JPH07273030A - 基板上の非晶質膜の多結晶化方法及び液晶ディスプレイ基板の製造方法 - Google Patents

基板上の非晶質膜の多結晶化方法及び液晶ディスプレイ基板の製造方法

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JPH07273030A
JPH07273030A JP8088394A JP8088394A JPH07273030A JP H07273030 A JPH07273030 A JP H07273030A JP 8088394 A JP8088394 A JP 8088394A JP 8088394 A JP8088394 A JP 8088394A JP H07273030 A JPH07273030 A JP H07273030A
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film
amorphous
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laser light
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JP8088394A
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Kazunari Imahashi
一成 今橋
Kiichi Hama
貴一 浜
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Tokyo Electron Ltd
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Tokyo Electron Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板上の非晶質膜を多結晶化するにあたり、
グレインサイズを拡大化し、(1,1,1)配向強度を
増加させる。 【構成】 基板L上の非晶質膜を多結晶化する際、真空
チャンバ33内の載置台34に基板Lを保持させてこれ
を加熱する。基板L上の非晶質膜に対して、エキシマレ
ーザ光発振源61からのレーザ光のパルスを断続的に照
射して照射領域の非晶質膜を溶融させた後、少なくとも
基板Lの非晶質膜側を減圧雰囲気内で冷却させる。 【効果】 グレインサイズが拡大化して(1,1,1)
配向強度が増加するので、移動度の高速な素子を基板上
に形成させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基板上の非晶質膜を多
結晶化する方法、及び当該方法を応用した液晶ディスプ
レイ基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】TFT(薄膜トランジスタ)を用いたL
CD(液晶ディスプレイ)は非常に優れた高画質を提供
するものとして注目されている。この種のLCD基板
は、ガラス基板上にTFTを形成すると共に、例えばそ
のドレイン電極に電気的に接続した画素電極を、当該T
FTと隙間を介して配置し、このように組み合わされた
画素ユニットを多数配列して構成されており、例えば一
辺が数百μm程度の角形の画素ユニットが数十万個配列
されている。
【0003】そして画素ユニットが形成されたガラス基
板上に間隙を介して各画素ユニットに共通な透明電極を
対向して配列し、前記間隙に液晶を封入することによっ
て画素部が形成される。更にこの画素部の外側のガラス
基板上に、パッケージ化された駆動回路部をなすICチ
ップが、画素部の周縁に沿って複数配列されると共に、
各ICチップの端子が画素部の各画素ユニットに対応す
る走査電極配線であるゲート配線及びドレイン配線に接
続されることにより、LCD基板が構成されている。
【0004】このようなLCD基板の従来の製造方法に
ついては、まずガラス基板上に例えばプラズマCVDに
より水素化非晶質(アモルファス)シリコン膜(a−S
i:H膜)を形成した後、この膜上に成膜やエッチング
などの処理を行って、多数のTFTとこれに電気的に接
続された画素電極及び走査電極とを形成して多数の画素
ユニットを構成した後、パッケージ化されたICチップ
をガラス基板に取り付け、更にICチップと、画素ユニ
ットに形成された走査電極配線との位置合わせ並びに接
続を行った後、液晶の封入を行うようにしている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】ところで画素ユニットのTFTについて
は、その画素を映像として表示するという機能上から、
それほど高速性が要求されないので、半導体層として非
晶質シリコンを用いることができるが、駆動回路部につ
いては、高速スイッチング動作が要求される回路を搭載
するという必要から、動作速度が前記TFTよりもかな
り早くなければならない。即ちICチップと同等の性能
を有するものでなければならなので、半導体層としては
非晶質シリコンよりも電界効果移動度(mobility)の大
きい多結晶シリコンを用いることが要請される。
【0006】多結晶化したシリコンにおいて、前記電界
効果移動度を大きくするには、配向性、とりわけ(1,
1,1)配向強度を向上させ、即ち、隣合う結晶粒子の
ファセット面を(1,1,1)の方向に揃わせしめ、そ
のグレインサイズ(Grain Size;結晶層粒子)を拡大さ
せてクリスタルシリコン(Crystal Si)に近
い組成を実現させることが理想的である。この点、従来
の技術では多結晶化の際にそのような配向強度を向上さ
せる点について何ら開示されていなかった。
【0007】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、前記した液晶ディスプレイ用基板上の水素化非晶
質シリコン膜(a−Si:H膜)を始めとして、非晶質
膜を多結晶化するにあたり、(1,1,1)配向強度を
向上させ、そのグレインサイズも拡大させることが可能
な多結晶化方法、及び当該方法を応用した液晶ディスプ
