JPH07268658A - ニッケルを含む塩化鉄系廃液の再生方法 - Google Patents

ニッケルを含む塩化鉄系廃液の再生方法

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JPH07268658A
JPH07268658A JP6065194A JP6065194A JPH07268658A JP H07268658 A JPH07268658 A JP H07268658A JP 6065194 A JP6065194 A JP 6065194A JP 6065194 A JP6065194 A JP 6065194A JP H07268658 A JPH07268658 A JP H07268658A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 工業化が可能な低い消費電力で、ニッケルを
含む塩化鉄系の廃液を再生する。 【構成】 (i)ニッケルを含む塩化鉄系溶液の塩酸濃度
を調整し、(ii)塩化ニッケルを主成分とする結晶を晶析
分離し、(iii)分離した結晶を電解還元して鉄-ニッケル
合金を電解析出し、(iv)結晶分離後の液を濃縮して塩化
水素を蒸発分離して、及び(v)当該濃縮液を濃度調整す
ることで塩化鉄系再生液とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、シャドーマス
ク、リードフレーム等の製造工程から排出されるニッケ
ルを含む塩化鉄系の廃液、更に詳しくは塩化ニッケル、
塩化第2鉄、塩化第1鉄及び塩酸を含んで成るエッチン
グ液から循環工程においてニッケル及び鉄成分を分離回
収し、回収後の液を再生液としてリサイクルする方法に
関するものである。
【従来の技術】従来、例えば特開昭59−190367
号公報には、エッチング能力を有さない鉄及びニッケル
を含む溶液を対象とし、当該溶液にオキシム試薬を加え
て、ニッケルを含む組成物を沈殿性錯塩に変性し、鉄を
含む組成物とは反応させることなく水溶性のままとした
上で、当該鉄を含む組成物のみを濾過法により分離し、
この分離された鉄を含む組成物を塩素ガスと反応させる
ことで、エッチング能力を有する塩化第2鉄を含む溶液
に再生する方法が開示されている。このようなオキシム
試薬利用法においては、エッチングによって金属板から
溶解する鉄分の増加に従って次第に液中の鉄成分が過剰
になるので、金属元素のイオン化傾向の差を用いて銅等
を還元する所謂セメンテーション法と同様に、ニッケル
錯塩析出後の溶液は塩化第1鉄を主な成分とすることに
なる。そのためエッチング液として再生するためには更
に塩素ガスを吹き込むことが必要となり、短時間で高濃
度の溶液となってしまうので、希釈して余剰分を処理し
なければならないという煩わしい問題を抱えている。更
に当該方法では、分離した沈殿物がニッケルの錯塩であ
るために、現在のところ、そのまま有効利用することが
できず、当該錯塩を化学的に処理して、改めて金属ニッ
ケルを回収せざるをえない。また特開昭59−2194
7号公報には、中性リン酸エステル等の有機溶媒を用い
て本質的にFeイオンとClイオンを含有する水溶液か
らFeCl3とHClを選択的に抽出し、これらの鉄塩
化物錯体を含む有機溶媒に対して水による逆抽出を行
い、しかる後に逆抽出液を濃縮してFeCl3液を回収
することが開示されている。当該方法においては、逆抽
出液から再生液をリサイクルするのに濃縮工程を必要と
すること、排水処理設備が必要になることから工業的に
実用化するには困難が伴うという問題を有している。
【発明が解決しようとする課題】上記の両方法とは異な
るエッチング廃液を電解処理する方法として、特開昭6
1−104092号公報には、イオン交換膜によって区
画された電解槽の陽極室に第1鉄塩を含み第2鉄塩を有
効成分とするエッチング廃液を供給して連続的に酸化再
生することが開示されている。この方法では2価鉄から
3価鉄への反応を電流効率ほぼ100%で行うことがで
