JP2665298B2 - スポット溶接性に優れた表面処理アルミニウム板 - Google Patents
スポット溶接性に優れた表面処理アルミニウム板Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、表面処理を施したア
ルミニウムまたはその合金の板に関し、特にスポット溶
接で組み立てられる自動車の車体等に用いるのに好適な
アルミニウムまたはアルミニウム合金の板に関するもの
である。
ルミニウムまたはその合金の板に関し、特にスポット溶
接で組み立てられる自動車の車体等に用いるのに好適な
アルミニウムまたはアルミニウム合金の板に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用材料には寒冷地における
凍結防止剤散布による腐食対策および燃費向上のための
軽量化対策の要求がますます強くなってきており、亜鉛
めっき、亜鉛系合金めっき(以下、「亜鉛系めっき」と
総称する)等の表面処理鋼板、高張力鋼板等の利用が進
められている。このような鋼板を用いる自動車の車体製
造ラインにおいては、プレス加工により所定の形状に成
形し、抵抗溶接 (スポット溶接) で各部品を組み立て、
その後りん酸亜鉛処理、電着塗装、スプレー塗装が施さ
れるのが一般的である。
凍結防止剤散布による腐食対策および燃費向上のための
軽量化対策の要求がますます強くなってきており、亜鉛
めっき、亜鉛系合金めっき(以下、「亜鉛系めっき」と
総称する)等の表面処理鋼板、高張力鋼板等の利用が進
められている。このような鋼板を用いる自動車の車体製
造ラインにおいては、プレス加工により所定の形状に成
形し、抵抗溶接 (スポット溶接) で各部品を組み立て、
その後りん酸亜鉛処理、電着塗装、スプレー塗装が施さ
れるのが一般的である。
【0003】他方、最近では、特に車体軽量化を狙って
アルミニウムまたはアルミニウム合金の板(以下、「Al
板」と総称する) を車体に使用することが多くなってい
る。
アルミニウムまたはアルミニウム合金の板(以下、「Al
板」と総称する) を車体に使用することが多くなってい
る。
【0004】Al板は一般には鋼材と併用するのが通常で
ある。この場合、Al板加工用の別の製造ラインを新設せ
ず、鋼材加工のラインを兼用して部品を製造するのが望
ましい。設備新設の費用が節約でき、工程の連続性を維
持できるからである。
ある。この場合、Al板加工用の別の製造ラインを新設せ
ず、鋼材加工のラインを兼用して部品を製造するのが望
ましい。設備新設の費用が節約でき、工程の連続性を維
持できるからである。
【0005】しかし、例えば前記のめっき鋼板とAl板と
を同一ラインで処理する場合、りん酸亜鉛処理工程にお
いて次のような問題を生じる。すなわちAl板にりん酸亜
鉛処理を施した場合、Al板表面に良好なりん酸亜鉛皮膜
が形成されないばかりでなく、Al板表面が溶解して、り
ん酸亜鉛処理浴中にAlイオンが溶出してしまう。その結
果、りん酸亜鉛処理浴中のAlイオン濃度がわずか数ppm
になっただけでも鋼板表面に良好なりん酸亜鉛処理皮膜
が形成されなくなる。
を同一ラインで処理する場合、りん酸亜鉛処理工程にお
いて次のような問題を生じる。すなわちAl板にりん酸亜
鉛処理を施した場合、Al板表面に良好なりん酸亜鉛皮膜
が形成されないばかりでなく、Al板表面が溶解して、り
ん酸亜鉛処理浴中にAlイオンが溶出してしまう。その結
果、りん酸亜鉛処理浴中のAlイオン濃度がわずか数ppm
になっただけでも鋼板表面に良好なりん酸亜鉛処理皮膜
が形成されなくなる。
【0006】上記の問題を解決する方法として、本出願
人は先に「りん酸亜鉛処理性に優れたAl板」を開発して
特許出願を行った(特開昭61-157693 号公報)。即ち、
Al板表面に亜鉛めっき層、亜鉛系合金めっき層、または
鉄系合金めっき層のいずれかを1g/m2以上の付着量で形
成しておくことによって、後のりん酸亜鉛処理時におけ
るAl板からのAlイオンの溶出を防ぎ、それによって鋼板
とAl板を同一ラインで交互に処理した場合でも両者に良
好なりん酸亜鉛皮膜を生成させることができる。
人は先に「りん酸亜鉛処理性に優れたAl板」を開発して
