JP3492067B2 - エッチング廃液の再生処理方法 - Google Patents
エッチング廃液の再生処理方法Info
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Description
いるニッケルまたはニッケルを含む合金のエッチング工
程から発生する廃液を再生処理する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】陰極線管(CRT)に使用されるNi−
Fe製シャドーマスク、半導体用リードフレーム等を塩
化第二鉄溶液によりエッチングした後の溶液には塩化ニ
ッケルが溶解蓄積してエッチング能力が減退する。従っ
て、従来は、エッチング液中にニッケルが2〜6重量%
程度溶解蓄積した段階で廃棄または再生処理が一般に行
われている。この再生法の従来技術として、電解法(例
えば特許文献1参照)、キレート樹脂による吸着、分離
法(例えば特許文献2参照)、該廃液に金属鉄、鉄粉を
添加する方法(例えば特許文献3参照)、或は該廃液に
塩酸を添加してニッケルを析出させる方法(例えば特許
文献4及び特許文献5参照)等が知られている。 【0003】前記エッチング廃液は、鉄及びニッケルを
主成分として含み、その他にエッチング対象となる金属
板から溶出する各種金属を含有し、また、該廃液は極め
て腐食性を有する。従って、該廃液からニッケルを主と
する望まない金属を分離する方法は技術的、コスト的に
困難な問題を包含している。 【0004】これらの問題として、前記の電解法には、
前記エッチング廃液中に溶解する各種の金属が夫々異な
る電極電位を有し、それらが相互に干渉、競合するため
に、除去すべき金属を効率的に陰極に析出させることが
難しく、また、装置の大型化が免かれないという問題が
ある。 【0005】また、キレート樹脂による吸着、分離法に
は、該廃液処理に水での希釈とこの濃縮工程を要し、装
置の大型化と使用エネルギーの増大を免かれないという
問題がある。 【0006】更に、金属鉄及び金属粉を用いる方法に
は、該廃液処理に固体、粉体を扱う工程が導入されるこ
とになり、装置的、操業的に複雑となるという問題があ
る。 【0007】更にまた、該廃液に塩酸を添加する方法に
は、ニッケルの除去率が高いという利点は有るが、添加
した塩酸の処理のため装置及び運転操作は複雑となり、
且つコスト高となるという問題がある。 【0008】 【特許文献1】特開平4−27300号公報 【特許文献2】特開平2−270973号公報 【特許文献3】特開平1−167235号公報 【特許文献4】特公昭63−10097号公報 【特許文献5】特開昭62−222087号公報 【0009】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は前記
したエッチング廃液の従来の再生処理方法の問題点を解
決して、工程及び装置の単純化を図り、操業が容易で且
つエネルギーコストの低廉なエッチング廃液の再生処理
方法を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明に従えば、塩化第
二鉄を主成分とし、更に塩化第一鉄及び塩化ニッケルを
含有するエッチング廃液に塩素を吹込み、該廃液中の塩
化第一鉄を塩化第二鉄に酸化せしめた後、又は塩素を吹
込むことなく、該廃液をそのまま、または水もしくは塩
酸を添加し、又は適量の水を除去した後、0〜10℃の
温度範囲に冷却して塩化第二鉄、塩化第一鉄及び塩化ニ
ッケルの夫々を6水塩として晶析させることにより、塩
化ニッケルを母液中に濃縮して系外に除去すると共に、
塩化ニッケルの含有量の減少した結晶を水に溶解し、エ
ッチング工程に戻して循環使用することを特徴とするエ
ッチング廃液の再生処理方法が提供される。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明者等は塩化第二鉄、塩化第