きる。しかしながら、当該方法においては、使用する隔
膜が陰イオン交換膜であるために、再生すべき廃液中の
陽イオン、特に2価のニッケルを陰極側へ移動させるこ
とができない。また当該公報の実施例では、FeCl3
を追加してNiCl2を一定濃度に保つとしており、当
該方法では、増加する塩化鉄溶液を排出して別途、処理
することが必要となる。更に使用されるイオン交換膜は
比較的高価で耐久性に乏しく、取り扱いも煩雑で実用性
の点で難がある。そこで本発明者らは先に、ニッケルを
含む塩化鉄系溶液を冷却して、塩化第2鉄を主成分とす
る結晶を晶析分離し、結晶分離後の液を電解槽の陰極側
に導き鉄-ニッケル合金を電解析出し、合金析出後の液
を陽極側に移して、含有する塩化第1鉄を塩化第2鉄に
電解酸化するとともに、当該陽極側で発生する塩素ガス
を酸化剤として上記とは別のニッケルを含む塩化鉄系溶
液を酸化し、塩素成分分離後の液を電解槽から取り出し
て、上記塩化鉄系結晶を溶解して塩化鉄系溶液を再生す
ることを提案した(特願平5−220114号、平成5
年9月3日出願)。このような方法によって消費電力を
減らしながら効率良くニッケル含有の塩化鉄系廃液を再
生することができる。しかしながら当該方法を更に詳細
に検討すると、電解段階で2価鉄を一旦3価鉄にした後
に再度2価鉄に戻すことが行われるので、電力的に無駄
な部分をなお有している。そこで本発明は、なお一層低
い消費電力で、ニッケルを含む塩化鉄系の廃液を再生す
るとともに、高い回収率でニッケルを回収することを課
題とする。
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を、
(i)ニッケルを含む塩化鉄系溶液の塩酸濃度を調整し、
(ii)塩化ニッケルを主成分とする結晶を晶析分離し、(i
ii)分離した結晶を電解還元して鉄-ニッケル合金を電解
析出し、(iv)結晶分離後の液を濃縮して塩化水素を蒸発
分離して、及び(v)当該濃縮液を濃度調整することで塩
化鉄系再生液とすることで解決した。シャドーマスク等
の製造工程から排出される塩化鉄系廃液の金属濃度が、
上記(ii)の晶析処理の際に効率良く結晶を得るために必
要とされる程に高くない場合には、上記(i)の塩酸濃度
調整に先立ち、ニッケルを含む塩化鉄系溶液を濃縮する
のが良い。その際に発生する水蒸気を上記(v)の濃縮液
の濃度調整のために用いれば、なお好ましい。上記(ii
i)の電解処理の際、電解槽の陽極側で発生する塩素ガス
を酸化剤として用いて、上記一連の再生プロセスに使用
される溶液とは別の塩化鉄系溶液を酸化すれば、好都合
である。上記(iv)の濃縮処理の際に発生する塩化水素を
上記(i)の塩酸濃度の調整のために用いるのが好適であ
る。
【作用】シャドーマスク等の製造工程で排出されるニッ
ケルを含む塩化鉄系の廃液における塩酸濃度は、本発明
の最初の段階で濃縮調整される塩酸濃度に比べて一般的
に非常に低い水準にある(約0.1%濃度)ので、所定
レベルまで濃度を高めるために先ずスタートアップのプ
ロセスが施される。ここにいう所定レベルとは、下記塩
酸濃度調整を行うために工業的に支障のない程度であ
る。予濃縮に際しては、各種公知の濃縮プロセスを用い
ることができるが、液を加熱して水蒸気を発生させる最
も簡単なプロセスが、生じる水蒸気を最終段階での希釈
に用いることができるので好ましい。このように予濃縮
した塩化鉄系溶液に、(iv)の濃縮処理の際に発生する塩
化水素の蒸気を接触させて液の塩酸濃度を調整する。そ
の濃度は、HClとして約10%である。この塩酸濃度
のもとで塩化鉄、塩化ニッケルが飽和となる温度以下に
液を冷却すると、塩化ニッケルが晶析することが知られ
ている。酸濃度を調整された溶液は冷却され、塩化ニッ
ケルを主成分とする結晶が析出分離される。液中の塩化
ニッケルが飽和状態となる温度以下に、例えば約20℃
まで冷却する。析出された結晶は、電解槽の陰極側に導
かれる。この陰極側で、鉄イオン及びニッケルイオンは
還元電析され、金属が回収される。例えば、陽極にDS
E電極(RuO2/Ti)、陰極にチタン板を使用し、
