JPH0711980A - 内燃機関の弁動作タイミング調整装置 - Google Patents

内燃機関の弁動作タイミング調整装置

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JPH0711980A
JPH0711980A JP15558393A JP15558393A JPH0711980A JP H0711980 A JPH0711980 A JP H0711980A JP 15558393 A JP15558393 A JP 15558393A JP 15558393 A JP15558393 A JP 15558393A JP H0711980 A JPH0711980 A JP H0711980A
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JP
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camshaft
phase difference
drive
advance
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Application number
JP15558393A
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Inventor
Yoshihiko Hirata
喜彦 平田
Katsuhiko Kawai
勝彦 川合
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 弁動作タイミング調整装置の制御に学習操作
を取り入れ、その学習時間を短縮すると同時にばらつき
に影響されない駆動方法を採用する事によって、正確に
弁動作タイミング調整を実現することを目的とする。 【構成】 制御手段46は、目標値間偏差が、所定の値以
上の時、実位相差と目標値との偏差により、カム軸進角
値の進行方向を判断するカム軸進角方向判定手段107 、
カム軸進角値が進角方向で且つ目標値の偏差が所定の値
以下で時に、進角値を学習しながら決定する進角値学習
手段108 、進角値学習手段の出力で駆動される駆動パル
ス発生手段109 、カム軸進角値が遅角方向の時に、制御
手段によるカム軸進角値操作量に基づき、デューティ比
を変化させた駆動パルスを発生させる駆動周波数変換手
段110 とから構成され、駆動手段205 は、進角値学習手
段からの駆動パルス又は駆動周波数変換手段からの駆動
パルスで駆動される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関における吸気
弁,排気弁の動作時期を変えるための弁動作タイミング
調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】弁動作タイミング調整装置は、吸気弁,
排気弁の動作時期を早くしたり遅くしたりする進角制御
のために用いられている。係る装置は、例えば特開平1
−134010号公報に示されている。この装置はクラ
ンク軸とカム軸との間に位相調整部材を嵌合させて、こ
の位相調整部材を油圧で摺動させることにより両軸間の
回転位相を変化させ、カム軸上のロータで駆動される吸
気弁,排気弁の動作時期を変化させている。
【0003】しかし上記装置は、位相調整部材を摺動さ
せるために2つの油圧系を必要とするので構造が複雑で
あり、また電磁弁の単なる開閉制御によりクランク軸,
カム軸間の位相角を変化させるだけなので微小角度の進
角制御が難しいという問題があった。
【0004】そこで本出願人は、上記問題を解決するた
めに、先行例として係る装置の油圧系を1つにして構造
を簡略化し、またその電磁弁の開度を連続的に制御する
と共に、電磁弁の開度制御にフィードバック学習制御を
採用することにより、微小角度の進角制御を高い精度で
実現できる弁動作タイミング調整装置を提案した。しか
し当該先行例においては、その学習制御の過程で学習値
を生成するのに学習操作を繰り返し行う必要があったの
で、学習値を算出するのに時間がかかるという問題点が
あった。
【0005】そこで本発明は、本出願人は、上記問題を
解決するために、更に弁動作タイミング調整制御におい
てフィードバック学習制御を行う際に、電磁弁のカム軸
進角デューティー値、即ち保持デューティー値を学習し
ながら弁動作タイミング調整を行う方法とその装置を特
願平5─86321号に於いて提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、係る方法
に於いては、確かに前記電磁弁のカム軸進角デューティ
ー値即ち保持デューティー値を確定する事が出来るが、
前記電磁弁のカム軸遅角デューティー値は、確定する事
が出来ず、然も係る遅角デューティー値は、前記の電磁
弁等の製造時に発生する製造公差に起因して、ばらつき
を生じるため、遅角側に於ける制御操作に正確性を欠く
と言う問題が依然として存在している。
【0007】従って、本発明に於ける目的は、係る従来
技術に於ける問題を解決し、前記電磁弁のカム軸制御に
於いて、進角デューティー値側は、学習値を反映させ、
一方遅角デューティー値側に於いては、前記電磁弁のカ
ム軸特性に関する製造公差に影響されないデューティー
値を採用して制御する事により、弁動作タイミング調整
制御に於いて、学習時間を短縮すると同時に、ばらつき
に影響されない駆動方法を採用する事によって、より正
確な精度で弁動作タイミング調整を実行出来る弁動作タ
イミング調整装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的を
達成するため、以下に記載されたような技術構成を採用
するものである。即ち、本発明に係る弁動作タイミング
調整装置は、内燃機関内のクランク軸からカム軸に至る
回転伝達系内に設けられ、両軸間の回転位相差を変える
ための位相調整機構(1)と、前記位相調整機構を駆動
するための駆動手段(2)と、内燃機関各部に設けら
れ、機関の運転状態を表す複数の状態量を検知する各種
センサ(3)と、前記センサによって検出された運転状
態量に基づいて前記両軸間の実位相差角を算出する回転
位相差検出手段(4)と、前記センサによって検出され
た運転状態量に基づいて回転位相差の目標値を決定する
目標値決定手段(5)と、前記実位相差角を回転位相差
