JPH07266142A - 小径穴加工装置及びそれを使用する小径穴加工方法 - Google Patents

小径穴加工装置及びそれを使用する小径穴加工方法

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JPH07266142A
JPH07266142A JP5914094A JP5914094A JPH07266142A JP H07266142 A JPH07266142 A JP H07266142A JP 5914094 A JP5914094 A JP 5914094A JP 5914094 A JP5914094 A JP 5914094A JP H07266142 A JPH07266142 A JP H07266142A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板をスルホール加工する際に生ずる切粉詰
まり処理、スミアなどの内壁の荒れの除去、及びバリ取
りを効率的に行う装置及びそれを使用する方法を提供す
る。 【構成】 放電電極の少なくとも一方が、一定間隔で並
んだ多数の針状電極が配置された電極板からなる放電に
よる小径穴加工装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基板をスルホール加工
する際に生ずる切粉詰まり処理、スミアなどの内壁の荒
れの除去及びバリ取りを効率的に行う方法及びそれに使
用する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気機器、電子機器などに広く使用され
ているプリント基板の材料として銅箔を表面に張った熱
硬化性樹脂の板やこれを積層した多層プリント基板、特
にガラス布入エポキシ樹脂と銅箔との積層板で板厚1.
6〜数mm程度のものが用いられている。又、アルミナ
などのセラミック材料を用いて、その表面に導電層と絶
縁層を交互に設けたセラミック基板も使われている。こ
れらのプリント基板に所望の回路パターンを設けるため
に、銅張り積層板の場合はマイクロドリルを用いた微細
穴あけ加工により、スルホールと呼ばれる貫通孔を設
け、スルホール内をメッキすることにより上下の回路パ
ターン間の導通を計っている。スルホールは各種ボール
盤により一枚の基板に対して多数設けられるのが普通で
ある。その孔径も0.5mmが通常であるが、これ以外
の径のものが用いられたり、何種類の径のものを併用し
たりしている。
【0003】例えば、両面銅貼りのガラス繊維入りエポ
キシ樹脂基板の穴明け加工は、0.3mm以上の穴を加
工することが多く、発生する切粉は超音波洗滌などの方
法で除去することが普通であった。しかし、最近では配
線も微細パターン化して、高密度、多層化となってきて
おり、スルーホール径も0.25mmから0.1mm程
度と細径の穴径となり、ドリル刃の摩耗、折損などの問
題もあって、切粉詰まりや内壁荒れ、バリ発生が多く、
超音波洗滌方法では切粉排除、内壁荒れやバリ除去は不
可能になってきている。そこで、本発明者らはこうした
問題点に対処するため小径穴内の切粉処理、内壁面のス
ミアの除去、バリの除去などを短時間でより一層確実に
達成できる装置及び方法を提供せんとして、材料のスル
ホールに近接する針状電極や、スルホールを介して対向
させた電極間で放電させ、その際に発生する衝撃波、熱
エネルギーによりスルホールを処理することが有効であ
ることを知見し、既に特許出願している(特開平5−2
85895号)。この発明の内容は、被加工材料の両側
に陽電極と陰電極とからなる電極対を配置し、この電極
に電圧を印加し、気圧10〜2×103Torr下でプ
ラズマ放電を発生させて被加工材料の小径穴を加工する
ことを特徴とする基板材料の小径穴加工方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした放電
によるスルホール加工に適した電極を新たに開発するこ
とによって、小径穴内の切粉処理、内壁面の平滑性、バ
リの除去などを短時間でより一層確実に達成できる装置
