JPH0726236B2 - 溶接缶用電解クロメート処理鋼板の製造方法 - Google Patents

溶接缶用電解クロメート処理鋼板の製造方法

Info

Publication number
JPH0726236B2
JPH0726236B2 JP2083774A JP8377490A JPH0726236B2 JP H0726236 B2 JPH0726236 B2 JP H0726236B2 JP 2083774 A JP2083774 A JP 2083774A JP 8377490 A JP8377490 A JP 8377490A JP H0726236 B2 JPH0726236 B2 JP H0726236B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chromium
steel sheet
treatment
electrolytic chromate
welding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2083774A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03177599A (ja
Inventor
博英 古屋
浩樹 岩佐
豊文 渡辺
繁雄 神原
Original Assignee
日本鋼管株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from JP60192614A external-priority patent/JPH0637712B2/ja
Application filed by 日本鋼管株式会社 filed Critical 日本鋼管株式会社
Priority to JP2083774A priority Critical patent/JPH0726236B2/ja
Publication of JPH03177599A publication Critical patent/JPH03177599A/ja
Publication of JPH0726236B2 publication Critical patent/JPH0726236B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は溶接性に優れた溶接缶用電解クロメート処理鋼
板、具体的には、電気抵抗シーム溶接により製缶される
溶接缶用電解クロメート処理鋼板の製造方法に関する。
〔従来の技術及びその問題点〕
鋼板表面に金属クロム及びクロム酸化物を主体とするク
ロム水和酸化物の皮膜を形成した電解クロメート処理鋼
板(TFS−CT)は、優れた塗装性、耐食性を有し、ブリ
キに比して安価でもあることから、飲料等の食缶関係、
ペール缶、18l缶、オイル缶等の雑缶関係等、広い分野
で使用さえれている。従来、この種の鋼板を用いる缶材
は、主に絞り加工による2ピース缶や有機樹脂あるいは
特殊セメントを用いる接着缶(3ピース缶)として実用
化されているが、溶接缶としての利用割合は非常に小さ
い。これは電解クロメート処理鋼板が極めて溶接性に劣
るメッキ鋼板であるためである。
しかし昨今の製缶では、接合強度及び信頼性が高い接合
法が要求され、このため溶接接合が製缶溶接で大きなウ
エイトを占めるようになってきており、現在用いられて
いる電解クロメート処理鋼板では、その悪い溶接性ゆえ
に用途拡大が困難な状況にある。このように溶接性が乏
しい主な原因は、電解クロメート処理鋼板の表面皮膜に
あり、メッキ層を構成する金属クロム層及びクロム酸化
物を主体とするクロメート水和酸化物層の非導電性と非
熱伝導性のために、溶接電流によって発生する熱の発熱
形態が不均一となり、鋼が局部的に発熱し、チリ、ブロ
ーホール等の溶接欠陥を生じ易いからである。
このため従来では、あえて通常の電解クロメート処理鋼
板を溶接するような場合には、溶接部となるクロメート
