JPH07269154A - 立体駐車場 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 立体駐車場でのリフトスペースを減少させ、
建物の１階にスペースを造出する。 【構成】 タワー２にラック１４を設け、ピニオン１０
と昇降モータ８で搬器４を昇降させる。タワー２の頂部
に巻き上げ器が不要なので、地下式の立体駐車場に対し
て、地上階にスペースを造出できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の利用分野】この発明は立体駐車場に関し、特に
その搬器タワーの改良に関する。

【０００２】

【従来技術】発明者は、リフトと台車と入出庫バースと
の動作を同時に進行させるようにした立体駐車場を提案
した（特開平１−２７１５８５号公報）。この立体駐車
場では、駐車フロアには台車と駐車スペースとが有り、
入出庫フロアにはリフトに面して入出庫バースがある。
そして入出庫フロアと駐車フロアはリフトで接続し、リ
フトは入庫用と出庫用を設ける。車両の連続入庫サイク
ルを考えると、台車が車両を搬送している間に、入庫リ
フトは次の車両を搬送し、これと同時に入庫バースには
さらに次の車両が自走で進入してくる。同様に連続出庫
サイクルでは、出庫バースから車両が発進して行くのと
同時に出庫リフトは次の車両を入出庫フロアへ搬送し、
台車はさらに次の車両を出庫リフトへ面した位置へと搬
送する。車両のバースへの進入やバースからの発進、リ
フトの移動、台車の運動の３種を同時に行わせることに
より、入出庫サイクルは短縮し、大規模で高速の立体駐
車場が得られる。このような立体駐車場は、主として大
型ビルの地下に設けられる。

【０００３】高速立体駐車場のリフトにはホイスト型の
リフトが用いられ、リフトの籠は巻き上げ機でワイヤを
巻き上げることで昇降する。巻き上げ機はリフトの頂部
に有り、地下駐車場の場合１階に設けられる。そして１
階は建物において最も空間価値が高い部分であり、１階
の高さを例えば４〜５ｍとすると、その内約２．５ｍが
籠や入出庫バースあるいはこれに接続した自走スペース
等の立体駐車場の本来の施設に必要で、残る約２ｍを巻
き上げ機が占有する。このため１階空間は、立体駐車場
の設備で占められてしまう。

【０００４】

【発明の課題】この発明の課題は、 1) 巻き上げ機が不要な搬器タワーを用いて、建物の１
階にスペースを造出し、 2) 搬器タワーの周囲のデッドスペースを削減して、立
体駐車場の面積を削減することにある（請求項１）。請
求項２での課題は、 3) 搬器の車両送りコンベアのモータを不要にすること
にある。請求項３での課題は、 4) 搬器の昇降音を小さくすることにある。

【０００５】

【発明の構成と作用】この発明は、車両を搬送するため
の搬器と、搬器が移動するスペースとなる搬器タワー
と、駐車フロアに設けた台車と駐車スペースと、入出庫
フロアに搬器タワーに接して設けた入出庫バースとを有
し、搬器と台車と駐車スペースと入出庫バースの各々に
車両送りコンベアを設けた立体駐車場において、前記搬
器タワーの支柱に沿ってラックを設け、かつ搬器にはピ
ニオンと昇降モータとを設けたことを特徴とする。好ま
しくは、搬器タワーの搬器のモータを搬器の車両送りコ
ンベアのモータに兼用する。搬器タワーは入庫専用と出
庫専用とに分離するのが好ましく、これに伴って入出庫
バースは入庫バースと出庫バースとの２種を設けるのが
好ましい。また駐車フロアは原則として建物やその周囲
の地下に設け、入出庫フロアは建物の１階に設ける。好
ましくはピニオンを、ポリカーボネートやポリアミド樹
脂等のエンジニアリングプラスチックで構成し、ラック
との噛み合い音を消し、昇降音を小さくする。