及び方法を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討し
た結果、材料の小径穴を介して対向させた電極間で放電
させ、その際に発生する衝撃波、熱エネルギーにより小
径穴を処理する装置において、一定間隔で並んだ多数の
針状電極列が配設された電極板を用いることが有効であ
ることを知見し、本発明に至った。すなわち、本発明は
以下の(1)〜(7)である。 (1)放電による基板材料の小径穴加工装置において、
放電電極の少なくとも一方が、一定間隔で並んだ多数の
針状電極が配置された電極板であり、該電極板は被加工
材である基板材料の幅以上の長さを有することを特徴と
する小径穴加工装置。 (2)放電電極が基板材料の両側に微小間隔を介して配
設されていることを特徴とする(1)項記載の小径穴加
工装置。 (3)放電電極の一方の極が被加工材料の導電層であ
り、他方の極が基板材料に微小間隔を介して配設されて
いることを特徴とする(1)項記載の小径穴加工装置。
【0006】(4)一定間隔で並んだ多数の針状電極列
が配置された電極板が、基板材料の進行方向に直交する
ように複数本配置されていることを特徴とする(1)項
ないし(3)項記載の小径穴加工装置。 (5)一定間隔で並んだ多数の針状電極が一枚の電極板
上に、基板材料の進行方向に直交するように複数列配置
されていることを特徴とする(1)項ないし(3)記載
の小径穴加工装置。 (6)放電がプラズマ放電又はコロナ放電である(1)
項ないし(5)項記載の小径穴加工装置。 (7)上記(1)〜(6)項のいずれかに記載の小径穴
加工装置を使用し、電極間に電圧を印加し、気圧10な
いし2×103Torr下でプラズマ放電処理して被加
工材料の小径穴を加工する方法。
【0007】図1及び2は本発明の小径穴加工装置及び
小径穴加工方法を説明するための概略図である。被加工
材料である基板1には表面に銅箔2などの表面導電層が
あり、多数のスルホール3が開けられている。スルホー
ル3にはドリルに穴開けの際に生じたバリやスミアなど
が付着している。電極の少なくとも一方は針状電極4で
あり、多数の針状電極が電極列となって一定間隔で並ん
で電極板5に配設されている。対向電極6は針状電極と
は基板の反対側に配置されている。
【0008】電極が図1のように搬送装置上の被加工材
料をはさんで対向して配設される場合は、それら電極の
間で被加工材料の小径穴を介してプラズマ放電などの放
電が生じ、その際の衝撃波、熱エネルギーにより穴内の
切粉の排出、内壁の平滑化、バリの除去などの効果を生
ぜしめるのであるが、本発明においてはこの放電を前記
針状電極列により、基板の進行方向に直交するように配
置して、小径穴の処理を効率よく一層確実にするもので
ある。本発明に使用する電極は、少なくとも一方は突起
部を有する形状の針状電極列が配置された電極板であ
る。図1では電極の一方のみが針状電極であるが、両方
の電極を針状電極としてもよい。対向電極を用いるかわ
りに、図2のように基板1上の銅箔2に一方の極を結線
してもよい。図3は載置装置に乗せられ矢印方向に移動
する基板1と、基板の上方に基板の進向方向に直交する
ように配置された電極板5の平面図、及びその点線にお
ける断面図である。この断面図において電極板5には一
定間隔の多数の針状電極4が一列に配設されている。図
4の(a)は、このような電極板を裏側からみた図であ
る。
【0009】また、本発明において使用する電極列は、
基板材料の進行方向に直交するように複数本配列された
ものも、好ましく用いることができる。この場合には、
放電の発生を同時に複数の箇所で確実に生起することが
できる。衝撃波などの放電の際に発生するエネルギー
は、放電開始後は次第に弱まる。そこで、電極列を複数
本用いることにより強力な放電エネルギーを同時に複数
の位置にて発生することができる。図5はこのような電
極列が複数本用いる場合を示す平面図と、点線における
断面図である。又、図4の(b)はこれら電極列を裏側
からみた図である。図4の(b)において各電極列には
一定間隔で多数の針状電極が配設されているが、これら
の針状電極の位置は、各電極列毎に隣の電極列とは少し
づつずらすことも、放電処理の均一化のためには有効で