の目標値に一致させるための制御値を生成して前記駆動
手段に出力する制御手段(6)とを具備する弁動作タイ
ミング調整装置において、前記制御手段は、前記目標値
の偏差が、所定の値以下でない場合において、前記実位
相差角と回転位相差の目標値との偏差に基づいて、前記
カム軸進角値の進行方向が進角方向か、遅角方向かを判
断するカム軸進角方向判定手段と、前記カム軸進角値の
進行方向が進角方向である場合で、且つ前記目標値の偏
差が、所定の値以下である場合において、前記進角値を
学習しながら決定する進角値学習手段と、前記カム軸進
角値の進行方向が遅角方向である場合に、前記制御手段
から出力されるカム軸進角値操作量に基づいて、デュー
ティ比変化させた駆動パルスを発生させる駆動周波数変
換手段とから構成されており、前記駆動手段は、前記進
角値学習手段からの進角値若しくは、前記駆動周波数変
換手段から出力される駆動パルスにより駆動される様に
構成されている弁動作タイミング制御装置である。
【0009】そして、本発明にかかる弁動作タイミング
調整装置の第1の態様としては、内燃機関内のクランク
軸からカム軸に至る回転伝達系内に設けられ、両軸間の
回転位相差を変えるための位相調整機構(1)と、前記
位相調整機構を駆動するための駆動手段(2)と、内燃
機関各部に設けられ、機関の運転状態を表す複数の状態
量を検知する各種センサ(3)と、前記センサによって
検出された運転状態量に基づいて前記両軸間の実位相差
角を算出する回転位相差検出手段(4)と、前記センサ
によって検出された運転状態量に基づいて回転位相差の
目標値を決定する目標値決定手段(5)と、前記実位相
差角を回転位相差の目標値に一致させるための制御値を
生成して前記駆動手段に出力する制御手段(6)とを具
備する弁動作タイミング調整装置において、前記目標値
の偏差が、所定の値以下でない場合において、前記実位
相差角と回転位相差の目標値との偏差に基づいて、前記
カム軸進角値の進行方向が進角方向か、遅角方向かを判
断するカム軸進角方向判定手段と、前記カム軸進角値の
進行方向が進角方向である場合で、且つ前記目標値の偏
差が、所定の値以下である場合において、前記進角値を
学習しながら決定する進角値学習手段と、前記カム軸進
角値の進行方向が遅角方向である場合に、前記制御手段
から出力されるカム軸進角値操作量を0%〜50%の範
囲に対する比率に換算して、それに相当するデューティ
比を持つ駆動パルスを発生させる駆動周波数変換手段
と、前記進角値学習手段からの進角値若しくは、前記駆
動周波数変換手段から出力される駆動パルスにより駆動
される駆動手段とから構成されている弁動作タイミング
制御装置であり、又本発明に係る弁動作タイミング調整
装置の第2の態様としては、特に、前記目標値の偏差
が、所定の値以下でない場合において、前記実位相差角
と回転位相差の目標値との偏差に基づいて、前記カム軸
進角値の進行方向が進角方向か、遅角方向かを判断する
カム軸進角方向判定手段と、前記カム軸進角値の進行方
向が進角方向である場合で、且つ前記目標値の偏差が、
所定の値以下である場合において、前記進角値を学習し
ながら決定する進角値学習手段と、前記カム軸進角値の
進行方向が遅角方向である場合に、前記制御手段から出
力されるカム軸進角値操作量を積分する積分手段と、そ
の積分値が予め定められた値とを比較する積分値比較手
段と、前記積分手段から出力される積分値が、前記積分
値比較手段に於いて予め定められた値と等しいか、それ
以上である場合に、前記予め定められた積分値と等しい
面積を持つ様なデューティ比を持った駆動パルスを発生
させる駆動手段とから構成されている弁動作タイミング
制御装置である。
【0010】
【作用】本発明に係る弁動作タイミング調整装置は、基
本的には、上記した様な技術構成を有しているので、弁
動作タイミング調整操作に於いて、カム軸進角デューテ
ィー値の方向が、進角側にある場合には、前記進角デュ
ーティー値、つまり保持デューティー値を、学習しなが
ら正確な値に決定して制御を行う様に構成すると共に、
前記カム軸進角デューティー値の方向が、遅角側にある
場合には、遅角デューティー値を、製造公差等のばらつ
きの影響を受けない様な特定のデューティー値に換算し
て使用する事によって、制御を実行し、短時間に当初の
目標とする駆動出力値に一致させる様に制御が行われる
ものである。
【0011】
【実施例】以下に、本発明に係る弁動作タイミング調整
装置の具体例を図面を参照しながら詳細に説明する。図
1は、本発明に係る弁動作タイミング調整装置85を被
制御対象装置80である内燃機関1に適用した場合の例
を示しており特に内燃機関1の吸排気弁を制御するクラ
ンク軸とカム軸間の位相差を調整する調整機構40とそ
れを直接操作する油圧シリンダー系統70で構成される
制御系に適用した例を示すものである。
【0012】図1は、ダブルオーバーヘッドカム式内燃
機関に本発明を適用した実施例を示す概略図であり、図
2は、弁動作タイミング調整装置におけるクランク軸と
カム軸との回転位相差を変化させる位相差調整機構40
の断面図である。内燃機関1では、クランクシャフト2
からの動力を伝達するタイミングチェーン3によって一
対のスプロケット13a,13bを介して一対のカムシ
ャフト4,5が駆動される。
【0013】そして、カムシャフト5には、上記した位
相差調整機構40が設けられている。また、クランクシ
ャフト2には、クランク位置検出センサ42が取り付け
られ、カムシャフト5には、カムシャフト位置検出セン
サ44が取り付けられる。ここで、クランク位置検出セ
ンサ42からのパルス数が、クランクシャフト2が1回
転するとN個発生するとき、カムシャフト位置検出セン
サ44からのパルス数が、カムシャフト5が1回転する
と2N個発生するようにする。また、カムシャフト5の
タイミング変換角最大値をθmaxクランク角とする
と、N<360度/θmaxとなるようパルス数Nを設
定する。これによって、後述の相対回転角θを算出する
ときに、クランク位置検出センサ42のパルスと、この
パルスの次に連続して発生するカムシャフト位置検出セ
ンサ44のパルスとを使用することができる。
【0014】このクランク位置検出センサ42およびカ
ムシャフト位置検出センサ44からの信号は制御手段4
6に入力される。この信号の他に内燃機関1の冷却水温
信号、スロットル開度信号等が入力され、制御手段46
