JPH0726309B2 - 成型性を有する芯材とその製造方法 - Google Patents

成型性を有する芯材とその製造方法

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JPH0726309B2
JPH0726309B2 JP61014689A JP1468986A JPH0726309B2 JP H0726309 B2 JPH0726309 B2 JP H0726309B2 JP 61014689 A JP61014689 A JP 61014689A JP 1468986 A JP1468986 A JP 1468986A JP H0726309 B2 JPH0726309 B2 JP H0726309B2
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岩崎  博文
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旭化成工業株式会社
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は靴やカバン,各種ケース等に用いられる成型性
を有する芯材に関する。
〔従来の技術〕
現在、靴やカバン,各種ケース等の芯材としてパルプボ
ード,フイルムボード,レザーボードが用いられてい
る。これらの用途に用いられるボードとしては、製品に
なった時の形態保持性をするために剛性を有すること、
耐熱性を有すること、湿潤時での層間剥離、膨潤がな
く、剛性と耐折性が保持されていることが要望されてい
る。さらに望ましくは軽く、且つ美しい外観を有するこ
とが要望されている。更に成型加工によって製品を作る
場合には成型性、特に大変形の成型性が必要となる。か
かる観点から従来公知のパルプを樹脂で固めて形成され
たパルプボードや、充填剤が多量に配合されたプラスチ
ック厚地フイルムであるプラスチックボード、皮の屑を
粉砕して樹脂で固めたレザーボードは、前記条件を充分
に満足していない。即ち、パルプボードは、乾燥時での
剛性が大きく、耐熱性は有るが、湿潤時に剛性が低下
し、層間剥離,膨潤し折曲げに対して弱く、さらに大変
形の成型性が乏しい。レザーボードもパルプボードと同
様な特性で、耐水性,成型性が劣る。一方、プラスチッ
クボードは、成型性や強力が大きいという特徴を有する
が、重く、且つ触感性が劣るという欠点を有する。
前記パルプボード,プラスチックボード,レザーボード
の有する欠点を解消したボードを提供すべく種々の提案
がなされている。例えば、特開昭58−46183号公報に
は、不織布に対し、1.1〜10倍発泡させた高分子発泡体
を、固形分重量比率で1対0.3〜10の割合で塗布又は含
浸させ、一体化して得たシートから成る芯材が開示され
ている。この芯材は、耐水性やある程度の成型性は有す
るが、表面に樹脂が浮出しているので樹脂板状触感を有
し、チョークマークが出やすく、シートとしての伸度が
低いので大変形の成型性がなく、剛性を得ようとすれ
ば、不織布の見掛け密度がおそよ1.5g/cm3と低い為、樹
脂の比率が多くなるから相当重くなり、耐折性が劣ると
いう問題を有する。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明の目的は、従来公知の芯材が有する前記の問題点
を解決して、剛性,耐水性,耐折性を有し、軽く、且
つ、チョークマークの出にくい、加熱下に於いて大変形
の成型を付与することができる芯材とその製造方法を提
供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、前述の問題点を解決すべく鋭意研究の結
果、特定の性能を有するポリエステル長繊維を用いて作
られた、厚みのある高い密度の不織シートから得られた
芯材が、前記ボードとしての条件を総合的に満足するこ
とができることを見い出し本発明に到達した。
本発明の目的はポリエステル系長繊維から成る不織シー
トであって、該不織シート中で各構成単繊維が湾曲しな
がら自身および/又は他の繊維と交絡して配置されてい
ると共に、各単繊維交絡部及び繊維間隙が樹脂により実
質的に接着一体化されて平滑な表面が形成され、厚み0.
5mm以上、樹脂付着率57〜100%、平均見掛け密度が0.3
〜0.7g/cm3の高密度構造体になり、剛軟度が15cm以上、
屈折回復率が82%以上、150℃での20%伸長応力が50kg/
cm2以下であることを特徴とする成型性を有する芯材に
よって達成される。
前記成型性を有する芯材は複屈折率が0.02〜0.07の範囲
内にあるポリエステル長繊維から成る不織ウエブをスパ
ンボンド法により作り、その不織ウエブを表面に凸部を
設けたエンボスロールにより二次転移以上二次転移点+
30℃以下の温度で熱圧着し、次いでニードルパンチ加工
して構成単繊維を交絡した後に、タテ及びヨコ方向に収
縮率がそれぞれ10〜50%の範囲で面状で均一に収縮する
熱処理加工をして構成単繊維を収縮させながら湾曲さ
せ、得られた不織シートに樹脂付着率57〜100%の樹脂
含浸加工を施して構成単繊維交絡部及び繊維間隙を樹脂
により実質的に接着一体化して平滑な表面を形成させる
成型性を有する芯材の製造方法によって製造することが
できる。
前記不織ウエブを同一の複屈折率を有するポリエステル
長繊維1種類で形成してもよいが、複屈折率が0.02〜0.