レイ基板の製造方法を提供することを目的とするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1によれば、基板
上の非晶質膜を多結晶化する方法であって、所定の減圧
雰囲気内に前記基板を位置させ、この基板上の非晶質膜
に対して、レーザ光のパルスを断続的に照射して照射領
域の非晶質膜を溶融させた後、少なくとも基板の非晶質
膜側を減圧雰囲気にして前記基板を冷却させて、前記照
射領域を多結晶化することを特徴とする、基板上の非晶
質膜の多結晶化方法が提供される。
【0009】基板上の非晶質膜を溶融させるには、例え
ば非晶質膜の下面に、当該非晶質膜と比べて熱伝導率が
十分に低い、例えば2桁ほど低い材質を下地として配す
ることにより、非晶質膜のみを溶融させることが可能に
なる。
【0010】請求項2によれば、基板上の非晶質膜を多
結晶化する方法であって、所定の減圧雰囲気内に前記基
板を保持させ、前記基板を加熱して前記基板を所定温度
に維持させると共に、さらにこの基板上の非晶質膜に対
して、レーザ光のパルスを断続的に照射してこの照射領
域の非晶質膜を溶融させた後、基板の非晶質膜側を減圧
雰囲気にして前記基板を冷却させて、前記照射領域を多
結晶化することを特徴とする、基板上の非晶質膜の多結
晶化方法が提供される。
【0011】前記請求項1、2の場合、適用できる非晶
質膜としては、請求項4に記載したような非晶質シリコ
ン膜(a−Si)の他に、半導体ウエハ上の非晶質シリ
コン膜、非晶質窒化膜、さらにはセラミックス基板やエ
ポキシ樹脂基板上の非晶質膜が挙げられる。
【0012】そして前記各多結晶化方法においては、請
求項3に記載したように、非晶質膜の厚さを800オン
グストローム以下、レーザ光の照射出力を150mmJ〜
280mmJに設定すればなお好ましい結果が得られる。
【0013】一方、かかる多結晶化方法を応用した液晶
ディスプレイ基板を製造する方法としては、請求項5に
記載したように、基板上に、画素領域内に配置された複
数のスイッチング素子と、このスイッチング素子を駆動
する複数の駆動回路部とを備えた液晶ディスプレイ基板
を製造する方法において、前記基板上に非晶質半導体膜
を成膜する工程と、前記非晶質半導体膜にレーザ光のパ
ルスを断続的に照射して、この照射領域を多結晶化して
非晶質半導体膜内に配向性を持った多結晶島状領域を形
成する工程と、前記多結晶島状領域内に、この領域の多
結晶を半導体領域とする駆動回路部を形成する工程と、
非晶質半導体膜の一部を半導体領域とし、前記駆動回路
部に電気的に接続したスイッチング素子を画素領域内に
形成する工程とを具備することを特徴とする、液晶ディ
スプレイ基板の製造方法が提供できる。
【0014】また請求項6に記載した液晶ディスプレイ
基板の製造方法は、基板上に、画素領域内に配置された
スイッチング素子と、このスイッチング素子を駆動する
シフトレジスタとを備えた液晶ディスプレイ基板を製造
する方法において、前記基板上に非晶質半導体膜を成膜
する工程と、前記非晶質半導体膜に対して複数の島状に
レーザ光のパルスを照射してこの非晶質半導体膜を配向
性を持たせて多結晶化する工程と、前記レーザ光のパル
スの照射領域内に前記シフトレジスタを分割して生成す
る工程と、これら分割されたシフトレジスタ間、及びシ
フトレジスタとスイッチング素子とを電気的に接続する
ための配線層を形成する工程とを含み、前記シフトレジ
スタの少なくともトランジスタは、レーザ光のパルスの
照射領域内に配置されていることを特徴とするものであ
る。
【0015】これらの各液晶ディスプレイ基板の製造方
法においても、請求項7に記載したように、前記非晶質
半導体膜の厚さを300〜800オングストローム、レ
ーザ光の照射出力を150mmJ〜280mmJに設定すれ
ば、なお好ましい結果が得られる。
【0016】また請求項8に記載したように、前記非晶
質半導体膜を非晶質シリコン膜(a−Si)としてもよ
い。
【0017】
【作用】請求項1に記載の基板上の非晶質膜の多結晶化
方法によれば、基板上の非晶質膜が溶融した後、当該溶
融した非晶質膜側を減圧雰囲気にしたまま前記基板を冷
却させると、非晶質膜側は減圧雰囲気であるから放熱し
づらく、そのため熱は基板側(あるいは下地側)界面か
ら特定方向に伝熱し、当該界面から凝固する。この場合
の結晶方位は表面エネルギーをいちばん小さくする方
位、即ち(1,1,1)配向が一番安定のためなりやす
い。そして当該界面に方位が決まると、融液相と結晶相
との間で相移転が生じ、結晶が上層に成長する。
【0018】そしてさらにレーザ光のパルスのショット
数を増加させると、より安定な(1,1,1)配向が増
加し、隣接する(1,1,1)配向のグレインとグレイ
ンが結合し、グレインサイズの拡大と(1,1,1)配
向の強度の増加が生ずるのである。
【0019】請求項2の場合、前記基板を加熱してレー
ザ光のパルスを断続的に照射するので、方冷却の際も緩
慢に冷却されて、隣接する(1,1,1)配向との結合
時間に余裕ができ、配向性の増加が良好に行える。換言
すれば、基板温度が高いほど、(1,1,1)配向性が
増加する。
【0020】この場合の基板の加熱温度は、基板自体の
歪点以下にすることがデバイスの製造上望ましく、例え
ばLCD用のガラス基板の場合、400゜C以下にする
ことが好ましい。
【0021】さらに請求項3によれば、非晶質膜の厚さ
を800オングストローム以下としたので、レーザ光の
照射出力と相俟って、非晶質膜を完全に溶融させること
が可能であり、グレインサイズの拡大と(1,1,1)
配向強度の向上とが良好に図れる。即ち、非晶質膜はこ
れが完全に溶融しないと、溶融状態界面の方位が定まり
にくくなり、グレインサイズの拡大並びに(1,1,
1)配向性が発生しにくい。したがって非晶質膜の厚さ
大きくなった場合、それに伴って溶融熱エネルギーを大
きくしなければならないが、レーザエネルギーが必要以
上に大きなると非晶質膜自体がダメージを受けるおそれ
がある。
【0022】他方非晶質膜がダメージを受けない程度の
