JPH0726992A - 内燃機関の弁動作タイミング調整装置 - Google Patents

内燃機関の弁動作タイミング調整装置

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JPH0726992A
JPH0726992A JP17148293A JP17148293A JPH0726992A JP H0726992 A JPH0726992 A JP H0726992A JP 17148293 A JP17148293 A JP 17148293A JP 17148293 A JP17148293 A JP 17148293A JP H0726992 A JPH0726992 A JP H0726992A
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JP
Japan
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camshaft
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valve
phase difference
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Application number
JP17148293A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Ikeda
広 池田
Katsuhiko Kawai
勝彦 川合
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構成で且つ、遅角オフセット値をモニ
ターする事によって正確な弁動作タイミング調整を実行
でき弁動作タイミング調整装置を提供する。 【構成】 被制御装置80に於けるクランク軸2及びカ
ム軸5との間の回転位相差を所定の値に設定する為、目
標値r(k)が出力され、係る出力に基づいて規範モデ
ル出力y M (k)が決定されると、係る規範モデル出力値
y M (k)と弁装置の回転位相差y (k)との偏差より、遅
角オフセット値drを学習手段で学習しながら、被制御
対象装置の最適制御入力値を設定する様に構成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関における吸気
弁、排気弁の動作タイミングを変えるための弁動作タイ
ミング調整装置に関するものであり、更に詳しくは、カ
ム軸の駆動制御系に学習効果を採用することによって高
精度な制御を行うことの出来る弁動作タイミング調整装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の運転条件に応じて吸気弁開閉
タイミングを可変制御する機構として、クランクシャフ
トに同期して回転するカムプーリーに対するカムシャフ
トの回転位相を変更するようにしたバルブタイミング調
整装置が知られている。例えば特開平1−134010
号公報に開示されるように、内燃機関の吸気弁の開閉タ
イミング(バルブタイミング)を変更させるための油圧
サーボ弁を備えたタイミング変更手段を設け、さらに、
このサーボ弁のスプールを油圧シリンダによって駆動す
る流体圧駆動手段を設けるものが知られている。
【0003】そして、この従来技術では、上記流体圧駆
動手段に備えられる2つの開閉弁を開、閉制御し、サー
ボ弁を一定の速度で移動させることにより、タイミング
変更手段においてバルブタイミングを変化させている。
このように従来技術では、タイミング変更手段と流体圧
駆動手段とに、それぞれ油圧系が必要であるため構造が
複雑である。さらに、上記従来技術では、2つの開閉弁
によって油圧の供給を断続するだけであるため、微小な
移動量の制御や、サーボ弁の移動速度の制御が困難であ
り、バルブタイミングを微小量だけ変化させる制御や、
所望の速度で変化させることができず、より正確な制御
ができないという問題点があった。
【0004】そこで、開閉弁ではなく、開度を調節する
ことにより油量を調節できる弁を用い、バルブタイミン
グを所望の速度で変化させることが考えられる。しか
し、このような弁を使用すると、弁の製造ばらつき、弁
からの油漏れ等により、弁の駆動信号とバルブタイミン
グの変化とが正確に一致しないおそれがある。例えば、
バルブタイミングをそのままの状態に保持できないと
か、バルブタイミングの変化が得られないといった不具
合がある。かかる問題を解決するため本願発明者等は先
に高い精度のフィードバック制御を行うことを目的とし
て制御系の油の流量の立ち上り点即ち進角デューティ値
と遅角デューティ値を正確に学習することの必要性を知
得て、クランク軸とカム軸との相対回転角を検出して前
記相対回転角によって油圧ピストンの作動状態を検出
し、油圧ピストンを所定の作動状態とする前記駆動手段
の駆動信号を学習し、この学習値に基づき適宜の制御手
段において算出される駆動信号を補正する学習手段を採
用したものである。
【0005】然しながら、上記した方法においては、ア
イドル時にデューティ値をゆっくり操作している間のカ
ム軸進角値の動きをモニタすることにより、進角デュー
ティ値と遅角デューティ値を学習するようにして対応し
ているものであるため、学習作業を繰り返し行う必要が
あり、また、学習値算出に時間がかかり学習の機会が少
ない等の問題点があった。特に、遅角オフセット値の学
習の場合、ゆっくり遅角側へカム軸位置が変化している
最中に、カム軸進角値の変化を検出するため、高い精度
で検出できるか疑問であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の技術上の欠点を改良し、装置全体の構造を簡単にでき