ある。
【0010】同様に一枚の電極板に複数本の電極列を配
設したものも効果的である。図6はこのような一枚の電
極板に複数本の電極列を配設した場合を示す平面図と、
点における断面図である。又、図4の(c)はこの電極
板を裏側からみた図である。本発明でいう基板材料の小
径穴加工には、コロナ放電、火花放電、アーク放電、プ
ラズマ放電等が用いられる。電極の形状は細かい針状の
ものが用いられるが、その先端部は鋭くしてもよいし、
曲面状の丸いものでもよい。本発明に使用する電極に
は、導電性金属、カーボン、あるいは導電性有機物など
従来公知の材質が使用できる。また、電極の先端部を白
金やサーメット、タングステンカーバイド、チタンカー
バイドなどの金属炭化物でコーティングしたものも好適
に使用することができる。本発明に使用する処理雰囲気
は、空気、非酸化性ガス、反応ガス、蒸気のいずれかで
ある。具体的には、空気、例えばAr、He、N2など
の非酸化性ガス、例えばCH4、CCl4、C22などの
反応性ガス、例えばNaOH水蒸気などの蒸気を適宜選
択して適用する。
【0011】特にプラズマ放電を採用する場合には、気
圧の制御は重要で10Torr未満では、基板材料の小
径穴以外にも沿面放電が生じ、グロー放電となり、目的
とする穴のプラズマ放電処理効率が悪くなるばかりでな
く、プラズマ放電処理の不必要な箇所まで処理すること
になってくる。又、2×103Torrを超えるとプラ
ズマ放電処理装置の高圧化に問題が生じると共に放電も
生じ難くなる。電極条件も重要で、まず2極間の間隔は
0.01〜50mmの範囲がよい。0.01mm未満で
は現在最も薄い基板として超LSI基板の厚さが0.0
05mm位であるので、電極間隔は0.01が限度であ
り、また電極間隔が50mmを超えると電極間のピーク
電圧は50000V以上必要となり基板材料の小径穴が
10mm間隔の場合、放電が電極に近い小径穴のみなら
ず、遠い小径穴に分散するため、プラズマ放電処理効果
が半減する。電圧変動率が±2%であるから、4900
0Vが限界である。むしろ現状では小径穴の間隔は10
mm以下であるから最大ピーク電圧から電極間隔が決ま
り、50mmが最大間隔である。電圧波形の正電圧負荷
時間τONは0.01μs未満では放電が生じ難くなる。
又、20sを超えるといかなる基板材料も部分的に焼け
焦げ現象を生じ、目的が達成されない。ピーク電圧が1
0V未満ではプラズマ放電が発生し難く、生じたとして
も単発的放電となり極めて不安定で処理効率は低い。5
0000Vを超えると多数の小径穴に分散し効率が低下
するのみならず装置の安全性にも問題を生じてくる。
【0012】本発明は小径穴を有する材料に対して適用
が可能であるが、とくに各種の基板材料に好適である。
基板と電極板の位置関係は、電極板に対して基板が進行
方向に相対的に移動していればよいので、 (1)基板が不動で電極板が基板の進行方向に直交した
状態のままで電極板の進向方向に移動する。
【0013】(2)電極板が不動で、その下を基板が進
行方向に移動する。 (3)基板が進行方向に移動するとともに、電極板も基
板を横断した状態のままで移動する。
【0014】以上(1)〜(3)のいずれでもよい。本
発明においては、放電処理を基板を水中に没した状態で
行うこともできる。同じく、基板をいったん水中を通過
させるなどして基板に水を付着させた状態で放電処理を
行うこともできる。表面の銅箔がバリとなって片側表面
にめくり上った状態の銅張りエポキシ樹脂基板を、例え
ばアーク放電で処理すると、放電条件によっては空気中
のため、樹脂が過熱して燃えることがある。又、熱によ
って、バリやスミアが適格に除去されずに放電処理後に
も単に丸くなっているだけのことも生ずる。ところが基
板を水中に没したり、水を付着させた状態で放電処理を
行うと、スルホール近傍に存在する水の冷却作用によっ
て、上記のような樹脂の燃焼や、焦げることが防止させ
れるとともに表面の銅箔も確実に除去される。
【0015】本発明の放電処理を水中又は基板に水を付
着させた状態で行うには、用いる針状電極の径はスルホ
ールの例よりやや大きめがよい。具体的には孔径が0.