電流密度7.5A/dm2、電圧約3.5Vで隔膜電解
法により電解を行う。隔膜には、ポリエステル製濾過布
を用い、電解液の温度を約70℃とすることができる。
結晶分離後の液を再度濃縮して、塩化水素を蒸発させ
る。その濃縮方法は、上記予濃縮と同様に、液を加熱し
て水蒸気を発生させる最も簡単なプロセスで十分であ
る。発生した塩化水素を初期の塩酸濃度調整に用いるの
は、既述した通りである。塩化水素を蒸発させた液を、
予濃縮の際に発生した水蒸気を用いて希釈して、塩化鉄
系再生エッチャントとする。電解の際に発生する塩素ガ
スをエッチング工程に導けば、酸化剤としてエッチング
有効成分たる塩化鉄の再生に利用することが可能とな
る。
【実施例】以下に本発明の実施例をあげてさらに具体的
に説明する。スタートアップ エッチング工程から、2価の鉄成分12.6g/リット
ル、3価の鉄成分265g/リットル、ニッケル成分1
3.9g/リットル、塩素成分525g/リットルの組
成からなる比重1.543のエッチャントを2000m
l取り出し、120℃で減圧濃縮し、940ml液体に
相当する水蒸気と、2価の鉄成分23.8g/リット
ル、3価の鉄成分500g/リットル、ニッケル成分2
6.2g/リットル、塩素成分966.9g/リットル
の組成からなる1060mlの濃縮液とを得た。当該濃
縮液に35%塩酸(比重1.18)を1000ml加え
て、20℃で濾過して(冷却晶析)、208.08gの
結晶と、2価の鉄成分1.0g/リットル、3価の鉄成
分261.8g/リットル、ニッケル成分2.63g/
リットル、塩素成分676.6g/リットルの組成から
なる比重1.545の1975mlの濾液を得た。実施例 図1に概念的に示されたフローにおいて、エッチング工
程から、上記スタートアップと同じ組成のエッチャント
を2020ml取り出し、120℃で減圧濃縮し(第1
段階濃縮)、1060ml液体に相当する水蒸気と、2
価の鉄成分26.5g/リットル、3価の鉄成分55
7.6g/リットル、ニッケル成分29.3g/リット
ル、塩素成分1069.1g/リットルの組成からなる
960mlの濃縮液とを得た。一方、上記スタートアッ
プの冷却晶析で得た濾液を同じく120℃で減圧濃縮
し、得られた塩化水素の蒸気を上記濃縮液に接触・吸収
させることで酸濃度を調整し、2価の鉄成分13.8g
/リットル、3価の鉄成分289.4g/リットル、ニ
ッケル成分15.2g/リットル、塩素成分733.6
g/リットルの組成からなる酸添加液1850mlを得
た。当該液を20℃に冷却・濾過して、2価の鉄成分
7.64%、3価の鉄成分9.39%、ニッケル成分
6.63%、塩素成分36.0%の組成からなる33
3.0gの結晶と、痕跡程度の2価の鉄成分、3価の鉄
成分281g/リットル、ニッケル成分3.5g/リッ
トル、塩素成分695g/リットルの組成からなる17
80mlの濾液とに分離した。この冷却晶析で得られた
結晶を、2価の鉄成分130.2g/リットル、ニッケ
ル成分50.8g/リットル、塩素成分226.7g/
リットルの組成からなる比重1.30の電解液1lに溶
解して、2価の鉄成分138.8g/リットル、3価の
鉄成分31.3g/リットル、ニッケル成分66.3g
/リットル、塩素成分296g/リットルの組成からな
る比重1.437の液として電解槽の陰極側に戻し、電
解を行い、陰極側でFe-Ni合金78.5g、陽極側
で塩素ガス98.8gを得た。Fe-Ni合金の組成を
調べたところ、Ni分が28%重量であった。電解に要
した電力は回収金属1g当たり4.5Whであった。陽
極側で発生した塩素ガスを吸収塔においてエッチャント
20lに吸収させたところ、2価の鉄成分4.8g/リ
ットル、3価の鉄成分272.8g/リットル、ニッケ
ル成分13.9g/リットル、塩素成分529.9g/
リットルの組成となり、再生エッチャントとしてエッチ
ング工程に戻すことができた。一方、冷却晶析で得られ
た濾液を、再度120℃で濃縮し(第2段階濃縮)、塩
化水素の蒸気を分離した後の、痕跡程度の2価の鉄成