るとともに、開度調節に応じて油量調節できる弁を使用
しても弁の製造上のばらつき等の影響なく正確にバルブ
タイミングを制御することのできるバルブタイミング調
整装置を提供するとともに、学習値算出が短時間で済
み、アイドル以外の制御実行中にも学習でき、遅角オフ
セット値の学習に際しても高精度な学習効果が得られる
ような弁動作タイミング調整装置を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的を
達成するため、以下に記載されたような技術構成を採用
するものである。即ち、本発明に係る弁動作タイミング
調整装置としては、基本的には、クランク軸、前記クラ
ンク軸の一部から駆動力を受けて回転するカム軸と、前
記クランク軸と前記カム軸との間、若しくは前記カム軸
の近傍に、前記カム軸の軸方向に移動可能に配置され、
前記クランク軸と前記カム軸との回転位相を変化させる
油圧ピストンと、前記油圧ピストン17に供給される油
量を調節する弁装置と、適宜の駆動信号に応じて、前記
弁の開度を調節する駆動手段と前記クランク軸と前記カ
ム軸との相対回転位相差を検出する回転位相差検出手
段、及び前記弁装置を含む被制御対象装置とからなる弁
動作タイミング調整装置に於いて、前記クランク軸若し
くはカム軸の回転情報に応じて前記クランク軸と前記カ
ム軸との回転位相差を所定値に設定する為、目標となる
前記クランク軸と前記カム軸との回転位相差を示す目標
値設定手段、前記目標値設定手段の出力に応答して、望
ましい回転位相差を設定する規範モデル出力設定手段、
前記規範モデル出力設定手段の出力と前記被制御対象装
置の相対回転位相差とから、前記カム軸に於ける回転操
作量に於ける少なくとも進角オフセット値若しくは遅角
オフセット値の何れか一方を逐次更新する学習手段、前
記被制御対象装置の前記相対回転位相差と前記目標値設
定手段との出力偏差値を演算する出力偏差値演算手段、
及び出力偏差値演算手段及び前記学習手段の各出力値か
ら、前記被制御対象装置への最適制御入力値を設定する
最適制御手段とから構成されている弁動作タイミング調
整装置である。更には、前記進角オフセット値、または
遅角オフセット値は 前記前記被制御対象装置から出力
される相対回転位相差が、前記規範モデル出力設定手段
の出力に接近若しくは近似する方向に変化する様に更新
される様に更に構成された弁動作タイミング調整装置で
ある。
【0008】
【作用】以上に述べた本発明の弁動作タイミング調整装
置の構成によると、最適駆動制御手段によって弁の開度
が調節されると、この開度に応じた油量が油圧通路に連
通する油圧室へ供給される。そして、油圧ピストンはこ
の油量に応じて軸方向に移動するため、カム軸とクラン
ク軸との相対回転角は変化する。
【0009】更に本発明においては、被制御装置に於け
る弁装置の現在の駆動状態を適宜のセンサが検知して、
前記した様にクランク軸及びカム軸との間の回転位相差
を所定値に設定する為、前記した目標値設定手段が目標
となる回転位相差を出力し、その出力に基づいて、本発
明に於いて特に定義される規範モデル出力設定手段に於
いて望ましい回転位相差を設定する規範モデル出力値が
出力される。
【0010】次いで、前記規範モデル出力設定手段の出
力値と前記被制御対象装置に於ける相対回転位相差とか
ら、前記カム軸に関する回転操作量に於ける少なくとも
進角オフセット値若しくは遅角オフセット値の何れか一
方を逐次更新しながら、他方では、前記被制御対象装置
の相対回転位相差と前記目標値設定手段との出力偏差値
を求め、前記学習されている少なくとも進角オフセット
値若しくは遅角オフセット値を参照して前記被制御対象
装置への最適制御入力値を設定する様に構成されている
ものである。
【0011】
【実施例】以下、本発明を適用した弁動作タイミング調
整装置の一実施例を図面に基づいて説明する。図1は、
本発明に係る弁動作タイミング調整装置85を被制御対
象装置80である内燃機関1に適用した場合の例を示し
ており特に内燃機関1の吸排気弁を制御するクランク軸
とカム軸間の位相差を調整する調整機構40とそれを直
接操作する油圧シリンダー系統70で構成される制御系
に適用した例を示すものである。
【0012】図1は、ダブルオーバーヘッドカム式内燃
機関に本発明を適用した実施例を示す概略図であり、図
2は、弁動作タイミング調整装置におけるクランク軸と
カム軸との回転位相差を変化させる位相差調整機構40
の断面図である。内燃機関1では、クランクシャフト2
からの動力を伝達するタイミングチェーン3によって一
対のスプロケット13a,13bを介して一対のカムシ
ャフト4,5が駆動される。
【0013】そして、カムシャフト5には、上記した位
相差調整機構40が設けられている。また、クランクシ
ャフト2には、クランク位置検出センサ42が取り付け
られ、カムシャフト5には、カムシャフト位置検出セン
サ44が取り付けられる。ここで、クランク位置検出セ
ンサ42からのパルス数が、クランクシャフト2が1回
転するとN個発生するとき、カムシャフト位置検出セン
サ44からのパルス数が、カムシャフト5が1回転する
と2N個発生するようにする。また、カムシャフト5の
タイミング変換角最大値をθmaxクランク角とする
と、N<360度/θmaxとなるようパルス数Nを設
定する。これによって、後述の相対回転角θを算出する
ときに、クランク位置検出センサ42のパルスと、この
パルスの次に連続して発生するカムシャフト位置検出セ
ンサ44のパルスとを使用することができる。
【0014】このクランク位置検出センサ42およびカ
ムシャフト位置検出センサ44からの信号は制御手段4