処理皮膜を研磨除去してから溶接するという煩雑な方法
を採らざるを得ない。また、この他にも電解クロメート
処理鋼板の溶接性を確保するため以下のような提案がな
されている。
(イ) 鋼板の溶接を必要とする部位に水ガラスを塗
布、乾燥した後、この鋼板表面にクロムメッキを施し、
水ガラスを剥離して溶接する。(特開昭57-143492号) (ロ) クロムメッキ鋼板に20%以下の調質圧延を施し
てその面に亀裂を生じさせると、その無数の亀裂を介し
て溶接電流が地鉄部に流れ良好なスードロニック溶接等
を行うことができる。(特開昭55-48406号) しかしこれらの方法は、溶接を行うに当りクロメート処
理鋼板に何らかの前処理を施すというものであるため、
工程の簡素化、製缶コストという面で大きな問題があ
る。
〔問題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記のような従来の問題に鑑み、溶接前
の特別な前処理を行うことなく優れた溶接性(抵抗シー
ム溶接性)が得られる溶接缶用電解クロメート処理鋼板
の製造方法について検討を加えた。その結果、特定の電
解クロメート処理によって得られるクロメート皮膜、具
体的には、金属クロム層表面が、鋼板全面に亘る総ての
結晶方位面上において多数の粒状若しくは角状の突起を
有する構造を持つ電解クロメート皮膜が極めて優れた溶
接性を示すことを見い出し、本発明を完成させたもので
ある。
すなわち、本発明は、鋼板を一液法により断続電解によ
る陰極処理で電解クロメート処理するとともに、その陰
極電解処理途中で少なくとも1回陽極電解処理を行い、
且つこの陽極電解処理における陽極処理電気量を0.01〜
0.9クーロン/dm2とすることにより、鋼板表面に目付量
5〜200mg/m2の金属クロム層と、その上部に金属クロム
換算で目付量3〜15mg/m2のクロム酸化物を主体とする
クロム水和酸化物層とを有し、前記金属クロム層表面
が、鋼板全面に亘る総ての結晶方位面上において多数の
粒状若しくは角状の突起を有する電解クロメート処理鋼
板を製造することを特徴とする。
このような金属クロム層表面に突起を有する電解クロメ
ート鋼板の製造方法として、特開昭59-100291号が提案
されているが、この技術は接着缶用としての電解クロメ
ート鋼板に言及するにとどまり、また、必ずしも鋼板全
面に亘る総ての結晶方位面上に多数の突起を形成させる
ことを条件としたものではない。本発明は、上記突起と
溶接性との関係、さらには鋼板全面に亘る総ての結晶方
位面上に上記突起を多数形成させることが優れた溶接性
を得る上で不可欠の条件であることを見い出し、これに
基づきなされたものである。
従来の電解クロメート処理鋼板をスードロニック型の抵
抗シーム溶接する場合、外層のクロム酸化物が絶縁皮膜
となり、缶胴縦縁部分のラップ部における接触抵抗を高
くする。したがって溶接開始直後の溶接電流は低く、一
定時間経過後に始めて一定の溶接電流値を示すようにな
る。このために発熱が不均一となり、鋼が局部的に発熱
し、チリを発生したり、溶接ナゲット部に不都合な空洞
(ブローホール)を生じさせる。このような溶接時に局
部的に過大電流が流れるかどうかの評価をするのに接触
抵抗値(静的抵抗値)が知られている。すなわち、接触
抵抗の高い材料では溶接電流の通路が狭く、局部的な過
大電流が流れ易いのである。通常の電解クロメート処理
鋼板では上記接触抵抗値が102から105オーダーと他の溶
接缶用表面処理鋼板に比して極端に大きい。
本発明者等はこのような点に鑑み電解クロメート処理鋼
板の接触抵抗を下げるという方向で種々検討を行った結
果、基本的に、電解クロメート皮膜を構成する金属クロ
ム層に、粒状や角状の突起(金属クロム)が均一な分
布、具体的には鋼板全面に亘るあらゆる結晶方位面上に
おいて多数分布するよう形成された皮膜構造とすること
により、接触抵抗を2桁まで低下させ得ることが判っ
た。そして、それに伴い溶接開始直後の溶接電流低下は
ほとんどなく、瞬時に一定溶接電流値を示すようにな
