構成している部分は上面
及び下面が矩形の形状を有する。共振部の上面の短辺方
向(第2の方向)の長さをa、共振部の長辺すなわち分
極方向Pに沿った方向(第1の方向)の長さをbとした
ときに、比b/aを式(1)に示す値から±10%以内
の範囲とすることにより、第1の実施例と同様に、共振
部に振動エネルギーを効果的に閉じ込めることができ
る。
向Pは、圧電セラミック板62の長手方向と直交する方
向(第2の方向)であってもよい。この場合において共
振電極63,64が、圧電セラミック板62の短辺と平
行に延ばされており、それによって共振部に電界が加わ
る方向が圧電セラミック板62の長手方向とされてい
る。図13Bに示す構成においても、第1,第2の溝6
5,66間の共振部の上面の形状が、上述した式(1)
に示す値から±10%以内の範囲となるように、比b/
aが選択されている。従って、すべりモードの振動エネ
ルギーを共振部に効果的に閉じ込めることができる。
動エネルギーが効果的に閉じ込められるため、第1,第
2の溝より外側の部分において機械的に保持することに
より容易にチップ型電子部品を構成することができる。
このようなチップ型共振部品の一例を図14及び図15
を参照して説明する。
71の上下に、空洞形成部材72,73を介して第1,
第2のケース基板74,75が絶縁性接着剤を用いて貼
り合わされている。
用した圧電共振子76を用いて構成されている。圧電共
振子76では、矩形板上の圧電セラミック板77に、第
1,第2の溝78,79を形成した形状を有する。この
第1,第2の溝78,79間に共振部、すなわち本発明
の圧電体が構成されており、かつ圧電セラミック板77
は図示の矢印P方向に分極処理されている。
第1,第2の共振電極が形成されている。図14では第
2の共振電極80が図示されているが、該第2の共振電
極80は第2の溝79と端面77aとの間に延びるよう
に形成されている。また、図14では図示されていない
が、圧電セラミック板77の他方側面では、第1の溝7
8と、端面77aとは反対側の端面との間に第1の共振
電極が形成されている。従って、第1,第2の共振電極
に交流電圧を印加することにより、共振部はすべり振動
モードで共振される。
圧電セラミック板77の両端面を結ぶ方向(第1の方
向)と直交する方向であって、かつ第1,第2の溝の深
さ方向(第2の方向)の長さをa、共振部の第1の方向
に沿う長さをbとしたときに、上述した特定の範囲内に
選ばれている。従って、共振部内に振動エネルギーが効
果的に閉じ込められている。 他方、第1,第2の溝7
8,79の外側の保持部において、両側から第1,第2
のスペーサー板81,82が絶縁性接着剤により固着さ
れて、共振プレート71が構成されている。
形の開口72a,73aを有する。開口72a,73a
は、圧電共振子76の共振部の振動を妨げないような空
洞を形成するために設けられている。空洞形成部材7
2,73としては、矩形枠状のシート状接着剤を用いた
り、あるいは矩形枠状の合成樹脂フィルム等の適宜の材
料からなるものを用いることができる。
などの絶縁性セラミックスやその他の適宜の絶縁材料で
構成することができる。なお、本実施例では、矩形枠状
の空洞形成部材72,73を用いたが、ケース基板74
の下面及びケース基板75の上面に、それぞれ矩形の凹
部を形成し、それによって圧電共振子76の共振部の振
動を妨げないための空洞を形成してもよい。あるいは、
ケース基板74の下面及びケース基板75の上面に矩形
枠状に絶縁性接着剤を厚く塗布し、それによって共振部
の振動を妨げないための空洞を形成するようにしてもよ
い。
図15に示すように、外部電極83,84を形成するこ
とにより、チップ型共振部品70が構成される。外部電
極83,84は、蒸着、メッキもしくはスパッタリング
等の適宜の方法により形成することができる。
から明らかなように、本発明の圧電共振子を用いた場
合、圧電共振子の寸法を小型にし得るだけでなく、共振
部における振動エネルギーの閉じ込め効率を効果的に高
め得るため、圧電共振子76の第1,第2の溝78,7
9よりも外側の部分において他の部材と強固に接合され
た機械的強度に優れたチップ型共振部品を構成すること
ができる。従って、共振特性に優れ、かつ信頼性に優れ
たチップ型共振部品を提供することが可能となる。
電共振子76の両側に第1,第2のスペーサー板81,
82が接着剤を用いて接合されている。従って、図14