07の範囲内にあり、且つ異なる複屈折率を有するポリエ
ステル長繊維から成る二種類以上の不織ウエブを作り、
この複数のウエブを積層した後に熱圧着、ニードルパン
チ加工等の後加工を施してもよい。
低い紡糸速度で紡出する程得られた芯材の見掛け密度が
大きくなり緻密な構造が得られる。又20%伸長応力も小
さくなり成型加工性に優れる。一方高い紡糸速度で紡出
して得た不織ウエブを低い紡糸速度で紡出して得た不織
ウエブに積層して用いると、見掛け密度が小さい部分と
大きい部分とが混在するため厚みが大きくなり、反撥性
およびクッション性が低い紡糸速度で紡出した不織ウエ
ブ単独で作った芯地より良好になる。
かくして本発明による芯材は、剛性,耐水性,耐折性,
保型性を有し、軽く、チョークマークの出にくい、加熱
下に於いて大変形の成型を付与することができるという
特徴を有する。
以下本発明の芯材の一実施例を示す添付図面を参照して
本発明を具体的に説明する。
第1図は、本発明の芯材の構成単繊維と樹脂との配置関
係を模式的に示す平面図である。芯材は、複数のポリエ
ステル系長繊維1から形成されている不織シートから成
る。公知のスパンボンド法のような長繊維ウエブの場
合、製法上、複数の連続フイラメントが堆積され形成さ
れる為厚み方向のボリュームがない。この点を改善する
ために、ニードルパンチ加工等の機械交絡により厚み方
向の繊維配列をさせ厚みのある不織シートを得る。しか
し、ニードルパンチ加工による交絡だけでは、その不織
シート内の繊維間隙が大きく粗な構造のものとなり、剛
性,保型性等が充分でない。そこで、緻密な構造にする
為に、収縮を発現させる熱処理を行なう。この時、単繊
維1本1本が相互にかかわり合って、収縮力が働く結
果、第5図に示すように、不織シートを構成する単繊維
のほとんどが色々な形に変形して湾曲した状態になって
交絡している。緻密な構造で構成繊維が湾曲しながら交
絡していることが、耐折性,成型性,ほどよい剛性等の
優れた特性に効果的である。
本発明による芯材では、第1図に示すように、不織シー
ト中で湾曲しながら自身および/又は他の繊維と交絡し
て配置されている各構成単繊維1の交絡部2に樹脂が接
着していると共に、繊維間隙3にも樹脂が接着し、不織
シート全体として繊維と樹脂とが実質的に接着一体化し
ている。高分子樹脂は、成型性,耐折性,反撥性等の特
性を得るために、ウレタン樹脂,ゴム系樹脂等を不織シ
ートの重量に対して100%以下にすることが好ましい、
尚、軽くするために、高分子発泡体として付与すること
が好ましく用いられている。
第2図は、本発明による芯材の製品の一例を示す靴中底
材5としての利用である。靴4の場合、中底材は履き易
さとして重要な役割がある。つまり、足にフィットして
クッション性を与えて、折れ曲げ易く、長い間使用して
も、折れ曲がったままの形状にならず、適度の剛性で、
足にフィットした形状が保型され、耐折性に優れている
ことが要望される。
本発明による芯材は、構成繊維が湾曲した状態に交絡さ
れ緻密な構造から成る為、第4図に示すように、横軸に
曲げ角度、縦軸に屈折応力とすると、本発明の芯材20
(後述の実施例9の芯材)は、曲げ角度を変えても、ほ
とんど変わらないことから、折れ曲がり易い靴中底であ
ることが判る。又、折れ曲がった形状が元に戻る回復性
に富み、ボリュームがあり、足にフィットする成型され
た中底材になる等、優れた靴中底材として利用できる。
第3図は、本発明による芯材の他の製品例、カバン6の
芯材7を示す。この場合、芯材はカバンの形状を維持す
る保型の役割だけでなく、中仕切り材と併用した芯材と
して利用でき、且つ、成型出来ることを利用して、製造
工程の合理化によるコストダウン等を果すことのできる
優れた芯材として用いることができる。