6に入力される。この信号の他に内燃機関1の冷却水温
信号、スロットル開度信号等が入力され、制御手段46
のマイクロプロセッサが、これらの信号を基にクランク
シャフト2に対するカムシャフト5の目標相対回転角θ
aを演算する。そして、制御手段46で演算された駆動
信号を電磁アクチュエータである後述のリニアソレノイ
ド64へ入力し、後述の弁装置であるスプール弁30を
駆動する。そして、このスプール弁(弁装置)30を駆
動することによって、オイルパン28からオイルポンプ
29によって圧送され、位相差調整機構40へ供給され
るオイルの油量を調整する。
【0015】以下、この位相差調整機構40の構成を説
明する。図2において、カムシャフト5の端部には、カ
ムシャフト5と一体に回転するようにピン12とボルト
10とによって固定された略円筒形のカムシャフトスリ
ーブ11が設けられている。また、このカムシャフトス
リーブ11の外周面の一部には、外歯ヘリカルスプライ
ン11aが形成されている。さらに、カムシャフトスリ
ーブ11には、シリンダヘッド25にボルト24で取り
付けられるハウジング23の内部に突出する円筒部11
bが設けられている。
【0016】また、スプロケット13aは、カムシャフ
ト5とカムシャフトスリーブ11との間に挟まれて支持
され、軸方向の移動は阻止されているがカムシャフト5
に対して相対回転可能となっている。そして、スプロケ
ット13aの図2左側には、略円筒形のクランク軸側部
材であるスプロケットスリーブ15がピン14とボルト
16とによってスプロケット13aと一体に回転するよ
う固定されている。また、このスプロケットスリーブ1
5には、ハウジング23の内部に上記カムシャフトスリ
ーブ11を覆うように突出した円筒部15bが設けられ
ている。そして、この突出した円筒部15bの内周面の
一部に内歯ヘリカルスプライン15aが形成されてい
る。この内歯ヘリカルスプライン15aは、上記外歯ヘ
リカルスプライン11aとは逆方向のねじれ角を有する
ように形成されている。なお、外歯ヘリカルスプライン
11aまたは内歯ヘリカルスプライン15aのいずれか
一方は、ねじれ角をゼロとして、軸方向に平行な直線歯
を有するスプラインとしてもよい。
【0017】そして、カムシャフトスリーブ11の円筒
部11bと、スプロケットスリーブ15の円筒部15b
との隙間の一部には、軸方向に略一様な断面を有する環
状の空間90が形成され、その空間90内で軸方向に液
密状態を保って摺動することができるように、略円筒形
状の油圧ピストン17が挿入される。この油圧ピストン
17の内面の一部には、カムシャフトスリーブ11の外
歯ヘリカルスプライン11aと噛み合う内歯ヘリカルス
プライン17aが形成されていると共に、外面の一部に
はスプロケットスリーブ15の内歯ヘリカルスプライン
15aと噛み合う外歯ヘリカルスプライン17bが形成
されている。上記スプライン同士の噛み合いにより、図
1に示すタイミングチェーンを介してスプロケット13
aに伝達されるクランクシャフト2の回転は、スプロケ
ットスリーブ15、油圧ピストン17、カムシャフトス
リーブ11を経てカムシャフト5に伝達される。また、
油圧ピストン17の左側端部に形成されるつば部の外周
には、オイルシール70が備えられている。このオイル
シール70は、スプロケットスリーブ15の円筒部15
bの内周面と接触するように設けられる。
【0018】この空間90内に、油圧ピストン17が設
けられることによって、空間90は2つの室に分割され
る。これによって、油圧ピストン17の左側に進角側油
圧室22が形成され、右側に遅角側油圧室32が形成さ
れる。そして、上記オイルシール70によって、油圧室
22と23との間のシール性が確保される。また、スプ
ロケットスリーブ15の図中左側開口端には、エンドプ
レート50が取り付けられている。このエンドプレート
50には、円筒部と、その円筒部の図中右側端部に形成
され、スプロケットスリーブ15の上記開口端に取り付
けられるつば部とが備えられる。また、エンドプレート
50の円筒部の外周には溝が設けられ、この溝にオイル
シール71が保持される。
【0019】そして、エンドプレート50とカムシャフ
トスリーブ11との左側端部には、ノックピン53によ
ってハウジング23に固定される環状のリングプレート
51が設けられている。このリングプレート51は、コ
字状断面に形成され、エンドプレート50の円筒部と、
カムシャフトスリーブ11の円筒部11bとを内部に回
転可能に収容する。また、リングプレート51の内側円
筒部の外周には溝が設けられ、この溝にオイルシール7
2が保持される。このオイルシール72はリングプレー
ト51とカムシャフトスリーブ11との間のシール性を
確保する。一方、上記オイルシール71はエンドプレー
ト50とリングプレート51との間のシール性を確保す
る。これによって、進角側油圧室22内のシール性は確
保される。
【0020】リングプレート51の中心の開口と、ハウ
ジング23の開口とには、ボルト52が取り付けられて
いる。このボルト52が取り付けられると、カムシャフ
トスリーブ11の内周と、カムシャフト5との間に空間
91が形成される。また、ボルト52の内部には、この
空間91に連通する断面T字形の油圧通路61bが形成
される。さらに、ボルト52の外周には環状溝が形成さ
れており、この油圧通路61bの半径方向の両端が連通
する。
【0021】また、ハウジング23には、上記ボルト5
2の環状溝と連通する油圧通路61aが形成されてい
る。この油圧通路61aは、断面T字形の油圧通路61
bを介して、空間91に連通し、この空間91からカム
シャフトスリーブ11に形成される油圧通路61cを通