り、局部的な異常発熱も軽微になり良好なシーム溶接部
を安定して得られることが判明した。
第1図はこのような皮膜構造の断面を模式的に示すもの
で、(1)は鋼板、(2)は金属クロム、(3)はクロ
ム水和酸化物層であり、金属クロム層(2)の表面には
多数の突起(4)が形成されている。そして、この金属
クロムの突起(4)のために、その上のクロム水和酸化
物層(3)もその突起に沿った起伏を呈している。
そして、このような皮膜構造により上記したような良好
な溶接性が得られるのは、第1図に示すような皮膜構造
の鋼板面どうしが重ね合わされるため接触面積が大にな
ることから導電性が向上し、溶接電流が流れ易くなった
ためと推定される。さらに、このような作用に加え、金
属クロム層(2)に沿ったクロム水和酸化物層(3)が
凹凸状であるため外圧により亀裂を生じ易くなってお
り、このため皮膜面どうしを圧接させた際、金属クロム
の突起上にあるクロム水和酸化物層に容易に亀裂が生
じ、溶接電流が流れ易くなることによるものと推定され
る。
以下、本発明の製造方法によって得られる皮膜構造を具
体的に説明する。
電解クロメート処理皮膜は、鋼板面上に形成される金属
クロム層(2)と、その上のクロム酸化物を主体とする
クロム水和酸化物層(3)とからなっているが、このう
ち金属クロム層(2)は5〜200mg/m2、クロム水和酸化
物層(3)は金属クロム換算値で3〜15mg/m2の付着量
とされる。
金属クロム及びクロム酸化物は抵抗溶接の面からは少な
い方が望ましく、できるならば多数の突起状金属クロム
を形成するのに必要な目付量を確保し、かつ耐食性に支
障をきたさない最少の目付量に管理することが好まし
い。金属クロム層(2)の金属クロム量が200mg/m2超で
は、金属クロムの突起による効果が金属クロム過多によ
る溶接性の低下により打消され、溶接性の向上は望めな
くなる。また金属クロム量が5mg/m2未満となると皮膜に
十分な耐食性が期待できなくなる。クロム水和酸化物層
(3)のクロム酸化物量に関しても同様であり、その付
着量が金属クロム換算で15mg/m2を超えると、クロム酸
化物層に亀裂が入りにくくなり、特に高速製缶の場合の
溶接性が低下してしまう。また付着量が3mg/m2を下回る
と耐食性に問題を生ずる。
金属クロム層(2)に形成される突起(4)は、板状に
広い範囲に形成されるものではなく、平面的にみて粒状
あるいは角状のものである。このような突起(4)は、
鋼板自体の結晶方向の影響を受けて特定の結晶面にのみ
集中して形成されても本発明の目的とする効果は期待で
きず、このため鋼全面に亘る総ての結晶方位面に多数形
成される程度の均一な分布性が必要とされる。
なお、このような金属クロムの突起は鋼板両面または片
面に適宜形成させることができる。
次に、以上のような皮膜構造を得るための本発明の製造
方法について説明する。
本発明では、鋼板を一液法により断続電解による陰極処
理で電解クロメート処理するとともに、その陰極電解処
理の途中で少なくとも1回陽極電解処理を行う。すなわ
ち鋼板を複数パスの陰極電解処理により電解クロメート
処理する所謂縦型処理設備の場合には、例えば複数パス
の陰極電解処理(断続電解)の途中の少なくとも1つの
パスにおいて陽極電解処理を行う。
電解クロメート処理鋼板を製造するには、無水クロム
酸、クロム酸塩及び重クロム酸塩の少なくとも1つを主
成分とし、且つその中にF-及び/又はSO4 2-を含む電解
液中において鋼板を陰極にして陰極電解処理を行う。
電解クロメート処理には、一般に一液法と二液法という
2種類の処理法があるが、本発明では、一液法で処理を
行う。二液法ではクロム酸化物の付着量が多くなり過
ぎ、クロム酸化物の付着量を上述した15mg/m2以下に抑
えることが難しい。
電解クロメート処理の所謂縦型設備は連続的に配置され
る複数の処理槽を有しており、このような設備で電解ク
ロメート処理される鋼板は、各処理槽のシンクロールへ
の接触により必然的に断続電解処理となる。金属クロム