一鉄及び塩化ニッケルを主成分とし、少量のクロム、銅
等を含有するエッチング廃液から主としてニッケルを除
去すべく、電解法、樹脂による吸着法、イオン交換法及
び晶析法につき種々試験を行った。その結果、当該廃液
を特定の条件で晶析させた際にニッケルが結晶中に或は
母液中に顕著に濃縮されることを見出し、この知見にも
とづいて本発明を完成させた。 【0012】塩化第二鉄溶液によるNi−Fe合金のエ
ッチング工程において、エッチング液はNi及びFeを
溶解し、例えばFe220g/L、Ni45g/L(N
i/Fe=0.2)でエッチング工程から排出される。
本発明は、該廃液に溶解する余剰のNi及びFeを特定
条件の晶析により分離、除去してエッチング廃液の再生
を図るものである。以下の説明において、特にことわら
ない限り、FeはFe2+及びFe3+の合計を示し、Ni
はNi2+を示す。本発明によれば、該廃液再生の処理工
程及び操業が簡略化され、設備費及び運転費の大幅な低
減が可能となる。 【0013】本発明の再生処理方法は、先づエッチング
廃液に塩素ガスを吹込み、該廃液中の塩化第一鉄を塩素
化して塩化第二鉄に酸化した廃液又は塩素化しない廃液
のいずれにも適用できる。しかしながら、塩素化を行っ
た方が溶液中の鉄分が単一化され、処理が容易となって
好ましい。 【0014】本発明における晶析は以下のようにして行
われる。即ち、前記の塩素化した、或は塩素化していな
いエッチング廃液を、0〜10℃、好ましくは0〜5℃
に冷却する。これにより該廃液中の塩化第一鉄、塩化第
二鉄及び塩化ニッケルは夫々6水塩の結晶として析出す
る。この晶析に際してはニッケルは母液側に濃縮され、
ニッケル含量の少ない結晶が得られる。この結晶を水に
溶解し、得られた溶液はエッチング工程に再使用する。
一方、ニッケル濃度の増加した母液は廃棄またはニッケ
ル回収工程に送られて別途処理する。 【0015】前記した本発明の晶析操作に際し、超音波
及び/又は種晶を用いることは晶析時間を短縮し、廃液
の濃度変化に対応できる等の効果が得られて望ましい。
超音波発生器としては市販のものが適用でき、また、種
晶としては塩化第一鉄、塩化第二鉄及び塩化ニッケルの
水和物が適宜使用できる。 【0016】以下を添付図面参照して説明する。図1は
参考例の再生処理方法を示すフローシートである。エッ
チング廃液の一例として、Fe2+20g/L,Fe3+2
00g/L及びNi40g/Lを主成分とし、その他、
少量のCu2+,Cr3+等を含有する廃液を例として説明
する。この廃液は、約60℃の温度を保ったまま、エッ
チング槽1から塩素化槽2に導かれ、ここで、送入され
る塩素ガス15と接触して該廃液中の塩化第一鉄は塩化
第二鉄に酸化される。この反応温度は80℃±20℃程
度であり、反応速度も速い。この塩素化工程により、エ
ッチング廃液中の塩化第一鉄の95%以上が塩化第二鉄
に酸化される。塩素化された廃液は次いで濃縮槽3に導
かれ、例えば減圧下に濃縮され、廃液の約20〜30重
量%に相当する水分が蒸発、除去される。次いでこの濃
縮液は晶析槽4に導かれ、10〜40℃の温度範囲に冷
却され、塩化第一鉄、塩化第二鉄及び塩化ニッケルのそ
れぞれが2.0〜3.5水塩として存在するスラリーが
得られる。この結晶スラリーは結晶分離器5に送られ、
塩化ニッケルに富む結晶と塩化ニッケル含有量の少ない
母液に分離される。次いで母液は導管12を介してメー
クアップ槽7に導かれ、成分調整後、再生液として導管
16よりエッチング槽1に返送されて再使用される。こ
の際、母液の一部を導管8を介して濃縮槽3に返送する
ことも必要に応じて行われ、これは母液に含まれるニッ
ケル含有量を更に減少させるために効果がある。この晶
析において、結晶スラリーの重量は濃縮液全量の20〜
40重量%で好結果が得られ、1回の晶析で80〜90
重量%のニッケルを結晶中に濃縮分離することができ
る。更に、この晶析を繰り返すことにより、ニッケル含