5mmであれば電極は0.6mmが好ましい。又、複数
のサイズのスルホールを有する基板を一度に処理するの
であれば、その最大径のスルホールに電極の径を合わせ
ておくのが有利である。本発明の方法及び装置において
は、多数の針状電極を基板の進行方向に直交するように
一列に設けると共に、各針状電極の上下動と加える電圧
を個々に制御することもできる。例えば幅600mmの
プリント基板に対しては、1mm間隔で600本の針状
電極を用い、各電極をNC制御で上下動させる。加える
電圧は直流でもパルス電圧でもよいが、基板表面の焦げ
つきを防止するにはパルス電圧が好ましい。
【0016】
【実施例】
実施例1 電極に陰極板と針状陽電極を用い、長さ50cmの電極
板に、タングステンの針状電極を基板の横断する方向に
一列に1mm間隔で450個取付けた。使用した基板
は、厚さ1.6mm、縦33cm、横40cmの銅貼り
ガラス繊維入り樹脂基板で、各一枚毎に直径0.2,
0.3,0.4及び0.5mmの穴をそれぞれNCボー
ル盤で全面に5mm間隔で穴明け加工した。穴数は45
00穴となったが、ステップ加工中、400穴位から、
切粉詰まりが著しくなり、穴内壁荒れ、バリ発生も多く
なった。かかる基板をローラーコンベアにのせ、毎秒6
cm/secの移動速度で搬送し、図3で示される装置
を通過させた。放電処理条件は雰囲気は大気中、760
Torr、2極間間隔は7mmの一定間隔として、正電
圧負荷時間τonを10ms、ピーク電圧は10000
Vにて、プラズマ放電処理を行った。その結果、バリは
取れ、穴内部の切粉は殆どなく、穴内壁面もプラズマ放
電により突出したガラス繊維などや樹脂のめくれ、突出
しなどは溶融酸化などでほぼ滑らかとなった。又、基板
を連続処理したが順調に行うことができた。
【0017】実施例2 針状電極は100μmφのタングステン線で先端は約5
μmφとし、図4の(b)のように、1mm間隔で電極
を配設した長さ50cmの電極板を3本、並列して用い
た。対向電極端子は直接基板に取付けた。その電極間の
間隔は10〜100mmの調整可能とし、本実施例にお
いては、電極板は基板表面上を15μmの間隔で移動さ
せた。1mm厚みの4層銅箔回路エポキシ基板をローラ
ーコンベアにのせ、毎秒3cm/secの移動速度で搬
送し、図5で示される装置を通過させた。電極に印加す
る電圧100Vで一定とし、パルス幅τon10msとし
た。雰囲気は空気中760Torr下で、コロナ放電処
理を行った。その結果、基板に明けておいた各スルホー
ルのスミア等はほぼ完全に取除かれた。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、多数の針状電極が一定
間隔で一列に並んだ電極板を用いることにより、放電を
基板の進行方向を直交する方向の全長にわたって小径穴
の位置で確実に発生することが可能であり、小径穴加工
における切粉詰まり、穴内壁面の平滑化、バリの除去を
処理を高効率で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す説明図。
【図2】本発明の他の実施例を示す説明図。
【図3】本発明の小径穴加工装置の平面図と断面図。
【図4】本発明で用いる各種の電極板を示す平面図で、
(a)は一列、(b)は電極板が三本、(c)は一枚の
電極板で多数列である。
【図5】本発明の他の小径穴加工装置の平面図と断面
図。
【図6】本発明の他の小径穴加工装置の平面図と断面
図。
【符号の説明】
1 被加工材料 2 銅箔 3 スルホール 4 針状電極 5 電極板 6 対向電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大場 和夫 埼玉県東松山市松葉町4丁目2番3号 (72)発明者 嶋 好範 神奈川県川崎市麻生区王禅寺768番地15 (72)発明者 大場 章 埼玉県朝霞市宮戸3丁目12番89号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放電による基板材料の小径穴加工装置に
    おいて、放電電極の少なくとも一方が、一定間隔で並ん
    だ多数の針状電極が配置された電極板であり、該電極板
    は被加工材である基板材料の幅以上の長さを有すること
    を特徴とする小径穴加工装置。
  2. 【請求項2】 放電電極が基板材料の両側に微小間隔を
    介して配設されていることを特徴とする請求項1記載の
    小径穴加工装置。
  3. 【請求項3】 放電電極の一方の極が被加工材料の導電
    層であり、他方の極が基板材料に微小間隔を介して配設
    されていることを特徴とする請求項1記載の小径穴加工
    装置。
  4. 【請求項4】 一定間隔で並んだ多数の針状電極列が配
    置された電極板が、基板材料の進行方向に直交するよう
    に複数本配置されていることを特徴とする請求項1ない
    し3項記載の小径穴加工装置。
  5. 【請求項5】 一定間隔で並んだ多数の針状電極が一枚
    の電極板上に、基板材料の進行方向に直交するように複
    数列配置されていることを特徴とする請求項1ないし3
    記載の小径穴加工装置。
  6. 【請求項6】 放電がプラズマ放電又はコロナ放電であ
    る請求項1ないし5項記載の小径穴加工装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の小径穴
    加工装置を使用し、電極間に電圧を印加し、気圧10な
    いし2×103Torr下でプラズマ放電処理して被加
    工材料の小径穴を加工する方法。
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