層の突起は、このような断続電解処理を行った場合に観
察されることがあるが、このようにして生成した突起は
極めて不均一なものとなる。すなわち、このような突起
の生成は、被処理鋼板の結晶方位の影響を受け、特定の
結晶面(例えば(001)面)にのみ形成される。その結
果、このような突起状の金属クロムがほとんど形成され
ていない電解クロメート処理鋼板に比べると、接触抵抗
はある程度低下するものの良好な溶接性は何ら期待でき
ない。
これに対して本発明では、陰極電解処理の途中で陽極電
解処理を行うため突起状の金属クロムが均一にしかも密
な状態で形成されるものであり、その詳細なメカニズム
は必ずしも明らかではないが、基本的には次のような理
由によるものと考えられる。すなわち、陽極電解処理が
行われるまで、あるいは陰極電解処理が中断されるまで
の陰極電解処理により、鋼板上には金属クロム層とその
上にクロム水和酸化物層が生成する。クロム水和酸化物
層はコロイド状であるため、陰極電解が中断すると酸化
性の電解液により金属クロム表面は酸化され酸化クロム
に変化する。酸化クロムと金属クロムでは格子定数が異
なることから酸化クロム層中には原子配列の乱れた欠陥
部が点在し、この部分は酸化クロム膜厚が他より薄い
か、金属クロムが露出しているため電気抵抗が低く、再
陰極電解時に金属クロムが優先析出するため突起状の金
属クロムが生成するものと考えられる。そして、本発明
で行われる陰極電解中断時の陽極電解処理は、酸化クロ
ム層中の原子配列の乱れた欠陥部を中断だけの場合より
も多く生成させる効果があるために、あらゆる結晶方位
面上に多数の突起状の金属クロムが生成するものと考え
られる。
金属クロムの突起(4)を成長させるためには、陽極処
理を行った後、さらに陰極処理を行う必要があり、これ
を満たすような位置に陽極処理を導入しなければならな
い。さらに、陽極処理を一連の陰極処理のできるだけ早
い時期の処理途中で行うことにより、金属クロム突起の
成長と分布の均一化を図ることができる。なお、上記陽
極処理は金属クロム突起を広く形成させるため本発明に
おいて不可欠な処理であるが、クロム電解効率も向上さ
せる効果も有している。
また、本発明の製造法では、陰極電解処理が断続電解
(処理の途中で無通電区間がある陰極電解処理)により
行われることが必要である。クロム酸化物は陰極電解処
理により生成し、無通電時に溶解する性質があるが、こ
のクロム酸化物が厚くなると金属クロムの突起の生成の
支障となる。この点、陰極電解処理を断続的に行うこと
により、酸化クロム層を常に均一且つ薄い状態に保つこ
とができる。上述したように、突起状の金属クロムの生
成メカニズムは、酸化クロム層中に原子配列の乱れた欠
陥部が点在し、陽極電解処理後の再陰極電解処理時に、
この部分に金属クロムが優先析出するため突起状の金属
クロムが生成するものと考えられる。したがって、断続
電解処理により上記のように酸化クロム層が均一且つ薄
く生成している場合には、陽極電解処理により金属クロ
ム層を均一に酸化させることができ、この結果、酸化ク
ロム層中の原子配列の乱れた欠陥部を均一に且つ多数生
成できるので、突起状の金属クロムが均一且つ緻密に生
成するものと考えられる。これに対し、断続電解処理で
ない、すなわち無通電区間を設けず連続的に行われる陰
極電解処理では、酸化クロム層が厚く生成するため、陽
極電解処理により金属クロム層を均一に酸化させること
ができないので、酸化クロム層中の原子配列の乱れた欠
陥部を均一に生成させることができず、このため突起の
分布にムラを生じさせるものと考えられる。
陰極電解処理における電流密度は10A/dm2以下にならな
いようにすることが好ましい。すなわち、電流密度が10
A/dm2以下では陽極処理を施しても均一な分布の金属ク
ロム突起は得にくい。また、陽極処理電気量は0.01〜0.
9クーロン/dm2、好ましくは0.1〜0.9クーロン/dm2
する。陽極処理電気量が0.1クーロン/dm2未満、特に0.