じて上記遅角側油圧室32に連通する。さらに、ハウジ
ング23には、上記進角側油圧室22に連通する油圧通
路60が形成されている。上記油圧通路61aおよび6
0は、ハウジング23に形成され、後述の弁装置である
スプール弁30を収容する空間部95に開口している。
また、この空間部95には、内燃機関1のオイルパン2
8からオイルポンプ29によって圧送されるオイルを供
給する油圧供給路65が開口し、オイルパン28にオイ
ルを戻す油圧開放路66が開口する。
【0022】以下、弁装置30の構成を図3に基づいて
説明する。なお、図3(a),(b),(c)は、油圧
通路を切り替えるときの弁装置30の断面図であり、そ
の動作は後述する。空間部95に収容される弁装置30
のシリンダ30aには、上記油圧通路61aと連通する
油圧ポート30bと、油圧通路60と連通する油圧ポー
ト30cとが設けられる。また、油圧供給路65と連通
する吸入ポート30dおよび油圧開放路66と連通する
吐出ポート30e,30fが設けられる。そして、シリ
ンダ30a内には、内部を摺動可能に移動し、上記ポー
トの連通を切り替えるスプール31が挿入されている。
このスプール31の図中右側にはスプール31を図中左
方向へ付勢するスプリング31aが設けられている。さ
らに、スプール31の図中左側には、電磁アクチュエー
タとして作用するリニアソレノイド64が設けられる。
このリニアソレノイド64に発生する電磁力によって、
スプール31はスプリング31aの付勢力に抗して図中
右側へ移動する。
【0023】以下、油圧系統300における弁装置30
内のスプール31の移動による油圧通路切り替えの動作
を説明する。図3(a)に示すように、スプール31が
右側に移動するとき、吸入ポート30dと油圧ポート3
0cとが開き、油圧供給路65と油圧通路60とが連通
する。このため、オイルポンプ29からの油圧は進角側
油圧室22に供給される。同時に、吐出ポート30eと
油圧ポート30bとが開き、油圧通路61aと油圧開放
路66とが連通する。このため、遅角側油圧室32の油
圧は開放される。これによって、油圧ピストン17は右
方向へ移動するため、スプロケット13aすなわちクラ
ンクシャフト2に対しカムシャフト5が相対的に進角す
る。
【0024】図3(b)に示すように、スプール31が
中央にあるときは、油圧ポート30b,30cが共に閉
じるため、油圧室22,32からのオイルの漏れがない
場合、油圧ピストン17の位置が保持され、スプロケッ
ト13とカムシャフト5との回転位相は変化しない。次
に、図3(c)に示すように、スプール31が左側に移
動するとき、吸入ポート30dと油圧ポート30bとが
開き、油圧供給路65と油圧通路61aとが連通するた
め、オイルポンプ29からの油圧は遅角側油圧室32に
供給される。一方、吐出ポート30fと油圧ポート30
cとが開き、油圧通路60と油圧開放路66とが連通す
る。このため、進角側油圧室22の油圧は開放される。
これによって、油圧ピストン17は左方向に移動するた
め、スプロケット13aすなわちクランクシャフト2に
対してカムシャフト5が相対的に遅角する。
【0025】次に、本発明に係る弁動作タイミング調整
装置85の具体的な構成の例を図4を参照しながら詳細
に説明する。即ち、図4は、本発明に於ける弁動作タイ
ミング調整装置85の一具体例の構成を示すブロックダ
イアグラムであり、図中、クランク軸2、前記クランク
軸2の一部から駆動力を受けて回転するカム軸5と、前
記クランク軸2と前記カム軸5との間、若しくは前記カ
ム軸5の近傍に、前記カム軸5の軸方向に移動可能に配
置され、前記クランク軸2と前記カム軸5との回転位相
を変化させる油圧ピストン17と、前記油圧ピストン1
7に供給される油量を調節する弁装置30と、適宜の駆
動信号に応じて、前記弁30の開度を調節するリニアソ
レノイド64と前記クランク軸2と前記カム軸5との相
対回転位相差を検出する回転位相差検出手段88、及び
前記弁装置30を含む被制御対象装置80とからなる弁
動作タイミング調整装置85に於いて、前記クランク軸
2若しくはカム軸5の回転情報に応じて前記クランク軸
2と前記カム軸5との回転位相差を所定値に設定する
為、目標となる前記クランク軸2と前記カム軸5との相
対回転位相差を示す目標値設定手段200、前記目標値
設定手段200の出力に応答して、望ましい回転位相差
を設定する規範モデル出力設定手段201、前記規範モ
デル出力設定手段201の出力と回転位相差検出手段8
8より検出された前記被制御対象装置80の相対回転位
相差とから、前記カム軸5の回転操作量に於ける少なく
とも進角オフセット値若しくは遅角オフセット値の何れ
か一方を逐次更新する学習手段202、前記被制御対象
装置80の相対回転位相差と前記目標値設定手段200
との出力偏差値を演算する出力偏差値演算手段204、
及び出力偏差値演算手段204及び前記学習手段202
の各出力値から、前記被制御対象装置80への最適制御
入力値を設定する最適制御手段205、前記最適制御入
力値を電流値に変換する電流制御回路206、とから構
成されている弁動作タイミング調整装置85が示されて
いる。
【0026】最適制御手段205は、最適制御入力とし
てデュ−ティ値を算出する。電流制御回路206は、前
記弁装置30のリニアソレノイド64にデュ−ディ値に
応じた電流値を印加し、それにより弁装置30の弁が変
位して油の流量が変化し、係る変化に応答した所定の量
のクランク軸とカム軸の相対位相差の速度を変化させ、
その積分結果によって、カム軸位置が決定されるもので
ある。
【0027】次に本発明において使用される規範モデル
出力設定手段201について説明する。即ち本発明にお
