JPH08213341A - レーザーアニール方法およびレーザー光の照射方法 - Google Patents
レーザーアニール方法およびレーザー光の照射方法Info
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- JPH08213341A JPH08213341A JP7037705A JP3770595A JPH08213341A JP H08213341 A JPH08213341 A JP H08213341A JP 7037705 A JP7037705 A JP 7037705A JP 3770595 A JP3770595 A JP 3770595A JP H08213341 A JPH08213341 A JP H08213341A
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Abstract
晶化技術において、結晶化の向上と作業効率の向上を計
る。 【構成】 正規分布またはそれに準ずるビームプロフ
ァイルを有する線状のパルスレーザービームを照射して
非晶質珪素膜を結晶化する際に、線状のレーザービーム
が一部重なるようにして照射を行うことで、段階的にレ
ーザー照射パワーを増加させていき、さらに徐々にレー
ザー照射パワーを下げていった場合と同様の効果を得る
こができる。
Description
して行われるようなアニールを大面積にわたって均一
に、かつ効率的に行う技術に関する。また、本明細書で
開示する発明は、特定の領域に対して、徐々に照射エネ
ルギー密度を変化させてレーザー光を照射する場合にお
いて、作業効率を低下させない技術に関する。
して盛んに研究が進められている。その大きな理由は、
安価で加工性に富んだガラス等の絶縁基板上に半導体素
子を形成する必要が生じたからである。その他にも素子
の微小化や素子の多層化に伴う要請もある。
技術は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置を構成
するパネルを作製するために必要とされる。これは、ガ
ラス基板上に薄膜トランジスタを数百×数百以上のマト
リクス状に配置する構成である。ガラス基板は、600
℃程度以上の温度に長時間曝された場合、変形や縮が顕
著に表れてしまうので、薄膜トランジスタの作製工程に
おける加熱温度は、なるべく低い温度とすることが求め
られる。
を得るためには、薄膜半導体として、結晶性を有する半
導体を用いる必要がある。
マCVD法や500℃程度による減圧熱CVD法によっ
て成膜された非晶質半導体膜を加熱処理によって結晶化
させる技術が知られている。この加熱処理は、600℃
以上の温度雰囲気下に試料を数時間以上の間放置するこ
とによって行われる。例えば、この加熱処理工程の温度
が600℃の場合、その処理に要する時間としては、1
0時間以上が必要とされる。一般的に600℃の温度で
10時間以上の時間にわたりガラス基板を加熱すると、
基板には変形(歪み)や縮が顕著に表れてしまう。薄膜
トランジスタを構成する薄膜半導体は、その厚さが数百
Å、その大きさが数μm〜数十μm程度であるので、基
板の変形は、動作不良の原因や電気特性のバラツキ等の
要因となってしまう。特に基板を大面積化(対角20イ
ンチ以上)した場合にこの基板の変形や縮が大きな問題
となる。
あれば、数時間の処理時間で結晶化を行うことができる
が、一般のガラス基板は1000℃程度の温度には短時
間であっても耐えることができない。
の加熱処理を行うことができ、良好な結晶性を有する結
晶性珪素膜を得ることができる。しかし、特に大面積の
石英基板は高価であり、今後大型化が要求される液晶表
示装置に利用することは経済性の観点から困難である。
タの作製に際するプロセスの低温化が要求されている。
このプロセスの低温化を実現する技術として、レーザー
光の照射によってアニールを行う手法が知られている。