特許出願を行った(特開昭61-157693 号公報)。即ち、
Al板表面に亜鉛めっき層、亜鉛系合金めっき層、または
鉄系合金めっき層のいずれかを1g/m2以上の付着量で形
成しておくことによって、後のりん酸亜鉛処理時におけ
るAl板からのAlイオンの溶出を防ぎ、それによって鋼板
とAl板を同一ラインで交互に処理した場合でも両者に良
好なりん酸亜鉛皮膜を生成させることができる。
【0007】Al板は鋼板に比較すると、電気伝導度およ
び熱伝達率が高く、かつその表面に強固な酸化皮膜が形
成され易いためにスポット溶接性とくに連続打点性が悪
い。
び熱伝達率が高く、かつその表面に強固な酸化皮膜が形
成され易いためにスポット溶接性とくに連続打点性が悪
い。
【0008】鋼板の場合には3000点以上の連続スポット
溶接が可能にあるのに対しAl板の場合は 300〜500 点程
度しか連続打点性がない。そのためAl板を用いる場合に
は 300〜500 点程度の連続打点ごとにラインを停止させ
て電極の研磨あるいは交換をしなければならず、生産効
率が著しく低下する。
溶接が可能にあるのに対しAl板の場合は 300〜500 点程
度しか連続打点性がない。そのためAl板を用いる場合に
は 300〜500 点程度の連続打点ごとにラインを停止させ
て電極の研磨あるいは交換をしなければならず、生産効
率が著しく低下する。
【0009】前記特開昭61-157693 号公報に開示されて
いる亜鉛系めっきAl板は、連続打点が 800〜1000点の程
度まで溶接性が向上するが、鋼板並の連続打点溶接性は
得られない。そこでこのスポット溶接性を向上させる対
策として特開平3-146693 号の発明が提案されている。
すなわち、Al板の表面に最下層として、フッ化水素酸を
含む酸性塩化物浴で置換めっきをするか、または硫酸酸
性浴で電気めっきすることによりNi (ニッケル) めっき
層を形成させ、その上に亜鉛または亜鉛系合金めっき層
を施すという発明である。
いる亜鉛系めっきAl板は、連続打点が 800〜1000点の程
度まで溶接性が向上するが、鋼板並の連続打点溶接性は
得られない。そこでこのスポット溶接性を向上させる対
策として特開平3-146693 号の発明が提案されている。
すなわち、Al板の表面に最下層として、フッ化水素酸を
含む酸性塩化物浴で置換めっきをするか、または硫酸酸
性浴で電気めっきすることによりNi (ニッケル) めっき
層を形成させ、その上に亜鉛または亜鉛系合金めっき層
を施すという発明である。
【0010】上記特開平3-146693 号公報の発明は、Al
板の表面の緻密な酸化皮膜による連続打点性の低下を、
第1層としてNiめっき層を設けることによって回避しよ
うとするものであるが、実施例にも示されているよう
に、そのAl板の連続打点は高々1300程度にすぎない。こ
れは、Niめっき層の上に形成されるめっきが亜鉛等の低
融点金属めっきであるために、溶接時に低融点金属が電
極中に拡散し、電極の主成分である銅と脆い合金を作
り、電極先端の損耗を助長するからである。
板の表面の緻密な酸化皮膜による連続打点性の低下を、
第1層としてNiめっき層を設けることによって回避しよ
うとするものであるが、実施例にも示されているよう
に、そのAl板の連続打点は高々1300程度にすぎない。こ
れは、Niめっき層の上に形成されるめっきが亜鉛等の低
融点金属めっきであるために、溶接時に低融点金属が電
極中に拡散し、電極の主成分である銅と脆い合金を作
り、電極先端の損耗を助長するからである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、スポット溶
接性において亜鉛系めっき鋼板に近い性能を有する表面
処理Al板を提供することを目的とするものである。
接性において亜鉛系めっき鋼板に近い性能を有する表面
処理Al板を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、『母材
表面に形成された厚さ10〜500 Åの酸化物層と、その上
に形成された1層以上のめっき層とを有し、このめっき
層の最表層は融点が 500℃以上で付着量が 1〜40g/m2の
めっき層であることを特徴とするスポット溶接性に優れ