エネルギーでは、非晶質膜の厚さが800オングストロ
ームを越えると、その表面は熱エネルギーが大きいため
溶融してグレインが大きくなるが、下層部の溶融温度以
下のエネルギーは格子振動で小さなグレインを生じさせ
てしまう。そうすると表面に生じた大きなグレインは、
下層のいくつもの小さなグレイン上にあるため、溶融状
態界面の方位が定まりにくくなるのである。一方レーザ
光の照射出力は、150mmJ〜280mmJとしたので、
非晶質膜にダメージを与えることなく、前記膜厚と相俟
ってショット数に応じて非晶質膜を溶融させることがで
きる。
【0023】請求項5、6では、非晶質半導体膜に島状
にレーザ光のパルスを照射して多結晶化し、その照射領
域内に駆動回路部の少なくとも半導体素子を形成するた
め、照射領域の全体が均一にかつ良好に多結晶化され、
いずれの駆動回路部もばらつきが生じず良好な性能が得
られる。しかも配向性が生ずるように多結晶化したの
で、既述したように、移動度が高速化した素子を形成す
ることができる。
【0024】請求項7では、非晶質半導体膜の厚さを3
00〜800オングストローム、レーザ光の照射出力を
150mmJ〜280mmJとしたので、非晶質半導体膜に
ダメージを与えることなく、多結晶化する際のグレイン
サイズの拡大と(1,1,1)配向強度の向上とが良好
に図れる。この場合、非晶質半導体膜の厚さの下限を3
00オングストロームとしてあるので、液晶ディスプレ
イ基板の製造上、並びに実用上支障は生じない。
【0025】また多結晶化する対象となる非晶質膜、非
晶質半導体膜が、請求項4、8に記載したように、非晶
質シリコン膜(a−Si)である場合には、クリスタル
シリコン(Crystal Si)により近い配向性を持った薄膜
を基板上に形成することが可能となる。
【0026】
【実施例】以下本発明の実施例についてまず概略的なプ
ロセスから説明すると、まず図1(a)に示したよう
に、光透過性の基板、例えばガラス基板1上に例えば減
圧CVDにより非晶質半導体膜である非晶質シリコン膜
2を成膜する。この工程を減圧CVD法で行う場合に
は、例えばモノシラン(SiH4)ガスやジシランガス
(Si26)を反応ガスとして用い、例えば基板温度4
50℃〜520℃、圧力数Torrの反応条件で処理す
ることにより、非晶質シリコン膜2がガラス基板1上に
成膜される。
【0027】次いで図1(b)に示したように、レーザ
光照射部3により、例えば一辺が数ミリの角形のビーム
断面形状を有するレーザ光を、前記非晶質シリコン膜2
における周縁部に縦の一辺及び横の一辺に沿って断続的
に照射する。この結果島状、例えば方形状の照射領域4
が、相互間隔dが例えば数ミリ程度となるように形成さ
れる。この照射領域4では、照射条件を後述するように
適当に選定することにより非晶質シリコンが多結晶化
(ポリ化)されて多結晶シリコン(ポリシリコン)に変
わる。しかもその際、後述のように、結晶層内のグレイ
ンのサイズが拡大化し、(1,1,1)配向性が増加す
るものである。
【0028】レーザ光の照射については、例えばエキシ
マレーザにより非晶質シリコン膜2が多結晶化し、かつ
膜表面にダメージを与えずしかも配向性を増加させるに
十分なパワー密度(単位面積当たりの照射エネルギー)
のレーザ光のパルスを例えば1パルスずつ当てるように
すればよいが、その前に前記パワー密度よりも小さなパ
ワー密度のパルスを1パルスあるいは複数パルス照射よ
うにしてもよい。なおエキシマレーザしてはKrF(パ
ルス幅23nsec)やXeCl(パルス幅25nse
c)などを用いることができる。
【0029】その後図1(c)及び図2に示すように非
晶質シリコン膜2の照射領域4をエッチング並びに/も
しくは領域上(多結晶シリコン領域内)に所定の成膜処
理、エッチング工程を繰り返して、既知の構成の半導体
素子(スイッチング素子)、例えばLSIよりなる駆動
回路部5を形成する。これら駆動回路部5は、後述のT
FTのゲート電極を駆動するように図2中縦に並ぶゲー
ト用駆動回路部6と、TFTのソース電極を駆動するよ
うに横に並ぶソース用駆動回路部7とに分けられてい
る。
【0030】この実施例では、縦に一列に並ぶゲート用
駆動回路部6の群によってゲート用のシフトレジスタが
構成され、横に一列に並ぶソース用駆動回路部7の群に
よってソース用のシフトレジスタが構成されている。即
ち図3に示すようにゲート用のシフトレジスタ(ソース
用のシフトレジスタも同じ)は互いに島状に分離した複
数のシフトレジスタ部からなり、各島領域(照射領域)
内に複数のトランジスタよりなる前記スイッチング素子
が形成され、これら島領域内のシフトレジスタ部は、配
線層10により隣り合うもの相互が電気的に接続されて
いる。これら配線層10は、前記トランジスタもしくは
TFTの製造時に、これらの製造工程で一緒に形成され
得る。
【0031】例えば、駆動回路部5間の多結晶シリコン
領域の部分並びにこれに部分間の間の非晶質シリコンの
部分上にシリコン酸化膜のような絶縁膜を介して、アル
ミや銅のような導電膜を形成し、これを選択エッチング
することにより形成され得る。なお11は後述のゲート
バスラインやソースバスラインなどの配線層を示し、こ
の例では画素領域12に接続されている。
【0032】更に非晶質シリコン膜2の画素領域内12
に所定の成膜処理、エッチングを繰り返して行うことに
より、スイッチング素子であるTFT(Thin Film Tran
sistor)8が画素数に対応する数だけ縦横にマトリック
ス状に配列して形成される。このTFT8と駆動回路部
5との電気的接続は、この実施例では、例えばTFT8
を生成する工程において、成膜処理、リングラフィー、
及びエッチングを繰り返してゲート電極、ソース電極の
形成と同時にゲートバスラインやソースバスラインなど
の例えばアルミニウムからなる配線層11を形成するこ
とによって行うことができる。なお前記配線層10も同
工程で形成され得る。
【0033】これら配線層10、11は、駆動回路部5
の半導体素子の電極の形成と同時に形成してもよいし、
駆動回路部5及びTFT8の電極を同時に形成しかつこ