量のより少ない再生液を得ることができる。 【0017】次に図2を参照して本発明の再生処理方法
を説明する。図2において、エッチング槽1′、塩素化
槽2′を経て、前記参考例と同様に処理された廃液は晶
析槽4′に導かれる。この廃液は例えば晶析槽4′に付
設された導管20を流れる低温のブラインにより熱交換
されて0〜10℃の温度に冷却される。この温度条件に
おいて、廃液中の塩化第二鉄と微量の塩化第一鉄及び塩
化ニッケルは夫々6水塩の結晶を形成し、これらの結晶
混合物が得られる。この晶析に際し、0〜10℃に冷却
された廃液に超音波発生器19による振動を加え或は種
晶を添加し、またはこれらを併用することにより、結晶
の成長を促進することができる。このようにして、廃液
中のニッケルは母液側に濃縮され、ニッケル含量の少な
い結晶が得られ、この結晶は結晶溶解槽18に導かれ、
水で溶解される。この溶液は、次いで導管22を介して
メークアップ槽7′に送られ、ここで組成の調整が行わ
れた後エッチング槽1′に送られてエッチング溶液とし
て再使用することができる。 【0018】 【実施例】以下本発明の実施例及び参考例を更に詳細に
説明するが、本発明の内容を以下の実施例に限定するも
のでないことはいうまでもない。 【0019】例1(参考例) 塩化第二鉄200g/L、塩化第一鉄15g/L及び塩
化ニッケル45g/Lを主成分とするエッチング廃液2
97gをビーカーにとり、常圧下に加熱して約19重量
%の水分を蒸発させて濃縮液241gを得た。この濃縮
液を恒温槽にて25℃に冷却して晶析させた。この1回
の晶析操作で該廃液中のNiの60重量%及びFeの3
0重量%を結晶中に分離することができた。結果は表I
に示す。 【0020】 【表1】 【0021】例2(実施例) 前記例1と同じ組成の廃液を約70℃に加温した後、そ
の廃液に塩素ガスを1時間通じて廃液中のFe2+の大部
分をFe3+に酸化させた。この処理廃液300gを減圧
下に加熱して水分約32重量%を蒸発させ、得られた濃
縮液204gを恒温槽で35℃に冷却して晶析させた。
この例2においては、1回の晶析操作で該廃液中のNi
の80重量%及びFeの40重量%が結晶側に濃縮、分
離され、Ni含量の少ない母液が得られた。この結果を
表IIに示す。 【0022】 【表2】【0023】例3(実施例) 前記例2と同じ組成の塩素化した廃液を、そのまま、或
は水または塩酸を加えて濃縮せずに、0〜10℃に冷却
させた。この例3においては、1回の晶析で該廃液中の
ニッケルの大部分は母液側に濃縮され、ニッケル含量の
顕著に少ない結晶が得られた。この0〜10℃晶析の際
の母液と結晶の割合及び母液側と結晶側に分配されたN
iとFeの量及び割合を表III に示す。 【0024】 【表3】 【0025】例4(参考例) Fe240g/L及びNi48g/Lを含有する廃液1
600gを用い、この廃液中の水分475gを減圧下に
蒸発させた。次いで得られた濃縮液1125gを恒温槽
内で25℃に冷却してFe及びNi夫々の二水塩に相当
する結晶を析出させた。この第一次晶析において結晶4
23gと母液702gが得られ、廃液に含有されていた
Niの70重量%とFeの35重量%が結晶中に濃縮、
分離され、残余のNiとFeは母液側に移行した。この
結晶は次いで約10重量%の水を加え、得られた溶液を
前記と同様に25℃に冷却して第二次の晶析を行った。
この第二次晶析において結晶227gと母液238gが
得られ、この結晶中には廃液中に最初に存在したNi及
びFeの量に対する百分率としてNiの60重量%とF
eの15重量%が濃縮、分離された。一方、第二次晶析
の母液中にはNi10重量%とFe20重量%が移行し
た。これらのうちNi含量の多い結晶は廃液或は別途、
ニッケル回収工程に送られ、Ni含量の少ない母液は再
使用に供される。 【0026】以上は第一次晶析の結晶についての説明で
あるが、この第一次晶析の結晶を分離した母液は、廃液