た表面処理アルミニウム板またはアルミニウム合金板』
にある。
表面に形成された厚さ10〜500 Åの酸化物層と、その上
に形成された1層以上のめっき層とを有し、このめっき
層の最表層は融点が 500℃以上で付着量が 1〜40g/m2の
めっき層であることを特徴とするスポット溶接性に優れ
た表面処理アルミニウム板またはアルミニウム合金板』
にある。
【0013】母材となるAl板は、例えば1000系、5000
系、6000系のもので、主に自動車ボデーに使用されるも
のである。これらのAl板の表面には、通常 600Å以上の
酸化物( 主にAl2O3 ) の皮膜が存在する。この酸化物皮
膜の一部を除去して、その厚さを10〜500 Åとするか、
またはこれを完全に除去して清浄化した後、その表面に
厚さ10〜500 Åの酸化物層を形成させる。
系、6000系のもので、主に自動車ボデーに使用されるも
のである。これらのAl板の表面には、通常 600Å以上の
酸化物( 主にAl2O3 ) の皮膜が存在する。この酸化物皮
膜の一部を除去して、その厚さを10〜500 Åとするか、
またはこれを完全に除去して清浄化した後、その表面に
厚さ10〜500 Åの酸化物層を形成させる。
【0014】このような酸化物層を形成するための具体
的方法を次に例示する。
的方法を次に例示する。
【0015】(1) 酸化皮膜除去方法 アルカリ溶液 (例えばNaOH、KOH)による化学的処理もし
くは研削等の機械的処理またはこれらの組合せによっ
て、Al板表面に厚くかつ不均一に存在する酸化皮膜の一
部または全部を除去する。一部の除去により残った酸化
物層の厚さが10〜500 Åの範囲になれば、そのまま使用
してめっきを施すことができる。
くは研削等の機械的処理またはこれらの組合せによっ
て、Al板表面に厚くかつ不均一に存在する酸化皮膜の一
部または全部を除去する。一部の除去により残った酸化
物層の厚さが10〜500 Åの範囲になれば、そのまま使用
してめっきを施すことができる。
【0016】また、下記のように酸化物形成処理の際に
酸化皮膜の除去を行うことも可能である。
酸化皮膜の除去を行うことも可能である。
【0017】(2) 酸化物層形成方法 酸またはアルカリによる化学的処理または機械的処理で
酸化皮膜を除去し、新たに酸化物層を形成させる。その
方法としては、塗布法、反応法、電解法、加熱法、また
はこれらの組合せ法がある。
酸化皮膜を除去し、新たに酸化物層を形成させる。その
方法としては、塗布法、反応法、電解法、加熱法、また
はこれらの組合せ法がある。
【0018】塗布法 酸化物(酸化亜鉛、アルミナ等)を含むコロイド溶液、
エマルジョン溶液等の溶液として塗布し酸化物層を形成
する。塗布はロールコータ法、浸漬法、スプレー法等い
ずれの方法を採用してもよい。溶液の溶媒は、水または
アルコール、シンナー等の有機溶媒でよい。
エマルジョン溶液等の溶液として塗布し酸化物層を形成
する。塗布はロールコータ法、浸漬法、スプレー法等い
ずれの方法を採用してもよい。溶液の溶媒は、水または
アルコール、シンナー等の有機溶媒でよい。
【0019】反応法 Al板をりん酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、クロム
酸イオン等を含む溶液に浸漬し、酸化物層を形成する。
酸イオン等を含む溶液に浸漬し、酸化物層を形成する。
【0020】電解法 りん酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、クロム酸イオ
ン等を含む溶液中でカソード電解、アノード電解または
交流を用いる電解でAl板を電解して酸化物層を形成す
る。
ン等を含む溶液中でカソード電解、アノード電解または
交流を用いる電解でAl板を電解して酸化物層を形成す
る。
【0021】加熱法 Al板を酸化性雰囲気 (例えば大気中) で、およそ 200〜
350 ℃で加熱する。酸化物層の厚さは加熱温度および加
熱時間で調整できる。最も簡便で実用的な方法である。
350 ℃で加熱する。酸化物層の厚さは加熱温度および加
熱時間で調整できる。最も簡便で実用的な方法である。
【0022】上記のように母材表面に接する最下層に薄