01クーロン/dm2未満の場合、陽極処理した効果はあま
り見られず、一方、0.9クーロン/dm2を超えると金属ク
ロムが溶出するため好ましくない。
なお、本発明法は所謂、縦型処理設備で実施する場合に
は、陰極処理途中の1つのパスで陽極処理を行う等の方
法で実施できるが、所謂横型処理設備でも陰極電解中に
供給電流を一時逆転して陽極処理を行う等の方法で実施
することができる。
〔実施例〕
次に本発明の実施例を説明する。
縦型処理設備により以下に示すような条件で製造した電
解クロメート処理鋼板を210℃×10分空焼した後、スー
ドロニック溶接機に供し、その溶接性を調べた。また、
これとは別に、金属クロム層の透過電子顕微鏡写真によ
り突起状金属クロムの生成状況を観察するとともに、Cr
の付着量と205℃×23分空焼後の接触抵抗も測定した。
その結果を第1表に示す。
また、金属クロム層の透過電子顕微鏡写真を第2図
(a)〜(h)に示す。第2図の各図と実施例及び比較
例との対応関係は以下の通りである。なお、これら写真
の鋼板について、直径が20〜30nm以下である金属クロム
の突起の密度を計数した。その結果を以下に併せて示
す。
(突起密度) (a)…比較例(1) 突起なし (b)… 〃 (2) 1.4×1013〜1.7×1013個/m2 (c)… 〃 (3) 3.4×1012〜6.9×1012個/m2 (d)… 〃 (4) 1.7×1012〜3.4×1012個/m2 (e)… 〃 (5) 突起なし (f)…実施例(1) 1.5×1014〜1.9×1014個/m2 (g)… 〃 (2) 1.7×1014〜2.0×1014個/m2 (h)… 〃 (3) 1.5×1014〜1.9×1014個/m2 また、第3図は実施例等で得られた結果をもとに陽極処
理位置と接触抵抗との関係を示したものである。
◎比較例(1)(2)(3) 0.22mm厚の冷延鋼板(T4CA相当)を常法に従い脱脂酸洗
し水洗した後、下記の第一液中で電流密度5A/dm2(比較
例(1))、25A/dm2(比較例(2))、30A/dm2(比較
例(3))の各電解条件にて通電時間:0.3秒、無通電時
間:0.3秒、全通電時間:1.2秒の陰極電解を行い、水洗し
た後、下記第二液中で下記条件にて陰極電解を行い、水
洗し乾燥した。
第一液 CrO3 :175g/l Na2SiF6 : 5g/l Na2SO4 :0.9g/l 浴 温 :45℃ 第二液 CrO3 :50g/l NH4F : 2g/l 浴 温:40℃ 電流 密度:30A/dm2 通電 時間:0.3秒 無通電時間:0.3秒 全通電時間:0.9秒 ◎比較例(4) 比較例(1)(2)(3)と同様の浴条件、処理手順に
より、第一液中で電流密度:25A/dm2、通電時間:0.3秒。
無通電時間:0.3秒、全通電時間:1.5秒の陰極電解のみ行
い、水洗した後、第二液中で前述と同様の処理を施し、
電解クロメート処理鋼板を製造した。
◎比較例(5) 比較例(1)〜(3)と同様の浴条件、処理手順で第一
液中、電流密度:5A/dm2、通電時間:0.3秒、全通電時間:
1.2秒の断続陰極電解を行うに当り、第2パスにおいて1
A/dm2の電流密度で処理時間:0.3秒の陽極処理を1回施
し、前述の第二液中で陰極電解を行い、電解クロメート
処理鋼板を製造した。
◎実施例(1)(2)(3) 比較例(1)〜(4)の第一液と同様の浴条件で、電流
密度:25A/dm2、通電時間:0.3秒、全通電時間:0.9秒(実
施例(1))、1.2秒(実施例(2))、1.5秒(実施例
(3))の断続陰極電解を行うに当り、第2パスにおい
て1A/dm2の電流密度で処理時間:0.3秒の陽極処理を1回
施し、電解クロメート処理鋼板を製造した。
◎実施例(4)(5)(6)および比較例(6) 比較例(1)〜(4)の第一液と同様の浴条件で、電流
密度:25A/dm2、通電時間:0.3秒、全通電時間:1.5秒の断
続陰極電解を行うに当り、第3パス(実施例(4))、
第4パス(実施例(5))、第5パス(実施例
(6))、第6パス(最終陰極電解後)(比較例
(6))にそれぞれ1A/dm2の電流密度で処理時間:0.3秒
の陽極処理を1回施し、電解クロメート処理鋼板を製造
した。
なお、上記第1表における接触抵抗の測定は以下のよう
にして行った。即ち、接触抵抗測定用として特別に比較
例(1)〜(5)、実施例(1)〜(3)それぞれの電
解クロメート処理を被処理鋼板の片面に施し、多面には
#25のすずメッキを施す。205℃×23分空焼した後の電
解クロメート皮膜面どうしを合せて上記鋼板の2枚重ね
板とし、接触抵抗測定機の上下の銅チップ間に挾み、そ
の抵抗を測定する。したがって上下の銅チップは#25メ
ッキされたすず層と接することになる。これにより得ら
れた値から#25すずメッキを両面に施した鋼板1枚の抵
抗を差し引いて接触抵抗とした。