のマイクロプロセッサが、これらの信号を基にクランク
シャフト2に対するカムシャフト5の目標相対回転角θ
aを演算する。そして、制御手段46で演算された駆動
信号を電磁アクチュエータである後述のリニアソレノイ
ド64へ入力し、後述の弁装置であるスプール弁30を
駆動する。そして、このスプール弁(弁装置)30を駆
動することによって、オイルパン28からオイルポンプ
29によって圧送され、位相差調整機構40へ供給され
るオイルの油量を調整する。
【0015】以下、この位相差調整機構40の構成を説
明する。図2において、カムシャフト5の端部には、カ
ムシャフト5と一体に回転するようにピン12とボルト
10とによって固定された略円筒形のカムシャフトスリ
ーブ11が設けられている。また、このカムシャフトス
リーブ11の外周面の一部には、外歯ヘリカルスプライ
ン11aが形成されている。さらに、カムシャフトスリ
ーブ11には、シリンダヘッド25にボルト24で取り
付けられるハウジング23の内部に突出する円筒部11
bが設けられている。
【0016】また、スプロケット13aは、カムシャフ
ト5とカムシャフトスリーブ11との間に挟まれて支持
され、軸方向の移動は阻止されているがカムシャフト5
に対して相対回転可能となっている。そして、スプロケ
ット13aの図2左側には、略円筒形のクランク軸側部
材であるスプロケットスリーブ15がピン14とボルト
16とによってスプロケット13aと一体に回転するよ
う固定されている。また、このスプロケットスリーブ1
5には、ハウジング23の内部に上記カムシャフトスリ
ーブ11を覆うように突出した円筒部15bが設けられ
ている。そして、この突出した円筒部15bの内周面の
一部に内歯ヘリカルスプライン15aが形成されてい
る。この内歯ヘリカルスプライン15aは、上記外歯ヘ
リカルスプライン11aとは逆方向のねじれ角を有する
ように形成されている。なお、外歯ヘリカルスプライン
11aまたは内歯ヘリカルスプライン15aのいずれか
一方は、ねじれ角をゼロとして、軸方向に平行な直線歯
を有するスプラインとしてもよい。
【0017】そして、カムシャフトスリーブ11の円筒
部11bと、スプロケットスリーブ15の円筒部15b
との隙間の一部には、軸方向に略一様な断面を有する環
状の空間90が形成され、その空間90内で軸方向に液
密状態を保って摺動することができるように、略円筒形
状の油圧ピストン17が挿入される。この油圧ピストン
17の内面の一部には、カムシャフトスリーブ11の外
歯ヘリカルスプライン11aと噛み合う内歯ヘリカルス
プライン17aが形成されていると共に、外面の一部に
はスプロケットスリーブ15の内歯ヘリカルスプライン
15aと噛み合う外歯ヘリカルスプライン17bが形成
されている。上記スプライン同士の噛み合いにより、図
1に示すタイミングチェーンを介してスプロケット13
aに伝達されるクランクシャフト2の回転は、スプロケ
ットスリーブ15、油圧ピストン17、カムシャフトス
リーブ11を経てカムシャフト5に伝達される。また、
油圧ピストン17の左側端部に形成されるつば部の外周
には、オイルシール70が備えられている。このオイル
シール70は、スプロケットスリーブ15の円筒部15
bの内周面と接触するように設けられる。
【0018】この空間90内に、油圧ピストン17が設
けられることによって、空間90は2つの室に分割され
る。これによって、油圧ピストン17の左側に進角側油
圧室22が形成され、右側に遅角側油圧室32が形成さ
れる。そして、上記オイルシール70によって、油圧室
22と23との間のシール性が確保される。また、スプ
ロケットスリーブ15の図中左側開口端には、エンドプ
レート50が取り付けられている。このエンドプレート
50には、円筒部と、その円筒部の図中右側端部に形成
され、スプロケットスリーブ15の上記開口端に取り付
けられるつば部とが備えられる。また、エンドプレート
50の円筒部の外周には溝が設けられ、この溝にオイル
シール71が保持される。
【0019】そして、エンドプレート50とカムシャフ
トスリーブ11との左側端部には、ノックピン53によ
ってハウジング23に固定される環状のリングプレート
51が設けられている。このリングプレート51は、コ
字状断面に形成され、エンドプレート50の円筒部と、
カムシャフトスリーブ11の円筒部11bとを内部に回
転可能に収容する。また、リングプレート51の内側円
筒部の外周には溝が設けられ、この溝にオイルシール7
2が保持される。このオイルシール72はリングプレー
ト51とカムシャフトスリーブ11との間のシール性を
確保する。一方、上記オイルシール71はエンドプレー
ト50とリングプレート51との間のシール性を確保す
る。これによって、進角側油圧室22内のシール性は確
保される。
【0020】リングプレート51の中心の開口と、ハウ
ジング23の開口とには、ボルト52が取り付けられて
いる。このボルト52が取り付けられると、カムシャフ
トスリーブ11の内周と、カムシャフト5との間に空間
91が形成される。また、ボルト52の内部には、この
空間91に連通する断面T字形の油圧通路61bが形成
される。さらに、ボルト52の外周には環状溝が形成さ
れており、この油圧通路61bの半径方向の両端が連通
する。
【0021】また、ハウジング23には、上記ボルト5
2の環状溝と連通する油圧通路61aが形成されてい
る。この油圧通路61aは、断面T字形の油圧通路61
bを介して、空間91に連通し、この空間91からカム
シャフトスリーブ11に形成される油圧通路61cを通
じて上記遅角側油圧室32に連通する。さらに、ハウジ
ング23には、上記進角側油圧室22に連通する油圧通
路60が形成されている。上記油圧通路61aおよび6
0は、ハウジング23に形成され、後述の弁装置である
スプール弁30を収容する空間部95に開口している。
また、この空間部95には、内燃機関1のオイルパン2
8からオイルポンプ29によって圧送されるオイルを供
給する油圧供給路65が開口し、オイルパン28にオイ
ルを戻す油圧開放路66が開口する。
【0022】以下、弁装置30の構成を図3に基づいて
説明する。なお、図3(A),(B),(C)は、油圧
通路を切り替えるときの弁装置30の断面図であり、そ
の動作は後述する。空間部95に収容される弁装置30
のシリンダ30aには、上記油圧通路61aと連通する
油圧ポート30bと、油圧通路60と連通する油圧ポー