ける規範モデルは、制御仕様(例えば、ステップ状の目
標値に出力が一致するまでの時間)を満足するような望
ましい入出力関係を表している。具体的には、規範モデ
ルは、例えば次式様に表される。
【0028】即ち、 yM (k+1)=a1 ・yM (k)+a0 r(k−3) (1) で表現した。a1 ,a0 は、サンプルk個時の目標出力
値r(k)をステップ状に動かした時、yM (k)が例
えば400msec程度で収束するように決定された適宜の
定数であり、又a0 r(k−3)は制御対象におけるむ
だ時間をサンプル3個分とした時の補正値である。ただ
し、本具体例における制御対象は、図6に示すようにカ
ム軸進角速度が飽和しているため、 規範モデルの出力値yM (k)は制限される。
【0029】次に、本発明に於ける前記規範モデル出力
設定手段201の出力演算手順を図7に示すフローチャ
ートを参照しながら説明する。即ち、スタート後、ステ
ップ(1)に於いて、前記した演算式に基づいて、前回
のサンプリング時に於ける出力値y M (k-1)とそれより
4回前のサンプリング時に於ける目標回転操作量設定手
段200に出力値r(k-4)の情報を用いて、規範モデル出
力値y M (k)を算出し、ステップ(2)に進んで、サン
プリングk に於ける前記規範モデル出力値y M (k)とサ
ンプリングk-1 に於ける前記規範モデル出力値y M (k-
1)との偏差edを演算し、ステップ(3)に於いて、
前記偏差値edが、進角側の最大進角速度をspaとす
ると、1サンプリング中に於ける最大の進角値を示すs
pa×0.02の値より大きいか否かが判断され、YESで
あれば、ステップ(4)に進んで、前回のサンプリング
時に於ける出力値y M (k-1)に前記した1サンプリング
中に於ける最大の進角値spa×0.02を加算して規範モ
デル出力値y M (k)としてかかる規範モデル出力値y M
(k)を更新してステップ(5)に進む。
【0030】一方、ステップ(3)に於いてNOであれ
ば、直接ステップ(5)に進んで、前記した偏差ed
が、遅角側の最大進角速度をsprとすると、1サンプ
リング中に於ける遅角側の最大の進角値を示すspr×
0.02の値より小さいか否かが判断され、YESであれ
ば、ステップ(6)に進んで、前回のサンプリング時に
於ける出力値出力値y M (k-1)に前記した1サンプリン
グ中に於ける遅角側の最大の遅角値spr×0.02を加算
して規範モデル出力値y M (k)としてかかる規範モデル
出力値y M (k)を更新してステップ(7)に進む。
【0031】一方、ステップ(5)に於いてNOであれ
ば、直接ステップ(7)に進んで、前記した今回出力さ
れた規範モデル出力値y M (k)を前回のサンプリング時
に於ける出力値y M (k-1)として更新し格納処理するも
のである。従って規範モデルの出力yM と制御対象系の
現在の出力yとの差を用いて弁動作タイミング調整装置
内で進角オフセット・遅角オフセットを更新するが最終
的にyがyM と等しくなるように逐次それ等が更新され
ていく。この時、進角オフセット又は遅角オフセットは
間接的に学習されたことになる(つまり、規範モデルの
応答とほとんど同じ応答を制御対象が示すように、設定
されるのである)。さらに、制御対象のむだ時間が変動
しても、yがyM となるようにオフセット値が更新され
ていく。
【0032】次に本における弁動作タイミング調整装置
の制御動作について具体的に説明する。図5は本発明に
おける制御対象のデューティ値とカム軸進角速度の間の
静特性の1例を示す図であり、傾きKの点線で線形近似
を行うものであり、かかる近似操作においては、制御対
象のモデルは
【0033】
【数1】
【0034】と表される。ここでKは積分定数でありL
はむだ時間(秒)であり、例えば60msec程度が考えら
れる。次に本発明における制御動作を最適レギュレータ
を応用した場合を例にとって説明をする。今(2)式を
あるサンプリング周期で離散化すると、
【0035】
【数2】
【0036】となる。ここでLdはむだ時間L(秒)に
相当するサンプル数を表わす。ここで、kサンプル時の
出力をy(k)、kサンプル時の入力をu(k)とする
と、(3)式は y(k+1)=y(k)+b・u(k−Ld) (4) となる。目標値をr(k)とすると、制御偏差e(k)
は e(k)=r(k)−y(k) となり、r(k)が一定と仮定すると、 y(k+1)−y(k)=e(k)−e(k+1)=b・u(k−Ld) e(k+1)−e(k)=−b・u(k−Ld) (5) となる。状態変数ベクトルX(k)を XT(k)=〔e(k)u(k−1)u(k−2)…u(k−Ld)〕 とおくと、状態方程式は
【0037】
【数3】
【0038】となる。ここで、
【0039】
【数4】
【0040】である。
【0041】
【数5】
【0042】を導入しこれを最小にするフィードバック
ゲインFを求めると、
【0043】
【数6】
【0044】で求められる。ここで、Pは以下のリカッ
チ方程式の解である。
【0045】
【数7】
【0046】これによって本発明における調整装置85
における制御系の出力u0 は u0 (k)=FX(k)=〔f0 1 …fLd〕X(k) (6) で与えられる。実際には、Lb=3、サンプリング周期
=20msec程度に設定しておき進角させたい場合には進
角オフセットデューティ値を基準に、遅角させたい場合
には遅角オフセットデューティ値を基準に操作させるの
で、上記式(6)は過去のサンプリングkにより得られ
た操作量u0 (k)は u0 (k)=f0 ・e(k)+f1 ・u0 (k−1)+f2 ・u0 (k−2) +f3 ・u0 (k−3) (7) のように示され、従って最新の操作量u(k)は次式