溶接性の評価はスードロニック溶接機を使用し、溶接可
能適性電流範囲の広さ、溶接外観、溶接強度による総合
評価であり、その評点については以下の如くである。
◎…著しく良好 △…やや劣る ○…比較的良好 ×…著しく劣る 第1表によれば、比較例(1)〜(4)のものは接触抵
抗が102オーダー以上で溶接性が劣るのに対し、本発明
法により製造された突起状金属クロムが鋼板全面に亘る
総ての結晶方位面上に多数形成された電解クロメート処
理鋼板では接触抵抗が10Ω以下にまで低下し、優れた溶
接性を示している。このように均一な突起状金属クロム
を形成させた電解クロメート鋼板では溶接性が著しく改
善されることは明白である。
なお、比較例(1)はCr目付量が少ないにもかかわらず
接触抵抗が極端に大きくなっているが、これは第一液の
陰極処理電流密度が小さく、突起状の金属クロムがほと
んど形成されていないためと推定される。比較例(2)
(3)(4)のようにCr目付量が多くても比較例(1)
に比して接触抵抗が小さいのは特定方位だけではある
が、僅かに突起状の金属クロムが形成されているためと
推定される。なお、比較例(5)から過度の低電流密度
による陰極処理を行った場合においては陽極処理を施し
ても効果がないことがわかる。
また、比較例(6)は陰極電解処理後に陽極電解処理を
行った例(最終パスで陽極電解処理)であり、この場合
には粒状化が充分でなく、溶接性が劣っている。また第
3図は実施例等で得られた結果をもとに陽極処理位置と
接触抵抗との関係を示したものであるが、二液法に比
べ、一液法で行う本発明では1桁台の低い接触抵抗が得
られていることが判る。
〔発明の効果〕
以上述べた本発明によれば、特別な前処理を施すことな
く優れた溶接性を有する電解クロメート処理鋼板を製造
することができ、加えて、このような表面処理鋼板を既
存の設備を用いて容易に製造し得るものであり、この種
の表面処理鋼板の用途を大いに拡大することができるも
のである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明法によって得られる電解クロメート処理
鋼板の皮膜断面構造を模式的に示す説明図である。第2
図(a)〜(h)は実施例における電解クロメート処理
鋼板の金属クロム結晶構造透過電子顕微鏡写真である。
第3図は実施例の結果をもとに陽極処理位置と接触抵抗
との関係を示したものである。 図において、(1)は鋼板、(2)は金属クロム層、
(3)はクロム水和酸化物層、(4)は突起である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板を一液法により断続電解による陰極処
    理で電解クロメート処理するとともに、その陰極電解処
    理途中で少なくとも1回陽極電解処理を行い、且つこの
    陽極電解処理における陽極処理電気量を0.01〜0.9クー
    ロン/dm2とすることにより、鋼板表面に目付量5〜200
    mg/m2の金属クロム層と、その上部に金属クロム換算で
    目付量3〜15mg/m2のクロム酸化物を主体とするクロム
    水和酸化物層とを有し、前記金属クロム層表面が、鋼板
    全面に亘る総ての結晶方位面上において多数の粒状若し
    くは角状の突起を有する電解クロメート処理鋼板を製造
    することを特徴とする溶接缶用電解クロメート処理鋼板
    の製造方法。
JP2083774A 1985-08-31 1990-03-30 溶接缶用電解クロメート処理鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JPH0726236B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2083774A JPH0726236B2 (ja) 1985-08-31 1990-03-30 溶接缶用電解クロメート処理鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60192614A JPH0637712B2 (ja) 1985-08-31 1985-08-31 溶接缶用電解クロメート処理鋼板
JP2083774A JPH0726236B2 (ja) 1985-08-31 1990-03-30 溶接缶用電解クロメート処理鋼板の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP60192614A Division JPH0637712B2 (ja) 1985-08-31 1985-08-31 溶接缶用電解クロメート処理鋼板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03177599A JPH03177599A (ja) 1991-08-01