ト30cとが設けられる。また、油圧供給路65と連通
する吸入ポート30dおよび油圧開放路66と連通する
吐出ポート30e,30fが設けられる。そして、シリ
ンダ30a内には、内部を摺動可能に移動し、上記ポー
トの連通を切り替えるスプール31が挿入されている。
このスプール31の図中右側にはスプール31を図中左
方向へ付勢するスプリング31aが設けられている。さ
らに、スプール31の図中左側には、電磁アクチュエー
タとして作用するリニアソレノイド64が設けられる。
このリニアソレノイド64に発生する電磁力によって、
スプール31はスプリング31aの付勢力に抗して図中
右側へ移動する。
【0023】以下、油圧系統300における弁装置30
内のスプール31の移動による油圧通路切り替えの動作
を説明する。図3(A)に示すように、スプール31が
右側に移動するとき、吸入ポート30dと油圧ポート3
0cとが開き、油圧供給路65と油圧通路60とが連通
する。このため、オイルポンプ29からの油圧は進角側
油圧室22に供給される。同時に、吐出ポート30eと
油圧ポート30bとが開き、油圧通路61aと油圧開放
路66とが連通する。このため、遅角側油圧室32の油
圧は開放される。これによって、油圧ピストン17は右
方向へ移動するため、スプロケット13aすなわちクラ
ンクシャフト2に対しカムシャフト5が相対的に進角す
る。
【0024】図3(B)に示すように、スプール31が
中央にあるときは、油圧ポート30b,30cが共に閉
じるため、油圧室22,32からのオイルの漏れがない
場合、油圧ピストン17の位置が保持され、スプロケッ
ト13とカムシャフト5との回転位相は変化しない。次
に、図3(C)に示すように、スプール31が左側に移
動するとき、吸入ポート30dと油圧ポート30bとが
開き、油圧供給路65と油圧通路61aとが連通するた
め、オイルポンプ29からの油圧は遅角側油圧室32に
供給される。一方、吐出ポート30fと油圧ポート30
cとが開き、油圧通路60と油圧開放路66とが連通す
る。このため、進角側油圧室22の油圧は開放される。
これによって、油圧ピストン17は左方向に移動するた
め、スプロケット13aすなわちクランクシャフト2に
対してカムシャフト5が相対的に遅角する。
【0025】次に、本発明に係る弁動作タイミング調整
装置85の具体的な構成の例を図4を参照しながら詳細
に説明する。即ち、本発明に係る弁動作タイミング調整
装置の基本的構成は、図4に示す通り、内燃機関内のク
ランク軸からカム軸に至る回転伝達系内に設けられ、両
軸間の回転位相差を変えるための位相調整機構40と、
前記位相調整機構を駆動するための駆動手段205と、
内燃機関各部に設けられ、機関の運転状態を表す複数の
状態量を検知する各種センサ42〜45と、前記センサ
によって検出された運転状態量に基づいて前記両軸間の
実位相差角を算出する回転位相差検出手段104と、前
記センサ、特に42、44によって検出された運転状態
量に基づいて回転位相差の目標値を決定する目標値決定
手段105と、前記実位相差角を回転位相差の目標値に
一致させるための制御値を生成して前記駆動手段に出力
する制御手段46とを具備する弁動作タイミング調整装
置85において、前記制御手段46は、前記目標値の偏
差が、所定の値以下でない場合において、前記実位相差
角と回転位相差の目標値との偏差に基づいて、前記カム
軸進角値の進行方向が進角方向か、遅角方向かを判断す
るカム軸進角方向判定手段107と、前記カム軸進角値
の進行方向が進角方向である場合で、且つ前記目標値の
偏差が、所定の値以下である場合において、前記進角値
を学習しながら決定する進角値学習手段108と、前記
進角値学習手段108の出力に基づいて所定の駆動パル
スを発生させる駆動パルス発生手段109と、前記カム
軸進角値の進行方向が遅角方向である場合に、前記制御
手段から出力されるカム軸進角値操作量に基づいて、デ
ューティ比変化させた駆動パルスを発生させる駆動周波
数変換手段110とから構成されており、前記駆動手段
205は、前記進角値学習手段108からの進角値に基
づく駆動パルス若しくは、前記駆動周波数変換手段11
0から出力される駆動パルスにより駆動される様に構成
されているものである。
【0026】そこで、先ず、本発明の弁動作タイミング
調整装置に於ける、前記進角デューティー値、つまり保
持デューティー値を学習しながら決定する操作に付いて
説明する。ここでまず図5を用いて上記閉ループ制御系
の性質を説明する。図5は、電磁弁の開度を調節して回
転位相角、すなわちカム軸進角値をフィードバック制御
するための制御系ブロック線図の例を示している。
【0027】図5(A)の46は、例えば積分動作を含
まないPD動作コントローラ、80は制御対象として例
えば電磁弁の製造公差,経時変化等により特性が変動す
るような油圧装置を示している。図5(A)における電
磁弁の静特性は、以下の説明を簡単に行えるようにu1
=0近傍の特性がリニアなものを用いている。またrは
目標進角値、uはコントローラから出力される操作値、
1 は上記静特性により決定される操作値、yは制御に
よる現在のカム軸進角値である。ここで制御対象80は
積分要素を含み、電磁弁における操作量uとカム軸進角
速度との間の静特性は、製造公差,経時変化等により変
動するものとする。よって図5(A)中のdの値(u1
=0となるuの値)は変動するが、その変動速度は遅
く、その値は未知であるとする。
【0028】上記制御対象の静特性を傾きKで近似する
と、この制御系は図5(B)のように表わすことがで
き、以下のような関係式が得られる。このとき、上記d
は制御対象の入力部に加えられる外乱と見なすことがで
きる。 Y(s) = [ K/s ]・G(s)・[ U(s) + D(s) ] (1) U(s) = Gc(s)・E(s) (2) E(s) = R(s) - Y(s) (3) そして式(3)における目標値rを一定とすると、上記
各式より式(4)が導かれる。
【0029】 E(s) = [-K・G(s)] ・D(s) / [ s + K・ Gc(s)・G(s)] (4) ここで外乱dを大きさd0 のステップ入力とすると「 D
(s) = d0/s」で表わされ、これを式(4)に代入してラ
プラス変換の最終値の定理を適用すると、式(5)が導
かれる。 E(∞) = -d0 / Gc(0) (5)