の電極形成時に同時に形成してもよく、あるいはTFT
8及び駆動回路部5を生成した後に形成してもよい。
【0034】また駆動回路部5をなす半導体素子及びT
FT8はプレナー型や逆スタッガ型など種々のデバイス
のタイプを選択することができ、従って非晶質シリコン
膜2やレーザ光の照射領域(多結晶シリコン領域)4を
使用して駆動回路部5及びTFT8を生成するために
は、デバイスのタイプによっては電極などが非晶質シリ
コン膜2の下に位置する場合もある。
【0035】そしてまた上述の例では駆動回路部5を生
成した後にTFT8を形成しているが、TFT8を先に
形成してもよいし、あるいは駆動回路部5とTFT8の
一部を同時に形成してもよい。このようにしてLCD基
板9が製造され、このLCD基板9に透明基板が張り合
わされた後液晶を封入してLCDパネルが構成されるこ
ととなる。
【0036】上述の実施例では、基板の周縁に沿って非
晶質シリコン膜2に島状にレーザ光のパルスを照射し
て、即ち、島のディメンションと同じディメンションの
断面のレーザ光を照射して多数のレーザ光照射領域4
(島領域)を形成し、これにより各島領域を多結晶化し
ているため、そのレーザ光の照射領域4内はレーザ光の
照射エネルギーが均一であり、従ってレーザ光の照射エ
ネルギーを適切な大きさにすることによりいずれの島領
域についてもその領域内は均一にかつ良好に多結晶化さ
れる。
【0037】このためその領域の上につまり多結晶シリ
コン膜の上に成膜処理、エッチングを繰り返して形成し
た駆動回路部5をなす半導体素子、即ち多結晶シリコン
を半導体層とした半導体素子はいずれも良好な性能を有
するものになり、この結果LCD基板の製造にあたり非
晶質シリコン膜を利用した駆動回路部の生成と駆動回路
部及びTFTの成膜処理による配線とを実現できるの
で、LCD基板の製造が容易になる。
【0038】以上の例においてガラス基板1上に形成す
る非晶質シリコン膜2の成膜方法については、減圧CV
Dに限らずプラズマCVDによって成膜してもよく、こ
の場合例えばモノシランガスと水素ガスとを用い、例え
ば反応温度180℃〜300℃、圧力0.8Torrの
条件で成膜することができる。ここでプラズマCVDを
利用する場合には非晶質シリコン膜中に水素が取り込ま
れてa−Si:H膜(水素化非晶質シリコン膜)が成膜
されることになるので、レーザ光照射工程では、レーザ
アニール時における水素の急激な放出に伴う膜の損傷を
抑えるために例えば次のようにしてレーザ光を照射する
ことが望ましい。
【0039】即ちレーザ光の出力エネルギーをa−S
i:H膜が多結晶化するに必要なエネルギー以下のエネ
ルギーで、始めは小さくしておいて1パルスあるいは複
数パルス照射し、次いでエネルギーを順次大きくして夫
々例えば1パルスあるいは複数パルス照射し、このよう
にしてa−Si:H膜中の水素を徐々に放出した後最後
に多結晶化するに必要なエネルギー以上のエネルギーで
例えば1パルス照射することにより当該照射領域を多結
晶化する。続いて別の領域に対して同様にしてレーザ光
を照射して、こうして多結晶シリコン領域を島状に形成
する。なお各エネルギー毎にレーザ光のパルスを複数パ
ルス照射する場合には、水素の放出量を監視してその量
が各パルス毎にあまり変わらなくなってから、エネルギ
ーを次の大きな値に設定して同様の工程を行うことが望
ましい。
【0040】このような方法によれば、小さいエネルギ
ーに対応した水素から大きいエネルギーに対応した水素
へと順次放出されていくので、a−Si:H膜中の水素
が段階的に放出され、a−Si:H膜を多結晶化するた
めに必要な大きなエネルギーを加えたときには既に膜中
水素の含有量は少ないので、これら水素が一気に放出さ
れても膜を損傷させることがない。
【0041】次に前記非晶質シリコン膜2にレーザ光を
照射して配向性を持たせて多結晶化するために用いるレ
ーザアニール装置及び監視装置並びにこれらの使用方法
に関して詳述する。この装置は、図4及び図5に示すよ
うに空気圧を利用した空気支持機構30を装置の基台と
して用いており、この空気支持機構30は、剛性のある
材質例えば金属よりなる支持プレート31が空気圧によ
り浮上した状態でエアーサスペンションにより支持さ
れ、常に水平になるように空気圧が制御されている。
【0042】前記支持プレート31上には、中空の支持
台32を介して、処理室例えばアルミニウム製の気密な
円筒状の真空チャンバ33が載置して固定されており、
この真空チャンバ33内には、既述のようにガラス基板
上に非晶質シリコン膜を成膜し基板Lを、被処理面が下
向きになるように保持する載置台34が配置されてい
る。そしてこの載置台34内には、保持した基板Lを所
定温度、例えば常温〜400゜Cまでの任意の温度に設
定、維持できる加熱ヒータ(図示せず)が内蔵されてい
る。なお34aは基板Lの周縁を保持する保持部、34
bは載置台34を支持する支持ロッドである。
【0043】更にこの真空チャンバ33には、例えば後
述の図7に示されたターボ分子ポンプ51、ロータリー
ポンプ52に接続された排気管35が連結されると共
に、前記基板L上の非晶質シリコン膜から発生した水素
の発生量を測定するための質量分析計36が設置されて
おり、更に基板Lを真空チャンバと外部(大気雰囲気)
との間で搬出入するためのゲートバルブGが設けられて
いる。そして前記真空チャンバ33の、基板Lと対向す
る底壁には後述のレーザ光が透過できるように例えば合
成石英ガラス製の窓37が形成されている。
【0044】前記真空チャンバ33の下方側における支
持プレート31上には、中に反射鏡Mが配置されたレー
ザ光照射部40及びこのレーザ光照射部40を水平方向
例えばX方向、Y方向に移動させるための移動機構41
が配置されている。この移動機構41は、例えば支持プ
レート31にX方向に設置されたレール42に沿って移
動するX移動部43と、このX移動部43上にY方向に
設置されたレール44に沿って移動するY移動部45と
から構成され、Y移動部45上に前記レーザ光照射部4
0が搭載されている。