い酸化物層があり、最表層に融点が500℃以上で付着量
が 1〜40g/m2のめっき層を持つのが本発明のAl板の特徴
である。中間層として他のめっき層が存在していてもよ
い。融点が 500℃以上のめっき層は、後述する溶接性改
善機構からわかるように、最表層にあることが必須であ
る。
い酸化物層があり、最表層に融点が500℃以上で付着量
が 1〜40g/m2のめっき層を持つのが本発明のAl板の特徴
である。中間層として他のめっき層が存在していてもよ
い。融点が 500℃以上のめっき層は、後述する溶接性改
善機構からわかるように、最表層にあることが必須であ
る。
【0023】
【作用】スポット溶接は電気抵抗溶接であるから、ナゲ
ット形成のためには重ね合わせたAl板の界面での電気抵
抗がある程度高いことが望ましい。本発明においてAl板
の表面に10〜500 Åの厚さの酸化物層を形成させるの
は、この電気抵抗を大きくしてスポット溶接時の発熱効
率を高めるためである。10Å未満の厚みでは電気抵抗が
小さすぎてナゲットが形成されにくい。一方、500 Åを
超える厚みになると電気抵抗が過大になり、電極損耗が
激しくなる。
ット形成のためには重ね合わせたAl板の界面での電気抵
抗がある程度高いことが望ましい。本発明においてAl板
の表面に10〜500 Åの厚さの酸化物層を形成させるの
は、この電気抵抗を大きくしてスポット溶接時の発熱効
率を高めるためである。10Å未満の厚みでは電気抵抗が
小さすぎてナゲットが形成されにくい。一方、500 Åを
超える厚みになると電気抵抗が過大になり、電極損耗が
激しくなる。
【0024】前記のように、Al板表面には通常 600Å以
上の厚さの酸化皮膜が形成されている。その表面にめっ
きを施したものを溶接すると、溶接中にめっき層が溶融
し溶接性を阻害する酸化物が露出し、電極の損傷をもた
らす。これは、酸化物の電気抵抗が高く特に電極と板表
面との界面抵抗が高くなり、電極先端近傍での発熱量が
多くなり電極損傷を助長するからである。しかし、この
酸化物皮膜の厚さが10〜500 Åの範囲であれば、電極と
板表面との界面抵抗は過大にならず、むしろ前記のよう
に発熱効率が高まってナゲット形成が容易になる。しか
も、その酸化物層の上に存在するめっき層が融点 500℃
以上で10〜40g/m2の付着量のものであれば、溶接中にめ
っき層が溶融除去され酸化物層が露出することも無くな
り、電極損耗の問題も解消できる。
上の厚さの酸化皮膜が形成されている。その表面にめっ
きを施したものを溶接すると、溶接中にめっき層が溶融
し溶接性を阻害する酸化物が露出し、電極の損傷をもた
らす。これは、酸化物の電気抵抗が高く特に電極と板表
面との界面抵抗が高くなり、電極先端近傍での発熱量が
多くなり電極損傷を助長するからである。しかし、この
酸化物皮膜の厚さが10〜500 Åの範囲であれば、電極と
板表面との界面抵抗は過大にならず、むしろ前記のよう
に発熱効率が高まってナゲット形成が容易になる。しか
も、その酸化物層の上に存在するめっき層が融点 500℃
以上で10〜40g/m2の付着量のものであれば、溶接中にめ
っき層が溶融除去され酸化物層が露出することも無くな
り、電極損耗の問題も解消できる。
【0025】本発明のAl板は、最表層に融点が 500℃以
上で付着量が1〜40g/m2以上のめっき層を持つ。このめ
っき層の融点が 500℃よりも低いと、溶接の際にめっき
層の低融点金属が電極中に拡散し、前述のように電極の
銅と脆い合金を作り電極先端の損耗がはげしくなる。
上で付着量が1〜40g/m2以上のめっき層を持つ。このめ
っき層の融点が 500℃よりも低いと、溶接の際にめっき
層の低融点金属が電極中に拡散し、前述のように電極の
銅と脆い合金を作り電極先端の損耗がはげしくなる。
【0026】融点が 500℃以上のめっきとしては、亜鉛
系合金ではZnとNi、Fe、Co、Cr、Mn等との合金めっきが
ある。さらに高融点のめっきとしては、Fe、Ni、Cr、C
o、Ti等の金属またはそれらの合金めっきがある。
系合金ではZnとNi、Fe、Co、Cr、Mn等との合金めっきが
ある。さらに高融点のめっきとしては、Fe、Ni、Cr、C
o、Ti等の金属またはそれらの合金めっきがある。