分、3価の鉄成分562.0g/リットル、ニッケル成
分7.0g/リットル、塩素成分1018.3g/リッ
トルの組成からなる濃縮液890mlを得た。この濃縮
液を第1段階濃縮で得た水蒸気を利用して希釈し、3価
の鉄成分256.5g/リットル、ニッケル成分3.2
g/リットル、塩素成分482.3g/リットルの組成
からなる比重1.427の1950ml液を得た。これ
を再生エッチャントとしてエッチング工程に戻した。以
上の操作はバッチプロセスとして行ったが、工業的には
図1に示すように連続処理することが好ましい。
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明は以下の効果を奏するものである。即ち、エッ
チング工程で循環使用されるエッチャントから溶解した
金属成分のみを回収できる(クローズド化)、電解工
程に送る結晶の組成をNi:Fe≒1:3にできるの
で、電解工程で
【数1】
【数2】 の反応による無駄な消費電力をなくすことができる。本
発明者らが先に提案した特願平5−220114号開示
技術等と比べると、表1のようになる。
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの再生工程を示す概略フロー図で
ある。
【符号の説明】 1 エッチング槽 2 電解槽 3 吸収塔
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ニッケルを含む塩化鉄系廃液の再生
方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、シャドーマス
ク、リードフレーム等の製造工程から排出されるニッケ
ルを含む塩化鉄系の廃液、更に詳しくは塩化ニッケル、
塩化第2鉄、塩化第1鉄及び塩酸を含んで成るエッチン
グ液から循環工程においてニッケル及び鉄成分を分離回
収し、回収後の液を再生液としてリサイクルする方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開昭59−190367
号公報には、エッチング能力を有さない鉄及びニッケル
を含む溶液を対象とし、当該溶液にオキシム試薬を加え
て、ニッケルを含む組成物を沈殿性錯塩に変性し、鉄を
含む組成物とは反応させることなく水溶性のままとした
上で、当該鉄を含む組成物のみを濾過法により分離し、
この分離された鉄を含む組成物を塩素ガスと反応させる
ことで、エッチング能力を有する塩化第2鉄を含む溶液
に再生する方法が開示されている。
【0003】このようなオキシム試薬利用法において
は、エッチングによって金属板から溶解する鉄分の増加
に従って次第に液中の鉄成分が過剰になるので、金属元
素のイオン化傾向の差を用いて銅等を還元する所謂セメ
ンテーション法と同様に、ニッケル錯塩析出後の溶液は
塩化第1鉄を主な成分とすることになる。そのためエッ
チング液として再生するためには更に塩素ガスを吹き込
むことが必要となり、短時間で高濃度の溶液となってし
まうので、希釈して余剰分を処理しなければならないと
いう煩わしい問題を抱えている。更に当該方法では、分
離した沈殿物がニッケルの錯塩であるために、現在のと
ころ、そのまま有効利用することができず、当該錯塩を
化学的に処理して、改めて金属ニッケルを回収せざるを
えない。
【0004】また特開昭59−21947号公報には、
中性リン酸エステル等の有機溶媒を用いて本質的にFe
イオンとClイオンを含有する水溶液からFeCl3
HClを選択的に抽出し、これらの鉄塩化物錯体を含む
有機溶媒に対して水による逆抽出を行い、しかる後に逆
抽出液を濃縮してFeCl3液を回収することが開示さ
れている。
【0005】当該方法においては、逆抽出液から再生液
をリサイクルするのに濃縮工程を必要とすること、排水
処理設備が必要になることから工業的に実用化するには
困難が伴うという問題を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の両方法とは異な
るエッチング廃液を電解処理する方法として、特開昭6