から明らかなように接合部分Aが存在する。この接合部
分Aにおいて、接着が不十分な場合には、湿気等が接合
部分Aから内部に侵入し、耐湿性などの特性が悪化する
おそれがある。従って、好ましくは、図16及び図17
に示す共振プレート91のように、一体の部材で共振プ
レートを構成してもよい。共振プレート91では、前述
した図14に示した圧電共振子76に似た構造の圧電共
振子96と、第1,第2のスペーサー板81,82とが
一体化されている。すなわち、矩形板状の圧電セラミッ
ク板を機械加工することにより開口91a,91bを形
成し、しかる後種々の電極を形成することにより共振プ
レート91が構成されている。従って、上記接合部分
(図14参照)が存在しないため、チップ型圧電共振部
品の耐湿性をより効果的に高め得る。共振プレート91
は、圧電共振子96及び第1,第2のスペーサー板8
1,82を一体化した点、並びに圧電共振子96におい
て共振電極80,80Aが圧電セラミック板の上面に形
成されている点を除いては、共振プレート71と同様に
構成されているため、同一部分については、同一の参照
番号を付することによりその説明は省略する。
電共振子を示す斜視図である。図18に示す圧電共振子
101は、図13Bに示した圧電共振子61の変形例で
ある。圧電共振子61と異なる点は、一方の共振電極6
4が、圧電セラミック板62の下面に形成されているこ
とにある。その他の点については、圧電共振子101
は、圧電共振子61と同様に構成されている。圧電共振
子101から明らかなように、本発明の圧電共振子にお
ける一対の共振電極は、共振部、すなわち本発明におけ
る圧電体の一対の矩形面のうち一方の矩形面に、他方の
共振電極64が他方の矩形面上に形成されていてもよ
い。
なわち圧電体と、支持部及び保持部が圧電セラミック板
を機械加工することにより一体的に形成されていたが、
圧電体、支持部及び保持部は別部材で構成されていても
よい。このような例を、図19を参照して説明する。図
19に示す板状部材111では、対向し合う矩形の上面
及び下面を有する圧電体112の側方に、L字状の板状
部材113,114が絶縁性接着剤を用いて連結されて
いる。板状部材113,114は、絶縁性セラミック
ス、合成樹脂、金属板、半導体板などの適宜の材料で構
成されることができる。また、板状部材113,114
は、それぞれ、圧電体112に連結される支持部113
a,114aと、他の部分に機械的に固定するために用
いられる保持部113b,114bとを有する。
部とが同じ幅で構成された圧電基板115を用いてもよ
い。圧電基板115は、圧電セラミックスよりなり、中
央に上面及び下面が一対の矩形面を構成する圧電体部分
115aを有し、圧電体部分115aの両側に、それぞ
れ、幅の細い支持部115b,115cが形成されてい
る。ここでは、支持部115b,115cの長さが延長
され、その端部近傍の部分が保持部としても機能する。
振子として、圧電体に支持部及び保持部が連結された構
造のものにつき説明してきたが、本発明の圧電共振子で
は、上記支持部及び保持部等は必須のものではない。す
なわち、上記式(1)を満たす値を中心として±10%
の範囲内となるように比b/aが選択された圧電体を用
いて本発明の圧電共振子を構成することができ、このよ
うな例を、図21〜図25を参照して説明する。
aと、長さaの短辺121bを有する対向し合う一対の
矩形面を有する圧電体121において、比b/aを上述
した式(1)を満たす値を中心として±10%の範囲内
としたとき、すべりモードが励振されると、破線Xで示
す振動姿態と、逆の振動姿態との間での振動が生じる。
この場合、振動のノード点は、図21にA,B,Cで示
すように、短辺121bの中央と、圧電体121の矩形
面の中心Bに存在する。
振子を支持すれば、共振特性に優れた圧電共振部品を構
成し得ることがわかる。このような例を、図22に示
す。図22に示す圧電共振子131では、矩形の上面1
32a及び矩形の下面132bを有する圧電セラミック
板132が用いられる。上面132a及び下面132b
では、長辺の長さをb、短辺の長さをa、圧電セラミッ
ク板132の材料のポアソン比をσとしたときに、比b
/aが上述した式(1)を満たす値を中心として±10
%の範囲内とされている。
133が、下面132bの中央にも、第2の共振電極1
34が形成されている。第1,第2の共振電極133,
134は、圧電セラミック板132を介して対向されて
いる。