このレーザー光の照射技術は究極の低温プロセスと注目
されている。レーザー光は熱アニールに匹敵する高いエ
ネルギーを必要とされる箇所にのみ限定して与えること
ができ、基板全体を高い温度にさらす必要がない。従っ
て、基板としてガラス基板を用いることができる。
技術は、レーザー光の照射エネルギーが一定しないとい
う問題がある。この問題は、必要以上のエネルギーを照
射できる装置を用い、その出力を減光装置等で絞って用
いることで解決することができる。しかし、装置の大型
化に従うコストの増加という問題は残る。
光の照射によるアニール技術は、基板としてガラスを基
板として利用できるという意味で非常に有用なものであ
る。
けて以下の2つの方法がある。第1の方法はアルゴンイ
オン・レーザー等の連続発振レーザーを用いたものであ
り、スポット状のビームを半導体材料に照射する方法で
ある。これはビーム内部でのエネルギー分布の差、およ
びビームの移動によって、半導体材料が溶融した後、緩
やかに凝固することによって半導体材料を結晶化させる
方法である。
パルス発振レーザーを用いて、大エネルギーレーザーパ
ルスを半導体材料に照射し、半導体材料を瞬間的に溶融
させ、凝固させることによって半導体材料を結晶化させ
る方法である。
ことであった。これは連続発振レーザーの最大エネルギ
ーが限られたものであるため、ビームスポットのサイズ
がせいぜいmm角単位となるためである。これに対し、
第2の方法ではレーザーの最大エネルギーは非常に大き
く、したがって、数cm2 以上の大きなスポットを用い
て、より量産性を上げることができる。
くは長方形の形状のビームでは、1枚の大きな面積の基
板を処理するには、ビームを上下左右に移動させる必要
があり、量産性の面で依然として改善する余地がある。
変形し、ビームの幅を処理すべき基板を越える長さと
し、このビームを走査することによって、大きく改善す
ることができる。
レーザー照射効果の均一性である。この均一性を高める
ために以下のような工夫が行われる。1つの工夫として
は、ビームの分布の形状をスリットを介すことにより、
矩形にできるだけ近づけて、線状ビーム内のばらつきを
小さくする方法である。上記技術において、さらに不均
一性を緩和するには、強いパルスレーザー光の照射(以
下本照射と呼ぶ)の前に、それよりも弱いパルスレーザ
ー光の予備的な照射(以下予備照射と呼ぶ)を行うと均
一性が向上する。この効果は非常に高く、半導体デバイ
スの特性を著しく向上させることができる。
るのは、非晶質部分を多く含んだ半導体材料の膜は、レ
ーザーエネルギーの吸収率が多結晶膜とかなり異なるよ
うな性質を有しているからである。例えば一般的な非晶
質珪素膜(a−Si膜)は、内部に20〜30原子%程
度の水素を含有しており、いきなり強いエネルギーを有
するレーザー光を照射すると、内部から水素が噴出し
て、その表面は数十Å〜数百Åの凹凸を有する荒れたも
のとなってしまう。薄膜トランジスタに利用される薄膜
半導体は、その厚さが数百Å程度であるので、表面が数
十Å〜数百Åの凹凸を有することは、その電気的特性の
バラツキ等の大きな原因となる。
最初の弱い予備照射によって、ある程度の水素が脱離
し、次の本照射によって、結晶化が行われるというプロ
セスが進行する。ここで、予備照射においては、その照
射エネルギーがそれ程大きくないので、水素の急激な吹
き出しによる膜表面の荒れはあまり問題とならない。
効果の均一性をかなり向上させることができる。しかし
ながら、上述のような2段階照射法を用いると、レーザ
ー処理時間が倍になるので、スループットが低下してし
まう。また、レーザーがパルスレーザーであるので、本
照射と予備照射とのレーザーの重なり方によって、レー
ザーアニールの効果に若干の違いが生じてしまう。この
違いは、数十μm角程度の大きさを有する薄膜トランジ
スタの特性に大きな影響を与える。
術(各種材料の変質やレーザーエネルギーを与えること