【0045】前記空気支持機構30の側方には、図6に
示すように、エキシマレーザ光発振源61が配設されて
おり、光学系のビームホモジェナイザー62を介して、
レーザ源から射出されたレーザ光を所定のディメンショ
ンのビームに成形して窓37を通じて真空チャンバ33
内に入射させるように設けられている。レーザ源として
は、248nmのレーザ光を23nsecのパルス幅で
発するKrFレーザや25nsecのパルス幅で発する
XeClレーザものが使用されている。
【0046】さらにビームホモジェナイザー62の詳
細、及びレーザ光の光路について図7に基づき説明する
と、エキシマレーザ光発振源61から出たビーム径7mm
×22mmの光は、まずビームエキスパンダー63で短軸
方向が拡大され、22mm×22mmの正方形に成形され
る。次いで全反射型の反射鏡M1で反射され、さらに既
述のX−Yステージ(移動機構41)上にある全反射型
の反射鏡M2で反射されて、□5mm×5mmで縦横各8
個、計64個からなる魚眼型レンズ(Fly-eye lens)6
4に導入される。魚眼型レンズ64の各セグメントを通
った光は、ff=100mmで一旦集光され、fc=300
mmの円柱型レンズ(Cylindrical lens)65を通った
後、アパーチャ位置Pで一カ所に集光され、ビーム形状
が均一化される。
【0047】ここでアパーチャによりビーム周辺のなだ
らかな部分がカットされ、□14mm×14mmのビームが
形成される。そして反射鏡M3で反射され、アパーチャ
位置Pでの像を拡大、縮小するfI=160mmの結像レ
ンズ(Integrate lens)66により真空チャンバ33の
窓37を通って、加熱ヒータを内蔵した載置台34に保
持されている基板L表面に対して、1/2に縮小された
ビームが照射されるように構成されている。なおかかる
光学系の透過率は、レンズ系が77%、窓37が92%
であり、計約70%である。
【0048】前記したエキシマレーザ光発振源61は、
図6に示したように、レーザ電源67により駆動され
る。またこのレーザ電源67のレーザ源駆動信号は、コ
ントローラ68により制御されるように構成されてい
る。このコントローラ68には、既述の移動機構41を
駆動回路69によって駆動させるための駆動情報、レー
ザ電源67の制御情報、半導体結晶の評価のためのバン
ドギャップ分光反射率分布に関する基準情報等、この装
置を作動させるために必要な情報が記憶されたメモリー
70が接続されている。なお図6中、86は、支持機構
の外側に配置されて、基板Lからの反射光を受光して、
シリコン膜の分光特性を検知するための分光器である。
【0049】次に上述の装置を用いて非晶質シリコン膜
を、配向性を増加させて多結晶化する方法について述べ
る。先ずゲートバルブGを開いて図示しない搬送機構に
より、前記基板Lを真空チャンバ33内の載置台34
に、被処理面を下側に向けて載置し、その後ゲートバル
ブGを閉じてから前出ターボ分子ポンプ51、ロータリ
ーポンプ52により排気管35を介して真空チャンバ3
3内を例えば圧力2.5×10-7Torrの減圧雰囲気
まで真空引きする。
【0050】しかる後、コントローラ68の制御のもと
で、移動機構41を介してレーザ光照射部40を間欠的
に水平方向(X並びにY方向)に移動させ、また、エキ
シマレーザ光発振源61よりレーザ光をレーザ光照射部
40に向けて発振させる。この結果、伝送されたレーザ
光はレーザ光照射部40により、窓37を通って基板L
の非晶質シリコン膜に入射し、この照射領域を配向性を
持たせて多結晶化する。このときの、コントローラ68
のレーザ電源67への制御信号は、メモリー70に記憶
された、移動機構41の移動時間、停止時間、移動距
離、移動方向等に応じて設定されており、非晶質シリコ
ン膜にレーザ光が照射され、島状の照射領域間の距離、
全体の長さ、方向等が決定される。
【0051】照射領域は、例えば、0.65cm×0.6
5cmの矩形状に設定されているが、これは入射レーザ光
の断面と実質的に等しく、また前記ビームホモジェナイ
ザー62によって決定される。従って、コントローラ6
8へのデータの設定並びにビームホモジェナイザー62
の交換もしくは変更により、任意のディメンションの照
射領域、即ち、多結晶シリコン領域が、任意の間隔で任
意の方向に形成され得る。また、コントローラ68の制
御のもとで各照射領域に、多数階の同一エネルギーもし
くは異なるエネルギーでのレーザ光の照射がなし得る。
【0052】例えば、各照射領域にレーザ光を1度照射
して多結晶化する場合には、例えばパルス幅が23ns
ecのレーザ光パルスを1パルス照射し、次いで移動機
構41を駆動してその照射領域から所定間隔離れた領域
に同様に照射し、こうして移動機構41を制御すること
によりレーザ光を基板の周縁部に沿って縦及び横に島状
に照射することができる。
【0053】ここで非晶質シリコン膜としてプラズマC
VDによりガラス基板上にa−Si:H膜を成膜した場
合、このa−Si:H膜にレーザ光を照射するにあたっ
ては、膜中にH(水素)が含有されているので、既述の
如く、徐々にパワーを上げてまずH(水素)を追い出
し、その後照射エネルギーを次第に、又は段階的に大き
くしていくことが望ましく、また他方例えばLPCVD
によってガラス基板上にa−Siが成膜された場合に
は、H(水素)が含有されていないので、エネルギーの
等しいレーザ光を多数回非晶質シリコンに照射すること
によって、それぞれの膜質に応じて、グレインサイズの
拡大と(1.1.1)配向の増加を図ることが可能であ
る。
【0054】即ち、a−Si中にH(水素)がある場合
には、まずこのH(水素)を除去してから、グレインサ
イズの拡大と(1.1.1)配向の増加を目的としたエ
ネルギーの等しいレーザ光照射による溶融処理を開始さ
せ、a−Si中にH(水素)がない場合には、最初から
グレインサイズの拡大と(1.1.1)配向の増加を目
的としたエネルギーの等しいレーザ光照射を行えばよ
い。
【0055】前記した装置を用いて発明者らが実際に行
った実験結果に基づき、グレインサイズの拡大と(1.