(8)のように示される。
【0047】 u(k)=u0 (k)+offset (8)
【0048】
【数8】
【0049】次に、本発明に係る弁動作タイミング調整
装置85に於ける弁動作タイミング調整操作手順に付い
て、図7のフローチャートを参照しながら詳細に説明す
る。スタート後、ステップ(1)に於いて、各種センサ
から予め定められた所定の信号を読み取る。かかる各種
センサとしては、例えば、図4に示される様な回転位相
差検出手段88からの情報の他に、図2に示す様な、ク
ランク軸位置、カム軸位置、水温、スロットルセンサ情
報等がある。
【0050】ステップ(2)に於いては、係る各種の制
御情報を基にして、目標値設定手段200に於いて目標
値r(k)を演算して出力する。次いでステップ(3)
に進み、本発明に於いて規定される上記した規範モデル
を用いて、前記の規範モデル出力設定手段201に於い
て規範モデル出力値y M(k)を演算して出力する。
【0051】次いで、ステップ(4)に進み、上記した
規範モデル出力値y M (k)の変化を基にして、以下に示
す様に遅角オフセット値drを絶えず学習して、最適な
設定条件を求め続ける事になる。次に前記遅角オフセッ
ト値drを演算して求めその値を学習する方法に付いて
図8を参照しながら説明する。
【0052】即ち、本発明に於ける遅角オフセット値d
rの演算に関する基本的原則は、以下の通りである。即
【0053】
【数9】
【0054】である。ここで、drは遅角オフセット値
であり、gは定数である。又v1 とv 2 は図5で示すよ
うな範囲であり、非線形要素の影響を受けにくい線形で
あるとみなせる範囲に設定する。これは、実際の制御対
象には飽和・不感帯などの非線形要素がある一方で、規
範モデルは線形であり、前者の非線形性の影響を少なく
するには線形とみなせる範囲でyM とyを比較する必要
があるからである。その理由としては、デュ−ティ値u
(k)=0(%)付近の飽和領域では、すでにデュ−テ
ィ値の変化に対する減量の変化が飽和しているため、遅
角オフセット値のばらつきの影響が出にくいという理由
と上記の規範モデルには、最大進角速度による飽和要素
が考慮されているが、最大進角速度の設定値に対して実
際の最大進角速度はばらつく可能性があるため誤学習の
恐れがあるという理由とがある。以上の2つの理由よ
り、飽和領域とみなせる、つまり線形範囲外では学習を
禁止する必要がある。
【0055】また、数式9においてu0 (k−3)を用
いるのは、むだ時間を考慮しているからである。図8の
フローチャートに於いて、スタート後、ステップ(1)
に於いて、遅角オフセット値drの初期値を読み込む。
かかる操作は、遅角オフセット値drの更新を始める時
に一度だけ実行すれば良い。
【0056】或いは、かかる遅角オフセット値drの初
期値を水温やエンジン回転数のマップを予め用意してお
いて、係るマップより各条件に対応する初期値を選択す
る様にしても良い。次いでステップ(2)に進み、3回
前のサンプリング時に於ける操作出力値u0 (k-3)がv1
<u0 (k-3)<v2を満足するか否かを判断し、NOであ
れば、その時点で本フローチャートによるルーチンを終
了し、YESであれば、ステップ(3)に進んで、遅角
オフセット値drとg・(y M (k)−y (k))(だだし
gは正の定数)を加算してその値を新しい遅角オフセッ
ト値drとして更新する操作を行いENDになる。
【0057】尚、係るフローチャートに於いて、遅角オ
フセット値に関する学習結果を不揮発性メモリ(RA
M)等に格納しておき、次回の初期値として用いる事も
可能である。また、u(k)の代りにu0 (k)を用い
てyM とyを比較することは、以下の点で重要である。
つまり図9に示すように学習が進行するにつれ、つま
り、遅角オフセット値drが更新されるにつれ、図9の
(A)から図9の(B)に変化することになるので線形
領域での学習頻度が多くなり、遅角オフセット値drの
学習精度向上に結びつく。一方、u(k)を用いた場合
には、学習される範囲が絶対的なデューティ値で定義さ
れるので、遅角オフセット値drが更新されても学習範
囲は固定されたままである。従って、実際の特性のばら
つき方によっては、非線形性の影響が大きい部分で学習
する可能性がある。これは、誤学習につながる。
【0058】また、上記演算式中においてv2 =0とす
ると、定常時に誤学習してしまう恐れがあるので、具体
的にはv2 =−1(%)とした。つまり、本発明に於け
る遅角オフセット値drの演算に於いては、目標値が一
定値の時で、進角オフセット値daが完全に学習されて
いない条件では、出力値u(k)の値から、遅角オフセ
ット値drと進角オフセット値daとが、頻繁に交互に
切り換えられる事になる。
【0059】この時、前記遅角オフセット値drを更新
しても、この状態は解消されず、従って、既に正しい遅
角オフセット値drが学習されている時には、誤学習さ
れてしまうことになる。図10(A)及び図10(B)
に本発明に於ける遅角オフセット値drを学習した場合
の効果の例が示されている。
【0060】つまり、図10(A)には、本発明に於け
る被制御装置80のカム軸進角値(CA)の目標値r
(k)がグラフPで示されており、前記被制御装置80
に於けるカム軸進角値(CA)の実際の出力値y(k)
がグラフ0で示されいる。一方、前記被制御装置80に
於けるカム軸進角値(CA)の規範モデル出力値y
M (k)がグラフQで示されいる。
【0061】又、図10(B)に於いては、前記遅角オ
フセット値の真値を約35%と設定した場合に、当初に
於ける前記遅角オフセット値drの測定値が32%で有
った場合を想定し、各サンプリング時に前記遅角オフセ