1−104092号公報には、イオン交換膜によって区
画された電解槽の陽極室に第1鉄塩を含み第2鉄塩を有
効成分とするエッチング廃液を供給して連続的に酸化再
生することが開示されている。この方法では2価鉄から
3価鉄への反応を電流効率ほぼ100%で行うことがで
きる。
【0007】しかしながら、当該方法においては、使用
する隔膜が陰イオン交換膜であるために、再生すべき廃
液中の陽イオン、特に2価のニッケルを陰極側へ移動さ
せることができない。
【0008】また当該公報の実施例では、FeCl3
追加してNiCl2を一定濃度に保つとしており、当該
方法では、増加する塩化鉄溶液を排出して別途、処理す
ることが必要となる。更に使用されるイオン交換膜は比
較的高価で耐久性に乏しく、取り扱いも煩雑で実用性の
点で難がある。
【0009】そこで本発明者らは先に、ニッケルを含む
塩化鉄系溶液を冷却して、塩化第2鉄を主成分とする結
晶を晶析分離し、結晶分離後の液を電解槽の陰極側に導
き鉄-ニッケル合金を電解析出し、合金析出後の液を陽
極側に移して、含有する塩化第1鉄を塩化第2鉄に電解
酸化するとともに、当該陽極側で発生する塩素ガスを酸
化剤として上記とは別のニッケルを含む塩化鉄系溶液を
酸化し、塩素成分分離後の液を電解槽から取り出して、
上記塩化鉄系結晶を溶解して塩化鉄系溶液を再生するこ
とを提案した(特願平5−220114号、平成5年9
月3日出願)。
【0010】このような方法によって消費電力を減らし
ながら効率良くニッケル含有の塩化鉄系廃液を再生する
ことができる。しかしながら当該方法を更に詳細に検討
すると、電解段階で2価鉄を一旦3価鉄にした後に再度
2価鉄に戻すことが行われるので、電力的に無駄な部分
をなお有している。
【0011】そこで本発明は、なお一層低い消費電力
で、ニッケルを含む塩化鉄系の廃液を再生するととも
に、高い回収率でニッケルを回収することを課題とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を、
(i)ニッケルを含む塩化鉄系溶液の塩酸濃度を調整し、
(ii)塩化ニッケルを主成分とする結晶を晶析分離し、(i
ii)分離した結晶を電解還元して鉄-ニッケル合金を電解
析出し、(iv)結晶分離後の液を濃縮して塩化水素を蒸発
分離して、及び(v)当該濃縮液を濃度調整することで塩
化鉄系再生液とすることで解決した。
【0013】シャドーマスク等の製造工程から排出され
る塩化鉄系廃液の金属濃度が、上記(ii)の晶析処理の際
に効率良く結晶を得るために必要とされる程に高くない
場合には、上記(i)の塩酸濃度調整に先立ち、ニッケル
を含む塩化鉄系溶液を濃縮するのが良い。その際に発生
する水蒸気を上記(v)の濃縮液の濃度調整のために用い
れば、なお好ましい。
【0014】上記(iii)の電解処理の際、電解槽の陽極
側で発生する塩素ガスを酸化剤として用いて、上記一連
の再生プロセスに使用される溶液とは別の塩化鉄系溶液
を酸化すれば、好都合である。
【0015】上記(iv)の濃縮処理の際に発生する塩化水
素を上記(i)の塩酸濃度の調整のために用いるのが好適
である。
【0016】
【作用】シャドーマスク等の製造工程で排出されるニッ
ケルを含む塩化鉄系の廃液における塩酸濃度は、本発明
の最初の段階で濃縮調整される塩酸濃度に比べて一般的
に非常に低い水準にある(約0.1%濃度)ので、所定
レベルまで濃度を高めるために先ずスタートアップのプ
ロセスが施される。ここにいう所定レベルとは、下記塩
酸濃度調整を行うために工業的に支障のない程度であ
る。予濃縮に際しては、各種公知の濃縮プロセスを用い
ることができるが、液を加熱して水蒸気を発生させる最
も簡単なプロセスが、生じる水蒸気を最終段階での希釈
に用いることができるので好ましい。
【0017】このように予濃縮した塩化鉄系溶液に、(i
v)の濃縮処理の際に発生する塩化水素の蒸気を接触させ
て液の塩酸濃度を調整する。その濃度は、HClとして
約10%である。この塩酸濃度のもとで塩化鉄、塩化ニ