による処理技術)において、所定の領域において、複数
回に渡ってレーザー光の照射エネルギーを変化させて照
射したい場合がある。例えば、上述の珪素膜に対するア
ニール技術はその一つである。
レーザー光を複数回に分けて照射する手法が採られてい
た。しかし、レーザー光の照射を複数回に分けるのは、
処理時間がその回数倍になるので、作業効率の大幅な低
下を招いてしまう。また、特定の照射領域に対して、複
数回に分けてレーザー光を照射することは、レーザー光
が照射される領域のズレの問題が生じやすく、技術的に
困難な場合、あるいは高コストな技術が必要とされる場
合があり、実用的ではなかった。
明では、レーザー光の照射に際するアニール効果の不均
一性の問題を解決することを課題とする。また、レーザ
ー光の照射に際しての経済性を改善することすることを
課題とする。
では、線状レーザービームの分布を工夫することによっ
て、上述のような問題を解決する。即ち、本明細書で開
示する発明では線状レーザービームの分布を例えば正規
分布のような形にする。このようなエネルギー分布を持
ったレーザービームを半導体材料上で走査しながら照射
する。すると、前述した予備照射と本照射とを行なうレ
ーザー照射方法で、予備照射の弱いレーザーエネルギー
の役割を上述したエネルギー分布(正規分布)の山の中
腹から裾の部分が果たしてくれるので、1回のレーザー
照射で2段階、あるいは多段階のレーザー照射を行った
場合と同様の効果を得ることができる。
めには、特定の条件を満たした上でレーザー光の照射を
行うことが好ましい。以下にその条件を列挙する。 (1)被照射対象として、厚さ150〜1000Åの珪
素膜とする。 (2)幅Lの正規分布またはそれに準ずるビームプロフ
ァイル(ビーム形状)を有した1秒間当たりの発振数が
N回のパルス発振の線状のレーザー光を用いる。 (3)正規分布を有した方向に速度Vでレーザービーム
を被照射面に対して走査しながら照射する。 (4)1パルス当たりの平均のエネルギー密度を100
〜500mJ/cm2 とする。 (5)10≦(LN/V)≦30を満たした条件でレー
ザー光を照射する。
Åの珪素膜を被照射対象としているのは、実験的に珪素
膜を対象したアニールにおいて、その厚さが150Å以
下の場合は、成膜の均一性やアニール効果の均一性、さ
らには再現性の点で問題があること、さらに1000Å
以上の厚さを有する場合は、レーザー光の大出力化が要
求され現実的ではなく、また薄膜トランジスタに利用さ
れる結晶性珪素膜の厚さとしてそのような厚さは必要さ
れないこと、による。
〜500mJ/cm2 とするのは、実験的に、厚さ10
00Å以下の珪素膜に対するレーザーアニールにおいて
は、100〜500mJ/cm2 のエネルギー密度でレ
ーザー光を照射することが効果的であることが判明して
いるからである。なお、このエネルギー密度というの
は、正規分布またはそれに相似な形状を有するビームプ
ロファイルの頂上部分の値として定義される。
ラメータは、その幅方向のエネルギー密度の分布が正規
分布または正規分布に準ずる(または正規分布と見なせ
る)ビームプロファイルを有する線状のパルスレーザー
光を1回走査した場合において、特定の1箇所の線状の
領域に照射されるパルスの回数を示すものである。
それぞれ説明する。本明細書で開示する発明の一つは、
線状に加工されたパルスで、パルスレーザーを1方向に
ずらしながら照射する工程で、被照射物のある一点に着
目したとき、該パルスレーザーがその一点に複数回照射
されるようレーザービームを一部重ねて打つことを特徴
とする。
ームが重なるように照射することで、特定の領域に複数
回に渡って、レーザー光が照射することを特徴とする。
ザービームの照射方法であって、前記レーザービームは
その幅方向において正規分布または正規分布に似たエネ
ルギー分布を有しており、前記レーザービームはパルス