【０００６】この発明では搬器タワー頂部の巻き上げ機
が不要になり、その結果従来巻き上げ機が占めていたス
ペースを中２階として提供できる。次にホイスト型の搬
器タワーでは搬器と周囲の壁の間にスペースを設け、搬
器が振動しても周囲の壁に触れないようにする必要があ
った。このため搬器と搬器タワーの壁との間にデッドス
ペースがあり、しかも駐車フロアでは搬器タワーの断面
積が１台当たりの駐車スペースよりも広いため、駐車ス
ペースの配列が乱れ、ここにもデッドスペースが生じて
いた。しかしこの発明ではこのようなデッドスペースを
削減できる。またラックとピニオンを用いると、搬器の
停止位置はピニオンの回転数で定まり、停止位置を精密
に制御できる。

【０００７】

【実施例】図１〜図４に実施例を示す。図において、２
は搬器タワーで、４はその搬器、６は車両送り用のコン
ベアで、搬器４に搭載する。８はモータ、１０はピニオ
ンで、好ましくはポリカーボネートやポリアミド樹脂等
のエンジニアリングプラスチックを用いる。１２は搬器
タワー２の支柱、１４はラックである。コンベア６には
前輪用と後輪用とにそれぞれスラットコンベアを設け、
モータ８はコンベア６の動力に兼用する。支柱１２は搬
器タワー２の周囲に４本設け、例えばＨ型鋼やＬ型鋼と
し、型鋼の中心にラック１４を貼り合わせ、ラック１４
の両側の突起でピニオン１０の脱落を防止する。ラック
１４は高張力鋼である必要はなく、軟鋼やプラスチッ
ク、セラミックでも良い。

【０００８】図２に駐車フロア２２を示す。２４は前輪
用のスラットコンベア、２６は後輪用のスラットコンベ
アで、車両送りコンベア６はこれらのコンベア２４，２
６で構成し、２８は駐車スペース、３０は台車で、３２
はその走行レール、３４は防火壁である。搬器４や搬器
タワー２の断面積は駐車スペース２８の面積とほぼ等し
く、駐車スペース２８の配列が乱れることはない。これ
に対してホイスト型の搬器タワーでは搬器と周囲の壁の
間にスペースが必要で、搬器タワーの断面積は駐車スペ
ース２８の面積よりも大きくなる。駐車スペース２８は
走行レール３２に向かい合って対称に設けるので、搬器
タワーの断面積が駐車スペース２８よりも大きいと、駐
車スペース側にも同じ面積だけの無駄が生じる。また搬
器タワーの奥行きが駐車スペース２８の奥行きよりも大
きいと、その分だけ防火壁３４の側にも無駄が生じる。
実施例では搬器タワー２の断面積は駐車スペース２８の
面積とほぼ同じで、スペースの無駄が少ない。

【０００９】図３に搬器４の底面を示す。３６，３８は
ギアボックスで、ギアボックス３６はモータ８の動力を
ピニオン１０に伝達し、ギアボックス３８はモータ８の
動力をスラットコンベア２４，２６に伝達する。なおピ
ニオン１０とコンベア２４，２６が同時に動作すること
は無く、１個のモータ８で搬器４の動力を賄い、かつコ
ンベア用モータを不要にして搬器４の自重を軽減でき
る。また図３に示すように、搬器４は周囲４箇所の支柱
１２に設けたラック１４にピニオン１０を噛み合わせて
支持し、ピニオン１０のぶれをＨ型鋼やＬ型鋼からなる
支柱１２の両側の突起で防止する。

【００１０】搬器４の上下位置はピニオン１０の回転数
で制御でき、搬器４の制御は容易である。ラック１４は
支柱１２に結合され、ラック１４に加わる力は支柱１２
で支えられる。このため高価な高張力鋼でなくても、安
価な軟鋼等でラック１４を形成できる。また立体駐車場
では駐車フロア２２の層数を３層程度とすると、ラック
１４の長さは８〜１０ｍ程度となる。ラック１４の長さ
が短いため、加工も容易である。更にピニオン１０をエ
ンジニアリングプラスチックで構成すると、ラック１４
との噛み合いによる昇降音が小さく、またエンジニアリ
ングプラスチックとしたため、交換不能なラック１４の
摩耗を防止できる。これらに伴いピニオン１０が摩耗す
るが、立体駐車場は定期点検を行うのが前提で、点検時
に摩耗したピニオン１０を交換すれば良い。