中のNiの3重量%とFeの65重量%を含有する。こ
の母液はNi含有量を更に減少させるために第二次晶析
を行った。このため母液702gを加熱して水分30g
を蒸発させ、この濃縮液672gを前記と同様に25℃
に冷却して第二次晶析を行い、結晶169gと母液50
3gを濾別した。これらのうち結晶中にはNiの26重
量%とFeの16重量%を含有し、Niを濃縮したこの
結晶は廃液或は別途Ni回収工程に送られる。一方、母
液は4重量%のNiと49重量%のFeを含有し、この
Ni含量の少ない母液は再使用に供される。 【0027】例4の如く、液の濃度及び結晶と母液の比
を適正に選定して多段に晶析を繰り返すことにより、N
i含有量の顕著に減少した再生液として得られる。この
例4において、第一次晶析で得られた母液を二次晶析し
た母液中へのNiの移行率は4重量%であり、原廃液中
に初めに存在した48g/Lに対して1.92g/Lの
濃度になる。一方、Feはエッチング工程で増加した分
を系外に除去する必要がある。この例4の第一次晶析の
母液を二次晶析した母液中へのFeの移行率は49重量
%、第一次晶析の結晶から得られる母液中へのFeの移
行率は20重量%であり、十分に満足できる値といえ
る。このFeの移行率は晶析条件により容易に変更でき
る。この例4の二段晶析におけるNiとFeの分配状態
を纏めて表IVに示す。 【0028】 【表4】 【0029】 【発明の効果】上述の通り、本発明によれば、エッチン
グ廃液中に蓄積する過剰のNi及びFeを晶析操作によ
り容易に分離することができる。更に、この晶析を多段
に行うことによって必要に応じて塩化第二鉄溶液中のN
i濃度を1000mg/L以下に低減することも可能であ
る。本発明の方法によればエッチング廃液の再生処理が
化学反応を伴わない簡易な物理的な方法となり、再生装
置の建設費及び運転費は大巾に低減でき、且つ操業は容
易となる。
後、晶析工程を施してエッチング廃液を再生する参考例
を示すフローチャート図である。 【図2】図2はエッチング廃液を濃縮せずに低温で晶析
を行ってエッチング廃液を再生する本発明の一実施態様
を示すフローチャート図である。 【符号の説明】 1,1′…エッチング槽 2,2′…塩素化槽 3…濃縮槽 4,4′…晶析槽 5,5′…結晶分離器 6…結晶洗浄槽 7,7′…メークアップ槽 8…導管 10…水蒸気 11,12…導管 14…廃ガス 15,15′…塩素ガス 16,16′,17…導管 18…結晶溶解槽 19…超音波発生器 20,21,22,23,24,25,26…導管
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 塩化第二鉄を主成分とし、更に塩化第一
鉄及び塩化ニッケルを含有するエッチング廃液に塩素を
吹込み、該廃液中の塩化第一鉄を塩化第二鉄に酸化せし
めた後、又は塩素を吹込むことなく、該廃液をそのま
ま、または水もしくは塩酸を添加し、又は適量の水を除
去した後、0〜10℃の温度範囲に冷却して塩化第二
鉄、塩化第一鉄及び塩化ニッケルの夫々を6水塩として
晶析させることにより、塩化ニッケルを母液中に濃縮し
て系外に除去すると共に、塩化ニッケルの含有量の減少
した結晶を水に溶解し、エッチング工程に戻して循環使
用することを特徴とするエッチング廃液の再生処理方
法。
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JP34411095 | 1995-12-28 | ||
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- 1996-01-31 JP JP01542596A patent/JP3492067B2/ja not_active Expired - Fee Related
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