1.1)配向の増加について以下に詳述する。試料とし
ては、ガラス基板(コーニングNo.1733)の表面
に、下地として1000オングストロームのSiO2
保護膜を形成し、当該SiO2保護膜の上に非晶質シリ
コン(a−Si)膜を形成した基板を使用した。また非
晶質シリコン(a−Si)の熱伝導率(W/cm.k)
は、168であり、これに対しSiO2の熱伝導率は、
1.4(273K)、1.9(373K)であり、a−
Siと比較してSiO2保護膜の熱伝導率は2桁低い。
なおグレインサイズの測定にあたっては、secco
Etch後にSEM写真を撮り、ある決められた大きさ
のエリア内にあるグレインの大きさを数で割り、平均化
した。
【0056】1.レーザエネルギーとグレインサイズ 図8はレーザエネルギーとグレインサイズの関係を示し
ており、非晶質シリコン膜の膜厚が500オングストロ
ームの場合において、基板温度RT(Room Temperatur
e;室温)と350゜Cとを比較すると、基板温度が上
がることにより熱エネルギーがa−Si中に入り、同一
レーザエネルギーでは、よりグレインサイズを大きくし
ていることがわかる。また350゜Cでは、グレインサ
イズのピークが200〜240mJの間にあり、基板温
度による熱エネルギーが加わらないので、高エネルギー
側にシフトしている。さらにレーザエネルギーを上げて
いくとグレインサイズが小さくなり、280mJ以上で
ダメージが生ずる。
【0057】非晶質シリコン膜の膜厚が1000オング
ストロームの場合には、基板温度RTと350゜Cで
は、グレインサイズの差があまりなく、共にレーザエネ
ルギーが200〜240mJでピークを示し、280m
J以上でダメージが生ずる。またレーザエネルギーによ
るグレインサイズの依存性は、あまり大きくない。
【0058】2.レーザショット数による グレインサ
イズの拡大及び配向性 (1)グレインサイズ 図9は、基板温度が350゜Cの場合、ショット数とグ
レインサイズとの関係を、膜厚が500オングストロー
ム、700オングストローム、1000オングストロー
ムの場合について各々測定したものであり、これらから
膜厚の相違によるグレインサイズのショット数の依存仕
方、度合いが確認できる。さらにこれら膜厚の違いが、
グレインサイズの拡大にどう影響するかを考察するため
に、XRD(X-Ray Diffraction)により配向性を調べ
た。
【0059】(2)配向性 図10は、基板温度が400゜C、非晶質シリコン膜の
膜厚が700オングストロームの場合において、レーザ
光照射のショット数に応じて(1,1,1)配向のピー
クが変わっていく、XRDの2θ/θ法によって得られ
たデータを示している。同図からわかるように、128
ショットすると(1,1,1)に完全に配向している。
【0060】図11、図12、図13は、夫々膜厚を5
00オングストローム、700オングストローム、10
00オングストロームにした場合において、基板温度を
変えた場合の(1,1,1)配向の強度を示している。
500オングストローム,700オングストロームと
も、基板温度が高い程(1,1,1)配向の強度は強
く、2000ショット程度から飽和傾向にある。一方1
000オングストロームの場合は、グレインサイズと同
様、基板温度による若干の強度の増加はあるが、ショッ
ト数に関係なく一定となっている。
【0061】図14は、基板強度350℃において 膜
厚の違いによる(1,1,1)配向の強度をまとめたも
のであり、グレインサイズと同様500オングストロー
ム、700オングストロームと、1000オングストロ
ームが、配向において歴然とした差があるのがわかる。
この原因について以下に検討する。
【0062】例えば図15に示したようなモデルを考え
てみると、膜厚が500オングストローム〜700オン
グストローム(おそらくは800オングストローム)に
おいては、レーザエネルギー180〜200mJをa−
Si薄膜に照射すると、既述したようにa−SiとSi
2の熱伝導率(W/m.k)が2桁違うため、下地S
iO2から熱が逃げにくくSiO2膜上にあるa−Si全
体が溶融して溶解状態になる。
【0063】次に冷却する時、a−Si表面は減圧度が
高い真空のため放熱しづらく、図16に示したように冷
熱がSiO2界面から図中の一点鎖線矢印の方向に伝熱
し、そのためSiO2界面から凝固する。この場合の結
晶方位は、表面エネルギーを一番小さくする方位、すな
わち(1,1,1)配向が一番安定のためなりやすい。
SiO2界面に方位が決まると融液相と結晶相の間で相
転移が生じ、結晶が上層に成長する。
【0064】更にショット数を増加させると、より安定
な(1,1,1)配向が増加し、隣接する(1,1,
1)配向のグレインとグレインとが図15、図16の往
復矢印のように結合し、グレインサイズの拡大と(1,
1,1)配向の強度の増加が生じると思われる。この場
合、基板温度の上昇は、a−Si内への熱エネルギーを
増加させるため溶融時間を長くし、それによりグレイン
サイズの拡大と(1,1,1)配向の強度の増加をもた
らす。
【0065】一方、膜厚が1000オングストロームの
場合には、a−Si表面層のみ溶融してSiO2界面層
は、a−Siに近い。冷却は、SiO2側から生じ、ま
ず溶融温度以下の熱エネルギーは、格子振動でa−Si
か、又は小さなグレインを生じさせ、上層部に行くにし
たがって熱エネルギーが大きいためグレインが大きくな
る。このため図17、図18に示したように、a−Si
表面の溶融状態で生じた大きなグレインは、下層のいく
つものグレイン上にあるため、溶融状態界面の方位が定
まりにくい。下層とのグレイン結合(Grain Boundary)
の方位が定まれば、前記の500オングストローム〜7
00オングストロームの場合と同様、融液相と結晶層の
間で相転位を行い、結晶が上層に成長する。このような
ことから、ショットの度ごとにグレイン結合位置が変わ
るため(1,1,1)配向性は、起こり難い。
【0066】前記の500オングストローム〜700オ
ングストロームの場合と同様、基板温度を上げるとa−
Si内へのエネルギーが増加し、下側方向(SiO
2側)への溶融領域が拡大する。それ故、ショットごと
冷却によるグレイン結合の位置が安定の方向に向かい、
(1,1,1)配向が増加する。
【0067】次に膜厚が500オングストロームと、7
00オングストロームとの場合において、グレインサイ
ズの大きさと(1,1,1)配向の限界値を検討する。
結晶成長速度は、 V=Vo.exp(−Ba/K・T)で与えられる。 ここで Vo ;Pre−exponential因子
(m/s) Ba;活性化エネルギー(eV) K ;熱伝導率(W/m.k) T ;絶対温度(K) である。 これを計算すると結晶成長速度Vは、0.6〜0.8m
/sとなる。基板温度を上げた場合、凝固時間が200
〜300nsecである事を考えると、最初の数ショッ