【００１１】図４に、駐車フロア２２を３層設けた立体
駐車場の構造を示す。図において、４０は入出庫バース
で、搬器タワー２を入庫専用と出庫専用の２基設けるた
め、実際には入庫専用バースあるいは出庫専用バースと
して用いる。４２は建物の１階で、４４は立体駐車場の
上部に設けた中２階である。１階の高さを４．５ｍとす
ると、立体駐車場の入出庫フロア４６に必要な高さは
２．５ｍ程度である。そこで搬器タワー２の頂部の巻き
上げ機が不要になれば、残る２ｍを用いて中２階４４を
構成し、床高さが不足の場合、図のように入出庫フロア
４６を１ｍ程度掘り下げて半地下式にすれば良い。この
結果最も貴重な１階フロアに中２階４４を設けることが
できる。

【００１２】

【変形例】図５に、ラック１４とピニオン１０を１組だ
け用い、コロ５４で搬器５０の傾きを防止するようにし
た変形例を示す。図において、５０は搬器、５２はスラ
ットコンベア２４，２６の駆動モータ、５４はコロ、５
６はレールである。この変形例では、搬器５０の傾きを
４つのコロ５４をレール５６に沿って回転させることで
防止し、ラック１４とピニオン１０の組み合せは１組の
み用いてる。またコンベア２４，２６の駆動モータと、
昇降用のモータ８とを分離した。これ以外の点では、図
１〜図４の実施例と同様である。

【００１３】またラックはピニオン１０と噛み合う突起
があれば良く、例えば図６のようにしても良い。図にお
いて５８は新たなラックで、量産のチェーンベルトをラ
ックとして用いたもので、ピニオン１０と反対側の面を
支柱１２に固定し、ラック５８とする。

【００１４】

【発明の効果】請求項１の発明では、以下の効果が得ら
れる。 1) 巻き上げ機を不要にして建物の１階空間を開放し、
中２階を設けることができる。 2) 搬器タワーの搬器と壁の間のデッドスペースを削減
し、デッドスペースを削減できる。 3) 搬器の位置はピニオンの回転数で定まるので、搬器
タワーの制御が容易になる。請求項２の発明では、これ
らに加えて、 4) 搬器のモータを昇降と車両の送りに兼用できる。請
求項３の発明では、1)〜3)に加えて、 5) ラックとピニオンの噛み合いによる昇降音を小さく
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施例の立体駐車場の搬器タワーの断面図

【図２】 実施例の立体駐車場の駐車フロアの平面図

【図３】 実施例の立体駐車場の搬器の底面図

【図４】 実施例の立体駐車場の断面図

【図５】 変形例の搬器の底面図

【図６】 変形例のラックの斜視図

【符号の説明】

２ 搬器タワー ３６，３８
ギアボックス ４ 搬器 ４０ 入出
庫バース ６ コンベア ４２ １階 ８ モータ ４４ 中２
階 １０ ピニオン ４６ 入出
庫フロア １２ 支柱 ５０ 搬器 １４ ラック ５２ モー
タ ２２ 駐車フロア ５４ コロ ２４，２６ スラットコンベア ５６ レー
ル ２８ 駐車スペース ５８ ラッ
ク ３０ 台車 ３２ 走行レール ３４ 防火壁

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両を搬送するための搬器と、搬器が移
   動するスペースとなる搬器タワーと、駐車フロアに設け
   た台車と駐車スペースと、入出庫フロアに搬器タワーに
   接して設けた入出庫バースとを有し、搬器と台車と駐車
   スペースと入出庫バースの各々に車両送りコンベアを設
   けた立体駐車場において、 前記搬器タワーの支柱に沿ってラックを設け、かつ搬器
   にはピニオンと昇降モータとを設けたことを特徴とす
   る、立体駐車場。
2. 【請求項２】 搬器のモータを搬器の車両送りコンベア
   のモータに兼用したことを特徴とする、請求項１の立体
   駐車場。
3. 【請求項３】 搬器のピニオンをエンジニアリングプラ
   スチックで構成したことを特徴とする、請求項１の立体
   駐車場。