【0030】例えばコントローラ46が「比例+微分動
作」であれば、その伝達関数は式(6)で与えられる。
コントローラのゲインは Gc(0)=Kcとなり上記式
(5)は式(7)のようになる。 Gc(s) = Kc・( 1 + TD s ) (6) e(∞) = -d0 / Kc (7) 従って目標値rが一定であるとすると、偏差eは一定値
に収束することになる。ここで進角値yの定常時には
「 u1 = 0 」であることが成立しているので、このとき
のコントローラの操作値は「 u = d0 」となる。つまり
コントローラの出力が外乱dの大きさを表していること
になり、この出力値を学習して以後の制御に用いること
ができる。
【0031】そこで上記図4の形態によれば、制御手段
であるコントローラ46は積分器を含んでおらず、また
制御対象である油圧アクチュエータは積分要素を含んで
いる。したがって上記閉ループ制御系の性質で説明した
ように、アクチュエータに外乱要素dが存在する場合、
目標値rが所定時間一定値にあり且つ実位相差角yが一
定値に収束しているときにコントローラから出力された
操作値uを以て外乱要素dを補償することができる。
【0032】すなわち弁動作タイミング調整制御中、回
転位相角の目標値が所定時間一定にあり且つ実位相差角
が一定値に収束したと推測された時点において、コント
ローラから出力される操作値が学習手段108によって
記憶されて、制御手段46内で制御値を生成する際に反
映されるので、制御手段46で生成される制御値は外乱
要素dが補償されたものとなる。
【0033】そして上記操作値は、目標値が上記所定時
間継続される毎に更新されて学習され得るので、学習操
作が容易であり、且つ学習操作が短時間に行われ得る。
【0034】かかる原理に基づいて、本発明に於ける弁
動作タイミング調整装置の弁動作タイミング調整操作の
基本的手順を図7のフローチャートに従って説明する。
即ち、図7のフローチャートは、本発明に係る弁動作タ
イミング調整装置を用いてカム軸を駆動制御する場合の
基本的手順の一例を示すものである。つまり、本発明に
於ける弁動作タイミング調整装置に於いて、スタート後
ステップ(M1)に於いて、前記した各センサからの検
出データに基づいて、被制御対象の一つであるエンジン
の運転状態に関する情報を検出し、ステップ(M2)に
於いて、前記被制御体に於けるカム軸の駆動操作量に関
する目標値r(k)を算出する。
【0035】次いでステップ(M3)に進んで、前記カ
ム軸の現在の駆動操作量u(k)を算出する。続いてス
テップ(M4)に於いて、前記カム軸の駆動操作量u
(k)が、50%を超えるか否かが判断され、即ち、前
記カム軸の駆動操作量u(k)が、50%を超えれば、
進角値側と判断され、又前記カム軸の駆動操作量u
(k)が、50%を超えない場合には、前記カム軸の駆
動操作量u(k)は、遅角値側と判断される。
【0036】そこで、ステップ(M4)に於いて、YE
S、即ち進角値側であれば、ステップ(M5)に進ん
で、前記カム軸進角デューティー値つまり保持デューテ
ィー値の学習を開始し、ステップ(M6)に於いて、前
記カム軸進角デューティー値を確定し、ステップ(M
7)に於いて、係るステップ(M6)で求めた前記カム
軸進角デューティー値に基づいて、駆動パルスを発生さ
せて、前記被制御対象物の操作を制御するものであり、
一方、ステップ(M4)に於いて、前記カム軸の駆動操
作量、つまりカム軸進角値が、遅角値側である場合、つ
まりNOであれば、ステップ(M8)に進んで、カム軸
進角値操作量に基づいて、デューティ比変化させた駆動
パルスを発生させる駆動周波数変換手段から周波数変換
された駆動パルスを発生させ、その後ステップ(M7)
に進んで、係るステップ(M8)で求めた周波数の変換
された駆動パルスを用いて前記被制御対象物の操作を制
御するものである。
【0037】次に、本発明に於ける前記カム軸進角値操
作量が進角値側である場合の、前記進角デューティー
値、つまり保持デューティー値を学習しながら弁動作タ
イミング調整を実行する方法のより詳細な具体例を以下
に説明する。即ち、図8(A)は制御部46で実行され
る制御系を表している。コントローラ46は一般的には
PD動作のコントローラで構成されており、エンジンの
運転状態に基づいて決定された目標カム軸進角値rと、
現在のカム軸進角値yと、RAMを備えて構成された学
習回路108からの学習値d’とが入力される。コント
ローラ46は、駆動パルス生成手段109等を介して、
後述するフローチャートに基づいて操作量uをデューテ
ィー値で決定し、油圧装置及び位相調整機構を含む制御
対象80に出力する。
【0038】前記操作量uはパルス幅変調信号で生成さ
れ、上記電流制御回路を経由してリニアソレノイドに供
給される。これにより上記油圧室の作動油が調節され、
作動油量に応じてカムシャフトがその回転方向に変位さ
れる。このときのカム軸進角値yが制御対象80から検
出される。このように制御対象80は油圧機構を備えて
いるので積分要素を含んでおり、更に実験により「むだ
時間」を含んでいることが判明した。よって制御対象8
0の動特性は「積分+むだ時間」で表わすことができ、
操作量uとカム軸進角速度間の静特性は図8(B)のよ
うに表され得る。
【0039】図8(B)の静特性は不感帯75をもち、
その右肩部分を保持デューティー値da、一方の左肩部
分を遅角デューティー値drと呼ぶ。前者はカム軸進角
速度が「0」となるときのデューティー値であり、言い
換えると現状のカム軸進角値を維持するための値であ
る。また後者は上記シリンダ内のスプール31が摺動し
たとき実際に遅角動作を開始させるときの値である。上
記各デューティー値da,drは、いずれも実験等によ
り予め設定され、後述する操作値uの決定の際に用いら
れるが、例えばスプール弁31の製造公差又は経時変
化,あるいは油圧値又は油圧温度等によりその値が変動
し得るものである。尚、上記デューティー値daと,d
rとの間のデューティー値は、油圧室22,32におけ
る作動油の漏れ,またはカムシヤフト上のカムプーリが
吸気弁を駆動するときの摩擦力等に起因してカム軸進角
速度が完全に「0」となるものではなく、長い時間で見
ると、カム軸進角値を遅方向に少しずつ推移させる。
【0040】このように上記デューティー値da,dr
は、上記スプール弁の製造公差又は経時変化等の外乱要
素により変動し得るので、係る弁動作タイミング調整制