ット値drが学習されて、サンプリング3回目に於い
て、前記遅角オフセット値の出力値が真値である約35
%になった場合を示したものであり、図10(A)のグ
ラフQとグラフOとを比較すると、前記被制御装置80
に於けるカム軸進角値(CA)の実際の出力値y(k)
が前記被制御装置80に於けるカム軸進角値(CA)の
規範モデル出力値yM (k)に一致する様に修正されて
いる事が判る。此処で、再び図7に示すフローチャート
に戻って本発明に於ける弁動作タイミング調整装置の調
整操作の説明を続ける。
【0062】ステップ(4)に於いて、上記した様な方
法により、遅角オフセット値drの学習が行われている
間に、ステップ(5)に進み、前記被制御対象装置80
の現在の出力値y (k)と前記目標回転操作量設定手段2
00の出力値r(k)との出力偏差値e(k)、即ちe
(k)=r(k)−y (k)を出力偏差値演算手段204
で演算させ、ステップ(6)に進んで以下に説明するス
テップ(6)〜ステップ(10)の各工程が実行され
る。
【0063】先ず、ステップ(6)に於いては、上記し
た出力偏差値e(k)及び、3回前迄のサンプリング時
のそれぞれに於ける出力値u0 (k-1) 、u0 (k-2) 、u
0 (k-3) を用いて次式に示される様な過去のサンプリン
グ回数に対応するカム軸の操作量u0 (k)を演算によ
り求める。 u0 (k) =f0 ・e(k)+f1 ・u0 (k-1)+f2 ・u0 (k-
2)+f3 ・u0 (k-3) 此処で、f0 、f1 、f2 、f3 は、それぞれの変化要
因に対するフィ−ドバックゲインを示している。
【0064】ステップ(7)に進んで、前記で演算され
た操作量u0 (k)が、0より大きいか否かが判断さ
れ、YESであれば、ステップ(8)に進んで、上記に
より得られた操作量u0 (k)に所定の進角オフセット
値daを加算して、今回のサンプリングにより進角制御
する為の操作量u(k)を演算する。そしてステップ
(9)に進んで、ステップ(8)に於いて得られた操作
量u(k)の値が100(%)を越える場合には、その
操作量u(k)を100と設定してステップ(10)に
進む。
【0065】一方、ステップ(7)に於いてNOである
場合には、ステップ(11)に進んで、上記により得ら
れた操作量u0 (k)に所定の遅角オフセット値drを
加算して、今回のサンプリングにより進角制御する為の
操作量u(k)を演算する。そしてステップ(12)に
進んで、ステップ(11)に於いて得られた操作量u
(k)の値が0(%)以下となる場合には、その操作量
u(k)を0と設定してステップ(10)に進む。
【0066】ステップ(10)では、今回のサンプリン
グにより進角制御する為の操作量u(k)が出力された
後、前記各サンプリング時に関して演算された各操作量
が、所定の記憶手段に格納されているその一つ前のサン
プリング時に演算された各操作量と置換されて更新され
るものである、つまり、本具体例に於いては、過去3回
分のサンプリング時の情報を記憶しておき、その情報を
活用するものであるから、絶えず過去3回分のサンプリ
ング時に於いて演算され、記憶されている操作出力値u
0 (k) 、u0 (k-1) 、u0 (k-2) のそれぞれが、次のサ
ンプリング時に於いて、u0 (k-1) 、u0 (k-2) 、u0
(k-3) の様に更新されるものである。
【0067】上記した具体例に於いては、前記学習手段
は、前記カム軸に於ける回転操作量に於ける遅角オフセ
ット値を演算して、それを学習するものである本発明に
於いては進角オフセット値を学習する事も可能である。
又、本発明に於いては、前記進角オフセット値または、
遅角オフセット値は前記被制御対象装置から出力される
現在の出力値が、前記規範モデル出力設定手段の出力に
接近若しくは近似する方向に変化する様に更新されるも
のである事が望ましい。
【0068】以上、遅角オフセット値drだけのばらつ
きについて述べてきたが、現実問題として制御対象のむ
だ時間もばらつく場合がある。適応制御理論をそのまま
適用する場合、むだ時間のばらつきは大きな障害であ
る。しかし、本発明の場合、制御系の安定性が損われる
ことなく遅角オフセット値drを学習できた。本発明に
おける具体例としてコントローラはむだ時間=60msec
で設計し、制御対象のむだ時間が約40msecの場合の調
整結果を図11(A),11(B)に示す。遅角オフセ
ット値drの初期値=35(%)(真値とほぼ等しい)
と設定した。最初、被制御対象装置の実際の出力y
(k)の立上りは規範モデルの出力yM (k)に比較し
て早いが、その収束は遅くなっている。しかし、遅角オ
フセットdrの学習が進むにつれ、遅角オフセットが約
33%に変更されると収束時間が改善され規範モデルの
出力グラフQと実際の出力グラフOとはほぼ一致してく
る。この具体例において遅角オフセット値drの学習と
いう点から見れば、33%という値に近づけることによ
り最終的に更新された値は“誤学習”であるが、出力値
y(k)の応答が規範モデル出力値yM (k)の応答に
近くなるように遅角オフセット値drは更新された、と
考えることができる。尚、以上に述べた実施例では、遅
角オフセットdrの学習についてのみ説明したが、進角
側の進角オフセット値daも学習することが望ましい。
また、進角オフセット値daの学習にあたっては、上記
した遅角オフセット値drの学習手法と同様の手法を採
用できる。また、進角オフセット値のみを従来の手法に
より学習してもよい。
【0069】
【発明の効果】本発明に係る弁動作タイミング調整装置
は、上記したような技術構成を採用しているので、簡単
な構成で且つ、遅角オフセット値をモニターする事によ