【0027】最表層のめっき層の付着量が1g/m2より少
ないと、めっき層がスポット溶接時に溶融除去されるた
め、高融点のめっき層を設ける効果が乏しい。ただし、
付着量を40g/m2より多くしても溶接性向上の効果の増大
は殆どなく、コストアップになるだけである。
ないと、めっき層がスポット溶接時に溶融除去されるた
め、高融点のめっき層を設ける効果が乏しい。ただし、
付着量を40g/m2より多くしても溶接性向上の効果の増大
は殆どなく、コストアップになるだけである。
【0028】第1層の酸化物層の上に設けるめっき層は
1層でも2層以上でもよい。1層の場合はその層が最表
層になる。2層以上の場合は、中間層のめっきとして亜
鉛または亜鉛系合金のめっきを施せば、耐食性の改善効
果が大きい。
1層でも2層以上でもよい。1層の場合はその層が最表
層になる。2層以上の場合は、中間層のめっきとして亜
鉛または亜鉛系合金のめっきを施せば、耐食性の改善効
果が大きい。
【0029】
【実施例】以下、実施例によって本発明の効果を具体的
に説明する。
に説明する。
【0030】5000系のAl板(1mm厚、100 mm×150 mm)
を母材として、次の処理を施し、表1に示すめっきAl板
を作製した。
を母材として、次の処理を施し、表1に示すめっきAl板
を作製した。
【0031】(A) 初期清浄化と酸化物層形成 下記〜の方法で行った。
【0032】 塗布法:酸化亜鉛 100g/リットル、ア
ルミナ 30 g/リットルの水溶液 (50℃、pH 12)に30秒浸
漬した後水洗し Al2O3系の酸化物層形成。
ルミナ 30 g/リットルの水溶液 (50℃、pH 12)に30秒浸
漬した後水洗し Al2O3系の酸化物層形成。
【0033】 反応法:重クロム酸 10 重量%の水溶
液 (40℃) に30秒浸漬し、クロメート反応により Al2O3
+Cr2O3 系酸化物層を形成。
液 (40℃) に30秒浸漬し、クロメート反応により Al2O3
+Cr2O3 系酸化物層を形成。
【0034】 電解法:硫酸 10 重量%の水溶液中
で、60 Hz の交流(10V) で10秒の電解を行い、Al2O3 系
の酸化物層形成。
で、60 Hz の交流(10V) で10秒の電解を行い、Al2O3 系
の酸化物層形成。
【0035】 加熱法: NaOH 水溶液で表面の酸化皮
膜を除去した後、大気中で 250℃×1分の加熱を行いAl
2O3 系の酸化物層形成。
膜を除去した後、大気中で 250℃×1分の加熱を行いAl
2O3 系の酸化物層形成。
【0036】(B) 第2層以降のめっき めっき浴:硫酸塩浴(pH 1.5〜2.5)。浴組成は表1のめ
っき組成になるように調整。 浴温度 :50〜60℃ 電流密度:20〜100 A/dm2 上記の処理によって得られたAl板のスポット溶接性を下
記の方法で評価した。
っき組成になるように調整。 浴温度 :50〜60℃ 電流密度:20〜100 A/dm2 上記の処理によって得られたAl板のスポット溶接性を下
記の方法で評価した。
【0037】 連続打点による評価 電流 :27000 A 加圧力 :300 kgf 通電時間:6 cycles(at 60Hz) 電極形状:ドーム形 溶接方法:「1点/2秒で20点連続打点溶接後、40秒以
上の休止」というサイクルを繰り返す。100 点毎に3個
のせん断試験片を採取し、引張り試験により溶接部の剪
断荷重 200kgf を満足しなくなるまでの連続打点回数を
求めた。
上の休止」というサイクルを繰り返す。100 点毎に3個
のせん断試験片を採取し、引張り試験により溶接部の剪
断荷重 200kgf を満足しなくなるまでの連続打点回数を
求めた。
【0038】判定基準:1500点以上所定の剪断強度を満
足するものを良好とする。
足するものを良好とする。
【0039】 溶接電流依存性による評価 加圧力 :300kgf 通電時間:6cycles (at 60Hz) 電極形状:ドーム形 溶接方法:溶接電流を20kAおよび24kAの条件で変化さ
せ、スポット溶接を行い溶接部の引張剪断強さを測定し
た。
せ、スポット溶接を行い溶接部の引張剪断強さを測定し
た。
【0040】判定基準:両条件での引張剪断強さの差が
