JPH0726467Y2 - 浴槽の排水装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は、浴槽の排水装置に関する。

《従来の技術》 一般に裾置き型の浴槽にあっては、当該浴槽の排水が排
水口より直接垂れ流しとなっており、当該排水と洗い場
からの排水とが、兼用のトラップへ流れ込むようにした
方式をとっているが、浴槽の前面はエプロン等で被われ
ているため、当該排水で漏れる浴槽の裏面側やその下側
の防水パン表面等が汚れた場合、その清掃が非常に困難
であり、この結果排水口から浴槽内へ臭気が上ってくる
こともある。

そこで、上記方式の欠陥を改良すべく、第３図のよう
に、洗い場ａの排水トラップｂとは別個に、浴槽ｃ側に
も排水トラップｄを設け、これに浴槽ｃの排水を導く方
式のものも、既に提案されている。

しかし、上記排水装置においては、浴槽ｃの下位におけ
る防水パンｅに、排水トラップｄが設けてあり、浴槽ｃ
の排水を、浴槽底壁ｃ′における排水口ｆから防水パン
ｅを介して排水トラップｄに導く構成であるため、上記
排水トラップｄが詰ってしまったような場合には、その
清掃が困難であって、実際上防水パンｅと壁パネルｇや
エプロンｈ等とのシール部分から漏水があって、初めて
排水トラップｄの詰りに気づくことになる。

また、排水トラップｄはもちろん浴槽ｃの裏面や防水パ
ンｅ等の汚れの清掃も、やはり困難であるため、この方
式にあっても浴槽の排水時等にあって、臭気が排水口ｆ
より浴室内に上昇、拡散し、浴室内を不快にすることと
なる。

そこで、これを改良するため、特開昭51−66144号、実
開昭63−50964号、特開昭57−54638号の如き提案がなさ
れており、これらには、浴槽の排水口と防水パンの排水
トラップにおける封水筒を可撓性パイプとが排水管など
で連結してしまうことが開示されている。

しかし、上記の従来例にあっては、排水トラップが汚染
した際、これを清掃するため、前記の可撓性パイプとか
排水管などを、浴槽の底壁裏面側におけるナットの螺回
作業により取り外さねばならず、その作業性が悪いばか
りか、排水トラップと浴槽の排水口が重装状態にあると
きは、当該排水トラップの清掃作業ができないため、上
記排水口と排水トラップの関係位置をずらし、排水トラ
ップが外部から清掃し易いように配置しなければなら
ず、このようにすることで、可撓性パイプや排水管が長
くなることから、排水スピードが低下するといった欠陥
がある。

本考案は、上記従来例がもっている問題点に鑑み浴槽用
の排水トラップを防水パンに設けるだけでなく、当該排
水トラップの封水筒を、浴槽の取付口部から、浴槽内側
における簡易な作業により抜き去ることができ、これに
よって内径が拡大されることとなった浴槽の上記取付口
部から、汚染した排水トラップの清掃をも随時簡易にな
し得るようにして、従来の問題点であった臭気の拡散を
完全に防止してしまうのは勿論、排水トラップの詰りに
基づく漏水の発生を防止しようとするのが、その目的で
ある。

《課題を解決するための手段》 本考案は、上記目的を達成するため、浴槽の下位に設け
られた防水パンには、排水トラップのトラップ本体が配
設され、浴槽の底壁にあって、下記トラップ本体の直上
位置に貫設した取付口部には、その内周に刻設した雌螺
子部に、上端の大筒部外周に刻設した雄螺子部を水密状
態にて、当該浴槽の内部側より取り外し自在とした上記
排水トラップの封水筒を螺着することにより、当該封水
筒の下端部が前記排水トラップのトラップ本体内におけ
る貯水溜部に挿入されるよう垂設し、当該取付口部また
は封水筒に形成された排水口には、栓体が着脱自在に嵌
合され、上記封水筒の取外された取付口部の寸法を、浴
槽の内部側からトラップ本体内の清掃作業を可能とする
大きさに形成してなる浴槽の排水装置を提供しようとす
るものである。

《作用》 栓体を排水口から引き抜くと、浴槽内の水は排水トラッ
プの封水筒からトラップ本体内に流入し、該トラップ本
体からのオーバーフロー水が配管を通って外部に放出さ
れる。

封水筒を浴槽内側からの螺回作業により、簡易迅速に取
り外すことができ、これにより、該封水筒の汚物等を清
掃することができると共に、浴槽の底壁に開設の取付孔
部から、ブラシ等の清掃用具を差し込むなどして、トラ
ップ本体及びその周辺の汚れを清掃することができる。

清掃後は、封水筒を浴槽内側から、上記取付孔部内に挿
入螺回することで、これを当該取付孔部から垂設すれ
ば、排水トラップが構成され、その排水口を栓体にて閉
じることで、浴槽内への給湯などが可能となる。

《実施例》 以下、本考案の実施例について図面を参照して説明す
る。

第１図、第２図に示したように、浴槽１の底壁1aには、
取付口部２を貫設するが、このため図示例の場合、開設
した大径の取付孔2aに、横断面略コ字形状としたパッキ
ング３を介して、上端外周に外向きフランジ4aを、下部
内周に内向きフランジ4bを夫々形成した管継手４が嵌合
され、該管継手４の外周に刻設した雄螺子部4cに、締付
けナット５を螺着することにより、当該管継手４を上記
取付口2aに水漏れなく装着するようにしている。