発振方式のレーザーであって、前記レーザービームは被
照射領域に対してその幅方向に移動しながら照射され、
前記レーザービームはその一部が重ねられて照射され、
前記レーザービームの移動しながらの照射に際して、被
照射領域の一点に対して10回〜30回のパルスが照射
されることを特徴とする。
0Åの珪素膜に対するレーザー光の照射方法であって、
前記レーザー光は、幅Lの正規分布またはそれに準ずる
ビームプロファイルを有した線状ビームであり、前記レ
ーザー光は、1秒間当たりの発振数がN回のパルス発振
のレーザー光であって、前記レーザー光は、その幅方向
に速度Vで走査されながら照射され、前記レーザー光
は、1パルス当たりの平均のエネルギー密度が100〜
500mJ/cm2 であって、前記レーザー光は、10
≦(LN/V)≦30を満たした条件で照射されること
を特徴とする。
0Åの珪素膜に対するレーザー光の照射方法であって、
前記レーザー光は、幅Lの線状ビームであり、かつその
幅方向に連続的または段階的にエネルギー密度が変化し
たビームプロファイルを有し、前記レーザー光は、1秒
間当たりの発振数がN回のパルス発振のレーザー光であ
って、前記レーザー光は、その幅方向に速度Vで走査さ
れながら照射され、前記レーザー光は、1パルス当たり
の平均のエネルギー密度が100〜500mJ/cm2
であって、前記レーザー光は、10≦(LN/V)≦3
0を満たした条件で照射されることを特徴とする。
照射エネルギー密度を変化させてレーザー光を複数回に
渡って照射する方法であって、所定の方向に照射エネル
ギー密度が長さLに渡り連続的あるいは段階的に変化し
たビームプロファイルを有するレーザー光を用い、前記
レーザー光は、1秒間当たりの発振数がN回のパルス発
振のレーザー光であって、前記レーザー光は、前記所定
の方向に速度Vで走査されながら照射され、前記レーザ
ー光の1回の走査において、前記所定の領域に照射され
るレーザーパルスの回数をnとして、前記レーザー光
は、n=LN/Vを満たした条件で照射されることを特
徴とする。
て、徐々にエネルギー密度の変化したレーザー光をn回
照射することができる。また、上記構成においては、レ
ーザービームの照射エネルギープロファイルは、正規分
布に限定されるものではない、例えば、階段状に段階的
にエネルギー密度が変化したビーム形状でもよい。また
三角状のようなエネルギープロファイルを有したもので
もよい。
有した線状のレーザービームを、ある条件を満たした上
でその幅方向に走査させながら照射すると、最初エネル
ギー分布の裾の部分の弱いエネルギーが照射され、徐々
に強いエネルギーが照射されていく。そして、ある一定
の値の照射が行われた後、徐々に照射エネルギーは弱く
なっていき、照射は終了する。
規分布を有している線状のパルスレーザービームを用
い、ビームの幅をL、1秒当たりの発振数をN、走査速
度をVとして、LN/V=15とした場合、レーザービ
ームの1回の走査で、線状の1か所の領域に15回のパ
ルスが照射されることなる。この15回の照射は、正規
分布を15分割したものに相当するエネルギー密度で次
々と照射される。例えば特定の線状の領域(この線状の
領域の幅はかなり狭いものとなる)には、図4に示すよ
うなE1 〜E15のエネルギー密度を有したパルスレーザ
ー光が次々と照射されることとなる。この際、E1 〜E
8 のレーザーパルスは、照射されていくにつれて徐々に
その照射エネルギー密度が増加していく、そしてE8 〜
E15レーザーパルスは、照射されていくにつれて徐々に
その照射エネルギー密度が減少していく。
に強いエネルギーの照射とし、さらに徐々に照射エネル
ギーを弱めていくプロセスは、珪素膜の表面を荒らすこ
とを抑制しつつ、所定のアニール効果を得ることができ
る。また、複数回に分けてレーザー光を照射するのでは
なく、走査しながらの1回のレーザー照射によって、所
定の効果を得ることができるので、高い作業効率を得る
ことができる。
たレーザービームを用いることにより、多段階的にエネ
ルギーを変化させて照射した場合と同様な効果を得るこ
とができる。そしてこのような作用は、珪素膜に対する
アニール効果以外においても同様にいえることである。
いる。レーザー光を非晶質状態もしくは結晶性を有する
状態の珪素膜または珪素化合物膜に照射することにより
この膜の結晶性を高める過程で、膜表面の均質性が低下
する傾向がみられる。その低下を極力抑さえ、かつレー
ザー照射の処理時間を前記〔従来技術〕に記したレーザ
ーの2段階照射における場合よりも短縮し、かつ同程度
以上の効果を得ることができる例を以下に示す。
施例で使用するレーザーアニール装置の概念図を示す。
このレーザーアニール装置の主要な構成は台1上に配置
されている。レーザー光は発振器2で発振される。発振
器2で発振されるレーザー光は、KrFエキシマレーザ
ー(波長248nm、パルス幅25ns)である。勿
論、他のエキシマレーザーさらには他の方式のパルスレ
ーザーを用いることもできる。
射ミラー5、6を経由して増幅器3で増幅され、さらに
全反射ミラー7、8を経由して光学系4に導入される。
ームは、3×2cm2 程度の長方形であるが、光学系4に
よって、長さ10〜30cm、幅0.1 〜1cm程度の細長
いビーム(線状ビーム)に加工される。この線状のレー
ザービームは、図3に示すようにその幅方向にほぼ正規
分布を有したビームプロファイルを有している。この光
学系4を経たレーザー光のエネルギーは最大で1000
mJ/ショットである。
工するのは、加工性を向上させるためである。即ち、線
状のビームは光学系4を出た後、全反射ミラー9を経
て、試料11に照射される。ここで、ビームの幅は試料
11の幅よりも長いので、試料を1方向に移動させるこ
とで、試料全体に対してレーザー光を照射することがで
きる。従って、試料のステージ及び駆動装置10は構造
が簡単で保守も用意である。また、試料をセットする際
の位置合わせの操作(アラインメント)も容易である。
0はコンピュータにより制御されており線状のレーザー
光に対して直角方向に動くよう設計されている。さら
に、基板を置くテーブルがそのテーブル面内で回転する
機能をつけておくとレーザービームの走査方向の変更に
便利である。又、ステージ10の下にはヒーターが内臓
されており、レーザー光の照射時に試料を所定の温度に
保つことができる。
学系4に入射したレーザー光はシリンドリカル凹レンズ
A、シリンドリカル凸レンズB、横方向のフライアイレ
ンズC、Dを通過し、さらにシリンドリカル凸レンズ
E、Fを通過してミラーG(図1ではミラー9に相当)
を介して、シリンドリカルレンズHによって集束され、
試料に照射される。レンズHを照射面に対して相対的に
上下させることによって、照射面上でのレーザービーム
の分布の形状を矩形に近いものから正規分布に近いもの
まで変形させることができる。図2における全反射ミラ
ーGが図1における全反射ミラー9に相当する。従っ
て、実際には全反射ミラー9と試料11との間には、レ
ンズHが配置されている。
レーザー光の照射によって、ガラス基板上に結晶性を有
する珪素膜を形成する例を示す。まず、10cm角のガ
ラス基板(例えばコーニング7059ガラス基板または
コーニング1737ガラス基板)を用意する。そしてこ
のガラス基板上に、TEOSを原料としたプラズマCV
D法により、酸化珪素膜を2000Åの厚さに形成す
る。この酸化珪素膜は、ガラス基板側から不純物が半導
体膜に拡散したりするのを防止する下地膜として機能す
る。
法により、非晶質珪素膜(アモルファスシリコン膜)の
成膜を行う。ここでは、プラズマCVD法を用いるが、
減圧熱CVD法を用いるのでもよい。なお、非晶質珪素
膜の厚さは、500Åとする。またレーザー光の照射に
よるアニールを施し、結晶性珪素膜を得る場合には、出
発としての非晶質珪素膜は、その厚さを1000Å以下
とすることが望ましい。これは、1000Å以上の膜厚
があると、所定のアニール効果が得られないからであ
る。
質珪素膜を得ることができる。次に図1に示す装置を用
い、KrFエキシマレーザー(波長248nm、パルス
幅25ns)を前記結晶性を有する珪素膜に照射する。
このレーザー光の照射によって、結晶性珪素膜を得るこ
とができる。
用いて線状の形状に整形し、被照射部分でのビーム面積
は125mm×1mmとする。なお、線状レーザーのビ
ームプロファイルが正規分布状である関係上ビームの端
が不明瞭となっている。よって、ここではビームプロフ
ァイル中、最大エネルギーの5%以上のエネルギーを持
つ部分をビームと定義する。
り、ステージを2mm/s速度で移動させることによっ
て、その全面に照射が行われる。レーザー光の照射条件
は、レーザー光のエネルギー密度を300mJ/cm2
とし、パルス数(1秒間当たりのパルス発振数)を30パ
ルス/sとする。なお、ここでいうエネルギー密度とは正
規分布に近い形に作られたビームの山の頂上部分の密度
を指す。
-3(m/s)、N=30(1/S)、L=1×10
-3(m)となるので、(LN/V)=15となり、本明
細書で開示する条件を満たす。
と、試料のある一点(線状の領域)に着目した場合、レ
ーザー照射は15段階照射になる。この15段階のパル
スの各エネルギー密度は、図4に示す正規分布の各エネ
ルギー密度E1 〜E15に相当する。上記の条件で線状の
レーザー光が照射されると、エネルギー密度E1 〜E15
のレーザーパルスが次々と125mm×1mmの線状の
領域に照射される。
射される様子を図3に示す。例えばAで示される線状に
領域に注目すると、まず正規分布の裾の部分に相当する
弱いエネルギー密度のパルスから徐々にエネルギー密度
の大きいパルスが照射されていくことが分かる。またB
で示される線状に領域に注目すると、正規分布の頂上の
エネルギー密度の最大のレーザーパルスが照射された
後、徐々にエネルギー密度の小さいパルスが照射されて
いくことが分かる。
示される値が、10〜30の場合に最もよい結晶性珪素
膜が得られることが判明している。即ち、線状の所定の
領域に10〜30回の照射が行われるようにすること
が、珪素膜の結晶化を行う際には、最適なことが判明し
ている。なお照射されるレーザービームのエネルギー密
度は100〜500mJ/cm2 の範囲、好ましくは3
00〜400mJ/cm2 の範囲とすることがよい。
200℃に保たれている。これは、レーザー光の照射に
よる基板表面温度の上昇と下降の速度を和らげるために
行われる。一般に環境の急激な変化は物質の均一性を損
なわれることが知られているが、基板温度を高く保つこ
とでレーザー照射による基板表面の均一性の劣化を極力
抑えている。本実施例では基板温度を200度に設定し
ているが、実際の実施では100度から600度までの
間でレーザーアニールに最適な温度を選ぶ。また雰囲気
制御は特に行わず、大気中で照射を行うことができる。
熱により結晶化が成された結晶性珪素膜に対してレーザ
ー光を照射し、その結晶性と均質性をさらに向上させる
例を示す。本発明者らの研究によると、珪素の結晶化を
助長する金属元素を用いることにより、550℃、4時
間程度の加熱処理によって、結晶性珪素膜が得られるこ
とが判明している。この技術は、特開平6─23205
9号公報、特開平6─244103号公報に記載されて
いる。
積のガラス基板であっても歪み等がそれほど問題となら
い温度範囲において結晶性珪素膜を得ることができる。
そして、この結晶性珪素膜を用いて薄膜トランジスタを
作製することで、従来の非晶質珪素膜を用いた薄膜トラ
ンジスタに比較して飛躍的に特性の向上したものを得る
ことができる。具体的には、非晶質珪素膜を用いた薄膜
トランジスタでは、その移動度が1(cm2 /Vs)以
下であるが、上記金属元素の利用による結晶化技術を利
用すると、数十(cm2 /Vs)以上の移動度を有する