100kgf 未満の場合を良好とした。
100kgf 未満の場合を良好とした。
【0041】以上の評価を表1にまとめて示す。
【0042】
【表1(1)】
【0043】
【表1(2)】
【0044】表1の比較例1、2は最下層の酸化物層が
厚すぎ、特に比較例2は最表層のめっきの融点も低いた
めに、溶接性が著しく悪い。比較例3は最表層のめっき
付着量が少なすぎるために、連続打点数がわずかに 600
である。また、比較例4は最下層の酸化物層が薄すぎる
ために電流依存性から見た溶接性が悪い。
厚すぎ、特に比較例2は最表層のめっきの融点も低いた
めに、溶接性が著しく悪い。比較例3は最表層のめっき
付着量が少なすぎるために、連続打点数がわずかに 600
である。また、比較例4は最下層の酸化物層が薄すぎる
ために電流依存性から見た溶接性が悪い。
【0045】これらの比較例に対して、本発明の実施例
に相当するものは、きわめて優れた溶接性を示してい
る。この特性は最下層の酸化物層の形成方法によらず、
また、中間のめっき層の有無および最表層のめっきの種
類にも左右されない。
に相当するものは、きわめて優れた溶接性を示してい
る。この特性は最下層の酸化物層の形成方法によらず、
また、中間のめっき層の有無および最表層のめっきの種
類にも左右されない。
【0046】
【発明の効果】実施例でも明らかにしたとおり、本発明
の表面処理Al板は、優れた溶接性を有し、りん酸亜鉛処
理工程でもAlイオンの溶出問題を生じない。また、最表
層または中間層のめっき皮膜によって、耐食性にも優れ
ているから、特にスポット溶接で組み立てられる軽量化
の材料として自動車用に好適である。
の表面処理Al板は、優れた溶接性を有し、りん酸亜鉛処
理工程でもAlイオンの溶出問題を生じない。また、最表
層または中間層のめっき皮膜によって、耐食性にも優れ
ているから、特にスポット溶接で組み立てられる軽量化
の材料として自動車用に好適である。
【0047】
フロントページの続き (72)発明者 木本 雅也 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 審査官 津野 孝 (56)参考文献 特開 平4−237576(JP,A) 特開 平4−263092(JP,A) 特開 平4−344877(JP,A)
Claims (1)
- 【請求項1】母材表面に形成された厚さ10〜500 Åの酸
化物層と、その上に形成された1層以上のめっき層とを
有し、このめっき層の最表層は融点が 500℃以上で付着
量が1〜40g/m2のめっき層であることを特徴とするスポ
ット溶接性に優れた表面処理アルミニウム板またはアル
ミニウム合金板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17572592A JP2665298B2 (ja) | 1992-07-02 | 1992-07-02 | スポット溶接性に優れた表面処理アルミニウム板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17572592A JP2665298B2 (ja) | 1992-07-02 | 1992-07-02 | スポット溶接性に優れた表面処理アルミニウム板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0617287A JPH0617287A (ja) | 1994-01-25 |
JP2665298B2 true JP2665298B2 (ja) | 1997-10-22 |
Family
ID=16001148
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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-
1992
- 1992-07-02 JP JP17572592A patent/JP2665298B2/ja not_active Expired - Fee Related
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