上記の如き管継手４により形成した取付口部２には、そ
の上端部に大筒部6aが、さらにその下部外周に段部6bが
連設されてなる封水筒６を浴槽１内部側から下方へ挿通
垂下されるよう落ち込まれている。

この封水筒６は、上記段部6bを前記管継手４のフランジ
4bに、環状のパッキング７を介して載置することで、下
方への脱落が阻止されているとともに、大筒部6aの外周
に刻設した雄螺子部6cを、上記管継手４の内周に刻設し
た雄螺子部4dにねじ込み、このことにより、封水筒６が
浴槽１内側から脱着可能にして、かつ、水漏れのない水
密状態にて装着される。

第１図における封水筒６にあっては、鎖８等が連結され
ているゴム製等の栓体９を、着脱自在なるよう水密に嵌
合される排水口Ｈが、大筒部6aに形成されているのに対
し、第２図の実施例では、管継手４を長く形成し、その
下部に封水筒６を前述と同じようにして装着し、当該管
継手４、すなわち取付口部２の上部側にあって栓体９を
嵌合する排水口Ｈが形成されている。

また、上記のように封水筒６を螺回させるための一手段
としては、その上端部もしくは大筒部6aの底周面等に、
図示しない凹溝を平面略一字状、または十字状等に形成
しておき、当該凹溝に係合するように先端部が形成され
たら螺回用工具等を用いることで、封水筒６を回動自在
となし、これによりその取り付け、取り外しが、浴槽１
内側からできるようにするのがよい。

ここで、上記管継手４の上端面は、浴槽１における底壁
1aと同高もしくは、それよりも低くなるように、また、
第１図の実施例では、封水筒６の上端面を管継手４と同
高に夫々形成して、浴槽の排水が残水なく流出されるよ
うにしてある。

一方、浴槽１の下位に配設されている防水パン10には、
取付孔11が上記浴槽１における前記取付孔2aの真下に貫
設してあり、該取付孔11に断面コ字形状のパッキング12
を介してトラップ本体13の上端部が、短筒であるフラン
ジ14a付きの螺筒14により水漏れのないように螺着垂設
されている。

すなわち、上記トラップ本体13の上端部内周面に刻設し
てある雌螺子部13aに、螺筒14の外周に刻設した雄螺子
部14bを螺着して、当該トラップ本体13の開口部周縁13b
と、上記螺筒14におけるフランジ14aとの間に、パッキ
ング12を介して防水パン10の取付孔11における開口周縁
部を挟着し、これにより防水パン10とトラップ本体13と
の接続部分に水密性を保持されるようにしている。

もちろん、トラップ本体13内には、貯水溜部13cが形成
されており、この貯水溜部13c内に、前記封水筒６の下
端部を挿入垂設することで、排水トラップＡが構成され
ている。

さらに、上記トラップ本体13の一側部に開口された接続
端口部13dに、配管15を連結して、浴槽の排水が外部へ
放出されるようになっている。

従って、上記の排水装置によるときは、栓体９を外して
浴槽１の排水を行った際、当該排水は封水筒６を介して
トラップ本体13内へ流入し、配管15により放流されるこ
ととなるから、排水が浴槽１の裏面側と防水パン10との
間に流入して行くことが抑制され、従って当該箇所が悪
臭発生源となることもない。

さらに、排水トラップＡに汚物が溜滞したときは浴槽１
側より、排水トラップＡの封水筒６を螺回することによ
り、これを浴槽１側へ引き出すことで除去できるから、
取付口部２の貫通口から手を入れたり、掃除用具を入れ
ることで、トラップ本体13内を掃除できると共に、当然
のことながら、封水筒６の方は所望適所にあって、十分
に汚物等の除去が行い得ることとなる。

《考案の効果》 本考案は、以上説明したように、浴槽側と防水パン側と
に排水トラップを連設するようにしたので、浴槽の排水
を行なった時の排水系統の汚れによる臭気発生を防止で
きて快適な浴室空間が確保されるのはもちろんのこと、
浴槽内部から、簡易な螺回作業で排水トラップの封水筒
を取り外すことができ、このことで拡口状態となった取
付口部を利用して、排水トラップの汚物等の除去清掃作
業ができるため、当該清掃を随時行うことで、臭気発生
や排水トラップの詰りによる漏水の発生を完全かつ簡易
に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る浴槽の排水装置を示す一実施例の
縦断面正面図、第２図は同排水装置の他実施例を示す縦
断正面図、第３図は従来における浴槽の排水装置を示す
縦断正面図である。 １……浴槽 1a……底壁 ２……取付口部 4d……雌螺子部 ６……封水筒 6a……大筒部 6c……雄螺子部 ９……栓体 10……防水パン 13……トラップ本体 13c……貯水溜部 Ａ……排水トラップ Ｈ……排水口

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】浴槽の下位に設けられた防水パンには、排
   水トラップのトラップ本体が配設され、浴槽の底壁にあ
   って、上記トラップ本体の直上位置に貫設した取付口部
   には、その内周に刻設した雌螺子部に、上端の大筒部外
   周に刻設した雄螺子部を水密状態にて、当該浴槽の内部
   側より取り外し自在とした上記排水トラップの封水筒を
   螺着することにより、当該封水筒の下端部が前記排水ト
   ラップのトラップ本体内における貯水溜部に挿入される
   よう垂設し、当該取付口部または封水筒に形成された排
   水口には、栓体が着脱自在に嵌合され、上記封水筒の取
   外された取付口部の寸法を、浴槽の内部側からトラップ
   本体内の清掃作業を可能とする大きさに形成してなる浴
   槽の排水装置。