トのグレインサイズ(800〜1400オングストロー
ム)をほぼ満足する。このグレインサイズが配向性の増
加と共に結合し増大する訳である。
【0068】さらに、膜厚による配向の限界値を計算し
てみると、図19は、シリコンウエハの(1,1,1)
配向の強度を2θ/θ法により測定したものであり約2
80kcpsである。又、ランダム配向である標準パウダー
の(1,1,1)は7kcpsであり、このことからランダ
ムが(1,1,1)に完全配向する倍率は約40倍であ
る。これより500オングストローム、700オングス
トロームのランダム配向強度に上記計算倍率を掛けると
それぞれ500オングストロームは5kcps、700オン
グストロームは6kcpsとなり、4000ショット近くす
ると、配向率は80〜90%近くなる。
【0069】ところでレーザ光のパルスを断続的に照射
して照射領域の非晶質膜を溶融して、配向強度を増加さ
せて非晶質膜を多結晶化した際に、膜中に何らかの不純
物が取り込まれていると、デバイスとしては不良であり
即歩留まりの低下につながる。とりわけ、ガラス基板中
に大量に含有されているNa(ナトリウム)が膜中に析
出すると、可動イオンとなって、例えばしきい値電圧な
どに悪影響を及ぼすことになる。したがってNaの析出
について調べる必要がある。発明者らは、感度の良い二
次イオン質量分析(SIMS)法によって、試料の深さ
方向の分析を行った結果、図20のようなデータが得ら
れた。この場合の試料であるガラス基板上のSiO2
厚さは1000オングストローム、a−Siの厚さは1
000オングストロームであるから、a−Si中のNa
濃度は、最大でも、4×1016(atoms/cc)程度であ
る。したがってNaの汚染許容濃度である1×10
18(atoms/cc)を大幅に下回っており、実用上何ら支障
がないことが確認できる。
【0070】本発明によれば、非晶質膜を多結晶化する
際に、グレインサイズの拡大と(1,1,1)配向の増
加を図ることができ、例えば前記した実施例でも明らか
なように、a−Siを多結晶化した場合、クリスタルシ
リコンにより近い配向性を持たせることが可能であり、
高速な移動度(movility;[cm2/v,s])、例えば10
0[cm2/v,s]程度の移動速度を有するポリシリコンを
作ることが可能である。またさらにスループットを向上
させるためには、レーザエネルギーは大きなレーザを用
い、ビーム自体についても線状にした線状ビームを使用
すればよい。
【0071】また本発明は、既述の実施例のようにLC
D基板のみならず、イメージセンサ、プリンターヘッド
など、低コストが課題の長尺デバイスの製造に対して、
特に有効である。さらに基板自体もガラス基板のみなら
ず、セラミック基板、エポキシ樹脂基板など熱伝導率の
低い基板上に、大面積LSIを製作することが可能であ
る。
【0072】なお本発明では、レーザ光の照射方法が既
述の実施例に限定されるものではなく、例えばある照射
エネルギーで1パルスずつ島状に照射した後、これら照
射領域に対してより大きな照射エネルギーで同様に順次
照射するなどの方法を用いてもよい。またレーザ光の照
射方法は、例えば多数のレーザ光ビームが間隔をおいて
一列に並ぶように光学系を構成してこれらレーザ光ビー
ムを同時に非晶質シリコン膜に照射しこれにより多数の
島状の多結晶領域を同時に形成するようにしてもよい。
【0073】
【発明の効果】請求項1によれば、非晶質膜側を多結晶
化するにあたり、グレインサイズを拡大化して(1,
1,1)配向を増加させることができ、高い移動速度
(movility)を持った多結晶膜に変換することができ
る。
【0074】請求項2によれば、請求項1の場合よりも
さらにグレインサイズが拡大して(1,1,1)配向性
が増加する。
【0075】請求項3によれば、非晶質膜自体にダメー
ジを与えることなく、グレインサイズの拡大化と(1,
1,1)配向の増加を図ることができる。
【0076】請求項5、6では、グレインサイズが拡大
して(1,1,1)配向が増加した非晶質半導体膜を照
射領域に形成することができ、その照射領域内に駆動回
路部の少なくとも半導体素子を形成するため、照射領域
の全体が均一にかつ良好に多結晶化され、いずれの駆動
回路部もばらつき生じず、良好な品質が得られる。しか
も配向性が生ずるように多結晶化したので、既述したよ
うに、移動度が高速化した素子を形成することができ
る。
【0077】請求項7によれば、非晶質半導体膜にダメ
ージを与えることなく、多結晶化する際のグレインサイ
ズの拡大と(1,1,1)配向強度の向上とが良好に図
れ、移動度が極めて高速化した素子を有する液晶ディス
プレイ基板を製造することができる。
【0078】そして請求項4、8のように、非晶質膜、
非晶質半導体膜に非晶質シリコン膜(a−Si)を使用
した場合には、本発明によって、これをクリスタルシリ
コンに近い配向性を持った薄膜とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる液晶ディスプレイ基
板の製造方法の工程の概略を示す斜視図である。
【図2】実施例におけるレーザ光照射領域と駆動回路部
形成領域との関係を示す平面説明図である。
【図3】実施例にしたがって製造するLCD基板の駆動
回路部及び配線の一部を示す平面説明図である。
【図4】本発明の実施例に用いられるレーザアニール装
置の一例を示す縦断面図である。
【図5】本発明の実施例に用いられるレーザアニール装
置の一例の概観を示す斜視図である。
【図6】図5のレーザアニール装置のレーザ射出部の構
成を示す説明図である。
【図7】図6のレーザ射出部における光学系の構成を示
す説明図である。
【図8】図5のレーザアニール装置を用いて実験した結
果得られた、レーザエネルギーとグレインサイズとの関
係を示すグラフである。
【図9】図5のレーザアニール装置を用いて実験した結
果得られた、レーザショット数とグレインサイズとの関
係を示すグラフである。
【図10】図5のレーザアニール装置を用いて実験した
結果得られた、レーザショット数と(1,1,1)配向
のピークとの関係をXRDの2θ/θ法で得たデータに
基づいて作成した三次元グラフである。
【図11】図5のレーザアニール装置を用いて実験した
結果得られた、膜厚が500オングストロームの場合の
レーザショット数と配向強度(Intensity)との関係
を、基板温度をパラメータとした場合の様子を示すグラ
フである。
【図12】図5のレーザアニール装置を用いて実験した
結果得られた、膜厚が700オングストロームの場合の
レーザショット数と配向強度(Intensity)との関係
を、基板温度をパラメータとした場合の結果を示すグラ
フである。
【図13】図5のレーザアニール装置を用いて実験した
結果得られた、膜厚が1000オングストロームの場合
のレーザショット数と配向強度(Intensity)との関係
を、基板温度をパラメータとした場合の結果を示す示す