JPH0726236B2 true JPH0726236B2 (ja) 1995-03-22

Family

ID=26424814

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2083774A Expired - Fee Related JPH0726236B2 (ja) 1985-08-31 1990-03-30 溶接缶用電解クロメート処理鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0726236B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2841450T3 (es) * 2015-12-11 2021-07-08 Jfe Steel Corp Chapa de acero para latas y método de producción de chapa de acero para latas
KR102379482B1 (ko) * 2015-12-11 2022-03-25 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 캔용 강판 및 그의 제조 방법
MX2019014691A (es) 2017-06-09 2020-02-07 Jfe Steel Corp Lamina de acero para latas y metodo para su produccion.
EP3620553B1 (en) 2017-06-09 2023-05-10 JFE Steel Corporation Production method for steel sheet for cans

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61213399A (ja) * 1985-03-15 1986-09-22 Kawasaki Steel Corp 溶接缶用テインフリ−鋼板およびその製造方法
JPS61281899A (ja) * 1985-06-08 1986-12-12 Kawasaki Steel Corp 溶接缶用テインフリ−鋼板およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03177599A (ja) 1991-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0216397B2 (ja)
JPS6326200B2 (ja)
JPH0637712B2 (ja) 溶接缶用電解クロメート処理鋼板
JPS63186894A (ja) 溶接缶用クロムめっき鋼板及びその製造方法
JPH0726236B2 (ja) 溶接缶用電解クロメート処理鋼板の製造方法
JPH0366397B2 (ja)
JPH03229897A (ja) 表面明度の高い溶接缶用ティンフリー鋼板およびその製造方法
JP2576570B2 (ja) 電解クロメート処理鋼板の前処理方法
JPS6376896A (ja) シ−ム溶接性、耐食性に優れた表面処理鋼板の製造方法
US4898649A (en) Method for manufacturing electrolytically chromated steel sheet
US5374488A (en) Welded tin-free steel can
JPH0196397A (ja) 耐食性に優れた溶接缶用クロムめっき鋼板の製造方法
JPH0366398B2 (ja)
EP0492319B1 (en) Surface treated steel sheet for welded cans
JPS6353288A (ja) 溶接性に優れた低コスト表面処理鋼板
JP3224457B2 (ja) 高速シーム溶接性、耐食性、耐熱性および塗料密着性に優れた溶接缶用素材
JPH11197704A (ja) 色調、密着性、溶接性に優れためっき用鋼板及びその製造方法
JPS5946320B2 (ja) 溶接性と塗装後の耐食性が優れた容器用クロメ−ト被膜鋼板とその製造法
JPS62139898A (ja) シ−ム溶接性に優れた製缶用表面処理鋼板
KR100359240B1 (ko) 용접성이 우수한 표면처리방법
JP2665298B2 (ja) スポット溶接性に優れた表面処理アルミニウム板
JPH0433872B2 (ja)
TW202328495A (zh) 罐用鋼板及其製造方法
JPS6396294A (ja) 溶接性、耐食性に優れた缶用鋼板の製造方法
JPS6342718B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees