JPH07265941A - ロールレス造管法による加工性に優れた溶接管の製造方法 - Google Patents

ロールレス造管法による加工性に優れた溶接管の製造方法

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JPH07265941A
JPH07265941A JP6060911A JP6091194A JPH07265941A JP H07265941 A JPH07265941 A JP H07265941A JP 6060911 A JP6060911 A JP 6060911A JP 6091194 A JP6091194 A JP 6091194A JP H07265941 A JPH07265941 A JP H07265941A
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JP
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hardness
welded
ratio
pipe
metal strip
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JP6060911A
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Inventor
Hiroshi Asada
博 朝田
Satoshi Soga
聡 曽我
Shoji Inoue
正二 井上
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工時に溶接部に割れが発生することがない
加工性の良好な溶接管をロールレス造管法で得る。 【構成】 ロールレス造管法で成形した金属ストリップ
の幅方向両端部をレーザ溶接で突合せ溶接する際、曲げ
ロールの半径をr(mm),金属ストリップの板厚をt
(mm),レーザ溶接機の出力をP(kW)及び造管速
度をV(m/分)とし、比r/tと母材硬さHVS との
関係をHVS =f(r/t)で、比P/Vと溶接部の硬
さHVW の関係をHVW =g(P/V)で表すとき、r
/tが12〜40の範囲に維持されるように半径r及び
板厚tを決定し、得られた溶接管の母材の硬さHVS
び溶接部の硬さHVW の差ΔHV(=HVW −HVS
が10〜80となるようにP/Vを決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度の加工を施しても
溶接部が破断しない溶接管をロールレス造管法で製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ロールレス造管法では、幅方向に一様な
曲げ及び曲げ戻しによって残留応力を付与した金属スト
リップを幅方向にカールさせ、幅方向両端部を突合せ溶
接することにより溶接管を製造する。この造管法は、従
来の成形ロールを使用した造管法に比較してロールが極
めて少ないことから、ロールの組替えにかかる作業が軽
減され、保守・点検が容易となる。また、突合せ位置に
おける幅方向両端部の安定性が優れており、安定条件下
での溶接が可能となる。ロールレス造管法は、本発明者
等が特開昭62−176611号公報で基本的な提案を
したものであり、その後も実用化に向けて種々の改良を
検討している。たとえば、特開平2−75418号公報
では、一対の大径ロール及びこの間に曲げロールを配置
した予変形部を提案した。ロールレス造管法は、従来の
成形ロールを使用した造管法に比較して、特に薄肉溶接
管の製造に適している。また、造管速度をあげるため、
レーザ溶接が採用されるようになってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】溶接管は、用途に応じ
て適宜の形状に成形されて製品となる。たとえば、振動
や衝撃が加わるような形態で使用される用途では、伸縮
性や可撓性等を溶接管に持たせるため、バルジ加工等の
加工が施される。しかし、このような高度の加工を施す
と、母材部に比較して硬質の溶接部に破断や亀裂が発生
する場合がある。溶接部の破断は、溶接部が母材部に比
較して硬く且つ脆い組織となっていることに起因し、製
造方法の如何を問わず溶接管に共通する問題である。し
かし、ロールレス造管法では、母材部が曲げ・曲げ戻し
の加工を受けていることから、通常の溶接管と異なった
破断傾向を示す。本発明は、このロールレス造管法で製
造した溶接管の特性に着目し、母材部及び溶接部の硬度
バランスを図ることにより、高度の加工を施しても溶接
部に亀裂,破断等が生じることがない溶接管を得ること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の溶接管製造方法
は、その目的を達成するため、曲げロールを使用して曲
げ及び曲げ戻しにより板幅方向に一様な残留応力を金属
ストリップに付与した後、金属ストリップを幅方向にカ
ールさせて円筒状に成形し、幅方向両端部をレーザ溶接
で突合せ溶接する際、曲げロールの半径をr(mm),
金属ストリップの板厚をt(mm),レーザ溶接機の出
力をP(kW)及び造管速度をV(m/分)とし、比r
/tと母材硬さHVS との関係をHVS =f(r/t)
で、比P/Vと溶接部の硬さHVW の関係をHVW =g
(P/V)で表すとき、r/tが12〜40の範囲に維
持されるように半径r及び板厚tを決定し、得られる溶
接管の母材硬さHVS 及び溶接部硬さHVW の差ΔHV
(=HVW −HVS )が10〜80となるように比P/
Vを決定することを特徴とする。ロールレス造管法で
は、図1に示すようにアンコイラ1から送り出された金
属ストリップ2を曲げ装置3に通板し、曲げロール4で
曲げ・曲げ戻しを施し、幅方向に一様な残留応力を金属
ストリップ2に付与する。金属ストリップ2は、曲げ装
置3及びスクイズロール5により長手方向の変形が拘束
されているので、残留応力によって幅方向にカールす
る。カールした金属ストリップ2の円筒形状をスクイズ
ロール5で保持し、溶接トーチ6で幅方向両端部を突合
せ溶接する。
【0005】曲げ装置3を通過した金属ストリップ3
は、曲げ・曲げ戻しにより硬質化されるが、曲げロール
4の径に応じて硬度の上昇率が異なる。小径の曲げロー
ル4を使用するとき、曲げ・曲げ戻し時に金属ストリッ
プ2が大きく塑性変形し、それに伴う加工硬化が大きく
なる。逆に、大径の曲げロール4では、金属ストリップ
2の塑性変形量が少ないことから、加工硬化も小さくな
る。曲げロール4の径が金属ストリップ2の加工硬化に
与える影響は、金属ストリップの板厚を取り込んだ関係
式で定量化できる。曲げロール4の半径をr(mm)と
し、金属ストリップ2の板厚をt(mm)とするとき、
比r/tを特定範囲に維持することにより、溶接部の硬
度に対してバランスのとれた母材部の硬度に調整できる
ことが実験的に確認された。ここで、母材硬さHVS
は、図2で定性的に示すように、比r/tを変数とした
関数f(r/t)で近似できる。しかし、比r/tが1
2未満では、曲げ・曲げ戻し時の塑性変形量、ひいては
硬度上昇が大きくなりすぎ、母材部の加工性が低下す
る。場合によっては、溶接部よりも高い硬度をもつ母材
部となることもある。逆に、比r/tが40を超えて大
きくなると、板幅方向に関するカールが小さい。そのた
め、スクイズロール5で金属ストリップ2の板幅方向両
端部を突き合わせたとき、エッジに座屈が生じ易く、成
形が不安定になる。このようなことから、実際の操業で
は、加工硬化を抑制するため、成形に問題がない12〜
40の範囲で大きな値の比r/tが選定される。
【0006】他方、溶接部は、入熱に応じて熱履歴が異
なる。大きな入熱量の溶接部は、冷却速度が遅いため、
硬度の上昇が小さい。逆に、入熱量が小さい溶接部で
は、冷却速度が速いことから硬度の上昇が大きくなる。
このことから、レーザ溶接機の出力をP(kW)に対す
る造管速度をV(m/分)の比で表される入熱P/Vを
変数として、図2で定性的に示すように、溶接部の硬度
HVW をHVW =g(P/V)gで近似できる。したが
って、成形性を阻害しない範囲で、先ず比r/tの大き
さを設定する()。設定された比r/tに応じて、母
材の硬さを予測する()。この予測硬さをHVS =g
(P/V)の関係に当て嵌め、溶接部と母材部との硬度
差が10〜80の範囲にある領域を求める()。次い
で、この領域から実際の入熱に対応するレーザ溶接機の
出力P及び造管速度Vを定める()。その結果、母材
部と溶接部との硬度差にバランスを採ることができ、バ
ルジ加工等の高度の加工を施しても、溶接部における亀
裂,破断等の発生を抑制した溶接管が得られる。なお、
曲げロール4は、使用する金属ストリップ2の板厚tに
もよるが、通常0.1〜0.8mmの板厚を持つストリ
ップに対しては6〜20mmの半径rをもつ曲げロール
4が使用される。また、溶接機の出力Pは0.5〜10
kW,造管速度Vは1〜30m/分の範囲で適宜選定さ
れる。
【0007】
【実施例】板厚0.5mm及び板幅151.4mmの低
C−18Cr−0.5Nb−0.5Cuステンレス鋼板
を金属ストリップ2として使用し、ロールレス造管法に
より直径48.6mmの溶接管を製造した。種々の半径
rをもつ曲げロール4を組み込んだ曲げ装置3で金属ス
トリップ2に曲げ・曲げ戻し加工を施した後、金属スト
リップ2の機械的性質を調査した。調査結果を示す図3
にみられるように、板厚tに対する曲げロール4の半径
rの比率が大きくなるに従って、降伏点YSが下降して
いる。製造する溶接管の半径をR,曲げロール4を通過
した金属ストリップ2の板幅方向に関するカールの曲率
半径をR0 として表した半径比R0 /Rも、比率r/t
の上昇に従って低下している。他方、伸びElは、逆に
比率r/tが大きくなるに従って大きな値を示す。この
ことから、板厚tに比較して小径の曲げロール4を使用
して曲げ・曲げ戻し加工を施すと、金属ストリップ2が
大きく塑性変形し、加工硬化が進行していることが判
る。
【0008】曲げ・曲げ戻し加工後に円筒状に成形した
金属ストリップ2を、出力3.5kWのレーザ溶接機で
突合せ溶接した。溶接速度、すなわち造管速度Vを種々
変更し、母材及び溶接部の硬度に与える入熱の影響を調
査した。調査結果を示す図4にみられるように、造管速
度Vが遅いものほど入熱が多く、溶接部の硬度上昇の程
度が小さかった。また、溶接部は、溶接電流65A及び
溶接速度0.6m/分でTIG溶接した比較例に比べ、
硬度が大きくビード幅が極めて狭い溶接部であった。曲
げ・曲げ戻し加工による母材の硬度及びレーザ溶接によ
る溶接部の硬度如何によっては、バルジ加工の際に溶接
部からの破断が発生した。そこで、溶接部に破断がない
条件を策定するため、比率r/t及び入熱P/Vが与え
る影響を次のように調査した。同じステンレス鋼板を使
用して、図5にみられるように、比率r/tの調整によ
って異なる硬度を曲げ・曲げ戻し加工後のステンレス鋼
に付与した。また、入熱P/Vの調整により、図6に示
すように溶接部の硬度を変化させた。
【0009】曲げ・曲げ戻し加工条件及び溶接条件を変
えて製造した3種類の溶接管について、割れが発生する
までの拡管率でバルジ加工を施し、割れ発生状況及び限
界拡管率を調査した。調査結果を示す図7にみられるよ
うに、比率r/t=10及び入熱P/V=0.75で製
造した溶接管(a)では、母材部に割れが発生したもの
の、限界拡管率が40%と小さかった。比率r/t=2
4及び入熱P/V=1で製造した溶接管(b)では、母
材部に割れが発生し、且つ限界拡管率も54%と高い値
を示した。しかし、同じ比率r/t=24で曲げ・曲げ
戻し加工を施して製造したものであっても、溶接時に多
量の入熱P/V=1.75があった溶接管(c)では、
限界拡管率が46%と低下し、溶接部割れが生じてい
た。
【0010】限界拡管率及び割れ発生箇所を溶接部及び
母材部の硬度差で整理したところ、図8に示す明確な関
係が成立していることが判明した。すなわち、溶接部の
硬度HVW と母材硬さHVs との硬度差ΔHVが10〜
80の範囲にあるとき、限界拡管率が50%以上の大き
な値を示し、割れ発生箇所も母材部に特定されていた。
これに対し、硬度差ΔHVが80を超えると、限界拡管
率が低下し、溶接部の靭性低下に起因した横割れが溶接
部に発生した。また、10未満の硬度差ΔHVでは、限
界拡管率が大きく低下し、円周方向の変形が溶接部に集
中し、溶接部が延性的に破断する縦割れが発生した。以
上の結果から、溶接部に割れが発生せず、加工性の良好
な溶接管を得るためには、硬度差ΔHVを10〜80に
維持する必要があることが判る。そして、成形性を阻害
しない範囲で大きな値に設定された比r/tに応じて得
られる母材硬さに比較して、溶接部の硬度が10〜80
だけ硬くなるように、出力P,造管速度V等の溶接条件
を選定することにより、成形性に優れた溶接管が再現性
よく製造されることが確認された。
【0011】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、ロールレス造管法で溶接管を製造する際、金属スト
リップの板厚に対する曲げロールの半径の比率及びレー
ザ溶接時の入熱を調整することにより、高度の加工を施
しても溶接部に割れが発生することがない加工性に優れ
た溶接管が得られる。この溶接管は、用途に応じた加工
欠陥のない形状に加工されるため、種々の分野における
配管,構造材等として使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ロールレス造管設備
【図2】 HVS =f(r/t)及びHVW =g(P/
V)の関係を定性的に表したグラフ
【図3】 曲げ・曲げ戻し加工された金属ストリップの
機械的性質
【図4】 溶接管の硬度分布
【図5】 金属ストリップの板厚に対する曲げロールの
半径の比率r/tが曲げ・曲げ戻し加工された金属スト
リップの硬度に与える影響
【図6】 溶接時の入熱P/Vが溶接部の硬度に与える
影響
【図7】 比率r/t=10及び入熱P/V=0.75
で得られた溶接管(a),r/t=24及びP/V=1
で得られた溶接管(b)及びr/t=24及びP/V=
1.75で得られた溶接管(c)の硬度分布
【図8】 溶接部と母材部の硬度差ΔHVがバルジ加工
の限界拡管率及び割れ発生箇所に与える影響
【符号の説明】
1:アンコイラー 2:金属ストリップ 3:曲げ
装置 4:曲げロール 5:スクイズロール 6:溶接
トーチ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 曲げロールを使用して曲げ及び曲げ戻し
    により板幅方向に一様な残留応力を金属ストリップに付
    与した後、金属ストリップを幅方向にカールさせて円筒
    状に成形し、幅方向両端部をレーザ溶接で突合せ溶接す
    る際、曲げロールの半径をr(mm),金属ストリップ
    の板厚をt(mm),レーザ溶接機の出力をP(kW)
    及び造管速度をV(m/分)とし、比r/tと母材硬さ
    HVSとの関係をHVS =f(r/t)で、比P/Vと
    溶接部の硬さHVW の関係をHVW =g(P/V)で表
    すとき、r/tが12〜40の範囲に維持されるように
    半径r及び板厚tを決定し、得られる溶接管の母材硬さ
    HVS 及び溶接部硬さHVW の差ΔHV(=HVW −H
    S )が10〜80となるように比P/Vを決定するこ
    とを特徴とするロールレス造管法による加工性に優れた
    溶接管の製造方法。
JP6060911A 1994-03-30 1994-03-30 ロールレス造管法による加工性に優れた溶接管の製造方法 Pending JPH07265941A (ja)

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Effective date: 20040525