グラフである。
【図14】図5のレーザアニール装置を用いて実験した
結果得られた、基板温度が650゜Cにおけるレーザシ
ョット数と配向強度との関係を、膜厚をパラメータとし
た場合の結果を示すグラフである。
【図15】膜厚が500〜700オングストロームの場
合の実施例におけるグレインサイズの拡大過程を説明す
るための説明図である。
【図16】図15のA−A線断面の説明図である。
【図17】膜厚が1000オングストロームの場合の実
施例におけるグレインサイズの不拡大過程を説明するた
めの説明図である。
【図18】図14のB−B線断面の説明図である。
【図19】本発明によって得られるグレインサイズの大
きさと(1,1,1)配向の限界を説明するため、シリ
コンウエハの(1,1,1)配向強度をXRDの2θ/
θ法で得たデータに基づいて作成した三次元グラフであ
る。
【図20】実施例で多結晶化した際の、ガラス基板中の
Na(ナトリウム)の膜中への析出状態を示す、二次イ
オン質量分析(SIMS)法による測定結果を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 非晶質シリコン膜 3、40 レーザ光照射部 4 照射領域 5 駆動回路部 12 画素領域 33 真空チャンバ 34 載置台 35 排気管 37 窓 51 ターボ分子ポンプ 52 ロータリーポンプ 61 エキシマレーザ光発振源 62 ビームホモジェナイザ 68 コントローラ L 基板 M1〜M3 反射鏡 41 移動機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/336

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上の非晶質膜を多結晶化する方法で
    あって、所定の減圧雰囲気内に前記基板を位置させ、こ
    の基板上の非晶質膜に対して、レーザ光のパルスを断続
    的に照射して照射領域の非晶質膜を溶融させた後、少な
    くとも基板の非晶質膜側を減圧雰囲気にして前記基板を
    冷却させて、前記照射領域を多結晶化することを特徴と
    する、基板上の非晶質膜の多結晶化方法。
  2. 【請求項2】 基板上の非晶質膜を多結晶化する方法で
    あって、所定の減圧雰囲気内に前記基板を位置させ、前
    記基板を加熱して所定温度に維持させると共に、さらに
    この基板上の非晶質膜に対して、レーザ光のパルスを断
    続的に照射して照射領域の非晶質膜を溶融させた後、少
    なくとも基板の非晶質膜側を減圧雰囲気にして前記基板
    を冷却させて、前記照射領域を多結晶化することを特徴
    とする、基板上の非晶質膜の多結晶化方法。
  3. 【請求項3】 非晶質膜の厚さを800オングストロー
    ム以下、レーザ光の照射出力を150mmJ〜280mmJ
    としたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の基板
    上の非晶質膜の多結晶化方法。
  4. 【請求項4】 非晶質膜は、非晶質シリコン膜(a−S
    i)であることを特徴とする、請求項1、2又は3に記
    載の基板上の非晶質膜の多結晶化方法。
  5. 【請求項5】 基板上に、画素領域内に配置された複数
    のスイッチング素子と、このスイッチング素子を駆動す
    る複数の駆動回路部とを備えた液晶ディスプレイ基板を
    製造する方法において、前記基板上に非晶質半導体膜を
    成膜する工程と、前記非晶質半導体膜にレーザ光のパル
    スを断続的に照射して、この照射領域を多結晶化して非
    晶質半導体膜に配向性を持った多結晶島状領域を形成す
    る工程と、前記多結晶島状領域内に、この領域の多結晶
    を半導体領域とする駆動回路部を形成する工程と、非晶
    質半導体膜の一部を半導体領域とし、前記駆動回路部に
    電気的に接続したスイッチング素子を画素領域内に形成
    する工程と、を具備することを特徴とする、液晶ディス
    プレイ基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 基板上に、画素領域内に配置されたスイ
    ッチング素子と、このスイッチング素子を駆動するシフ
    トレジスタとを備えた液晶ディスプレイ基板を製造する
    方法において、前記基板上に非晶質半導体膜を成膜する
    工程と、前記非晶質半導体膜に対して複数の島状にレー
    ザ光のパルスを照射してこの非晶質半導体膜を配向性を
    持たせて多結晶化する工程と、前記レーザ光のパルスの
    照射領域内に前記シフトレジスタを分割して生成する工
    程と、これら分割されたシフトレジスタ間、及びシフト
    レジスタとスイッチング素子とを電気的に接続するため
    の配線層を形成する工程とを含み、前記シフトレジスタ
    の少なくともトランジスタは、レーザ光のパルスの照射
    領域内に配置されていることを特徴とする、液晶ディス
    プレイ基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記非晶質半導体膜の厚さを300〜8
    00オングストローム、レーザ光の照射出力を150mm
    J〜280mmJとしたことを特徴とする、請求項5又は
    6に記載の液晶ディスプレイ基板の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記非晶質半導体膜は、非晶質シリコン
    膜(a−Si)であることを特徴とする、請求項5、6
    又は7に記載の基板上の非晶質膜の多結晶化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008521247A (ja) * 2004-11-18 2008-06-19 ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニヴァーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク 結晶方位制御ポリシリコン膜を生成するためのシステム及び方法

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JP2008521247A (ja) * 2004-11-18 2008-06-19 ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニヴァーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク 結晶方位制御ポリシリコン膜を生成するためのシステム及び方法

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