と平行な方向に分極処理されている。従って、第1,第
2の共振電極133,134から交流電圧を印加するこ
とにより、圧電共振子131はすべりモードで励振され
る。しかも、比b/aが上記のように選択されているた
め、すべりモードの振動が圧電共振子131内に効果的
に閉じ込められる。
132の上面及び下面おいては、一方端縁に沿うように
端子電極135,136が形成されている。端子電極1
35,136は、それぞれ、第1,第2の共振電極13
3,134に電気的に接続されている。端子電極13
5,136は、外部と電気的に接続するために用いられ
る。
央には、切欠137,138が形成されている。この切
欠137,138は、共振周波数を調整するために設け
られている。すなわち、圧電共振子131を作製したあ
とにおいて、第1,第2の共振電極133,134から
交流電圧を印加して共振周波数を測定し、その状態で、
切欠137,138を適宜の大きさに形成することによ
り、共振周波数をリアルタイムでかつ容易に調整するこ
とができる。よって、所望通りの共振特性を有する圧電
共振子131を容易に提供することができる。
35,136が設けられていたが、必ずしも端子電極1
35,136は外部の接続に用いられる必要はない。言
い換えれば、端子電極135,136は形成されずとも
よい。これは、中央の第1,第2の共振電極133,1
34にばね端子を接触させることにより、圧電共振子1
31と外部との電気的接続を果たし得るからである。こ
のような例を、図23〜図25を参照して説明する。
共振子131の共振電極133,134に、それぞれ、
ばね端子141,142が接触されている。上記ばね端
子141,142の具体的な例としては、図24に示す
ばね端子141,142が挙げられる。すなわち、ばね
端子141,142は、半球状に突出した弾性接触部1
41a,142aを有する。この弾性接触部141a,
142aが、図23において示されている。また、図2
4から明らかなように、ばね端子141,142は、弾
性接触部141a,142aにおいて圧電共振子131
の共振電極133,134に電気的に接続される。他
方、ばね端子141,142は、端子引出し部141
b,142bを有する。端子引出し部141b,142
bは、収納した際にケース外に引き出される部分に相当
する。すなわち、図25に示すように、圧電共振子13
1をばね端子141,142で弾力挟持した状態で、ケ
ース143に収納し、封止樹脂144により封止するこ
とにより、リード端子付きの圧電共振部品145を構成
することができる。
子131では、圧電板132の両面132a,132b
の中心に位置するノード点において、ばね端子を接触さ
せて圧電共振子131を支持していた。
21に示した点A及びCにおいてばね端子により支持し
てもよい。すなわち、本発明の圧電共振子の振動モード
では、図21に示した点A及びC、すなわちb/aは上
記特定の範囲とされている矩形の面に連なる短辺側の側
面中央にも振動のノード点が存在する。従って、図26
に示すように、圧電共振子231の両側面中央に、ばね
端子232,233を接触させ、該ばね端子232,2
33により圧電共振子231を支持してもよい。
一対の面231a,231bが上記特定の範囲の比b/
aを満たす矩形面である。また、共振電極234,23
5は、短辺aに沿う側面の全面に形成されている。ま
た、圧電共振子231では、矢印P方向に圧電体236
が分極処理されている。
振子を示す斜視図。
面図及び斜視図。
圧電共振子の側面図及び斜視図。
場合のすべりモードを説明するための略図的側面図及び
振動体の位置を示す模式図。
体の変位分布を示す模式的側面図。
クトル分布を示す模式的側面図。
合のx方向の変位分布を示す模式的側面図。
の場合の圧電振動体の有限要素法により解析された変位
分布を示す図。
の溝を介して保持部を設けた圧電共振子の変位分布を示
す図。
電共振子を示す斜視図及びその変形例を示す斜視図。
プ型共振部品を説明するための分解斜視図。
するための斜視図。
視図。
一例を示す斜視図。
例を示す斜視図。
点の位置を説明するための略図的平面図。
す斜視図。
接触部を当接させた状態を説明するための断面図。
る工程を説明するための斜視図。
端子で挟持し、ケースで収納することにより構成された
リード付き圧電共振部品を示す断面図。
の斜視図であり、一対のばね端子により圧電共振子を支
持した状態を示す模式的斜視図。
Claims (16)
- 【請求項1】 長辺と短辺とを有する一対の対向し合っ
ている矩形の面を有し、かつある方向に分極処理された
圧電体と、 前記圧電体の外表面において所定距離を隔てて配置され
ており、かつ前記分極方向に直交する方向に電圧を印加
するための第1,第2の共振電極とを備え、 前記圧電体の前記矩形面の長辺の長さをb、短辺の長さ
をa、圧電体を構成している材料のポアソン比をσとし
たときに、比b/aが、 b/a=n(0.3σ+1.48) (但し、nは整数)を中心として±10%以内の範囲と
されている、すべりモードを利用した圧電共振子。 - 【請求項2】 前記圧電体に連結された支持部をさらに
備える、請求項1に記載の圧電共振子。 - 【請求項3】 前記支持部が、前記圧電体の両側に連結
されている、請求項2に記載の圧電共振子。 - 【請求項4】 前記各支持部に連結された保持部をさら
に備える、請求項3に記載の圧電共振子。 - 【請求項5】 前記圧電体、支持部及び保持部が板状の
部材よりなる、請求項4に記載の圧電共振子。 - 【請求項6】 前記圧電体、支持部及び保持部が、一枚
の圧電基板を機械加工することにより一体的に構成され
ている、請求項5に記載の圧電共振子。 - 【請求項7】 前記圧電基板に、第1,第2の溝が形成
されており、該第1,第2の溝間の圧電基板部分が、前
記圧電体を構成している、請求項6に記載の圧電共振
子。 - 【請求項8】 一枚の圧電基板を用いて形成された前記
圧電共振子を挟持するように、該共振子の上下に貼り合
わされたケース基板と、 前記共振子の振動する部分の振動を妨げないための空間
を確保するために、前記ケース基板またはケース基板と
共振子との間に設けられた空洞形成手段とを備える、請
求項6に記載の圧電共振子。 - 【請求項9】 前記圧電基板の両側に、圧電共振子の振
動する部分の振動を妨げないための空間を確保するため
に連結された第1,第2のスペーサー板をさらに備え
る、請求項8に記載の圧電共振子。 - 【請求項10】 前記圧電基板と前記第1,第2のスペ
ーサー板とが、同一の部材により一体的に構成されてい
る、請求項9に記載の圧電共振子。 - 【請求項11】 前記圧電体が圧電板であり、前記一対
の矩形面が、前記圧電 体の両主面である、請求項1に
記載の圧電共振子。 - 【請求項12】 前記圧電板が、前記両主面を結ぶ4つ
の側面を有する、請求項11に記載の圧電共振子。 - 【請求項13】 前記一対の共振電極が、前記圧電板の
両主面に分散されて形成されている、請求項12に記載
の圧電共振子。 - 【請求項14】 前記一対の共振電極が、前記圧電板の
一方主面上において所定距離を隔てて形成されている、
請求項12に記載の圧電共振子。 - 【請求項15】 前記一対の共振電極が、前記圧電板の
対向し合っている一対の側面に形成されている、請求項
12に記載の圧電共振子。 - 【請求項16】 前記圧電板の両主面の一対の共振電極
を弾力挟持する一対のばね端子と、 前記圧電共振子及びばね端子を収納するケースとをさら
に備える、請求項13に記載のチップ型圧電共振子。
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JPH07147527A JPH07147527A (ja) | 1995-06-06 |
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JP06217424A Expired - Lifetime JP3077523B2 (ja) | 1993-09-28 | 1994-09-12 | 圧電共振子 |
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JP4949666B2 (ja) * | 2004-11-11 | 2012-06-13 | 浩平 速水 | 圧電素子、音力発電装置および振動力発電装置 |
CN112039475B (zh) * | 2019-07-19 | 2024-08-20 | 中芯集成电路(宁波)有限公司 | 薄膜体声波谐振器及其制造方法和滤波器、射频通信系统 |
-
1994
- 1994-09-12 JP JP06217424A patent/JP3077523B2/ja not_active Expired - Lifetime
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