御においてはda,drを補償しながら制御を行う必要
がある。そこで本実施例では保持デューティー値daを
学習しながら補償して弁動作タイミング調整制御を行う
場合を説明する。
【0041】図8はその学習制御フローチャートを示し
ている。まずステップ100からステップ120では、
上述の各種のセンサからエンジン内の各状態信号を取込
み、エンジン運転状態及び現在のカム軸進角値 y(k) を
把握して(ステップ110)、当該運転状態に基づいて
目標進角値 r(k) を決定する。そしてステップ130で
は目標進角値 r(k) 及びカム軸進角値 y(k) から偏差 e
(k) を算出する。更にステップ140では、上記目標進
角値 r(k) と過去の目標進角値 ra とを比較して、その
差が所定範囲Δr内、例えば±1度以内であれば、今回
の目標進角値 r(k) と以前の目標進角値 ra との間には
変化がなく一定であると判別する。
【0042】ステップ140にて目標値 r(k) に変化が
あると判別された場合には、ステップ150において当
該目標進角値 r(k) が目標進角値 ra に設定される。そ
してステップ160において現在の前記カム軸の駆動操
作量u(k)が、50%を超えるか否かが判断され、Y
ESの場合には現在のカム軸進角値を進角するために、
次式(8)に従って操作量 u(k) が決定される(ステッ
プ170)。
【0043】 u(k) = K P ・ e(k) + KD ・[ e(k) - e(k-1) ] + da (8) ここでKP ,KD はフィードバックゲインである。本例
のゲイン値KP ,KDは、弁動作タイミング調整に要す
る負荷に応じて各々別個の値で設定されるものである。
尚、ステップ(160)に於いて、NOである場合、つ
まり前記現在の前記カム軸の駆動操作量u(k)が、5
0%以下であり現在のカム軸進角値を遅角値とする場合
の操作手順に付いては、後述する。
【0044】一方、ステップ140において目標値 r
(k) に変化がないと判別されたきには、以下のステップ
に従って保持デューティー値daの学習を実行する。本
装置は、制御対象に外乱要素が存在すると一定量の定常
偏差が発生するという閉ループ制御系の性質を保持デュ
ーティー値daの学習に適応させており、弁動作タイミ
ング調整制御の際に目標進角値 r(k) または偏差 e(k)
の値を監視して、その値が所定時間一定であるとき、そ
のときのコントローラ出力 u(k) を新しい保持デューテ
ィー値daとして学習する。
【0045】上記ステップ140にて目標値 r(k) が所
定範囲Δr内にあると判別したとき、ステップ190に
て目標値 r(k) が所定範囲Δr内にある継続時間Mを計
測し、ステップ200で当該継続時間Mを所定時間t1
と比較する。そして継続時間Mが所定時間t1 に到達し
ている場合にのみ学習操作を開始する。一方、継続時間
Mが所定時間t1 に達していない場合には学習操作を行
わずに上記一連の操作を実行する
【0046】次にステップ210にて、上記カム軸進角
値を進角させる際に用いた計算式(8)に従って操作値
u(k) を算出する。つまり目標進角値 r(k) が一定で且
つその値 r(k) が所定時間t1 以上継続しているとき、
偏差 e(k) の符号に関係なく、現在の保持デューティー
値daを基に操作量 u(k) を算出し、これを制御信号と
して制御を開始する。
【0047】続いてステップ220では、ステップ21
0に従って弁動作タイミング制御を行った時間t2 を判
別する。すなわち目標進角値 r(k) が継続的に一定であ
るなかで、現在の保持デューティー値daを基に生成し
た制御信号で弁動作タイミング制御を開始したとき、上
記目標進角値 r(k) が一定であると判別された時からの
継続時間が所定時間t2 となる時点を検出する。
【0048】そしてステップ220にて所定時間t2
検出したとき、ステップ230ではそのときの操作値 u
(k) を新しい保持デューティー値daとして更新した
後、ステップ240にてカウンタMをリセットする。更
新された保持デューティー値daは、以後上記ステップ
170及び210に反映される。
【0049】このように制御部46では、目標進角値 r
(k) が所定時間一定値にあるとき、偏差 e(k) が一定値
に収束したと推定される時点t2 に現在の保持デューテ
ィー値daを当該操作値 u(k) に更新して保持デューテ
ィー値daの学習を行う。
【0050】次に、本発明に於いて、前記ステップ(1
60)に於いて、NOである場合、つまり前記現在の前
記カム軸の駆動操作量u(k)が、50%以下であり現
在のカム軸進角値を遅角値とする場合の操作手順に付い
ては、以下にその具体例の一つを説明する。即ち、ステ
ップ(160)に於いて、現在の前記カム軸の駆動操作
量u(k)が、50%以下であり、つまり、カム軸の駆
動操作量u(k)を遅らせる必要のある遅角値側に存在
している場合には、前記した様に、遅角デューティー値
drの値が、製造公差等により、かなりばらつくので正
確な制御データをうる事が出来なかったことから、本発
明に於いては、前記カム軸進角値の進行方向が遅角方向
である場合に、前記制御手段から出力されるカム軸進角
値操作量に基づいて、デューティ比変化させた駆動パル
スを発生させる駆動周波数変換手段110を設けたもの
で有って、かかる駆動周波数変換手段110により、ば
らつきの影響をうける遅角側の制御に於いて、かかるば
らつきの影響を受けない形の駆動パルスを発生させて、
前記カム軸進角値の遅角デューティー値制御を実行する
ものである。
【0051】本発明に於ける係る駆動周波数変換手段1
10の第1の具体例としては、例えば、上記した様に、
前記制御手段から出力されるカム軸進角値操作量を0%
〜50%の範囲に対する比率に換算して、それに相当す
るデューティ比を持つ駆動パルスを発生させる様に構成
したもので有っても良く、或いは、第2の具体例として
は、前記制御手段46から出力されるカム軸進角値操作
量を積分する積分手段111と、その積分値が予め定め
られた値とを比較する積分値比較手段112と、前記積
分手段111から出力される積分値が、前記積分値比較
手段112に於いて予め定められた値と等しいか、それ
以上である場合に、前記予め定められた積分値と等しい
面積を持つ様なデューティ比を持った駆動パルスを発生
させる駆動パルス発生手段113とから構成されている