ッケルが飽和となる温度以下に液を冷却すると、塩化ニ
ッケルが晶析することが知られている。
【0018】酸濃度を調整された溶液は冷却され、塩化
ニッケルを主成分とする結晶が析出分離される。液中の
塩化ニッケルが飽和状態となる温度以下に、例えば約2
0℃まで冷却する。
【0019】析出された結晶は、電解槽の陰極側に導か
れる。この陰極側で、鉄イオン及びニッケルイオンは還
元電析され、金属が回収される。例えば、陽極にDSE
電極(RuO2/Ti)、陰極にチタン板を使用し、電
流密度7.5A/dm2、電圧約3.5Vで隔膜電解法
により電解を行う。隔膜には、ポリエステル製濾過布を
用い、電解液の温度を約70℃とすることができる。
【0020】結晶分離後の液を再度濃縮して、塩化水素
を蒸発させる。その濃縮方法は、上記予濃縮と同様に、
液を加熱して水蒸気を発生させる最も簡単なプロセスで
十分である。発生した塩化水素を初期の塩酸濃度調整に
用いるのは、既述した通りである。
【0021】塩化水素を蒸発させた液を、予濃縮の際に
発生した水蒸気を用いて希釈して、塩化鉄系再生エッチ
ャントとする。
【0022】電解の際に発生する塩素ガスをエッチング
工程に導けば、酸化剤としてエッチング有効成分たる塩
化鉄の再生に利用することが可能となる。
【0023】
【実施例】以下に本発明の実施例をあげてさらに具体的
に説明する。
【0024】スタートアップ エッチング工程から、2価の鉄成分12.6g/リット
ル、3価の鉄成分265g/リットル、ニッケル成分1
3.9g/リットル、塩素成分525g/リットルの組
成からなる比重1.543のエッチャントを2000m
l取り出し、120℃で減圧濃縮し、940ml液体に
相当する水蒸気と、2価の鉄成分23.8g/リット
ル、3価の鉄成分500g/リットル、ニッケル成分2
6.2g/リットル、塩素成分966.9g/リットル
の組成からなる1060mlの濃縮液とを得た。当該濃
縮液に35%塩酸(比重1.18)を1000ml加え
て、20℃で濾過して(冷却晶析)、208.08gの
結晶と、2価の鉄成分1.0g/リットル、3価の鉄成
分261.8g/リットル、ニッケル成分2.63g/
リットル、塩素成分676.6g/リットルの組成から
なる比重1.545の1975mlの濾液を得た。
【0025】実施例 図1に概念的に示されたフローにおいて、エッチング工
程から、上記スタートアップと同じ組成のエッチャント
を2020ml取り出し、120℃で減圧濃縮し(第1
段階濃縮)、1060ml液体に相当する水蒸気と、2
価の鉄成分26.5g/リットル、3価の鉄成分55
7.6g/リットル、ニッケル成分29.3g/リット
ル、塩素成分1069.1g/リットルの組成からなる
960mlの濃縮液とを得た。
【0026】一方、上記スタートアップの冷却晶析で得
た濾液を同じく120℃で減圧濃縮し、得られた塩化水
素の蒸気を上記濃縮液に接触・吸収させることで酸濃度
を調整し、2価の鉄成分13.8g/リットル、3価の
鉄成分289.4g/リットル、ニッケル成分15.2
g/リットル、塩素成分733.6g/リットルの組成
からなる酸添加液1850mlを得た。当該液を20℃
に冷却・濾過して、2価の鉄成分7.64%、3価の鉄
成分9.39%、ニッケル成分6.63%、塩素成分3
6.0%の組成からなる333.0gの結晶と、痕跡程
度の2価の鉄成分、3価の鉄成分281g/リットル、
ニッケル成分3.5g/リットル、塩素成分695g/
リットルの組成からなる1780mlの濾液とに分離し
た。
【0027】この冷却晶析で得られた結晶を、2価の鉄
成分130.2g/リットル、ニッケル成分50.8g
/リットル、塩素成分226.7g/リットルの組成か
らなる比重1.30の電解液1lに溶解して、2価の鉄
成分138.8g/リットル、3価の鉄成分31.3g
/リットル、ニッケル成分66.3g/リットル、塩素
成分296g/リットルの組成からなる比重1.437
の液として電解槽の陰極側に戻し、電解を行い、陰極側
でFe-Ni合金78.5g、陽極側で塩素ガス98.