って正確な弁動作タイミング調整を実行でき、更には、
アイドル期間以外でも必要な学習を行う事が可能である
から、より構成度の弁動作タイミング調整を行う事がで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかる弁動作タイミング調整
装置の一具体例の構成の概要を説明する図である。
【図2】図2は、本発明にかかる弁動作タイミング調整
装置に於ける回転位相調整機構の一具体例の構成を示す
断面図である。
【図3】図3は、本発明に於いて使用される弁装置の動
作状態を説明する断面図である。
【図4】図4は、本発明にかかる弁動作タイミング調整
装置の構成例を示すブロックダイアグラムである。
【図5】図5は、本発明に於ける被制御装置のデュ−テ
ィ値とカム軸進角速度との間の静特性を示す図である。
【図6】図6は、本発明に於いて使用される規範モデル
出力設定手段に於ける規範モデル出力値演算処理手順の
例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明に係る弁動作タイミング調整装
置の操作手順の具体例を説明するフローチャートであ
る。
【図8】図8は、本発明に於いて、遅角オフセット値d
rを演算する場合の演算処理例を示すフローチャートで
ある。
【図9】図9は、本発明に係る弁動作タイミング調整装
置を用いて得られる効果の例を説明するグラフである。
【図10】図10は、本発明に係る弁動作タイミング調
整装置を用いて調整操作した場合の効果を説明するグラ
フである。
【図11】図11は、本発明に係る弁動作タイミング調
整装置を用いて調整操作した場合の他の効果を説明する
グラフである。
【符号の説明】
1…内燃機関 2…クランク軸 5…カム軸 17…油圧ピストン 30…弁装置 42…クランク位置センサ 44…カム軸位置センサ 46…弁動作タイミング調整手段 64…リニアソレノイド 80…被制御装置 85…弁動作タイミング調整装置 87…被制御装置の制御手段 88…回転位相差検出手段 200…目標回転操作量設定手段 201…規範モデル出力設定手段 202…遅角オフセット値学習手段 204…出力偏差値演算手段 205…最適制御手段 206…電流制御回路 300…油圧系統

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランク軸、前記クランク軸の一部から
    駆動力を受けて回転するカム軸と、前記クランク軸と前
    記カム軸との間、若しくは前記カム軸の近傍に、前記カ
    ム軸の軸方向に移動可能に配置され、前記クランク軸と
    前記カム軸との回転位相を変化させる油圧ピストンと、
    前記油圧ピストン17に供給される油量を調節する弁装
    置と、適宜の駆動信号に応じて、前記弁の開度を調節す
    る駆動手段と前記クランク軸と前記カム軸との相対回転
    位相差を検出する回転位相差検出手段、及び前記弁装置
    を含む被制御対象装置とからなる弁動作タイミング調整
    装置に於いて、前記クランク軸若しくはカム軸の回転情
    報に応じて前記クランク軸と前記カム軸との回転位相差
    を所定値に設定する為、目標となる.前記クランク軸と
    前記カム軸との相対回転位相差を示す目標値設定手段、
    前記目標値設定手段の出力に応答して、望ましい回転位
    相差を設定する規範モデル出力設定手段、前記規範モデ
    ル出力設定手段の出力と回転位相差検出手段より検出さ
    れた前記相対回転位相差とから、前記カム軸に於ける回
    転操作量に於ける少なくとも進角オフセット値若しくは
    遅角オフセット値の何れか一方を逐次更新する学習手
    段、前記被制御対象装置の前記相対回転位相差と前記目
    標値との出力偏差値を演算する出力偏差値演算手段、及
    び出力偏差値演算手段及び前記学習手段の各出力値か
    ら、前記被制御対象装置への最適制御入力値を設定する
    最適制御手段とから構成されている事を特徴とする弁動
    作タイミング調整装置。
  2. 【請求項2】 前記進角オフセット値、または遅角オフ
    セット値は、前記被制御対象装置から出力される相対回
    転位相差が、前記規範モデル出力設定手段の出力に接近
    若しくは近似する方向に変化する様に更新されるもので
    ある事を特徴とする請求項1記載の弁動作タイミング調
    整装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007107539A (ja) * 2001-07-18 2007-04-26 Denso Corp 制御装置
KR100755616B1 (ko) * 2005-09-07 2007-09-06 미쓰비시덴키 가부시키가이샤 내연 기관 제어 장치
JP2009138642A (ja) * 2007-12-06 2009-06-25 Toyota Motor Corp 可変動弁制御装置
JP2009257229A (ja) * 2008-04-17 2009-11-05 Denso Corp バルブタイミング制御装置及びバルブタイミング制御システム
US8225763B2 (en) 2007-01-19 2012-07-24 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Hydraulic actuator control device and hydraulic actuator control method

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