もので有っても良い。
【0052】係る本発明に於ける遅角デューティー値制
御操作に於いては、前記した図8に於けるフローチャー
トに於いて、ステップ(160)での判断がNOである
場合に相当するものであって、その場合には、以下に示
す別のサブルーチンが実行される事になる。ここで、上
記した第1の具体例に付いて、図9のフローチャート及
び図10のタイミングチャートを参照しながら説明す
る。
【0053】即ち、ステップ(160)に於いて、NO
の判断であると、図9に示す様なフローチャートに沿っ
て操作が実行されるので有って、先ずステップ(16
1)のスタート後、ステップ(162)に進んで、所定
の時間(T秒)が経過したか否かが判断され、NOであ
れば、係る処理は終了するが、YESである場合には、
ステップ(163)に進み、現在得られている駆動操作
量u(k)(%)をばらつきの影響を受けない、駆動操
作量u(k)の0%付近と50%付近のデータを使用し
て駆動パルスを変換処理するものである。
【0054】本具体例に於ける前記所定の時間(T秒)
としては、例えば1サンプリング周期に相当する時間に
設定する事も可能である。つまり、前記した図7に於け
るステップ(M6)で求めた駆動操作量u(k)を、前
記した0%付近と50%付近の値に振り分けるものであ
る。具体的には、現在の駆動操作量u(k)の値と駆動
操作量u(k)の50%との比率Waをu(k)/50
で演算し、第1の比率Waとし、残りの比率Wbを第2
の比率Wbとして1−Wa=(50−u(k))/50
を演算して求めるものである。
【0055】次いでステップ(164)に進んで、前記
した所定の時間(T秒)に前記した第1の比率Waを掛
け合わせて、0%デューティ期間を持った駆動パルスを
発生させる期間Taを形成すると同時に、前記した所定
の時間(T秒)に前記した第2の比率Wbを掛け合わせ
て、50%デューティ期間を持った駆動パルスを発生さ
せる期間Tbを形成する。
【0056】そして、係る方法により、各サンプリング
周期毎に検出された駆動操作量u(k)を基にして、図
10(B)に示される様な周期を変換した駆動パルスを
発生させる事によって、前記駆動操作量u(k)は、図
10(A)に示す様に、短期間に所定の値に飽和させる
事が可能となる。かかる駆動操作量u(k)が飽和状態
になると、図8に示すフローチャートのステップ(14
0)以降の処理が行われて、前記駆動操作量u(k)
は、目標値の50%に戻りENDとなる。
【0057】本具体例に於いては、遅角側の駆動特性の
ばらつきに影響されずに被制御装置を駆動操作できる。
又、本具体例に於いては、進角側に於いては、前記した
様に、進角デューティー値daは学習効果によって短期
間に正確に決定でき、又遅角側では、ばらつきの影響の
無い状態で、カム軸進角値の駆動操作量u(k)を決め
る事が可能であるので、レーシングやキックダウン等に
おける迅速な動作が要求される場合にも応答性良く被制
御装置を制御する事が出来る。
【0058】又、上記第2の具体例に付いて図11及び
図12のフローチャート及び図13のタイミングチャー
トを参照しながら説明する。即ち、上記した第1の具体
例に於いては、一定時間T毎に駆動操作量u(k)を検
出して、駆動パルスを生成していたが、本具体例に於い
ては、前記駆動操作量u(k)を積分し、かかる積分値
が予め定められた値Scに到達した時点で、前記値Sc
と同一の面積を有する0%デューティ期間Tcを持った
駆動パルスPを発生させる様にするものである。
【0059】具体的には、図7のフローチャートに於け
るステップ(M4)或いは図8に於けるステップ(16
0)に於いて、駆動操作量u(k)が50%以上か以下
かが判断される場合に図11のフローチャートに示され
るサブルーチンに移り、ステップ(400)で、駆動操
作量u(k)が50%以上か以下かが判断され、駆動操
作量u(k)が50%以下であると判断された場合に
(図13(A)参照)、ステップ(401)に進み、今
回のサンプリング周期に於いて検出された駆動操作量u
(k)に於ける50%からの偏差値u(k)’の現在値
をこれ迄のサンプリング時に得られた前記偏差値u
(k)’を積算した値、即ちΣu(k)’に加算するΣ
u(k)’+u(k)’を演算してΣu(k)’となす
演算処理を実行し、次いでステップ(402)に進ん
で、前記の積分値Σu(k)’が、予め定められた所定
の値Scと比較し(図13(B)参照)、Σu(k)’
≧Scか否かが判断され、NOであれば、その時点で本
サブルーチンは終了するが、YESである場合には、前
記所定の値Scと面積が等しくなる様な時間Tcだけ、
0%デューティ期間Tcを持った駆動パルスPを発生さ
せる様にする(図13(C)参照)ものである。
【0060】そして、本具体例に於いては、駆動操作量
u(k)における50%からの偏差値u(b)’の積分
値と所定の値Scとを比較する事によって、各サンプリ
ング周期毎に検出された駆動操作量u(k)を基にし
て、図13(C)に示される様な周期を変換した駆動パ
ルスPを発生させる事によって、前記駆動操作量u
(k)は、図13(A)に示す様に、短期間に所定の値
に飽和させる事が可能となる。
【0061】かかる駆動操作量u(k)が飽和状態にな
ると、図8に示すフローチャートのステップ(140)
以降の処理が行われて、前記駆動操作量u(k)は、目
標値の50%に戻る。かかる状態になると、ステップ
(400)に於いて、駆動操作量u(k)が50%以上
と判断され、図12に示される別のサブルーチンに移行
し、ステップ(404)に於いて、駆動操作量u(k)
の値が、負から50%以上になったか否かが判断され、
NOであれば、その時点で本サブルーチンは終了する
が、YESである場合には、此れまでに積算したu
(k)’の中途の積算値Σu(k)’=SL に等しい面
積を有する様な時間だけ、0%デューティ期間TL を持
った駆動パルスPL と前回の演算処理時に演算された積
分値Σu(k)’に対する所定の値Sc等しいと部分の
面積に対応する時間Tcだけ、0%デューティ期間Tc
を持った駆動パルスPcとを加算した形の0%デューテ
ィ期間(TL +Tc)を持つ延長された駆動パルスP’
を発生させる様にする(図13(C)参照)ものであ
る。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、例えば油圧装置等の積