本発明による製造方法を実施するに際しては、前述の特
定の性能を有するポリエステル系長繊維として、複屈折
率Δnが0.02〜0.07の半延伸ポリエステル系長繊維を用
いる。
ポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレートの芳香
族ポリエステル、及び共重合ポリエステル等である。
尚、構成繊維の繊度は、0.5〜20d、繊度は同一又は異繊
度の繊維を混用しても良い。又、目付は、50〜500g/m2
のものが好ましく用いられるが限定するものではない。
Δnが0.02以下の場合、後述する熱処理の際に硬直化が
極度に進み脆くなり、また強度も低下して、実用に耐え
ない。一方Δnが、0.07以上の場合は、後述する熱処理
を行なっても熱収縮が小さく、緻密な繊維密度が得られ
ない。
構成繊維の複屈折率Δnの選定により、得られる芯材の
成型性,硬さ,繊維密度等が変わるので、目的に応じて
選ばれる。つまり、Δnが小さい程硬くなり、繊維密度
が大きくなり、成型し易い。しかし、ボリューム感が少
なくなると、そこで、複屈折率の異る単繊維を複数枚用
いることにより厚みを大きくし、反撥性とクッション性
を向上させることができる。
得られた不織ウエブを、機械交絡により交絡させる際
に、不織ウエブの乱れを防ぐために、表面に凸部を設け
たエンボスロールにより二次転移温度以上、二次転移点
+30℃以下の温度で熱圧着する。このようなエンボスロ
ールによる不織ウエブへの部分熱圧着を施した後に次工
程のニードルパンチ加工を施すと、不織ウエブを構成す
る単繊維はニードル針によって湾曲されると共に、部分
熱圧着によって拘束されている単繊維についてはその動
きが規制されて単繊維自体に引伸ばしにより歪が与えら
れる。このような不織ウエブに後述の熱収縮を施すと歪
の緩和によって単繊維にクリンプが発生し、このクリン
プ発生と湾曲配置の単繊維の熱収縮による相乗効果によ
って強固に交絡した不織シートが得られることになる。
機械交絡として、ニードルパンチ加工する場合、針番
号、針深さ、針のバーブ形状、等により影響を受ける
が、最も影響するのは突き回数である。通常の例を示す
と、針40番、針深さ10mm以上、突き回数50回/cm2以上で
行なわれる。芯地の用いられる用途、および不織シート
の目付によりこれらの条件を適切に選定すればよい。
次いで、この機械交絡された不織シートを熱収縮させる
際の温度は、二次転移点+30℃以上、融点−60℃以下の
温度範囲に於いて選定される。その際、面状で均一に熱
収縮させることを要し、且つ少なくとも5%以上、好ま
しくは10%から50%、タテ及びヨコ方向に収縮させる。
例えば、熱処理はテンター又はシリンダー、染色機等で
行なう。更に必要に応じて、例えばフエルトカレンダー
等により表面の平坦化加工を行なう。該不織シート中の
構成繊維は、熱処理前は、ほとんどまっすぐな直線状態
を保ったまま交絡しており、熱処理により単繊維は湾曲
した状態になって交絡している。単繊維の湾曲率が高く
なるほど繊維密度が増大し、交絡も一層強化され、機械
的特性も向上し、より弾性に富むフエルト様不織シート
となる。湾曲繊維含有率が少なくとも10%以上、好まし
くは20%以上がよい。この不織シートの平均見掛け密度
が、熱処理前は、0.20g/cm3以下の空隙の多い粗な構造
に対して、熱処理後は、0.20〜0.50g/cm3の緻密な構造
となり、ニードルパンチ穴が目立たず、平坦化され、毛
羽立ちも起こらず、長繊維不織シートとして従来にな
い、弾性に富む、フエルト外観の不織シートが得られ
る。平均見掛け密度が0.20g/cm3以下では、粗な構造と
なり、ニードルパンチ穴が目立ち、毛羽立ち、弾性に乏
しく本発明の目的を達成できない。平均見掛け密度が0.
