JPH0726382Y2 - 流体噴射式織機の緯糸案内装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） 本考案は、流体噴射式織機の緯糸案内装置に係わり、特
に複数の緯糸を緯入れする空気噴射式織機の緯糸案内装
置に関するものである。

（従来技術） 一般に、複数の緯糸を選択的に緯入れする空気噴射式織
機においては実開昭62−162279号公報に開示されている
様に、織機のサイドフレームに対して前後方向に揺動す
るスレイ上に緯糸案内用の凹部を有する多数の変形筬が
立設され、該変形筬の凹部を緯入れ方向に整列させて緯
糸案内通路が形成されている。また、前記スレイ上には
複数の緯糸に対応する緯入れ用メインノズルが前記緯糸
案内通路の入口に指向して固定され、該メインノズルの
緯糸導入口にドラム式緯糸測長装置から移送される各緯
糸が、サイドフレームに支持板を介して設定されたヤー
ンガイドを経由して導入されている。緯糸は、緯入れ時
に前記メインノズルから噴射される空気流に乗り前記緯
糸案内通路に挿入され、スレイの揺動運動に従い織機前
方に前記変形筬とともに移動して筬打ちされ、その後カ
ッターにより切断される。スレイは再び緯入れ時の位置
に戻り、前述の動作が繰り返される。

前述の如く、緯糸がカッターにより切断されると各メイ
ンノズルのそれぞれの噴射口から緯糸の先端が突出する
が、その突出量は緯糸の伸び量に順応するため、糸種変
更や番手変更に伴う緯糸の伸び量の変化で前記突出量が
増加する場合、従来の流体噴射式織機は前記緯糸の伸び
量の変化に対応できないため、緯糸が互いに絡み合い緯
入れミスを引き起こしていた。このため、複数の前記メ
インノズルの噴射口に流線形をした緯糸ガイドを設けて
糸種変更や番手変更による緯糸の伸び量が変化した際に
も、各噴射口から突出している緯糸を分離し、緯糸の絡
みに起因する緯入れミスを防止する発明が特開昭61−13
8747号公報に開示されている。

（考案が解決しようとする課題） 上述の様な緯糸ガイドは、その形状または取付け位置に
よっては噴射気流に微妙に影響し、反って緯糸ガイド自
体が気流の妨げとなり、緯入れミスの原因ともなってい
た。また、そのような現象は、変形筬の緯糸案内通路に
傾斜して対峙するようなメインノズルを具備した織機に
おいて顕著に現れ、そのような織機には前記緯糸ガイド
を使用することは困難であった。

（課題を解決するための手段） そこで本考案は上述の課題を解決することを目的として
おり、緯糸毎に備えられた各緯糸測長装置に対応するヤ
ーガイド及び緯入れ用メインノズルを具備し、前記各緯
糸測長装置から移送される緯糸を、サイドフレームに支
持部材を介して設定された前記各ヤーンガイドにより移
送経路を規制して、前記各メインノズルに導入する流体
噴射式織機の緯糸案内装置において、前記支持部材に、
前記各ヤーンガイドの装着位置が少なくとも織機の前後
方向に変更可能なヤーンガイド装着用の穿孔を形成し、
該穿孔に前記各ヤーンガイドを着脱自在に装着した。こ
とを特徴とする流体噴射式織機の緯糸案内装置を提案す
る。

（考案の作用） 上記構成による本考案において、緯糸変更や番手変更に
伴う緯糸の伸び量の変化に順応して、緯入れ用メインノ
ズルの噴射口からの緯糸先端の突出量に変更前と差が生
じた場合、ヤーンガイドは支持部材に対して着脱自在で
あるため、前記支持部材上における前記ヤーンガイドの
取付け位置を変えるのみで、緯糸測長装置から前記ヤー
ンガイドを経由してメインノズルに至るまでのそれぞれ
の緯糸経路の長さが簡単に調整され、変更後の緯糸に適
した緯糸経路を容易に設定することができ、前記メイン
ノズルの噴射口からの緯糸の突出量を適量に調整でき
る。

（実施例） 本考案を具体化した実施例を図面に基づいて説明する。
第１図及び第２図は空気噴射式織機の緯入れ機構の概略
を示す平面図及び斜視図である。

織機のサイドフレーム（１）に対して前後方向に揺動す
るスレイ（２）上には、緯糸案内用凹部を有する多数の
変形筬（３）が緯入れ方向に整列して緯糸案内通路を形
成している。前記スレイ（２）上には前記緯糸案内通路
の入口に指向した４本の緯入れ用メインノズル（4a、4
b、4c、4d）が固定されている。サイドフレーム（１）
上には、前記メインノズル（4a、4b、4c、4d）に対向し
た位置にボルト（７）により支持板（５）が設定されて
いる。該支持板（５）には縦５列、横４列のヤーンガイ
ド装着用穿孔（5a）が設けられており、第３図に示す様
に多数の穿孔（5a）のうちの４箇所に各メインノズル
（4a、4b、4c、4d）に対応するヤーンガイド（6a、6b、
6c、6d）が、取り外し容易な止め具（７）で着脱自在に
装着されている。給糸チーズ（図示せず）から移送され
る各緯糸が、サイドフレーム（１）の外方向に備えられ
た４台のドラム式緯糸測長装置（８）によりそれぞれ測
長され、前記ヤーンガイド（6a、6b、6c、6d）を経て各
メインノズル（4a、4b、4c、4d）の緯糸導入口に導かれ
ている。また、織布のメインノズル（4a、4b、4c、4d）
側耳部には、筬打ち後の緯糸を前記メインノズル（4a、
4b、4c、4d）と織布との間で切断する鋏形カッター
（８）が備えられている。

次に、以上の様に構成された本実施例の作用について説
明する。

各緯糸測長装置（８）に測長貯留されたそれぞれの緯糸
は、ヤーンガイド（6a、6b、6c、6d）にその移送経路を
規制されて各メインノズル（4a、4b、4c、4d）から選択
的に噴射される空気流により、変形筬（３）の緯糸案内
通路に挿入される。その後緯糸は、スレイ（２）の織機
前方への揺動に伴いメインノズル（4a、4b、4c、4d）及
び変形筬（３）とともに第１図中に二点鎖線で示す位置
に移動し、織布に筬打ちされた後、カッター（９）によ
って切断される。

上述の様に、緯糸の切断後は次の緯入れに備えてスレイ
（２）が織機後方に戻るが、切断された緯糸の先端が各
メインノズル（4a、4b、4c、4d）の噴射口から突出して
おり、その突出量が多いと次の緯入れの際に緯糸が互い
に絡み合い、緯入れミスを引き起こす。しかし本実施例
の空気噴射式織機においては、サイドフレーム（１）に
固定された支持板（５）に多数のヤーンガイド装着用穿
孔（5a）が形成され、該穿孔（5a）に各メインノズル
（4a、4b、4c、4d）に対応するヤーンガイド（6a、6b、
6c、6d）が装着自在に装着されているため、該ヤーンガ
イド（6a、6b、6c、6d）の支持板（５）上での設定位置
を自由に選択できるものである。例えば糸種や番手の変
更に伴いメインノズル（4a）により緯入れされる緯糸の
伸び量が変更前よりも増加した場合、前記メインノズル
（4a）の対応するヤーンガイド（6a）のみを、変更前の
位置よりも織機前方の穿孔（5a）に移動させることで緯
糸絡みを防止することができる。以上の様に本実施例の
緯糸案内装置は、突出量の多い緯糸に対してのみ該緯糸
の突出量を調整することが可能なため、緯糸絡みを防止
するための保全管理が容易に行えるものである。

本考案は以上の実施例に限定されるものではなく、第４
図に示す様に、支持板（５）には織機前後方向に対して
平行なヤーンガイド装着用長孔（5b）を複数形成し（図
示では４本）、そのそれぞれに緯糸毎のヤーンガイド
（6a、6b、6c、6d）を装着してある。該ヤーンガイド
（6a、6b、6c、6d）は前述の実施例同様止め具（10）で
固定してもよいが、第５図に示す様にヤーンガイド（6
a、6b、6c、6d）にネジ部を形成し、ナット（11）及び
ワッシャ（12）で固定すれば、織機運転中の機械的振動
に対しても前記ヤーンガイド（6a、6b、6c、6d）を確実
に固定しておくことができる。ヤーンガイド（6a、6b、
6c、6d）の位置調整の場合、ナット（11）を緩め前記長
孔（5b）に沿ってヤーンガイド（6a、6b、6c、6d）を移
動させるだけでなく、長孔（5b）の範囲内で任意の位置
に設定することが可能である。またメインノズル（4a、
4b、4c、4d）に緯糸を導入したままの状態で前記ヤーン
ガイド（6a、6b、6c、6d）の移動ができるなど、織機前
後方向への位置調整は極めて容易なものである。そし
て、本実施例は支持板（５）のサイドフレーム（１）へ
の取付け部分に長孔（5c）を形成し、ボルト（13）及び
ワッシャー（14）により固定しており、緯入れ方向の位
置調整も可能となっている。更に、ヤーンガイド（6a、
6b、6c、6d）は前記ナット（11）及びワッシャ（12）の
取り外しにより上下方向へ移動させることも可能で、例
えば最上段の長孔（5b）に装着されているヤーンガイド
（6a）を、その下段のヤーンガイド（6c）が装着されて
いる長孔（5b）に移すことができる。従って、本実施例
の緯糸案内装置は織機前後方向、緯入れ方向、上下方向
の３次元的なヤーンガイド（6a、6b、6c、6d）の移動調
整によりメインノズル（4a、4b、4c、4d）からの緯糸の
突出量を調節し、緯入れミスの原因となる緯糸絡みを防
止できるものである。

更に、織機前後方向に長い前記ヤーンガイド装着用長孔
（5b）を上下方向に長い少なくとも２本の長孔（5b）に
置き換えてもよく、或いは前後方向の長孔（5b）と上下
方向の長孔（5b）を組み合わせてもよく、この場合も前
述の実施例と同等の効果を有するものである。その他４
本以上の緯糸を挿入する流体噴射式織機にもヤーンガイ
ド（６）や長孔（5c）を緯糸の数に相当する分だけ用意
すれば十分に対応できるなど、本考案の趣旨を逸脱しな
い範囲において構成等の様々な変更が可能である。

（考案の効果） 以上詳述した様に本考案における流体噴出式織機の緯糸
案内装置は、支持部材上におけるヤーンガイドの設定位
置が少なくとも織機前後方向に変更可能であるため、各
メインノズルの噴射口からの緯糸の突出量を調整でき、
緯入れミスの原因となる緯糸絡みを防止することが可能
である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案を具体化した実施例を示し、第１図及び第
２図はそれぞれ流体噴射式織機の緯入れ機構を示す平面
図及び斜視図、第３図は第２図中のIII−III線断面図、
第４図及び第５図は他の実施例を示す正面図及び平面図
である。 サイドフレーム（１） メインノズル（4a、4b、4c、4d） 支持板（５） ヤーンガイド（6a、6b、6c、6d） ドラム式緯糸測長装置（８）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】緯糸毎に備えられた各緯糸測長装置に対応
   するヤーンガイド及び緯入れ用メインノズルを具備し、
   前記各緯糸測長装置から移送される緯糸を、サイドフレ
   ームに支持部材を介して設定された前記各ヤーンガイド
   により移送経路を規制して、前記各メインノズルに導入
   する流体噴射式織機の緯糸案内装置において、前記支持
   部材に、前記各ヤーンガイドの装着位置が少なくとも織
   機の前後方向に変更可能なヤーンガイド装着用の穿孔を
   形成し、該穿孔に前記各ヤーンガイドを着脱自在に装着
   したことを特徴とする流体噴射式織機の緯糸案内装置。