8gを得た。Fe-Ni合金の組成を調べたところ、N
i分が28%重量であった。電解に要した電力は回収金
属1g当たり4.5Whであった。陽極側で発生した塩
素ガスを吸収塔においてエッチャント20lに吸収させ
たところ、2価の鉄成分4.8g/リットル、3価の鉄
成分272.8g/リットル、ニッケル成分13.9g
/リットル、塩素成分529.9g/リットルの組成と
なり、再生エッチャントとしてエッチング工程に戻すこ
とができた。
【0028】一方、冷却晶析で得られた濾液を、再度1
20℃で濃縮し(第2段階濃縮)、塩化水素の蒸気を分
離した後の、痕跡程度の2価の鉄成分、3価の鉄成分5
62.0g/リットル、ニッケル成分7.0g/リット
ル、塩素成分1018.3g/リットルの組成からなる
濃縮液890mlを得た。この濃縮液を第1段階濃縮で
得た水蒸気を利用して希釈し、3価の鉄成分256.5
g/リットル、ニッケル成分3.2g/リットル、塩素
成分482.3g/リットルの組成からなる比重1.4
27の1950ml液を得た。これを再生エッチャント
としてエッチング工程に戻した。
【0029】以上の操作はバッチプロセスとして行った
が、工業的には図1に示すように連続処理することが好
ましい。
【0030】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明は以下の効果を奏するものである。
【0031】即ち、エッチング工程で循環使用される
エッチャントから溶解した金属成分のみを回収できる
(クローズド化)、電解工程に送る結晶の組成をN
i:Fe≒1:3にできるので、電解工程で
【0032】
【数1】
【0033】
【数2】
【0034】の反応による無駄な消費電力をなくすこと
ができる。本発明者らが先に提案した特願平5−220
114号開示技術等と比べると、表1のようになる。
【0035】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの再生工程を示す概略フロー図で
ある。
【符号の説明】 1 エッチング槽 2 電解槽 3 吸収塔

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)ニッケルを含む塩化鉄系溶液の塩酸
    濃度を調整し、(ii)塩化ニッケルを主成分とする結晶を
    晶析分離し、(iii)分離した結晶を電解還元して鉄-ニッ
    ケル合金を電解析出し、(iv)結晶分離後の液を濃縮して
    塩化水素を蒸発分離して、及び(v)当該濃縮液を濃度調
    整することで塩化鉄系再生液とすることを特徴とする塩
    化鉄系廃液の再生方法。
  2. 【請求項2】 上記(i)の塩酸濃度調整に先立ち、ニッ
    ケルを含む塩化鉄系溶液を濃縮することを特徴とする請
    求項1に記載の再生方法。
  3. 【請求項3】 上記(iii)の電解処理の際、電解槽の陽
    極側で発生する塩素ガスを酸化剤として用いて、上記一
    連の再生プロセスに使用される溶液とは別の塩化鉄系溶
    液を酸化することを特徴とする請求項1に記載の再生方
    法。
  4. 【請求項4】 上記(iv)の濃縮処理の際に発生する塩化
    水素を上記(i)の塩酸濃度の調整のために用いることを
    特徴とする請求項1に記載の再生方法。
  5. 【請求項5】 上記予濃縮の際に発生する水蒸気を上記
    (v)の濃縮液の濃度調整のために用いることを特徴とす
    る請求項2に記載の再生方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE10300597A1 (de) * 2003-01-10 2004-07-22 Eilenburger Elektrolyse- Und Umwelttechnik Gmbh Verfahren und Vorrichtung zur vollständigen Regenerierung von Metallchlorid-Ätzlösungen für Kupferwerkstoffe
CN107058929A (zh) * 2017-04-26 2017-08-18 彭春来 一种钢铁镀锌助镀液自净化环保处理系统及方法

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