薄膜トランジスタを得ることができる。
珪素膜中には、非晶質成分が多く残存していることが電
子顕微鏡写真による観察やラマン分光法による観察から
明らかになっている。そしてこの残存した非晶質成分を
レーザー光の照射によって結晶化させることによって、
得られる薄膜トランジスタの特性をさらに高めることが
できることが判明している。
工程を示す。まずガラス基板上に下地膜とした酸化珪素
膜を2000Åの厚さに成膜する。次にプラズマCVD
法で非晶質珪素膜を500Åの厚さに成膜する。そして
ニッケル酢酸塩溶液を非晶質珪素膜の表面にスピンコー
タを用いて塗布する。このニッケル酢酸塩溶液中のニッ
ケル元素の濃度は、最終的に珪素膜中に残存するニッケ
ル元素の濃度が1×1016〜5×1019cm-3となるよ
うに調整する。これは、この濃度範囲以上となると、金
属シリサイドとしての性質が表れてしまい。また、この
濃度範囲以下であると、結晶化を助長する効果が得られ
ないからである。なお、このニッケル元素の濃度は、S
IMS(2次イオン分析法)による測定の最大値として
定義される。
は、ニッケルを用いることがその再現性や効果の点で一
番有用である。しかし、他にFe、Co、Ru、Rh、
Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Auから選ばれた一種
または複数種類の元素を用いることができる。特にFe
やCuやPd、さらにPtは、十分実用になる効果を得
ることができる。
て保持させた状態としたら、次に窒素雰囲気中におい
て、450℃の温度で1時間保持することにより、非晶
質珪素膜中の水素を離脱させる。この加熱処理は、非晶
質珪素膜中に不対結合手を意図的に形成することによ
り、後の結晶化に際してのしきい値エネルギーを下げる
ためである。
接して保持された状態において、加熱処理を行い、非晶
質珪素膜を結晶性珪素膜に変成する。この加熱処理工程
は、550℃、4時間の条件で行う。この加熱処理は5
00℃以上の温度で行うことができるが、ガラス基板の
歪点以下の温度とすることが重要である。
ることができる。そして、実施例1に示したのと同様な
方法および条件により、レーザー光を照射する。このレ
ーザー光の照射工程で、さらに結晶性とその均一性が助
長された結晶性珪素膜を得ることができる。なお、レー
ザー光のエネルギー密度は、実施例1の場合に比較した
20%〜50%程高くした方が、より高い効果を得られ
ることが実験により判明している。
る金属元素を用いて加熱により得られた結晶性珪素膜に
対して、さらにレーザー光を照射して、その結晶性を向
上させる技術は、加熱のみ、あるいはレーザー光の照射
のみによって、得られた結晶性珪素膜に比較して、その
結晶性の良さや均一性、さらに生産性に優れたものを得
るとができる。
加熱により結晶化された結晶性珪素膜に対して、普通の
方法でレーザー光を照射した場合、当該金属元素の偏析
や部分的な凝集等の現象が見られてしまう。このような
当該金属元素の偏析や部分的な凝集は、トラップセンタ
ーとなるので、半導体デバイスに利用する場合、その電
気的な特性が大きく低下する要因となる。しかし、本明
細書に開示するレーザー光の照射方法を採用した場合、
そのような現象が見られない。これは、徐々に弱いレー
ザーエネルギーを段階的に与えることによって、当該金
属元素の偏析や部分的な凝集が行うことを抑制すること
ができるためである。
技術によって、量産性を向上させ、半導体デバイスとな
るべき膜の均一性を高めることができる。本明細書で開
示する発明は半導体デバイスのプロセスに利用される全
てのレーザー処理プロセスに利用できるが、中でも半導
体デバイスとして薄膜トランジスタの作製プロセスに利
用する場合、その特性の高さと均一性を良さを得ること
ができる。また、所定の領域に照射エネルギー密度の異
なるレーザー光を多段階に渡って照射する場合、レーザ