50g/cm3以上の場合は、構造中の繊維移動がかなり拘束
され高密度構造となり、樹脂様、又はフイルム様な構造
になり、本発明の目的とする芯材は得られない。
上記熱処理に於いて、収縮性のある繊維がそれ以上の高
い温度で加熱しても収縮しなくなる。又、その時、実質
的に非晶部分が残っている為に熱成型性がある。
次いで、この不織シートを更に、剛性を高め、耐摩耗
性,耐折性等を向上させる目的で、不織シート中の各単
繊維交絡部及び、繊維間隙が樹脂により実質的に接着一
体化する。この時の樹脂として、弾性,反撥性,成型性
等を考慮して、ウレタン系樹脂,ゴム系樹脂,等が好ま
しく用いられる。樹脂付着率は、不織シート重量に対し
て、100%以下が好ましい。この時、より軽くするため
に、高分子発泡体による加工がより良い結果となる。例
えば、含浸により高分子樹脂を付着させ、マングルで絞
った後、テンターで乾燥して本発明の芯材が得られる。
更に必要に応じて、フエルトカレンダー等により表面の
平坦化加工を行なう。
得られた本発明の芯材の平均見掛け密度は、0.3〜0.7g/
cm3である。芯材の緻密な構造が、芯材にふさわしい剛
性,ボリューム感,成型性、及び、成型品の保型性、等
本発明の目的を充分満足し得る特性が得られる。しか
し、平均見掛け密度が0.3g/cm3以下の場合、粗な構造
で、剛性が不足し、耐摩耗性,成型品の保型性が劣る。
一方、平均見掛け密度が0.7g/cm3以上になると、密な構
造すぎて、折れ曲げた時、折れシワが起こり、一担シワ
が起こると、元に戻らない等耐折性に劣り、重く、樹脂
様、等により、成型性も不足する。
本発明に於ける芯材の成型性というのは、靴中底材の場
合、足のかかとの部分の丸みを付与する、又は、婦人用
靴では、足の先とかかとを、かかと部分を高くする形状
等を100℃以上に加熱した芯材を金型で、型押しして、
型付けする際の容易性を意味する。この時芯材の必要な
のは、加熱した時、伸び易く、常温に於いては、成型品
の形を保型できる剛性が必要である。本発明に於いて
は、この特性の目安すとして、150℃熱時の破断伸度
と、20%引張応力を示して、成型し易さとした。つま
り、150℃加熱下の破断伸度が大きい程、大変形の型付
けが可能である。通常破断伸度が50%以上が好ましい。
又、150℃加熱下の20%引張応力が小さい程、型付けし
易い、本発明では、50kg/cm2以下が良い結果を得る。
かくして、本発明の芯材は、必要とする性能を総合的に
満足すると共に、大変形の成型を行なうことのできる芯
材である。従って、第2図に示す靴中底材、第3図に示
すカバン芯材等として、製品を作ることができる。
次に明細書の各所に記した特性の定義および、測定方法
を一括して下記に記載する。
目付:試験片20cm×20cmを取り、その重量を測り、目付
に換算する。
厚み:荷重100g/cm2のダイヤルゲージを用いて少なくと
も3点以上測り、その平均値で表わす。
平均見掛け密度:上記目付を、厚みで除して求めた値と
する。
引張強伸度:試料3cm×20cmをタテ,ヨコ各々とり、定
速伸長引張試験機(島津製作所オートグラフ DSS−200
0型万能引張試験機)により把握長10cm、引張速度20m/
分で測定した。
20%引張応力,破断伸度: 雰囲気温度、150℃熱下の恒温槽内で引張強伸度と同様
に測定し、20%引張応力は、その値を断面積当りに換算
する。
湾曲繊維の含有率: 第5図に示すように顕微鏡を用いて20倍の拡大写真をと
り、囲まれた、任意の個所を設定し、その範囲内の繊維
1本1本につき10%以上の湾曲単糸(直線に対して)の
糸数を全部の単糸数で割った値(率)として求められ
る。原則としては、曲線に沿って糸長を写真上で測定す
る。第3図でaで示すように湾曲が円弧の場合、bで示
すような波状の場合、cで示すようなループ状の場合が
あるが、あらかじめ計算された10%長い糸長の円弧のそ
れとの対比で判定すればよい。即ち、第5図で の任意の線を引きそれにほぼ直交する繊維を無作為にy1