分要素を含む制御対象をフィードバック学習制御して吸
気弁,排気弁の動作タイミングを調節する際、閉ループ
系の性質を適応させることにより、スプール弁等の変動
による影響を迅速に解決し、弁動作タイミング調整にお
ける制御性を向上させることができる。これによりエン
ジンの運転状態に応じて適切な吸気,排気が行われ、エ
ンジンの運転性能が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかる弁動作タイミング調整
装置の一具体例の構成の概要を説明する図である。
【図2】図2は、本発明にかかる弁動作タイミング調整
装置に於ける回転位相調整機構の一具体例の構成を示す
断面図である。
【図3】図3は、本発明に於いて使用される弁装置の動
作状態を説明する断面図である。
【図4】図4は、本発明にかかる弁動作タイミング調整
装置の構成例を示すブロックダイアグラムである。
【図5】図5は、本発明に用いる閉ループ系の性質を説
明するためのブロック線図であり、(A)は制御系のブ
ロック線図、(B)は(A)を近似したブロック線図で
ある。
【図6】図6は、図5の調整装置の制御系を表す図であ
り、(A)はブロック線図、(B)はデューティー値と
カム軸進角速度の静特性である。
【図7】図7は、本発明に於いて使用される弁動作タイ
ミング調整装置に於ける基本的制御演算処理手順の例を
示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明に係る弁動作タイミング調整装
置の操作手順の具体例を説明するフローチャートであ
る。
【図9】図9は、本発明に於いて、遅角側デューティー
値制御を実行する場合の一つの演算処理例を示すフロー
チャートである。
【図10】図10は、図9に示されたフローチャートに
より得られる周波数変換駆動パルスの例と駆動操作量u
(k)の変化を示すタイミングチャートである。
【図11】図11は、本発明に係る弁動作タイミング調
整装置に於ける遅角側デューティー値制御を実行する場
合の他の演算処理例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本発明に係る弁動作タイミング調
整装置に於ける遅角側デューティー値制御を実行する場
合の他の演算処理例を示すフローチャートである。
【図13】図13は、図11及び図12に示される演算
処理例により得られる周波数変換駆動パルスの例と、駆
動操作量u(k)の変化及び駆動操作量u(k)積分値
の変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関 2…クランク軸 5…カム軸 17…油圧ピストン 30…弁装置 40…位相差調整機構 42…クランク位置センサ 43…水温センサ等 44…カム軸位置センサ 45…スロットルセンサ 46…弁動作タイミング調整手段、制御手段 80…被制御装置 85…弁動作タイミング調整装置 104…回転位相差検出手段 105…目標値決定手段 107…進角値方向判定手段 108…学習手段 109…駆動パルス発生手段 110…駆動周波数変換手段 111…積分手段 112…積分値比較手段 113…駆動パルス発生手段 205…駆動制御手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関内のクランク軸からカム軸に至
    る回転伝達系内に設けられ、両軸間の回転位相差を変え
    るための位相調整機構(1)と、前記位相調整機構を駆
    動するための駆動手段(2)と、内燃機関各部に設けら
    れ、機関の運転状態を表す複数の状態量を検知する各種
    センサ(3)と、前記センサによって検出された運転状
    態量に基づいて前記両軸間の実位相差角を算出する回転
    位相差検出手段(4)と、前記センサによって検出され
    た運転状態量に基づいて回転位相差の目標値を決定する
    目標値決定手段(5)と、前記実位相差角を回転位相差
    の目標値に一致させるための制御値を生成して前記駆動
    手段に出力する制御手段(6)とを具備する弁動作タイ
    ミング調整装置において、 前記制御手段は、前記目標値の偏差が、所定の値以下で
    ない場合において、前記実位相差角と回転位相差の目標
    値との偏差に基づいて、前記カム軸進角値の進行方向が
    進角方向か、遅角方向かを判断するカム軸進角方向判定
    手段と、前記カム軸進角値の進行方向が進角方向である
    場合で、且つ前記目標値の偏差が、所定の値以下である
    場合において、前記進角値を学習しながら決定する進角
    値学習手段と、前記カム軸進角値の進行方向が遅角方向
    である場合に、前記制御手段から出力されるカム軸進角
    値操作量に基づいて、デューティ比変化させた駆動パル
    スを発生させる駆動周波数変換手段とから構成されてお
    り、前記駆動手段は、前記進角値学習手段からの進角値
    若しくは、前記駆動周波数変換手段から出力される駆動
    パルスにより駆動される様に構成されていることを特徴
    とする弁動作タイミング制御装置。
  2. 【請求項2】 前記駆動周波数変換手段は、前記カム軸
    進角値の進行方向が遅角方向である場合に、前記制御手
    段から出力されるカム軸進角値操作量を0%〜50%の
    範囲に対する比率に換算して、それに相当するデューテ
    ィ比を持つ駆動パルスを発生させる様に構成されている
    事を特徴とする請求項1記載の弁動作タイミング調整装
    置。
  3. 【請求項3】 前記駆動周波数変換手段は、前記カム軸
    進角値の進行方向が遅角方向である場合に、前記制御手
    段から出力されるカム軸進角値操作量を積分する積分手
    段と、その積分値が予め定められた値とを比較する積分
    値比較手段と、前記積分手段から出力される積分値が、
    前記積分値比較手段に於いて予め定められた値と等しい
    か、それ以上である場合に、前記予め定められた積分値
    と等しい面積を持つ様なデューティ比を持った駆動パル
    スを発生させる駆動パルス発生手段とから構成されてい
    る事を特徴とする請求項1記載の弁動作タイミング調整
    装置。
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