ービームの重なりがずれてしまうことがない状態でレー
ザー照射を行うことができる。このことは、半導体デバ
イスを作製する場合には、素子の特性の均一性という点
で大きな効果を有する。
のエネルギー密度を複数回の照射において徐々に変化さ
せる工程において、本明細書で開示した構成を利用する
ことで、その作業効率を大きく向上させることができ
る。即ち、従来のように複数回に分けて異なるエネルギ
ー密度のレーザービームを照射することなく、1回のレ
ーザービームの走査しながらの照射によって、段階的に
照射エネルギー密度を変化させてレーザー光を照射した
場合と同様の効果を得ることができる。
す。
示す。
て照射した場合の状態を示す。
プロファイルの概要を示す。
Claims (6)
- 【請求項1】線状に加工されたパルスで、パルスレーザ
ーを1方向にずらしながら照射する工程で、被照射物の
ある一点に着目したとき、該パルスレーザーがその一点
に複数回照射されるようレーザービームを一部重ねて打
つことを特徴とするレーザーアニール方法。 - 【請求項2】線状に加工されたレーザービームの照射方
法であって、 前記レーザービームはその幅方向において正規分布また
は正規分布に似たエネルギー分布を有しており、 前記レーザービームはパルス発振方式のレーザーであっ
て、 前記レーザービームは被照射領域に対してその幅方向に
移動しながら照射され、 前記レーザービームはその一部が重ねられて照射され、 前記レーザービームの移動しながらの照射に際して、被
照射領域の一点に対して10回〜30回のパルスが照射
されることを特徴とするレーザーアニール方法。 - 【請求項3】厚さ150Å〜1000Åの珪素膜に対す
るレーザー光の照射方法であって、 前記レーザー光は、幅Lの正規分布またはそれに準ずる
ビームプロファイルを有した線状ビームであり、 前記レーザー光は、1秒間当たりの発振数がN回のパル
ス発振のレーザー光であって、 前記レーザー光は、その幅方向に速度Vで走査されなが
ら照射され、 前記レーザー光は、1パルス当たりの平均のエネルギー
密度が100〜500mJ/cm2 であって、 前記レーザー光は、10≦(LN/V)≦30を満たし
た条件で照射されることを特徴とするレーザーアーニル
方法。 - 【請求項4】厚さ150Å〜1000Åの珪素膜に対す
るレーザー光の照射方法であって、 前記レーザー光は、幅Lの線状ビームであり、かつその
幅方向に連続的または段階的にエネルギー密度が変化し
たビームプロファイルを有し、 前記レーザー光は、1秒間当たりの発振数がN回のパル
ス発振のレーザー光であって、 前記レーザー光は、その幅方向に速度Vで走査されなが
ら照射され、 前記レーザー光は、1パルス当たりの平均のエネルギー
密度が100〜500mJ/cm2 であって、 前記レーザー光は、10≦(LN/V)≦30を満たし
た条件で照射されることを特徴とするレーザーアーニル
方法。 - 【請求項5】請求項3または請求項4において、 珪素膜中には、珪素の結晶化を助長する金属元素が1×
1016〜5×1019原子cm-3の濃度で含まれているこ
とを特徴とするレーザーアニール方法。 - 【請求項6】所定の領域に段階的に照射エネルギー密度
を変化させてレーザー光を複数回に渡って照射する方法
であって、 所定の方向に照射エネルギー密度が長さLに渡り連続的
あるいは段階的に変化したビームプロファイルを有する
レーザー光を用い、 前記レーザー光は、1秒間当たりの発振数がN回のパル
ス発振のレーザー光であって、 前記レーザー光は、前記所定の方向に速度Vで走査され
ながら照射され、 前記レーザー光の1回の走査において、前記所定の領域
に照射されるレーザーパルスの回数をnとして、前記レ
ーザー光は、n=LN/Vを満たした条件で照射される
ことを特徴とするレーザー照射方法。
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