y2…ynと約20本以上選んで印をつける。次に各単糸繊維
の軌跡を、半透明紙上に1本1本別々になぞって写しと
り、設定枠に出入する点 の直線に対して、近似円弧のふくらみの高さで10%以上
の湾曲系かどうか判定する。
の場合全長についてどうか近似計算すればよい。
複屈折率(Δn): 白色光下で偏光顕微鏡ペレックス式コンペンセーターを
用いて測定する。
剛軟度(JIS−L−1096法) A法(45゜カンチレバー法)試料を2cm巾にとり一端が4
5度の斜面をもつ表面の滑らかな水平台の上に沿って試
験片の一端を水平台の斜面に合わせて試験片を斜面の方
向に緩やかに滑らせて試験片の一端の中央点が斜面に達
した長さで剛軟度を表わす。
屈曲応力:試験片2cm×10cmを各々とり、上記引張試験
と同じ機械を用いて、折れ曲げ性として、屈曲応力、を
測定した。
屈曲回復率:上記屈曲応力を曲げ角度120゜まで押し曲
げた後、元の長さに戻ったものを100として、求めた。
小さい値ほど、元の長さに戻らないことを表わす。
屈曲応力の変化量: 上記屈曲応力を測定する時、曲げ角度を0゜から120゜
まで曲げたときの応力の変化量で示す。大きい程、曲げ
にくく、ある角度以上に曲げると折れシワが起こりV字
型に折れ曲がることから、耐折性に劣しいという。一
方、小さい程、曲げ角度と共に、U字型に折れ曲がり、
折れシワが起こらず、折れ曲がり易く、耐折性に優れて
いるとした。
〔実施例〕
以下本発明による成型性を有する芯材の実施例の特例を
説明し、併せて比較例と物性上の比較を行う。
実施例1〜4,比較例5〜6 孔経0.25mm、孔数1000個の短形紡糸口金を用いて、吐出
量850g/min、固有粘度0.75のポリエチレンテレフタレー
トを溶融温度295℃で紡出し、紡出速度を変えて、金網
上に捕集して目付160g/m2のウエブを得た。それを熱圧
着率12%の一対のエンボスロールを用いて、温度80℃、
線圧20kg/cmで熱圧着をしてから、ニードルパンチ加工
を行なった。この条件は、針40番、つき深さ12mm、パン
チ回数160回/cm2で行ない、熱処理前の不織シートとし
た。尚実施例4は、紡糸速度の異なる二種類のそれぞれ
80g/m2のウエブを得てから、同様に一対のエンボスロー
ルを用いて熱圧着してから二枚を重ねてニードルパンチ
加工を行なった。
次いで、これら中間製品を熱処理した。加工条件は、タ
テ,ヨコ方向それぞれ20%熱収縮させるよう巾、長さを
規制して、ビンテンターの温度100℃で熱収縮させるよ
う巾,長さを規制して、ビンテンターの温度100℃で30
秒間熱処理をした。ただし比較例5は熱収縮を生ぜず単
に100℃30秒、熱覆歴を受けたものである。その結果を
第1表に示す。第1表に示すように、本発明の不織シー
トの実施例1,2,3,4は、緻密な繊維構造となった。単繊
維1本1本は、曲線状の湾曲糸が多く分布し、繊維交絡
が、かなり強化され、且つ、平均見掛け密度が増大し
た。
又、150℃熱下の破断伸度が大きく、且つ150℃熱下の20
%伸長応力が小さく、本発明の目的とする、熱成型性に
優れた不織シートが得られた。
一方、比較例−5は湾曲繊維の含有率35%と高いが他の
特性が本発明の目的を満足しない。例えば、耐熱性がな
く150℃熱下の20%伸長応力は融解して測定不能となっ
た。比較例6は、収縮しないため、繊維密度が向上せず
粗な構造で本発明の主要要件である湾曲繊維構造がな
く、又、150℃熱下での20%伸長応力が大きくなり、更
にタテ/ヨコ20%伸長応力比が拡大して、均一に成型加
工することが難しくなる。
次いで、熱処理して得られた不織シートを樹脂含浸し
た。加工条件は、樹脂として、三井日曹ウレタン(株)
製品の水溶性ウレタン樹脂(EGH−401)溶液に含浸さ
せ、一対のゴムロールで絞った後、130℃乾燥してか
ら、一対の金属ロール間を通して、本発明の芯材を得
た。その結果を第2表に示す。
第2表の結果より、実施例1〜4の本発明芯材は、折れ
曲げに対して適度の抵抗があり屈折回復率も優れてい
る。更に150℃熱下の破断伸度が大きく、150℃熱下の20
%伸長応力が50kg/cm2以下と小さく、なり熱時の成型加
工に対して非常に好ましい。
一方比較例−5は、耐熱性がなく、比較例−6は、平均
見掛け密度が小さく粗な構造となり硬さも不足し、150
℃熱下の破断伸度が小さく、20%伸長応力が大きくな
り、成型加工性が劣る。いずれも本発明の目的を満足す
るものは得られなかった。
実施例7〜9,比較例−10 実施例1〜3と同様の方法でウエブを得た。(目付160g
/m2、紡糸速度3,400m/分)、それを熱圧着率12%の一対
のエンボスロールを用いて、温度80度、線圧20kg/cmで
熱圧着してからニードルパンチ加工を行なった。この条
件は、針40番、つき深さ11mm、パンチ回数200回/cm2
行なった。
次いでこれら中間製品を熱処理した。この時、巾、長さ
方向の規制条件を変えて、得られる不織シートの特性を
比較した。実施例7〜9は、タテ、ヨコ方向を10%,25
%,40%と巾,長さをそれぞれ規制しながら熱処理を行
なった。一方、比較例10はタテ,ヨコ方向それぞれ収縮
させないで熱処理を行なった。熱処理条件は温度120℃
で20秒間熱処理をした。その結果を第3表に示す。
第3表に示すように、実施例7,8,9と収縮を大きくする
程、単繊維の湾曲率が増大して、交絡がより密な繊維構
造を得る。
収縮させる程、本発明の目的とする好ましい不織シート
が得られる。一方、比較例−10に示すように収縮させな
いと粗な繊維構造となり、本発明の目的を満足する不織
シートは得られなかった。
次いで、熱処理して得られた不織シートを樹脂含浸し
た。加工条件は樹脂として、三井日曹ウレタン(株)製
品の水溶性ウレタン樹脂(EGH−401)溶液に含浸させ、
一対のゴムロールで絞った後、130℃乾燥してから、一
対の金属ロール間を通して本発明の芯材を得た。その結
果を第4表に示す。
第4表に示すように、実施例−7〜9の本発明芯材は、
不織シート中の構成単繊維の湾曲率が多く含む程、屈曲
回復率,熱時の成型加工性に優れる、つまり、折れ曲げ
により適当な屈曲応力を得、かなり折れ曲げてもかわら
ない屈折応力であり、折りまげた芯材が元に回復する屈
曲回復性が良い。更に、150℃熱下の伸度が湾曲繊維の
含有率の増大と共に、大きくなり、150℃熱下の20%伸
長応力は、湾曲繊維の含有率の増大と共に小さくなり、
このことが熱をかけた時伸び易いこととなり、成型加工
が良好に行なえる。
以上の結果、本発明芯材は、樹脂加工前の不織シートの
見掛け密度,構成単繊維の湾曲率,構成単繊維等の特性
による。つまり不織シートの見掛け密度が0.2g/cm3以上
と大きく、構成単繊維の湾曲率が20%以上と大きく、構
成単繊維のΔnが0.02〜0.07の範囲にある。更に150℃
熱下の破断伸度が大きく、150℃熱下の20%伸長応力が
小さい等の特性を示すことにより、本発明の目的とする
成型性を有する芯材を得ることができる。
実施例9,比較例11〜13 実施例−9で得られた本発明の芯材と、市販の芯材との
比較を第5表に示す。
比較例−11は皮革の芯材、比較例−12はパルプボード、
比較例−13は短繊維不織布からなる芯材である。
第5表の結果から、実施例−9の本発明芯材は、曲げ角
度に対して変わらない屈折応力で最大屈曲応力が適当に
あり、屈曲回復率が非常に優れている。
これらのことが、例えば、靴の中底材に用いた場合、歩
き易く、使用中に靴が型くずれし難い、好しい芯材とし
て利用できる。
又、150℃熱下の破断伸度が大きく、20%伸長応力が50k
g/cm2以下となり熱時の成型加工に対して、非常に好ま
しい。20%伸長応力が小さいことは、熱をかけた時伸び
易いことを表わし、深絞り成型、複雑な成型加工が出来
ることである。
一方、比較例11〜13は、乾時と湿時の変化が大きく、且
つ、折れ曲げ抵抗が大きく、曲げ難い、その上、ある角
度以上に曲げると座屈し、折れシワが起こり、屈曲回復
率も悪くなる。更に150℃熱下の破断伸度が小さく、20
%伸長応力が大きく、成型加工性が劣る。
〔発明の効果〕 本発明の芯材は、前述のように、不織シートを構成する
繊維の組合せにより、風合,繊維密度等が変えられる
為、軟らかい風合から硬い風合で剛性に富む芯材が目的
に応じて作ることができる。
又、耐水性,湿潤時の摩耗,剛性も乾燥時とほとんど変
らず屈曲回復率等の耐折性にも優れ、さらに、従来から
の芯材では達成できない程の成型性を有する。
従って、本発明の芯材は、先芯,かかと芯,中底等の靴
芯材,ランドセル,カバン,各種ケース等の仕切り材,
芯材等の芯材として優れた性能を発揮すると共に、従来
の芯地を用いては達成することができない程度の大変形
の成型品にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による芯材の構成単繊維と樹脂との配置
関係を模式的に示す平面図である。第2a図,第2b図,第
3図は、本発明芯材を用いた製品を示す図であり、第2a
図は、本発明芯材を皮靴の中底材として用いた斜視図で
あり、第2b図は、成型された中底材の斜視図であり、第
3図は、芯材がカバンに用いられた斜視図である。第4
図は、折れ曲げ性を本発明による芯材と公知の芯材とで
比較して示すグラフであって、横軸に0゜〜120゜まで
の押し曲げ角度をとり、縦軸にその時の屈曲応力をとっ
て示す。第5図は、本発明の芯材を作る不織シートの湾
曲繊維の含有率を測定する方法を説明する図である。 1……不織シート中で湾曲しながら自身及び/又は他の
繊維と交絡して配置されている構成単繊維、2……単繊
維の交絡部に接着している樹脂、3……繊維間隙に配置
されて繊維に接着している樹脂、4……靴、5……靴中
底材、6……カバン、7……芯材、20……本発明による
芯材、21……レザーボード、22……パルプボード、23…
…短繊維不織布から成る芯材。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル系長繊維から成る不織シート
    であって、該不織シート中で各構成単繊維が湾曲しなが
    ら、自身及び/又は他の繊維と交絡して配置されている
    と共に、各単繊維交絡部及び繊維間隙が樹脂により実質
    的に接着一体化されて平滑な表面が形成され、厚み0.5m
    m以上、樹脂付着率57〜100%、平均見掛け密度が0.3〜
    0.7g/cm3の高密度構造体になり、剛軟度が15cm以上、屈
    曲回復率が82%以上、150℃での20%伸長応力が50kg/cm
    2以下であることを特徴とする成型性を有する芯材。
  2. 【請求項2】複屈折率が0.02〜0.07の範囲内にあるポリ
    エステル長繊維から成る不織ウエブをスパンボンド法に
    より作り、該不織ウエブを表面に凸部を設けたエンボス
    ロールにより二次転移点以上二次転移点+30℃以下の温
    度で熱圧着し、次いでニードルパンチ加工して構成単繊
    維を交絡した後に、タテ及びヨコ方向に収縮率がそれぞ
    れ10〜50%の範囲で面状で均一に収縮する熱処理加工を
    して構成単繊維を収縮させながら湾曲させ、得られた不
    織シートに樹脂付着率57〜100%の樹脂含浸加工を施し
    て構成単繊維交絡部及び繊維間隙を樹脂により実質的に
    接着一体化して平滑な表面を形成させる成型性を有する
    芯材の製造方法。
  3. 【請求項3】複屈折率が0.02〜0.07の範囲内にあり、且
    つ異なる複屈折率を有するポリエステル長繊維から成る
    二種類以上の不織ウエブを作り、該複数の不織ウエブを
    積層した後に熱圧着加工する特許請求の範囲第2項記載
    の製造方法。
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